(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176697
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】遮熱部材、灯具及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/15 20150101AFI20241212BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241212BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241212BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20241212BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241212BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20241212BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20241212BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241212BHJP
【FI】
F21V29/15 100
F21V19/00 510
F21S2/00 230
F21S8/04 110
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095443
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】相田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】小津 祥平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013AA03
3K013BA01
3K013EA09
(57)【要約】
【課題】電線が熱的に保護される遮熱部材、灯具及び照明装置を提供する。
【解決手段】遮熱部材は、被取付部に取り付けられる器具に着脱自在に装着される灯具において、器具と灯具とで形成される内部空間に設けられ、器具の外部から内部に引き込まれる電線が載置されて灯具からの熱が電線に放散することを抑制する基部と、基部に接続され、灯具に保持される保持部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられる器具に着脱自在に装着される灯具において、前記器具と前記灯具とで形成される内部空間に設けられ、前記器具の外部から内部に引き込まれる電線が載置されて前記灯具からの熱が前記電線に放散することを抑制する基部と、
前記基部に接続され、前記灯具に保持される保持部と、
を備える遮熱部材。
【請求項2】
前記灯具の灯具側装着部は、前記器具に設けられた器具側装着部に対して着脱自在に装着される
請求項1記載の遮熱部材。
【請求項3】
前記基部と前記灯具との間には、遮熱空間が形成されている
請求項1又は2記載の遮熱部材。
【請求項4】
前記電線は、前記遮熱空間を避けて配置されている
請求項3記載の遮熱部材。
【請求項5】
前記保持部に設けられた弾性を有する係合部を更に備え、
前記係合部が前記灯具に設けられた被係合部と係合することによって、前記保持部は前記灯具に保持される
請求項1又は2記載の遮熱部材。
【請求項6】
前記係合部と前記被係合部とが互いに押し合う状態で、前記保持部は前記灯具に保持される
請求項5記載の遮熱部材。
【請求項7】
前記係合部の長さは、前記保持部の長さよりも長い
請求項5記載の遮熱部材。
【請求項8】
前記係合部は、前記保持部から水平方向に延びている
請求項5記載の遮熱部材。
【請求項9】
前記係合部と前記保持部とは一体的に形成されている
請求項5記載の遮熱部材。
【請求項10】
前記被係合部は、互いに近付く向きに張り出す一対の張出部である
請求項5記載の遮熱部材。
【請求項11】
前記保持部は、弾性を有している
請求項1又は2記載の遮熱部材。
【請求項12】
前記基部から外側に延び、前記灯具に設けられた規制突起に挿入される規制孔が形成された規制片を更に備える
請求項1又は2記載の遮熱部材。
【請求項13】
前記基部には、熱を遮断する断熱孔が形成されている
請求項1又は2記載の遮熱部材。
【請求項14】
台座と、
前記台座に設けられる請求項1又は2記載の遮熱部材と、
を備える灯具。
【請求項15】
前記遮熱部材は、金属材料、樹脂材料又はセラミック材料から構成されている
請求項14記載の灯具。
【請求項16】
前記遮熱部材は、
前記器具において前記電線が引き込まれる孔と、前記電線が接続される中継部との間に対向する位置に設けられている
請求項14記載の灯具。
【請求項17】
前記台座の一面に設けられ、光を照射する光源部と、
前記台座の他面に設けられる被係合部と、を更に備え、
前記遮熱部材は、
前記保持部に設けられた弾性を有する係合部を更に有し、
前記係合部が前記被係合部と係合することによって、前記保持部は前記灯具に保持される
請求項14記載の灯具。
【請求項18】
前記台座の他面から前記係合部の先端までの距離は、前記台座の他面から前記被係合部の先端までの距離よりも大きい
請求項17記載の灯具。
【請求項19】
前記被取付部に取り付けられる前記器具と、
請求項14記載の灯具と、
を備える照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱を遮断する遮熱部材、灯具及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、器具と灯具とを備える照明装置が知られている。特許文献1には、吊ボルトを用いて天井材に取り付けられる器具本体と、器具本体に対して着脱自在に取り付けられる光源ユニットである灯具とを備える照明装置が開示されている。器具本体の底面部には、外部電線が挿入される孔が形成されており、天井材を通して室内側に露出する外部電線は、底面部に形成された孔から器具本体の内部に引き込まれ、灯具が有する端子台ユニットに接続されている。しかし、天井材を通して室内側に露出する外部電線は、概して剛性が高いため、器具本体に灯具が装着された状態において、外部電線が灯具に接触するおそれがある。このため、照明器具の仕様又は照明器具の使用状態によって、灯具における外部電線が接触する部位の温度が、外部電線の耐熱仕様を上回るおそれがある。
【0003】
外部電線を保護することを目的として、特許文献2には、スポンジ等の弾性を有する部材が、外部電線と接触する部位に保護部材として貼付される照明装置が開示されている。このように、灯具における外部電線が接触する部位に、弾性部材が貼付されることによって電源を保護することは有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5971591号公報
【特許文献2】特許第5763240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示された照明装置において、保護部材を貼付する作業は手間を要するため、灯具といった製品を組み立てるコストが増加するおそれがある。また、保護部材を貼付するために用いられる接着部材は、経年劣化によって接着強度が低下するため、保護部材が剥離するおそれがある。これらの要因で、電線は、灯具における耐熱温度を上回る部位に接触してしまい、熱的に保護されなくなるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電線が熱的に保護される遮熱部材、灯具及び照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る遮熱部材は、被取付部に取り付けられる器具に着脱自在に装着される灯具において、器具と灯具とで形成される内部空間に設けられ、器具の外部から内部に引き込まれる電線が載置されて灯具からの熱が電線に放散することを抑制する基部と、基部に接続され、灯具に保持される保持部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、灯具に設けられる基部に電線が載置されている。このため、基部は、灯具からの熱が電線に放散することを抑制する。従って、電線を熱的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る照明装置を示す組立斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明装置を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る灯具を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る遮熱部材を上方からみた斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る遮熱部材を下方からみた斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る遮熱部材を示す上面図である。
【
図7】実施の形態1に係る遮熱部材を示す側面図である。
【
図8】実施の形態1に係る遮熱部材を示す断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る遮熱部材が台座に取り付けられる手順を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る遮熱部材が台座に取り付けられる手順を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る遮熱部材が台座に取り付けられる手順を示す図である。
【
図12】実施の形態1に係る遮熱部材が台座に取り付けられた状態を示す拡大図である。
【
図13】実施の形態1に係る照明装置を示す断面図である。
【
図14】実施の形態1に係る照明装置を示す模式図である。
【
図15】実施の形態2に係る灯具を示す上面図である。
【
図16】実施の形態2に係る灯具を示す斜視図である。
【
図17】実施の形態2に係る遮熱部材を示す斜視図である。
【
図18】実施の形態3に係る遮熱部材を示す斜視図である。
【
図19】実施の形態4に係る遮熱部材を示す斜視図である。
【
図20】実施の形態5に係る遮熱部材を示す斜視図である。
【
図21】実施の形態6に係る遮熱部材を示す斜視図である。
【
図22】実施の形態7に係る灯具を示す斜視図である。
【
図23】実施の形態8に係る灯具を示す断面図である。
【
図24】実施の形態9に係る灯具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る遮熱部材、灯具及び照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本開示を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後」等が挙げられる。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置1を示す組立斜視図であり、
図2は、実施の形態1に係る照明装置1を示す分解斜視図である。照明装置1は、施設照明として用いられるもの、一般家庭照明として用いられるもの及び量販店で購入可能なもの等があげられる。照明装置1の用途(設置環境)として、屋内用、屋外用又は特殊用途用等が含まれる。特殊用途とは、例えば耐塩タイプ、高温タイプ又は低温タイプである。
図1及び
図2に示すように、照明装置1は、器具2と灯具3とを備えている。なお、照明装置1は、器具2と灯具3とが一体化したものであったり、器具2と灯具3とが別売されるものであったりしてもよい。器具2と灯具3とは、使用者の要求によって組み合わせの変更が可能なものでもよい。ここで、灯具3は、光源ユニット又はライトユニットとも呼称される。
【0012】
器具2と灯具3とが一体化された光源一体型の照明装置1は、概して、器具2が天井等の被取付部4に取り付けられる。そして、器具側装着部22と灯具側装着部34とからなる装着具によって灯具3が器具2に着脱自在に装着される。灯具3は、照明装置1の外部である天井面の裏側の天井裏空間から引き出された外部電線24、及び、器具2の内部に配置された中継部23を介して電力系に接続されており、電力が供給されることによって点灯する。
【0013】
照明装置1は、天井直付け型の長尺状をなしている。前述の如く、照明装置1は、吊ボルト5を用いて天井等の被取付部4に取り付けられる器具2と、器具2に対して着脱自在に装着される灯具3とを備えている。ここで、吊ボルト5は、例えば天井裏等に配置された建物の構造材に取り付けられている。
【0014】
(器具2)
器具2は、器具本体部20と、器具端部21と、器具側装着部22と、中継部23と、外部電線24とを有している。器具本体部20は、長尺状の箱状の部材であり、内部に灯具3の一部が収容される収容部20aが形成されている。器具端部21は、器具本体部20の長手方向の両端部を塞ぐ一対の板状の部材である。器具側装着部22は、器具本体部20に取り付けられており、灯具3を器具2に着脱自在に装着するバネである。中継部23は、器具本体部20に取り付けられており、照明装置1の外部から引き込まれる外部電線24を中継する端子台である。外部電線24は、中継部23に接続されるものであり、Fケーブルと呼称される。Fケーブルは、VVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル平型)の略称である。
【0015】
(灯具3)
図3は、実施の形態1に係る灯具3を示す斜視図である。灯具3は、長手方向に沿って延びる長尺形状をなしており、器具2の器具本体部20の収容部20aに収容されている。灯具3は、外部電源(図示せず)から供給された電力によって、照射対象領域に光を照射する光源ユニットである。
図3に示すように、灯具3は、台座30と、光源部31と、外郭32と、電源部33と、灯具側装着部34と、電線35と、遮熱部材40とを有している。
【0016】
台座30は、長手方向に沿って延びる長尺状且つ矩形状の金属製の部材である。台座30は、支持部材又はフレームとも呼称される。台座30は、例えば一般汎用の鋼板を用いて形成されており、光源部31から発生する熱を効率よく放散する材料からなることが好ましい。台座30が鋼板である場合、折曲げ加工又は抜き型後ロールフォーマ加工によって形成される。台座30には、光源部31からの反射率改善又は錆対策として、塗装される場合がある。また、台座30は、アルミ材又はマグネシウム材等が用いられることもあり、この場合、押出加工によって形成される。台座30の幅方向の両端部は、遮熱部材40に係合する被係合部30aが設けられている(
図9参照)。被係合部30aは、例えば先端が折り返されるカール加工によって形成されている。
【0017】
光源部31は、例えば光を出射する光源である汎用の発光素子31a(LED)が長手方向に並んで基板31bに実装されたものであり、台座30の一面に取り付けられている。なお、光源は、LEDに限らず、半導体レーザ、有機EL又は無機EL等としてもよい。光源は、砲弾型、表面実装型(SMDタイプ)又はCOBタイプ等といった複数の種類があり、いずれもが採用されてもよい。基板31bには、発光素子31aに点灯電力を供給する経路となる導電性の回路パターンが形成されている。発光素子31aが表面実装型の場合、リフローはんだ工程によって、基板31b上に固定されることによって光源回路が構成される。外郭32は、台座30に取り付けられており、光源部31を覆うものである。外郭32は、例えば、光源部31から照射された光を拡散する樹脂製の透光性部材である。
【0018】
電源部33は、台座30の他面に取り付けられており、外部電源から供給された電力を点灯電力に変換して、光源部31を点灯させる制御部である。灯具側装着部34は、台座30の他面に取り付けられており、器具2の器具側装着部22が引っ掛けられるばね受け金具である。電線35は、例えば調光線である。前述の如く、器具2は天井等の被取付部4に配置されているが、天井裏空間から電源部33に外部電力を供給する経路となる外部電線24が、器具2に形成された電線挿通用の孔20bを通って器具2の内部に配置される。器具2の内部に配置された外部電線24は、中継部23を介して灯具3の電源部33に接続される。Fケーブルは、概して、天井裏空間又は壁面の裏側の空間における電気配線として使用されている。Fケーブルは、外皮がポリエチレン材によって保護されているが、耐熱温度が60℃以下であることが多い。一部ではあるが、60℃以上の耐熱性を保持したFケーブルも存在するものの、高価であり汎用的ではない。
【0019】
灯具3は、灯具側装着部34に器具側装着部22が引っ掛けられることによって、器具2に取り付けられる。なお、灯具3は、灯具側装着部34と器具側装着部22との係合状態が解除されることによって、器具2から取り外される。
【0020】
(遮熱部材40)
図4は、実施の形態1に係る遮熱部材40を上方からみた斜視図であり、
図5は、実施の形態1に係る遮熱部材40を下方からみた斜視図である。
図6は、実施の形態1に係る遮熱部材40を示す上面図であり、
図7は、実施の形態1に係る遮熱部材40を示す側面図である。
図8は、実施の形態1に係る遮熱部材40を示す断面図である。遮熱部材40は、灯具3の台座30の形状に対応して形成される。
図4~
図8に示すように、遮熱部材40の外観は、例えば四角形状であるが、電線35を遮熱する効果が得られれば、円形状又は三角形状といった別の形状でもよい。
【0021】
遮熱部材40の材質は、灯具3の台座30と同じ鋼板である。なお、遮熱部材40の材質は、電線35を遮熱する効果が得られれば、耐熱性を有する樹脂材料又はセラミック材料を利用した成型品でもよい。即ち、遮熱部材40は、金属材料、樹脂材料又はセラミック材料から構成されている。成型品としては、押出成形又は3Dプリンティングによるものも含まれる。また、成型品としては、多様な加工方法によって抜き型により定められた形状に抜き取られ、折り曲げ加工によって希望の形状に加工される。遮熱部材40は、基部41と、保持部42と、係合部43とを備えている。
【0022】
(基部41)
基部41は、器具2と灯具3とで形成される内部空間に設けられ、器具2の外部から内部に引き込まれる電線35が載置されて灯具3からの熱が電線35に放散することを抑制するものである。基部41は、長方形状をなしており、電線35が台座30に接触しない程度に広い面積を有する。基部41の4隅には、空気が通過する通気孔41aが形成されており、通気孔41aを形成するために切り起こされた部分が係合部43の一部となっている。
【0023】
(保持部42)
保持部42は、基部41に接続され、灯具3に保持されるものである。保持部42は、基部41の対向する2辺から下方に延びる一対の板状の部材であり、保持部42の下端部は灯具3の台座30に載置される。即ち、保持部42の高さ寸法の分だけ、基部41と灯具3との間に遮熱空間50が形成されている(
図13参照)。このように、基部41に載置される電線35と、灯具3の台座30とは、保持部42の高さ寸法の分だけ、離隔される。なお、電線35は、基部41に載置されるものであるため、遮熱空間50を避けて配置され、遮熱空間50には入り込まない。保持部42は、足部とも呼称される。一対の保持部42の一部がそれぞれ切り起こされて、係合部43の一部となっている。即ち、係合部43は、基部41及び保持部42が切り起こされることによって、形成されている。
【0024】
(係合部43)
係合部43は、保持部42に設けられた弾性を有する部材である。係合部43は、基部41の4隅に対応する位置に4つそれぞれ設けられている。係合部43は、灯具3の台座30が有する被係合部30aと係合することによって、保持部42が灯具3に保持される。係合部43は、台座30の被係合部30aと係合する。係合部43が弾性変形を伴って、係合部43と被係合部30aとが互いに押し合う状態で、保持部42は灯具3に保持される。
【0025】
図9~
図11は、実施の形態1に係る遮熱部材40が台座30に取り付けられる手順を示す図である。次に、遮熱部材40が台座30に取り付けられる手順について説明する。
図9に示すように、先ず、遮熱部材40が傾けられた状態で灯具3の台座30に配置される。このとき、遮熱部材40の係合部43の一方が、台座30の被係合部30aの一方に係合される。次に、
図10に示すように、遮熱部材40の係合部43の他方が、弾性変形して、台座30の被係合部30aの他方に係合するように準備がなされる。その後、
図11に示すように、遮熱部材40の係合部43の他方が台座30の被係合部30aの他方に係合することによって、遮熱部材40が台座30に取り付けられる。なお、このとき、係合部43は弾性変形を維持した状態であり、係合部43と被係合部30aとが互いに押し合う状態で、遮熱部材40の保持部42が灯具3に保持される。このように、遮熱部材40が台座30に取り付けられると、係合部43の弾性力によって強固に係合が維持されるため、外的要因が生じても簡単には外れない。
【0026】
図12は、実施の形態1に係る遮熱部材40が台座30に取り付けられた状態を示す拡大図である。
図12に示すように、台座30の遮熱部材40側の面である他面から係合部43の先端までの距離R2は、台座30の他面から被係合部30aの先端までの距離R1よりも大きい。このため、遮熱部材40が台座30に取り付けられた状態では、係合部43が被係合部30aに引っ掛かっており、移動が規制されて横ずれしない。従って、所定の位置に遮熱部材40を配置することができる。
【0027】
図13は、実施の形態1に係る照明装置1を示す断面図である。
図13に示すように、遮熱部材40は、器具2において外部電線24が引き込まれる孔20bと、外部電線24が接続される中継部23との間に対向する位置に設けられている。
【0028】
図14は、実施の形態1に係る照明装置1を示す模式図である。以上説明したように、遮熱部材40が台座30に取り付けられると、
図14に示すように、遮熱部材40と台座30との間には遮熱空間50が形成される。遮熱空間50は、光源部31から発生する熱が台座30を介して直接電線35に伝わることを抑制する。例えば、台座30の他面が60℃を超えていても、遮熱部材40と電線35とが接触する部分は60℃未満となる。
【0029】
本実施の形態1によれば、灯具3に設けられる基部41に電線35が載置されている。このため、基部41は、灯具3からの熱が電線35に放散することを抑制する。従って、電線35を熱的に保護することができる。
【0030】
電線35の耐熱温度が60℃であるとすると、従来、灯具3の点灯状態において、台座30の表面温度が60℃を超えて、電線35の耐熱温度を超えるおそれがある。40形タイプの灯具3の光束タイプとして、高光束タイプと低光束タイプとに分かれる。高光束タイプでは、光源部31からの発熱量が大きく、その分台座30に伝わる温度も高くなる傾向がある。このため、台座30の表面温度が60℃以上になることがあり、器具2の孔20bから引き出された電線35が器具2内に配置される際に、台座30と接触するおそれがある。この場合、電線35の耐熱温度をオーバーして、外皮の寿命低下及び劣化の原因となる。
【0031】
これを解消するために、従来、電線35が台座30に接触しないように、スポンジ状の柔らかい部材を、両面テープを用いて台座30に貼り付ける技術が知られている。しかし、以下の3点について懸念点がある。1つ目は、スポンジ状の部材に予め剥離紙付きの両面テープを貼り付ける必要がある点である。2つ目は、灯具3の組立工程において両面テープの剥離紙を除去する必要がある点である。3つ目は、スポンジ状の部材を台座30に貼り付ける必要がある点である。これらによって、材料費及び加工費、即ち組立コストが増加する要因となる。また、スポンジ状の柔らかい部材を貼り付ける作業は、難易度が高く、リワークが発生した場合に、更に手間が生じる。また、樹脂製の基材又は接着剤といった両面テープが長期間にわたって高温化に曝されることによって、長期信頼性が低下するリスクも生じる。
【0032】
これに対し、本実施の形態1は、遮熱部材40を備えているため、遮熱部材40の温度が60℃未満となる。このため、電線35の耐熱温度以下に抑えることができる。また、遮熱部材40の材料と台座30の材料とが、いずれも鋼板であれば、遮熱部材40周辺の電源部33及び光源部31の温度を平準化することができる。このため、照明装置1全体の高寿命化に繋がる。
【0033】
また、前述の如く、遮熱部材40は、台座30の他面の側から押し込まれることによって、灯具3に装着される。このように、遮熱部材40は、ワンプッシュで灯具3に装着することができるため、装着が簡易である。更に、遮熱部材40の台座30への装着は、灯具3の自動化組立工程にも対応する。自動化組立工程に対応するために、例えば基部41及び保持部42に平行面を設けてロボットアームで挟むことが容易になるようにしてもよい。また、基部41及び保持部42にフラット面を設けてロボットアームで挟むことが容易になるようにしてもよい。これにより、ロボットアームで取り出し易くなる。
【0034】
実施の形態2.
図15は、実施の形態2に係る灯具3を示す上面図であり、
図16は、実施の形態2に係る灯具3を示す斜視図である。
図17は、実施の形態2に係る遮熱部材40を示す斜視図である。本実施の形態2は、遮熱部材40が規制片44を備えている点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態2では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0035】
図15~
図17に示すように、遮熱部材40は、規制片44を備えている。規制片44は、基部41から外側に延びるものであり、規制孔44aが形成されている。規制孔44aには、台座30に設けられた規制突起30bが挿入される。規制孔44a及び規制突起30bは、遮熱部材40が台座30に装着される際のガイドとして機能する。また、規制突起30bが規制孔44aに挿入されているとき、遮熱部材40は、灯具3の長手方向に沿った移動が規制され、施工時及び使用時に外部電線24から長手方向に移動させようとする応力を受けても、装着位置が維持される。なお、本実施の形態2では、電源部33が台座30に固定される際に使用されるネジが規制突起30bとして機能しているが、規制突起30bは、他の構成であってもよい。
【0036】
実施の形態3.
図18は、実施の形態3に係る遮熱部材40を示す斜視図である。本実施の形態3は、遮熱部材40に断熱孔41bが形成されている点で、実施の形態2と相違する。本実施の形態3では、実施の形態1及び2と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明する。
【0037】
図18に示すように、基部41における規制片44に隣接する位置に断熱孔41bが形成されている。断熱孔41bは、規制片44と、基部41との中央部との熱抵抗を大きくする機能を有し、これにより、電源部33から発生して規制片44を介して基部41に伝達される動作熱が減少する。従って、基部41の温度上昇を抑えることができる。また、断熱孔41bは、台座30と基部41との間の遮熱空間50に滞留する空気を循環させる通気用の孔20bとしても機能する。これにより、光源部31から発生して空間を介して基部41に伝達される動作熱が減少するため、基部41の温度上昇を抑えることができる。なお、断熱孔41bの大きさ及び位置は、基部41の温度が、基部41に接触する電線35の耐熱温度を下回るように適宜調整される。
【0038】
実施の形態4.
図19は、実施の形態4に係る遮熱部材40を示す斜視図である。本実施の形態4は、係合部43の長さが保持部42の高さ方向の長さよりも長い点で、実施の形態2と相違する。本実施の形態4では、実施の形態1~3と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~3との相違点を中心に説明する。
【0039】
図19に示すように、係合部43の長さが保持部42の高さよりも長い。これにより、相対的に基部41の幅方向の長さを短くすることができるため、遮熱部材40として使用される材料を削減することができる。また、係合部43として機能する切り起こし部分の面積も増えるため、通気孔41aの面積も増加する。このため、通気の機能も増強される。
【0040】
実施の形態5.
図20は、実施の形態5に係る遮熱部材40を示す斜視図である。本実施の形態5は、係合部43と保持部42とが一体である点で、実施の形態2と相違する。本実施の形態5では、実施の形態1~4と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~4との相違点を中心に説明する。
【0041】
図20に示すように、係合部43と保持部42とは一体的に形成されている。係合部43は、切起こしによって形成されるものではなく、基部41における台座30側に延びた後に折り返して器具2側に延びている。これにより、遮熱部材40の材料の削減に資する。
【0042】
実施の形態6.
図21は、実施の形態6に係る遮熱部材40を示す斜視図である。本実施の形態6は、係合部43が保持部42から水平方向に延びている点で、実施の形態2と相違する。本実施の形態6では、実施の形態1~5と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~5との相違点を中心に説明する。
【0043】
図21に示すように、係合部43は、切起こしによって形成されるものではなく、保持部42の長手方向の端部から外側に延びている。即ち、係合部43は、基部41の長手方向の端部よりも外側に突出している。この場合、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0044】
実施の形態7.
図22は、実施の形態7に係る灯具3を示す斜視図である。本実施の形態7は、遮熱部材40が樹脂材料又はセラミック材料である点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態7では、実施の形態1~6と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~6との相違点を中心に説明する。
【0045】
図22に示すように、遮熱部材40は、鋼板が折り曲げ加工されたものではなく、樹脂材料又はセラミック材料を用いた成形加工されたものである。樹脂材料又はセラミック材料は、金属を含む材料よりも、熱伝導率が低いため、基部41の温度上昇が更に抑制される。なお、断熱孔41b及び通気孔41aの位置、大きさ及び数は、遮熱部材40の強度又は剛性、台座30と基部41との間の遮熱空間50に滞留する空気の温度に応じて、適宜変更される。
【0046】
実施の形態8.
図23は、実施の形態8に係る灯具3を示す断面図である。本実施の形態8は、台座30の被係合部30aの形状が、実施の形態1と相違する。本実施の形態8では、実施の形態1~7と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~7との相違点を中心に説明する。
【0047】
図23に示すように、台座30の被係合部30aは、互いに近付く向きに張り出す一対の張出部である。これは、台座30が押出成形によって形成される場合に設けられるものであり、台座30の長手方向にわたって形成される。これにより、台座30に別途被係合部30aとして機能する部位を製造する必要がない。
【0048】
実施の形態9.
図24は、実施の形態9に係る灯具3を示す断面図である。本実施の形態9は、保持部42が弾性を有する点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態9では、実施の形態1~8と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~8との相違点を中心に説明する。
【0049】
図24に示すように、保持部42は弾性を有しており、保持部42全体が弾性変形を伴って、台座30を押圧している。本実施の形態9では、傾斜した保持部42が係合部43の機能を兼ねており、例えば、台座30の被係合部30aに係合する。これにより、遮熱部材40の構造が簡素化され、成型方法の選択幅が広がる。
【0050】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0051】
[付記1]
被取付部に取り付けられる器具に着脱自在に装着される灯具において、前記器具と前記灯具とで形成される内部空間に設けられ、前記器具の外部から内部に引き込まれる外部電線が載置されて前記灯具からの熱が前記外部電線に放散することを抑制する基部と、
前記基部に接続され、前記灯具に保持される保持部と、
を備える遮熱部材。
[付記2]
前記灯具の灯具側装着部は、前記器具に設けられた器具側装着部に対して着脱自在に装着される
付記1記載の遮熱部材。
[付記3]
前記基部と前記灯具との間には、遮熱空間が形成されている
付記1又は2記載の遮熱部材。
[付記4]
前記外部電線は、前記遮熱空間を避けて配置されている
付記3記載の遮熱部材。
[付記5]
前記保持部に設けられた弾性を有する係合部を更に備え、
前記係合部が前記灯具に設けられた被係合部と係合することによって、前記保持部は前記灯具に保持される
付記1~4のいずれか1つに記載の遮熱部材。
[付記6]
前記係合部と前記被係合部とが互いに押し合う状態で、前記保持部は前記灯具に保持される
付記5記載の遮熱部材。
[付記7]
前記係合部の長さは、前記保持部の長さよりも長い
付記5又は6記載の遮熱部材。
[付記8]
前記係合部は、前記保持部から水平方向に延びている
付記5~7のいずれか1つに記載の遮熱部材。
[付記9]
前記係合部と前記保持部とは一体的に形成されている
付記5又は6記載の遮熱部材。
[付記10]
前記被係合部は、互いに近付く向きに張り出す一対の張出部である
付記5~9のいずれか1つに記載の遮熱部材。
[付記11]
前記保持部は、弾性を有している
付記1~10のいずれか1つに記載の遮熱部材。
[付記12]
前記基部から外側に延び、前記灯具に設けられた規制突起に挿入される規制孔が形成された規制片を更に備える
付記1~11のいずれか1つに記載の遮熱部材。
[付記13]
前記基部には、熱を遮断する断熱孔が形成されている
付記1~12のいずれか1つに記載の遮熱部材。
[付記14]
台座と、
前記台座に設けられる付記1~13のいずれか1つに記載の遮熱部材と、
を備える灯具。
[付記15]
前記遮熱部材は、金属材料、樹脂材料又はセラミック材料から構成されている
付記14記載の灯具。
[付記16]
前記遮熱部材は、
前記器具において前記外部電線が引き込まれる孔と、前記外部電線が接続される中継部との間に対向する位置に設けられている
付記14又は15記載の灯具。
[付記17]
前記台座の一面に設けられ、光を照射する光源部と、
前記台座の他面に設けられる被係合部と、を更に備え、
前記遮熱部材は、
前記保持部に設けられた弾性を有する係合部を更に有し、
前記係合部が前記被係合部と係合することによって、前記保持部は前記灯具に保持される
付記14~16のいずれか1つに記載の灯具。
[付記18]
前記台座の他面から前記係合部の先端までの距離は、前記台座の他面から前記被係合部の先端までの距離よりも大きい
付記17記載の灯具。
[付記19]
前記被取付部に取り付けられる前記器具と、
付記14~18のいずれか1つに記載の灯具と、
を備える照明装置。
【符号の説明】
【0052】
1 照明装置、2 器具、3 灯具、4 被取付部、5 吊ボルト、20 器具本体部、20a 収容部、20b 孔、21 器具端部、22 器具側装着部、23 中継部、24 外部電線、30 台座、30a 被係合部、30b 規制突起、31 光源部、31a 発光素子、31b 基板、32 外郭、33 電源部、34 灯具側装着部、35 電線、40 遮熱部材、41 基部、41a 通気孔、41b 断熱孔、42 保持部、43 係合部、44 規制片、44a 規制孔、50 遮熱空間。