(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176691
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】抵抗器
(51)【国際特許分類】
H01C 1/012 20060101AFI20241212BHJP
H01C 7/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01C1/012
H01C7/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095433
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸作
【テーマコード(参考)】
5E028
5E033
【Fターム(参考)】
5E028AA10
5E028BA11
5E028BB01
5E028CA02
5E033AA41
5E033BC01
5E033BC07
5E033BD01
5E033BE01
5E033BH02
(57)【要約】
【課題】基板への放熱性を改善可能な抵抗器を提供する。
【解決手段】抵抗器(100)は、抵抗体(12)と樹脂層(11)とを有するフレーム(10)と、保護膜(20)と、第1電極(30)及び第2電極(40)とを備える。抵抗体(12)は、表面(12a)を有し、かつ表面が露出するように樹脂層に埋設されている。保護膜は、第1方向(DR1)における表面の中央部上に配置されている。第1電極は、第1方向における表面の一方端部上に配置されており、保護膜上に達するように延在している。第2電極は、第1方向における表面の他方端部上に配置されており、保護膜上に達するように延在している。第1方向に直交する第2方向(DR2)における抵抗器の幅(W2)は、第1方向における抵抗器の幅(W1)よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗器であって、
抵抗体と樹脂層とを有するフレームと、
保護膜と、
第1電極及び第2電極とを備え、
前記抵抗体は、表面を有し、前記表面が露出するように前記樹脂層に埋設されており、
前記保護膜は、第1方向における前記表面の中央部上に配置されており、
前記第1電極は、前記第1方向における前記表面の一方端部上に配置されており、前記保護膜上に達するように延在しており、
前記第2電極は、前記第1方向における前記表面の他方端部上に配置されており、前記保護膜上に達するように延在しており、
前記第1方向に直交する第2方向における前記抵抗器の幅は、前記第1方向における前記抵抗器の幅よりも大きい、抵抗器。
【請求項2】
前記第2方向における前記抵抗器の幅は、3.2mm以下である、請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
抵抗器であって、
抵抗体を有するフレームと、
第1電極及び第2電極と、
保護膜とを備え、
前記抵抗体は、表面を有し、
前記第1電極は、第1方向における前記表面の一方端部上に配置されており、
前記第2電極は、前記第1方向における前記表面の他方端部上に配置されており、
前記第2電極側の端にある前記第1電極の端及び前記第1電極側の端にある前記第2電極の端には、それぞれ、第1凹部及び第2凹部が形成されており、
前記保護膜は、少なくとも前記第1電極及び前記第2電極から露出している前記表面上に配置されている、抵抗器。
【請求項4】
前記第1方向に直交する第2方向における前記抵抗器の幅は、前記第1方向における前記抵抗器の幅よりも大きい、請求項3に記載の抵抗器。
【請求項5】
前記第1方向における前記抵抗器の幅は、前記第1方向に直交する第2方向における前記抵抗器の幅よりも大きい、請求項3に記載の抵抗器。
【請求項6】
前記フレームは、樹脂層をさらに有し、
前記抵抗体は、前記表面が露出するように前記樹脂層に埋設されており、
前記保護膜は、前記第1方向における前記表面の中央部上に配置されており、
前記第1電極及び前記第2電極の各々は、前記保護膜上に達するように延在している、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の抵抗器。
【請求項7】
前記フレームは、前記抵抗体のみからなり、
前記第1凹部は、前記第1方向における前記抵抗体の一方端に達しており、
前記第2凹部は、前記第1方向における前記抵抗体の他方端に達している、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2020/162266号(特許文献1)には、抵抗器が記載されている。特許文献1に記載の抵抗器は、絶縁板と、抵抗体と、保護膜と、第1電極及び第2電極とを有している。抵抗体は、表面を有している。抵抗体は、表面が露出するように絶縁板に埋設されている。
【0003】
保護膜は、第1方向における抵抗体の表面の中央部上に配置されている。第1電極及び第2電極は、それぞれ、第1方向における抵抗体の表面の一方端部上及び他方端部上に配置されている。第1電極及び第2電極の各々は、保護膜上に達するように延在している。特許文献1に記載の抵抗器は、第2方向における幅が第1方向における幅よりも小さい。第2方向は、第1方向に直交する方向である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、特許文献1に記載の抵抗器は、第2方向における幅が第1方向における幅よりも小さい。そのため、特許文献1に記載の抵抗器は、基板との接続面積が小さく、基板への放熱性に改善の余地がある。本開示は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、基板への放熱性を改善可能な抵抗器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の抵抗器は、抵抗体と樹脂層とを有するフレームと、保護膜と、第1電極及び第2電極とを備えている。抵抗体は、表面を有し、表面が露出するように樹脂層に埋設されている。保護膜は、第1方向における表面の中央部上に配置されている。第1電極は、第1方向における表面の一方端部上に配置されており、保護膜上に達するように延在している。第2電極は、第1方向における表面の他方端部上に配置されており、保護膜上に達するように延在している。第1方向に直交する第2方向における抵抗器の幅は、第1方向における抵抗器の幅よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の抵抗器によると、基板への放熱性を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】抵抗器100の製造方法を示す工程図である。
【
図6】第1下地層形成工程S2を説明する底面図である。
【
図7】保護膜形成工程S3を説明する底面図である。
【
図8】第2下地層形成工程S4を説明する底面図である。
【
図10】第2切断工程S6を説明する底面図である。
【
図15】変形例に係る抵抗器200の底面図である。
【
図16】抵抗器200の製造方法での第2下地層形成工程S4を説明する底面図である。
【
図17】抵抗器200の製造方法でのめっき工程S7を説明する底面図である。
【
図21】第1変形例に係る抵抗器300の底面図である。
【
図22】第2変形例に係る抵抗器300の断面図である。
【
図23】抵抗器300の製造方法を示す工程図である。
【
図25】保護膜形成工程S9を説明する底面図である。
【
図26】第1めっき工程S10を説明する底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る抵抗器を説明する。第1実施形態に係る抵抗器を、抵抗器100とする。
【0011】
<抵抗器100の構成>
以下に、抵抗器100の構成を説明する。
【0012】
図1は、抵抗器100の底面図である。
図2は、
図1中のII-IIにおける断面図である。
図3は、抵抗器100の平面図である。
図1から
図3に示されているように、抵抗器100は、フレーム10と、保護膜20と、電極30と、電極40とを有している。
【0013】
フレーム10は、樹脂層11と抵抗体12とを有している。樹脂層11の構成材料は、樹脂材料である。樹脂層11の構成材料は、例えば、ガラスエポキシである。抵抗体12の構成材料は、金属材料である。抵抗体12の構成材料は、例えば、マンガン-銅合金、銅-ニッケル合金、ニッケル-クロム合金等である。抵抗体12は、表面12aを有している。抵抗体12は、表面12aが露出するように、樹脂層11に埋設されている。フレーム10は、平面視において、矩形状である。この矩形の短辺及び長辺は、それぞれ第1方向DR1及び第2方向DR2に沿っている。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交する方向である。
【0014】
図示されていないが、抵抗体12の抵抗を調整するために、抵抗体12には、第1スリット及び第2スリットが形成されていてもよい。第1スリット及び第2スリットは、抵抗体12を厚さ方向に貫通している。第1スリットは、第2方向DR2における抵抗体12の一方端に形成され、第2方向DR2に沿って延在している。第2スリットは、第2方向DR2における抵抗体12の他方端に形成され、第2方向DR2に沿って延在している。
【0015】
保護膜20の構成材料は、電気絶縁性の材料である。保護膜20の構成材料は、例えばエポキシ樹脂である。保護膜20は、フィラーを含有していてもよい。フィラーの構成材料は、例えばアルミナ、窒化ホウ素等のセラミック材料である。保護膜20は、第1方向DR1における表面12aの中央部上に配置されている。保護膜20は、第1方向DR1における表面12aの両端部上には配置されていない。
【0016】
電極30は、下地層31と、下地層32と、めっき層33とを有している。下地層31の構成材料は、例えば、導電性樹脂材料である。導電性樹脂材料は、樹脂材料と、金属粒子とを含む。樹脂材料は、例えばエポキシ樹脂である。金属粒子の構成材料は、例えば銀である。下地層31は、第1方向DR1における表面12aの一方端部上に配置されている。第1方向DR1における下地層31の一方端部は、第1方向DR1における表面12aの他方端から離間している。保護膜20の第1方向DR1における一方端部は、第1方向DR1における下地層31の他方端部上にある。
【0017】
下地層32の構成材料は、例えば、導電性樹脂材料である。導電性樹脂材料は、樹脂材料と、金属粒子とを含む。樹脂材料は、例えばエポキシ樹脂である。金属粒子の構成材料は、例えば銀である。下地層32は、下地層31上に配置されている。下地層32は、保護膜20上に達するように延在している。すなわち、第1方向DR1における下地層32の他方端部は、保護膜20上にある。
【0018】
めっき層33は、めっきで形成された層である。めっき層33は、例えば、銅層と、銅層上に配置されているニッケル層と、ニッケル層上に配置されているスズ層とを有している。めっき層33は、下地層31上又は下地層32上に配置されている。但し、めっき層33は、その一部において、表面12a上に配置されている。第1方向DR1におけるめっき層33の他方端部は、保護膜20上に配置されていてもよい。めっき層33は、第1方向DR1における一方端にあるフレーム10の側面上にも配置されていてもよい。
【0019】
電極40は、下地層41と、下地層42と、めっき層43とを有している。下地層41の構成材料は、例えば、導電性樹脂材料である。導電性樹脂材料は、樹脂材料と、金属粒子とを含む。樹脂材料は、例えばエポキシ樹脂である。金属粒子の構成材料は、例えば銀である。下地層41は、第1方向DR1における表面12aの他方端部上に配置されている。第1方向DR1における下地層41の他方端部は、第1方向DR1における表面12aの他方端から離間している。保護膜20の第1方向DR1における他方端部は、第1方向DR1における下地層41の一方端部上にある。
【0020】
下地層42の構成材料は、例えば、導電性樹脂材料である。導電性樹脂材料は、樹脂材料と、金属粒子とを含む。樹脂材料は、例えばエポキシ樹脂である。金属粒子の構成材料は、例えば銀である。下地層42は、下地層41上に配置されている。下地層42は、保護膜20上に達するように延在している。すなわち、第1方向DR1における下地層42の一方端部は、保護膜20上にある。
【0021】
めっき層43は、めっきで形成された層である。めっき層43は、例えば、銅層と、銅層上に配置されているニッケル層と、ニッケル層上に配置されているスズ層とを有している。めっき層43は、下地層41上又は下地層42上に配置されている。但し、めっき層43は、その一部において、表面12a上に配置されている。第1方向DR1におけるめっき層43の一方端部は、保護膜20上に配置されていてもよい。めっき層43は、第1方向DR1における他方端にあるフレーム10の側面上にも配置されていてもよい。
【0022】
第1方向DR1における抵抗器100の幅を、幅W1とする。第2方向DR2における抵抗器100の幅を、幅W2とする。幅W2は、幅W1よりも大きい。すなわち、抵抗器100の長手方向は、第2方向DR2に沿っている。幅W2は、好ましくは、3.2mm以下である。
【0023】
<抵抗器100の製造方法>
以下に、抵抗器100の製造方法を説明する。
【0024】
図4は、抵抗器100の製造方法を示す工程図である。
図4に示されているように、抵抗器100の製造方法は、準備工程S1と、第1下地層形成工程S2と、保護膜形成工程S3と、第2下地層形成工程S4と、第1切断工程S5と、第2切断工程S6と、めっき工程S7とを有している。
【0025】
図5は、準備工程S1を説明する底面図である。
図5に示されているように、準備工程S1では、フレーム50が準備される。フレーム50には、複数のフレーム10が含まれている。
図5中では、フレーム50に含まれている複数のフレーム10の各々が、点線により画されている。準備工程S1の後には、第1下地層形成工程S2が行われる。
【0026】
図6は、第1下地層形成工程S2を説明する底面図である。
図6に示されるように、第1下地層形成工程S2では、下地層60が形成される。第1下地層形成工程S2では、第1に、未硬化の樹脂材料及び金属粒子を含むペーストが塗布される。第2に、塗布されたペーストが加熱されることで樹脂材料が硬化され、下地層60となる。なお、下地層60には、それぞれ、開口部60aが形成されている。開口部60aからは、表面12aが露出している。第1下地層形成工程S2の後には、保護膜形成工程S3が行われる。
【0027】
図7は、保護膜形成工程S3を説明する底面図である。
図7に示されているように、保護膜形成工程S3では、保護膜20が形成される。保護膜形成工程S3では、第1に、保護膜20の構成材料(未硬化の樹脂材料)が塗布される。第2に、塗布された未硬化の樹脂材料が加熱されることで硬化され、保護膜20となる。保護膜形成工程S3の後には、第2下地層形成工程S4が行われる。
【0028】
図8は、第2下地層形成工程S4を説明する底面図である。
図8に示されるように、第2下地層形成工程S4では、下地層32及び下地層42が形成される。第2下地層形成工程S4では、第1に、未硬化の樹脂材料及び金属粒子を含むペーストが塗布される。第2に、塗布されたペーストが加熱されることで樹脂材料が硬化され、下地層32及び下地層42となる。第2下地層形成工程S4の後には、第1切断工程S5が行われる。
【0029】
図9は、第1切断工程S5を説明する断面図である。
図9に示されているように、第1切断工程S5では、フレーム50が切断線CL1に沿って切断される。切断線CL1は、第2方向DR2に沿っている。フレーム50の切断に伴い下地層60も分離され、下地層31及び下地層41となる。第1切断工程S5の後には、第2切断工程S6が行われる。
【0030】
図10は、第2切断工程S6を説明する底面図である。
図10に示されているように、第2切断工程S6では、フレーム50が切断線CL2に沿って切断される。切断線CL2は、第1方向DR1に沿っている。これにより、フレーム50が複数のフレーム10へと個片化される。第2切断工程S6の後には、めっき工程S7が行われる。
【0031】
図11は、めっき工程S7を説明する断面図である。
図11に示されているように、めっき工程S7では、電解バレルめっきが行われることにより、銅層、ニッケル層及びスズ層が順次形成される。以上により、
図1から
図3に示される抵抗器100の構造が形成されることになる。
【0032】
<抵抗器100の効果>
以下に、抵抗器100の効果を、比較例に係る抵抗器と対比しながら説明する。比較例に係る抵抗器を、抵抗器100Aとする。
【0033】
図12は、抵抗器100Aの底面図である。
図12に示されているように、抵抗器100Aでは、幅W2が幅W1よりも小さい。この点を除いて、抵抗器100Aの構成は、抵抗器100の構成と同一である。
【0034】
抵抗器100及び抵抗器100Aは、電極30及び電極40において、基板にはんだ付けされる。抵抗器100では、幅W2が幅W1よりも大きくなっているため、同一サイズで比較した場合、基板との接続面積が、抵抗器100Aよりも大きくなる。そのため、抵抗器100では、抵抗器100Aと比較して、はんだ接合部を介して電極30及び電極40から抵抗体12において発生した熱が基板へと放熱されやすく、基板への放熱性が改善されている。
【0035】
抵抗器100及び抵抗器100Aにおいて幅W2を小さくしようとすると、フレーム50において、第2方向DR2における抵抗体12の幅を小さくする必要がある。しかしながら、第2方向DR2における抵抗体12の幅を小さくすると、フレーム50の剛性が低下してフレーム50のハンドリング性が低下する。このことは、幅W2が3.2mm以下になると顕著になる。この点、抵抗器100では、幅W2が幅W1よりも大きくなっているため、幅W2を小さくせずとも幅W1を小さくして小型化を図ることが可能である。そのため、抵抗器100によると、製造時のフレーム50のハンドリング性を高めることが可能である。
【0036】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る抵抗器を説明する。第2実施形態に係る抵抗器を、抵抗器200とする。ここでは、抵抗器100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0037】
<抵抗器200の構成>
以下に、抵抗器200の構成を説明する。
【0038】
図13は、抵抗器200の底面図である。
図14は、
図13中のXIV-XIVにおける断面図である。
図13及び
図14に示されているように、抵抗器200は、フレーム10と、保護膜20と、電極30及び電極40とを有している。この点に関して、抵抗器200の構成は、抵抗器100の構成と共通している。
【0039】
抵抗器200では、電極30の電極40側の端(第1方向DR1における電極30の一方端)に凹部30aが形成されており、電極40の電極30側の端(第1方向DR1における電極40の他方端)に凹部40aが形成されている。凹部30a及び凹部40aからは、保護膜20が露出している。この点に関して、抵抗器200の構成は、抵抗器100の構成と異なっている。
【0040】
なお、第2方向DR2において凹部30aに隣り合う電極30の部分を第1部分30bとし、第2方向DR2において第1部分30bとは反対側から凹部30aに隣り合う電極30の部分を第2部分30cとする。また、第2方向DR2において凹部40aに隣り合う電極40の部分を第1部分40bとし、第2方向DR2において第1部分40bとは反対側から凹部40aに隣り合う電極40の部分を第2部分40cとする。
【0041】
第2方向DR2における第1部分30bの幅は、例えば、第2方向DR2における第2部分30cの幅よりも大きい。第2方向DR2における第1部分40bの幅は、例えば、第2方向DR2における第2部分40cの幅よりも大きい。この場合、抵抗器200は、例えばシャント抵抗器として用いられる。すなわち、この場合、抵抗器200は、第1部分30bと第1部分40bとの間に電流が流れている状態で第2部分30cと第2部分40cとの間の電圧を検知することにより、第1部分30bと第1部分40bとの間に流れている電流を検知することが可能である。
【0042】
<変形例>
上記においては、幅W2が幅W1よりも大きい場合の例を説明した。
図15は、変形例に係る抵抗器200の底面図である。
図15に示されているように、抵抗器200では、幅W2が幅W1よりも小さくてもよい。
【0043】
<抵抗器200の製造方法>
以下に、抵抗器200の製造方法を説明する。
【0044】
抵抗器200の製造方法は、準備工程S1と、第1下地層形成工程S2と、保護膜形成工程S3と、第2下地層形成工程S4と、第1切断工程S5と、第2切断工程S6と、めっき工程S7とを有している。この点に関して、抵抗器200の製造方法は、抵抗器100の製造方法と共通している。
【0045】
図16は、抵抗器200の製造方法での第2下地層形成工程S4を説明する底面図である。
図16に示されているように、抵抗器200の製造方法における第2下地層形成工程S4では、下地層32及び下地層42が、第2方向DR2において間隔を空けて形成される。
図17は、抵抗器200の製造方法でのめっき工程S7を説明する底面図である。隣り合う下地層32の間から露出している保護膜20上にはめっき層33が成長できず、隣り合う下地層42の間から露出している保護膜20上にはめっき層44が成長できない。そのため、抵抗器200の製造方法では、めっき工程S7が行われることで、
図17に示されているように、電極30に凹部30aが形成され、電極40に凹部40aが形成される。これらの点に関して、抵抗器200の製造方法は、抵抗器100の製造方法と異なっている。
【0046】
<抵抗器200の効果>
以下に、抵抗器200の効果を説明する。
【0047】
抵抗器200では、第2下地層形成工程S4が行われる際に下地層32及び下地層42を第2方向DR2に沿って間隔を空けて形成することにより、電極30及び電極40にそれぞれ凹部30a及び凹部40aが形成される。このように、抵抗器200は、新たな工程を追加することなく抵抗器200を4端子化が可能であり、例えばシャント抵抗器として利用することが可能である。
【0048】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る抵抗器を説明する。第3実施形態に係る抵抗器を、抵抗器300とする。ここでは、抵抗器200と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0049】
<抵抗器300の構成>
以下に、抵抗器300の構成を説明する。
【0050】
図18は、抵抗器300の底面図である。
図19は、
図18中のXIX-XIXにおける断面図である。
図20は、抵抗器300の平面図である。
図18から
図20に示されているように、抵抗器300は、フレーム10と、保護膜20と、電極30及び電極40とを有している。この点に関して、抵抗器300の構成は、抵抗器200の構成と共通している。
【0051】
抵抗器300では、フレーム10が抵抗体12で構成されている。なお、表面12aとは反対側の抵抗体12の表面を、表面12bとする。
【0052】
抵抗器300では、電極30が、めっき層34と、めっき層35と、めっき層35とを有している。めっき層34の構成材料、めっき層35の構成材料及びめっき層35の構成材料は、例えば、それぞれ銅、ニッケル及びスズである。めっき層34は、第1方向DR1における表面12aの一方端部上に配置されている。めっき層34は、第1方向DR1における表面12bの一方端部上にも配置されている。めっき層35は、めっき層34上に配置されている。めっき層35は、第1方向DR1における一方端にある抵抗体12の側面上にも配置されている。めっき層36は、めっき層35上に配置されている。
【0053】
抵抗器300では、電極40が、めっき層44と、めっき層45と、めっき層45とを有している。めっき層44の構成材料、めっき層45の構成材料及びめっき層45の構成材料は、例えば、それぞれ銅、ニッケル及びスズである。めっき層44は、第1方向DR1における表面12aの他方端部上に配置されている。めっき層44は、第1方向DR1における表面12bの他方端部上にも配置されている。めっき層45は、めっき層44上に配置されている。めっき層45は、第1方向DR1における他方端にある抵抗体12の側面上にも配置されている。めっき層46は、めっき層45上に配置されている。
【0054】
抵抗器300では、凹部30aが第1方向DR1における抵抗体12の一方端に達しており、凹部40aが第1方向DR1における抵抗体12の他方端に達している。抵抗器300では、保護膜20が、電極30及び電極40から露出している表面12a上に配置されている。より具体的には、保護膜20は、第1方向DR1において電極30と電極40との間にある表面12a上並びに凹部30a及び凹部40aから露出している表面12a上に配置されている。
【0055】
抵抗器300は、保護膜21をさらに有している。保護膜21の構成材料は、例えば、保護膜20の構成材料と同一である。保護膜21は、電極30及び電極40から露出している表面12b上に配置されている。これらの点に関して、抵抗器300の構成は、抵抗器200の構成と共通している。
【0056】
<第1変形例>
上記においては、幅W2が幅W1よりも大きい場合の例を説明した。
図21は、第1変形例に係る抵抗器300の底面図である。
図21に示されているように、抵抗器300では、幅W2が幅W1よりも小さくてもよい。
【0057】
<第2変形例>
図22は、第2変形例に係る抵抗器300の断面図である。
図22に示されているように、抵抗器300では、電極30がめっき層35を有していなくてもよく、電極40がめっき層45を有していなくてもよい。この場合、めっき層34は第1方向DR1における一方端にある抵抗体12の側面上にも配置され、めっき層44は第1方向DR1における他方端にある抵抗体12の側面上にも配置される。また、この場合、めっき層36及びめっき層46は、それぞれ、めっき層34上及びめっき層44上に配置される。また、抵抗器300では、第1方向DR1における表面12bの一方端部上にめっき層34が配置されなくてもよく、第1方向DR1における表面12bの他方端部上にめっき層44が配置されなくてもよい。この場合、保護膜21は、表面12b上の全面に配置される。
【0058】
<抵抗器300の製造方法>
以下に、抵抗器300の製造方法を説明する。
【0059】
図23は、抵抗器300の製造方法を示す工程図である。抵抗器300の製造方法は、
図23に示されているように、準備工程S8と、保護膜形成工程S9と、第1めっき工程S10と、切断工程S11と、第2めっき工程S12とを有している。
【0060】
図24は、準備工程S8を説明する底面図である。
図24に示されているように、準備工程S8では、フレーム50が準備される。フレーム50には、複数のフレーム10(抵抗体12)が含まれている。フレーム50に含まれている複数の抵抗体12は、
図24中において、点線により画されている。準備工程S8の後には、保護膜形成工程S9が行われる。
【0061】
図25は、保護膜形成工程S9を説明する底面図である。
図25に示されるように、保護膜形成工程S9では、保護膜20が形成される。保護膜20は、複数の第1直線部と複数の第2直線部とを有している。複数の第1直線部の各々は、第1方向DR1に沿って延在している。複数の第1直線部は、第2方向DR2において間隔を空けて並んでいる。複数の第2直線部の各々は、第2方向DR2に沿って延在している。複数の第2直線部は、第1方向DR1において間隔を空けて並んでいる。第1直線部及び第2直線部が交差している部分は、フレーム50に含まれている複数の抵抗体12の各々の表面12a上に、1箇所存在している。保護膜20は、保護膜20の構成材料(未硬化の樹脂材料)が塗布されるとともに塗布された未硬化の樹脂材料を加熱して硬化されることにより形成される。なお、保護膜形成工程S9では、図示されていないが、保護膜21も同様の方法により形成されることになる。保護膜形成工程S9の後には、第1めっき工程S10が行われる。
【0062】
図26は、第1めっき工程S10を説明する底面図である。
図26に示されているように、第1めっき工程S10では、例えばラックめっきが行われることにより、保護膜20から露出している表面12a上にめっき層61が形成される。第1めっき工程S10の後には、切断工程S11が行われる。切断工程S11では、フレーム50が切断されることにより、複数の抵抗体12に個片化される。フレーム50の切断に伴って、めっき層61は、めっき層34及びめっき層42に分離される。切断工程S11の後には、第2めっき工程S12が行われる。
【0063】
第2めっき工程S12では、例えばバレルめっきが行われることにより、めっき層35及びめっき層36が順次形成されるとともに、めっき層45及びめっき層46が順次形成される。めっき層35及びめっき層36はめっき層34上のみにおいて成長し、保護膜20上において成長しない。同様に、めっき層45及びめっき層46はめっき層44上においてのみ成長し、保護膜20上において成長しない。このようにして、電極30及び電極40には、凹部30a及び凹部40aがそれぞれ形成されることになる。以上により、
図18から
図20に示される構造の抵抗器300が形成される。
【0064】
<抵抗器300の効果>
以下に、抵抗器300の効果を説明する。
【0065】
抵抗器300では、保護膜形成工程S9が行われる際に保護膜20が複数の第1直線部及び複数の第2直線部を有するように形成することで、電極30及び電極40にそれぞれ凹部30a及び凹部40aが形成される。このように、抵抗器300は、新たな工程を追加することなく抵抗器300を4端子化が可能であり、例えばシャント抵抗器として利用することが可能である。
【0066】
(付記)
上記の実施形態には、以下の構成が含まれている。
【0067】
<付記1>
抵抗器であって、
抵抗体と樹脂層とを有するフレームと、
保護膜と、
第1電極及び第2電極とを備え、
前記抵抗体は、表面を有し、前記表面が露出するように前記樹脂層に埋設されており、
前記保護膜は、第1方向における前記表面の中央部上に配置されており、
前記第1電極は、前記第1方向における前記表面の一方端部上に配置されており、前記保護膜上に達するように延在しており、
前記第2電極は、前記第1方向における前記表面の他方端部上に配置されており、前記保護膜上に達するように延在しており、
前記第1方向に直交する第2方向における前記抵抗器の幅は、前記第1方向における前記抵抗器の幅よりも大きい、抵抗器。
【0068】
<付記2>
前記第2方向における前記抵抗器の幅は、3.2mm以下である、付記1に記載の抵抗器。
【0069】
<付記3>
抵抗器であって、
抵抗体を有するフレームと、
第1電極及び第2電極と、
保護膜とを備え、
前記抵抗体は、表面を有し、
前記第1電極は、第1方向における前記表面の一方端部上に配置されており、
前記第2電極は、前記第1方向における前記表面の他方端部上に配置されており、
前記第2電極側の端にある前記第1電極の端及び前記第1電極側の端にある前記第2電極の端には、それぞれ、第1凹部及び第2凹部が形成されており、
前記保護膜は、少なくとも前記第1電極及び前記第2電極から露出している前記表面上に配置されている、抵抗器。
【0070】
<付記4>
前記第1方向に直交する第2方向における前記抵抗器の幅は、前記第1方向における前記抵抗器の幅よりも大きい、付記3に記載の抵抗器。
【0071】
<付記5>
前記第1方向における前記抵抗器の幅は、前記第1方向に直交する第2方向における前記抵抗器の幅よりも大きい、付記3に記載の抵抗器。
【0072】
<付記6>
前記フレームは、樹脂層をさらに有し、
前記抵抗体は、前記表面が露出するように前記樹脂層に埋設されており、
前記保護膜は、前記第1方向における前記表面の中央部上に配置されており、
前記第1電極及び前記第2電極の各々は、前記保護膜上に達するように延在している、付記3から付記5のいずれか1項に記載の抵抗器。
【0073】
<付記7>
前記フレームは、前記抵抗体のみからなり、
前記第1凹部は、前記第1方向における前記抵抗体の一方端に達しており、
前記第2凹部は、前記第1方向における前記抵抗体の他方端に達している、付記3から付記5のいずれか1項に記載の抵抗器。
【0074】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0075】
10 フレーム、11 樹脂層、12 抵抗体、12a,12b 表面、20,21 保護膜、30 電極、30a 凹部、30b 第1部分、30c 第2部分、31,32 下地層、33,34,35,36 めっき層、40 電極、40a 凹部、40b 第1部分、40c 第2部分、41,42 下地層、43,44,45,46 めっき層、50 フレーム、60 下地層、60a 開口部、61 めっき層、100,100A,200,300 抵抗器、CL1,CL2 切断線、DR1 第1方向、DR2 第2方向、S1 準備工程、S2 第1下地層形成工程、S3 保護膜形成工程、S4 第2下地層形成工程、S5 第1切断工程、S6 第2切断工程、S7 めっき工程、S8 準備工程、S9 保護膜形成工程、S10 第1めっき工程、S11 切断工程、S12 第2めっき工程、W1,W2 幅。