(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176701
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20241212BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G03G21/18 153
G03G21/16 128
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095450
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒田 龍朗
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA03
2H171GA11
2H171GA31
2H171HA22
2H171HA23
2H171JA06
2H171JA23
2H171JA48
2H171KA05
2H171KA10
2H171KA18
2H171KA25
2H171KA27
2H171NA08
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB01
2H171QB14
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】プロセスユニットを安全に取り外すことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、本体フレームと、プロセスユニットと、を備え、プロセスユニットは、本体フレームから第1方向の一方側に引き出すことにより取り外すことが可能なユニットフレームと、ユニットフレームに対して互いに独立して着脱可能に装着される複数の現像カートリッジと、ロック機構と、を有し、ロック機構は、本体フレームと係合可能な第1位置に保持されることにより、ユニットフレームの第1方向の一方側への移動を規制するロック部材を有し、ロック部材は、全ての現像カートリッジがユニットフレームから取り外されることにより、第1位置から本体フレームと係合しない第2位置に変位する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
静電潜像をトナー像に現像する現像プロセスを実行するプロセスユニットと、を備え、
前記プロセスユニットは、
前記本体フレームに対して着脱可能に装着され、前記本体フレームから第1方向の一方側に引き出すことにより取り外すことが可能なユニットフレームと、
前記ユニットフレームに対して互いに独立して着脱可能に装着され、それぞれが前記現像プロセス用のトナーを収容する複数の現像カートリッジと、
前記本体フレームからの前記ユニットフレームの取り外しを規制するロック機構と、を有し、
前記ロック機構は、前記本体フレームと係合可能な第1位置に保持されることにより、前記ユニットフレームの前記第1方向の一方側への移動を規制するロック部材を有し、
前記ロック部材は、全ての前記現像カートリッジが前記ユニットフレームから取り外されることにより、前記第1位置から前記本体フレームと係合しない第2位置に変位する、画像形成装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、
前記ユニットフレームに対して前記第1方向に往復移動可能なリンク部材と、
前記リンク部材を前記第1方向の他方側に付勢する第1付勢部材と、をさらに有し、
前記ロック部材は、前記リンク部材が前記第1方向に移動することで位置を変位させる部材であり、
複数の前記現像カートリッジは、それぞれ、前記ユニットフレームに装着された状態では、前記リンク部材と係合することにより、前記リンク部材の前記第1方向の他方側への移動を規制し、
前記リンク部材は、全ての前記現像カートリッジが前記ユニットフレームから取り外されることにより、前記付勢部材の付勢力で前記第1方向の他方側に移動し、
前記ロック部材は、前記リンク部材が前記第1方向の他方側に移動することにより、前記第1位置から前記第2位置に変位する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記リンク部材は、リンク当接部を有し、
前記ロック部材は、
前記第1方向と直交する第2方向に延びる回動軸と、
前記回動軸に対して前記第1方向の一方側に配置され、前記回動軸を支点に回動可能であり、前記リンク当接部が上方から当接する第1部分と、
前記回動軸に対して前記第1方向の他方側に配置され、前記回動軸を支点に回動可能であり、前記リンク当接部が前記第1部分に当接した状態では前記本体フレームと係合可能な位置に保持される第2部分と、
前記第2部分を下方に付勢する第2付勢部材と、を有し、
前記リンク部材が前記第1方向の他方側に移動したとき、前記リンク当接部の前記第1部分に対する当接が解除されることにより、前記第2付勢部材の付勢力で前記第2部分が下方に移動し、前記ロック部材が前記第1位置から前記第2位置に変位した状態となる、請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、装置本体に対して着脱可能なプロセスユニットを備える。プロセスユニットは、トナー像を現像するための現像カートリッジなどを含む。このような画像形成装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、プロセスユニットのメンテナンス(たとえば、部品交換など)のとき、装置本体からプロセスユニットが取り外される。ここで、プロセスユニットは比較的重量があるため、装置本体からプロセスユニットを取り外したとき、作業者がプロセスユニットを誤って落下させるという不都合が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、装置本体に対して着脱可能なプロセスユニットを備える構成において、プロセスユニットを安全に取り外すことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一局面による画像形成装置は、本体フレームと、静電潜像をトナー像に現像する現像プロセスを実行するプロセスユニットと、を備える。プロセスユニットは、本体フレームに対して着脱可能に装着され、本体フレームから第1方向の一方側に引き出すことにより取り外すことが可能なユニットフレームと、ユニットフレームに対して互いに独立して着脱可能に装着され、それぞれが現像プロセス用のトナーを収容する複数の現像カートリッジと、本体フレームからのユニットフレームの取り外しを規制するロック機構と、を有する。ロック機構は、本体フレームと係合可能な第1位置に保持されることにより、ユニットフレームの第1方向の一方側への移動を規制するロック部材を有する。ロック部材は、全ての現像カートリッジがユニットフレームから取り外されることにより、第1位置から本体フレームと係合しない第2位置に変位する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、装置本体に対して着脱可能なプロセスユニットを備える構成において、プロセスユニットを安全に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態による画像形成装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す画像形成装置の前側カバーが開けられた状態の斜視図である。
【
図3】実施形態による画像形成装置の内部構成を示す模式図である。
【
図4】実施形態による画像形成装置の画像形成部を示す模式図である。
【
図5】
図1に示す画像形成装置のプロセスユニットが引き出された状態の斜視図である。
【
図7】
図6のA-A´線に沿った断面に相当する図である。
【
図8】実施形態による画像形成装置のリンク部材の斜視図である。
【
図9】実施形態による画像形成装置の現像カートリッジとリンク部材との係合構造を示す図である。
【
図10】実施形態による画像形成装置のロック部材およびその周辺を示す拡大図である。
【
図11】実施形態による画像形成装置の全ての現像カートリッジとリンク部材とが係合した状態を示す図である。
【
図12】実施形態による画像形成装置の全ての現像カートリッジとリンク部材との係合が解除された状態を示す図である。
【
図13】実施形態による画像形成装置のロック部材の位置変位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図13を参照し、本発明の一実施形態による画像形成装置100について説明する。以下の説明では、タンデム方式のカラーレーザープリンターを例にとるが、本発明はプリンターに限らず、コピー機能などを有する複合機にも適用可能である。
【0010】
以下の説明では、画像形成装置100が設置される平坦な床面に垂直な方向を上下方向とする。また、上下方向と直交する水平方向のうち、一方向に符号D1を付して第1方向D1と称し、一方向と直交する他方に符号D2を付して第2方向D2と称する。なお、「水平」は、完全な水平だけでなく、略水平も含むとする。
【0011】
たとえば、第1方向D1は、画像形成装置100の前後方向(奥行き方向)である。第1方向D1の一方側が前側であり、第1方向D1の一方側とは逆の他方側が後側である。また、第2方向D2は、画像形成装置100の左右方向(幅方向)である。第2方向D2の一方側が左側であり、第2方向D2の一方側とは逆の他方側が右側である。
【0012】
<画像形成装置の全体構成>
本実施形態の画像形成装置100は、
図1および
図2に示すような外観を有する。画像形成装置100は、本体フレーム1を備える。また、画像形成装置100は、前側カバーCVを備える。本体フレーム1は、前側カバーCVを含む外装カバー(他のカバーは符号省略)で覆われる。本体フレーム1は、外装カバーを支持する。前側カバーCVは、第1方向D1の一方側に配置される。前側カバーCVは、画像形成装置100の内部領域を第1方向D1の一方側から覆う。
【0013】
本体フレーム1は、前側カバーCVを第2方向D2に延びる軸線回りに回動可能に支持する。前側カバーCVは、その下方側の端部を支点とし、その上方側の端部を振るよう回動する。言い換えると、前側カバーCVは、本体フレーム1に対して開閉可能に支持される。前側カバーCVが開けられることにより、画像形成装置100の内部領域が第1方向D1の一方側に露出する(
図2参照)。前側カバーCVが閉じられることにより、画像形成装置100の内部領域が第1方向D1の一方側から覆われる(
図1参照)。
【0014】
画像形成装置100は、
図3に示すように、メイン搬送路MPを備える。
図3では、メイン搬送路MPを実線矢印で模式的に示す。後述する両面印刷搬送路DPは破線矢印で模式的に示す。
【0015】
また、画像形成装置100は、シートカセットCAを備える。シートカセットCAは、印刷ジョブで用いるシートSを収容する。シートSの種類は特に限定されない。
【0016】
印刷ジョブでは、画像形成装置100は、シートカセットCAのシートSをメイン搬送路MPに供給し、メイン搬送路MPに沿ってシートSを搬送する。そして、画像形成装置100は、搬送中のシートSに画像を印刷する。言い換えると、画像形成装置100は、搬送中のシートSにトナー像を転写する。
【0017】
なお、シートカセットCAは、画像形成装置100の本体下方に装着される。シートカセットCAは、画像形成装置100の装置本体(言い換えると、本体フレーム1)に対して着脱可能である。シートカセットCAを装置本体から第1方向D1の一方側に引き出すことにより、シートカセットCAを装置本体から取り外すことができる。
【0018】
画像形成装置100は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色分の画像形成部110を備える。各画像形成部110は、対応する色のトナー像を形成する。以下、或る1つの画像形成部110に着目してその構成を説明する。各画像形成部110の基本的な構成は互いに同じである。したがって、他の画像形成部110の構成の説明については、以下の説明を援用するものとして省略する。
【0019】
画像形成部110は、
図4に示すように、現像カートリッジ200を備える。現像カートリッジ200は、対応する色のトナーを収容し、そのトナーを用いて現像プロセスを実行する。また、画像形成部110は、感光体ドラム111と、帯電装置112と、を備える。なお、画像形成装置100は、4色分の画像形成部110に対して1つの露光ユニット113を備える。また、画像形成部110は、清掃装置114を備える。
【0020】
画像形成部110による画像形成時、感光体ドラム111が回転する。帯電装置112は、感光体ドラム111の外周面を帯電させる。露光ユニット113は、感光体ドラム111の外周面を露光し、感光体ドラム111の外周面上に静電潜像を形成する。そして、現像カートリッジ200は、現像プロセスとして、感光体ドラム111の外周面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像するプロセスを実行する。なお、感光体ドラム111の外周面上のトナー像は、後述する中間転写ベルト121に1次転写される。清掃装置114は、中間転写ベルト121に転写されずに感光体ドラム111の外周面上に残留したトナーを除去する。
【0021】
図3に戻り、画像形成装置100は、中間転写ユニット120を備える。中間転写ユニット120は、各画像形成部110の下方に配置される。中間転写ユニット120は、中間転写ベルト121を備える。中間転写ベルト121は、無端状のベルトである。
【0022】
中間転写ベルト121は、駆動ローラー122を含む複数のローラー(他のローラーは符号省略)により、張架され、回転可能に支持される。中間転写ベルト121は、感光体ドラム111の外周面に接触し、その状態で回転する。駆動ローラー122は、ベルトモーター(図示せず)から動力が伝達されて回転する。中間転写ベルト121は、駆動ローラー122が回転することにより、従動して回転する。
【0023】
中間転写ユニット120は、1次転写ローラー123を備える。1次転写ローラー123は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色に1つずつ割り当てられる。各1次転写ローラー123は、中間転写ベルト121の内周側に配置される。各1次転写ローラー123は、中間転写ベルト121を挟んで、対応する色の感光体ドラム111と対向して配置される。
【0024】
中間転写ユニット120は、2次転写ローラー124を備える。2次転写ローラー124は、中間転写ベルト121の外周面に圧接し、中間転写ベルト121との間に転写ニップを形成する。メイン搬送路MPは、転写ニップを経由する。
【0025】
各画像形成部110は、対応する色のトナー像を形成する。そして、各1次転写ローラー123は、中間転写ベルト121の外周面にトナー像を1次転写する。中間転写ベルト121は、各感光体ドラム111から1次転写されたトナー像を外周面に担持して回転する。シートSが転写ニップを通過中、中間転写ベルト121の外周面にシートSが接触する。2次転写ローラー124は、中間転写ベルト121との間に転写電界を形成することにより、転写ニップを通過中のシートSにトナー像を2次転写する。
【0026】
画像形成装置100は、定着ローラー対130を備える。定着ローラー対130は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを含む。加熱ローラーは、ヒーターを内蔵する。加圧ローラーは、加熱ローラーに圧接し、加熱ローラーとの間に定着ニップを形成する、定着ローラー対130は、転写ニップから搬送されてくるシートSをニップし、回転する。すなわち、定着ローラー対130は、定着ニップを通過するシートSに対して加熱と加圧とを行う。これにより、定着ローラー対130は、シートSに転写されたトナー像をシートSに定着させる。その後、排出トレイETにシートSが排出される。
【0027】
画像形成装置100は、印刷ジョブとして、シートSの片面にのみトナー像を印刷する片面印刷ジョブに加え、シートSの両面にトナー像を印刷する両面印刷ジョブの実行が可能である。両面印刷ジョブを実行するため、画像形成装置100は、両面印刷搬送路DPを備える。
【0028】
両面印刷搬送路DPは、メイン搬送路MPのうち定着ニップよりもシート搬送方向下流側でメイン搬送路MPから分岐する。そして、両面印刷搬送路DPは、メイン搬送路MPのうち転写ニップよりもシート搬送方向上流側でメイン搬送路MPに合流する。
【0029】
実行ジョブが片面印刷ジョブである場合、シートSは転写ニップを1回だけ通過し、転写ニップを通過中のシートSに対して転写処理が1回行われる。そして、1回目の転写処理後、シートSがそのまま排出トレイETに排出される。
【0030】
実行ジョブが両面印刷ジョブである場合、シートSの表裏面に対してそれぞれ1回ずつ転写処理を行うため、シートSは転写ニップを2回通過する。具体的には、シートSが転写ニップを1回目に通過するとき、シートSの一方面に対して転写処理が行われる。1回目の転写処理後、シートSの後端が定着ニップを通過した後であってシートSが排出トレイETに完全に排出される前、シートSがスイッチバックされる。これにより、シートSがその後端から両面印刷搬送路DPに引き込まれる。
【0031】
その後、両面印刷搬送路DPに沿ってシートSが搬送される。そして、そのシートSが転写ニップよりもシート搬送方向上流側からメイン搬送路MPに戻される。メイン搬送路MPに戻されたシートSは、転写ニップを再度通過する。このとき、シートSの表裏面の向きが転写ニップを前回通過したときに対して逆向きに反転されている。これにより、シートSが転写ニップを2回目に通過するとき、シートSの一方面とは逆の他方面に対して転写処理が行われる。
【0032】
<プロセスユニットの構成>
画像形成装置100は、静電潜像をトナー像に現像する現像プロセスを実行するプロセスユニット2を備える。具体的には、4色分(すなわち、複数)の画像形成部110がユニット化され、プロセスユニット2となる。言い換えると、プロセスユニット2は、少なくとも、4色分(すなわち、複数)の現像カートリッジ200を含む。
【0033】
プロセスユニット2は、ユニットフレーム21(
図5参照)を有する。ユニットフレーム21には、4色分の画像形成部110が配置される。すなわち、ユニットフレーム21には、4色分の現像カートリッジ200が配置される。4色分の画像形成部110がユニットフレーム21に配置されることにより、4色分の画像形成部110がユニット化される。
【0034】
4色分の画像形成部110は、第1方向D1に配列される。すなわち、4色分の現像カートリッジ200は、第1方向D1に配列される。そこで、ユニットフレーム21は、少なくとも、4色分の画像形成部110を第2方向D2に挟む一対の側板(符号省略)を有する。ユニットフレーム21の一対の側板は、4色分の画像形成部110に含まれる各回転体を回転可能に支持する。
【0035】
ユニットフレーム21は、本体フレーム1に対して水平方向(具体的には、第1方向D1)に着脱可能に装着される。これにより、プロセスユニット2は、画像形成装置100の装置本体(すなわち、本体フレーム1)に対して水平方向に着脱可能である。画像形成装置100のメンテナンスのとき、プロセスユニット2が装置本体から取り外される。たとえば、いずれかの現像カートリッジ200を交換するとき、プロセスユニット2が装置本体から取り外される。
【0036】
プロセスユニット2の取り外し作業では、まず、画像形成装置100の装置本体にプロセスユニット2が装着された状態(すなわち、本体フレーム1にユニットフレーム21が装着された状態)で、前側カバーCVが開けられる。前側カバーCVが開けられることにより、
図2に示す状態になる。すなわち、プロセスユニット2が第1方向D1の一方側に露出する。そして、この状態から、ユニットフレーム21が第1方向D1の一方側に引き出される。
【0037】
たとえば、ユニットフレーム21は、プロセスユニット2の取り外しを担う作業者により把持される把持部2aを有する。プロセスユニット2が本体フレーム1に対して第1方向D1の一方側に引き出された状態を
図5に示す。
【0038】
プロセスユニット2を本体フレーム1に対して引き出すことにより、4色分の現像カートリッジ200が上方に露出する。4色分の現像カートリッジ200は、ユニットフレーム21に対して互いに独立して着脱可能に装着される。この構成では、或る現像カートリッジ200をユニットフレーム21から取り外しても、他の現像カートリッジ200はユニットフレーム21に装着されたままである。すなわち、4色分の現像カートリッジ200の全てをユニットフレーム21から取り外すには、4色分の現像カートリッジ200のそれぞれごとに取り外し作業を行う必要がある。画像形成部110のうち、感光体ドラム111など現像カートリッジ200とは別の構成要素については、ユニットフレーム21に対して固定的に装着されており、ユニットフレーム21から取り外すことはできない。
【0039】
なお、4色分の現像カートリッジ200は、ユニットフレーム21に対して上下方向に着脱可能である。ユニットフレーム21から取り外されるとき、4色分の現像カートリッジ200は、それぞれ、ユニットフレーム21に対して引き上げられる。このため、ユニットフレーム21は、4色分の現像カートリッジ200を上方からは覆わない。
【0040】
本体フレーム1に対するプロセスユニット2の引き出し量が所定量に達したとき、言い換えると、本体フレーム1からプロセスユニット2が取り外される直前、プロセスユニット2の第1方向D1の一方側への移動(ここでは、単に引き出し移動と称する)に対してロックがかけられ、それ以上はプロセスユニット2を引き出せなくなる。本体フレーム1に対するプロセスユニット2の引き出し量が所定量に達して以降、プロセスユニット2をさらに引き出して本体フレーム1からプロセスユニット2を取り外すには、引き出し移動に対するロックを解除する必要がある。なお、引き出し移動に対してロックがかけられた状態は、本体フレーム1からプロセスユニット2を取り外せない状態であるため、本体フレーム1にプロセスユニット2が装着された状態に相当する。
【0041】
<ロック機構の構成>
プロセスユニット2は、
図5~
図10に示すようなロック機構20を有する。ロック機構20は、本体フレーム1からのプロセスユニット2(すなわち、ユニットフレーム21)の取り外しを規制する機構である。ロック機構20は、ユニットフレーム21の一対の側板のうち、第2方向D2の一方側の側板に配置され、第2方向D2の他方側の側板には配置されない。なお、
図6は、
図5の破線で囲む領域の拡大図である。
図7は、
図6のA-A´線に沿った断面に相当する図である。
【0042】
ロック機構20は、少なくとも、リンク部材210と、第1付勢部材220と、ロック部材230と、を有する。後述する本体係合部10(
図13参照)もロック機構20の一構成要素と言える。
【0043】
リンク部材210は、
図7および
図8に示すように、ユニットフレーム21(具体的には、第2方向D2の一方側の側板)に対して第1方向D1に往復移動可能に支持される。リンク部材210は、ユニットフレーム21に対する4色分の現像カートリッジ200の着脱に応じて、第1方向D1の位置を変位させる。
【0044】
具体的には、リンク部材210は、4つのリンク係合部211を一体的に有する。4つのリンク係合部211は、第1方向D1に互いに間隔を隔てて配置される。4つのリンク係合部211は、互いに異なる現像カートリッジ200に割り当てられる。
【0045】
4色分の現像カートリッジ200は、割り当てられたリンク係合部211と係合するカートリッジ係合部201(
図9参照)を有する。各カートリッジ係合部201は、第2方向D2の一方側に円柱状に突出する。各カートリッジ係合部201は、第2方向D2の一方側に突出するボス部である。
【0046】
ここで、
図9を参照し、或る現像カートリッジ200(カートリッジ係合部201)とそれに割り当てられたリンク係合部211との係合構造について説明する。4色分の現像カートリッジ200の各係合構造は互いに同じであるため、他の現像カートリッジ200の係合構造については、以下の説明を援用するものとして省略する。なお、以下の説明で参照する図面では、リンク係合部211にハッチングを付す。
【0047】
ユニットフレーム21に現像カートリッジ200が装着された状態では、カートリッジ係合部201とリンク係合部211とが第1方向D1に係合する。このとき、リンク係合部211は、カートリッジ係合部201に対して第1方向D1の一方側に位置する。言い換えると、カートリッジ係合部201は、リンク係合部211に対して第1方向D1の他方側に位置する。
【0048】
ユニットフレーム21からの現像カートリッジ200の取り外しでは、ユニットフレーム21に対して現像カートリッジ200が引き上げられる。このとき、カートリッジ係合部201が上方に移動する。これにより、カートリッジ係合部201とリンク係合部211との第1方向D1の係合が解除される。
図9では、ユニットフレーム21に対して現像カートリッジ200が引き上げられるときのカートリッジ係合部201の移動経路を破線矢印で示す。
【0049】
図7および
図8に戻り、リンク部材210は、第1方向D1の他方側の端部をリンク当接部212として有する。リンク当接部212は、ユニットフレーム21のうち第1方向D1の他方側の端部に位置する。リンク当接部212は、ロック部材230の一部と上下方向に当接する。なお、リンク当接部212は、リンク部材210のうち第1方向D1の他方側の先端である。
【0050】
第1付勢部材220は、
図7に示すように、ユニットフレーム21に取り付けられる。第1付勢部材220は、たとえば、圧縮コイルばねである。第1付勢部材220は、第1方向D1を軸線方向とする。第1付勢部材220は、リンク部材210を第1方向D1の他方側に付勢する。具体的には、ユニットフレーム21は、第1付勢部材220のうち第1方向D1の一方側の端部を支持する支持部21aを有する。リンク部材210は、第1付勢部材220のうち第1方向D1の他方側の端部を支持する支持部210aを有する。
【0051】
ロック部材230は、
図7および
図10に示すように、ユニットフレーム21のうち第1方向D1の他方側の端部に配置される。ロック部材230は、第2方向D2に延びる回動軸230Aを有する。また、ロック部材230は、第1部分231および第2部分232を有する。第1部分231は、回動軸230Aに対して第1方向D1の一方側に配置され、回動軸230Aを支点に回動可能である。第2部分232は、回動軸230Aに対して第1方向D1の他方側に配置され、回動軸230Aを支点に回動可能である。この構成では、第1部分231の位置が上方(すなわち、上下方向の一方側)に変位すると、第2部分232の位置が下方(すなわち、上下方向の一方側とは逆の他方側)に変位する。
【0052】
第1部分231は、リンク当接部212と上下方向に当接する。リンク当接部212が第1部分231に対して上方(すなわち、上下方向の一方側)から当接する。言い換えると、第1部分231がリンク当接部212に対して下方(すなち、上下方向の一方側とは逆の他方側)から当接する。
【0053】
第2部分232は、本体フレーム1と第1方向D1に係合可能である。詳細は後述するが、本体フレーム1は、本体係合部10(
図13参照)を有する。第2部分232は、本体係合部10と第1方向D1に係合可能である。本体係合部10と第2部分232とが係合した状態では、本体係合部10が第2部分232に対して第1方向D1の一方側に位置する。言い換えると、本体係合部10と第2部分232とが係合した状態では、第2部分232は本体係合部10に対して第1方向D1の他方側に位置する。
【0054】
また、ロック部材230は、第2付勢部材233を有する。第2付勢部材233は、たとえば、引張コイルばねである。本体フレーム1は、第2付勢部材233を支持するバネ支持部11を有する。バネ支持部11は、第2部分232と上下方向に間隔を隔てて対向する位置に配置される。バネ支持部11は、第2部分232の下方に配置される。第2付勢部材233は、第2部分232とバネ支持部11との上下方向間に配置される。第2付勢部材233のうち、上側の端部は、第2部分232に取り付けられ、下側の端部は、バネ支持部11に取り付けられる。第2付勢部材233は、第2部分232を下方に引っ張る。
【0055】
<プロセスユニットの取り外し規制>
ユニットフレーム21に4色分の現像カートリッジ200が装着された状態では、
図11に示すように、4色分の現像カートリッジ200(カートリッジ係合部201)は、それぞれ、リンク部材210(リンク係合部211)と第1方向D1に係合していることにより、リンク部材210の第1方向D1の他方側への移動を規制する。すなわち、リンク部材210は、第1付勢部材220の付勢力により第1方向D1の他方側に付勢されているが、第1方向D1の他方側に移動しない。なお、全ての現像カートリッジ200がユニットフレーム21に対して取り外されたときには、第1付勢部材220の付勢力により、
図12に示すように、リンク部材210が第1方向D1の他方側に移動する。詳細は後述する。
【0056】
ここで、ロック部材230は、リンク部材210が第1方向D1に移動することで位置を変位させる部材である。すなわち、リンク部材210が第1方向D1の他方側に移動しなければ、ロック部材230の位置は一定である。
【0057】
具体的には、ユニットフレーム21に4色分の現像カートリッジ200が装着された状態では、ロック部材230は、本体係合部10と第1方向D1に係合可能な第1位置に保持される。
図10に示すロック部材230の位置が第1位置である。このとき、ロック部材230の第1部分231がリンク当接部212と上下方向に当接する。これにより、第1部分231の上方への移動が規制され、ロック部材230は第1位置から変位しない。
【0058】
図10に示す状態で、ユニットフレーム21が第1方向D1の一方側に引き出される。その結果、
図13上図に示すように、ロック部材230の第2部分232と本体係合部10とが第1方向D1に係合する。この状態では、それ以上、ユニットフレーム21を第1方向D1の一方側に引き出せない。言い換えると、ロック部材230は、ユニットフレーム21の第1方向D1の一方側への移動を規制する。
【0059】
図13上図に示す状態までユニットフレーム21を引き出すと、全ての現像カートリッジ200が上方に露出する(
図5参照)。これにより、全ての現像カートリッジ200をユニットフレーム21から取り外すことが可能となる。
【0060】
ここで、
図13上図に示す状態から、たとえば、1~3つの現像カートリッジ200をユニットフレーム21から取り外したとする。しかし、これでは、ユニットフレーム21に残っている現像カートリッジ200とリンク部材210とが未だ第1方向D1に係合しているため、リンク部材210は第1方向D1の他方側に移動せず、ロック部材230が第1位置に保持される。すなわち、ロック部材230の第2部分232と本体係合部10とが第1方向D1に係合した状態で保持される。
【0061】
一方で、全ての現像カートリッジ200がユニットフレーム21から取り外されたとする。この場合、
図12に示すように、リンク部材210は、全ての現像カートリッジ200との第1方向D1の係合が解除されることにより、第1付勢部材220の付勢力で第1方向D1の他方側に移動する。
【0062】
リンク部材210が第1方向D1の他方側に移動することにより、ロック部材230が第1位置から第2位置に変位する。具体的には、リンク部材210が第1方向D1の他方側に移動することにより、
図13下図に示すように、リンク当接部212が第1部分231と上下方向に接触しない位置に移動する。このとき、第1部分231が上方に移動し、第2部分232が下方に移動する。これにより、本体係合部10と第2部分232との第1方向D1の係合が解除される。その結果、本体フレーム1からユニットフレーム21を取り外すことが可能となる。
【0063】
本実施形態では、少なくとも1つの現像カートリッジ200がユニットフレーム21から取り外されず残っていれば、本体フレーム1からのユニットフレーム21取り外しが規制される。すなわち、少なくとも1つの現像カートリッジ200がユニットフレーム21に装着された状態では、画像形成装置100の装置本体(すなわち、本体フレーム1)からプロセスユニット2を取り外すことができない。ユニットフレーム21から全ての現像カートリッジ200が取り外されることにより、装置本体からのプロセスユニット2の取り外しが可能となる。
【0064】
ユニットフレーム21から全ての現像カートリッジ200が取り外されることにより、プロセスユニット2が比較的軽くなる。プロセスユニット2が軽い場合には、プロセスユニット2の持ち運びが容易になる。これにより、プロセスユニット2の取り外しを担う作業者がプロセスユニット2を誤って落下させることを抑制できる。すなわち、プロセスユニット2を安全に取り外すことができる。
【0065】
また、本実施形態では、ロック機構20を用いることにより、容易に、全ての現像カートリッジ200がユニットフレーム21から取り外されたときだけ、プロセスユニット2を装置本体から取り外すことが可能となる構成を得ることができる。
【0066】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 本体フレーム
2 プロセスユニット
20 ロック機構
21 ユニットフレーム
100 画像形成装置
200 現像カートリッジ
210 リンク部材
212 リンク当接部
220 第1付勢部材
230 ロック部材
230A 回動軸
231 第1部分
232 第2部分
233 第2付勢部材
D1 第1方向
D2 第2方向