(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176741
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20241212BHJP
F04C 25/02 20060101ALI20241212BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F04D19/04 H
F04C25/02 A
F04D29/60 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095518
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】板東 龍矢
【テーマコード(参考)】
3H129
3H130
3H131
【Fターム(参考)】
3H129AA01
3H129AB06
3H129BB47
3H129CC09
3H130AB28
3H130AC02
3H130BA87A
3H130BA97A
3H130CA21
3H130EA01A
3H130EA07A
3H131AA02
3H131BA06
3H131BA09
3H131CA31
(57)【要約】
【課題】底面側の固定構造を小型化することが可能な真空ポンプを提供すること。
【解決手段】真空ポンプ1は、真空ポンプ本体100と、底固定板120と、を備える。真空ポンプ本体100は、底面31と、側面32と、を有する。側面32は、底面31から形成されたポンプ側平面34を含む。底固定板120は、真空ポンプ本体100の底面31と締結される。底固定板120は、ポンプ側平面34と対向する固定側平面56aを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、前記底面から形成された第1平面を含む側面と、を有する真空ポンプ本体と、
前記真空ポンプ本体の前記底面と締結される底固定部材と、を備え、
前記底固定部材は、前記第1平面と対向する第2平面を有する、
真空ポンプ。
【請求項2】
前記底固定部材は、前記真空ポンプ本体の前記底面が嵌る凹部を有し、
前記凹部は、前記底面が載置される載置面と、前記載置面の周囲に配置された内周面と、を有し、
前記第2平面は、前記内周面に配置されている、
請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記底面と前記底固定部材は、第1締結部材によって締結されており、
前記第1締結部材は、前記第1平面と平行に配置されている、
請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記底固定部材は、前記底面よりも外側において固定対象物と第2締結部材によって締結されており、
前記第2締結部材は、前記第1平面と平行に配置されている、
請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記底固定部材は、前記第2締結部材が通る貫通孔を有し、
前記第2締結部材は、前記貫通孔を通って前記固定対象物に挿入され、
前記第1平面と前記第2平面との間の隙間は、前記貫通孔の内周面と前記第2締結部材の間の隙間より小さい、
請求項4に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
固定対象物に締結される底面と、
前記底面から形成された第1平面を有する側面と、を備え、
前記固定対象物に前記底面が締結された状態において、前記第1平面は、前記固定対象物に形成された第2平面と対向する、
真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等の分野において、高真空雰囲気にするために真空ポンプの一種であるターボ分子ポンプが用いられている。ターボ分子ポンプでは、ロータがケーシング内で高速回転するため、ロータが破壊した際のエネルギーが、ターボ分子ポンプを接続する装置側に伝わりにくいようにすることを目的として、フランジ部の変形によって吸収する構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、真空ポンプのロータ破壊時の衝撃に対する強度を確保するために、上記特許文献1のようにフランジが設けられた上面側とともに、底面側も固定する場合がある。底面側の固定構造として、例えば、真空ポンプ本体が底固定板にポンプ固定ボルトで締結され、底固定板が固定対象物に底固定ボルトで締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、底固定ボルトには破壊トルクの衝撃に耐えうる強度確保が必要となるため、ボルトの本数、ボルトの強度、およびボルトピッチ円直径の大きさの確保が必要となり、底面側の固定構造が大型化していた。
【0006】
本発明は、底面側の固定構造を小型化することが可能な真空ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る真空ポンプは、真空ポンプ本体と、底固定部材と、を備える。真空ポンプ本体は、底面と、側面と、を有する。側面は、底面から形成された第1平面を含む。底固定部材は、真空ポンプ本体の底面と締結される。底固定部材は、第1平面と対向する第2平面を有する。
【0008】
本発明の第2の態様に係る真空ポンプは、底面と、側面とを備える。底面は、固定対象物に締結される。側面は、底面から形成された第1平面を有する。固定対象物に底面が締結された状態において、第1平面は、固定対象物に形成された第2平面と対向する。
【発明の効果】
【0009】
上述した本発明の態様によれば、真空ポンプの底面側の固定構造を小型化することが可能な真空ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る実施形態の真空ポンプの正面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の真空ポンプ本体の内部構成を示す図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の真空ポンプ本体のベースの近傍および底側固定構造を示す斜視図である。
【
図4】(a)本発明に係る実施形態の真空ポンプ本体の底面図である。(b)
図4(a)のB拡大図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の底固定板の斜視図である。
【
図6】(a)本発明に係る実施形態の底固定板の上面図である。(b)
図6(a)のC部拡大図である。
【
図7】(a)本発明に係る実施形態の真空ポンプのポンプ側平面と固定側平面との位置関係を示す模式平面図である。(b)
図7(a)を矢印Eに沿って視た模式図である。
【
図8】本発明に係る実施形態の変形例の底固板の斜視図である。
【
図9】本発明に係る実施形態の変形例の真空ポンプの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明にかかる実施の形態の真空ポンプシステムについて図面を参照しながら説明する。
【0012】
<構成>
(真空ポンプ1の概要)
図1は、真空ポンプ1の正面図である。真空ポンプ1は、真空ポンプ本体100と、底側固定構造110と、を備える。真空ポンプ本体100は、チャンバに接続され、チャンバ内のガスを排気する。底側固定構造110は、真空ポンプ本体100の底面側を固定対象物200に固定する。固定対象物200は、例えば、チャンバを支持する支持フレームであるが、限定されるものではない。詳しくは後述するが、底側固定構造110は、底固定板120を有している。真空ポンプ本体100が底固定板120に締結され、底固定板120が固定対象物200に締結されることによって、真空ポンプ本体100が固定対象物200に固定される。
図1では、底固定板120の下側に真空ポンプ本体100を駆動するための電源ユニット210が配置されている。
【0013】
(真空ポンプ本体100)
図2は、実施形態に係る真空ポンプ本体100の断面図である。
【0014】
真空ポンプ本体100は、タービン部P1と、ドラッグポンプ部P2と、を含む。タービン部P1は、ターボ分子ポンプを構成する。ドラッグポンプ部P2は、ネジ溝ポンプを構成する。真空ポンプ本体100は、チャンバに接続される。チャンバからのガスは、タービン部P1で排気された後、ドラッグポンプ部P2で排気され、真空ポンプ本体100の外に排気される。
【0015】
真空ポンプ本体100は、
図2に示すように、筐体2と、ロータ3と、モータ4と、複数のステータ翼ユニット5と、ステータ円筒部6と、を有する。筐体2は、ロータ3と、モータ4と、複数のステータ翼ユニット5と、ステータ円筒部6とを収容する。
【0016】
筐体2は、ケーシング8と、ベース9と、固定フランジ10と、を有する。筐体2は、アルミニウム合金または鉄等の金属によって形成されている。ケーシング8は、一端に固定フランジ10を有する筒状の部材である。
【0017】
ケーシング8は、複数のステータ翼ユニット5と、ロータ3に設けられた複数段のロータ翼ユニット22と、を収容する。ケーシング8は、第1端部11と、第2端部12と、側面13と、を有する。
【0018】
第1端部11は、排気対象装置に取り付けられる。第1端部11には、吸気口14が設けられている。第2端部12は、ロータ3の中心の軸Aにおいて、固定フランジ10と反対側に位置している。第2端部12は、ベース9に接続される。側面13は、第1端部11と第2端部12の間に設けられている。ケーシング8の内側には、第1内部空間S1が形成される。
【0019】
ベース9は、ケーシング8の第2端部12側の開口を塞ぐように配置されている。ベース9は、ステータ円筒部6と、ロータ3に設けられているロータ円筒部23と、を収納する。ベース9は、ベース端部33においてケーシング8の第2端部12に接続される。ベース9の内側には、第2内部空間S2が形成される。第2内部空間S2は、第1内部空間S1と連通している。ベース9の側面32には、排気口30が形成されている。排気口30には、排気管と接続する接続具16が配置されている。排気口30は、第2内部空間S2と連通している。ベース9の構成については、後段にて更に説明する。
【0020】
固定フランジ10は、ケーシング8に接続されている。固定フランジ10は、ケーシング8から突出している。固定フランジ10は、ボルトによって排気対象装置に固定される。なお、「接続」とは、互いに別体の部材が接合されることを含むものとする。また、「接続」とは、一体の部材において別々の部分が連なっていることを含むものとする。
【0021】
ロータ3は、シャフト21と、複数段のロータ翼ユニット22と、ロータ円筒部23と、を有する。シャフト21は、ロータ3の軸Aに沿って延びている。以下の説明では、軸Aに沿った方向おいて、ケーシング8からベース9に向かう方向が下方と定義され、その反対方向が上方と定義される。
【0022】
真空ポンプ本体100は、保護軸受29と、複数の軸受24A-24Cと、を含む。保護軸受29は、シャフト21の上部側のラジアル方向の振れを制限するタッチダウンベアリングとして機能する。保護軸受29は、ベース9に取り付けられている。シャフト21が定常回転している状態では、シャフト21と保護軸受29は接触しておらず、大外乱が加わった場合や、回転の加速または減速時にシャフト21の振れ回りが大きくなった場合に、シャフト21が保護軸受29の内輪の内面に接触する。保護軸受29は、例えばボールベアリング等を用いることができる。
【0023】
複数の軸受24A-24Cは、ロータ3を回転可能に支持する。複数の軸受24A-24Cは、ベース9に取り付けられている。複数の軸受24A-24Cは、例えば磁気軸受を含む。ただし、複数の軸受24A-24Cは、ボールベアリングなどの他の種類の軸受を含んでもよい。
【0024】
複数段のロータ翼ユニット22は、それぞれシャフト21に接続されている。複数段のロータ翼ユニット22は、軸Aに沿った方向に互いに間隔をおいて配置されている。各々のロータ翼ユニット22は、複数のロータ翼25を含む、図示を省略するが、複数のロータ翼25の各々は、シャフト21を中心にして放射状に延びている。なお、図面においては、複数段のロータ翼ユニット22の1つ、および複数のロータ翼25の1つのみに符号が付されており、他のロータ翼ユニット22および他のロータ翼25の符号は省略されている。
【0025】
ロータ円筒部23は、シャフト21に接続されている。ロータ円筒部23は、ロータ翼ユニット22の下方に配置されている。ロータ円筒部23は、円筒状であり、軸Aに沿った方向に延びている。ロータ円筒部23は、シャフト21の外周側においてシャフト21を囲むように配置されている。
【0026】
モータ4は、ロータ3を回転駆動する。モータ4としては、例えばDCブラシレスモータが用いられる。モータ4は、モータロータと、モータステータと、を有する。例えば、モータロータは、シャフト21に取り付けられている。モータステータは、ベース9に取り付けられている。モータステータは、モータロータと向かい合って配置されている。
【0027】
複数段のステータ翼ユニット5は、ケーシング8の内面に接続されている。複数段のステータ翼ユニット5は、軸Aに沿った方向において、互いに間隔を空けて配置されている。複数段のステータ翼ユニット5の各々は、複数段のロータ翼ユニット22の間に配置されている。各々のステータ翼ユニット5は、複数のステータ翼28を含む。図示を省略するが、複数のステータ翼28は、それぞれシャフト21を中心として放射状に延びている。
【0028】
複数段のロータ翼ユニット22と複数段のステータ翼ユニット5とは、タービン部P1(ターボ分子ポンプ)を構成する。なお、図面においては、複数のステータ翼ユニット5の1つ、および複数のステータ翼28の1つのみに符号が付されており、他のステータ翼ユニット5および他のステータ翼28の符号は省略されている。
【0029】
ステータ円筒部6は、ロータ円筒部23の径方向外側に配置されている。ステータ円筒部6は、ベース9に接続されている。ステータ円筒部6は、ロータ円筒部23の径方向において、ロータ円筒部23と向かい合って配置されている。
【0030】
ステータ円筒部6の内周面には、らせん状のネジ溝が設けられている。ロータ円筒部23とステータ円筒部6は、ドラッグポンプ部P2(ネジ溝ポンプ)を構成する。なお、らせん状のネジ溝は、ステータ円筒部6の内周面ではなく、ロータ円筒部23の外周面に設けられていてもよい。
【0031】
(ベース9)
図3は、ベース9および底固定板120の近傍を示す斜視図である。
図3では、底固定板120が二点鎖線で示されている。
図4(a)は、真空ポンプ本体100の底面図である。
図4(b)は、
図4(a)のB部拡大図である。
【0032】
ベース9は、底を有する略円筒形状である。ベース9は、
図2に示すように、底面31と、側面32と、ベース端部33と、を有する。底面31は、底固定板120に固定される。底面31には、
図4(a)に示すように、後述するポンプ固定ボルト130が挿入されるボルト孔31aが複数形成されている。ボルト孔31aは、軸Aを中心とする円周上に配置されている。ボルト孔31aの内周面には、ポンプ固定ボルト130の雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。本実施形態では、ボルト孔31aは8つ形成されているが、
図4(a)では1つのみに符号を付す。
【0033】
側面32は、底面31の周囲から吸気口14に向かって配置されている。ベース端部33は、側面32の吸気口14側の端に配置されている。ベース端部33は、側面32から外側(軸Aから遠ざかる方向)に向かって突出している。
図2および
図3に示すように、ベース端部33は、ケーシング8の第2端部12に接続される。
【0034】
側面32の外形は、概ね、外径の異なる円柱が上下に並んだ形状である。側面32は、底面31側の方が吸気口14側よりも外径が大きく形成されている。側面32は、ポンプ側平面34(第1平面)を有する。側面32の外形は、これに限らず、同一径の円筒状であってもよい。
【0035】
ポンプ側平面34は、
図3、
図4(a)および
図4(b)に示すように、底面31と繋がっている。ポンプ側平面34は、底面31の端から上方向(吸気口14側)に向かって形成されている。ポンプ側平面34は、軸Aに対して平行に配置されている。真空ポンプ本体100が底固定板120に固定された際に、ポンプ側平面34は、後述する底固定板120の固定側平面56a(第2平面)と対向する。
【0036】
図3に示すように、側面32のうち、底面31近傍の部分であって、後述する底固定板120の凹部54に嵌る部分を側面下端部35とする。側面下端部35は、平面部分35aと、湾曲部分35bと、を有する。平面部分35aは、ポンプ側平面34の一部である(後述する
図7(b)参照)。湾曲部分35bは、側面下端部35のうち平面部分35a以外の部分である。平面視において、
図4(a)に示すように、湾曲部分35bは軸Aを中心とする同一円周上に形成されている。平面部分35aは直線上となる。平面部分35aは、ポンプ側平面34と平面視では重なっているため、
図4(a)において平面部分35aの符号は括弧内に示す。
【0037】
(底側固定構造110)
底側固定構造110は、
図1に示すように、底固定板120(底固定部材)と、ポンプ固定ボルト130(第1締結部材)(
図3参照)と、底固定治具140と、底固定ボルト150(第2締結部材)と、を備える。底固定板120は、
図3に示すように、ポンプ固定ボルト130によって真空ポンプ本体100と締結される。底固定治具140は、底固定板120と固定対象物200との間に配置される。底固定ボルト150は、上方から底固定板120および底固定治具140を介して固定対象物200まで挿入されている。底固定ボルト150は、軸Aと平行に配置されている。これにより、真空ポンプ本体100を固定対象物200に固定することができる。
【0038】
図5は、底固定板120の斜視図である。
図6(a)は、底固定板120の上面図である。
図6(b)は、
図6(a)のC部拡大図である。
【0039】
底固定板120は、本体部40と、複数の突出部41と、を有する。本体部40は、板状である。本体部40は、第1面51と、第2面52と、開口53と、凹部54と、を有する。第1面51は、真空ポンプ本体100が載置される側の面である。第2面52は、固定対象物200が配置されている側の面である。
【0040】
開口53は、第1面51から第2面52まで本体部40を貫通する。開口53は、電源ユニット210から真空ポンプ本体100に延びるケーブル等を通すために設けられている。
【0041】
凹部54は、第1面51に形成されている。凹部54に、真空ポンプ本体100の底面31および側面下端部35が嵌まり込む。凹部54に、開口53が形成されている。凹部54は、載置面55と、内周面56と、を有する。載置面55には、真空ポンプ本体100の底面31が載置される。内周面56は、載置面55の周縁から上方に向かって形成されている。内周面56は、真空ポンプ本体100の側面下端部35に対向する。
【0042】
内周面56は、固定側平面56aと、湾曲面56bと、を含む。固定側平面56aは、真空ポンプ本体100を凹部54に載置した際に、平面部分35aに対向する。平面部分35aはポンプ側平面34に含まれているため、固定側平面56aは、ポンプ側平面34に対向するともいえる。固定側平面56aは、
図5に示すように、軸Aに垂直な方向から視て矩形状に形成されている。湾曲面56bは、真空ポンプ本体100の上述した湾曲部分35bに沿って形成されている。湾曲面56bは、
図6(a)に示すように、平面視において軸Aを中心とする同一半径の円周上に形成されている。
図6(b)に示すように、平面視において、固定側平面56aは直線上に形成されている。
【0043】
本体部40には、第2面52から載置面55まで貫通した複数の貫通孔40aが形成されている。貫通孔40aは、軸Aを中心とする円周上に配置されている。本実施形態では、貫通孔40aは、8つ形成されているが、図では1つのみに符号を付す。例えば、貫通孔40aの内周面は、滑らかな曲面であり、雌ネジ形状が形成されていない。下方から底固定板120の貫通孔40aを通って、真空ポンプ本体100の底面31のボルト孔31aにポンプ固定ボルト130(
図3参照)が挿入される。ポンプ固定ボルト130は、軸Aと平行に配置されている。ポンプ固定ボルト130(締結部材の一例)の外周の雄ネジは、ボルト孔31aの内周の雌ネジに螺合している。これによって、真空ポンプ本体100を底固定板120に固定することができる。
【0044】
本体部40には、第1面51のうち凹部54の外側部分から第2面52まで貫通した複数の貫通孔40bが設けられている。複数の貫通孔40bは、軸Aを中心とする円周上に配置されている。本実施形態では、貫通孔40bは、8つ形成されているが、図では1つのみに符号を付す。例えば、貫通孔40bの内周面は、滑らかな曲面であり、雌ネジ形状が形成されていない。貫通孔40bは、本体部40の周囲に沿って配置されている。
図1に示すボルト160が貫通孔40bを介して電源ユニット210の上面に形成されたボルト孔に挿入されている。ボルト160の外周の雄ネジは、ボルト孔の内周の雌ネジに螺合している。
【0045】
複数の突出部41は、本体部40の外周から外側に向かって突出している。本実施形態では、突出部41は2つ設けられている。各々の突出部41は板状である。各々の突出部41には、底固定ボルト150が挿入される貫通孔41aが複数形成されている。本実施形態では、1つの突出部41に貫通孔41aは6つ形成されているが、図では1つのみに符号を付す。貫通孔41aと固定対象物200との間に底固定治具140が配置されている。底固定治具140は、円筒状である。例えば、貫通孔41aの内周面および底固定治具140の内周は、滑らかな曲面であり、雌ネジ形状が形成されていない。底固定ボルト150は、上方から突出部41の貫通孔41aおよび底固定治具140の内側を通って、固定対象物200に挿入されている。底固定ボルト150は、軸Aと平行に配置されている。底固定ボルト150の外周の雄ネジは、固定対象物200のボルト孔の内周の雌ネジに螺合している。これによって、底固定板120を固定対象物200に固定することができる。
【0046】
本実施形態の真空ポンプ1では、真空ポンプ本体100のポンプ側平面34と、底固定板120の固定側平面58が互いに対向する平面として設けられている。このため、ロータの破壊時にポンプ側平面34が固定側平面56aに当接することになり、底固定板120は、破壊トルクを面で受けることができ、底固定ボルト150にかかる破壊トルクを低減することができる。
【0047】
底固定板120の内周面56は、側面下端部35との間に隙間が設けられている。
図7(a)は、ポンプ側平面34と固定側平面56aとの位置関係を示す模式平面図である。
図7(a)は、
図6(b)に、側面下端部35を図示したものである。
図7(b)は、
図7(a)を矢印Eに沿って視た模式図である。ポンプ側平面34と固定側平面56aの間の隙間dは、底固定板120の貫通孔41aの内周面と底固定ボルト150の間の隙間よりも小さく形成されている。また、複数の底固定ボルト150と貫通孔41aの内周面との隙間において最も小さい隙間よりも隙間dが小さい方が好ましい。これにより、ロータ3の破壊時において、底固定ボルト150が貫通孔41aに接触するよりも先に、ポンプ側平面34が固定側平面56aに接触するため、底固定ボルト150にかかる破壊トルクを低減することができる。
【0048】
また、平面視におけるポンプ側平面34の幅をW1とし、固定側平面56aの幅をW2とすると、W2はW1よりも大きい方が好ましい。また、幅W1,W2、および隙間dは、真空ポンプ本体100が、底固定板120に対して軸Aを中心として回転した際にポンプ側平面34が固定側平面56aに接触するように設定される方が好ましい。
【0049】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0050】
上記実施形態では、ポンプ側平面34と固定側平面56aは1組のみ設けられているが、複数組設けられていてもよい。
【0051】
上記実施形態では、ポンプ側平面34は、固定側平面56aよりも上方まで伸びているが、固定側平面56aと同じ高さの部分(平面部分35a)まで形成されていてもよい。
【0052】
上記実施形態では、底固定板120に凹部54を形成し、凹部54の内周面56に、ポンプ側平面34と対向する固定側平面56aを設けているが、このような構成に限らなくてもよい。
図8は、変形例の底固定板320を示す斜視図である。底固定板320は、底固定板120と比較して本体部340の第1面351に凹部54が形成されていない。底固定板320は、第1面351に凸部354を有している。凸部354は、内側に面する固定側平面354aを有する。固定側平面354aは、真空ポンプ本体100を底固定板320に固定した際に、ポンプ側平面34に対向する。このように、ポンプ側平面34に対向する面を、凹部54の内周面56に設けずに、凸部354に設けてもよい。
【0053】
上記実施形態では、突出部41は2つ設けられており、各々の突出部41には、6つの貫通孔41aが形成されているが、これらの数に限られるものではない。同様に、貫通孔40a、40bの数も上記8つに限られるものではない。
【0054】
上記実施形態では、底固定板120の下側に電源ユニット210が配置され、底固定板120と電源ユニット210がボルトによって締結されているが、電源ユニット210が底固定板120の下側に配置されていなくてもよい。
【0055】
上記実施形態では、底固定板120を介して真空ポンプ本体100が固定対象物200に固定されているが、
図9に示すように、真空ポンプ本体100が固定対象物200に直接固定されていてもよい。この場合、固定側平面56aが形成されている凹部54は、固定対象物200の表面200aに形成されている。ポンプ固定ボルト130は、固定対象物200の裏面200b側から挿入されている。このように、真空ポンプ本体100のポンプ側平面34が、固定対象物200の固定側平面56aに対向してもよい。
【0056】
上記実施形態では、底固定板120の内周面56は、側面下端部35との間に隙間が設けられていると記載したが、真空ポンプ本体100の側面下端部35と、底固定板120の内周面56の間の全部または一部に隙間が設けられておらず接触していてもよい。また、ポンプ側平面34と固定側平面56aの間に隙間が設けられておらず接触していてもよい。
【0057】
(態様)
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0058】
(第1項)第1態様に係る真空ポンプは、真空ポンプ本体と、底固定部材と、を備える。真空ポンプ本体は、底面と、側面と、を有する。側面は、底面から形成された第1平面を含む。底固定部材は、真空ポンプ本体の底面と締結される。底固定部材は、第1平面と対向する第2平面を有する。
【0059】
第1項に係る真空ポンプによれば、真空ポンプ本体のロータが破壊した場合、底固定部材の第2平面に真空ポンプ本体の第1平面が接触することになる。このように、底固定部材が真空ポンプ本体に生じる破壊トルクを面で受けることができ、底固定部材と固定対象物との固定に用いる第2締結部材にかかる破壊トルクを低減することができる。そのため、第2締結部材の本数を減らし、強度を下げ、ボルトピッチ円直径(ロータの中心軸からボルトまで長さを半径とする円の直径)を小さくすることができる。これにより、真空ポンプの底面側の固定構造を小型化することができる。
【0060】
(第2項)第1項に記載の真空ポンプにおいて、底固定部材は、真空ポンプ本体の底面が嵌る凹部を有していてもよい。凹部は、底面が載置される載置面と、上面の周囲に配置された内周面と、を有していてもよい。第2平面は、内周面に配置されていてもよい。
【0061】
第2項に係る真空ポンプによれば、ロータが破壊した場合、凹部の内周面に形成された第2平面に真空ポンプ本体の第1平面が接触することで、底固定部材が破壊トルクを面で受けることができる。
【0062】
(第3項)第1項に記載の真空ポンプにおいて、底面と底固定部材は、第1締結部材によって締結されてもよい。第1締結部材は、第1平面と平行に配置されていてもよい。
【0063】
第3項に係る真空ポンプによれば、ロータが破壊した場合に、真空ポンプ本体と底固定部材を締結する第1締結部材にかかる破壊トルクを低減することができる。
【0064】
(第4項)第1項に記載の真空ポンプにおいて、底固定部材は、底面よりも外側において固定対象物と第2締結部材によって締結されていてもよい。第2締結部材は、第1平面と平行に配置されていてもよい。
【0065】
第4項に係る真空ポンプによれば、ロータが破壊した場合に、底固定部材と固定対象物を締結する第2締結部材にかかる破壊トルクを低減することができる。
【0066】
(第5項)第3項に記載の真空ポンプにおいて、底固定部材は、第2締結部材が通る貫通孔を有していてもよい、第2締結部材は、貫通孔を通って固定対象物に挿入されてもよい。第1平面と第2平面との間の隙間は、貫通孔の内周面と第2締結部材の間の隙間より小さくてもよい。
【0067】
第5項に係る真空ポンプによれば、ロータが破壊した場合、第2締結部材が貫通孔の内周面に接触するよりも先に、第1平面が第2平面に接触するため、締結部材にかかる破壊トルクを低減することができる。
【0068】
(第6項)第2の態様に係る真空ポンプは、底面と、側面とを備える。底面は、固定対象物に締結される。側面は、底面から形成された第1平面を有する。固定対象物に底面が締結された状態において、第1平面は、固定対象物に形成された第2平面と対向する。
【0069】
第6項に係る真空ポンプによれば、真空ポンプ本体のロータが破壊した場合、底固定部材の第2平面に真空ポンプ本体の第1平面が接触することになる。このように、底固定部材が真空ポンプ本体に生じる破壊トルクを面で受けることができ、底固定部材と真空ポンプ本体を締結する締結部材、または、底固定部材と固定対象物との固定に用いる締結部材にかかる破壊トルクを低減することができる。そのため、第1締結部材と第2締結部材の本数を減らし、強度を下げ、ボルトピッチ円直径(ロータの中心軸からボルトまで長さを半径とする円の直径)を小さくすることができる。これにより、真空ポンプの底面側の固定構造を小型化することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:真空ポンプ、2:筐体、3:ロータ、4:モータ、5:ステータ翼ユニット、6:ステータ円筒部、8:ケーシング、9:ベース、10:固定フランジ、11:第1端部、12:第2端部、13:側面、14:吸気口、16:接続具、21:シャフト、22:ロータ翼ユニット、23:ロータ円筒部、24A-24C:軸受、25:ロータ翼、28:ステータ翼、29:保護軸受、30:排気口、31:底面、31a:ボルト孔、32:側面、33:ベース部、34:ポンプ側平面、35:側面下端部、35a:平面部分、35b:湾曲部分、40:本体部、40a:貫通孔、40b:貫通孔、41:突出部、41a:貫通孔、51:第1面、52:第2面、53:開口、54:凹部、55:載置面、56:内周面、56a:固定側平面、56b:湾曲面、100:真空ポンプ本体、110:底側固定構造、120:底固定板、130:ポンプ固定ボルト、140:底固定治具、150:底固定ボルト、160:ボルト、200:固定対象物、200a:表面、200b:裏面、210:電源ユニット、320:底固定板、340:本体部、351:第1面、354:凸部、A:軸、P1:タービン部、P2:ドラッグポンプ部、S1:第1内部空間、S2:第2内部空間、d:隙間