(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176707
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】仮想空間内業務支援システム、プログラム、及び仮想空間内業務支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095457
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾後 大地
(72)【発明者】
【氏名】三田 夏実
(72)【発明者】
【氏名】武藤 凌也
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】仮想空間においてメンバーのコミュニケーションを促進する技術の提供を目的とする。
【解決手段】複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行う仮想空間内での業務を支援する仮想空間内業務支援システムであって、前記メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けるオブジェクト設定部と、他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、前記メンバーにポイントを付与するポイント付与部と、前記オブジェクト設定部が設定した前記メンバー関連オブジェクトを前記仮想空間に配置する仮想空間制御部と、を備え、前記オブジェクト設定部は、前記ポイントの増加に伴いアップグレードされた前記メンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行う仮想空間内での業務を支援する仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けるオブジェクト設定部と、
他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、前記メンバーにポイントを付与するポイント付与部と、
前記オブジェクト設定部が設定した前記メンバー関連オブジェクトを前記仮想空間に配置する仮想空間制御部と、を備え、
前記オブジェクト設定部は、前記ポイントの増加に伴いアップグレードされた前記メンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けることを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバー関連オブジェクトは、前記メンバーを表現するアバターを含み、
前記オブジェクト設定部は、1又は複数のアバター候補の中から前記メンバーによる前記アバターの選択を受け付け、
保有する前記ポイントが多いほど、選択可能な前記アバター候補の数が多いことを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバー関連オブジェクトは、前記メンバーが所有するアイテムを含み、
前記オブジェクト設定部は、1又は複数のアイテム候補の中から、前記メンバーによる前記アイテムの選択を受け付け、
保有する前記ポイントが多いほど、選択可能な前記アイテム候補の数が多いことを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記ポイント付与部は、前記仮想空間において前記他のメンバーとのコミュニケーションに要した時間に応じて、付与する前記ポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバーの所属情報を取得するメンバー情報取得部を備え、
前記ポイント付与部は、同じ所属の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、異なる所属の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与する前記ポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記オブジェクト設定部は、前記ポイントに対して予め設定されたアバター、又は前記ポイントに対して予め設定されたアイテムを前記メンバーに関連付けることを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバーのコミュニケーションの履歴を管理する履歴管理部を備え、
前記ポイント付与部は、前記履歴においてコミュニケーション量の多い前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、前記コミュニケーション量の少ない前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与する前記ポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバーの業種情報を取得するメンバー情報取得部を備え、
前記ポイント付与部は、同じ業種の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、異なる業種の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与する前記ポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記仮想空間制御部は、領域種別により分類される領域を仮想空間内に設定し、
前記ポイント付与部は、前記メンバー関連オブジェクトであるアバターが配置される領域の前記領域種別に応じた基準を用いて、前記メンバーに付与する前記ポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記ポイント付与部は、前記アバターが所定の前記領域種別の領域に配置される場合、配置時間に応じて前記メンバーに付与する前記ポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項11】
請求項9に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバーの業種情報を取得するメンバー情報取得部を備え、
前記ポイント付与部は、セミナー室を示す前記領域種別の領域に前記アバターが配置される場合、前記領域で扱われる目的業種を特定し、前記目的業種と同じ業種の前記メンバーに対して付与されるポイントよりも、異なる業種の前記メンバーに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与するポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバーに与えられた業務を管理し、前記業務の進捗に関する情報を取得する業務管理部を備え、
前記ポイント付与部は、前記業務の進捗度合いに応じて、付与する前記ポイントを決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項13】
コンピューターの処理部に、複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行う仮想空間内での業務を支援する仮想空間内業務支援方法を実行させるプログラムであって、
前記メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けるオブジェクト設定手順と、
他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、前記メンバーにポイントを付与するポイント付与手順と、
前記オブジェクト設定手順で設定された前記メンバー関連オブジェクトを前記仮想空間に配置する仮想空間制御手順と、を実行させ、
前記オブジェクト設定手順では、前記ポイントの増加に伴いアップグレードされた前記メンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けることを特徴とする、プログラム。
【請求項14】
複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行う仮想空間内での業務を支援する仮想空間内業務支援方法であって、
前記メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けるオブジェクト設定手順と、
他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、前記メンバーにポイントを付与するポイント付与手順と、
前記オブジェクト設定手順で設定された前記メンバー関連オブジェクトを前記仮想空間に配置する仮想空間制御手順と、を備え、
前記オブジェクト設定手順では、前記ポイントの増加に伴いアップグレードされた前記メンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けることを特徴とする、仮想空間内業務支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間内業務支援システム、プログラム、及び仮想空間内業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間内に、ユーザーを表現するアバターを配置し、アバター同士でコミュニケーションを行う技術が発展している。アバターは、ユーザーの化身として仮想空間内を行動する。従業員を仮想空間に出勤させて管理を行うなど、業務における仮想空間の活用が期待されている。
【0003】
特許文献1には、企業や自治体などの各種組織において、その組織のメンバーが仮想空間に集い、互いの状況をアバターを通じて確認できるようにした仮想空間管理システムが開示されている。段落[0023]には、「例えば、アバターGP1には、そのアバターの基本情報を示す基本情報表示部GP11が対応付けられて表示される。」と記載されている。また、段落[0053]には、「アバターGP1は、全ユーザに共通のデザインを適用してもよいし、髪型やアクセサリーなどのパーツ毎に選択可能としてもよい。アバターGP1は、人間を模したデザインである必要はなく、動植物などでもよい。アバターには、通常のアバターGP1、ゴーストアバターGP12、多忙アバターGP1Nなどの複数種類が用意されてもよい。多忙アバターGP1Nは、多忙であり、他ユーザからのビデオ通話を受け付けないことを周囲に知らせるためのアバターである。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、従業員のコミュニケーションが活発化することで、業務の効率化が見込まれる。仮想空間にオフィスを構築して業務支援を行う場合、オフィスのメンバーが直接顔を合わせる機会が減り、メンバー同士の交流が不足する可能性がある。特許文献1に開示された技術は、仮想空間においてコミュニケーションの促進を行うものではない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、仮想空間においてメンバーのコミュニケーションを促進する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る仮想空間内業務支援システムは、複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行う仮想空間内での業務を支援する仮想空間内業務支援システムであって、前記メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けるオブジェクト設定部と、他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、前記メンバーにポイントを付与するポイント付与部と、前記オブジェクト設定部が設定した前記メンバー関連オブジェクトを前記仮想空間に配置する仮想空間制御部と、を備え、前記オブジェクト設定部は、前記ポイントの増加に伴いアップグレードされた前記メンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けることを特徴とする。
【0009】
前記メンバー関連オブジェクトは、前記メンバーを表現するアバターを含み、前記オブジェクト設定部は、1又は複数のアバター候補の中から前記メンバーによる前記アバターの選択を受け付け、保有する前記ポイントが多いほど、選択可能な前記アバター候補の数が多いことを特徴としてもよい。
【0010】
前記メンバー関連オブジェクトは、前記メンバーが所有するアイテムを含み、前記オブジェクト設定部は、1又は複数のアイテム候補の中から、前記メンバーによる前記アイテムの選択を受け付け、保有する前記ポイントが多いほど、選択可能な前記アイテム候補の数が多いことを特徴としてもよい。
【0011】
前記ポイント付与部は、前記仮想空間において前記他のメンバーとのコミュニケーションに要した時間に応じて、付与する前記ポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0012】
前記仮想空間内業務支援システムは、前記メンバーの所属情報を取得するメンバー情報取得部を備え、前記ポイント付与部は、同じ所属の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、異なる所属の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与する前記ポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0013】
前記オブジェクト設定部は、前記ポイントに対して予め設定されたアバター、又は前記ポイントに対して予め設定されたアイテムを前記メンバーに関連付けることを特徴としてもよい。
【0014】
前記仮想空間内業務支援システムは、前記メンバーのコミュニケーションの履歴を管理する履歴管理部を備え、前記ポイント付与部は、前記履歴においてコミュニケーション量の多い前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、前記コミュニケーション量の少ない前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与する前記ポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0015】
前記仮想空間内業務支援システムは、前記メンバーの業種情報を取得するメンバー情報取得部を備え、前記ポイント付与部は、同じ業種の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、異なる業種の前記他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与する前記ポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0016】
前記仮想空間制御部は、領域種別により分類される領域を仮想空間内に設定し、前記ポイント付与部は、前記メンバー関連オブジェクトであるアバターが配置される領域の前記領域種別に応じた基準を用いて、前記メンバーに付与する前記ポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0017】
前記ポイント付与部は、前記アバターが所定の前記領域種別の領域に配置される場合、配置時間に応じて前記メンバーに付与する前記ポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0018】
前記仮想空間内業務支援システムは、前記メンバーの業種情報を取得するメンバー情報取得部を備え、前記ポイント付与部は、セミナー室を示す前記領域種別の領域に前記アバターが配置される場合、前記領域で扱われる業種情報を特定し、前記領域の業種と同じ業種の前記メンバーに対して付与されるポイントよりも、異なる業種の前記メンバーに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与するポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0019】
前記仮想空間内業務支援システムは、前記メンバーに与えられた業務を管理し、前記業務の進捗に関する情報を取得する業務管理部を備え、前記ポイント付与部は、前記業務の進捗度合いに応じて、付与する前記ポイントを決定することを特徴としてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するため、本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピューターの処理部に、複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行う仮想空間内での業務を支援する仮想空間内業務支援方法を実行させるプログラムであって、前記メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けるオブジェクト設定手順と、他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、前記メンバーにポイントを付与するポイント付与手順と、前記オブジェクト設定手順で設定された前記メンバー関連オブジェクトを前記仮想空間に配置する仮想空間制御手順と、を実行させ、前記オブジェクト設定手順では、前記ポイントの増加に伴いアップグレードされた前記メンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けることを特徴とする。
【0021】
また、上記課題を解決するため、本発明の他の態様に係る仮想空間内業務支援方法は、複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行う仮想空間内での業務を支援する仮想空間内業務支援方法であって、前記メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けるオブジェクト設定手順と、他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、前記メンバーにポイントを付与するポイント付与手順と、前記オブジェクト設定手順で設定された前記メンバー関連オブジェクトを前記仮想空間に配置する仮想空間制御手順と、を備え、前記オブジェクト設定手順では、前記ポイントの増加に伴いアップグレードされた前記メンバー関連オブジェクトを前記メンバーに関連付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、仮想空間においてメンバーのコミュニケーションを促進する技術を提供することができる。
【0023】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態の仮想空間内業務支援サービスの概要の一例を示す図である。
【
図2】仮想空間内業務支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】メンバー情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】領域情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】仮想空間管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】仮想空間管理装置によるポイント付与処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】オブジェクト選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。
図1は、本実施形態の仮想空間内業務支援サービスの概要の一例を示す図である。仮想空間内業務支援サービスは、本実施形態の仮想空間内業務支援システムにより実現される。仮想空間内業務支援システムは、いわゆるバーチャルオフィスとして機能する仮想空間300を構築する。仮想空間300は、複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行うために使用される。
【0026】
仮想空間300には、メンバーの各々を表現するアバター301が配置される。
図1に示す仮想空間300には、アバター301A・301B・301C・301Dが配置されている。各アバター301は、
図1に示すように、アイテム302(302A・302B・302C・302D)を所有することができる。また、各アバター301には、
図1に示すように、氏名と所属を記載したメンバーボード303(303A・303B・303C・303D)が付属して表示されてもよい。各アバター301は、メンバーにより操作される。
【0027】
バーチャルオフィスを用いて業務管理を行う場合、メンバー同士が実際に顔を合わせる機会が減ることから、コミュニケーションが不足することが懸念される。本実施形態における仮想空間内業務支援システムは、仮想空間300において、メンバーが他のメンバーとのコミュニケーションを行った場合に報奨を与えることで、メンバー同士のコミュニケーションを活発化させる。
【0028】
より具体的には、本実施形態における仮想空間内業務支援サービスでは、メンバー同士のコミュニケーションに関する実績に基づいて、メンバーにポイントを付与する。付与されたポイントは、仮想空間300に表示されるメンバー関連オブジェクトのアップグレードに用いられる。メンバー関連オブジェクトは、アバター301、及びアイテム302など、メンバーに関するオブジェクトである。変更されたアバター301は、他のメンバーからも視認が可能である。なお、
図1には、初期状態でメンバーに関連付けられるアバター301であるアバター301Bと、アップグレードされたアバター301であるアバター301Aとが含まれている。
【0029】
なお、コミュニケーションは、複数のメンバーの交流であればよく、様々な態様のコミュニケーションが含まれる。例えば、チャット機能を用いた仮想空間300内での文字入力による会話、音声通話、報告フォームを用いた業務進捗報告、オンライン会議やオンラインセミナーの参加等が、本実施形態のコミュニケーションに含まれる。なお、本実施形態のコミュニケーションには、仮想空間300を構築するソフトウェアにより実現するコミュニケーションや、仮想空間300と連携して提供される他のソフトウェアを用いたコミュニケーションだけでなく、メンバー同士が直接対面して行うコミュニケーションが含まれる。
【0030】
一例として、アバター301が他のアバター301の近傍に位置した状態、又は他のアバター301を指定した状態で、所定の入力操作を行うことで、他のアバター301とチャット機能によるコミュニケーションを行うことができる。
図1には、アバター301Aとアバター301Bとが、吹き出し304(304A・304B)を用いて、チャット機能によるコミュニケーションを行っている状況が示されている。
【0031】
他の例として、アバター301が会議室等の領域に入室すると、メンバー端末装置において、会議を実現するオンライン会議システムが起動する。これにより、メンバーは会議によるコミュニケーションに参加したものと取り扱われる。
【0032】
また、
図1に示す仮想空間300には、3つの領域(開発一部の一般執務室311、談話室312、セミナー室313)が含まれている。例えば本実施形態では、メンバーが仮想空間内業務支援サービスにログインすると、各々のメンバーの所属に応じた領域にアバター301が表示される。例えば、「開発一部」に所属するアバター301A・301Bは、メンバーがログインを行うと、開発一部の一般執務室311内に配置される。アバター301が他のアバター301とコミュニケーションを行うと、実績に応じてメンバーにポイントが付与される。なお、アバター301が他の領域に移動すると、領域種別に応じた基準で、アバター301にポイントが付与されるが、詳しくは後述する。
【0033】
図2は、仮想空間内業務支援システム1の機能ブロックの一例を示す図である。仮想空間内業務支援システム1は、仮想空間管理装置10と、複数のメンバー端末装置20と、がネットワークNを介して通信可能に接続される。仮想空間管理装置10は、仮想空間内業務支援システム1を提供する事業者等により管理される情報処理装置であって、例えばサーバーコンピューター、又はPC(Personal Computer)等である。
【0034】
仮想空間管理装置10は、処理部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150とを備える。処理部110は、仮想空間管理装置10の全体を統括的に制御する。記憶部120は、処理部110の処理に必要な情報を記憶する。入力部130は、後述する入力IF14を介して接続された入力装置から、仮想空間管理装置10への情報の入力を受け付ける。出力部140は、後述する出力IF15を介して接続された出力装置から、仮想空間管理装置10に記憶された情報の出力を行う。通信部150は、ネットワークNを介して通信可能に接続された他の情報処理装置との間の情報の送受信を制御する。
【0035】
処理部110は、仮想空間制御部111と、オブジェクト設定部112と、ポイント付与部113と、メンバー情報取得部114と、履歴管理部115と、業務管理部116と、を備える。仮想空間制御部111は、各メンバー端末装置20が仮想的に入室することのできる仮想空間300を制御する。仮想空間制御部111は、後述のオブジェクト設定部112が設定したアバター301を、仮想空間300に配置する。また、仮想空間制御部111は、仮想空間管理装置10又はメンバー端末装置20への入力操作に応じて、領域種別により分類される領域を仮想空間300内に設定する。
【0036】
オブジェクト設定部112は、メンバーに関するオブジェクトであるメンバー関連オブジェクトをメンバーに関連付ける。例えば、オブジェクト設定部112は、複数のメンバーを各々表現するアバター301を決定し、メンバーに関連付けて後述のメンバー情報121に登録する。例えばオブジェクト設定部112は、メンバーの業種に対して、初期設定として定められたアバター301を決定する。
【0037】
オブジェクト設定部112は、ポイントの増加に伴いアップグレードされたメンバー関連オブジェクトを、メンバーに関連付けてメンバー情報121に登録する。オブジェクト設定部112は、高いポイントを獲得したメンバーに対する報奨として、希少性のあるメンバー関連オブジェクトを付与する。例えばオブジェクト設定部112は、ポイントに対して予めアバター候補が設定された、後述のアバター候補情報123を参照することにより、メンバー関連オブジェクトの1つであるアバター301を決定する。また、オブジェクト設定部112は、アバター301が所有するアイテム302を決定する。アイテム302は、アバター301の付属物であってもよいし、仮想空間300に配置される設備等であってもよい。アイテム302は、ポイントに対して予めアイテム候補が設定されたアバター候補情報123を参照することにより決定される。なお、アバター301に対するアイテム302の付与は必須の構成ではなく、アイテム302を保有しないアバター301が存在してもよい。
【0038】
付言すれば、オブジェクト設定部112は、1又は複数のアバター候補の中から、メンバーにより選択されたアバター301を、メンバーのアバター301として設定してもよい。その場合、メンバーが保有するポイントが多いほど、選択可能なアバター候補の数が多い。また、オブジェクト設定部112は、1又は複数のアイテム候補の中から、アバター301が所有するアイテム302の選択を受け付けてもよい。その場合、メンバーが保有するポイントが多いほど、選択可能なアイテム候補の数が多い。
【0039】
ポイント付与部113は、他のメンバーとのコミュニケーションに関する実績に基づいて、メンバーにポイントを付与する。ポイント付与部113は、アバター301が配置される領域の領域種別に応じた基準を用いて、付与するポイントを決定する。例えばポイント付与部113は、アバター310が所定の領域に配置されている場合、仮想空間300において他のメンバーとのコミュニケーションに要した時間に応じて、付与するポイントを決定する。また、ポイント付与部113は、コミュニケーションに参加するメンバーの所属や業種に応じて、付与するポイントを異ならせる。ポイント付与部113は、コミュニケーションに参加するメンバーとのコミュニケーションの履歴に応じて、付与するポイントを異ならせる。また、ポイント付与部113は、業務の進捗度合いに応じて、付与するポイントを決定する。
【0040】
なお、ポイント付与部113は、メンバーが他のメンバーと対面で行ったコミュニケーションに関する実績に基づいて、ポイントを付与してもよい。例えば、ポイント付与部は、コミュニケーションに参加したメンバーを特定する情報と、対面でのコミュニケーションの所要時間等の入力操作を受け付け、当該コミュニケーションにポイントを付与してもよい。
【0041】
メンバー情報取得部114は、後述のメンバー情報121の中から、ポイントを付与するメンバーの所属情報を取得する。また、メンバー情報取得部114は、メンバー情報121の中から、ポイントを付与するメンバーの業種情報を取得する。履歴管理部115は、メンバーのコミュニケーションの履歴を管理する。業務管理部116は、メンバーに与えられた業務を管理し、業務の進捗に関する業務進捗情報を取得する。
【0042】
記憶部120は、メンバー情報121と、業務情報122と、アバター候補情報123と、履歴情報124と、領域情報125と、ポイント基準情報126と、を記憶する。メンバー情報121は、仮想空間300にアバター301が配置されるメンバーに関する情報である。業務情報122は、メンバーに与えられた業務に関する情報である。アバター候補情報123は、ポイントと、アバター候補及びアイテム候補と、が関連付けられた情報である。なお、アバター候補情報123は、メンバーの保有ポイントに応じて一意にアバター301及びアイテム302が決定される情報であってもよいし、1又は複数のアバター候補及びアイテム候補に対して、選択することのできるポイントの範囲が関連付けられた情報であってもよい。履歴情報124は、メンバーが実行したコミュニケーションの履歴に関する情報である。
【0043】
領域情報125は、仮想空間300に設定される領域に関する情報である。ポイント基準情報126は、付与されるポイントの基準となる情報である。なお、ポイント付与部113は、ポイント基準情報126に基づいてポイントを決定する。
【0044】
メンバー端末装置20は、例えばPC又はスマートフォン等の情報処理装置であって、メンバーにより操作される。メンバー端末装置20は、処理部210と、記憶部220と、入力部230と、出力部240と、通信部250とを備える。処理部210は、メンバー端末装置20の全体を統括的に制御する。記憶部220は、処理部210の処理に必要な情報を記憶する。入力部230は、入力IFを介して接続された入力装置から、メンバー端末装置20への情報の入力を受け付ける。出力部240は、出力IFを介して接続された出力装置から、メンバー端末装置20に記憶された情報の出力を行う。通信部250は、ネットワークNを介して通信可能に接続された他の情報処理装置との間の情報の送受信を制御する。
【0045】
なお、処理部210は、予めメンバー端末装置20にインストールされたソフトウェアを用いて、仮想空間管理装置10により管理される仮想空間300に参加する。処理部210は、ブラウザプログラムにより仮想空間300に参加してもよい。
【0046】
処理部210は、オブジェクト設定受付部211と、コミュニケーション実行部212と、を備える。オブジェクト設定受付部211は、選択可能に表示されたアバター候補の中から、メンバーによるアバター301の選択を受け付ける。また、オブジェクト設定受付部211は、選択可能に表示されたアイテム候補の中から、メンバーによるアイテム302の選択を受け付ける。なお、仮想空間管理装置10のオブジェクト設定部112が、ポイントを用いて一意に定まるアバターやアイテム302を、メンバーのアバター301及びアイテム302に決定する場合、処理部210はオブジェクト設定受付部211を有していなくてもよい。
【0047】
コミュニケーション実行部212は、メンバーの入力操作に応じて、他のアバター301とのコミュニケーションを実行する。
【0048】
図3は、メンバー情報121のデータ構造の一例を示す図である。メンバー情報121は、例えばメンバーIDと、所属IDと、業種IDと、保有ポイントと、アバターと、アイテムとを含む。メンバーIDは、メンバーを特定する識別情報である。所属IDは、メンバーの所属する部署等を特定する識別情報である。業種IDは、メンバーの業種を特定する識別情報である。保有ポイントは、メンバーが保有するポイントを示す値である。アバターは、メンバーを表現するアバター301のデザインを特定する情報である。アイテム302は、メンバーを表現するアバター301のアイテム302のデザインを特定する情報である。
【0049】
図4は、履歴情報124のデータ構造の一例を示す図である。履歴情報124は、例えばメンバーIDと、コミュニケーションIDと、所要時間と、コミュニケーション対象と、領域種別と、付与ポイントと、を含む。メンバーIDは、メンバーを特定する識別情報である。コミュニケーションIDは、メンバーが実行したコミュニケーションを特定する識別情報である。所要時間は、コミュニケーションIDにより特定されるコミュニケーションに要した時間を示す。
【0050】
コミュニケーション対象は、コミュニケーションの対象となる1又は複数の他のメンバーを特定する識別情報である。領域種別は、コミュニケーションが行われた仮想空間300の領域種別を特定する情報である。領域種別については後述する。付与ポイントは、コミュニケーションの実行においてメンバーに付与されたポイントを示す。
【0051】
図5は、領域情報125のデータ構造の一例を示す図である。領域情報125は、ロケーションIDと、領域種別と、使用時刻と、主催者と、参加者と、目的業種と、を含む。ロケーションIDは、領域が設置される仮想空間300上の位置を特定する識別情報である。領域種別は、領域を分類する領域種別を示す情報である。例えば領域種別は、「一般執務室」、「談話室」、「会議室」、「セミナー室」等、領域の使用目的により分類される。本実施形態では、コミュニケーションが実行された領域の領域種別に応じて異なる基準でポイントが付与される。
【0052】
使用時刻は、領域の使用開始時刻及び使用終了時刻を示す。使用時刻は、使用を予定する時刻であってもよい。主催者は、領域において実行されるコミュニケーションの主催者を特定する情報である。参加者は、領域において実行されるコミュニケーションの参加者を特定する情報である。目的業種は、領域において実行されるコミュニケーションの目的となる業種を特定する情報である。
【0053】
例えば、領域種別が「一般執務室」又は「談話室」である領域は、不特定多数のメンバーが利用することができる。そのため、領域種別が「一般執務室」又は「談話室」である領域情報125のレコードには、使用時刻、主催者、参加者、及び目的業種を示す情報が格納されない。一方、領域種別が「会議室」、又は「セミナー室」である領域情報125のレコードには、例えばコミュニケーションの主催者の入力操作に応じて、使用時刻、主催者、参加者、及び目的業種を示す情報が格納される。
【0054】
図6は、仮想空間管理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。仮想空間管理装置10は、演算装置11と、メモリ12と、外部記憶装置13と、入力IF(Interface)14と、出力IF15と、通信IF16とを備え、各構成要素はバスにより接続されている。
【0055】
演算装置11はCPU(Central Processing Unit)等の演算装置であり、メモリ12又は外部記憶装置13に記録されたプログラムに従って処理を実行する仮想空間管理装置10では、メモリ12又は外部記憶装置13上に読み出されたプログラムに従って動作する演算装置11により処理が行われる。処理部110は、演算装置11がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0056】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。外部記憶装置13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、CD-R(Compact Disc- Recordable)、DVD-RAM(Digital Versatile Disk-Random Access Memory)等の書き込み及び読み出し可能な記憶メディア及び記憶メディア駆動装置等である。記憶部120は、メモリ12又は外部記憶装置13によりその機能が実現される。なお、記憶部120は、通信IF16を介して接続される記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0057】
入力IF14は、操作者からの入力操作を受け付けるためのインターフェイスであり、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイク等の入力装置が接続される。出力IF15は、仮想空間管理装置10に内蔵されたOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の出力装置に対して情報を出力するためのインターフェイスである。
【0058】
通信IF16は、仮想空間管理装置10をネットワークNに接続するためのインターフェイスであって、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信デバイスが接続される。なお、仮想空間管理装置10は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の可搬性のメディアから情報を入出力する図示しない記憶媒体駆動装置を有していてもよい。
【0059】
なお、仮想空間管理装置10の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、仮想空間管理装置10の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0060】
メンバー端末装置20のハードウェア構成は、仮想空間管理装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
図7は、仮想空間管理装置10によるポイント付与処理の一例を示すフローチャートである。本処理開始前に、メンバー端末装置20の処理部210は、メンバーによるログインの入力操作を受け付けると、仮想空間管理装置10にログイン情報を送信する。仮想空間管理装置10の仮想空間制御部111は、メンバーを表現するアバター301を、仮想空間300の所定の領域に配置する。
【0062】
まず、業務管理部116は、業務進捗報告をメンバー端末装置20から受信したか否かを判定する(ステップS11)。メンバーが業務進捗報告を行う場合、メンバー端末装置20のコミュニケーション実行部212は、報告フォームに対する、業務の進捗に関する情報の入力操作を受け付ける。コミュニケーション実行部212は、入力された情報を仮想空間管理装置10に送信する。本ステップにおいて、業務管理部116は、業務進捗情報を、メンバー端末装置20から受信したか否かを判定する。なお、業務管理部116は、業務そのものを示す情報をメンバー端末装置20から受信して、業務情報122と照合することにより進捗を判断し、業務進捗報告を受信したものと判定してもよい。
【0063】
業務管理部116が、業務進捗報告を受信していないと判定する場合(ステップS11で「NO」の場合)、ポイント付与部113は、アバター301が所定の領域に移動したか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、メンバー端末装置20のコミュニケーション実行部212が、アバター301を移動させる入力操作を受け付けると、仮想空間管理装置10に入力された情報を送信する。コミュニケーション実行部212が、所定の領域種別の領域に、アバター301を入室させる入力操作を受け付けた場合、ポイント付与部113は、アバター301が所定の領域に移動したと判定する。例えば、ポイント付与部113は、「談話室」、「会議室」、又は「セミナー室」の領域種別の領域への入力操作を受け付けたことを示す情報を受信した場合、所定の領域に移動したと判定する。本例において、ポイント付与部113が、所定の領域に移動しないと判定する場合、アバター301は「一般執務室」に配置されている。
【0064】
ポイント付与部113が、アバター301が所定の領域に移動していないと判定する場合(ステップS12で「NO」の場合)、コミュニケーションの実行を検知したか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、ポイント付与部113は、アバター301が、他のアバター301とのコミュニケーションを開始し、終了した場合に、コミュニケーションの実行を検知したと判定する。ポイント付与部113は、コミュニケーションの実行を検知していないと判定する場合(ステップS13で「NO」の場合)、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0065】
ポイント付与部113が、コミュニケーションの実行を検知したと判定する場合(ステップS13で「YES」の場合)、コミュニケーションの参加者を特定する(ステップS14)。具体的には、ポイント付与部113は、仮想空間制御部111に仮想空間の状況を問い合わせることにより、コミュニケーションの参加者を特定する。
【0066】
次に、ポイント付与部113は、所要時間・参加者数・所属・業種・及びコミュニケーション履歴に応じて、付与するポイントを決定する(ステップS15)。具体的には、ポイント付与部113は、ステップS13で実行を検知したコミュニケーションの所要時間を特定する。ポイント付与部113は、参加者の人数を特定する。メンバー情報取得部114は、メンバー情報121を参照し、各々の参加者の所属及び業種を特定する。履歴管理部115は、履歴情報124を参照し、参加者ごとに、ポイントを付与する対象のメンバーとの過去のコミュニケーション量を特定する。コミュニケーション量は、例えば過去に実行されたコミュニケーションの回数又は総所要時間である。過去のコミュニケーションには、ステップS13において実行を検知したコミュニケーションは含まれない。
【0067】
ポイント基準情報126には、アバター301が位置する領域の領域種別ごとに、ポイントの決定に用いる条件の種別である条件種別と基準値との組み合わせに対し、加算するポイントが関連付けられている。本ステップにおいて、ポイント付与部113は、「一般執務室」である領域種別に対して設定されたポイント基準情報126を使用する。ポイント付与部113は、「所要時間」の条件種別を参照し、特定した所要時間に対応する基準値と関連するポイントを、付与するポイントとして加算する。ポイント付与部113は、所要時間が長いほど、付与するポイントが多くなるようポイントを決定する。
【0068】
同様に、ポイント付与部113は、「参加者数」、「所属」、「業種」、及び「コミュニケーション履歴」の条件種別を参照し、特定した参加者数、所属、業種、及びコミュニケーション履歴に対応する基準値と関連するポイントを、付与するポイントとして加算する。
【0069】
例えば、ポイント付与部113は、コミュニケーションの参加者数が多いほど、付与するポイントが多くなるよう決定する。また、ポイント付与部113は、ポイントを付与する対象のメンバーが、自分と異なる環境で業務を行っている他のメンバーとコミュニケーションを実行した場合に、付与するポイントがより多くなるよう、ポイントを決定する。例えば、ポイントの付与対象であるメンバーと所属又は業種が共通する他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、所属又は業種が異なる他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与するポイントを決定する。
【0070】
また、ポイント付与部113は、履歴情報124において、過去のコミュニケーション量の多い他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントよりも、コミュニケーション量の少ない他のメンバーとのコミュニケーションに対して付与されるポイントの方が多くなるよう、付与するポイントを決定する。
【0071】
その結果、業務上関連の薄い相手とのコミュニケーションや、これまでコミュニケーションの機会が少なかった相手とコミュニケーションに対して、より多いポイントが付与される。
【0072】
次に、ポイント付与部113は、履歴情報124を更新する(ステップS16)。具体的には、ポイント付与部113は、ステップS15で決定したポイントを含む履歴情報124のレコードを生成する。その後、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0073】
ステップS12において、ポイント付与部113が、アバター301が所定の領域に移動したと判定する場合(ステップS12で「YES」の場合)、アバター301が談話室312に移動したか否かを判定する(ステップS17)。
【0074】
ポイント付与部113は、アバター301が談話室312に移動したと判定する場合(ステップS17で「YES」の場合)、配置時間に応じて、付与するポイントを決定する(ステップS18)。本実施形態において、領域種別が「談話室」である領域は、交流を目的としており、積極的なコミュニケーションを行う意思のあるメンバーが入室する。従って、ポイント付与部113は、他のメンバーとコミュニケーションを行っているか否かに関わらず、アバター301が「談話室」に配置されている状態に報奨を与える。即ち、ポイント付与部113は、ポイント基準情報126を参照し、アバター301が談話室312に配置された時間と対応する基準値と関連するポイントを、付与するポイントとして加算する。なお、ポイント付与部113は、配置時間が長い場合の方が、短い場合の方よりもポイントが多くなるよう、付与するポイントを決定する。
【0075】
次に、ステップS19で実行される処理は、ステップS16で実行される処理と同様であるため、説明を省略する。その後、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0076】
ポイント付与部113が、アバター301が談話室312に移動していないと判定する場合(ステップS17で「NO」の場合)、領域種別に応じて、付与するポイントを決定する(ステップS20)。先述したように、ポイント基準情報126には、アバター301が位置する領域の領域種別ごとに、ポイントの決定に用いる条件の種別である条件種別と基準値との組み合わせに対し、加算するポイントが関連付けられている。例えば、領域種別が「セミナー室」である場合、ポイント基準情報126には、領域の目的業種とメンバーの業種とが異なる場合に、領域の目的業種とメンバーの業種とが共通する場合よりも多くのポイントが付与されるよう、条件種別が設定されている。従って、アバター301が移動した領域が「セミナー室」である場合、ポイント付与部113は、領域情報125を参照して、該当の領域の目的業種を特定し、メンバーの業種と共通するか否かを判定して、付与するポイントを決定する。
【0077】
また例えば、領域種別が「会議室」である場合、ポイント基準情報126には、会議の参加者数に応じたポイントが付与されるよう設定されている。ポイント付与部113は、会議の参加者数を用いてポイント情報を参照することにより、付与するポイントを決定する。
【0078】
次に、ステップS21で実行される処理は、ステップS16で実行される処理と同様であるため、説明を省略する。その後、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0079】
ステップS11において、業務管理部116が、業務進捗報告を受信したと判定する場合(ステップS11で「YES」の場合)、ポイント付与部113は、業務内容に応じて、付与するポイントを決定する(ステップS22)。具体的には、ポイント付与部113は、ポイント基準情報126を参照し、ステップS11で受信した業務進捗報告に対応する条件種別の基準値と、受信した業務進捗報告とを照合することにより、付与するポイントを決定する。なお、ポイント付与部113は、例えばメンバーを管理する管理者による、ポイントの入力操作を受け付けてもよい。また、ポイント付与部113は、業務の進捗ではなく、作業の内容に応じて付与するポイントを決定してもよい。
【0080】
次に、ステップS23で実行される処理は、ステップS16で実行される処理と同様であるため、説明を省略する。その後、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0081】
以上、本実施形態によれば、メンバーのコミュニケーションの実績に基づいて、メンバーにポイントを付与するため、メンバーに対し、積極的にコミュニケーションを行う動機付けを与えることができる。また、異なる環境で業務を行う他のメンバーとのコミュニケーションの方が、より多いポイントが付与されることから、価値観の均質化の予防が促進される。
【0082】
また、これまでのコミュニケーション量が少ない他のメンバーとのコミュニケーションの方が、より多いポイントが付与されるため、より多くのメンバーとコミュニケーションが行われるよう促すことができる。また、積極的にコミュニケーションを行う意欲のあるアバター310が配置される領域を設け、配置時間に応じてポイントを付与することで、メンバーのコミュニケーションに対する意欲を向上させることができる。
【0083】
図8は、オブジェクト選択画面400の一例を示す図である。オブジェクト選択画面400は、メンバー端末装置20において、メンバーによるアバター301の設定開始の入力操作を受け付けた場合に表示される。なお、メンバーの保有ポイントに応じて、一意にアバター301及びアイテム302が決定する場合、メンバー端末装置20は、本画面を表示しなくてもよい。
【0084】
オブジェクト選択画面400は、設定アバター表示領域401と、アバター選択領域402と、アイテム選択領域403と、を有する。設定アバター表示領域401は、アバター選択領域402及びアイテム選択領域403に対する入力操作に応じて、設定されたアバター301が表示される領域である。設定アバター表示領域401には、メンバーが保有するポイントが表示されてもよい。
【0085】
アバター選択領域402は、メンバーが選択することのできる1又は複数のアバター候補を選択可能に表示する領域である。仮想空間管理装置10のオブジェクト設定部112は、メンバー情報121に含まれる保有ポイントを用いてアバター候補情報123を参照することにより、メンバーが選択することのできるアバター候補を決定し、メンバー端末装置20に通知することにより、アバター選択領域402に表示させる。なお、保有するポイントが多いほど、選択可能なアバター301の数が多い。また、アバター選択領域402に表示されるアバター候補は、グレードに応じて配列されてもよい。例えば、アバター候補は、右方向に表示されるにつれてグレードが高くなるよう、アバター選択領域402に配列される。より多くのポイントを保有するメンバーほど、グレードの高いアバター候補を選択することができる。
【0086】
アイテム選択領域403は、メンバーが選択することのできる1又は複数のアイテム候補を選択可能に表示する領域である。仮想空間管理装置10のオブジェクト設定部112は、メンバー情報121に含まれる保有ポイントを用いてアバター候補情報123を参照することにより、メンバーが選択することのできるアイテム候補を決定し、メンバー端末装置20に通知することにより、アイテム選択領域403に表示させる。なお、保有するポイントが多いほど、選択可能なアイテム数が多い。付言すれば、アイテム302は、
図8に示すようなアバター301の付属物であってもよいし、仮想空間300に配置されるオフィスチェアやワークスペース等の設備であってもよい。
【0087】
また、アバター選択領域402に表示されるアイテム候補は、アバター選択領域402に表示されるアバター候補と同様に、グレードに応じて配列されてもよい。例えば、アイテム候補は、右方向に表示されるにつれてグレードが高くなるよう、アイテム選択領域403に配列される。より多くのポイントを保有するメンバーほど、グレードの高いアイテム候補を選択することができる。
【0088】
メンバー端末装置20のオブジェクト設定受付部211は、アバター選択領域402に表示されたアバター候補の中からアバター301の選択を受け付けると、仮想空間管理装置10に通知する。同様に、オブジェクト設定受付部211は、アイテム選択領域403に表示されたアイテム候補の中からアイテム302の選択を受け付けると、仮想空間管理装置10に通知する。仮想空間管理装置10のオブジェクト設定部112は、選択されたアバター301及びアイテム302を、メンバー情報121に記録する。
【0089】
なお、仮想空間管理装置10のオブジェクト設定部112は、メンバーが選択可能なアバター候補やアイテム候補が存在するにも関わらず、アバター301又はアイテム302が一定期間変更されない場合、メンバーに対してアバター301又はアイテム302の変更を促すよう通知してもよい。
【0090】
付言すれば、
図8に示すオブジェクト選択画面400のアイテム選択領域403には、「開発業務必須アイテム」として、筆記用具が記載され、設定アバター表示領域401に記載されたアバター301は、当該筆記用具を把持している。このように、メンバーの所属によって、必須のアイテム302が存在してもよい。また、メンバーの所属によって、アバター301の一部(例えば衣服等)が共通するよう、アバター候補が設定されていてもよい。これにより、仮想空間300に配置されたアバター301を視認した他のメンバーが、アバター301により表現されるメンバーの所属を認識することができる。
【0091】
以上、本実施形態によれば、保有ポイントに応じて、仮想空間300に表示されるアバター301やアイテム302のアップグレードが可能となる。従って、仮想空間300のメンバー関連オブジェクトを参照すれば、メンバーがコミュニケーションに積極的かどうかを判別することができる。これにより、メンバーがコミュニケーションを行うことの動機付けとなるため、メンバー間のコミュニケーションが活発化する。
【0092】
なお、本実施形態では、仮想空間内業務支援システム1が、会社のメンバーのコミュニケーションに使用する仮想空間300を提供する例を説明した。しかしながら、仮想空間内業務システムが提供する仮想空間300の参加者は、同じ会社のメンバーに限定されない。例えば、地方自治体の職員や住民、自治会等の任意団体やグループ会社のメンバーなど、あらゆる参加者に対して、本実施形態の仮想空間300を提供することができる。
【0093】
以上、本発明に係る各実施形態の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0094】
また、上記の仮想空間管理装置10、及びメンバー端末装置20の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。上述に示す通り、仮想空間管理装置10、及びメンバー端末装置20の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【符号の説明】
【0095】
1:仮想空間内業務支援システム、10:仮想空間管理装置、11:演算装置、12:メモリ、13:外部記憶装置、14:入力IF、15:出力IF、16:通信IF、20:メンバー端末装置、110・210:処理部、111:仮想空間制御部、112:オブジェクト設定部、113:ポイント付与部、114:メンバー情報取得部、115:履歴管理部、116:業務管理部、120・220:記憶部、121:メンバー情報、122:業務情報、123:アバター候補情報、124:履歴情報、125:領域情報、126:ポイント基準情報、130・230:入力部、140・240:出力部、150・250:通信部、211:オブジェクト設定受付部、212:コミュニケーション実行部、300:仮想空間、301・301A・301B・301C・301D:アバター、302A・302B/302C・302D:アイテム、303・303A・303B・303C・303D:メンバーボード、304・304A・304B:吹き出し、311:一般執務室、312:談話室、313:セミナー室、400:オブジェクト選択画面、401:設定アバター表示領域、402:アバター選択領域、403:アイテム選択領域、N:ネットワーク