IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鐵住金株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図1
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図2
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図3
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図4
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図5
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図6
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図7
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図8
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図9
  • 特開-バーリング装置及びバーリング方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176693
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】バーリング装置及びバーリング方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 19/08 20060101AFI20241212BHJP
   B60G 7/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B21D19/08 D
B60G7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095435
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 研一郎
(72)【発明者】
【氏名】田畑 亮
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 諒
(72)【発明者】
【氏名】北原 優樹
(72)【発明者】
【氏名】山岡 遼也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博司
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA68
3D301AA74
3D301DA90
3D301DB02
(57)【要約】
【課題】対向する2つの円筒フランジを成形するバーリング装置を提供する。
【解決手段】バーリング装置(100)は第1ダイ(1)と第2ダイ(2)と第1支軸(6)と第2支軸(7)と第1弾性部材(8)と第2弾性部材(9)とカム部材(3)と第1パンチ(4)と第2パンチとを備える。第1ダイ(1)は第1半円筒凹面(11)を含み、第1支軸(6)及び第1弾性部材(8)により回動可能に支持される。第2ダイ(2)は第1ダイ(1)に隣接して配置され、第2半円筒凹面(21)と第1ダイ(1)を越えて側方に突出するレバー部(22)とを含み、第2支軸(7)及び第2弾性部材(9)により回動可能に支持される。カム部材(3)は、下向きの移動の終端において第1半円筒凹面(11)と第2半円筒凹面(21)とを最接近させて円筒孔を画定した状態に保持する。第1パンチ(4)及び第2パンチは円筒孔に挿入可能に設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1縦板部と、前記第1縦板部に対向する第2縦板部と、を含むワークピースに対して、前記第1縦板部に前記第2縦板部に向かって突出する第1円筒フランジを成形するとともに、前記第2縦板部に前記第1円筒フランジに対向する第2円筒フランジを成形するバーリング装置であって、
前記第1円筒フランジ及び前記第2円筒フランジの外周面のうち縦割りの半周に対応する第1半円筒凹面を含む第1ダイと、
前記第1ダイに隣接して配置された第2ダイであって、前記第1円筒フランジ及び前記第2円筒フランジの前記外周面のうち他の半周に対応する第2半円筒凹面と、前記第2半円筒凹面の下方に位置づけられ、前記第1ダイを越えて側方に突出するレバー部とを含む前記第2ダイと、
前記第1半円筒凹面の下方に配置され、前記第1半円筒凹面が前記第2半円筒凹面に対して接近又は離間するように前記第1ダイを回動可能に支持する第1支軸と、
前記第2半円筒凹面の下方に配置され、前記第2半円筒凹面が前記第1半円筒凹面に対して接近又は離間するように前記第2ダイを回動可能に支持する第2支軸と、
前記第1ダイを前記第1半円筒凹面が前記第2半円筒凹面から離間する方向に付勢する第1弾性部材と、
前記第2ダイを前記第2半円筒凹面が前記第1半円筒凹面から離間する方向に付勢する第2弾性部材と、
上下方向に移動可能なカム部材であって、下向きの移動に伴って、前記第1ダイ及び前記レバー部に接触し、前記第1ダイと摺動しながら前記第1ダイを前記第1支軸まわりに回転させるとともに、前記レバー部と摺動しながら前記第2ダイを前記第2支軸まわりに回転させ、下向きの移動の終端において前記第1半円筒凹面と前記第2半円筒凹面とを最接近させた状態に保持する前記カム部材と、
最接近した前記第1半円筒凹面と前記第2半円筒凹面とで画定される円筒孔に挿入可能に設けられる第1パンチと、
前記円筒孔に前記第1パンチと反対側から挿入可能に設けられる第2パンチと、を備える、バーリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバーリング装置であって、
前記カム部材は、前記カム部材の移動方向に沿う側面と、前記カム部材の下向きの移動で先行する端面と、前記側面及び前記端面に連続し、前記移動方向に対して傾斜する斜面とを含み、
前記第1ダイは、前記カム部材の下向きの移動に伴って前記カム部材の前記斜面と接触して摺動する角部と、前記カム部材の下向きのさらなる移動に伴って前記カム部材の前記側面と接触して摺動し、前記カム部材が前記終端に到達したときに前記カム部材の前記側面と接触を維持する側面とを含み、
前記第2ダイの前記レバー部は、前記カム部材の下向きの移動に伴って前記カム部材の前記端面と接触して摺動する角部と、前記カム部材が前記終端に到達したときに前記カム部材の前記端面と接触する平面とを含む、バーリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のバーリング装置であって、さらに、
前記第1パンチと同軸状に配置され、前記第1パンチに対し前記第1ダイ及び前記第2ダイに向けて付勢された第1板押さえと、
前記第2パンチと同軸状に配置され、前記第2パンチに対し前記第1ダイ及び前記第2ダイに向けて付勢された第2板押さえと、を備える、バーリング装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のバーリング装置を用い、第1縦板部と、前記第1縦板部に対向する第2縦板部と、を含むワークピースに対して、前記第1縦板部に前記第2縦板部に向かって突出する第1円筒フランジを成形するとともに、前記第2縦板部に前記第1円筒フランジに対向する第2円筒フランジを成形するバーリング方法であって、
第1下孔を有する前記第1縦板部と、前記第1下孔に対向する第2下孔を有する前記第2縦板部と、を含む前記ワークピースを準備する工程(a)と、
前記第1ダイの前記第1半円筒凹面、及び前記第2ダイの前記第2半円筒凹面が、前記第1縦板部と前記第2縦板部との間に位置するように、前記バーリング装置に対して前記ワークピースを配置する工程(b)と、
前記カム部材を下向きに移動させて、前記第1半円筒凹面と前記第2半円筒凹面とを前記第1下孔及び前記第2下孔に対応する位置で最接近させた状態に保持する工程(c)と、
前記第1パンチを前記第1下孔に向かって移動させるとともに、前記第2パンチを前記第2下孔に向かって移動させ、前記第1円筒フランジ及び前記第2円筒フランジを成形する工程(d)と、を備える、バーリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーリング装置及びバーリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に使用されるシャシー部品は、他の部品と接続される。その接続部の構成として、シャシー部品にカラーが溶接される、又はシャシー部品に形成されたバーリング部にブッシュが圧入される。ここで、シャシー部品には、コストの低減、疲労特性の向上、及び防錆性能の確保などが要求される。これらの要求に基づいてカラーの溶接とブッシュの圧入との優劣を考えれば、ブッシュの圧入の方が好ましい。ブッシュの圧入の場合と比べてカラーの溶接の場合、シャシー部品の全体が重くなり、溶接コストが高く、溶接部が錆びやすいからである。そのため、シャシー部品において、なるべくカラーの溶接ではなくてブッシュの圧入を採用することが望まれている。
【0003】
例えばアッパーアームやロアアームのようなシャシー部品において、他の部品との接続部は、円筒状のブッシュをバーリング部に圧入することで溶接を施すことなく構成されることがある。シャシー部品において、ブッシュの圧入部(バーリング部)は、対向する2つの円筒フランジによって成り立たせることができる。対向する円筒フランジは、平板状の部材にバーリングを施して2つのバーリング部を形成した後、それぞれのバーリング部の軸心が一致するように曲げ加工を施す方法によって形成することができる。対向する円筒フランジは、平板状の部材を曲げた後にバーリングを施す方法、つまり、曲げ加工で対向させた2つの板部にバーリングを施して、それぞれの板部から内向きに円筒フランジを突出させる方法によっても形成することができる。前者の方法では、曲げ加工によってバーリング部の軸心を一致させる必要があるため、高度な曲げ加工が要求される。そのため、後者の方法が好ましい。
【0004】
特開平11-207412号公報(特許文献1)には、対向する2つのバーリング穴(円筒フランジ)を成形するバーリング装置が記載されている。このバーリング装置は、ウェブと、ウェブの両側に連続して設けられた対向する2つのフランジ部(板部)とを含む直線状のワークピースに対して、フランジ部のそれぞれにバーリング穴を成形する。特許文献1のバーリング装置は、バーリング穴を成形するために、ワークピースの長手方向に二分割された一対のスライドダイと、2つのバーリングパンチとを備える。各スライドダイの分割面には、例えば、バーリングパンチが挿入されるダイ穴の半割り形状に相当する凹部が形成されている。
【0005】
特許文献1のバーリング加工では、各フランジ部にバーリング穴用の下穴が形成されたワークピースが、バーリング装置に配置される。このとき、互いに離間したスライドダイがワークピースのフランジ部間に配置され、スライドダイの分割面同士の間に、下穴の軸心が配置される。この状態からスライドダイが互いに接近するようにスライドし、スライドダイの分割面同士が接触する。これにより、一対のスライドダイの凹部によってダイ穴が画定される。ダイ穴は、ワークピースの下穴に対応する位置に配置され、このダイ穴に2つのバーリングパンチが挿入される。一方のバーリングパンチは、ダイ穴の一方端側から挿入され、他方のバーリングパンチは、ダイ穴の他方端側から挿入される。これにより、ワークピースのフランジ部間に、対向するバーリング穴(円筒フランジ)が成形される。バーリング穴の成形後、2つのバーリングパンチがダイ穴から引き抜かれ、スライドダイがスライドして互いに離間する。これにより、バーリングパンチ及びスライドダイがバーリング穴から離れ、バーリング穴を有する成形品をバーリング装置から取り出すことができる。
【0006】
特開平6-312227号公報(特許文献2)には、所定間隔を存して互いに対向する一対の壁部(板部)にバーリングを施して、各壁部に突出部(円筒フランジ)を形成するブッシュ取付部の加工方法が記載されている。この加工方法では、壁部間にカラーを嵌合させ、バーリングによって形成される突出部をカラーの内周面に当接させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-207412号公報
【特許文献2】特開平6-312227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のバーリング装置では、対向する2つの円筒フランジを成形するためのダイ穴が、一対のダイの凹部によって画定される。これら一対のダイは、ワークピースの長手方向にスライド可能に構成される。この場合、ダイのスライドを許容する広いスペースが必要となる。このため、バーリング装置が大型化する。また、円筒状の部分が端部に設けられる単純な形状のシャシー部品であれば、特許文献1のバーリング装置でも対応可能である。しかしながら、例えばフロントロアアームのように、円筒状の部分が端部から離れた位置に突設される複雑な形状のシャシー部品の場合、ダイのスライドを許容するスペースが実質的になく、円筒フランジを成形することが困難となる。
【0009】
特許文献2の加工方法では、カラーはブッシュの圧入部に残ったままとなる。すなわち、カラーは、加工後のワークピースと一体になっている。この場合、シャシー部品の重量が少なくともカラーの重量分増加してしまう。さらに、カラーとワークピースとの間の隙間が錆びの発生要因となるおそれがある。
【0010】
本開示の目的は、ダイの可動を許容するスペースを抑えつつ、対向する2つの円筒フランジを成形することができ、しかも重量の増加を抑え、且つ発錆の抑制されたシャシー部品を製造することができるバーリング装置、及びバーリング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係るバーリング装置は、第1縦板部と、第1縦板部に対向する第2縦板部と、を含むワークピースに対して、第1縦板部に第2縦板部に向かって突出する第1円筒フランジを成形するとともに、第2縦板部に第1円筒フランジに対向する第2円筒フランジを成形する。当該バーリング装置は、第1ダイと、第2ダイと、第1支軸と、第2支軸と、第1弾性部材と、第2弾性部材と、カム部材と、第1パンチと、第2パンチとを備える。第1ダイは、第1半円筒凹面を含む。第1半円筒凹面は、第1円筒フランジ及び第2円筒フランジの外周面のうち縦割りの半周に対応する。第2ダイは、第1ダイに隣接して配置され、第2半円筒凹面と、レバー部とを含む。第2半円筒凹面は、第1円筒フランジ及び第2円筒フランジの外周面のうち他の半周に対応する。レバー部は、第2半円筒凹面の下方に位置づけられ、第1ダイを越えて側方に突出する。第1支軸は、第1半円筒凹面の下方に配置される。第1支軸は、第1半円筒凹面が第2半円筒凹面に対して接近又は離間するように第1ダイを回動可能に支持する。第2支軸は、第2半円筒凹面の下方に配置される。第2支軸は、第2半円筒凹面が第1半円筒凹面に対して接近又は離間するように第2ダイを回動可能に支持する。第1弾性部材は、第1ダイを第1半円筒凹面が第2半円筒凹面から離間する方向に付勢する。第2弾性部材は、第2ダイを第2半円筒凹面が第1半円筒凹面から離間する方向に付勢する。カム部材は、上下方向に移動可能である。カム部材は、下向きの移動に伴って、第1ダイ及びレバー部に接触し、第1ダイと摺動しながら第1ダイを第1支軸まわりに回転させるとともに、レバー部と摺動しながら第2ダイを第2支軸まわりに回転させ、下向きの移動の終端において第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とを最接近させた状態に保持する。第1パンチは、最接近した第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とで画定される円筒孔に挿入可能に設けられる。第2パンチは、円筒孔に第1パンチと反対側から挿入可能に設けられる。
【0012】
本開示に係るバーリング方法は、上述した本開示に係るバーリング装置を用い、上記ワークピースに対して、上記第1円筒フランジ及び上記第2円筒フランジを成形する。当該バーリング方法は、工程(a)と、工程(b)と、工程(c)と、工程(d)とを備える。工程(a)は、第1下孔を有する第1縦板部と、第1下孔に対向する第2下孔を有する第2縦板部と、を含むワークピースを準備する。工程(b)は、第1ダイの第1半円筒凹面、及び第2ダイの第2半円筒凹面が、第1縦板部と第2縦板部との間に位置するように、バーリング装置に対してワークピースを配置する。工程(c)は、カム部材を下向きに移動させて、第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とを第1下孔及び第2下孔に対応する位置で最接近させた状態に保持する。工程(d)は、第1パンチを第1下孔に向かって移動させるとともに、第2パンチを第2下孔に向かって移動させ、第1円筒フランジ及び第2円筒フランジを成形する。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係るバーリング装置、及びバーリング方法によれば、ダイの可動を許容するスペースを抑えつつ、対向する2つの円筒フランジを成形することができ、しかも重量の増加を抑え、且つ発錆の抑制されたシャシー部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の実施形態に係るバーリング装置を用いて得られるシャシー部品を示す模式図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係るバーリング装置の成形対象であるワークピースを示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係るバーリング装置の正面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るバーリング装置の側面図である。
図5図5は、第1実施形態に係るバーリング装置において、第1パンチ及び第2パンチが移動の終端に達した状態を示す模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係るバーリング装置において、第1ダイが回転した状態を示す模式図である。
図7図7は、第1実施形態に係るバーリング装置において、カム部材が移動の終端に達した状態を示す模式図である。
図8図8は、第1実施形態に係るバーリング装置の変形例の正面図である。
図9図9は、第2実施形態に係るバーリング装置の正面図である。
図10図10は、第2実施形態に係るバーリング装置において、第1パンチ及び第2パンチが移動の終端に達した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本開示はそれらの例示に限定されない。
【0016】
本実施形態に係るバーリング装置は、第1縦板部と、第1縦板部に対向する第2縦板部と、を含むワークピースに対して、第1縦板部に第2縦板部に向かって突出する第1円筒フランジを成形するとともに、第2縦板部に第1円筒フランジに対向する第2円筒フランジを成形する。当該バーリング装置は、第1ダイと、第2ダイと、第1支軸と、第2支軸と、第1弾性部材と、第2弾性部材と、カム部材と、第1パンチと、第2パンチとを備える。第1ダイは、第1半円筒凹面を含む。第1半円筒凹面は、第1円筒フランジ及び第2円筒フランジの外周面のうち縦割りの半周に対応する。第2ダイは、第1ダイに隣接して配置され、第2半円筒凹面と、レバー部とを含む。第2半円筒凹面は、第1円筒フランジ及び第2円筒フランジの外周面のうち他の半周に対応する。レバー部は、第2半円筒凹面の下方に位置づけられ、第1ダイを越えて側方に突出する。第1支軸は、第1半円筒凹面の下方に配置される。第1支軸は、第1半円筒凹面が第2半円筒凹面に対して接近又は離間するように第1ダイを回動可能に支持する。第2支軸は、第2半円筒凹面の下方に配置される。第2支軸は、第2半円筒凹面が第1半円筒凹面に対して接近又は離間するように第2ダイを回動可能に支持する。第1弾性部材は、第1ダイを第1半円筒凹面が第2半円筒凹面から離間する方向に付勢する。第2弾性部材は、第2ダイを第2半円筒凹面が第1半円筒凹面から離間する方向に付勢する。カム部材は、上下方向に移動可能である。カム部材は、下向きの移動に伴って、第1ダイ及びレバー部に接触し、第1ダイと摺動しながら第1ダイを第1支軸まわりに回転させるとともに、レバー部と摺動しながら第2ダイを第2支軸まわりに回転させ、下向きの移動の終端において第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とを最接近させた状態に保持する。第1パンチは、最接近した第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とで画定される円筒孔に挿入可能に設けられる。第2パンチは、円筒孔に第1パンチと反対側から挿入可能に設けられる(第1の構成)。
【0017】
第1の構成では、第1ダイが第1半円筒凹面を含み、第2ダイが第2半円筒凹面を含んでいる。対向する第1円筒フランジ及び第2円筒フランジを成形するためのダイ穴は、最接近した第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とによって画定される円筒孔であり、これらの第1ダイ及び第2ダイは、隣接して配置される。第1ダイは、第1弾性部材によって付勢されつつ、第1支軸まわりに回動可能に構成される。第2ダイは、第2弾性部材によって付勢されつつ、第2支軸まわりに回動可能に構成される。1つのカム部材が下向きに移動することにより、カム部材が第1ダイ及び第2ダイのレバー部に対して接触及び摺動し、第1ダイ及び第2ダイは、各々に対応する支軸まわりに回転する。さらに、移動の終端に位置したカム部材によって、第1ダイ及び第2ダイは、第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とを最接近した状態に保持される。そして、第1パンチ及び第2パンチが、第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とで画定されたダイ穴に挿入されることによって、第1円筒フランジ及び第2円筒フランジが成形される。第1ダイ及び第2ダイの回動を許容するスペースは、例えばスライドダイの可動を許容するスペースと比較して小さい。したがって、第1の構成に係るバーリング装置によれば、ダイ(第1ダイ及び第2ダイ)の可動(回動)を許容するスペースを抑えることができる。このため、ダイの可動を許容するスペースが制限される複雑な形状のシャシー部品であっても、対向する2つの円筒フランジ(第1円筒フランジ及び第2円筒フランジ)を成形することができる。また、円筒フランジの成形にカラーは不要であり、製造されたシャシー部品にカラーは存在しない。カラーが存在しないため、シャシー部品の重量増加を抑えることができ、発錆を抑制することもできる。
【0018】
第1の構成に係るバーリング装置において、カム部材は、カム部材の移動方向に沿う側面と、カム部材の下向きの移動で先行する端面と、側面及び端面に連続し、移動方向に対して傾斜する斜面とを含むことが好ましい。この場合、第1ダイは、カム部材の下向きの移動に伴ってカム部材の斜面と接触して摺動する角部と、カム部材の下向きのさらなる移動に伴ってカム部材の側面と接触して摺動し、カム部材が終端に到達したときにカム部材の側面と接触を維持する側面とを含んでいてもよい。第2ダイのレバー部は、カム部材の下向きの移動に伴ってカム部材の端面と接触して摺動する角部と、カム部材が終端に到達したときにカム部材の端面と接触する平面とを含んでいてもよい(第2の構成)。
【0019】
第1の構成又は第2の構成のバーリング装置は、さらに、第1板押さえと、第2板押さえと、を備えていてもよい。第1板押さえは、第1パンチと同軸状に配置され、第1パンチに対し第1ダイ及び第2ダイに向けて付勢される。第2板押さえは、第2パンチと同軸状に配置され、第2パンチに対し第1ダイ及び第2ダイに向けて付勢される(第3の構成)。この場合、第1パンチによる第1円筒フランジの成形の期間、第1縦板部が第1板押さえと第1ダイ(第2ダイ)とに挟まれて拘束され、さらに第2パンチによる第2円筒フランジの成形の期間、第2縦板部が第2板押さえと第1ダイ(第2ダイ)とに挟まれて拘束される。したがって、成形される第1円筒フランジ及び第2円筒フランジの寸法精度が向上する。
【0020】
本実施形態に係るバーリング方法は、第1の構成から第3の構成のいずれか1つの構成に係るバーリング装置を用い、上記ワークピースに対して、上記第1円筒フランジ及び上記第2円筒フランジを成形する。当該バーリング方法は、工程(a)と、工程(b)と、工程(c)と、工程(d)とを備える。工程(a)は、第1下孔を有する第1縦板部と、第1下孔に対向する第2下孔を有する第2縦板部と、を含むワークピースを準備する。工程(b)は、第1ダイの第1半円筒凹面、及び第2ダイの第2半円筒凹面が、第1縦板部と第2縦板部との間に位置するように、バーリング装置に対してワークピースを配置する。工程(c)は、カム部材を下向きに移動させて、第1半円筒凹面と第2半円筒凹面とを第1下孔及び第2下孔に対応する位置で最接近させた状態に保持する。工程(d)は、第1パンチを第1下孔に向かって移動させるとともに、第2パンチを第2下孔に向かって移動させ、第1円筒フランジ及び第2円筒フランジを成形する(第4の構成)。この場合、バーリング方法は、第1の構成に係るバーリング装置を用いているため、ダイ(第1ダイ及び第2ダイ)の可動(回動)を許容するスペースを抑えつつ、対向する2つの円筒フランジ(第1円筒フランジ及び第2円筒フランジ)を成形することができる。また、円筒フランジの成形にカラーは不要であり、製造されたシャシー部品にカラーは存在しないため、シャシー部品の重量増加を抑えることができ、発錆を抑制することもできる。
【0021】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0022】
<シャシー部品>
まず、図1を参照して、本開示の実施形態に係るバーリング装置を用いて得られるシャシー部品200について説明する。図1は、シャシー部品200の一例を示す模式図である。図1には、シャシー部品200の斜視図が示される。図1に示すシャシー部品200は、単一の鋼板部材で構成される。すなわち、シャシー部品200は、例えば鋼板から切り出されたブランクを素材とし、プレス成形、トリミング、穴明け、及びバーリング加工などによって形成される。言い換えれば、シャシー部品200は、複数の部材を溶接して構成されたものではない。
【0023】
図1に示すシャシー部品200は、フロントロアアームである。自動車において、このシャシー部品200は、車体(具体的にはサスペンション)と車輪とをつなぐ。シャシー部品200は、本体201と、車輪取付部202と、第1の車体取付部203と、第2の車体取付部204とを含む。本体201は、平面視において弓形又はL字形に湾曲しながら延びる形状を有する。車輪取付部202は、本体201の延在方向の一方端部に設けられる。第1の車体取付部203は、本体201の延在方向の他方端部に設けられる。第2の車体取付部204は、車輪取付部202と第1の車体取付部203との間に設けられる。第2の車体取付部204は、本体201から湾曲の外側に突出する。
【0024】
第2の車体取付部204は、車体との接続に用いられるブッシュを受け入れるため、円筒状の部分を有する。シャシー部品200を車体と接続する際、その円筒状の部分に円筒状のブッシュが圧入される。第2の車体取付部204は、第1縦板部241及び第2縦板部242を含む。両縦板部241,242は、本体201から湾曲の外側に突出する。第1縦板部241と第2縦板部242は、湾曲した本体201の延在方向に間隔をあけて配置される。第2縦板部242は、第1縦板部241と平行に配置され、第1縦板部241に対向する。第1縦板部241は、第1円筒フランジ251を有し、第2縦板部242は、第2円筒フランジ252を有する。第1円筒フランジ251は、第1縦板部241から第2縦板部242に向かって突出する。第2円筒フランジ252は、第2縦板部242から第1縦板部241に向かって突出し、第1円筒フランジ251と対向する。第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252は、対応する第1縦板部241及び第2縦板部242から内向きに突出し、中心軸を共有する。両円筒フランジ251,252の内径及び外径は同じである。第2の車体取付部204において、対向する第1円筒フランジ251と第2円筒フランジ252とによって、円筒状の部分が形成される。
【0025】
第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252は、本開示の実施形態に係るバーリング装置によって成形される。言い換えれば、第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252は、バーリング部である。図2に、バーリング装置の成形対象であるワークピース210の一例を示す。図2には、図1に示すシャシー部品200に対応するワークピース210の斜視図が示される。図2に示す例において、ワークピース210は、単一の鋼板部材で構成される。この場合は、ワークピース210は、例えば鋼板から切り出されたブランクを素材とし、プレス成形、トリミング、及び穴明けなどによって形成される。ただし、ワークピース210は、複数の部材から構成されていてもよい。要するに、ワークピース210は、相互に対向する第1縦板部241と第2縦板部242とを有していればよい。
【0026】
図2に示すように、ワークピース210の第2の車体取付部204において、第1縦板部241は、第1下孔261を有し、第2縦板部242は、第2下孔262を有する。第1下孔261は、第1縦板部241のうち第1円筒フランジ251(図1)に対応する部分に設けられている。第2下孔262は、第2縦板部242のうち第2円筒フランジ252(図1)に対応する部分に設けられている。両下孔261,262は、円形を有し、その直径は、シャシー部品200の第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の内径よりも小さい。第1円筒フランジ251の外径と第1下孔261の直径との差の半分が、実質的に第1円筒フランジ251の高さとなる。同様に、第2円筒フランジ252の外径と第2下孔262の直径との差の半分が、実質的に第2円筒フランジ252の高さとなる。
【0027】
[第1実施形態]
<バーリング装置>
図3図7を参照して、第1実施形態に係るバーリング装置100について説明する。図3及び図4は、第1実施形態に係るバーリング装置100の模式図である。図3は、バーリング装置100の正面図である。図4は、バーリング装置100の側面図であり、図3に示すバーリング装置100を紙面右側から見たときの図である。図3には、ワークピース210がバーリング装置100内に配置されたと想定した場合に、第2の車体取付部204を湾曲の外側から見たときの様子が示される。図4には、ワークピース210がバーリング装置100内に配置されたと想定した場合に、第2の車体取付部204を第1下孔261及び第2下孔262の中心軸に沿って見たときの様子が示される。ただし、図3及び図4のいずれにおいても、ワークピース210の図示を省略している。
【0028】
図3に示すように、バーリング装置100は、第1ダイ1と、第2ダイ2と、カム部材3と、第1支軸6と、第2支軸7と、第1パンチ4と、第2パンチ5とを備える。図4に示すように、バーリング装置100は、さらに、第1弾性部材8と、第2弾性部材9と、を備える。図3において、カム部材3は二点鎖線で示している。図3では、第1弾性部材8及び第2弾性部材9の図示を省略している。バーリング装置100として、プレス機を用いることができる。この場合、バーリング装置100は、いずれも図示しない、固定のベッドと、ベッドの上方でベッドに対して昇降可能なラムとを備える。
【0029】
図3を参照して、第1パンチ4及び第2パンチ5は、ベッドの上方に配置される。第2パンチ5は、第1パンチ4と対向するように配置される。第2パンチ5は、第1パンチ4に対し、少なくともワークピース210の第1縦板部241と第2縦板部242との間隔以上の距離をあけて配置される。両パンチ4,5は、円柱状を有する。両パンチ4,5の直径は、実質的に、シャシー部品200の第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の内径と同じである。
【0030】
第1パンチ4は、第1ホルダ41に固定されている。第2パンチ5は、第2ホルダ51に固定されている。第1ホルダ41は、第2ホルダ51に向かってスライド可能にプレス機のベッド上に取り付けられている。これにより、第1パンチ4は、第2パンチ5に向かってスライド可能に構成される。第2ホルダ51は、第1ホルダ41に向かってスライド可能にプレス機のベッド上に取り付けられている。これにより、第2パンチ5は、第1パンチ4に向かってスライド可能に構成される。
【0031】
第1パンチ4が固定された第1ホルダ41の上方には、第1パンチカム部材42が配置されている。第1パンチカム部材42は、プレス機のラムに取り付けられている。第2パンチ5が固定された第2ホルダ51の上方には、第2パンチカム部材52が配置されている。第2パンチカム部材52は、プレス機のラムに取り付けられている。
【0032】
第1パンチカム部材42は、下側にいくにつれて第2パンチカム部材52との間隔が広がる斜面42aを有する。第1ホルダ41は、第1パンチカム部材42の斜面42aに対応する斜面41aを有する。第2パンチカム部材52は、下側にいくにつれて第1パンチカム部材42との間隔が広がる斜面52aを有する。第2ホルダ51は、第2パンチカム部材52の斜面52aに対応する斜面51aを有する。
【0033】
プレス機のラムが下降すれば、第1パンチカム部材42が下向きに移動する。第1パンチカム部材42の下向きの移動により、第1パンチカム部材42の斜面42aが第1ホルダ41の斜面41aと接触する。第1パンチカム部材42のさらなる移動により、第1ホルダ41の斜面41aが第1パンチカム部材42の斜面42aと摺動し、第1ホルダ41が第1パンチ4とともに、第2ホルダ51に向かってスライドする。これにより、第1パンチ4が第2パンチ5に向かって移動する。
【0034】
プレス機のラムが下降すれば、第2パンチカム部材52が下向きに移動する。第2パンチカム部材52の下向きの移動により、第2パンチカム部材52の斜面52aが第2ホルダ51の斜面51aと接触する。第2パンチカム部材52のさらなる移動により、第2ホルダ51の斜面51aが第2パンチカム部材52の斜面52aと摺動し、第2ホルダ51が第2パンチ5とともに、第1ホルダ41に向かってスライドする。これにより、第2パンチ5が第1パンチ4に向かって移動する。
【0035】
図5は、第1実施形態に係るバーリング装置100において、第1パンチ4及び第2パンチ5が移動の終端に達した状態を示す模式図である。言い換えれば、図5は、第1パンチカム部材42及び第2パンチカム部材52が下向きの移動の終端(下死点)に達した状態のときの正面図である。図5に示すように、第1パンチカム部材42及び第2パンチカム部材52が下死点に達して、第1ホルダ41及び第2ホルダ51がスライドの移動端に達した状態では、第1パンチ4は第2パンチ5と対向しつつ近接した状態になる。
【0036】
図3に戻り、第1ダイ1、第2ダイ2、カム部材3、第1支軸6、及び第2支軸7は、第1パンチ4と第2パンチ5との間に配置される。
【0037】
図4を参照して、第1ダイ1は、第1支軸6によって回動可能に支持されている。第2ダイ2は、第1ダイ1に隣接して配置され、第2支軸7によって回動可能に支持されている。第1支軸6及び第2支軸7は、第1パンチ4と第2パンチ5の移動方向と平行に延びている(図3)。本実施形態の例において、第1支軸6は、第2支軸7と共用されている。すなわち、第1支軸6と第2支軸7は単一の部材である。第1支軸6及び第2支軸7は、プレス機のベッドに対し、支持部材61,61を介して固定されている(図3)。ただし、第1支軸6は、第2支軸7と別に設けられていてもよい。
【0038】
第1ダイ1は、第1半円筒凹面11を含む。第1半円筒凹面11は、第2ダイ2側の面に形成されている。第1半円筒凹面11は、図1に示すシャシー部品200の第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の外周面のうち縦割りの半周に対応する。
【0039】
第2ダイ2は、第2半円筒凹面21を含む。第2半円筒凹面21は、第1ダイ1側の面に形成されている。第2半円筒凹面21は、図1に示すシャシー部品200の第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の外周面のうち他の半周に対応する。すなわち、第2半円筒凹面21は、第1半円筒凹面11と組み合わせることにより、第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の外周面の一周に対応する。
【0040】
第2ダイ2は、さらに、レバー部22を含む。レバー部22は、第2半円筒凹面21の下方に位置づけられる。レバー部22は、第1ダイ1を越えて側方に突出する。具体的には、レバー部22は、第2ダイ2の下部から斜め上方に向かって突出している。このため、第1ダイ1には、レバー部22を通過させるように凹部12が設けられている。
【0041】
上述したように、第1ダイ1は、第1支軸6によって回動可能に支持され、第2ダイ2は、第2支軸7によって回動可能に支持されている。具体的には、第1支軸6は、第1半円筒凹面11の下方に配置されている。第1ダイ1は、第1半円筒凹面11が第2半円筒凹面21に対して接近又は離間するように、第1支軸6まわりに回動可能に支持されている。第2支軸7は、第2半円筒凹面21の下方に配置されている。第2ダイ2は、第2半円筒凹面21が第1半円筒凹面11に対して接近又は離間するように、第2支軸7まわりに回動可能に支持されている。
【0042】
第1弾性部材8は、第1ダイ1を第1半円筒凹面11が第2半円筒凹面21から離間する方向に付勢している。言い換えれば、第1弾性部材8は、第1支軸6まわりに回動可能な第1ダイ1を第2ダイ2から離間する方向に付勢している。第1弾性部材8は、プレス機のベッドに固定されている。第1弾性部材8は、第1支軸6(第2支軸7)に対して、第2ダイ2側に設けられている。第1弾性部材8として、例えばコイルばねを用いることができる。第1弾性部材8として、流体圧シリンダを用いてもよいし、ウレタン等の樹脂を用いてもよい。
【0043】
第2弾性部材9は、第2ダイ2を第2半円筒凹面21が第1半円筒凹面11から離間する方向に付勢している。言い換えれば、第2弾性部材9は、第2支軸7まわりに回動可能な第2ダイ2を第1ダイ1から離間する方向に付勢している。第2弾性部材9は、プレス機のベッドに固定されている。第2弾性部材9は、第2支軸7(第1支軸6)に対して、第1ダイ1側に設けられている。本実施形態では、第2弾性部材9は、第2ダイ2のうちレバー部22に取り付けられている。第2弾性部材9として、例えばコイルばねを用いることができる。第2弾性部材9として、流体圧シリンダを用いてもよいし、ウレタン等の樹脂を用いてもよい。
【0044】
カム部材3は、弾性部材(図示略)を介してプレス機のラムに取り付けられている。この弾性部材は、例えばコイルばねや流体圧シリンダである。カム部材3は、上下方向に沿って見て、一部が第1ダイ1及び第2ダイ2のレバー部22と重複するように配置されている。カム部材3は、プレス機のラムの移動に伴って、上下方向に移動可能である。
【0045】
プレス機のラムが下降すれば、カム部材3が下向きに移動する。カム部材3の下向きの移動により、カム部材3は、第1ダイ1及びレバー部22に接触し、第1ダイ1と摺動しながら第1ダイ1を第1支軸6まわりに回転させるとともに、レバー部22と摺動しながら第2ダイ2を第2支軸7まわりに回転させる。そして、カム部材3は、下向きの移動の終端(カム部材3の下死点)において第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とを最接近させた状態に保持する。以下、このような動作を生じさせる具体的な構成の一例を説明する。
【0046】
カム部材3は、側面3aと、端面3bと、斜面3cとを有する。カム部材3において、側面3aは、第2ダイ2側に位置している。側面3aは、カム部材3の移動方向に沿う面である。すなわち、側面3aは、鉛直方向に沿う面である。カム部材3において、端面3bは、カム部材3の下向きの移動で先行する面である。すなわち、端面3bは、カム部材3の下面である。本実施形態の例では、端面3bは、側面3aに対して垂直な面である。カム部材3において、斜面3cは、側面3a及び端面3bに連続し、カム部材3の移動方向に対して傾斜している。すなわち、斜面3cは、側面3a及び端面3bに対して傾斜している。
【0047】
第1ダイ1は、角部1aと、側面1bとを有する。第1ダイ1において、角部1aは、カム部材3に近い位置にある上部の角部である。角部1aは、カム部材3の下向きの移動に伴ってカム部材3の斜面3cと接触し、カム部材3のさらなる移動に伴ってカム部材3の斜面3cと摺動する。この摺動につれて、第1ダイ1は、第1支軸6まわりに回転する。第1ダイ1の角部1aは、カム部材3の斜面3cに対するかじりを抑制するため、丸みを帯びていることが好ましい。ただし、角部1aは、角張っていてもよい。
【0048】
第1ダイ1において、側面1bは、カム部材3に近い位置にある側面である。すなわち、側面1bは、第1半円筒凹面11が形成された面と反対側に位置する側面である。側面1bは、角部1aと摺動するカム部材3の下向きの移動に伴って、カム部材3の側面3aと接触し、カム部材3のさらなる移動に伴ってカム部材3の側面3aと摺動する。
【0049】
図6は、第1実施形態に係るバーリング装置100において、第1ダイが回転した状態を示す模式図である。言い換えれば、図6は、第1ダイ1の側面1bがカム部材3の側面3aと摺動する状態のときの側面図である。図6に示すように、第1ダイ1の側面1bがカム部材3の側面3aと摺動する状態では、第1ダイ1の第1支軸6まわりの回転が終了した状態になる。図6に示す例では、第2ダイ2は初期状態のままである。
【0050】
図4及び図6を参照して、第2ダイ2のレバー部22は、角部22aと、平面22bとを有する。レバー部22において、角部22aは、カム部材3に近い位置にある上部の角部である。角部22aは、第1ダイ1の側面1bと摺動するカム部材3の下向きの移動に伴って、カム部材3の端面3bと接触し、カム部材3のさらなる移動に伴ってカム部材3の端面3bと摺動する。この摺動につれて、第2ダイ2はレバー部22とともに、第2支軸7まわりに回転する。レバー部22の角部22aは、カム部材3の端面3bに対するかじりを抑制するため、丸みを帯びていることが好ましい。ただし、角部22aは、角張っていてもよい。
【0051】
レバー部22において、平面22bは、カム部材3に近い位置にある上面である。平面22bは、角部22aに連続している。図7は、第1実施形態に係るバーリング装置100において、カム部材3が移動の終端に達した状態を示す模式図である。言い換えれば、図7は、カム部材3が下向きの移動の終端(下死点)に達した状態のときの側面図である。図7に示すように、カム部材3が下死点に達した状態では、レバー部22の平面22bは、カム部材3の端面3bと接触した状態になる。この状態のとき、第1ダイ1の側面1bは、カム部材3の側面3aとの接触が維持されている。
【0052】
この場合、カム部材3が第1ダイ1の側面1bとレバー部22の平面22bとの両者に接触しているため、カム部材3の下向きの移動が拘束される。これにより、第2ダイ2の第2支軸7まわりの回転も終了した状態になる。その結果、第1ダイ1の第1半円筒凹面11と第2ダイ2の第2半円筒凹面21とが最接近した状態に保持される。最接近した第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とによって円筒孔が画定され、この円筒孔が、対向する第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252を成形するためのダイ穴となる。
【0053】
カム部材3のうち第1ダイ1及び第2ダイ2と摺動する部分、つまり側面3a、端面3b及び斜面3cには、かじり抑制のための処置が施されていることが好ましい。この処理は、例えば、砲金を用いた表面処理である。これと同様に、かじり抑制のための処理は、第1ダイ1のうちカム部材3と摺動する部分、すなわち角部1a及び側面1bにも施されていることが好ましい。かじり抑制のための処理は、第2ダイ2のレバー部22のうちカム部材3と摺動する部分、すなわち角部22aにも施されていることが好ましい。
【0054】
ダイ穴は、欠けることの無い円筒孔となる必要がある。ダイ穴が、例えばアルファベットのCのように円に対して一部が欠けた状態であると、バーリングによって形成されたバーリング部(円筒フランジ)の内径精度が低下することになる。バーリング部の内径精度が低下すると、バーリング部にブッシュを圧入することができなくなる。また、バーリング部にブッシュを圧入できたとしても、ブッシュの抜け荷重が低下してしまう。
【0055】
上述したように、本実施形態の例では、カム部材3との接触及び摺動による第1ダイ1の作動が終了した後に、カム部材3が第2ダイ2のレバー部22に接触して第2ダイ2を作動させる。しかしながら、第1ダイ1の作動中に第2ダイ2が作動してもよい。また、第2ダイ2が第1ダイ1と同時に作動してもよい。また、第2ダイ2から作動を開始してもよい。
【0056】
本実施形態では、レバー部22の下にストッパ10が設けられている。このストッパ10によっても、カム部材3の下向きの移動が安定して制限される。
【0057】
カム部材3が下死点に到達した後、上述した第1パンチ4及び第2パンチ5をスライドさせるため、プレス機のラムは下降し続ける。ラムの下降の継続に伴い、カム部材3を支持する弾性部材が縮む。これにより、第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とを最接近した状態に保持し続けることが可能になる。
【0058】
上述した通り、第1パンチ4は第2パンチ5に向かって移動し、第2パンチ5は第1パンチ4に向かって移動する。この移動にあたり、第1パンチ4と第2パンチ5との間に、第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とで画定された円筒孔、つまりダイ穴が配置されている。このため、第1パンチ4は、円筒孔(ダイ穴)に挿入可能である。一方、第2パンチ5は、円筒孔に第1パンチ4と反対側から挿入可能である。
【0059】
<バーリング方法>
本実施形態に係るバーリング方法は、上記バーリング装置100を用いて実施される。バーリング方法は、上述したワークピース210に対して、第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252を成形する。これにより、シャシー部品200が得られる。具体的には、バーリング方法は、工程(a)と、工程(b)と、工程(c)と、工程(d)とをこの順に含んでいる。
【0060】
図2を参照して、工程(a)は、上述したように、第1下孔261を有する第1縦板部241と、第2下孔262を有する第2縦板部242と、を含むワークピース210を準備する。第2縦板部242は、第1縦板部241と対向している。第2下孔262は、第1下孔261と対向している。
【0061】
次に、工程(b)は、図4に示す状態のバーリング装置100内にワークピース210を配置する。このとき、第1ダイ1の第1半円筒凹面11、及び第2ダイ2の第2半円筒凹面21が、第1縦板部241と第2縦板部242との間に位置するように、バーリング装置100に対してワークピース210を配置する。
【0062】
続いて、工程(c)は、ラムを下降させて、カム部材3を下向きに移動させる。これにより、図6を参照して、上述したように、第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とを最接近させた状態に保持し、第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とによってダイ穴となる円筒孔を形成する。このとき、円筒孔を、第1下孔261及び第2下孔262に対応する位置に配置する。
【0063】
次に、工程(d)は、ラムをさらに下降させて、第1パンチカム部材42及び第2パンチカム部材52を下向きに移動させる。これにより、図5を参照して、上述したように、第1パンチ4を第1下孔261に向かって移動させるとともに、第2パンチ5を第2下孔262に向かって移動させる。第1パンチ4及び第2パンチ5の移動により、第1縦板部241及び第2縦板部242に対しバーリング加工を施す。このバーリング加工により、第1縦板部241に第2縦板部242に向かって突出する第1円筒フランジ251を成形し、第2縦板部242に第1縦板部241に向かって突出する第2円筒フランジ252を成形する。これにより、対向する第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252が成形される。
【0064】
第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の成形後、ラムを上昇させる。ラムの上昇により、まず、第1パンチカム部材42及び第2パンチカム部材52が上向きに移動する。第1パンチカム部材42及び第2パンチカム部材52の上向きの移動に伴い、第1パンチ4及び第2パンチ5は、第1パンチカム部材42及び第2パンチカム部材52による拘束から解放され、互いに離間するように移動する。このとき、第1パンチ4及び第2パンチ5は、例えば第1パンチ4が固定された第1ホルダ41と第2パンチ5が固定された第2ホルダ51との間に設けられた弾性部材(例:コイルばね)からの弾性力によって、互いに離間するように移動する。これにより、第1パンチ4及び第2パンチ5が第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252から離れる。
【0065】
ラムのさらなる上昇により、カム部材3が上向きに移動する。カム部材3の上向きの移動に伴い、第1ダイ1及び第2ダイ2は、カム部材3による拘束から解放される。すると、第2ダイ2は、第2弾性部材9からの弾性力により、第2半円筒凹面21が第1半円筒凹面11から離間するように第2支軸7まわりに回転し、第1ダイ1は、第1弾性部材8からの弾性力により、第1半円筒凹面11が第2半円筒凹面21から離間するように第1支軸6まわりに回転する。これにより、第1ダイ1及び第2ダイ2が第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252から離れる。そして、第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252を有する成形品(シャシー部品200)をバーリング装置100から取り出す。
【0066】
[効果]
本実施形態では、第1ダイ1が第1半円筒凹面11を含み、第2ダイ2が第2半円筒凹面21を含んでいる。対向する第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252を成形するためのダイ穴は、最接近した第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とによって画定される円筒孔である。これらの第1ダイ1及び第2ダイ2は、隣接して配置される。第1ダイ1は、第1弾性部材8によって付勢されつつ、第1支軸6まわりに回動可能に構成される。第2ダイ2は、第2弾性部材9によって付勢されつつ、第2支軸7まわりに回動可能に構成される。1つのカム部材3が下向きに移動することにより、カム部材3が第1ダイ1及び第2ダイ2のレバー部22に対して接触及び摺動し、第1ダイ1及び第2ダイ2は、各々に対応する支軸6,7まわりに回転する。さらに、移動の終端に位置したカム部材3によって、第1ダイ1及び第2ダイ2は、第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とを最接近した状態に保持される。そして、第1パンチ4及び第2パンチ5が、第1半円筒凹面11と第2半円筒凹面21とで画定された円筒孔(ダイ穴)に挿入されることによって、第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252が成形される。
【0067】
第1ダイ1及び第2ダイ2の回動を許容するスペースは、例えばスライドダイの可動を許容するスペースと比較して小さい。したがって、本実施形態に係るバーリング装置及びバーリング方法によれば、ダイ(第1ダイ1及び第2ダイ2)の可動(回動)を許容するスペースを抑えることができる。このため、ダイの可動を許容するスペースが制限される複雑な形状のシャシー部品200であっても、対向する2つの円筒フランジ(第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252)を成形することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るバーリング装置及びバーリング方法において、第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の成形にカラーは不要であり、製造されたシャシー部品200にカラーは存在しない。カラーが存在しないため、シャシー部品200の重量増加を抑えることができ、発錆を抑制することもできる。
【0069】
<変形例>
図8は、第1実施形態に係るバーリング装置100の変形例の正面図である。図8は、図3に相当する図である。図8に示すように、バーリング装置100Aにおいて、第2ダイ2のレバー部22が第1ダイ1の下部を貫通するように設けられていてもよい。この場合、凹部12Aは、第1ダイ1の下部を切り欠くように設けられる。
【0070】
[第2実施形態]
図9及び図10を参照して、第2実施形態に係るバーリング装置100Bについて説明する。図9は、第2実施形態に係るバーリング装置100Bの正面図である。図9には、ワークピース210がバーリング装置100B内に配置されたと想定した場合に、第2の車体取付部204を湾曲の外側から見たときの様子が示される。言い換えれば、図9は、図3に相当する図である。図10は、バーリング装置100Bにおいて、第1パンチ4及び第2パンチ5が移動の終端に達した状態を示す模式図である。言い換えれば、図10は、図5に相当する図である。バーリング装置100Bは、第1板押さえ43及び第2板押さえ53を備える構成において第1実施形態に係るバーリング装置100,100Aと異なる。
【0071】
図9に示すように、バーリング装置100Bにおいて、第1板押さえ43が第1パンチ4の近傍に設けられ、第2板押さえ53が第2パンチ5の近傍に設けられている。具体的には、第1板押さえ43は、例えば円環状を有する板材であり、第1パンチ4と同軸状に配置される。第1板押さえ43の内径は、第1パンチ4の直径よりも大きい。初期状態では、第1板押さえ43は、第1パンチ4と第1ダイ1(第2ダイ2)との間に配置される。第1板押さえ43は、第1板押さえ用弾性部材44を介して第1ホルダ41に支持されている。第1板押さえ用弾性部材44は、第1板押さえ43を第1ダイ1及び第2ダイ2に向けて付勢している。言い換えれば、第1板押さえ43は、第1パンチ4に対し第1ダイ1及び第2ダイ2に向けて付勢されている。第1板押さえ用弾性部材44として、例えばコイルばねを用いることができる。
【0072】
第2板押さえ53は、例えば円環状を有する板材であり、第2パンチ5と同軸状に配置される。第2板押さえ53の内径は、第2パンチ5の直径よりも大きい。初期状態では、第2板押さえ53は、第2パンチ5と第1ダイ1(第2ダイ2)との間に配置される。第2板押さえ53は、第1板押さえ43と対向する。第2板押さえ53は、第2板押さえ用弾性部材54を介して第2ホルダ51に支持されている。第2板押さえ用弾性部材54は、第2板押さえ53を第1ダイ1及び第2ダイ2に向けて付勢している。言い換えれば、第2板押さえ53は、第2パンチ5に対し第1ダイ1及び第2ダイ2に向けて付勢されている。第2板押さえ用弾性部材54として、例えばコイルばねを用いることができる。
【0073】
このような構成のバーリング装置100Bを用いたバーリング方法は、第1実施形態と同様に、工程(a)と、工程(b)と、工程(c)と、工程(d)とを含む。具体的には、工程(a)においてワークピース210を準備し、工程(b)においてバーリング装置100Bに対してワークピース210を配置する。次に、工程(c)において、カム部材3を下向きに移動させて、第1ダイ1及び第2ダイ2を回転させる。これにより、第1ダイ1の第1半円筒凹面11と第2ダイ2の第2半円筒凹面21とによってダイ穴となる円筒孔を形成する。そして、工程(d)において、第1パンチカム部材42及び第2パンチカム部材52を下向きに移動させて、第1パンチ4を第1縦板部241の第1下孔261に向かって移動させるとともに、第2パンチ5を第2縦板部242の第2下孔262に向かって移動させる。これにより、第1縦板部241及び第2縦板部242に対しバーリング加工が施され、その結果、対向する第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252が成形される。
【0074】
ここで、図10を参照して、工程(d)において、第1パンチ4の移動により、第1パンチ4よりも先に、第1板押さえ43が第1縦板部241のうち第1下孔261の周囲の部分に接触し、第1板押さえ43と第1ダイ1(第2ダイ2)が第1縦板部241を挟む。これと併せて、第2パンチ5の移動により、第2パンチ5よりも先に、第2板押さえ53が第2縦板部242のうち第2下孔262の周囲の部分に接触し、第2板押さえ53と第1ダイ1(第2ダイ2)が第2縦板部242を挟む。第1パンチ4のさらなる移動により、第1板押さえ43と第1ダイ1(第2ダイ2)が第1縦板部241を挟んだ状態で第1板押さえ用弾性部材44が縮み、第1円筒フランジ251を成形するバーリング加工が行われる。第2パンチ5のさらなる移動により、第2板押さえ53と第1ダイ1(第2ダイ2)が第2縦板部242を挟んだ状態で第2板押さえ用弾性部材54が縮み、第2円筒フランジ252を成形するバーリング加工が行われる。この場合、第1パンチ4によるバーリングの期間、第1縦板部241のうち第1下孔261の周囲の部分が第1板押さえ43と第1ダイ1(第2ダイ2)とに挟まれて拘束される。さらに、第2パンチ5によるバーリングの期間、第2縦板部242のうち第2下孔262の周囲の部分が第2板押さえ53と第1ダイ1(第2ダイ2)とに挟まれて拘束される。したがって、成形される第1円筒フランジ251及び第2円筒フランジ252の寸法精度が向上する。
【0075】
以上、本開示に係る実施形態を説明した。しかしながら、上述した実施形態は例示に過ぎない。したがって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変更して実施することができる。例えば、シャシー部品200は、フロントロアアームに限定されず、例えばリアロアアーム、フロントアッパーアーム、フロントロアアーム、フロントサブフレーム、リアサブフレーム、又はトレーリングアームなど他の部品であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
100,100A,100B:バーリング装置
1:第1ダイ
11:第1半円筒凹面
1a:角部
1b:側面
2:第2ダイ
21:第2半円筒凹面
22:レバー部
22a:角部
22b:平面
3:カム部材
3a:側面
3b:端面
3c:斜面
4:第1パンチ
43:第1板押さえ
5:第2パンチ
53:第2板押さえ
6:第1支軸
7:第2支軸
8:第1弾性部材
9:第2弾性部材
200:シャシー部品
210:ワークピース
241:第1縦板部
242:第2縦板部
251:第1円筒フランジ
252:第2円筒フランジ
261:第1下孔
262:第2下孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10