(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176715
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】仮想空間内業務支援システム、プログラム、及び仮想空間内業務支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095473
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 夏実
(72)【発明者】
【氏名】武藤 凌也
(72)【発明者】
【氏名】尾後 大地
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】仮想空間においてメンバーの自由なコミュニケーションを促進する技術の提供を目的とする。
【解決手段】仮想空間内業務支援システムであって、メンバーを表現するアバターに対して前記メンバーの名前を関連付けて仮想空間内に表示する仮想空間制御部と、前記仮想空間における前記アバターの位置を取得する位置取得部と、前記仮想空間への表示を抑制する情報を決定する表示抑制決定部と、を備え、前記表示抑制決定部は、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前の表示を抑制することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンバーを表現するアバターに対して前記メンバーの名前を関連付けて仮想空間内に表示する仮想空間制御部と、
前記仮想空間における前記アバターの位置を取得する位置取得部と、
前記仮想空間への表示を抑制する情報を決定する表示抑制決定部と、を備え、
前記表示抑制決定部は、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前の表示を抑制することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記メンバーの属性の項目に対応する属性情報を登録する属性登録部を備え、
前記仮想空間制御部は、前記アバターに対して前記メンバーの前記属性情報を関連付けて表示し、
前記表示抑制決定部は、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合には、所定の項目の前記属性情報の表示を抑制することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記属性登録部は、1又は複数の属性情報の中から、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合に表示する又は表示しない属性情報の選択を受け付け、
前記表示抑制決定部は、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記属性登録部が受け付けた前記選択に基づいて、表示を抑制する前記属性情報を決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
複数の前記メンバーの前記属性情報を用いて、あるメンバーが特定される可能性のある前記属性情報である個人推定情報を決定する個人推定情報判定部を備え、
前記仮想空間制御部は、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記アバターが表現する前記メンバーの前記個人推定情報を非表示にし、他の前記属性情報を表示することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記個人推定情報判定部は、前記項目ごとに、共通の前記属性情報を有する前記メンバーの数を特定し、前記メンバーの数が所定数以下である前記項目の前記属性情報を前記個人推定情報に決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記表示抑制決定部は、仮想空間の表示指示を受け付けた前記メンバーの属性情報と、前記仮想空間内に前記アバターが配置される他のメンバーの属性情報と、の関係に基づいて、前記他のメンバーの属性情報のうち、表示を抑制する前記属性情報を決定し、
前記仮想空間制御部は、前記仮想空間の表示指示を受け付けた前記メンバーに対し、前記表示抑制決定部の決定に基づいた前記属性情報を表示することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記表示抑制決定部は、前記仮想空間の表示指示を受け付けた前記メンバーと、前記他のメンバーの各々と、の関係を評価した関係レベルを前記他のメンバーごとに決定し、前記関係レベルと開示すべき属性情報の前記項目とが関連付けられた開示情報を用いて、前記他のメンバーごとに表示を抑制する前記属性情報を決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項8】
請求項2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記属性登録部は、前記領域において取り扱う主題の登録要求を受け付け、
前記表示抑制決定部は、前記主題と関連の薄い前記属性情報を、表示を抑制する前記属性情報に決定することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の仮想空間内業務支援システムであって、
前記表示抑制決定部は、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前に代えて表示する仮名を決定し、
前記仮想空間制御部は、前記仮名を前記アバターに関連付けて表示することを特徴とする、仮想空間内業務支援システム。
【請求項10】
コンピューターの処理部に仮想空間内業務支援方法を実行させるプログラムであって、
メンバーを表現するアバターに対して前記メンバーの名前を関連付けて仮想空間内に表示する仮想空間制御手順と、
前記仮想空間における前記アバターの位置を取得する位置取得手順と、
前記仮想空間への表示を抑制する情報を決定する表示抑制決定手順と、を前記コンピューターに実行させ、
前記表示抑制決定手順では、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前の表示を抑制することを特徴とする、プログラム。
【請求項11】
仮想空間内業務支援システムによる仮想空間内業務支援方法であって、
メンバーを表現するアバターに対して前記メンバーの名前を関連付けて仮想空間内に表示する仮想空間制御手順と、
前記仮想空間における前記アバターの位置を取得する位置取得手順と、
前記仮想空間への表示を抑制する情報を決定する表示抑制決定手順と、を備え、
前記表示抑制決定手順では、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前の表示を抑制することを特徴とする、仮想空間内業務支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間内業務支援システム、プログラム、及び仮想空間内業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間内に、ユーザーを表現するアバターを配置し、アバター同士でコミュニケーションを行う技術が発展している。アバターは、ユーザーの化身として仮想空間内を行動する。従業員を仮想空間に出勤させて管理を行うなど、業務における仮想空間の活用が期待されている。
【0003】
特許文献1には、出勤者及び在宅者の双方が交流可能な仮想空間をユーザ端末に提供する仮想オフィスシステムが開示されている。段落[0039]には、「ユーザXの本人アバター(X)が他人アバター(Y)の個人空間404に入ったとき、ユーザ端末300(X)の表示部228はステータスパネル422を表示させる。」と記載されている。また、段落[0074]には、「このほかにも、ステータス情報は役職、所属部署、趣味、自己紹介などを含んでもよい。また、ユーザXがアバター(X)を介してアバター(Y)を視認したときには、ステータス管理部124はユーザXとユーザYの最近1ヶ月間の会話回数、総会話時間、前回の会話日時、初対面か否かなどの二人の関係性に基づく情報をステータス情報としてユーザ端末300に提供してもよい。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、従業員のコミュニケーションが活発化することで、業務の効率化が見込まれる。仮想空間にオフィスを構築して業務支援を行う場合、オフィスのメンバーが直接顔を合わせる機会が減り、メンバー同士の交流が不足する可能性がある。従って、実際に顔を合わせる必要のない仮想空間の利点を活用した、自由なコミュニケーションを促す仕組みが期待される。特許文献1に開示された技術は、仮想空間においてコミュニケーションの促進を行うものではない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、仮想空間においてメンバーの自由なコミュニケーションを促進する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る仮想空間内業務支援システムは、メンバーを表現するアバターに対して前記メンバーの名前を関連付けて仮想空間内に表示する仮想空間制御部と、前記仮想空間における前記アバターの位置を取得する位置取得部と、前記仮想空間への表示を抑制する情報を決定する表示抑制決定部と、を備え、前記表示抑制決定部は、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前の表示を抑制することを特徴とする。
【0009】
前記仮想空間内業務支援システムは、前記メンバーの属性の項目に対応する属性情報を登録する属性登録部を備え、前記仮想空間制御部は、前記アバターに対して前記メンバーの前記属性情報を関連付けて表示し、前記表示抑制決定部は、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合には、所定の項目の前記属性情報の表示を抑制することを特徴としてもよい。
【0010】
前記属性登録部は、1又は複数の属性情報の中から、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合に表示する又は表示しない属性情報の選択を受け付け、前記表示抑制決定部は、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記属性登録部が受け付けた前記選択に基づいて、表示を抑制する前記属性情報を決定することを特徴としてもよい。
【0011】
前記仮想空間内業務支援システムは、複数の前記メンバーの前記属性情報を用いて、あるメンバーが特定される可能性のある前記属性情報である個人推定情報を決定する個人推定情報判定部を備え、前記仮想空間制御部は、前記所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記アバターが表現する前記メンバーの前記個人推定情報を非表示にし、他の前記属性情報を表示することを特徴としてもよい。
【0012】
前記個人推定情報判定部は、前記項目ごとに、共通の前記属性情報を有する前記メンバーの数を特定し、前記メンバーの数が所定数以下である前記項目の前記属性情報を前記個人推定情報に決定することを特徴としてもよい。
【0013】
前記表示抑制決定部は、仮想空間の表示指示を受け付けた前記メンバーの属性情報と、前記仮想空間内に前記アバターが配置される他のメンバーの属性情報と、の関係に基づいて、前記他のメンバーの属性情報のうち、表示を抑制する前記属性情報を決定し、前記仮想空間制御部は、前記仮想空間の表示指示を受け付けた前記メンバーに対し、前記表示抑制決定部の決定に基づいた前記属性情報を表示することを特徴としてもよい。
【0014】
前記表示抑制決定部は、前記仮想空間の表示指示を受け付けた前記メンバーと、前記他のメンバーの各々と、の関係を評価した関係レベルを前記他のメンバーごとに決定し、前記関係レベルと開示すべき属性情報の前記項目とが関連付けられた開示情報を用いて、前記他のメンバーごとに表示を抑制する前記属性情報を決定することを特徴としてもよい。
【0015】
前記属性登録部は、前記領域において取り扱う主題の登録要求を受け付け、前記表示抑制決定部は、前記主題と関連の薄い前記属性情報を、表示を抑制する前記属性情報に決定することを特徴としてもよい。
【0016】
前記表示抑制決定部は、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前に代えて表示する仮名を決定し、前記仮想空間制御部は、前記仮名を前記アバターに関連付けて表示することを特徴としてもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピューターの処理部に仮想空間内業務支援方法を実行させるプログラムであって、メンバーを表現するアバターに対して前記メンバーの名前を関連付けて仮想空間内に表示する仮想空間制御手順と、前記仮想空間における前記アバターの位置を取得する位置取得手順と、前記仮想空間への表示を抑制する情報を決定する表示抑制決定手順と、を前記コンピューターに実行させ、前記表示抑制決定手順では、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前の表示を抑制することを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の他の態様に係る仮想空間内業務支援方法は、仮想空間内業務支援システムによる仮想空間内業務支援方法であって、メンバーを表現するアバターに対して前記メンバーの名前を関連付けて仮想空間内に表示する仮想空間制御手順と、前記仮想空間における前記アバターの位置を取得する位置取得手順と、前記仮想空間への表示を抑制する情報を決定する表示抑制決定手順と、を備え、前記表示抑制決定手順では、前記仮想空間内の所定の領域に前記アバターが配置される場合に、前記名前の表示を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、仮想空間においてメンバーの自由なコミュニケーションを促進する技術を提供することができる。
【0020】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態の仮想空間内業務支援サービスの概要の一例を示す図である。
図1(A)は、仮想空間内の一領域を説明するための図(その1)であり、
図1(B)は、仮想空間内の一領域を説明するための図(その2)であり、
図1(C)は、仮想空間内の一領域を説明するための図(その3)である。
【
図2】仮想空間内業務支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】メンバー情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】仮想空間管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】仮想空間管理装置による表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の変形例における仮想空間内業務支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。
【
図7】仮想空間管理装置における個人推定情報決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の変形例における表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】関係レベル情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図10】第3の変形例における表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。
図1は、本実施形態の仮想空間内業務支援サービスの概要の一例を示す図である。
図1(A)は、仮想空間300内の一領域を説明するための図(その1)であり、
図1(B)は、仮想空間300内の一領域を説明するための図(その2)であり、
図1(C)は、仮想空間300内の一領域を説明するための図(その3)である。
【0023】
仮想空間内業務支援サービスは、本実施形態の仮想空間内業務支援システムにより実現される。仮想空間内業務支援システムは、いわゆるバーチャルオフィスとして機能する仮想空間300を構築する。仮想空間300は、複数のメンバーが参加し前記メンバーの間で情報の交換を行うために使用される。仮想空間300には、メンバーの各々を表現するアバター301が配置される。各アバター301は、メンバーにより操作される。また、各アバター301には、プロフィール302が関連付けられて表示される。
【0024】
本実施形態では、プロフィール302を表示するための入力操作を必要とせず、アバター301が表示される際にアバター301と共にプロフィール302が表示されるが、アバターを選択する等の入力操作を受け付けた場合に限りプロフィール302が表示されてもよい。
【0025】
図1(A)は、仮想空間300の領域300Aの概要を示している。領域300Aは、例えばメンバーが通常時に勤務するオフィスをイメージしており、メンバーのプロフィール302が制限されることなく表示される領域である。
図1(A)に示す領域300Aには、アバター301Aと、アバター301Bとが配置されており、各アバター301A・301Bには、プロフィール302A・302Bが関連付けられて表示されている。プロフィール302は、メンバーの属性情報を含む。属性情報は、名前、所属、職種、役職、特技等の項目に対するメンバーの情報である。
図1に示す各アバター301A・301Bのプロフィール302A・302Bには、「名前」、「役職」、「所属」、「職種」、及び「特技」の項目ごとに、各メンバーの属性情報が表示されている。
【0026】
なお、仮想空間300を用いてコミュニケーションを行う場合、一般的に、メンバーは他のメンバーのアバター301やプロフィール302を視認することで、コミュニケーションの対象を認識する。本実施形態における仮想空間内業務システムは、メンバーの自由なコミュニケーションを促進するために、所定の領域に配置されうるアバター301のプロフィール302の少なくとも一部を非表示にする。
【0027】
図1(B)は、仮想空間300の領域300Bの概要を示している。領域300Bは、メンバーの情報が一部秘匿される匿名タイプの領域である。領域300Bに表示されるアバター301A・301Cのプロフィール302A・302Cは、
図1(A)に示すプロフィール302A・302Bに比べ、「名前」、及び「役職」の項目の属性情報が非表示になっている。即ち、領域300Bに配置されたアバター301のメンバーは、他のアバター301の名前や役職を意識せずにコミュニケーションを行うことができる。
【0028】
図1(C)は、仮想空間300の領域300Cの概要を示している。領域300Cは、メンバーの情報が上記領域300Bよりも多く秘匿される匿名タイプの領域である。領域300Cに表示されるアバター301A・301Dのプロフィール302A・302Dは、
図1(A)に示すプロフィール302A・302Bに比べ、「名前」、「役職」、「所属」、及び「職種」の項目の属性情報が非表示になっている。即ち、領域300Cに配置されたアバター301のメンバーは、他のアバター301の名前、役職、所属、及び職種を意識せずにコミュニケーションを行うことができる。
【0029】
なお、仮想空間300の領域に表示する属性情報の項目は、
図1に示す例に限定されない。また、例えばアバター301が匿名タイプの領域に配置される場合、当該領域に配置されるアバター301のプロフィール302に含まれる項目のすべてが非表示であってもよい。
【0030】
付言すれば、コミュニケーションは、複数のメンバーの交流であればよい。例えば、チャット機能を用いた仮想空間300内での文字入力による会話、音声通話、報告フォームを用いた業務進捗報告、オンライン会議やオンラインセミナーの参加等が、本実施形態のコミュニケーションに含まれる。一例として、アバター301が他のアバター301の近傍に配置された状態、又は他のアバター301を指定した状態で、所定の入力操作を行うことで、他のアバター301とチャット機能によるコミュニケーションを行うことができる。
【0031】
メンバーの入力操作に応じて、アバター301は各領域を移動する。例えば仮想空間内業務支援システムは、配置された領域と他の領域との境界を越えてアバター301が移動する入力操作を受け付けると、他の領域にアバター301を表示させる。又は、仮想空間内業務支援システムは、アバター301を表示させる領域を指定する入力操作を受け付けると、当該領域にアバター301を表示させる。
【0032】
以下、メンバー端末装置20が仮想空間300の表示指示を要求すると、メンバーのアバター301が配置された領域の仮想空間300がメンバー端末装置20に表示される例を用いて説明する。メンバー端末装置20では、当該メンバーのアバター301と同じ領域に配置された他のアバター301及びプロフィール302が表示される。なお、メンバー端末装置20には、当該メンバーのアバター301が配置された領域を除く他の領域が表示されてもよい。
図1は、それぞれ独立して表示される領域300A・300B・300Cを示しているが、各領域はそれぞれの配置位置に応じて一画面に表示されてもよい。
【0033】
図2は、仮想空間内業務支援システム1の機能ブロックの一例を示す図である。仮想空間内業務支援システム1は、仮想空間管理装置10と、複数のメンバー端末装置20と、がネットワークNを介して通信可能に接続される。仮想空間管理装置10は、仮想空間内業務支援システム1を提供する事業者等により管理される情報処理装置であって、例えばサーバーコンピューター、又はPC(Personal Computer)等である。
【0034】
仮想空間管理装置10は、処理部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150とを備える。処理部110は、仮想空間管理装置10の全体を統括的に制御する。記憶部120は、処理部110の処理に必要な情報を記憶する。入力部130は、後述する入力IF14を介して接続された入力装置から、仮想空間管理装置10への情報の入力を受け付ける。出力部140は、後述する出力IF15を介して接続された出力装置から、仮想空間管理装置10に記憶された情報の出力を行う。通信部150は、ネットワークNを介して通信可能に接続された他の情報処理装置との間の情報の送受信を制御する。
【0035】
処理部110は、仮想空間制御部111と、位置取得部112と、表示抑制決定部113と、属性登録部114とを備える。仮想空間制御部111は、各メンバー端末装置20が仮想的に入室することのできる仮想空間300を制御する。仮想空間制御部111は、メンバーを表現するアバター301に対して、メンバーの属性情報を含むプロフィール302を関連付けて仮想空間300内に表示する。位置取得部112は、仮想空間300におけるアバター301の位置を取得する。
【0036】
表示抑制決定部113は、仮想空間300内の所定の領域にアバター301が配置される場合に、仮想空間300への表示を抑制する情報を決定する。表示抑制決定部113は、アバター301が表現するメンバーの属性情報の一部又は全部の表示を抑制する。より具体的には、表示抑制決定部113は、匿名タイプの領域にアバター301が配置される場合に、領域に予め関連付けられた項目の属性情報を、表示を抑制する属性情報として決定する。また、表示抑制決定部113は、メンバーにより予め選択された属性情報を、表示を抑制する属性情報に決定する。
【0037】
また、表示抑制決定部113は、匿名タイプの領域にアバター301が配置される場合に、アバター301に付与する仮名を決定する。決定された仮名は、メンバーの氏名に代わってプロフィール302に表示される。
【0038】
属性登録部114は、メンバーの属性の項目に対応する属性情報を、後述のメンバー情報121に登録する。属性登録部114は、1又は複数の属性情報の中から、表示する又は表示しない属性情報の選択を受け付け、後述のメンバー情報121に登録する。
【0039】
記憶部120は、メンバー情報121と、領域情報122とを記憶する。メンバー情報121は、メンバー毎にメンバーの属性情報が関連付けられた情報である。領域情報122は、仮想空間300に含まれる領域ごとに、表示を抑制する属性の項目が関連付けられた情報である。
【0040】
メンバー端末装置20は、例えばPC又はスマートフォン等の情報処理装置であって、メンバーにより操作される。メンバー端末装置20は、処理部210と、記憶部220と、入力部230と、出力部240と、通信部250とを備える。処理部210は、メンバー端末装置20の全体を統括的に制御する。記憶部220は、処理部210の処理に必要な情報を記憶する。入力部230は、入力IFを介して接続された入力装置から、メンバー端末装置20への情報の入力を受け付ける。出力部240は、出力IFを介して接続された出力装置から、メンバー端末装置20に記憶された情報の出力を行う。通信部250は、ネットワークNを介して通信可能に接続された他の情報処理装置との間の情報の送受信を制御する。
【0041】
なお、処理部210は、予めメンバー端末装置20にインストールされたソフトウェアを用いて、仮想空間管理装置10により管理される仮想空間300に参加する。処理部210は、ブラウザプログラムにより仮想空間300に参加してもよい。
【0042】
処理部210は、登録要求部211と、操作検出部212と、を備える。登録要求部211は、仮想空間管理装置10に対し、項目に対する属性情報の登録要求を送信する。登録要求部211は、領域において取り扱う主題の入力操作を受け付け、仮想空間管理装置10に対して登録要求を送信してもよい。また、登録要求部211は、表示を抑制する属性情報の項目の入力操作を受け付けると、仮想空間管理装置10に送信する。操作検出部212は、メンバーによる入力操作を検出する。
【0043】
図3は、メンバー情報121のデータ構造の一例を示す図である。メンバー情報121は、メンバーIDに対し、項目ごとにメンバーの属性情報が関連付けられている。
図3に示すように、メンバー情報121は、例えばメンバーの名前、所属、職種、役職、特技等の項目を含む。メンバー情報121は、アバター301を特定する情報や、メンバー端末装置20から受信した登録要求に基づいた、非表示を希望する項目が含まれていてもよい。
【0044】
各項目に対する属性情報は、メンバー管理装置の登録要求部211からの要求に基づいて、属性登録部114によりメンバー情報121に登録される。なお、メンバー端末装置20から、表示を抑制する属性情報の項目の指定を受け付けると、属性登録部114は、指定された項目をメンバー情報121に登録する。
【0045】
図4は、仮想空間管理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。仮想空間管理装置10は、演算装置11と、メモリ12と、外部記憶装置13と、入力IF(Interface)14と、出力IF15と、通信IF16とを備え、各構成要素はバスにより接続されている。
【0046】
演算装置11はCPU(Central Processing Unit)等の演算装置であり、メモリ12又は外部記憶装置13に記録されたプログラムに従って処理を実行する仮想空間管理装置10では、メモリ12又は外部記憶装置13上に読み出されたプログラムに従って動作する演算装置11により処理が行われる。処理部110は、演算装置11がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0047】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。外部記憶装置13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、CD-R(Compact Disc- Recordable)、DVD-RAM(Digital Versatile Disk-Random Access Memory)等の書き込み及び読み出し可能な記憶メディア及び記憶メディア駆動装置等である。記憶部120は、メモリ12又は外部記憶装置13によりその機能が実現される。なお、記憶部120は、通信IF16を介して接続される記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0048】
入力IF14は、操作者からの入力操作を受け付けるためのインターフェイスであり、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイク等の入力装置が接続される。出力IF15は、仮想空間管理装置10に内蔵されたOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の出力装置に対して情報を出力するためのインターフェイスである。
【0049】
通信IF16は、仮想空間管理装置10をネットワークNに接続するためのインターフェイスであって、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信デバイスが接続される。なお、仮想空間管理装置10は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の可搬性のメディアから情報を入出力する図示しない記憶媒体駆動装置を有していてもよい。
【0050】
なお、仮想空間管理装置10の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、仮想空間管理装置10の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0051】
メンバー端末装置20のハードウェア構成は、仮想空間管理装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
図5は、仮想空間管理装置10による表示制御処理の一例を示すフローチャートである。本処理開始前に、メンバー端末装置20の操作検出部212が、メンバーの入力操作に基づいて、仮想空間管理装置10に仮想空間300の表示要求を送信する。
【0053】
まず、仮想空間制御部111は、仮想空間300の表示要求を受け付ける(ステップS11)。
【0054】
次に、仮想空間制御部111は、表示領域に配置されたアバター301を抽出する(ステップS12)。具体的には、位置取得部112が、ステップS11で表示要求を送信したメンバー端末装置20を操作したメンバーを特定し、当該メンバーを表現するアバター301の仮想空間300内の位置を取得する。仮想空間制御部111は、当該アバター301が配置された仮想空間300の領域を、表示領域に決定する。仮想空間制御部111は、決定した表示領域に配置された1又は複数のアバター301を抽出する。
【0055】
次に、表示抑制決定部113は、ステップS12で位置を取得したアバター301が、匿名タイプの領域に存在するか否かを判定する(ステップS13)。
【0056】
表示抑制決定部113が、アバター301が匿名タイプの領域に存在すると判定する場合(ステップS13で「YES」の場合)、領域情報122を参照し、表示を抑制する項目を決定する(ステップS14)。具体的には、表示抑制決定部113は、領域情報122において、表示要求を送信したメンバーを表現するアバター301が配置された領域に関連付けられた属性の項目を、表示を抑制する項目として決定する。
【0057】
図1(B)に示す例を用いて説明すると、位置取得部112が、表示要求を送信したメンバーのアバター301Aが匿名タイプの領域300Bに存在すると判定すると、表示抑制決定部113は、領域情報122を参照する。領域情報122には、領域300Bに対し、表示を抑制する項目として、「名前」、及び「役職」の項目が関連付けられている。表示抑制決定部113は、「名前」、及び「役職」の項目を、表示を抑制する項目として決定する。
【0058】
説明を
図5に戻す。次に、表示抑制決定部113は、予め選択された属性情報を、表示を抑制する項目に決定する(ステップS15)。具体的には、表示抑制決定部113は、ステップS12で抽出した1又は複数のアバター301各々により表現されるメンバーを抽出し、メンバー情報121を参照することにより、各々のメンバーが表示を抑制する属性情報の項目を指定しているか否かを判定する。表示抑制決定部113は、メンバーが指定した属性情報の項目が存在する場合に、当該項目を、表示を抑制する項目に決定する。
【0059】
次に、仮想空間制御部111は、決定した項目の属性情報の表示を抑制した仮想空間300を表示させる(ステップS16)。具体的には、表示抑制決定部113は、各プロフィール302において、ステップS14及びステップS15で決定した項目の属性情報の表示を抑制するよう仮想空間制御部111に通知する。仮想空間制御部111は、ステップS12で抽出したアバター301、及び表示抑制決定部113により通知された属性情報の表示を抑制したプロフィール302を仮想空間300に表示させる。その後、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0060】
一方、仮想空間制御部111は、アバター301が匿名タイプの領域に存在しないと判定する場合(ステップS13で「NO」の場合)、メンバーの情報を秘匿することなくメンバー端末装置20に仮想空間300を表示させる。すなわち、メンバー端末装置20に表示される仮想空間300のプロフィール302は、属性情報の表示が抑制されていない。その後、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0061】
なお、本実施形態において、アバター301が匿名タイプの領域に配置される場合、表示抑制決定部は、名前に代えて表示する仮名を決定してもよい。例えば表示抑制決定部は、その場限りで限定的に使用される仮名を決定する。仮想空間制御部111は、プロフィール302において、メンバーの名前に代えて、仮名をアバター301に関連付けて表示する。
【0062】
以上、本実施形態によれば、仮想空間300の所定の領域を表示する際、プロフィール302の少なくとも一部を非表示にする。互いのプロフィール302を非表示にすることにより、自由なコミュニケーションを促すことができる。
【0063】
<第1の変形例>
次に、本実施形態の第1の変形例について説明する。以下、上述の実施形態と異なる点を説明する。
【0064】
図6は、第1の変形例における仮想空間内業務支援システム1の機能ブロックの一例を示す図である。第1の変形例における仮想空間管理装置10の処理部110は、仮想空間制御部111と、位置取得部112と、表示抑制決定部113と、属性登録部114とのほか、個人推定情報判定部115を備える。
【0065】
個人推定情報判定部115は、メンバーの属性情報を用いて、あるメンバーが特定される可能性のある属性情報である個人推定情報を決定する。例えば個人推定情報判定部115は、属性情報の項目ごとに、共通の属性情報を有するメンバーの数を特定し、メンバーの数が所定数以下である項目の属性情報を、個人推定情報に決定する。なお、仮想空間制御部111は、仮想空間300を表示する際に、アバター301が匿名タイプの領域に配置される場合、個人推定情報を非表示にする。
【0066】
図7は、仮想空間管理装置10における個人推定情報決定処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、仮想空間管理装置10において、例えば定期的に実行される。
【0067】
まず、個人推定情報判定部115は、メンバー情報121の項目ごとに、共通の属性を有するメンバーの人数を抽出する(ステップS21)。
【0068】
次に、個人推定情報判定部115は、人数に応じて、個人推定情報に該当する属性情報を決定する(ステップS22)。具体的には、個人推定情報判定部115は、項目ごとに、ステップS21で抽出した人数が所定数以下である1又は複数の属性情報を、個人推定情報に決定する。その後、処理部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0069】
なお、仮想空間管理装置10は、
図5に一例を示す表示制御処理を行う際に、匿名タイプの領域に配置されるアバター301について、当該アバター301が表現するメンバーの個人推定情報を非表示にし、他の属性情報を表示する。付言すれば、該当する人数が少ない属性情報を有するメンバーは、該当する人数が多い属性情報を有するメンバーよりも、属性情報から個人が特定される可能性が高い。本変形例では、共通の属性情報を有するメンバーの人数が少ない属性情報は、プロフィール302に表示されないよう制御する。これにより、プロフィール302に基づいて個人が特定されることを防ぐことができ、仮想空間300における自由なコミュニケーションが促進される。
【0070】
<第2の変形例>
次に、本実施形態の第2の変形例について説明する。以下、上述の実施形態及び変形例と異なる点について説明する。本変形例では、仮想空間300の表示指示を行ったメンバーと、表示領域に配置された他のメンバーとの関係に基づいて、プロフィール302への表示を抑制する属性情報を決定する。
【0071】
図8は、第2の変形例における表示制御処理の一例を示すフローチャートである。ステップS31からステップS33において実行される処理は、
図5のステップS11からステップS13において実行される処理と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
ステップS33において、アバター301が匿名タイプの領域に存在すると判定する場合(ステップS33で「YES」の場合)、表示抑制決定部113は、同じ領域に配置される他のアバター301を抽出する(ステップS34)。具体的には、表示抑制決定部113は、ステップS33で抽出したアバター301のうち、ステップS31において表示要求を送信したメンバーのアバター301を除く、他のアバター301を抽出する。
【0073】
次に、表示抑制決定部113は、他のアバター301のメンバーの一人を対象メンバーに決定する(ステップS35)。具体的には、表示抑制決定部113は、ステップS34で抽出した他のアバター301のうち、一人のアバター301のメンバーを処理の対象メンバーに決定する。
【0074】
次に、表示抑制決定部113は、両者の関係レベルを項目ごとに決定する(ステップS36)。具体的には、表示抑制決定部113は、表示要求を送信したメンバー端末装置20を有するメンバーと、処理対象のメンバーとの関係を評価した関係レベルを、項目ごとに決定する。
【0075】
図9は、関係レベル情報123のデータ構造の一例を示す図である。関係レベル情報123は、属性情報の各項目に対し、2つの属性情報の関係レベルを関連付けた情報である。関係レベル情報123は、関係レベルIDと、項目と、属性情報1と、属性情報2と、関係レベルと、を含む。関係レベルIDは、関係レベルを特定する識別情報である。項目は、メンバーの属性の項目である。属性情報1と、属性情報2とは、各々メンバーの属性情報を示している。関係レベルは、属性情報1と、属性情報2との関係を評価した情報である。
【0076】
図9に示す例では、「所属」の項目において、「属性情報1」が「所属A」であって、「属性情報2」が「所属B」である場合の「関係レベル」が「1」である。また、「所属」の項目において、「属性情報1」が「所属A」であって、「属性情報2」が「所属C」である場合の「関係レベル」が「2」である。例えば関係レベルは、値が大きいほど、関係が緊密である。即ち、
図9に示す例では、「所属A」と「所属B」の関係が、「所属A」と「所属C」の関係よりも緊密である。
【0077】
説明を
図8に戻す。ステップS36の処理の結果、二人のメンバーの関係レベルが項目ごとに決定される。
【0078】
次に、表示抑制決定部113は、関係レベルを用いて、表示を抑制する項目を決定する(ステップS37)。具体的には、表示抑制決定部113は、関係レベルと、開示すべき属性情報の項目とが関連付けられた開示情報を参照する。一例として、開示情報は、「所属:レベル2、業種:レベル2、役職:レベル3、特技:レベル4」といった、項目と関係レベルとの組み合わせを含む。本例では、「所属」の項目が「レベル2」以上である場合に、「所属」の項目の属性情報を非表示にすることを意味する。同様に、「業種」の項目が「レベル2」以上である場合に、「業種」の項目の属性情報の表示が抑制され、「役職」の項目が「レベル3」である場合に、「役職」の項目の属性情報の表示が抑制され、「特技」の項目が「レベル4」以上である場合に、「特技」の項目の属性情報の表示が抑制される。即ち、表示抑制決定部113は、ステップS36で決定した項目ごとの関係レベルを用いて、表示を抑制する項目を決定する。
【0079】
ステップS38及びステップS39で実行される処理は、
図5のステップS15及びステップS16で実行される処理と同様であるため、説明を省略する。即ち、表示要求を行ったメンバー端末装置20において、当該メンバー端末装置20を有するメンバーと、表示領域に配置された他のアバター301により表現されるメンバーとの関係に応じたプロフィール302が表示される。
【0080】
次に、表示抑制決定部113は、対象メンバーに決定していない他のアバター301が存在するか否かを判定する(ステップS40)。具体的には、表示抑制決定部113は、ステップS34で抽出した他のアバター301のうち、ステップS35において対象メンバーに決定していないメンバーのアバター301が存在するか否かを判定する。表示抑制決定部113は、対象メンバーに決定していない他のアバター301が存在しないと判定する場合(ステップS40で「NO」の場合)、本フローチャートの処理を終了する。
【0081】
表示抑制決定部113は、対象メンバーに決定していない他のアバター301が存在すると判定する場合(ステップS40で「YES」の場合)、処理をステップS35に移行する。即ち、まだ対象メンバーに決定されていないメンバーの一人が対象メンバーに決定される。
【0082】
ステップS33において、アバター301が匿名タイプの領域に存在しないと判定する場合(ステップS33で「NO」の場合)、表示抑制決定部113は、ステップS41の処理を実行する。ステップS41において行われる処理は、
図5のステップS17において行われる処理と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
以上、本変形例によれば、メンバー間の関係に応じて、属性情報が表示されるか否かが定まる。即ち、所属の部署の関係が緊密である場合に部署の属性情報を非表示とする一方、部署の関係が浅い場合に部署の属性情報を表示するなど、メンバーの関係に応じて柔軟に表示を抑制する属性情報を決定することができる。また、項目ごとに関係レベルを決定することにより、個人を特定されやすい項目とそうでない項目とで表示するか否かを区別して判断することができるため、より実状に則した表示を行うことができる。
【0084】
<第3の変形例>
次に、本実施形態の第3の変形例について説明する。以下、上述の実施形態及び変形例と異なる点について説明する。本変形例では、領域で取り扱う主題と関連の薄い属性情報を、表示を抑制する属性情報に決定する。
【0085】
図10は、第3の変形例における表示制御処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理を開始する前に、仮想空間管理装置10の属性登録部114は、匿名タイプの領域で取り扱われる主題の登録要求を受け付け、記憶部120の図示しない領域に登録する。主題とは、例えば、「我が社の**事業について」、「AI技術の動向について」、「SaaS型運用管理システムについて」などである。ステップS51からステップS53において実行される処理は、
図5のステップS11からステップS13において実行される処理と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
アバター301が匿名タイプの領域に存在すると判定する場合(ステップS53で「YES」の場合)、表示抑制決定部113は、領域の主題を特定する(ステップS54)。具体的には、表示抑制決定部113は、記憶部120を参照し、ステップS52で決定した表示領域において取り扱われる主題を特定する。例えば表示抑制決定部113は、アバター301が配置された領域において実行されるセミナーで取り扱われる主題を特定する。
【0087】
次に、表示抑制決定部113は、主題と関連の薄い属性情報を非表示に決定する(ステップS55)。具体的には、表示抑制決定部113は、ステップS52で抽出したアバター301の属性情報を抽出する。表示抑制決定部113は、予め決定されたルールに従って、主題と関連の薄い属性情報を非表示に決定する。例えば、本処理開始前に、メンバー情報121に含まれる各属性情報と主題候補との関連度合いを含む主題関連情報が、記憶部120の図示しない領域に登録されている。表示抑制決定部113は、主題関連情報を参照することにより、抽出した属性情報のうち、どの属性情報が主題と関連が薄いかを判定し、関連が薄い属性情報を、非表示に決定する。
【0088】
ステップS56からステップS58において行われる処理は、
図5のステップS15からステップS17において行われる処理と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
以上、本変形例では、主題と関連の薄い属性情報を非表示にする。ある領域において、取り扱われる主題が予め決定している場合、その領域に配置されるアバター301は、主題と関連の強い属性情報を有している可能性が高い。従って、主題と関連の薄い属性情報が表示されると、主題と関連の強い属性情報が表示される場合に比べ、より個人が特定されやすいと推定される。本実施形態では、主題と関連の薄い属性情報を非表示にすることで、メンバーが特定されることを防ぐことができ、コミュニケーションの活発化を促すことが可能となる。
【0090】
なお、本変形例において、表示抑制決定部113は、主題と関連の強い属性情報を非表示にし、関連の薄い属性情報を表示してもよい。主題と関連の薄い属性情報を表示することで、領域内のメンバーの関心が高くなり、メンバー間のコミュニケーションを促進することができる。
【0091】
本実施形態では、仮想空間内業務支援システム1が、会社のメンバーのコミュニケーションに使用する仮想空間300を提供する例を説明した。しかしながら、仮想空間内業務システムが提供する仮想空間300の参加者は、同じ会社のメンバーに限定されない。例えば、地方自治体の職員や住民、自治会等の任意団体やグループ会社のメンバーなど、あらゆる参加者に対して、本実施形態の仮想空間300を提供することができる。
【0092】
以上、本発明に係る各実施形態の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0093】
また、上記の仮想空間管理装置10、及びメンバー端末装置20の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。上述に示す通り、仮想空間管理装置10、及びメンバー端末装置20の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【符号の説明】
【0094】
1:仮想空間内業務支援システム、10:仮想空間管理装置、11:演算装置、12:メモリ、13:外部記憶装置、14:入力IF、15:出力IF、16:通信IF、20:メンバー端末装置、110・210:処理部、111:仮想空間制御部、112:位置取得部、113:表示抑制決定部、114:属性登録部、115:個人推定情報判定部、120・220:記憶部、121:メンバー情報、122:領域情報、123:関係レベル情報、130・230:入力部、140・240:出力部、150・250:通信部、211:登録要求部、212:操作検出部、300:仮想空間、300A・300B・300C:領域、301・301A・301B・301C・301D:アバター、302・302A・302B・302C・302D:プロフィール