(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176728
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ホルダ及び運搬具
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095496
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑也
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA05
3E063CA04
3E063CA10
3E063EE03
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】無線情報手段を確実に保持して無線情報手段の故障を抑止することのできるホルダ、及び、運搬具を提供する。
【解決手段】IDタグ21をパレット1に取付けるためのホルダ22は、IDタグ21を収容可能な収容部23と、収容部23に収容されたIDタグ21に対して圧接可能な弾性押圧保持部24とを備えている。また、弾性押圧保持部24として、第1弾性押圧保持部24aと、第2弾性押圧保持部24bとを備え、第1弾性押圧保持部24a、及び、第2弾性押圧保持部24bは、第1弾性押圧保持部24a、及び、第2弾性押圧保持部24bのうち、一方にIDタグ21が圧接されることで当該IDタグ21に作用する力が当該IDタグ21を介して他方に作用するようにして設けられている。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線情報手段を運搬具に取付けるためのホルダにおいて、
無線情報手段を収容可能な収容部と、
前記収容部に収容された無線情報手段に対して圧接可能な弾性押圧保持部とを備え、
前記弾性押圧保持部として、少なくとも第1弾性押圧保持部と、第2弾性押圧保持部とを備え、
前記第1弾性押圧保持部、及び、前記第2弾性押圧保持部は、前記第1弾性押圧保持部、及び、前記第2弾性押圧保持部のうち、一方に無線情報手段が圧接されることで当該無線情報手段に作用する力が当該無線情報手段を介して他方に作用するようにして設けられていることを特徴とするホルダ。
【請求項2】
前記弾性押圧保持部のうち少なくとも一部は、前記収容部の内方側に凸となるようにして湾曲する湾曲部とされ、
前記収容部は、当該収容部に対して無線情報手段を挿入可能とする入口開口部を有し、
前記弾性押圧保持部の少なくとも1つは、前記入口開口部を介して前記収容部に無線情報手段を挿入する挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能に構成されるとともに、当該弾性押圧保持部の前記湾曲部は、前記入口開口部側の部位において、前記入口開口部側に向けて前記入口開口部の外周方向に傾斜する傾斜部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記湾曲部は、前記収容部に収容された無線情報手段の所定の側面の中央部又はその近傍を含む範囲に当接可能な当接部と、その他の一般部とを備え、
前記傾斜部のうち、前記当接部に対応する部位の幅が、前記一般部に対応する部位の幅よりも広く構成されていることを特徴とする請求項2に記載のホルダ。
【請求項4】
無線情報手段を運搬具に取付けるためのホルダにおいて、
無線情報手段を収容可能な収容部と、
前記収容部に収容された無線情報手段に対して圧接可能な弾性押圧保持部とを備え、
前記弾性押圧保持部の少なくとも一部は、前記収容部の内方側に凸となるようにして湾曲する湾曲部とされ、
前記収容部は、当該収容部に対して無線情報手段を挿入可能とする入口開口部を有し、
前記弾性押圧保持部は、前記入口開口部に対して無線情報手段を挿入する挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能に構成されるとともに、当該弾性押圧保持部の前記湾曲部は、前記入口開口部側の部位において、前記入口開口部側に向けて前記入口開口部の外周方向に傾斜する傾斜部を備えていることを特徴とするホルダ。
【請求項5】
前記ホルダは、複数のホルダ部材同士を組付けることで構成され、
前記ホルダ部材として、少なくとも第1ホルダ部材と、第2ホルダ部材とを備え、
前記第1ホルダ部材は、前記収容部の一部を構成する第1収容部と、前記弾性押圧保持部としての第1弾性押圧保持部とを備え、
前記第2ホルダ部材は、前記収容部の一部を構成する第2収容部と、前記弾性押圧保持部としての第2弾性押圧保持部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のホルダ。
【請求項6】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載のホルダと、前記ホルダを収容可能なホルダ収容部を有する運搬具本体とを備える運搬具において、
前記ホルダは、前記運搬具本体の前記ホルダ収容部に設けられた被取付部に取付状態とされる取付部を備え、
前記取付部、又は、前記被取付部として、弾性変形可能な弾性取付部を備え、
前記弾性取付部の少なくとも1つは、前記弾性押圧保持部が弾性変形可能な方向とは異なる方向への弾性変形が可能となるように設けられていることを特徴とする運搬具。
【請求項7】
無線情報手段を収容可能な収容部と、前記収容部に収容された無線情報手段に対して圧接可能な弾性押圧保持部とを具備するホルダと、
前記ホルダを収容可能なホルダ収容部を有する運搬具本体と
を備える運搬具において、
前記ホルダは、前記運搬具本体の前記ホルダ収容部に設けられた被取付部に取付状態とされる取付部を備え、
前記取付部、又は、前記被取付部として、弾性変形可能な弾性取付部を備え、
前記弾性取付部の少なくとも1つは、前記弾性押圧保持部が弾性変形可能な方向とは異なる方向への弾性変形が可能となるように設けられていることを特徴とする運搬具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDタグ等の無線情報手段の運搬具への取付けに使用されるホルダ、及び、ホルダを使用して無線情報手段が取付けられる運搬具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、IDタグ等の無線情報手段をパレット等の運搬具に取付ける場合に、無線情報手段を収容可能なホルダに対して無線情報手段を収容し、当該ホルダを運搬具に取付けることが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運搬具に対してホルダを相対変位不可能に取付けたとしても、ホルダの内部で無線情報手段がホルダに対して相対変位してしまう場合には、無線情報手段が故障したり、異音が発生したりすること懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、無線情報手段を確実に保持して無線情報手段の故障を抑止することのできるホルダ、及び、運搬具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.無線情報手段を運搬具に取付けるためのホルダにおいて、
無線情報手段を収容可能な収容部と、
前記収容部に収容された無線情報手段に対して圧接可能な弾性押圧保持部とを備え、
前記弾性押圧保持部として、少なくとも第1弾性押圧保持部と、第2弾性押圧保持部とを備え、
前記第1弾性押圧保持部、及び、前記第2弾性押圧保持部は、前記第1弾性押圧保持部、及び、前記第2弾性押圧保持部のうち、一方に無線情報手段が圧接されることで当該無線情報手段に作用する力が当該無線情報手段を介して他方に作用するようにして設けられていることを特徴とするホルダ。
【0008】
手段1によれば、収容部に収容された無線情報手段を弾性押圧保持部によって保持することができる。従って、収容部において無線情報手段がホルダに対して相対変位することに起因して(無線情報手段が収容部の内面に強く当たる等して)、無線情報手段が故障したり、異音が発生したりすることを防止することができる。さらに、弾性押圧保持部が弾性を有することにより、ホルダや無線情報手段の公差の範囲を比較的大きくすることが可能な上、ホルダに対して無線情報手段を着脱する際に無線情報手段やホルダ(弾性押圧保持部)が損傷するといった事態を抑制することができる。また、弾性押圧保持部として、少なくとも第1弾性押圧保持部と、第2弾性押圧保持部とが設けられ、第1弾性押圧保持部と、第2弾性押圧保持部とによって無線情報手段を互いに押し付け合う方向に付勢する(挟み込む)ような格好となっている。従って、弾性押圧保持部の1つ1つの付勢力をそれ程強くしなくても(ひいては、弾性押圧保持部の1つ1つを大きくしなくても)、収容部に収容された無線情報手段に対する保持力を十分に確保することができる。結果として、ホルダの大型化や無線情報手段の収容部への挿入し易さの低下を抑制しつつ、収容部に収容された無線情報手段をより確実に保持することができる。尚、無線情報手段としては、制御回路、メモリ、及び、アンテナを備えるとともに、弾性押圧保持部に圧接される部位(制御回路、メモリ、及び、アンテナを覆うケースやカバー等)を備えるものを意図している。
【0009】
手段2.前記弾性押圧保持部の少なくとも一部は、前記収容部の内方側に凸となるようにして湾曲する湾曲部とされ、
前記収容部は、当該収容部に対して無線情報手段を挿入可能とする入口開口部を有し、
前記弾性押圧保持部のうち少なくとも1つは、前記入口開口部を介して前記収容部に無線情報手段を挿入する挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能に構成されるとともに、当該弾性押圧保持部の前記湾曲部は、前記入口開口部側の部位において、前記入口開口部側に向けて前記入口開口部の外周方向に傾斜する傾斜部を備えていることを特徴とする手段1に記載のホルダ。
【0010】
手段2によれば、弾性押圧保持部において収容部の内方側に凸となる湾曲部が設けられており、少なくとも当該湾曲部が無線情報手段に圧接されることとなる。また、弾性押圧保持部の少なくとも1つは、無線情報手段の収容部への挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能となっており、無線情報手段を収容部に挿入した段階で無線情報手段が弾性押圧保持部によって保持される。従って、無線情報手段をホルダに収容してホルダを運搬具等に取付ける過程において、無線情報手段がホルダから脱落するといった事態を抑制することができ、結果として、無線情報手段のホルダへの取付作業性の向上を図ることができる。さらに、無線情報手段の収容部への挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能な弾性押圧保持部(湾曲部)のうち、入口開口部側の部位には傾斜部が設けられており、当該弾性押圧保持部(収容部の内側に出っ張った湾曲部の入口開口部側の側縁部)が、収容部に挿入される途中の無線情報手段に対して干渉するといった事態を回避することができる。
【0011】
手段3.前記湾曲部は、前記収容部に収容された無線情報手段の所定の側面の中央部又はその近傍を含む範囲に当接可能な当接部と、その他の一般部とを備え(前記当接部と前記一般部とが前記挿入方向に対して交差する方向に並ぶように構成され)、
前記傾斜部のうち、前記当接部に対応する部位の(前記挿入方向における)幅が、前記一般部に対応する部位の(前記挿入方向における)幅よりも広く構成されていることを特徴とする手段2に記載のホルダ。
【0012】
手段3によれば、湾曲部は、収容部に収容された無線情報手段の所定の側面の中央部又はその近傍を含む範囲に当接可能なため、収容部に収容された無線情報手段をよりバランス良く効果的に保持することができる。また、無線情報手段の収容部への挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能な弾性押圧保持部に関し、傾斜部のうち、当接部に対応する部位の幅が一般部に対応する部位の幅よりも広く構成されることで、無線情報手段を収容部に挿入させる際に無線情報手段が傾斜部によって湾曲部の当接部にまで確実かつ比較的スムースに案内されることとなる。従って、無線情報手段をよりスムースに収容部に挿入させるとともに、収容部に収容された無線情報手段のより一層の安定化を図ることができる。さらに、傾斜部のうち当接部に対応する部位の幅が確保されることで、当接部の補強を図ることができる。
【0013】
手段4.無線情報手段を運搬具に取付けるためのホルダにおいて、
無線情報手段を収容可能な収容部と、
前記収容部に収容された無線情報手段に対して圧接可能な弾性押圧保持部とを備え、
前記弾性押圧保持部の少なくとも一部は、前記収容部の内方側に凸となるようにして湾曲する湾曲部とされ、
前記収容部は、当該収容部に対して無線情報手段を挿入可能とする入口開口部を有し、
前記弾性押圧保持部は、前記入口開口部に対して無線情報手段を挿入する挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能に構成されるとともに、当該弾性押圧保持部の前記湾曲部は、前記入口開口部側の部位において、前記入口開口部側に向けて前記入口開口部の外周方向に傾斜する傾斜部を備えていることを特徴とするホルダ。
【0014】
手段4によれば、収容部に収容された無線情報手段を弾性押圧保持部によって保持することができる。従って、収容部において無線情報手段がホルダに対して相対変位することに起因して(無線情報手段が収容部の内面に接触する等して)、無線情報手段が故障したり、異音が発生したりすることを防止することができる。さらに、弾性押圧保持部が弾性を有することにより、ホルダや無線情報手段の公差の範囲を比較的大きくすることが可能な上、ホルダに対して無線情報手段を着脱する際に無線情報手段やホルダ(弾性押圧保持部)が損傷するといった事態を抑制することができる。
【0015】
また、弾性押圧保持部の少なくとも1つは、無線情報手段の収容部への挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能となっており、無線情報手段を収容部に挿入した段階で無線情報手段が弾性押圧保持部によって保持される。従って、無線情報手段をホルダに収容してホルダを運搬具等に取付ける過程において、無線情報手段がホルダから脱落するといった事態を抑制することができ、結果として、無線情報手段のホルダへの取付作業性の向上を図ることができる。さらに、無線情報手段の収容部への挿入方向に対して交差する方向において無線情報手段と圧接可能な弾性押圧保持部(湾曲部)のうち、入口開口部側の部位には傾斜部が設けられており、当該弾性押圧保持部(収容部の内側に出っ張った湾曲部の入口開口部側の側縁部)が、収容部に挿入される途中の無線情報手段に対して干渉するといった事態を回避することができる。
【0016】
手段5.前記ホルダは、複数のホルダ部材同士を組付けることで構成され、
前記ホルダ部材として、少なくとも第1ホルダ部材と、第2ホルダ部材とを備え、
前記第1ホルダ部材は、前記収容部の一部を構成する第1収容部と、前記弾性押圧保持部としての第1弾性押圧保持部とを備え、
前記第2ホルダ部材は、前記収容部の一部を構成する第2収容部と、前記弾性押圧保持部としての第2弾性押圧保持部とを備えていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のホルダ。
【0017】
手段5によれば、ホルダ部材同士が組付けられる前の状態において、収容部に対して無線情報手段を挿入可能とする入口開口部を比較的広く確保することができ、ホルダ部材同士が組付けられた後の状態において、入口開口部を小さくしたり、閉鎖したりすることができる。従って、無線情報手段をホルダへ収容したり、取外したりする作業を比較的容易に行うことができる上、ホルダ部材同士が組付けられた状態では、無線情報手段のホルダからの脱落をより確実に防止することができる。また、ホルダ(ホルダ部材)を形成するための金型構造の複雑化を抑止することができ、金型コストの抑制等を図ることができる。
【0018】
尚、手段5に記載の「前記弾性押圧保持部としての第1弾性押圧保持部」及び「前記弾性押圧保持部としての第2弾性押圧保持部」は、手段1に記載の「第1弾性押圧保持部」及び「第2弾性押圧保持部」と同じものであり、手段5に記載の構成に対して手段1に記載の構成を引用する場合には、手段5における「前記弾性押圧保持部としての第1弾性押圧保持部」は、「前記第1弾性押圧保持部」を、手段5における「前記弾性押圧保持部としての第2弾性押圧保持部」は「前記第2弾性押圧保持部」をそれぞれ意味する。
【0019】
手段6.前記手段1乃至4のいずれかに記載のホルダと、前記ホルダを収容可能なホルダ収容部を有する運搬具本体とを備える運搬具において、
前記ホルダは、前記運搬具本体の前記ホルダ収容部に設けられた被取付部に取付状態とされる取付部を備え、
前記取付部、又は、前記被取付部として、弾性変形可能な弾性取付部を備え、
前記弾性取付部の少なくとも1つは、前記弾性押圧保持部が弾性変形可能な方向とは異なる方向への弾性変形が可能となるように設けられていることを特徴とする運搬具。
【0020】
手段6によれば、弾性取付部及び弾性押圧保持部をそれぞれの弾性変形の方向が極力分散するようにして配置することで、弾性押圧保持部の数を極力少なくしつつ、運搬具の振動等に起因する無線情報手段へ加えられる力を弾性押圧保持部、及び、弾性取付部によって吸収・緩和可能とする方向を増やすことができる。従って、弾性押圧保持部の数を極力少なくすることで、収容部の容積確保(ホルダの大型化の抑制)、及び、収容部への無線情報手段の挿入し易さの向上を図りつつ、運搬具に取付けられた無線情報手段の保護を図ることができ、無線情報手段の故障等をより確実に防止することができる。弾性取付部とされるのは、取付部と被取付部とのどちらか一方のみ、又は、両方でもよい。尚、「前記取付部として、弾性変形可能な弾性取付部を備え」る構成としてもよい。この場合、例えば、取付部ではなく被取付部が弾性取付部とされる場合に比べて、弾性取付部を比較的容易に形成するとともに、運搬具の金型構造の複雑化等を抑制することができる。
【0021】
手段7.無線情報手段を収容可能な収容部と、前記収容部に収容された無線情報手段に対して圧接可能な弾性押圧保持部とを具備するホルダと、
前記ホルダを収容可能なホルダ収容部を有する運搬具本体と
を備える運搬具において、
前記ホルダは、前記運搬具本体の前記ホルダ収容部に設けられた被取付部に取付状態とされる取付部を備え、
前記取付部、又は、前記被取付部として、弾性変形可能な弾性取付部を備え、
前記弾性取付部の少なくとも1つは、前記弾性押圧保持部が弾性変形可能な方向とは異なる方向への弾性変形が可能となるように設けられていることを特徴とする運搬具。
【0022】
手段7によれば、収容部に収容された無線情報手段を弾性押圧保持部によって保持することができる。従って、収容部において無線情報手段がホルダに対して相対変位することに起因して(無線情報手段が収容部の内面に接触する等して)、無線情報手段が故障したり、異音が発生したりすることを防止することができる。さらに、弾性押圧保持部が弾性を有することにより、ホルダや無線情報手段の公差の範囲を比較的大きくすることが可能な上、ホルダに対して無線情報手段を着脱する際に無線情報手段やホルダ(弾性押圧保持部)が損傷するといった事態を抑制することができる。
【0023】
また、弾性取付部及び弾性押圧保持部をそれぞれの弾性変形の方向が極力分散するようにして配置することで、弾性押圧保持部の数を極力少なくしつつ、運搬具の振動等に起因する無線情報手段へ加えられる力を弾性押圧保持部、及び、弾性取付部によって吸収・緩和可能とする方向を増やすことができる。従って、弾性押圧保持部の数を極力少なくすることで、収容部の容積確保(ホルダの大型化の抑制)、及び、収容部への無線情報手段の挿入し易さの向上を図りつつ、運搬具に取付けられた無線情報手段の保護を図ることができ、無線情報手段の故障等をより確実に防止することができる。弾性取付部とされるのは、取付部と被取付部とのどちらか一方のみ、又は、両方でもよい。尚、「前記取付部として、弾性変形可能な弾性取付部を備え」る構成としてもよい。この場合、例えば、取付部ではなく被取付部が弾性取付部とされる場合に比べて、弾性取付部を比較的容易に形成するとともに、運搬具の金型構造の複雑化等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】(a)はホルダ収容部を示す部分拡大斜視図であり、(b)はホルダ収容部を示す一部断面を含む部分拡大斜視図であり、(c)はホルダ収容部を示す部分拡大断面図である。
【
図3】(a)はホルダ収容部を示す部分拡大平面図であり、(b)はホルダ収容部を示す部分拡大断面図(
図2(c)のJ-J線断面図)である。
【
図5】ホルダ部材を収容部側から視認した正面図である。
【
図6】ホルダ部材を収容奥面構成部の外面側から視認した正面図である。
【
図7】ホルダ部材を収容部側から視認した斜視図である。
【
図8】ホルダ部材を収容奥面構成部及び第1収容側面構成部の外面側から視認した斜視図である。
【
図9】ホルダ部材を収容奥面構成部及び第2収容側面構成部の外面側から視認した斜視図である。
【
図10】ホルダ部材の断面図(
図5のK-K線断面図)である。
【
図12】ホルダと、ホルダ収容部とをそれぞれ示す斜視図である。
【
図13】ホルダがホルダ収容部に取付けられた状態を示す斜視図である。
【
図14】第1ホルダ部材のみをホルダ収容部に収容したと仮定し、第1ホルダ部材等を第1収容部側から視認した場合の模式断面図である。
【
図15】ホルダがホルダ収容部に取付けられた状態を示す一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図16】
図15に示されるホルダを正面から視認した場合の部分拡大断面図である。
【
図17】ホルダがホルダ収容部に取付けられた状態を示す部分拡大断面図である。
【
図18】ホルダがホルダ収容部に取付けられた状態を示す部分拡大水平断面図(
図17のL-L線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、運搬具としてのパレット1は、平面視略矩形状(平面視略正方形状)をなしている。また、パレット1は、パレット1の4隅に設けられる4本の隅柱部2と、パレット1の各側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部2の中間部位に設けられる中間柱部3と、パレット1の中央部に設けられる中央柱部4と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部間を連結する上デッキ部5と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下端部間を連結する下デッキ部6とを備えている。各柱部2、3、4の間には、フォークリフトやハンドリフト等のフォークを挿入可能なフォーク挿入部7が形成されている。本実施形態のパレット1は、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを挿入可能な4方差しタイプのパレットとなっている。
【0026】
本実施形態では、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、上デッキ部5の上面によって物品を載置可能な「載置面8」が構成され、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、下デッキ部6の下面によって、パレット1が設置される床面等の設置面に接地する「接地面9」が構成されている。
【0027】
また、パレット1は、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上側半分と、上デッキ部5とを具備する上構成部10と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下側半分と、下デッキ部6とを具備する下構成部11とを備えている。上構成部10、及び、下構成部11は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。本実施形態の上構成部10、及び、下構成部11は、互いに同一形状で、同一の大きさに構成されている。そして、上構成部10の隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下縁部と、下構成部11の隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上縁部とが熱溶着(又は、振動溶着)されることにより、上構成部10と下構成部11とが一体化され、本実施形態のパレット1が構成されている。
【0028】
さて、
図14、
図15等に示すように、パレット1には、パレット1に載置される物品等に関する情報が記憶され、対応するリーダライタと無線通信が可能な無線情報手段としてのIDタグ21(
図14の2点鎖線参照。IDタグは、無線タグ、RFIDタグ、ICタグ、電子タグ、非接触タグ等と呼ばれる場合もある)が装着される。詳しくは後述するが、本実施形態では、IDタグ21を収容可能なホルダ22(
図11、
図12等参照)に対してIDタグ21を収容し、当該ホルダ22をパレット1に取付けることとなる。
【0029】
また、
図1~
図3等に示すように、パレット1には、中央柱部4において、ホルダ22を収容可能なホルダ収容部13が設けられている。ホルダ収容部13は、上下方向(パレット1の高さ方向)に延在して、上方、及び、下方に開口する略四角筒状をなしている。また、ホルダ収容部13の内側面からホルダ収容部13の内側に突出する被取付部としての係止部14が設けられている。係止部14は、載置面8からパレット1の高さ方向中央部側に所定距離変位した位置と、接地面9からパレット1の高さ方向中央部側に所定距離変位した位置とにそれぞれ設けられている。係止部14のうち、パレット1の高さ方向中央部側の面は略水平方向に延在し、ホルダ収容部13の開口側の面(上面又は下面)は係止部14の突出方向先端部側に向けてパレット1の高さ方向中央部側に傾斜している。さらに、載置面8側の係止部14(以下、「載置面側係止部14a」と称する)は、ホルダ収容部13を構成する4つの内側面のうち平面視で各内側面の中央部よりも時計回り方向先方側の位置からそれぞれ突出するようにして4箇所に設けられている。また、接地面9側の係止部14(以下、「接地面側係止部14b」と称する)についても、上記のように、上構成部10及び下構成部11が同形状であることから、下面視でホルダ収容部13の4つの内側面においてそれぞれの中央部よりも時計回り先方側の位置からそれぞれ突出するようにして設けられている。尚、ホルダ収容部13に関し、上構成部10と下構成部11との溶着部位が凹形状となっており、溶着バリが若干生じたとしても支障なくホルダ22をホルダ収容部13に収容可能である。
【0030】
また、IDタグ21は、制御回路、メモリ、及び、アンテナを備えるとともに、これらを覆う(収容する)ケースを備えている。当該ケース(IDタグ21)の外形状は略直方体形状をなし、その長手方向が上下方向(略鉛直方向)となるようにして、ホルダ収容部13に収容される。尚、本実施形態のIDタグ21は、電池を内蔵したアクティブ型IDタグにより構成されている。
【0031】
図7、
図11、
図18等に示すように、ホルダ22は、IDタグ21を収容可能な収容部23と、収容部23に収容されたIDタグ21に対して圧接可能な弾性押圧保持部24とを備えている。本実施形態のホルダ22は、第1ホルダ部材22aと、第2ホルダ部材22bとを組付けることで構成されており、収容部23を縦に2つに割る(左側と右側とに分ける)ような格好で、ホルダ22を第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとに分割可能である。
【0032】
図5、
図7、
図10、
図18等に示すように、第1ホルダ部材22aは、収容部23の一部(
図18の紙面下側半分)を構成する第1収容部23aと、弾性押圧保持部24としての第1弾性押圧保持部24aとを備えている。
図18に示すように、第2ホルダ部材22bは、収容部23の一部(
図18の紙面上側半分)を構成する第2収容部23bと、弾性押圧保持部24としての第2弾性押圧保持部24bとを備えている。本実施形態では、第1ホルダ部材22aと、第2ホルダ部材22bとが同形状(同じ大きさ)となっている。尚、便宜上、第2ホルダ部材22bの部材番号(符号)は、第1ホルダ部材22aと同じ番号を使用して説明することとし、必要に応じて、第2収容部23b、及び、第2弾性押圧保持部24b等のように第1ホルダ部材22aとは区別した記載を行うこととする。さらに、
図11、
図17、
図18では、IDタグ21の図示が省略されているが、実際には、収容部23にはIDタグ21が収容されている。
【0033】
また、
図7、
図10等に示すように、第1収容部23a、及び、第2収容部23bは、当該第1収容部23a、及び、第2収容部23bに対してIDタグ21を挿入可能とする入口開口部25を有している。そして、第1収容部23a及び第2収容部23bのうち一方に対してIDタグ21を挿入(収容)し、
図11、
図12のように、第1収容部23aと第2収容部23bとを向かい合わせて入口開口部25の周辺部同士を突き合わせるようにして、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとを左右に組付けることで、IDタグ21の全体が収容部23に収容される構成となっている。
【0034】
より具体的に、
図5、
図7等に示すように、第1ホルダ部材22aは、入口開口部25のうち上下に延在する一対の側縁部をそれぞれ含む第1収容部23aの相対する一対の側面をそれぞれ構成する収容側面構成部26と、一対の収容側面構成部26のうち入口開口部25側とは反対側の端部間を連結し、第1収容部23aのうち入口開口部25と対向する奥面を構成する収容奥面構成部27と、一対の収容側面構成部26の上端部間を連結し、第1収容部23aの上面を構成する収容上面構成部28と、一対の収容側面構成部26の下端部間を連結し、第1収容部23aの下面を構成する収容下面構成部29とを備えている。
【0035】
また、一対の収容側面構成部26のうち、第1ホルダ部材22aを入口開口部25側から視認した場合の左側の収容側面構成部26(以下、「第1収容側面構成部26a」と称する)において、前記第1弾性押圧保持部24aが設けられている。第1弾性押圧保持部24aの上端部及び下端部は、それぞれ第1収容側面構成部26aに連結され、第1弾性押圧保持部24aの左右の側縁部は、第1収容側面構成部26aから分離されている(第1収容側面構成部26aとの間にスリットが形成されている)。本実施形態の弾性押圧保持部24(第1ホルダ部材22aに関しては第1弾性押圧保持部24a)は、上端部から下端部にかけて全体的に収容部23(第1ホルダ部材22aに関しては第1収容部23a)の内方側に凸となるようにして連続して湾曲している(本例では、弾性押圧保持部24の全体が湾曲部となっている)。
【0036】
さらに、
図7、
図10等に示すように、弾性押圧保持部24(湾曲部)は、入口開口部25側の部位において、入口開口部25側に向けて入口開口部25の外周方向(第1ホルダ部材22aを入口開口部25側から視認した場合の左方)に傾斜する傾斜部31を備えている。収容部23(第1収容部23a)に対してIDタグ21を収容する際には、第1ホルダ部材22aとIDタグ21との向きを合わせて、入口開口部25を介してIDタグ21を第1収容部23aに挿入する。このとき、IDタグ21は、第1弾性押圧保持部24aの傾斜部31に接触することとなり、当該傾斜部31に案内されるようにして、第1弾性押圧保持部24aを若干弾性変形させつつ、第1弾性押圧保持部24aと、弾性押圧保持部24が設けられなかった収容側面構成部26(以下、「第2収容側面構成部26b」と称する)との間の空間(第1収容部23a)に挿入される。IDタグ21が第1収容部23aに収容されていない状態における第1弾性押圧保持部24aと、第2収容側面構成部26bとの間の間隔は、IDタグ21の厚みよりも若干狭く構成され、IDタグ21(の半分)が第1収容部23aに収容されることで、IDタグ21を第1収容部23aに挿入する挿入方向に対して交差する方向において、第1弾性押圧保持部24a(及び、第2収容側面構成部26b)と、IDタグ21とが圧接されることとなる。
【0037】
加えて、
図7に示すように、弾性押圧保持部24(湾曲部)は、収容部23に収容されたIDタグ21の所定の側面の中央部又はその近傍を含む範囲に当接可能な当接部32と、その他の一般部33とを備え、当接部32と一般部33とがIDタグ21の収容部23への挿入方向に対して交差する方向に並ぶように構成されている。さらに、傾斜部31においては、その全体が平坦面となるように構成されているため、傾斜部31のうち、当接部32に対応する部位の(前記挿入方向における)幅が、一般部33に対応する部位の(前記挿入方向における)幅よりも広く構成されている。尚、傾斜部31は、その全体又は一部が曲面となるように構成されてもよい。
【0038】
また、上記のように、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとは同じものであり、
図11に示すように、上下方向の向きは同じままに、第1収容部23aと第2収容部23bとを向かい合わせた配置とすることで、第1弾性押圧保持部24aと、第2弾性押圧保持部24bとが、収容部23の相対する内側面に配置されることとなる(
図17、
図18参照)。このため、第1収容部23aにその半分が収容されたIDタグ21のうち第1収容部23aに収容されていない部位を第2収容部23bに収容して、IDタグ21の全体が収容部23に収容された状態とすることで、第1弾性押圧保持部24a、及び、第2弾性押圧保持部24bのうち、一方にIDタグ21が圧接されることに起因して当該IDタグ21に作用する力が当該IDタグ21を介して他方に作用するようになっている。このように、収容部23に収容されたIDタグ21は、第1弾性押圧保持部24a、及び、第2弾性押圧保持部24bによって保持されることとなる。
【0039】
また、
図4、
図7、
図16等に示すように、ホルダ22は、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとを組付けた場合に、収容部23a、23bへのホルダ22の挿入方向に対して交差する方向(上下方向、入口開口部25の横幅方向)において、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとが相対変位することを防止する位置決め機構34を備えている。尚、位置決め機構34は、複数の突部34aと、突部34aに対応して複数箇所に設けられた切欠き形状部34bとにより構成され、第1ホルダ部材22a及び第2ホルダ部材22bの組付状態において第1ホルダ部材22a及び第2ホルダ部材22bのうち一方の突部34aが他方の切欠き形状部34bに当接又は近接して配置される。
【0040】
また、
図6、
図8、
図9等に示すように、第1ホルダ部材22aは、パレット1のホルダ収容部13に設けられた係止部14に係止される取付部35を備えている。より具体的には、第1ホルダ部材22aは、収容上面構成部28の上面側に連結される上部構成部36と、収容下面構成部29の下面側に連結される下部構成部37とを備えている。上部構成部36は、第1ホルダ部材22aの上面を構成する上壁部38と、上壁部38と収容上面構成部28との間を連結する上連結部39と、取付部35としての弾性取付部40とを備えている。弾性取付部40は、収容上面構成部28の上面のうち、弾性押圧保持部24が設けられた第1収容側面構成部26a側の側縁部と、収容奥面構成部27側の側縁部とに対応して2箇所に設けられ、それぞれ上部構成部36の内方側に弾性変形可能に構成されている。また、弾性取付部40は、収容上面構成部28の上面の側縁部の一部から若干上部構成部36の外方側に傾斜しつつ上方に延出する基部41と、基部41のうち上部構成部36の内方側の面の上端部に連結され、基部41の上端部よりも上方かつ略鉛直方向に突出する突出部42とを備え、基部41の上端部(突出部42との間の段差)によって係止部14に係止される係止面部43が形成されている。
【0041】
下部構成部37は、第1ホルダ部材22aの下面を構成する下壁部44と、下壁部44と収容下面構成部29との間を連結する下連結部45と、取付部35とを備えている。下部構成部37の取付部35は基本的に弾性変形しない構成となっており、収容下面構成部29の下面の側縁部に沿って断面略コ字状に延在する下連結部45のうち、第2収容側面構成部26b側の部位、及び、収容奥面構成部27側の部位から、下部構成部37の外方側に突出するようにして設けられている。加えて、第1ホルダ部材22aを収容奥面構成部27の外面から視認した場合に、上部構成部36の弾性取付部40は、第1ホルダ部材22aの横幅方向中央部よりも左側に配置され、下部構成部37の取付部35は、第1ホルダ部材22aの横幅方向中央部から右側に配置される。
【0042】
そして、
図4、
図12等に示すように、第1ホルダ部材22aと、第1ホルダ部材22aと同形状である第2ホルダ部材22bとを組付けることで、上部構成部36の弾性取付部40、及び、下部構成部37の取付部35が、ホルダ22の4側面にそれぞれ設けられる格好となる。さらに、ホルダ22をホルダ収容部13に収容させる場合には、
図12等に示すように、下部構成部37側を先頭にしてホルダ22をホルダ収容部13に挿入する。例えば、ホルダ収容部13に対してホルダ22を上方から挿入する場合、下部構成部37の取付部35と、ホルダ収容部13の載置面側係止部14aとの干渉が回避される上、上部構成部36の弾性取付部40の基部41と、ホルダ収容部13の載置面側係止部14aとが当接するまでホルダ22をホルダ収容部13に挿入してからホルダ22をさらに下方に押込むことで、弾性取付部40(基部41)が弾性変形しつつ、弾性取付部40の係止面部43が載置面側係止部14aの下方にまで位置する。かかる状態までホルダ22がホルダ収容部13に挿入されることにより、
図16、
図17等に示すように、上部構成部36の弾性取付部40(係止面部43)と、載置面側係止部14aとが係止状態とされるとともに、下部構成部37の取付部35と、接地面側係止部14bとが係止状態とされ、ホルダ22がホルダ収容部13に取付状態とされる。
【0043】
尚、ホルダ収容部13に取付状態とされているホルダ22を取外す場合には、工具等を使用して、弾性取付部40の突出部42を上部構成部36の内方側に押圧し、弾性取付部40の載置面側係止部14aとの係止状態を適宜解消して、(下部構成部37の下壁部44をホルダ収容部13の内側に押込む等して)ホルダ22をパレット1の上方に抜き取ることとなる。また、ホルダ収容部13に対してホルダ22を下方から挿入することも可能である。さらに、各係止部14の突出方向先端部には、略鉛直方向に延在する面が設けられており、ホルダ22のホルダ収容部13への取付状態では、弾性取付部40の突出部42の外面が係止部14と略当接するように構成されている。加えて、本実施形態では、収容部23に収容されたIDタグ21の全体が、第1ホルダ部材22a及び第2ホルダ部材22bによって覆われる構成とされているが、IDタグ21の一部がホルダ22の外部から視認可能(存在を確認可能)となるように構成としてもよい(例えば、収容部23に収容されたIDタグ21の所定の側面の中央部を含む範囲が露出するようにして(当該範囲に記載された所定情報を視認可能となるようにして)、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとの対象部位が互いに離間する形状とされてもよい)。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態によれば、収容部23(第1収容部23a及び第2収容部23b)に収容されたIDタグ21を弾性押圧保持部24(第1弾性押圧保持部24a及び第2弾性押圧保持部24b)によって保持することができる。従って、収容部23においてIDタグ21がホルダ22に対して相対変位することに起因して(IDタグ21が収容部23の内面に強く当たる等して)、IDタグ21が故障したり、異音が発生したりすることを防止することができる。さらに、弾性押圧保持部24が弾性を有することにより、ホルダ22やIDタグ21の公差の範囲を比較的大きくすることが可能な上、ホルダ22に対してIDタグ21を着脱する際にIDタグ21やホルダ22(弾性押圧保持部24)が損傷するといった事態を抑制することができる。また、弾性押圧保持部24として、第1弾性押圧保持部24aと、第2弾性押圧保持部24bとが設けられ、第1弾性押圧保持部24aと、第2弾性押圧保持部24bとによってIDタグ21を互いに押し付け合う方向に付勢する(挟み込む)ような格好となっている。従って、弾性押圧保持部24の1つ1つの付勢力をそれ程強くしなくても(ひいては、弾性押圧保持部24の1つ1つを大きくしなくても)、収容部23に収容されたIDタグ21に対する保持力を十分に確保することができる。結果として、ホルダ22の大型化やIDタグ21の収容部23への挿入し易さの低下を抑制しつつ、収容部23に収容されたIDタグ21をより確実に保持することができる。
【0045】
また、弾性押圧保持部24は、収容部23の内方側に凸となるようにして湾曲した形状とされている(湾曲部とされている)。さらに、弾性押圧保持部24は、IDタグ21の収容部23への挿入方向に対して交差する方向においてIDタグ21と圧接可能となっており、IDタグ21を収容部23に挿入した段階でIDタグ21が弾性押圧保持部24によって保持される。従って、IDタグ21をホルダ22に収容してホルダ22をパレット1に取付ける過程において、IDタグ21がホルダ22から脱落するといった事態を抑制することができ、結果として、IDタグ21のホルダ22への取付作業性の向上を図ることができる。
【0046】
加えて、IDタグ21の収容部23への挿入方向に対して交差する方向においてIDタグ21と圧接可能な弾性押圧保持部24(湾曲部)のうち、入口開口部25側の部位には傾斜部31が設けられており、当該弾性押圧保持部24(収容部23の内側に出っ張った湾曲部の入口開口部25側の側縁部)が、収容部23に挿入される途中のIDタグ21に対して干渉するといった事態を回避することができる。
【0047】
また、弾性押圧保持部24は、収容部23に収容されたIDタグ21の所定の側面の中央部又はその近傍を含む範囲に当接可能な当接部32を備えている。このため、収容部23に収容されたIDタグ21をよりバランス良く効果的に保持することができる。さらに、弾性押圧保持部24の傾斜部31のうち、当接部32に対応する部位の(IDタグ21の収容部23への挿入方向における)幅が一般部33に対応する部位の(IDタグ21の収容部23への挿入方向における)幅よりも広く構成されることで、IDタグ21を収容部23に挿入させる際にIDタグ21が傾斜部31によって弾性押圧保持部24の当接部32にまで確実かつ比較的スムースに案内されることとなる。従って、IDタグ21をよりスムースに収容部23に挿入させるとともに、収容部23に収容されたIDタグ21のより一層の安定化を図ることができる。さらに、傾斜部31のうち当接部32に対応する部位の幅が確保されることで、当接部32の補強を図ることができる。
【0048】
また、ホルダ22は、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとを組付けることで構成され、第1ホルダ部材22aは、収容部23の一部を構成する第1収容部23aと、第1弾性押圧保持部24aとを備え、第2ホルダ部材22bは、収容部23の一部を構成する第2収容部23bと、第2弾性押圧保持部24bとを備えている。このため、ホルダ部材22a、22b同士が組付けられる前の状態において、収容部23(第1収容部23a及び第2収容部23b)に対してIDタグ21を挿入可能とする入口開口部25を比較的広く確保することができ、ホルダ部材22a、22b同士が組付けられた後の状態において、入口開口部25を閉鎖することができる。従って、IDタグ21をホルダ22へ収容したり、取外したりする作業を比較的容易に行うことができる上、ホルダ部材22a、22b同士が組付けられた状態では、IDタグ21のホルダ22からの脱落をより確実に防止することができる。また、ホルダ22(ホルダ部材22a、22b)を形成するための金型構造の複雑化を抑止することができ、金型コストの抑制等を図ることができる。
【0049】
さらに、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとを組付けることで、第1弾性押圧保持部24aと、第2弾性押圧保持部24bとが、収容部23の相対する内側面(相対する一対の収容側面構成部26)に配置されることとなる。これに対し、第1ホルダ部材22a、及び、第2ホルダ部材22bのそれぞれの収容奥面構成部27には、弾性押圧保持部24が設けられていない。この点、弾性取付部40に関しては、収容上面構成部28の上面のうち収容奥面構成部27側の側縁部にも設けられている。このように、弾性取付部40及び弾性押圧保持部24をそれぞれの弾性変形の方向が極力分散するようにして配置することで、弾性押圧保持部24の数を極力少なくしつつ、パレット1の振動等に起因するIDタグ21へ加えられる力を弾性押圧保持部24、及び、弾性取付部40によって吸収・緩和可能とする方向を増やすことができる。従って、弾性押圧保持部24の数を極力少なくすることで、収容部23の容積確保(ホルダ22の大型化の抑制)、及び、収容部23へのIDタグ21の挿入し易さの向上を図りつつ、パレット1に取付けられたIDタグ21の保護を図ることができ、IDタグ21の故障等をより確実に防止することができる。また、例えば、取付部35ではなくホルダ収容部13の係止部14が弾性取付部とされる場合に比べて、弾性取付部40を比較的容易に形成するとともに、パレット1の金型構造の複雑化等を抑制することができる。
【0050】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0051】
(a)上記実施形態では、ホルダ22が、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとにより構成されているが、ホルダの全体を一体的に形成してもよいし、3つ以上のホルダ部材を組付けることでホルダを構成してもよい。例えば、ホルダ全体を一体的に形成する場合には、収容部23の一側面(例えば、第1ホルダ部材22aの収容奥面構成部27に相当する部位)においてIDタグ21が挿入可能とする入口開口部25を設け、弾性押圧保持部24は、当該入口開口部25側に傾斜部31を備え、IDタグ21を収容部23に収容することで、IDタグ21が弾性押圧保持部24(及び収容部23の内面)に圧接されて入口開口部25側の変位が抑止されるように構成してもよい。また、例えば、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとを左右に組付ける構成ではなく、第1ホルダ部材22aと第2ホルダ部材22bとを上下に組付ける(収容部23が上下に分かれる)ような構成としてもよい。加えて、3つ以上のホルダ部材により収容部が構成されるように構成してもよい。また、ホルダ部材22a、22bの組付状態を維持するための構成は特に限定されるものではなく、ホルダ部材22a、22b同士が離間する方向への変位を規制する構成を設けることとしてもよい。
【0052】
(b)上記実施形態における弾性押圧保持部24の数や配置は特に限定されるものではなく、例えば、ホルダ22に設けられる弾性押圧保持部24を全体で1つとしてもよいし、3つ以上としてもよい。また、例えば、第1ホルダ部材22a、及び、第2ホルダ部材22bに対しそれぞれ対向配置されるようにして一対の弾性押圧保持部24を設けることとしてもよいし、第1ホルダ部材22a、及び、第2ホルダ部材22bにおいてそれぞれ一方の収容側面構成部26(例えば、第1収容側面構成部26a)と、収容奥面構成部27とに弾性押圧保持部24を設けることとしてもよい。さらに、例えば、ホルダを水平に切断して視認した場合に3つの弾性押圧保持部24がホルダの中央部を中心として120度ずつずれた均等位置に設けられ、略円柱状のIDタグを保持可能に構成してもよい。加えて、パレット1の高さ方向において、第1弾性押圧保持部24aの位置と、第2弾性押圧保持部24bの位置とをずらして配置してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、弾性押圧保持部24が全体的に湾曲しているが、部分的に湾曲する形状としてもよい。さらに、弾性押圧保持部24における湾曲部は、1箇所でもよいし、複数個所でもよいが、1箇所の場合には、IDタグ21の所定の側面の中央部又はその近傍部位に当接可能なように構成されることが望ましい。加えて、弾性押圧保持部24の上端部又は下端部の一方のみが収容側面構成部26に連結される構成としてもよい。尚、弾性押圧保持部24において湾曲形状部位(面取り部分は除く)が存在しないような構成とすることも可能である。
【0054】
(c)また、ホルダ22の収容部23の形状、ホルダ22の外形状、ホルダ収容部13の形状、及び、IDタグ21の形状は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、IDタグ21として、カード型等の比較的厚みの薄い形状としてもよいし、湾曲した外面を有する形状としてもよく、ホルダ22の収容部23は、IDタグ21の形状に合わせて形成される。さらに、取付部35の形成位置についても特に限定されるものではなく、例えば、パレットの高さと、IDタグ21の上下幅との関係上、下部構成部37が省略され、ホルダ22の下側の取付部35が収容側面構成部26、及び、収容奥面構成部27の(各ホルダ部材22a、22bにおいて弾性押圧保持部24から離間した位置の)外面から外方に突出するようにして設けられることとしてもよい。但し、弾性取付部40に関しては、収容部23に収容されたIDタグ21との接触(或いは、ホルダ22の大型化)を回避したり、弾性押圧保持部24との連動を回避したりするべく、収容部23の内側面を構成する部位とは異なる部位に設けられることが望ましい。尚、弾性取付部40が、収容部23よりもホルダ収容部13の開口部側、かつ、上壁部38よりもホルダ収容13の高さ方向中央部側に配置されることで、ホルダ22の取付状態において意図しない弾性取付部40への接触が抑止される上、的確な工具を使用してのホルダ22の取外し作業性の向上が図られる。また、上記実施形態では、ホルダ22の上部構成部36の取付部35が弾性取付部40として構成されているが、かかる構成に代えて、又は、加えて、載置側係止部14aをホルダ収容部13の内外方向に弾性変形可能に構成してもよい。例えば、ホルダ収容部13を画定する壁部の対象部位に対して略コ字状となる切欠き部を形成し、その内側に形成される板バネ部の先端に係止用爪部を設けたものを載置側係止部14a(弾性取付部)としてもよい。
【0055】
(d)上記実施形態では、パレット1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の(合成)樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを挿入可能な4方差しタイプのパレットとなっているが、2つの側面からフォークを挿入可能な2方差しタイプのパレットに適応することも可能である。さらに、例えば、全体が一体的に形成されるパレットに適用してもよい。加えて、例えば、下デッキ部6において、フォーク挿入部7を下方に開口させ、ハンドリフトのキャスターを接地可能とする下開口部を設けることとしてもよいし、下デッキ部6を省略することとしてもよい。尚、上記実施形態では特に言及していないが、載置面8や接地面9は、ホルダ収容部13以外に孔部が形成されない構成としてもよいし、ホルダ収容部13以外にも孔部が適宜形成された構成(例えば、全体的に略格子状)としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、運搬具としてパレット1に具体化されているが、例えば、物品の運搬に使用される容器や台車等に適用することも可能である。さらに、IDタグ21は、アクティブ型のIDタグに限定されるものではなく、パッシブ型やセミアクティブ型のIDタグであってもよい。加えて、IDタグ21(ホルダ収容部13)の配置については特に限定されるものではなく、適宜変更可能である(所定の隅柱部2や中間柱部3に設置してもよい)。また、無線情報手段として、IDタグ21以外にも、赤外線、或いは、IDタグで使用される周波数とは異なる周波数の電波を使用して対応するリーダライタ(ライタ機能が無くても可)と無線通信が可能な機器(タグ)を採用することも可能である。さらに、無線情報手段がGPS機能を具備するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…パレット、13…ホルダ収容部、14…係止部、21…IDタグ、22…ホルダ、22a…第1ホルダ部材、22b…第2ホルダ部材、23…収容部、23a…第1収容部、23b…第2収容部、24…弾性押圧保持部、24a…第1弾性押圧保持部、24b…第2弾性押圧保持部、25…入口開口部、31…傾斜部、32…当接部、33…一般部、35…取付部、40…弾性取付部。