(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176742
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B66B3/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095519
(22)【出願日】2023-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-15
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 佑樹
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303CA01
3F303CB24
3F303CB31
3F303DA08
3F303DB11
3F303DC32
(57)【要約】
【課題】エレベータに乗車している時間を有効に活用し、所望のサービスについてのレビューを投稿する機会を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係るエレベータシステムは、サービス提供システムによって提供されるサービスについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを記憶する記憶手段と、カメラおよび表示装置が設置された乗りかごと、利用者による呼び情報の登録に応じて、乗りかごの運転を制御するエレベータ制御手段と、呼び情報を登録した利用者が乗りかごに一人で乗車していることが検知された場合、当該利用者により予約されたサービスについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを表示装置に配信する配信制御手段と、映像コンテンツに含まれるレビューの依頼に応じて利用者により入力されたレビューをサービス提供システムにフィードバックするフィードバック手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のサービスを利用者に提供可能なサービス提供システムと協働するエレベータシステムであって、
前記サービス提供システムによって提供されるWebサイトまたはアプリケーションにおいて、前記利用者によって行われた予約の履歴を示す履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記サービス提供システムによって提供されるサービスについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを記憶する映像コンテンツ記憶手段と、
カメラおよび表示装置が設置された乗りかごと、
前記利用者による呼び情報の登録に応じて、前記乗りかごの運転を制御するエレベータ制御手段と、
前記呼び情報を登録した利用者が前記乗りかごに一人で乗車していることが検知された場合、前記履歴情報に基づき、前記呼び情報を登録した利用者により予約されたサービスについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを前記表示装置に配信する配信制御手段と、
前記表示装置に配信された映像コンテンツに含まれるレビューの依頼に応じて、前記呼び情報を登録した利用者によって入力されたレビューを含むレビュー情報を取得し、これを前記サービス提供システムにフィードバックするフィードバック手段と、
を備えることを特徴とする、エレベータシステム。
【請求項2】
前記カメラによって撮影された画像に映る利用者が前記呼び情報を登録した利用者であることを検知し、かつ、前記呼び情報を登録した利用者が前記乗りかごに一人で乗車していることを検知する利用者検知手段をさらに備えることを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記利用者検知手段は、
前記呼び情報を登録した利用者の特徴を示す属性情報を予め保持し、
前記カメラによって撮影された画像に映る利用者の特徴が、前記属性情報によって示される前記呼び情報を登録した利用者の特徴と一致する場合に、前記画像に映る利用者が前記呼び情報を登録した利用者であることを検知することを特徴とする、
請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記履歴情報は、前記呼び情報を登録した利用者によって予約されたサービスの提供を受ける日付と、当該サービスについてのレビューの有無とを示し、
前記配信制御手段は、
前記履歴情報に基づき、前記呼び情報を登録した利用者が予約したサービスの提供を既に受けたことと、当該サービスについてのレビューが無いこととが確認された場合に、前記映像コンテンツの配信を行うことを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記配信制御手段は、
前記呼び情報を登録した利用者とその子供のみが前記乗りかごに乗車していることが検知された場合にも、前記映像コンテンツの配信を行うことを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記呼び情報は、前記呼び情報を登録した利用者の乗車階および行先階を示し、
前記配信制御手段は、
前記呼び情報によって示される乗車階および行先階に基づき、前記呼び情報を登録した利用者の乗車時間を推測し、
前記乗車時間が予め設定された閾値以上の場合に、前記映像コンテンツの配信を行うことを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記配信制御手段は、
前記呼び情報を登録した利用者が自宅付近の乗りかごに一人で乗車していることが検知された場合に、前記映像コンテンツの配信を行うことを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記配信制御手段は、
前記映像コンテンツの配信中に新たな呼び情報が登録された場合、前記映像コンテンツの配信を終了させることを特徴とする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所望のサービスを利用した利用者が、当該サービスについてのレビュー(評価・口コミ)を投稿する仕組みが普及している。この仕組みによれば、サービス提供者は、利用者によって投稿されたレビューを参考にして、サービスの改善や向上を図ることができる。また、他の利用者は、利用者によって投稿されたレビューを参考にして、所望のサービスを利用するかどうかを決めることができる。
【0003】
しかしながら、レビューの投稿には手間がかかるため、所望のサービスを利用した利用者の一部しか、レビューを投稿していないといった問題がある。
【0004】
ところで、エレベータ利用者に関する傾向として、エレベータ内ではスマートフォンなどをあまり使用せず、エレベータが行先階に到着するまで暇を持て余す傾向(つまり、空虚な時間を過ごす傾向)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4621763号公報
【特許文献2】特開2002-167131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、エレベータに乗車している時間を有効に活用し、所望のサービスについてのレビューを投稿する機会を提供することが可能なエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るエレベータシステムは、所望のサービスを利用者に提供可能なサービス提供システムと協働する。前記エレベータシステムは、前記サービス提供システムによって提供されるWebサイトまたはアプリケーションにおいて、前記利用者によって行われた予約の履歴を示す履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、前記サービス提供システムによって提供されるサービスについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを記憶する映像コンテンツ記憶手段と、カメラおよび表示装置が設置された乗りかごと、前記利用者による呼び情報の登録に応じて、前記乗りかごの運転を制御するエレベータ制御手段と、前記呼び情報を登録した利用者が前記乗りかごに一人で乗車していることが検知された場合、前記履歴情報に基づき、前記呼び情報を登録した利用者により予約されたサービスについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを前記表示装置に配信する配信制御手段と、前記表示装置に配信された映像コンテンツに含まれるレビューの依頼に応じて、前記呼び情報を登録した利用者によって入力されたレビューを含むレビュー情報を取得し、これを前記サービス提供システムにフィードバックするフィードバック手段と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るエレベータシステム含む情報処理システムの概略構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、同実施形態における履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、同実施形態におけるコンテンツ情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、同実施形態におけるクラウドサーバの概略構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、同実施形態におけるエレベータシステムにより実行される一連の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、同実施形態におけるかご室内表示装置に表示される映像コンテンツの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、同実施形態におけるかご室内表示装置に表示される映像コンテンツの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0010】
本実施形態においては、所望のサービスを利用者に提供するサービス提供システムと協働し、所望のサービスを利用した利用者によるレビュー(所望のサービスに対する評価・口コミ)をサービス提供システムにフィードバックすることが可能なエレベータシステムについて説明する。なお、本実施形態においては、サービス提供システムが、所望の旅行プランを利用者に提供(提案)し、当該旅行プランの予約を行うことが可能な旅行予約システムである場合を想定する。旅行プランとは、旅行予約システムから利用者に提供される旅行の一例であり、例えば、旅行先、当該旅行先までの移動手段(例えば、新幹線、バス、飛行機など)、当該旅行先における宿泊施設、当該旅行先における食事などを示す。利用者はこのような旅行プランを予約(利用)することで、当該旅行プランに沿った旅行をすることができる。
【0011】
なお、本実施形態においては、サービス提供システムが旅行予約システムである場合を想定するが、これに限定されず、サービス提供システムは、所望のサービスを利用者に提供可能なシステムであれば、任意のシステムであって構わない。
【0012】
図1は、本実施形態に係るエレベータシステムを含む情報処理システムの概略構成例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システムは、エレベータシステム1および旅行予約システム2を含む。以下では、まず、エレベータシステム1に含まれる構成について説明する。
【0013】
乗りかご11の出入口上部にはカメラ12が設置されている。具体的には、カメラ12は、乗りかご11の出入口上部を覆う幕板11aの中にレンズ部分を直下方向に向けて設置されている。カメラ12は、例えば魚眼レンズ等の超広角レンズを有し、180度以上の視野角で乗りかご11内を含む撮影対象を広範囲に撮影する。カメラ12は、1秒間に数コマ(例えば、30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。
【0014】
なお、カメラ12の設置場所は、かごドア13付近であれば、乗りかご11の出入口上部でなくてもよい。例えば、乗りかご11の出入口に近い天井面など、乗りかご11内の床面全域を含むかご室内全体と戸開時に出入口付近の乗場15を撮影可能な場所であればよい。
【0015】
乗りかご11には、いわゆるタッチパネル機能を有したかご室内表示装置14(例えば、サイネージ)が設けられている。詳細については後述するが、かご室内表示装置14には、旅行予約システム2によって提供される旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツ(あるいは画像コンテンツ)が表示される。
【0016】
各階の乗場15において、乗りかご11の到着口には乗場ドア16が設置されている。乗場ドア16は、乗りかご11の到着時にかごドア13に係合して開閉動作する。なお、動力源(ドアモータ)は乗りかご11側にあり、乗場ドア16はかごドア13に追従して開閉するだけである。
【0017】
本実施形態において、利用者は、自身の携帯端末3(例えば、スマートフォンやタブレット端末など)に予めインストールされた呼び登録用のアプリケーション(以下、呼び登録アプリと表記)3aを用いて、呼び情報を登録する。呼び登録アプリ3aは、例えば、エレベータシステム1の関連企業によって開発されたアプリケーションであり、携帯端末3のOS(Operating System)に依存するWebサイトから自由にダウンロードすることができる。
【0018】
利用者は、呼び登録アプリ3aを起動し、乗車階および行先階(乗車情報)を入力することで(あるいは、呼び登録アプリ3aに乗車情報を予め設定しておくことで)、当該乗車情報と当該利用者固有のユーザIDとを含む呼び情報を、エレベータ制御装置30に登録(送信)することができる。
【0019】
なお、利用者固有のユーザIDは、呼び登録アプリ3aによってユーザ毎に割り当てられたユーザIDであってもよいが、好ましくは、呼び登録アプリ3aがインストールされた携帯端末3の端末IDを利用者固有のユーザIDとして利用する態様が望ましい。これによれば、呼び情報に含まれるユーザIDと、旅行予約システム2において管理されるユーザIDとを共通化することができるため、エレベータシステム1と旅行予約システム2とを協働させるにあたって必要なこれら2つのユーザIDの紐付け作業が不要となる。
【0020】
また、本実施形態においては、利用者が呼び登録アプリ3aを用いて呼び情報を登録するとしたが、これに限定されず、乗車情報と利用者固有のユーザIDとを含む呼び情報を登録可能な態様であれば、当該呼び情報は任意の態様で登録されて構わない。例えば、利用者は、乗車情報と利用者固有のユーザIDとが記録されたICカードを、乗場に設置された乗場行先階登録装置(HDC: Hall Destination Controller)にかざすことで、当該乗車情報と当該ユーザIDを含む呼び情報を登録してもよい。
【0021】
エレベータ制御装置30は、他の装置(例えば、携帯端末3、後述する利用者検知装置20やクラウドサーバ40など)と通信するための通信機能を有している。エレベータ制御装置30は、登録された呼び情報に応答して乗りかご11の運転を制御する。本実施形態において、エレベータ制御装置30は、上述した呼び登録アプリ3aを用いて携帯端末3から送信された呼び情報を受信すると、当該呼び情報を図示せぬメモリなどに登録し、当該呼び情報によって示される乗車階に乗りかご11を応答させる。なお、エレベータ制御装置30は、乗りかご11が乗車階や行先階に到着した時のかごドア13の戸開閉制御や、乗りかご11内の照明機器の点灯制御なども行う。
【0022】
利用者検知装置20は、他の装置(例えば、カメラ12やエレベータ制御装置30など)と通信するための通信機能を有している。利用者検知装置20は、カメラ12によって連続的に撮影された各画像(映像)をリアルタイムに解析する処理を実行する。このため、利用者検知装置20は、画像処理装置または画像解析装置と称されても構わない。
図1に示すように、利用者識別装置20は、記憶部21と、利用者識別部22と、乗車人数検知部23とを備えている。
【0023】
記憶部21には、カメラ12によって撮影された画像が逐次記憶される。また、記憶部21には、利用者識別部22の処理に必要なデータとして、上述した利用者固有のユーザIDと、当該ユーザIDにより識別される利用者の属性情報とが予め対応づけて記憶(保持)されている。属性情報は、例えば、利用者の性別、利用者の年齢、利用者の顔画像、特記事項(例えば、車椅子利用者、ベビーカー利用者など)など、利用者の特徴を示す情報である。
【0024】
利用者識別部22は、カメラ12によって撮影された画像に映る利用者が、エレベータ制御装置30に呼び情報を登録した利用者(呼び情報の登録者)であるかどうかを判別する処理を実行する。より詳しくは、利用者識別部22は、カメラ12によって撮影された画像と、記憶部21に予め記憶された属性情報のうち、エレベータ制御装置30に登録された呼び情報によって示されるユーザIDに対応づけられた属性情報とを照合し、当該画像に映る利用者の特徴が、当該属性情報によって示される利用者の特徴と一致するかどうかに基づき、当該画像に映る利用者が当該呼び情報の登録者であるかどうかを判別する。
【0025】
乗車人数検知部23は、カメラ12によって撮影された画像に基づき乗りかご11に乗車している利用者の人数を検知し、乗りかご11に乗車している利用者が上述した呼び情報の登録者のみであるかどうかを判別する処理を実行する(つまり、呼び情報の登録者による一人乗車を検知する処理を実行する)。
【0026】
なお、利用者識別部22および乗車人数検知部23による上述した処理の結果は、エレベータ制御装置30に通知されると共に、当該エレベータ制御装置30を介して後述するクラウドサーバ40にも通知される。
【0027】
クラウドサーバ40は、エレベータシステム1の関連企業によって構築されるクラウド上に設けられたサーバである。クラウドサーバ40は、旅行予約システム2によって提供される旅行プランを予約した利用者であって、当該旅行プランに沿って旅行した利用者に対して、当該旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを配信する。また、クラウドサーバ40は、映像コンテンツに含まれるレビューの依頼に応じて、利用者により入力されたレビューを含むレビュー情報を、旅行予約システム2にフィードバック(送信)する処理を実行する。なお、クラウドサーバ40の詳細な構成については後述する。また、以下では、「旅行予約システム2によって提供される旅行プランを予約した利用者であって、当該旅行プランに沿って旅行した利用者」を、単に「旅行予約システム2によって提供される旅行プランを利用した利用者」と称することがある。
【0028】
次に、旅行予約システム2の構成について説明する。
図1に示すように、旅行予約システム2は、履歴情報記憶部2aと、コンテンツ情報記憶部2bとを備えている。
【0029】
履歴情報記憶部2aは、旅行予約システム2によって提供されるWebサイトまたはアプリケーション(以下、旅行アプリと表記)を用いて、利用者によって行われた旅行プランの予約の履歴を示す履歴情報を記憶している。ここで、
図2を参照して、履歴情報のデータ構造の一例を説明する。
【0030】
図2は、履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
図2に示すように、履歴情報は、ユーザIDと、予約履歴情報と、レビュー履歴情報とを対応づけて含む情報である。なお、履歴情報のデータ構造は、
図2に示したデータ構造に限られず、さらに別の情報が対応づけられてもよい。
【0031】
ユーザIDは、旅行予約システム2によって提供されるWebサイトまたは旅行アプリにおいて旅行プランの予約を行った利用者を識別するための情報である。なお、ユーザIDは、旅行予約システム2によりユーザ毎に割り当てられたユーザIDであってもよいが、上述した呼び情報に含まれるユーザIDと同様に、好ましくは、旅行予約システム2によって提供されるWebサイトまたは旅行アプリにおいて旅行プランの予約を行った携帯端末3の端末IDを利用者固有のユーザIDとして利用する態様が望ましい。
【0032】
予約履歴情報は、旅行予約システム2によって提供されるWebサイトまたは旅行アプリを用いて利用者により行われた旅行プランの予約の履歴を示す情報であり、例えば、旅行プランを予約した日付や、その予約内容(旅行プラン名)、旅行の日程などを示す。
【0033】
レビュー履歴情報は、利用者によるレビューの有無(レビューの投稿履歴)を示す情報であり、例えば、レビュー有り(レビュー投稿済)、または、レビュー無し(レビュー未投稿)のどちらかを示す。
【0034】
例えば、
図2に示す履歴情報d1によれば、ユーザID「U_id001」によって識別される利用者が、「2023年1月1日」に「2023年2月1日-2月3日」の日程で「旅行プランA」を予約したこと、また、当該利用者による「旅行プランA」についてのレビューが「無い」ことが示される。
【0035】
再度
図1の説明に戻る。
コンテンツ情報記憶部2bは、旅行予約システム2によって提供される旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを記憶している。ここで、
図3を参照して、上述した映像コンテンツを含むコンテンツ情報のデータ構造の一例を説明する。
【0036】
図3は、コンテンツ情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、コンテンツ情報は、コンテンツIDと、映像コンテンツと、概要情報とを対応づけて含む情報である。なお、コンテンツ情報のデータ構造は、
図3に示したデータ構造に限られず、さらに別の情報が対応づけられてもよい。
【0037】
コンテンツIDは、所望の旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを識別するための情報である。
【0038】
概要情報は、上述した映像コンテンツの概要を示す情報であり、どの旅行プランについてのレビューの依頼を含むかを少なくとも示す。
【0039】
例えば、
図3に示すコンテンツ情報d2によれば、コンテンツID「C_id001」によって識別される「映像コンテンツC1」が「旅行プランAについてのレビューの依頼」を含む映像コンテンツであることが示される。
【0040】
次に、
図4を参照して、クラウドサーバ40の詳細な構成について説明する。
図4に示すように、クラウドサーバ40は、履歴情報記憶部41と、コンテンツ情報記憶部42と、予約履歴確認部43と、レビュー履歴確認部44と、コンテンツ配信制御部45と、レビューフィードバック部46と、を備えている。
【0041】
履歴情報記憶部41は、旅行予約システム2から提供される履歴情報を記憶している。つまり、履歴情報記憶部41は、旅行予約システム2の履歴情報記憶部2aと同様な記憶装置である。なお、履歴情報記憶部41は、旅行予約システム2の履歴情報記憶部2aに記憶される履歴情報のうち、予約(利用)した旅行プランについてのレビューをしていない利用者に関する履歴情報のみを記憶するとしてもよい。これによれば、履歴情報記憶部41に記憶される履歴情報のデータ量を削減することが可能である。
【0042】
コンテンツ情報記憶部42は、旅行予約システム2から提供されるコンテンツ情報を記憶している。つまり、コンテンツ情報記憶部42は、旅行予約システム2のコンテンツ情報記憶部2bと同様な記憶装置である。
【0043】
予約履歴確認部43は、履歴情報に含まれるユーザIDに基づき、呼び情報を登録した利用者によって旅行プランの予約が行われているかどうかを判別する。また、予約履歴確認部43は、履歴情報に含まれる予約履歴情報に基づき、呼び情報の登録者が、予約した旅行プランで旅行済みかどうかを判別する。
【0044】
レビュー履歴確認部44は、履歴情報に含まれるレビュー履歴情報に基づき、呼び情報の登録者が、予約(利用)した旅行プランについてのレビューを行っているかどうかを判別する。
【0045】
コンテンツ配信制御部45は、(1)呼び情報の登録者が乗りかご11に一人で乗車し、(2)当該登録者が旅行予約システム2によって提供される旅行プランを利用し、(3)当該登録者が当該旅行プランについてのレビューを行っていない場合に、当該旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信する処理を実行する。なお、映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信している最中に、他の利用者による新たな呼び情報がエレベータ制御装置30に登録された場合、コンテンツ配信制御部45は、プライバシー保護の観点から、当該映像コンテンツの配信を終了させる。
【0046】
レビューフィードバック部46は、かご室内表示装置14に配信された映像コンテンツに含まれるレビューの依頼に応じて、呼び情報の登録者により入力されたレビューを含むレビュー情報を取得し、これをサービス提供システム2にフィードバック(送信)する処理を実行する。
【0047】
ここで、
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係るエレベータシステム1によって実行される一連の処理について説明する。
図5は、利用者によって呼び情報が登録されてから、当該利用者によるレビューを含むレビュー情報が旅行予約システム2にフィードバックされるまでの一連の処理を示すフローチャートである。
【0048】
まず、エレベータ制御装置30は、利用者の呼び登録操作に応じて携帯端末3から送信された呼び情報を受信すると、当該呼び情報を図示せぬメモリに登録し、当該呼び情報によって示される乗車階に乗りかご11を応答させる(ステップS1)。
【0049】
乗りかご11が乗車階に到着し、当該乗りかご11のかごドア13が戸開すると、当該乗りかご11内に設けられたカメラ12は、乗場15にいる利用者を含む画像を撮影する。利用者検知装置20の利用者識別部22は、カメラ12によって撮影された画像を解析し、当該画像に映る利用者が、ステップS1において呼び情報を登録した利用者であるかどうかを判別する。
【0050】
より詳しくは、まず、利用者識別部22は、カメラ12によって撮影された画像と、記憶部21に予め記憶された属性情報であって、ステップS1において登録された呼び情報によって示されるユーザIDに対応づけられた属性情報とを照合する。そして、利用者識別部22は、画像に映る利用者の特徴が、上述した属性情報によって示される利用者の特徴と一致するかどうかに基づき、当該画像に映る利用者が当該呼び情報の登録者であるかどうかを判別する(ステップS2)。
【0051】
ステップS2において、カメラ12によって撮影された画像に映る利用者の特徴が、属性情報によって示される利用者の特徴と一致し、当該画像に映る利用者が呼び情報の登録者であると判別された場合(ステップS2のYes)、乗車人数検知部23は、カメラ12によって撮影された画像に基づき、乗りかご11に乗車している利用者の人数を検知し、乗りかご11に乗車している利用者が、呼び情報の登録者のみであるかどうかを判別する(ステップS3)。
【0052】
ステップS3において、乗りかご11に乗車している利用者が呼び情報の登録者のみであると判別された場合(ステップS3のYes)、利用者検知装置20は、ステップS2,S3の結果として、呼び情報の登録者が乗りかご11に一人で乗車している旨の通知(以下、一人乗車通知と表記)をエレベータ制御装置30に送信する。エレベータ制御装置30は、利用者検知装置20から送信された一人乗車通知を受信すると、当該一人乗車通知と、ステップS1において登録された呼び情報とをクラウドサーバ40に送信する。
【0053】
クラウドサーバ40の予約履歴確認部43は、エレベータ制御装置30から送信された一人乗車通知および呼び情報を受信すると、当該呼び情報によって示されるユーザIDを含む履歴情報の有無に基づき、当該呼び情報の登録者が旅行予約システム2によって提供される旅行プランの予約を行っているかどうかを判別する(ステップS4)。なお、予約履歴確認部43は、受信された呼び情報によって示されるユーザIDを含む履歴情報が履歴情報記憶部41に記憶されている場合に、当該呼び情報の登録者が、旅行プランの予約を行っていると判別する。
【0054】
ステップS4において、呼び情報の登録者が旅行プランの予約を行っていると判別された場合(ステップS4のYes)、予約履歴確認部43は、当該呼び情報によって示されるユーザIDに対応づけられた予約履歴情報に基づき、当該呼び情報の登録者が、予約した旅行プランで旅行済みかどうかを判別する(ステップS5)。予約履歴確認部43は、現在の日付が、予約履歴情報によって示される旅行の日程よりも後の日付である場合に、呼び情報の登録者が、予約した旅行プランで旅行済みと判別する。
【0055】
ステップS5において、呼び情報の登録者が、予約した旅行プランで旅行済みと判別された場合(ステップS5のYes)、レビュー履歴確認部44は、当該呼び情報によって示されるユーザIDに対応づけられたレビュー履歴情報に基づき、当該呼び情報の登録者が、当該旅行プランについてのレビューを行っているかどうかを判別する(ステップS6)。
【0056】
ステップS6において、呼び情報の登録者が、予約(利用)した旅行プランについてのレビューを行っていないと判別された場合(ステップS6のNo)、コンテンツ配信制御部45は、コンテンツ情報記憶部42に記憶される多数のコンテンツ情報の中から、当該呼び情報の登録者によって利用された旅行プランに対応する映像コンテンツを含むコンテンツ情報を選択し、当該コンテンツ情報に含まれる映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信する(ステップS7)。これによれば、呼び情報の登録者によって利用された旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツが、かご室内表示装置14に表示される。
【0057】
しかる後、レビューフィードバック部46は、かご室内表示装置14に配信された映像コンテンツに含まれるレビューの依頼に応じて、呼び情報の登録者によりかご室内表示装置14を介して入力されたレビューを含むレビュー情報を取得し、当該レビュー情報を旅行予約システム2にフィードバックして(ステップS8)、ここでの一連の処理を終了させる。
【0058】
なお、上述したステップS5において、呼び情報の登録者が、予約した旅行プランで旅行済みと判別された場合、予約履歴確認部43は、当該呼び情報によって示されるユーザIDに対応づけられた予約履歴情報に基づき、当該呼び情報の登録者が旅行してからの経過期間が予め設定された閾値(例えば、1週間)以下であるかどうかを判別する処理をさらに実行してもよい。これによれば、最近旅行をした利用者(つまり、旅行の記憶が鮮明に残っている利用者)のみに対して、レビューの依頼を含む映像コンテンツを配信することができる。
【0059】
図6は、かご室内表示装置14に表示される映像コンテンツの一例を示す図である。
図6では、「旅行プランA」を利用してくれたことへのお礼のメッセージと、「旅行プランA」についてのレビューの依頼とを含む映像コンテンツがかご室内表示装置14に表示された場合を示している。利用者は、かご室内表示装置14の画面をタッチすることで、旅行プランAに対する「満足度」を、例えば5段階(1つ星~5つ星)で評価することができる。また、利用者は、かご室内表示装置14の画面をタッチすることで、文字を入力するための入力インタフェース(図示せず)をかご室内表示装置14にさらに表示させ、旅行プランAに対する「感想」を入力することもできる。利用者は、「満足度」および「感想」を入力し、レビュー投稿ボタンb1をタッチすることで、入力した「満足度」および「感想」を含む「旅行プランA」についてのレビューを、クラウドサーバ40に送信(投稿)することができる。
【0060】
なお、かご室内表示装置14に表示される映像コンテンツは、
図7に示すように、クーポンを発行するためのクーポン発行ボタンb2を含んでいてもよい。これによれば、クーポン発行ボタンb2が利用者によってタッチされた場合に、当該利用者の携帯端末3にクーポンを発行(送信)するサービスを行うことができるため、当該利用者によってレビューが投稿される確率の向上を期待することができる。
【0061】
以上説明した本実施形態においては、コンテンツ配信制御部45は、呼び情報の登録者が乗りかご11に一人で乗車している場合にのみ、当該登録者によって利用された旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信するとしたが、これに限定されず、例えば呼び情報の登録者とその子供のみが乗りかご11に乗車している場合にも、上述した映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信するとしてもよい。なお、呼び情報の登録者と同乗している利用者が当該登録者の子供であるかどうかの判別は、例えば、利用者検知装置20の記憶部21に記憶される属性情報の特記事項にベビーカー利用者であることや子供がいることを予め登録しておくことで、画像に映る利用者が呼び情報の登録者であるかどうかを判別する際に併せて判別することができる。
【0062】
また、本実施形態においては、コンテンツ配信制御部45は、呼び情報の登録者が乗りかご11に一人で乗車している場合に、当該登録者によって利用された旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信するとしたが、これに限定されず、コンテンツ配信制御部45は、呼び情報の登録者が乗りかご11に一人で乗車し、かつ、当該登録者の乗車時間が予め設定された閾値以上の場合に、上述した映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信するとしてもよい。
【0063】
これによれば、乗車時間が予め設定された閾値未満の利用者(つまり、乗車時間の短い利用者)に対しては、レビューの依頼を含む映像コンテンツを配信しないようにすることができる。乗車時間の短い利用者に対して、レビューの依頼を含む映像コンテンツが配信されてしまうと、当該利用者に不快感を与えてしまう可能性があるが、上述のようにすることで、このような事態の発生を抑制することができる。なお、呼び情報の登録者の乗車時間は、エレベータ制御装置30から取得される呼び情報によって示される乗車情報(乗車階および行先階)に基づき推測することができる。
【0064】
なお、コンテンツ配信制御部45は、呼び情報の登録者が自宅付近の乗りかご11に一人で乗車していることが検知された場合にのみ、当該登録者によって利用された旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信するとしてもよい。
【0065】
これによれば、呼び情報の登録者が、自宅付近以外の乗りかご11、例えば勤務先の乗りかご11に一人で乗車していることが検知されたとしても、レビューの依頼を含む映像コンテンツを配信しないようにすることができる。勤務時間中の利用者に対して、レビューの依頼を含む映像コンテンツが配信されてしまうと、当該利用者に不快感を与えてしまう可能性があるが、上述のようにすることで、このような事態の発生を抑制することができる。なお、呼び情報の登録者が乗車している乗りかご11が、当該登録者の自宅付近の乗りかご11であるかどうかの判別は、例えば、呼び登録アプリ3aに予め設定された自宅の位置を示す位置情報と、当該呼び登録アプリ3aを用いて呼び情報が登録されたエレベータ制御装置30の設置位置(設置場所)とを比較することで判別することができる。
【0066】
また、コンテンツ配信制御部45は、予め定められた時間帯において、呼び情報の登録者が乗りかご11に一人で乗車していることが検知された場合にのみ、当該登録者によって利用された旅行プランについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツをかご室内表示装置14に配信するとしてもよい。例えば平日の朝などの忙しい時間帯に、レビューの依頼を含む映像コンテンツが利用者に配信されてしまうと、当該利用者に不快感を与えてしまう可能性があるが、上述のようにすることで、このような事態の発生を抑制することができる。
【0067】
さらに、コンテンツ配信制御部45は、呼び情報の登録者が旅行予約システム2によって提供される旅行プランを利用してから一定期間経過後(例えば、1年後や、次の季節など)に、当該旅行プランと同じ旅行プラン(あるいは、同様な旅行プラン)を再度利用(予約)してもらうための映像コンテンツを配信してもよい。呼び情報の登録者が上述した旅行プランを利用してからの経過期間は、当該登録者のユーザIDに対応づけられた予約履歴情報に基づき算出することができる。
【0068】
コンテンツ配信制御部45が、レビューの依頼を含む映像コンテンツを配信するタイミングとしては、例えば、呼び情報の登録者が、予約した旅行プランで行った旅行先の宿泊施設においてチェックアウトを行うために乗りかご11に一人で乗車したタイミングなどが一例に挙げられる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係るエレベータシステム1は、旅行予約システム2のようなサービス提供システムと協働し、当該サービス提供システムによって提供されるサービスを利用した利用者に対して、当該サービスについてのレビューの依頼を含む映像コンテンツを配信し、当該レビューの依頼に応じて当該利用者により入力されたレビューを含むレビュー情報をサービス提供システムにフィードバックする。
つまり、以上説明した一実施形態によれば、エレベータに乗車している時間を有効に活用し、所望のサービスについてのレビューを投稿する機会を提供することが可能なエレベータシステムを提供することができる。
【0070】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…エレベータシステム、2…旅行予約システム、2a…履歴情報記憶部、2b…コンテンツ情報記憶部、11…乗りかご、11a…幕板、12…カメラ、13…かごドア、14…かご室内表示装置、15…乗場、16…乗場ドア、20…利用者検知装置、21…記憶部、22…利用者識別部、23…乗車人数検知部、30…エレベータ制御装置、40…クラウドサーバ、41…履歴情報記憶部、42…コンテンツ情報記憶部、43…予約履歴確認部、44…レビュー履歴確認部、45…コンテンツ配信制御部、46…レビューフィードバック部。