(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176726
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】流体管の分岐部形成方法、及び、流体管の分岐部形成構造
(51)【国際特許分類】
F16L 41/08 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F16L41/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095493
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】花島 弘子
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019DA01
3H019DA03
(57)【要約】
【課題】穿孔機の小型化及び穿孔機の重量の軽量化を図る。
【解決手段】分岐部2として、分割された第1分割体3と第2分割体4とが備えられ、第1分割体3は直管部位34を有し、第2分割体4は接続部位41と分岐部形成部位42とを有し、分岐部形成部位配設用スペースを確保する形態で第1分割体3の延設方向での長さが第2設定長さL2に設定され、第1分割体3における直管部位34の長さは、第2設定長さL2よりも短い第1設定長さL1に設定され、流体管1の外周部に第1分割体3の直管部位34を設置して直管部位34を通して穿孔機にて流体管1に貫通孔を穿孔する穿孔工程と、第1分割体3を第1閉塞部材にて閉塞する第1閉塞工程と、第1分割体3に第2分割体4を接続する接続工程とを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管に分岐部を形成する流体管の分岐部形成方法において、
前記分岐部として、分割された第1分割体と第2分割体とが備えられ、
前記第1分割体は、流体管の外周部に接続自在で流体管の軸芯方向に直交する方向に延設された直管部位を有し、
前記第2分割体は、第1分割体に接続自在な接続部位と、第1分割体の延設方向に交差する方向に延びる分岐部形成部位とを有し、第1分割体の延設方向において分岐部形成部位配設用スペースを確保する形態で第1分割体の延設方向での長さが第2設定長さに設定され、
前記第1分割体における直管部位の長さは、前記第2分割体の第2設定長さよりも短い第1設定長さに設定され、
前記流体管の外周部に第1分割体の直管部位を設置してその第1分割体の直管部位を通して穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する穿孔工程と、
前記第1分割体を第1閉塞部材にて閉塞する第1閉塞工程と、
前記第1分割体に前記第2分割体を接続する接続工程とを行う流体管の分岐部形成方法。
【請求項2】
前記第2分割体は、前記第1分割体の直管部位に接続自在で第1分割体の延設方向に延びる上流側管部位と、その上流側管部位の途中部位から第1分割体の延設方向に交差する方向に延びる下流側管部位とを有し、
前記上流側管部位が、前記接続部位として備えられ、前記下流側管部位が、前記分岐部形成部位として備えられ、
前記接続工程を行ったのち、第1分割体を閉塞する第1閉塞部材を除去して、第2分割体の上流側管部位において流体管から離れる側の離間側開口端部を第2閉塞部材にて閉塞する第2閉塞工程を行う請求項1に記載の流体管の分岐部形成方法。
【請求項3】
前記流体管は、地中において、流体管の軸芯方向が水平方向に沿う姿勢で埋設され、
前記穿孔工程では、流体管の外周部の上部に第1分割体の直管部位を設置して、穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する穿孔方向が、流体管に対して上方側から下方側に向かう方向に設定されている請求項1又は2に記載の流体管の分岐部形成方法。
【請求項4】
前記第1閉塞部材は、前記第2閉塞部材を兼用する兼用閉塞部材として備えられ、
前記第2閉塞工程では、前記第1分割体における直管部位の離間側開口端部を閉塞する第1閉塞位置に配置された第1閉塞部材としての兼用閉塞部材を、前記第2分割体における上流側管部位の離間側開口端部を閉塞する第2閉塞位置に移動させることで、兼用閉塞部材にて第2分割体における上流側管部位の離間側開口端部を閉塞している請求項2に記載の流体管の分岐部形成方法。
【請求項5】
前記第1閉塞位置には、前記兼用閉塞部材を第1閉塞位置に位置保持するための第1位置保持部が備えられ、
前記第2閉塞位置には、前記兼用閉塞部材を第2閉塞位置に位置保持するための第2位置保持部が備えられている請求項4に記載の流体管の分岐部形成方法。
【請求項6】
前記第1位置保持部は、流体管から離れる側の兼用閉塞部材の移動を許容し、兼用閉塞部材に当接して流体管に接近する側の移動を規制する第1規制部が備えられ、
前記第2位置保持部は、流体管に接近する側の兼用閉塞部材の移動を許容し、前記兼用閉塞部材栓に当接して流体管から離れる側の移動を規制する第2規制部が備えられている請求項5に記載の流体管の分岐部形成方法。
【請求項7】
流体管に分岐部を形成する流体管の分岐形成構造において、
前記分岐部として、分割された第1分割体と第2分割体とが備えられ、
前記第1分割体は、流体管の外周部に接続自在で流体管の軸芯方向に直交する方向に延設された直管部位を有し、
前記第2分割体は、第1分割体に接続自在な接続部位と、第1分割体の延設方向に直交する方向に延びる分岐部形成部位とを有し、第1分割体の延設方向において分岐部形成部位配設用スペースを確保する形態で第1分割体の延設方向での長さが第2設定長さに設定され、
前記第1分割体における直管部位の長さは、前記第2分割体の第2設定長さよりも短い第1設定長さに設定されている流体管の分岐部形成構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管に分岐部を形成する流体管の分岐部形成方法、及び、流体管に分岐部を形成する流体管の分岐部形成構造に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管等の流体管に、例えば、T字状の分岐管を接続することで、従来から、流体管に分岐部を形成する分岐部形成方法や分岐部形成構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。T字状の分岐管は、流体管の軸芯方向に直交する方向に延設された直管状の上流側部位と、その直管状の上流側部位の途中部位から上流側部位の延設方向に対して直交する方向に延設された直管状の下流側部位とを有している。
【0003】
この分岐部形成構造では、T字状の分岐管における上流側部位の接近側開口端部を流体管に接続し、上流側部位の離間側開口端部を閉塞部材にて閉塞することで、流体管に穿孔された貫通孔を通して流体管から分岐管の下流側部位に流体を分岐可能としている。分岐管における下流側部位の開口端部には、例えば、分岐した流体を通流させる分岐流体管や、分岐させる流体の流れ状態を制御するための弁装置等の各種の部材を接続可能としている。
【0004】
特許文献1の分岐部形成方法では、流体管の外周部に分岐管を設置してその分岐管における直管状の上流側部位を通して穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する穿孔工程と、分岐管における上流側部位の離間側開口端部を閉塞部材にて閉塞する閉塞工程とを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、穿孔工程を行うに当たり、分岐管における上流側部位の離間側開口端部に穿孔機を設置して、穿孔機の穿孔装置を直管状の上流側部位を通して移動させることで、流体管に貫通孔を穿孔している。
【0007】
T字状の分岐管には、上流側部位だけでなく、下流側部位も備えられているので、上流側部位の長さは、少なくとも下流側部位を配設するための配設用の長さ(例えば、下流側部位の外径)よりも長くする必要がある。そのために、穿孔機の設置位置となる上流側部位の離間側開口端部は、流体管の外周部から離れた位置に存在することになる。よって、穿孔機としては、穿孔装置を移動させるためのストロークが長くなるとともに、流体管に貫通孔を穿孔するために穿孔装置に付与する駆動力も大きくしなければならず、穿孔機の大型化及び穿孔機の重量の増加を招くものとなる。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、穿孔機の小型化及び穿孔機の重量の軽量化を図ることができる流体管の分岐部形成方法、及び、流体管の分岐部形成構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、流体管に分岐部を形成する流体管の分岐部形成方法において、
前記分岐部として、分割された第1分割体と第2分割体とが備えられ、
前記第1分割体は、流体管の外周部に接続自在で流体管の軸芯方向に直交する方向に延設された直管部位を有し、
前記第2分割体は、第1分割体に接続自在な接続部位と、第1分割体の延設方向に交差する方向に延びる分岐部形成部位とを有し、第1分割体の延設方向において分岐部形成部位配設用スペースを確保する形態で第1分割体の延設方向での長さが第2設定長さに設定され、
前記第1分割体における直管部位の長さは、前記第2分割体の第2設定長さよりも短い第1設定長さに設定され、
前記流体管の外周部に第1分割体の直管部位を設置してその第1分割体の直管部位を通して穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する穿孔工程と、
前記第1分割体を第1閉塞部材にて閉塞する第1閉塞工程と、
前記第1分割体に前記第2分割体を接続する接続工程とを行う点にある。
【0010】
本構成によれば、穿孔工程を行うことで、流体管の外周部に設置した第1分割体の直管部位を通して、穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔することができる。第1閉塞工程を行うことで、第1分割体を第1閉塞部材にて閉塞して、第1分割体から外部への流体の流出を防止することができるので、第1分割体に第2分割体を接続する接続工程を効率よくスムーズに行うことができる。このように、穿孔工程、第1閉塞工程、接続工程を順次行うことで、不断流状態(不断水状態)において、流体管に対して第1分割体を設置し、その第1分割体に対して第2分割体を接続して、第1分割体と第2分割体とにより分岐部を形成することができ、流体管の流体を貫通孔から形成された分岐部に分岐可能としている。
【0011】
しかも、穿孔工程では、穿孔機の穿孔装置を第1分割体の直管部位を通して移動させることで、流体管に貫通孔を穿孔しており、第1分割体の直管部位の長さが第2分割体の第2設定長さよりも短い第1設定長さに設定されている。これにより、穿孔装置を移動させるためのストロークが短くなるとともに、流体管に貫通孔を穿孔するために穿孔装置に付与する駆動力が大きくなるのを防止することができるので、穿孔機の小型化及び穿孔機の重量の軽量化を図ることができる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記第2分割体は、前記第1分割体の直管部位に接続自在で第1分割体の延設方向に延びる上流側管部位と、その上流側管部位の途中部位から第1分割体の延設方向に交差する方向に延びる下流側管部位とを有し、
前記上流側管部位が、前記接続部位として備えられ、前記下流側管部位が、前記分岐部形成部位として備えられ、
前記接続工程を行ったのち、第1分割体を閉塞する第1閉塞部材を除去して、第2分割体の上流側管部位において流体管から離れる側の離間側開口端部を第2閉塞部材にて閉塞する第2閉塞工程を行う点にある。
【0013】
本構成によれば、接続工程を行ったのち、第2閉塞工程を行い、第1閉塞部材を除去して、第2分割管における上流側管部位の離間側開口端部を第2閉塞部材にて閉塞することで、流体管の流体が、流体管の貫通孔から、第1分割体、第2分割体に順次流入して、流体管から第2分割体の下流側管部位に流体を適切に分岐させることができる。
【0014】
第2分割体の下流側管部位は、分岐部形成部位として備えられ、その下流側管部位に対して、分岐した流体を通流させる分岐流体管や、分岐させる流体の流れ状態を制御するための弁装置等の各種の部材を接続することができる。よって、流体管から分岐された流体を所望箇所に通流させるための分岐配管として分岐部を形成したり、流体管から分岐された流体の流れ状態を制御する分岐流れ状態制御部として分岐部を形成することができる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、前記流体管は、地中において、流体管の軸芯方向が水平方向に沿う姿勢で埋設され、
前記穿孔工程では、流体管の外周部の上部に第1分割体の直管部位を設置して、穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する穿孔方向が、流体管に対して上方側から下方側に向かう方向に設定されている点にある。
【0016】
穿孔工程において、例えば、流体管の外周部の横側部に第1分割体の直管部位を設置して、穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する穿孔方向を、流体管に対して水平方向に沿う方向に設定して、横方向に貫通孔を穿孔することができる。しかしながら、この場合には、流体管の横側部に、第1分割体や穿孔機等を設置するスペースやそれらを設置する設置作業を行うスペースを確保することが必要となるので、掘削範囲が大きくなり、それだけ作業の複雑化やコストアップを招くものとなる。
【0017】
そこで、本構成によれば、穿孔工程では、流体管の外周部の上部に第1分割体の直管部位を設置して、穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する穿孔方向が、流体管に対して上方側から下方側に向かう方向に設定して、縦方向に貫通孔を穿孔している。これにより、流体管の上方側に、第1分割体や穿孔機等を設置するスペースやそれらを設置する設置作業を行うスペースを確保することができ、流体管の横側部にそれらのスペースを確保する必要がなく、掘削範囲を小さくでき、作業の簡素化及びコストの低減を図ることができる。
【0018】
本発明の第4特徴構成は、前記第1閉塞部材は、前記第2閉塞部材を兼用する兼用閉塞部材として備えられ、
前記第2閉塞工程では、前記第1分割体における直管部位の離間側開口端部を閉塞する第1閉塞位置に配置された第1閉塞部材としての兼用閉塞部材を、前記第2分割体における上流側管部位の離間側開口端部を閉塞する第2閉塞位置に移動させることで、兼用閉塞部材にて第2分割体における上流側管部位の離間側開口端部を閉塞している点にある。
【0019】
本構成によれば、第1閉塞部材と第2閉塞部材とが1つの兼用閉塞部材にて備えられているので、構成の簡素化及びコストの低減を図ることができる。しかも、兼用閉塞部材にて第1閉塞部材と第2閉塞部材とを兼用するに当たり、第2閉塞工程において、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材を第2閉塞位置に移動させるだけでよく、その第2閉塞工程の作業としても簡素化を図ることができる。
【0020】
本発明の第5特徴構成は、前記第1閉塞位置には、前記兼用閉塞部材を第1閉塞位置に位置保持するための第1位置保持部が備えられ、
前記第2閉塞位置には、前記兼用閉塞部材を第2閉塞位置に位置保持するための第2位置保持部が備えられている点にある。
【0021】
本構成によれば、兼用閉塞部材を第1閉塞位置に配置させた場合に、第1位置保持部にて兼用閉塞部材を適切に第1閉塞位置に位置保持することができるだけでなく、兼用閉塞部材を第2閉塞位置に配置させた場合にも、第2位置保持部にて兼用閉塞部材を適切に第2閉塞位置に位置保持することができる。これにより、不断流状態(不断水状態)において、外部への流体の流出を適切に防止しながら、分岐部の形成作業を行うことができる。
【0022】
本発明の第6特徴構成は、前記第1位置保持部は、流体管から離れる側の兼用閉塞部材の移動を許容し、兼用閉塞部材に当接して流体管に接近する側の移動を規制する第1規制部が備えられ、
前記第2位置保持部は、流体管に接近する側の兼用閉塞部材の移動を許容し、前記兼用閉塞部材栓に当接して流体管から離れる側の移動を規制する第2規制部が備えられている点にある。
【0023】
第1分割体における直管部位の離間側開口端部を閉塞する第1閉塞位置と第2分割体における上流側管部位の離間側開口端部を閉塞する第2閉塞位置とを比較すると、第1閉塞位置が第2閉塞位置よりも流体管に接近する側に位置する。よって、第2閉塞工程において、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材を第2閉塞位置に移動させる場合には、流体管から離れる側に兼用閉塞部材を移動させることになる。
【0024】
そこで、本構成によれば、第1規制部は、兼用閉塞部材に当接して流体管に接近する側の移動を規制しながら、流体管から離れる側の兼用閉塞部材の移動を許容している。よって、第1閉塞位置から流体管に接近する側に兼用閉塞部材が移動するのを防止しながら、第1閉塞位置から流体管から離れる側へ兼用閉塞部材を適切に移動させることができる。それに対して、第2規制部は、流体管に接近する側の兼用閉塞部材の移動が許容されているので、第1閉塞位置から流体管から離れる側へ移動した兼用閉塞部材を第2閉塞位置まで適切に移動させることができる。しかも、第2規制部は、兼用閉塞部材に当接して流体管から離れる側の兼用閉塞部材の移動を規制しているので、流体管から離れる側への移動により第2閉塞位置に到達した兼用閉塞部材に第2規制部が当接してその兼用閉塞部材を第2閉塞位置に適切に位置保持させることができる。このようにして、第2閉塞工程において、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材を第2閉塞位置に移動させる作業を効率よく且つ適切に行うことができる。
【0025】
本発明の第7特徴構成は、流体管に分岐部を形成する流体管の分岐形成構造において、
前記分岐部として、分割された第1分割体と第2分割体とが備えられ、
前記第1分割体は、流体管の外周部に接続自在で流体管の軸芯方向に直交する方向に延設された直管部位を有し、
前記第2分割体は、第1分割体に接続自在な接続部位と、第1分割体の延設方向に直交する方向に延びる分岐部形成部位とを有し、第1分割体の延設方向において分岐部形成部位配設用スペースを確保する形態で第1分割体の延設方向での長さが第2設定長さに設定され、
前記第1分割体における直管部位の長さは、前記第2分割体の第2設定長さよりも短い第1設定長さに設定されている点にある。
【0026】
本構成によれば、穿孔機にて流体管に貫通孔を穿孔する場合には、流体管の外周部に第1分割体の直管部位を設置して、穿孔機の穿孔装置を第1分割体の直管部位を通して移動させることで、流体管に貫通孔を穿孔することができる。第1分割体に第2分割体を接続する場合には、第1閉塞部材にて第1分割体を閉塞することで、外部への流体の流出を防止しながら、第1分割体に第2分割体を接続する接続作業を効率よくスムーズに行うことができる。このようにして、不断流状態(不断水状態)において、流体管に対して第1分割体を設置し、その第1分割体に対して第2分割体を接続して、第1分割体と第2分割体とにより分岐部を形成することができ、流体管の流体を貫通孔から形成された分岐部に分岐可能としている。
【0027】
第1分割体における直管部位の長さが第2分割体の第2設定長さよりも短い第1設定長さに設定されているので、穿孔機の穿孔装置を第1分割体の直管部位を通して移動させるときに、穿孔装置を移動させるためのストロークが短くなるとともに、流体管に貫通孔を穿孔するために穿孔装置に付与する駆動力が大きくなるのを防止することができる。よって、穿孔機の小型化及び穿孔機の重量の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】流体管及び分岐部を示す流体管の軸芯方向に直交する方向から見た側面図
【
図2】流体管及び分岐部を示す流体管の軸芯方向から見た正面図
【
図5】第1閉塞工程において作業弁を取り外す状態を示す図
【
図6】接続工程において水圧試験を行う状態を示す図
【
図7】第2閉塞工程においてアダプターを兼用閉塞部材に接続した状態を示す図
【
図8】第2閉塞工程において挿入機を組み立てる過程を示す図
【
図9】第2閉塞工程において兼用閉塞部材が第1閉塞位置に配置されている状態を示す図
【
図10】第2閉塞工程において兼用閉塞部材を第2閉塞位置に移動させた状態を示す図
【
図13】兼用閉塞部材に対する第1閉塞位置及び第2閉塞位置を示す図
【
図14】第1閉塞位置における第1分割体と兼用閉塞部材との拡大部
【
図15】第2閉塞位置における第2分割体と兼用閉塞部材との拡大図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る流体管の分岐部形成方法、及び、流体管の分岐部形成構造の実施形態について図面に基づいて説明する。
この分岐部形成方法は、
図1及び
図2に示すように、流体管1に分岐部2を形成するための方法である。この分岐部形成方法では、流体管1に分岐部2を形成する分岐部形成構造が採用されている。
【0030】
流体管1は、例えば、既設の水道管等であり、
図1に示すように、地中において、流体管1の軸芯方向(
図1においてX方向)が水平方向に沿う姿勢で埋設されている。分岐部2として、分割された第1分割体3と第2分割体4とが備えられ、第1分割体3と第2分割体4とを組み合わせることで、分岐部2が形成されている。
【0031】
(第1分割体)
第1分割体3は、
図1及び
図2に示すように、下方側部位31と上方側部位32とに分割されている。詳細な図示は省略するが、下方側部位31のフランジ部と上方側部位32のフランジ部とをボルトナット等の締結具にて締結することで、流体管1の外周部に対して下方側部位31と上方側部位32とを締め付け固定する状態で第1分割体3が流体管1の外周部に設置されている。
【0032】
第1分割体3を流体管1の外周部に設置した状態において、
図1に示すように、流体管1の軸芯方向(
図1においてX方向)において第1分割体3の両端部には、流体管1に対して密封固定するための押輪5が配設されている。押輪5は、ボルトナット等の締結具Bを用いて、流体管1の軸芯方向において第1分割体3の両端部位の夫々に対して連結されている。押輪5は、例えば、2分割されており、分割されたもの同士をボルトナット等の締結具にて締結することで、流体管1の外周部に対して締め付け固定されている。
【0033】
下方側部位31は、
図1に示すように、流体管1の外周部の下方側部位を覆う下方側被覆部位として備えられている。上方側部位32は、
図1及び
図2に示すように、流体管1の外周部の上方側部位を覆う上方側被覆部位33と、その上方側被覆部位33から流体管1の軸芯方向に直交する方向(
図1及び
図2においてY方向)に延設された直管部位34とを有している。
【0034】
(第2分割体)
第2分割体4は、
図1及び
図2に示すように、第1分割体3に接続自在で第1分割体3における直管部位34の延設方向(
図1及び
図2においてY方向)に延びる上流側管部位41と、その上流側管部位41の途中部位から第1分割体3における直管部位34の延設方向に直交する方向(
図2においてZ方向)に延びる下流側管部位42とを有している。
【0035】
上流側管部位41は、第1分割体3の直管部位34に接続自在な接続部位として備えられ、
図1及び
図2に示すように、第1分割体3における直管部位34の延設方向(
図1及び
図2においてY方向)に延びる直管状に形成されている。上流側管部位41の内径及び外径は、第1分割体3における直管部位34の内径及び外径と同径又は略同径に設定されている。第1分割体3における直管部位34のフランジ部35と第2分割体4における上流側管部位41の下方側フランジ部43とをボルトナット等の締結具(
図11参照、
図1及び
図2では省略)にて締結することで、第1分割体3と第2分割体4とが密閉状態で連結自在となっている。
【0036】
上流側管部位41の上方側端部(下流側端部)には、
図1及び
図2に示すように、上流側管部位41を閉塞するフランジ蓋部6が配設されている。このフランジ蓋部6と上流側管部位41の上方側フランジ部44とをボルトナット等の締結具Bにて締結することで、フランジ蓋部6が上流側管部位41の上方側端部(下流側端部)に固定されている。
【0037】
下流側管部位42は、
図1及び
図2に示すように、第1分割体3における直管部位34の延設方向に直交する方向に延びる直管状で溶接等により上流側管部位41に一体的に備えられている。下流側管部位42の内径及び外径は、第1分割体3における直管部位34と第2分割体4における上流側管部位41との両方の内径及び外径と同径又は略同径に設定されている。
【0038】
下流側管部位42の下流側端部には、
図1及び
図2に示すように、第1分割体3と第2分割体4とにより形成された分岐部2に対して、各種の部材を連結するための連結フランジ部45が備えられている。例えば、
図11に示すように、各種の部材として、バルブ等の弁装置7を配設することができ、この弁装置7を連結フランジ部45に連結することで、分岐部2に分岐される流体の流れ状態を制御することができる。
【0039】
第2分割体4は、
図1及び
図2に示すように、上流側管部位41だけでなく、その上流側管部位41から分岐された下流側管部位42が備えられている。下流側管部位42は、第1分割体3における直管部位34の延設方向に直交する方向(
図2においてZ方向)に延びる分岐部形成部位として備えられている。よって、第2分割体4は、第1分割体3の直管部位34の延設方向(
図1及び
図2においてY方向)において分岐部形成部位配設用スペース(例えば、下流側管部位42の外径)を確保する形態で第1分割体3の直管部位34の延設方向での長さが第2設定長さL2に設定されている。
【0040】
それに対して、第1分割体3は、流体管1の外周部から流体管1の軸芯方向に直交する方向に延びる直管部位34を有している。第1分割体3の延設方向(
図1及び
図2においてY方向)での直管部位34の長さは、
図1及び
図2に示すように、第2分割体4の第2設定長さL2よりも短い第1設定長さL1に設定されている。この第1設定長さL1は、例えば、上下方向における流体管1の外周部から直管部位24の上端部までの長さとしており、穿孔機21が流体管1に貫通孔を穿孔する際に、穿孔機21が穿孔装置を上下方向に移動させるストロークに対応する長さとなっている。
【0041】
このように、第1分割体3の直管部位34は、第1分割体3の延設方向での長さが短い短管状に形成されており、その直管部位34の上端部(下流側端部)であっても、流体管1の外周部までの距離が短くなっている。よって、
図3に示すように、直管部位34の上端部側に穿孔機21を設置することで、穿孔機21の穿孔装置を直管部位34を通して移動させて流体管1に貫通孔を穿孔することができる。その結果、穿孔機21の穿孔装置のストロークを短くすることができ、穿孔機21の小型化及び穿孔機21の重量の軽量化を図ることができる。
【0042】
以下、流体管1に分岐部2を形成する分割部形成方法について説明する。
この分割部形成方法では、
図3に示すように、穿孔機21及び作業弁11を用いて流体管1に貫通孔を穿孔する穿孔工程、
図4に示すように、挿入機51を用いて第1分割体3を第1閉塞部材61aにて閉塞する第1閉塞工程、
図6に示すように、第1分割体3に第2分割体4を接続する接続工程、
図10に示すように、挿入機51を用いて第2分割体4を第2閉塞部材61bにて閉塞する第2閉塞工程を順次行うようにしている。
【0043】
図3~
図11では、中央の一点鎖線よりも左側に位置する領域を基本的には半断面として図示しており、第1分割体3、第2分割体4、及び、第2分割体4に連結された弁装置7以外の各種の部材や装置については、二点鎖線にて示している。
【0044】
この分割部形成方法では、作業弁11、穿孔機21、挿入機51、第1閉塞部材61a、第2閉塞部材61b等の各種の部材や装置を用いているので、まずは、それら各種の部材や装置について説明する。
【0045】
(作業弁)
作業弁11は、
図3に示すように、操作部13の操作により開閉自在な弁体が収容された弁ケース12が備えられている。その弁ケース12は、第1分割体3における直管部位34の上端部に密閉状態で取り付けられている。図示は省略するが、例えば、直管部位34のフランジ部35と弁ケース12の連結部等とがボルトナット等の締結具を用いて締結することで、弁ケース12が第1分割体3の直管部位34に密閉状態で連結自在となっている。
【0046】
(穿孔機)
穿孔機21は、
図3に示すように、カッター等の穿孔装置(図示省略)等が収容された穿孔装置収容部23と、その穿孔装置を移動操作及び穿孔操作するための動力を付与する動力付与装置を有する動力付与部22とが備えられている。穿孔機21は、動力付与部22にて穿孔装置を移動操作及び穿孔操作するための動力を付与することで、穿孔装置を流体管1に対して接近させる移動操作、及び、穿孔装置にて流体管1の外周部を穿孔して貫通孔を形成する穿孔操作を行うことができる。
【0047】
作業弁11の弁ケース12には、
図3に示すように、穿孔装置収容部23が密閉状態で取り付けられ、その穿孔装置収容部23に動力付与部22が密閉状態で取り付けられている。穿孔装置収容部23は、直管状に形成されており、その下端部に接続用下方側フランジ部25が配設され、その上端部に接続用上方側フランジ部26が配設されている。穿孔装置収容部23の接続用下方側フランジ部25と弁ケース12の連結部等とをボルトナット等の締結具にて締結することで、弁ケース12に穿孔装置収容部23が密閉状態で連結されている。動力付与部22の下端部には接続用フランジ部24が配設されており、その接続用フランジ部24と穿孔装置収容部23の接続用上方側フランジ部26とをボルトナット等の締結具Bにて締結することで、穿孔装置収容部23に動力付与部22が密閉状態で連結されている。
【0048】
(挿入機)
挿入機51は、
図4及び
図12に示すように、挿入機本体52と、第1閉塞部材61aを挿入するための挿入軸部53と、その挿入軸部53を挿入方向(上下方向)に移動自在に支持する支持部54と、挿入軸部53を挿入方向(上下方向)に移動自在に案内するための案内部55と、挿入軸部53に連結されて案内部55にて挿入方向(上下方向)に案内される被案内部56とが備えられている。
【0049】
挿入機本体52の下端部には、
図4及び
図12に示すように、作業弁11の弁ケース12に対して連結自在な連結フランジ部57が配設されている。詳細な図示は省略するが、連結フランジ部57と弁ケース12の連結部等とがボルトナット等の締結具を用いて締結することで、挿入機本体52が弁ケース12に連結自在となっている。
【0050】
挿入機本体52は、
図12に示すように、その中央部が最上位に位置して、その両端側ほど下方側に位置する湾曲形状に形成されている。挿入機本体52の中央側部位には、上下方向に延設する姿勢で円柱状の挿入軸部53が配設されており、その挿入軸部53が、支持部54にて上下方向に移動自在に支持されている。挿入軸部53に当接して支持する支持部54の上方側部位及び下方側部位には、挿入軸部53の外周部と支持部54との間をシールする挿入機用シール部材59が配設されている。
【0051】
案内部55は、
図12に示すように、上下方向に延びる長ボルトであり、支持部54から上方側に立設する姿勢で挿入軸部53を挟む状態で左右一対備えられている。被案内部56は、挿入軸部53の上端部に配設されており、その被案内部56の左右両端部位が左右一対の案内部55の夫々に係合されている。被案内部56が案内部55に係合された状態でその案内部55の長手方向(上下方向)に沿って案内されることで、挿入軸部53が、その姿勢を崩すことなく、上下方向に沿ってスムーズに移動することができる。尚、レバーホイストで途中まで挿入軸部53を挿入してもよい。
【0052】
挿入軸部53の下端部には、
図12に示すように、円柱状のアダプター71における挿入機側接続部73に接続自在なアダプター用接続部53aが備えられている。挿入軸部53のアダプター用接続部53aは、下方側に突出する凸状に形成されており、その凸部の外周部にネジ部が備えられている。アダプター71の挿入機側接続部73は、アダプター71の上端部に配設された凹状に形成されており、その凹部の内壁部にネジ部が備えられている。これにより、凸状のアダプター用接続部53aを凹状の挿入機側接続部73に係合させて、アダプター用接続部53aにおけるネジ部と挿入機側接続部73におけるネジ部とを螺合させることで、挿入軸部53とアダプター71とが接続自在となっている。
【0053】
(閉塞部材)
閉塞部材としては、
図4に示すように、第1閉塞位置に配置されることで、第1分割体3の直管部位34を閉塞する第1閉塞部材61aと、
図10に示すように、第2閉塞位置に配置されることで、第2分割体4の上流側管部位41を閉塞する第2閉塞部材61bとが備えられている。
【0054】
第1閉塞部材61aと第2閉塞部材61bとは、
図12に示すように、異なるものではなく、同一の部材であり、第1閉塞部材61aと第2閉塞部材61bとを兼用する兼用閉塞部材61が備えられている。兼用閉塞部材61は、リング状の外周側部位62と、その外周側部位62よりも中央側に位置する中央側部位63とを有している。
【0055】
外周側部位62は、
図12に示すように、上下方向に延びる所定の厚みを有する壁状に形成されている。外周側部位62の外壁部には、内方側に窪んだ凹状の係合溝部64が形成されており、その係合溝部64を挟んで上方側と下方側には、シール部材装着用の上方側凹部65及び下方側凹部66が形成されている。
【0056】
中央側部位63は、
図12に示すように、その中央部が最下位に位置して、その両端側ほど上方側に位置する湾曲形状に形成されている。中央側部位63の中央部には、アダプター71の閉塞部材側接続部72と接続自在なアダプター用接続部67が配設されている。アダプター用接続部67は、先端部位67bが基端部位67aよりも小径の凸状の円柱部として備えられ、その先端部位67bの外周部にネジ部が形成されている。アダプター71の閉塞部材側接続部72は、アダプター71の下端部に配設された凹状に形成されており、その凹部の内壁部にネジ部が形成されている。これにより、凸状のアダプター用接続部67を凹状の閉塞部材側接続部72に係合させて、アダプター用接続部67の先端部位67bにおけるネジ部と閉塞部材側接続部72におけるネジ部とを螺合させることで、
図7に示すように、兼用閉塞部材61とアダプター71とが接続自在となっている。
【0057】
(第1位置保持部)
兼用閉塞部材61は、
図4や
図9に示すように、第1閉塞位置に配置されることで、第1分割体3の直管部位34を閉塞している。第1閉塞位置は、直管部位34の上方側端部(下流側端部)に相当する位置に設定されており、その第1閉塞位置には、
図13及び
図14に示すように、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に位置保持するための第1位置保持部81が備えられている。ちなみに、
図14は、
図9において、第1分割体3の直管部位34において、中央の一点鎖線よりも左側の半断面にて図示した領域を拡大したものである。
【0058】
第1位置保持部81は、
図13及び
図14に示すように、兼用閉塞部材61の係合溝部64に係合して兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に位置保持する第1係合部84と、兼用閉塞部材61に当接して兼用閉塞部材61の移動を規制する第1規制部85とが備えられている。
【0059】
第1分割体3の直管部位34に設けられた第1規制部85には、
図14に示すように、第1閉塞位置に対応する部位において内外に連通する筒状の第1位置保持部材82が形成されている。第1位置保持部材82の連通孔の内端側部位には、その先端側部位が直管部位34の内壁部よりも内方側に突出する状態で第1係合部84が出退自在に螺合装着されている。第1位置保持部材82の連通孔の外端側部位には、第1止水プラグ83が脱着自在に螺合装着されている。
【0060】
第1規制部85は、
図14に示すように、直管部位34の内壁部において上下方向に延びる姿勢で備えられ、その下方側部位が直管部位34の内方側に突出するL字状に形成されている。兼用閉塞部材61が第1閉塞位置に配置されると、兼用閉塞部材61の外周側部位62と第1規制部85とが対向位置する状態となり、第1規制部85の下方側部位における上面部が、兼用閉塞部材61の外周側部位62の下端部に当接する第1当接部86として備えられている。これにより、第1規制部85は、上方側(流体管1から離れる側)の兼用閉塞部材61の移動を許容し、第1当接部86が兼用閉塞部材61の外周側部位62の下端部に当接して下方側(流体管1に接近する側)の移動を規制している。
【0061】
図14に示すように、上下方向において、第1規制部85の中央部位には、第1止水プラグ83と第1係合部84を備えた第1位置保持部材82が配設されている。第1規制部85と対向する兼用閉塞部材61の外周側部位62には、上下方向において、係合溝部64を挟んで上方側凹部65と下方側凹部66とが配設されている。上方側凹部65に装着された上方側シール部材87により第1分割体3側の第1規制部85と兼用閉塞部材61側の外周側部位62との間がシールされ、下方側凹部66に装着された下方側シール部材88により第1分割体3側の第1規制部85と兼用閉塞部材61側の外周側部位62との間がシールされている。これにより、第1分割体3側の第1係合部84と兼用閉塞部材61側の係合溝部64とが係合する係合位置に対して、上下方向の上方側と下方側の両側において、上方側シール部材87と下方側シール部材88とによりシールされている。
【0062】
シール部材にてシールする箇所については、
図14に示すように、第1分割体3側の第1係合部84と兼用閉塞部材61側の係合溝部64とが係合する係合位置に対する上方側と下方側との両側に加えて、第1分割体3の直管部位34とその直管部位34に連結される各種の部材や装置との間でもシールしている。第1分割体3の直管部位34におけるフランジ部35には、シール部材装着用の第1凹部111が形成され、その第1凹部111に第1シール部材112が装着自在に備えられている。
図14では、第1分割体3の直管部位34に第2分割体4の上流側管部位41が連結されているので、第1凹部111に装着された第1シール部材112により、第1分割体3の直管部位34におけるフランジ部35と第2分割体4の上流側管部位41における下方側フランジ部43との間がシールされている。
【0063】
(第2位置保持部)
兼用閉塞部材61は、
図10に示すように、第2閉塞位置に配置されることで、第2分割体4の上流側管部位41を閉塞している。第2閉塞位置は、上流側管部位41の上方側端部(下流側端部)に相当する位置に設定されており、その第2閉塞位置には、第1閉塞位置と同様に、
図13及び
図15に示すように、兼用閉塞部材61を第2閉塞位置に位置保持するための第2位置保持部91が備えられている。ちなみに、
図15は、
図10において、第2分割体4の上流側管部位41において、中央の一点鎖線よりも左側の半断面にて図示した領域を拡大したものである。
【0064】
第2位置保持部91は、
図13及び
図15に示すように、兼用閉塞部材61の係合溝部64に係合して兼用閉塞部材61を第2閉塞位置に位置保持する第2係合部94と、兼用閉塞部材61に当接して兼用閉塞部材61の移動を規制する第2規制部95とが備えられている。
【0065】
第2分割体4の上流側管部位41に設けられた第2規制部95には、
図15に示すように、第2閉塞位置に対応する部位において内外に連通する筒状の第2位置保持部材92が形成されている。第2位置保持部材92の連通孔の内端側部位には、その先端側部位が上流側管部位41の内壁部よりも内方側に突出する状態で第2係合部94が出退自在に螺合装着されている。第2位置保持部材92の連通孔の外端側部位には、第2止水プラグ93が脱着自在に螺合装着されている。
【0066】
第2規制部95は、
図15に示すように、上流側管部位41の内壁部において上下方向に延びる姿勢で備えられ、その上方側部位が上流側管部位41の内方側に突出する逆L字状に形成されている。兼用閉塞部材61が第2閉塞位置に配置されると、兼用閉塞部材61の外周側部位62と第2規制部95とが対向位置する状態となり、第2規制部95の上方側部位における下面部が、兼用閉塞部材61の外周側部位62の上端部に当接する第2当接部96として備えられている。これにより、第2規制部95は、下方側(流体管1に接近する側)の兼用閉塞部材61の移動を許容し、第2当接部96が兼用閉塞部材61の外周側部位62の上端部に当接して上方側(流体管1から離れる側)の移動を規制している。
【0067】
図15に示すように、上下方向において、第2規制部95の中央部位には、第2止水プラグ93と第2係合部94を備えた第2位置保持部材92が配設されている。第2規制部95と対向する兼用閉塞部材61の外周側部位62には、上下方向において、係合溝部64を挟んで上方側凹部65と下方側凹部66とが配設されている。上方側凹部65に装着された上方側シール部材87により第2分割体4側の第2規制部95と兼用閉塞部材61側の外周側部位62との間がシールされ、下方側凹部66に装着された下方側シール部材88により第2分割体4側の第2規制部95と兼用閉塞部材61側の外周側部位62との間がシールされている。これにより、第2分割体4側の第2係合部94と兼用閉塞部材61側の係合溝部64とが係合する係合位置に対して、上下方向の上方側と下方側の両側において、上方側シール部材87と下方側シール部材88とによりシールされている。
【0068】
シール部材にてシールする箇所については、
図15に示すように、第2分割体4側の第2係合部94と兼用閉塞部材61側の係合溝部64とが係合する係合位置に対する上方側と下方側との両側に加えて、第2分割体4の上流側管部位41とその上流側管部位41に連結される各種の部材や装置との間でもシールしている。第2分割体4の上流側管部位41における上方側フランジ部44には、シール部材装着用の第2凹部113が形成され、その第2凹部113に第2シール部材114が装着自在に備えられている。
図15では、第2分割体4の上流側管部位41に挿入機51が連結されているので、第2凹部113に装着された第2シール部材114により、第2分割体4の上流側管部位41における上方側フランジ部44と挿入機51の連結フランジ部57との間がシールされている。
【0069】
以下、分岐部形成方法における、穿孔工程、第1閉塞工程、接続工程、第2閉塞工程の各工程での動作について説明する。
【0070】
(穿孔工程)
この穿孔工程は、
図3に示すように、穿孔機21にて流体管1に貫通孔を穿孔するための工程である。穿孔工程を行う前には、流体管1の外周部に第1分割体3を既に設置しているので、穿孔工程を行う場合には、第1分割体3に対して作業弁11を取り付け、その作業弁11に対して穿孔機21を取り付けている。
【0071】
穿孔工程では、作業弁11を閉状態から開状態に切り替えて、穿孔機21の穿孔装置を、第1分割体3の直管部位34の内部空間を通して、流体管1まで下方側に移動させる移動操作を行う。穿孔機21の穿孔装置を流体管1まで移動させると、その穿孔装置にて流体管1の外周部を穿孔して貫通孔を形成する穿孔操作を行う。このようにして、穿孔工程では、流体管1の外周部の上部に第1分割体3の直管部位34を設置して、穿孔機21にて流体管1に貫通孔を穿孔する穿孔方向が、流体管1に対して上方側から下方側に向かう方向に設定されている。
【0072】
その後、穿孔機21の穿孔装置を、穿孔した切方等とともに、第1分割体3の直管部位34の内部空間を通して、元の位置まで上方側に移動させる移動操作を行い、作業弁11を開状態から閉状態に切り替え、作業弁11から穿孔機21を取り外している。
【0073】
穿孔工程では、第1分割体3の直管部位34の内部空間を通して穿孔機21の穿孔装置を上下方向に移動させている。穿孔機21での穿孔方向(上下方向)での第1分割体3の直管部位34の長さは、
図1及び
図2に示すように、第2分割体4の第2設定長さL2よりも短い第1設定長さL1に設定されている。これにより、穿孔機21の穿孔装置を上下方向に移動させるストロークを短くすることができ、穿孔機21の小型化及び穿孔機21の重量の軽量化を図ることができる。
【0074】
(第1閉塞工程)
第1閉塞工程は、
図4に示すように、第1分割体3の直管部位34を第1閉塞部材61a(兼用閉塞部材61)にて閉塞するための工程である。作業弁11には、第1分割体3の直管部位34を閉塞するための第1閉塞位置に第1閉塞部材61a(兼用閉塞部材61)を挿入させる挿入機51が取り付けられている。
【0075】
第1閉塞工程では、
図4に示すように、作業弁11に対して挿入機51を取り付け、作業弁11を閉状態から開状態に切り替えて、挿入機51にて挿入軸部53を下方側に移動させることで、兼用閉塞部材61を下方側に移動させて第1閉塞位置に挿入している。このとき、
図4の点線にて示すように、挿入機51において挿入機本体52の内部に連通された連通路58を、第1分割体3に配設された切粉排出用プラグ36に接続している。これにより、兼用閉塞部材61の上方側空間と下方側空間とを連通路58にて連通させて、兼用閉塞部材61の上方側空間と下方側空間とを同圧とする同圧状態としている。よって、同圧状態において挿入機51にて兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に挿入させる操作を行うことができるので、兼用閉塞部材61を安定した姿勢で第1閉塞位置まで挿入させることができ、兼用閉塞部材61にて第1分割体3の直管部位34を適切に閉塞することができる。尚、図示は省略するが、挿入機本体52の上方にはエア抜き用バルブがあり、エアを排出しながら連通して同圧にする。
【0076】
挿入機51にて兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に挿入させる際に、
図4に示すように、挿入機51における挿入軸部53にはアダプター71が接続され、そのアダプター71を介して挿入軸部53が兼用閉塞部材61に接続されている。これにより、挿入軸部53だけでは、第1閉塞位置まで挿入長さが足りない場合でも、アダプター71を接続することで、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置まで適切に挿入させることができる。
【0077】
第1閉塞位置には、
図14に示すように、兼用閉塞部材61の外周側部位62における係合溝部64に係合する第1係合部84が配設されているので、兼用閉塞部材61の第1閉塞位置への移動が第1係合部84にて阻害される可能性がある。そこで、挿入機51にて兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に挿入させる際には、第1止水プラグ83を取り外して、第1係合部84を係合解除位置(第1係合部84が外方側に引退して係合溝部64との係合が解除される位置)に螺合操作している。これにより、第1係合部84にて邪魔されることなく、兼用閉塞部材61の第1閉塞位置への移動をスムーズに行うことができる。また、第1係合部84を挿入する際は、上方側シール部材87と下方側シール部材88とによりシールされているため、流体が外部に噴き出すこともない。
【0078】
第1閉塞位置には、
図14に示すように、第1当接部86を有する第1規制部85が配設されている。これにより、挿入機51にて兼用閉塞部材61を下方側に移動させて、その兼用閉塞部材61が第1閉塞位置に到達すると、第1規制部85の第1当接部86が兼用閉塞部材61に当接して、それ以上の下方側への兼用閉塞部材61の移動が規制される。よって、第1閉塞位置に対して適切に兼用閉塞部材61を下方移動(挿入)させることができる。
【0079】
このようにして、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に挿入させると、
図14に示すように、第1係合部84を係合位置(第1係合部84が内方側に突出して係合溝部64に係合する位置)に螺合操作したのち、第1止水プラグ83を取り付けることで、第1係合部84と兼用閉塞部材61側の係合溝部64とが係合することになる。よって、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材61は、第1係合部84と係合溝部64との係合、及び、第1規制部85の第1当接部86と兼用閉塞部材61との当接により、第1閉塞位置に位置保持されている。
【0080】
第1分割体3の直管部位34の上方側端部(下流側端部)を兼用閉塞部材61にて閉塞すると、
図5に示すように、第1分割体3から作業弁11を取り外している。
【0081】
(接続工程)
この接続工程は、
図6に示すように、第1分割体3に第2分割体4を接続するための工程である。第1分割体3の直管部位34におけるフランジ部35と第2分割体4の上流側管部位41の下方側フランジ部43とをボルトナット等の締結具Bにて締結することで、第1分割体3と第2分割体4とを接続している。第1閉塞工程を行うことで、第1分割体3の直管部位34の上方側端部(下流側端部)を兼用閉塞部材61にて閉塞しているので、流体の外部への流出を防止しながら、第1分割体3と第2分割体4との接続作業を簡易に行うことができる。
【0082】
接続工程では、
図6に示すように、第1分割体3と第2分割体4とを接続すると、第2分割体4に水圧試験装置102を接続して水圧試験を行っている。第2分割体4の上流側管部位41の上端部には水圧試験用第1蓋部101が取り付けられ、第2分割体4の下流側管部位42の端部には水圧試験用第2蓋部105が取り付けられ、第2分割体4が密閉状態となっている。水圧試験用第1蓋部101には、水圧試験用連結部104が連結されており、水圧試験装置102から水圧試験用連結部104を通して第2分割体4の内部に試験水を供給可能としている。水圧試験では、第2分割体4の内部に試験水を供給した状態において、圧力計103にて第2分割体4の内部の圧力を測定することで、流体の漏れがないかどうかを検査している。
【0083】
水圧試験を行うことで、流体の漏れがないことを確認できれば、
図7に示すように、第2分割体4の下流側管部位42にバルブ等の弁装置7を取り付けることができる。第2分割体4の下流側管部位42における連結フランジ部45と弁装置7におけるフランジ部とをボルトナット等の締結具にて締結することで、第2分割体4の下流側管部位42に弁装置7が密閉状態で連結されている。
【0084】
(第2閉塞工程)
この第2閉塞工程は、
図10に示すように、第2分割体4を兼用閉塞部材61にて閉塞するための工程である。第2分割体4の上流側管部位41には、第2分割体4の上流側管部位41を閉塞するための第2閉塞位置に第2閉塞部材61b(兼用閉塞部材61)を配置させる挿入機51が取り付けられている。
【0085】
この挿入機51を取り付けるに当たり、まず、
図7に示すように、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材61にアダプター71を接続し、次に、
図8に示すように、そのアダプター71に挿入機51の挿入軸部53を接続している。このように、アダプター71を介して挿入機51の挿入軸部53と兼用閉塞部材61とを先に接続した状態において、挿入機本体52、支持部54、案内部55等を組み立てることで、
図9に示すように、挿入機51を第2分割体4の上流側管部位41に組み付けている。
【0086】
第2閉塞工程では、
図9に示すように、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材61を、
図10に示すように、挿入機51にて第2閉塞位置に移動させることで、兼用閉塞部材61にて第2分割体4における上流側管部位41の上方側端部(離間側開口端部)を閉塞している。
【0087】
図10に示す第2閉塞位置は、
図9に示す第1閉塞位置よりも上方側に位置しているので、挿入機51は、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材61に接続された挿入軸部53を上方側に移動させることで、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置から第2閉塞位置まで移動させている。このとき、
図9の点線にて示すように、挿入機51において挿入機本体52の内部に連通された連通路58を、第1分割体3に配設された切粉排出用プラグ36に接続している。これにより、兼用閉塞部材61の上方側空間と下方側空間とを連通路58にて連通させて、兼用閉塞部材61の上方側空間と下方側空間とを同圧とする同圧状態としている。よって、同圧状態において挿入機51にて兼用閉塞部材61を第2閉塞位置に移動させる操作を行うことができるので、兼用閉塞部材61を安定した姿勢で第2閉塞位置まで移動させることができ、
図10に示すように、兼用閉塞部材61にて第2分割体4の上流側管部位41を適切に閉塞することができる。連通路58にて連通の際、エア抜きを行う。
【0088】
挿入機51にて兼用閉塞部材61を第1閉塞位置から第2閉塞位置に移動させる際に、
図9及び
図10に示すように、挿入機51における挿入軸部53にはアダプター71が接続され、そのアダプター71を介して挿入軸部53が兼用閉塞部材61に接続されている。これにより、挿入軸部53だけでは、第1閉塞位置まで挿入長さが足りない場合でも、アダプター71を接続することで、第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材61を適切に移動させることができる。
【0089】
第1閉塞位置には、
図14に示すように、兼用閉塞部材61の外周側部位62における係合溝部64に係合する第1係合部84が配設されており、第2閉塞位置には、
図15に示すように、兼用閉塞部材61の外周側部位62における係合溝部64に係合する第2係合部94が配設されている。よって、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置から第2閉塞位置に移動させる際に、第1係合部84及び第2係合部94にて兼用閉塞部材61の移動が阻害される可能性がある。そこで、挿入機51にて兼用閉塞部材61を第1閉塞位置から第2閉塞位置に移動させる際には、第1止水プラグ83を取り外して、第1係合部84を係合解除位置に螺合操作する。さらに、第2止水プラグ93を取り外して、第2係合部94を係合解除位置(第2係合部94が外方側に引退して係合溝部64との係合が解除される位置)に螺合操作する。これにより、第1係合部84及び第2係合部94にて邪魔されることなく、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置から第2閉塞位置にスムーズに移動させることができる。
【0090】
第2閉塞位置には、
図15に示すように、第2当接部96を有する第2規制部95が配設されている。これにより、挿入機51にて兼用閉塞部材61を第1閉塞位置から上方側に移動させて、その兼用閉塞部材61が第2閉塞位置に到達すると、第2規制部95の第2当接部96が兼用閉塞部材61に当接して、それ以上の上方側への兼用閉塞部材61の移動が規制される。よって、第2閉塞位置に対して適切に兼用閉塞部材61を上方移動させることができる。
【0091】
兼用閉塞部材61を第1閉塞位置から第2閉塞位置に移動させると、
図15に示すように、第2係合部94を係合位置(第2係合部94が内方側に突出して係合溝部64に係合する位置)に螺合操作したのち、第2止水プラグ93を取り付けることで、第2係合部94と兼用閉塞部材61側の係合溝部64とが係合することになる。よって、第2閉塞位置に配置された兼用閉塞部材61は、第2係合部94と係合溝部64との係合、及び、第2規制部95の第2当接部96と兼用閉塞部材61との当接により、第2閉塞位置に位置保持されている。なお、第1止水プラグ83は第1位置保持部材82の連通孔に螺合装着する。
【0092】
このようにして、兼用閉塞部材61を第2閉塞位置に位置保持すると、挿入機51を取り外している。
【0093】
(フランジ蓋部取付工程)
以上の如く、穿孔工程、第1閉塞工程、接続工程、第2閉塞工程を順次行うことで、第1分割体3と第2分割体4とにより流体管1から分岐する分岐部2を形成することができる。最後に、
図11に示すように、第2分割体4の上流側管部位41の上端部にフランジ蓋部6を取り付けるフランジ蓋部取付工程を行っている。
【0094】
図11に示すように、第2分割体4の上流側管部位41における上方側フランジ部44とフランジ蓋部6とをボルトナット等の締結具Bにて締結することで、上流側管部位41の上端部にフランジ蓋部6を固定している。第1分割体3と第2分割体4との連結箇所では、第1分割体3側の直管部位34におけるフランジ部35と第2分割体4側の上流側管部位41における下方側フランジ部43とを挟み込む状態で補強金具8が取り付けられる。
【0095】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0096】
(1)上記実施形態では、第2閉塞工程において、
図9及び
図10に示すように、第2分割体4の上流側管部位41に対して挿入機51を直接取り付けている。これに代えて、例えば、
図4を参照すると、第2分割体4の上流側管部位41に対して作業弁11を取り付け、その作業弁11に対して挿入機51を取り付けることもできる。
【0097】
この場合に、第2閉塞工程では、作業弁11を開状態に切り替えて挿入機51を組み立て、作業弁11を開状態にしたまま、挿入機51にて第1閉塞位置に配置された兼用閉塞部材61を第2閉塞位置まで移動させる。何らかの異常等により兼用閉塞部材61にて適切に閉塞できない場合には、作業弁11を開状態から閉状態に切り替えることで、外部への流体の流出を防止することができるので、何らかの異常が発生した場合のためのバックアップ用として、作業弁11を用いることができる。
【0098】
(2)上記実施形態では、第1閉塞部材61aと第2閉塞部材61bとを兼用する兼用閉塞部材61が備えられているが、第1閉塞部材61aと第2閉塞部材61bとを別々に備えることもできる。この場合に、第2閉塞工程では、挿入機51にて第1閉塞位置に配置された第1閉塞部材61aを除去して、挿入機51にて第2閉塞部材61bを第2閉塞位置に挿入することができる。
【0099】
また、第2閉塞部材61bをフランジ蓋部6にて兼用することができる。例えば、第2閉塞工程では、挿入機51にて第1閉塞位置に配置された第1閉塞部材61aを除去して、フランジ蓋部6を取り付けることで、第2分割体4の上流側管部位41をフランジ蓋部6にて閉塞することができる。
【0100】
このようにして、閉塞部材については、第1閉塞部材61aと第2閉塞部材61bとを兼用する兼用閉塞部材61を備えるものに限らず、第1閉塞部材と第2閉塞部材とで異なる構成を採用することができ、各種の構成を適宜採用することができる。
【0101】
(3)上記実施形態では、第2分割体4の下流側管部位42に接続する部材として、バルブ等の弁装置7を例示しているが、例えば、分岐した流体を通流させる分岐流体管等を第2分割体4の下流側管部位42に接続することができる。よって、第2分割体4の下流側管部位42に接続する部材としては、バルブ等の弁装置7に限らず、他の部材や装置を適用することができる。
【0102】
(4)上記実施形態では、第2分割体4が、上流側管部位41と下流側管部位42とを有し、上流側管部位41が接続部位として備えられ、下流側管部位42が分岐部形成部位として備えられている。これに代えて、例えば、第2分割体4が、第1分割体3の直管部位34に接続自在で第1分割体3の延設方向に延びる第2直管部位と、その第2直管部位の途中部位を開閉自在な仕切弁等の弁装置とを有し、第2直管部位の途中部位において第1分割体3の直管部位34の延設方向に直交する方向に延びる状態で弁装置を設置することができる。この場合には、第2直管部位を接続部位として備え、弁装置を分岐部形成部位として備えることができる。
【0103】
また、弁装置に限らず、第2直管部位の途中部位において第1分割体3の直管部位34の延設方向に直交する方向に延びる状態で各種の装置や部材を設置することもできる。この場合には、各種の装置や部材を分岐部形成部位として備えることができる。
【0104】
(5)上記実施形態では、穿孔工程において、流体管1の外周部の上部に第1分割体3の直管部位34を設置して、穿孔機21にて流体管1に貫通孔を穿孔する穿孔方向が、流体管1に対して上方側から下方側に向かう方向に設定されているが、例えば、流体管1の外周部の横側部に第1分割体3の直管部位34を設置して、穿孔機21にて流体管1に貫通孔を穿孔する穿孔方向を、流体管1に対して横側部から水平方向に沿う横方向とすることもでき、穿孔方向をどのような方向とするかは適宜変更が可能である。
【0105】
(6)上記実施形態では、第2分割体4における下流側管部位42が、上流側管部位41の途中部位から第1分割体3の直管部位34の延設方向に直交する方向に延びる状態で備えられているが、例えば、下流側管部位42の延設方向について、第1分割体3の直管部位34の延設方向に対して斜め上方側に延びる方向とする等、直管部位34の延設方向に直交する方向に限らず、直管部位34の延設方向に交差する方向とすることもできる。
【0106】
(7)上記実施形態では、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に位置保持させるに当たり、第1位置保持部81が、第1分割体3側の第1係合部84を係合位置に螺合操作することで、兼用閉塞部材61側の係合溝部64に第1係合部84を係合させて、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に位置保持するネジ式に構成されている。これに代えて、例えば、第1分割体3側の内壁部に、周方向に間隔を隔てて複数の第1分割体側バヨネット爪部を配設し、兼用閉塞部材61側の外壁部に、周方向に間隔を隔てて複数の兼用閉塞部材側バヨネット爪部を配設し、兼用閉塞部材61を回転操作することで、第1分割体側バヨネット爪部と兼用閉塞部材側バヨネット爪部とを係合させて、兼用閉塞部材61を第1閉塞位置に位置保持するバヨネット式に構成することもでき、その他各種の係合方式を採用することができる。
【0107】
また、第2位置保持部91についても、第1位置保持部81と同様に、ネジ式に限らず、バヨネット式やその他各種の係合方式を採用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 流体管
2 分岐部
3 第1分割体
4 第2分割体
21 穿孔機
34 直管部位
41 上流側管部位(接続部位)
42 下流側管部位(分岐部形成部位)
61 兼用閉塞部材
61a 第1閉塞部材
61b 第2閉塞部材
81 第1位置保持部
85 第1規制部
91 第2位置保持部
95 第2規制部
L1 第1設定長さ
L2 第2設定長さ