(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176744
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20241212BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20241212BHJP
F25B 30/06 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F24F5/00 101A
F24F11/70
F25B30/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095522
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】金井 泰人
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
【テーマコード(参考)】
3L054
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BA06
3L054BF10
3L260AB01
3L260AB06
3L260BA46
3L260CB38
3L260CB40
(57)【要約】
【課題】年間の負荷が冷熱(または温熱)のみを必要とする設備機器に対して、継続的に地中熱を使用することのできる空調システムを提供する。
【解決手段】空調システムは、熱媒体が循環され地盤と熱交換を行う地中熱交換器と、熱媒体が循環され地盤の地中熱を熱源とする空調機と、空調機から熱媒体が循環される設備機器と、を有し、空調機から循環された熱媒体を設備機器で熱変換して低温化させてから地中熱交換器へ循環させる構成を有していてもよく、空調機が吸熱を行うとき設備機器で発熱を行う運転モードを有していてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体が循環され、地盤と熱交換を行う地中熱交換器と、
前記熱媒体が循環され、前記地盤の地中熱を熱源とする空調機と、
前記空調機から前記熱媒体が循環される設備機器と、
を有することを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記空調機から循環された熱媒体を、前記設備機器で熱変換して低温化させてから前記地中熱交換器へ循環させる、請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記空調機が吸熱を行うとき、前記設備機器で発熱を行う、請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記地中熱交換器の前記地盤からの採熱量および放熱量を計測する熱交換量計測器と、
前記空調機の運転を制御する監視部と、を含み、
前記監視部は、前記熱交換量計測器で計測された採熱量および放熱量を記録し、一定期間において、前記放熱量の積算値および前記採熱量の積算値の一方が他方を上回ると判断されたとき、前記空調機の運転を停止させる、請求項1に記載の空調システム。
【請求項5】
前記熱交換量計測器が、
前記地中熱交換器から前記空調機へ循環される前記熱媒体の温度を計測する第1の温度計と、
前記設備機器から前記地中熱交換器へ循環する前記熱媒体の温度を計測する第2の温度計と、
前記熱媒体の流量を計測する流量計と、
を含む、請求項4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記空調機が第1のファンコイルユニットを含み、
前記設備機器が、ヒートポンプと、前記ヒートポンプと熱交換を行う第2のファンコイルユニットと、を含む、請求項1に記載の空調システム。
【請求項7】
前記空調機が第1の部屋に対して設置され、前記設備機器が第2の部屋に対して設置され、
前記空調機は、前記第1の部屋で吸熱を行う、請求項6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記第1の部屋に前記地中熱以外を熱源とする第1の補助空調機と、前記第2の部屋に前記地中熱以外を熱源とする第2の補助空調機と、を有する、請求項7に記載の空調システム。
【請求項9】
前記空調機が前記第1の部屋で吸熱運転を行い、前記設備機器が前記第2の部屋で発熱運転を行う第1の運転モードと、
前記空調機が前記第1の部屋で吸熱運転を行い、前記第2の設備機器が停止し、前記第2の補助空調機が前記第2の部屋で吸熱運転を行う第2の運転モードと、
前記空調機および前記設備機器が停止し、前記第1の補助空調機が前記第1の部屋で吸熱運転を行い、前記第2の補助空調機が前記第2の部屋で吸熱運転を行う第3の運転モードと、を含む、請求項8に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地中熱を継続利用するための空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地中熱を利用するヒートポンプと、このヒートポンプに接続された負荷機器とを備え、ヒートポンプの出口温度を測定し、出口温度に基づいて地盤に対する採放熱の限界値を設定し、ヒートポンプの稼働を制御する地中熱利用装置が開示されている(特許文献1参照)。この地中熱利用装置によれば、採放熱の限界値を設定し、設定した採放熱の限界値を超えないようにヒートポンプの運転を制御することで、運転中に地中温度が高く(または低く)なり過ぎて採放熱効率が著しく低下し、長期的に地中温度が徐々に上昇(または低下)して採放熱不能になることを防止することができ、地盤の熱的状況に応じて長期間に渡って安定した運転が実現できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気設備が格納されている電気室では変圧器などの機器からの発熱があるため、年間を通して室温を下げる必要がある。このような部屋に対して地中熱を利用した空調システムを構築すると、常に地中に放熱することになるため地中温度が上がり続けてしまうことが問題となる。また、特許文献1開示される地中熱利用装置のように採放熱の限界値を設定すると、採放熱のバランスが直ぐに崩れてしまうので、地中熱を利用した空調システムを長期間継続して稼働できないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、年間の負荷が冷熱(または温熱)のみを必要とする設備機器に対して、継続的に地中熱を使用することのできる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る空調システムは、熱媒体が循環され地盤と熱交換を行う地中熱交換器と、熱媒体が循環され地盤の地中熱を熱源とする空調機と、空調機から熱媒体が循環される設備機器と、を有する。
【0007】
本発明の一実施形態において、空調システムは、空調機から循環された熱媒体を設備機器で熱変換して低温化させてから地中熱交換器へ循環させる構成を有していてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、空調システムは、空調機が吸熱を行うとき設備機器で発熱を行う運転モードを有していてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、空調システムは、地中熱交換器の地盤からの採熱量および放熱量を計測する熱交換量計測器と、空調機の運転を制御する監視部とを含み、監視部が、熱交換量計測器で計測された採熱量および放熱量を記録し、一定期間において放熱量の積算値および採熱量の積算値の一方が他方を上回ると判断されたとき、空調機の運転を停止させる機能を有していてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、熱交換量計測器が、地中熱交換器から空調機へ循環される熱媒体の温度を計測する第1の温度計と、設備機器から地中熱交換器へ循環する熱媒体の温度を計測する第2の温度計と、熱媒体の流量を計測する流量計と、を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、空調機が第1のファンコイルユニットを含み、設備機器が、ヒートポンプと、ヒートポンプと熱交換を行う第2のファンコイルユニットとを含んでいてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、空調機が第1の部屋に対して設置され、設備機器が第2の部屋に対して設置され、空調機は第1の部屋で吸熱を行うものであってもよい。また、第1の部屋に地中熱以外を熱源とする第1の補助空調機が設置され、第2の部屋に地中熱以外を熱源とする第2の補助空調機が設置されていてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、空調システムは、空調機が第1の部屋で吸熱運転を行い設備機器が第2の部屋で発熱運転を行う第1の運転モードと、空調機が第1の部屋で吸熱運転を行い第2の設備機器が停止し、第2の補助空調機が第2の部屋で吸熱運転を行う第2の運転モードと、空調機および設備機器が停止し第1の補助空調機が第1の部屋で吸熱運転を行い、第2の補助空調機が第2の部屋で吸熱運転を行う第3の運転モードと、を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
地盤の地中熱を熱源とする空調機と、この空調機から熱媒体が循環される設備機器とが対をなすように空調システムを構築することで、空調機の年間の熱負荷が冷熱のみを必要とする場合であっても、継続的に空調システムを稼働させることができ、地中熱の利用範囲の拡大と最大限の利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空調システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る空調システムの監視部の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る空調システムの動作を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る空調システムの動作を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る空調システムの動作を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る空調システムの動作を説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る空調システムを稼働することによる地中からの採熱および地中への放熱の関係を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る空調システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(または数字の後にA、Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0017】
空調機(空気調和機)とは、対象とする空間の空気の温度、湿度、流量、清浄度などを調節して供給するための機器であるが、本明細書においては、空気の温度調節のみを行う機器も空調機の範疇に含まれるものとする。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る地中熱を利用した空調システム100の構成を示す。空調システム100は、地盤300に埋設された地中熱交換器102と、この地中熱交換器102に接続された第1の空調機104と、第1の空調機104と対を成すように設置された設備機器106と、を有する。地中熱交換器102は内部に熱媒体が循環され地盤300と熱交換する機器であり、第1の空調機104は地中熱を熱源として利用する機器である。
【0019】
地中熱交換器102は、地表から地下10mから200m程度の深さに埋設される。地中熱交換器102は熱媒体が流れることで地中302に対して採熱または放熱する流路を有する。地中熱交換器102の流路は、熱媒体が地上から地中302に向かって流れると共に、再び地上に向けて流れ出るように構成されている。地中熱交換器102の流路は、U字型であってもよいし、螺旋状の流路であってもよいし、メアンダ状に屈曲した流路であってもよいし、水平型の流路であってもよい。
【0020】
熱媒体は機器を加熱または冷却して目的の温度に制御するため、外部の熱源と機器との間での熱を移動させる為に使用される流体である。熱媒体は、例えば、水であってもよいし、水にエチレングリコールなどの不凍物質が添加された不凍液であってもよい。
【0021】
地中熱交換器102は、流路に熱媒体が流れることで、地中302に対して熱を放出(放熱)し、または地中302から熱を採取(採熱)する機能を有する。なお、本実施形態において地中302とは、地下9m前後から200m程度の深さの地中を指し、地中熱とはこの深さ範囲の地中にある熱を指す。なお、地中熱は季節に関わりなく年間を通して一定であり、地域により違いがあるものの、例えば関東地方では年間を通して17℃前後である。したがって、地上の外気温に比べて地中熱は、夏期において外気温より低く冬期において外気温より高いといった特徴を有する。
【0022】
空調システム100は、地中熱交換器102、第1の空調機104、および設備機器106の間で熱媒体が循環するように接続された構成を有している。
図1は、説明のため、熱媒体が流れる流路を、第1の配管112A、第2の配管112B、第3の配管112Cと示す。第1の配管112Aは、地中熱交換器102と第1の空調機104との間を繋ぐ流路を形成し、第2の配管112Bは、第1の空調機104と設備機器106との間を繋ぐ流路を形成し、第3の配管112Cは、設備機器106と地中熱交換器102との間を繋ぐ流路を形成する。なお、
図1には図示されないが、第1の配管112A、第2の配管112B、および第3の配管112Cの中の少なくとも1箇所に、熱媒体を循環させる循環ポンプが設けられている。
【0023】
第1の部屋201は建築物の内部に設置される部屋である。第1の部屋201は、建築物の地上階に設置される部屋であってもよいし、地下階に設置される部屋であってもよい。図示されないが、第1の部屋201には発熱源となる機器または設備が設置されている。例えば、第1の部屋201は、電気設備が設置された電気室であってもよいし、サーバーやネットワーク機器、ストレージデバイスが設置されたデータセンターの部屋であってもよいし、発熱を伴う工作機械が設置された工場の作業場であってもよい。第1の部屋201は、発熱源となる機器や機械が設置されていることにより、室温を所定の温度に保つために(別言すれば室内が高温にならないようにするために)、年間を通して室内を冷やす(冷房する)必要がある部屋である。
【0024】
第1の部屋201と対を成すように第2の部屋202が存在する。第2の部屋202は、第1の部屋201と同じ建築物の中にあってもよいし、別の建築物に設置される部屋であってもよい。また、第2の部屋202は、第1の部屋201と同様に地上階にあってもよいし、地下階にあってもよい。第2の部屋202の構成は任意であるが、少なくとも熱機器が設置された部屋である。別言すれば、第2の部屋202は、熱交換器により発生する熱を利用する機器が設置された部屋である。また、第2の部屋202は、冬期に暖房、夏期に冷房が行われ室内の温度が調整さされる部屋である。
【0025】
なお、
図1は、第1の部屋201および第2の部屋202がそれぞれ1つの部屋として示されているが、第1の部屋201および第2の部屋202は、それぞれ複数の部屋の総称として用いられもよい。また、第1の部屋201と第2の部屋202とは、1対1で対応していてもよいし、多対1または1対多で対応していてもよい。すなわち、1つの第1の部屋201に対して複数の第2の部屋202が設置されていてもよいし、複数の第1の部屋201に対して1つの第2の部屋202が設置されていてもよい。
【0026】
第1の部屋201には、地中熱を熱源とする第1の空調機104が設置される。また、第1の部屋201には、地中熱を熱源としない第1の補助空調機114が設置される。第1の空調機104および第1の補助空調機114は、第1の部屋201で吸熱(冷房)を行うために設置される。第1の空調機104と第1の補助空調機114とは補完的な関係を有する。すなわち、第1の補助空調機114は、第1の空調機104が稼働しないとき、第1の部屋201の吸熱(冷房)を代替するために設置されている。第1の補助空調機114は、地中熱以外を熱源とし稼働される空調機である。
【0027】
第1の空調機104は、地中熱交換器102から熱媒体が循環され、この熱媒体を使って吸熱(冷房)を行う。第1の空調機104は、例えば、ファンコイルユニットを含んで構成される。この場合、地中熱交換器102からファンコイルユニットに熱媒体が循環されることにより吸熱(冷房)が行われる。なお、第1の空調機104は、ファンコイルユニットを有するものに限定されず、第1の部屋201で吸熱を行い、その熱を熱媒体に移動させて取り出すことのできる機器であれば他の構成が適用されてもよい。
【0028】
また、第1の部屋201は、冷蔵庫また冷凍庫に置き換えられてもよく、この場合、第1の空調機104は地中熱を熱源とする第1の冷蔵装置に置き換え、第1の補助空調機114は地中熱を熱源としない第1の補助冷蔵装置に置き換えることができる。
【0029】
第2の部屋202には、地中熱を熱源とする設備機器106が設置される。また、第2の部屋202には、地中熱を熱源としない補助設備機器116が設置される。
図1に示すように、第2の部屋202に設置される設備機器106は、例えば、ヒートポンプ1062と、ヒートポンプ1062と接続された第2の空調機1064であってもよい。また、第2の空調機1064に代えて(すなわち空調機に代えて)、給湯器であってもよい。いずれにしても、設備機器106は、第1の空調機104から循環された熱媒体の熱を利用する機器であればよく、例えば、ヒートポンプ1062などの熱交換器と、熱交換器で発生した熱を消費する機器、装置または設備であることが好ましい。第2の部屋202に設置される補助設備機器116は、設備機器106の機能を代替するものであり、例えば、地中熱を熱源としない第2の補助空調機116であってもよい。また、第2の補助空調機116に代えて、補助給湯器であってもよい。いずれにしても、補助設備機器116は、地中熱を熱源とせず電力や燃料油で稼働される機器、装置または機械であることが好ましい。第2の部屋202に設置される設備機器106と補助設備機器116とは補完的な関係にある。第2の補助空調機116は、例えば、第2の空調機1064が稼働しない(できない)とき第2の部屋の空調を行うために配置される。
【0030】
第2の部屋202に配置される設備機器106には、第1の空調機104から熱媒体が循環される。設備機器106は、第1の空調機104で発生した熱を利用する機器である。
図1は、第1の空調機104から第2の配管112Bにより熱媒体がヒートポンプ1062に循環する構成を示す。ヒートポンプ1062は、冷媒(ガス)を循環させる冷媒配管と、冷媒配管中の冷媒を圧縮する圧縮機1066と、冷媒配管の中の冷媒を膨張させる膨張弁1067と、第1の空調機104から循環される熱媒体を用いて冷媒を凝縮または蒸発させる一次凝縮蒸発器1068と、圧縮機1066で圧縮された高温の冷媒を凝縮させて第2の空調機1064から循環される熱媒水に熱を供給する二次凝縮蒸発器1069とを含む。ヒートポンプ1062は、第1の空調機104から循環された熱媒体の熱を一次凝縮蒸発器1068で熱交換し、冷却された熱媒体を第3の配管112Cを通して地中熱交換器102に循環させる。そして、ヒートポンプ1062で熱交換された熱を第2の空調機1064が利用して第2の部屋202の発熱(暖房)を行う。
【0031】
ところで、第1の部屋201が電気室である場合、吸熱(冷房)を行わないと室温が40℃以上となる。換気設備のみで排熱することも考えられるが、発熱負荷が大きい場合や建物の奥深い位置に配置させる場合は、ダクトサイズや換気設備の容量が大きくなることから配置することは困難である。そこで、第1の部屋201を、第1の空調機104によって吸熱(冷房)することとなるが、電気設備は通年稼働するため第1の空調機104も年間を通して吸熱(冷房)運転される。したがって、第1の空調機104が地中熱を熱源し、発生した熱量を全て地中302で採放熱した場合、地中302から採熱する熱量よりも放熱する熱量の方が過剰となってしまう。
【0032】
そこで、本実施形態の空調システム100では、第1の空調機104で発生した熱を、第2の部屋202に設置された設備機器106で有効利用して、その後、地中熱交換器102が地中302へ採放熱するように構成されている。さらに、空調システム100は、設備機器106を稼働することによってでは、採放熱量のバランスがとれないと判断されたとき、および第1の部屋201に設置された室内温湿度計111の温度及び湿度、熱媒体の温度、熱媒体の流量などに基づいて、第1の空調機104の吸熱(冷房)能力では第1の部屋201の室温を所定の範囲に保つことができないと判断されたときには、第1の補助空調機114および補助設備機器116を稼働させて、地中熱の利用を停止するように構成されている。
【0033】
地中への放熱量および採熱量のバランスをとるためには、空調システム100の稼働による地中への放熱量および採熱量を知る必要がある。そこで、空調システム100には、地中熱交換器102から循環される熱媒体の流入口である第1の配管112Aに第1の温度計1082が設けられ、熱媒体の地中への流出口である第3の配管112Cに、第2の温度計1084と流量計1086とが設けられている。第1の温度計1082は、地中熱交換器102から流れ出る熱媒体の温度を測定するために設けられ、第2の温度計1084は、設備機器106から流れ出る熱媒体の温度を測定するために設けられ、流量計1086は、地中熱交換器102に流れ込む熱媒体の流量を測定するために設けられている。このような構成により、第1の温度計1082と第2の温度計1084で測定された熱媒体の温度差を知ることができ、流量計1086により熱媒体の流量を知ることができ、地中熱交換器102が地盤300と熱交換する熱量を求めることができる。
【0034】
図1に示すように、空調システム100は、地中熱交換器102が地盤300と熱交換する熱量を求め、それに基づいて稼働状態を制御する監視部110を有する。監視部110は、第1の温度計1082、第2の温度計1084、および流量計1086が計測したデータに基づいて、第1の空調機104、設備機器106、第1の補助空調機114、補助設備機器116の運転を制御する機能を有する。
【0035】
図2はブロック図であり、監視部110の構成の一例を示す。監視部110は、A/D変換部1101、データ記憶部1102、熱量計算部1103、空調能力計算部1104、判定部1105、制御部1106を含む。A/D変換部1101は、第1の温度計1082、第2の温度計1084、および流量計1086から出力されるアナログ信号が入力され、その信号をデジタル信号に変換し、データ記憶部1102に出力する機能を有する。データ記憶部1102は、室内温湿度計111の測定データ、第1の温度計1082の測定データ、第2の温度計1084の測定データ、および流量計1086の測定データが格納される。熱量計算部1103は、第1の温度計1082の測定データ、第2の温度計1084の測定データ、および流量計1086の測定データから熱量を計算する機能を有する。判定部1105は、熱量計算部1103で計算された熱量に基づいて、地中からの採熱、地中への放熱のバランスが崩れているか否かを判定し、制御部1106はこの判定結果に基づいて第1の部屋201の第1の空調機104および第1の補助空調機114の運転状態、並びに第2の部屋202の設備機器106および補助設備機器116の運転状態を制御する(または、各機器の運転状態を制御するための制御信号を出力する)機能を有する。
【0036】
熱量計算部1103が計算する熱量は、時間単位、日単位、週単位、月単位、半年単位、または年単位で算出される積算熱量である。熱量計算部1103は、例えば、地中への熱量が放出される場合をプラス、地中から熱量が採熱される場合をマイナスとして計算する。判定部1105は、前述のような一定期間内で積算熱量の収支がプラス側またはマイナス側に過剰にシフトしているか否かを判定する。すなわち、判定部1105は、熱量計算部1103で計算された結果に基づいて、熱量が過剰に地中に放熱されているかまたは過剰に採熱されているか判定する機能を有する。判定部1105は、また、判定のための基準値を用い、地中に採放熱された熱量(積算熱量)が基準値の範囲内であるか否かに基づいて判定を行ってもよい。
【0037】
制御部1106は、判定部の判定結果に基づいて、空調システム100の運転モードを切り替える制御を行う。例えば、判定部1105が地中への放熱量が過剰になると判定した場合に、制御部1105は第1の空調機104の運転を停止させ、第1の補助空調機114の運転に切り替える制御を行う。また、判定部1105が地中への採熱量が過剰になると判定した場合、制御部1105は第1の空調機104および設備機器106の運転を停止させ、第1の補助空調機114および補助設備機器116の運転に切り替える制御を行う。
【0038】
空調能力計算部1104は、第1の部屋201に設置された室内温湿度計111の温度および湿度と、第1の配管112Aに第1の温度計1082で測定された熱媒体の温度から、第1の空調機104の空調能力を推定する機能を有する。判定部1105は、空調能力計算部1104で計算された第1の空調機104の空調能力によって、第1の部屋201の温度および湿度を所定の範囲内に空調できるか否かを判断する機能を有していてもよい。制御部1106は、判定部1105において空調能力有りと判定された場合には、第1の空調機104の運転を継続する判断をし、空調能力なしと判定された場合には、第1の補助空調機114を稼働させる制御を行う機能を有していてもよい。
【0039】
図2に示すような監視部110の機能は、A/D変換回路、コンピュータ、空調機の運転を制御する制御盤などのハードウェア資源と、コンピュータで実行される制御プログラムなどのソフトウェア資源により実現される。なお、
図1は、監視部110が、地中熱交換器102によって地中302へ採放熱される熱量を監視し、機器の運転を制御する態様を示すが、本実施形態の空調システム100はこの態様に限定されない。例えば、監視部110は、地中熱交換器102の採放熱量のデータ収集のみを行い(A/D変換部1101およびデータ記憶部1102の機能に相当)、採放熱された熱量の計算や採放熱量のバランスについての判断(熱量計算部1103および判定部1105の機能に相当)は、ネットワークで接続されたコンピュータによって随時行われてもよい。
【0040】
本実施形態に係る空調システム100は、少なくとも3の運転モードを有する。以下に、各運転モードを説明する。なお、以下の説明において、設備機器106は、ヒートポンプ1062と第2の空調機1064で構成され、補助設備機器116が第2の補助空調機で構成される場合を示す。
【0041】
[第1実施形態]
本実施形態は、上記で説明したように、第1の部屋201に発熱源となる機器、機械が設置されていることにより、第1の部屋201に設置された第1の空調機104が年間を通して吸熱(冷房)を行う場合の運転モードについて示す。
【0042】
第1の運転モード
図3は、第1の運転モードを示す。第1の運転モードは、冬期に適用される運転モードである。第1の運転モードは、第1の空調機104が吸熱(冷房)運転され、第2の空調機1064が発熱(暖房)運転され、第1の補助空調機114および第2の補助空調機116は停止した状態となる。この第1の運転モードでは、地中熱交換器102が地中302の熱を採熱し、第1の部屋201の室温よりも低い温度に冷やされた熱媒体が第1の空調機104に循環される。第1の空調機104は、地中熱交換器102から循環された熱媒体によって第1の部屋201で吸熱(冷房)を行う。熱媒体は、例えば、地中の温度が17℃である場合、地中熱交換器102が採熱することにより同程度の温度に暖められた状態となる。
【0043】
第1の空調機104は、例えば、ファンコイルユニットを有し、熱媒体がファンコイルユニットに循環されて吸熱(冷房)を行う。第1の部屋201は、前述のように、電気室などであり発熱源があることにより吸熱(冷房)が必要とされている。第1の空調機104に循環される熱媒体は第1の部屋201の室温より低い温度であるので、この熱媒体の熱を利用して吸熱(冷房)を行うことができる。
【0044】
熱媒体は第1の空調機104から設備機器106に循環される。熱媒体は第1の空調機104で暖められ温度が上昇している。第2の部屋202に配置された設備機器106は、この熱媒体の熱を利用して発熱(暖房)を行う。具体的には、熱媒体が第1の空調機104からヒートポンプ1062の一次凝縮蒸発器1068へ循環されて熱変換が行われる。
【0045】
ヒートポンプ1062において、一次凝縮蒸発器1068は、膨張弁1067で膨張された冷媒と循環された熱媒体との間で熱交換を行い、冷媒を蒸発させる。蒸発されて昇温された冷媒は圧縮機1066で圧縮されさらに高温にされた後、二次凝縮蒸発器1069へ送られる。二次凝縮蒸発器1069は、圧縮機1066から送られた冷媒と、第2の空調機1064から循環された熱媒体との間で熱交換を行い、その熱媒体を加熱して冷媒を凝縮させる。そして、第2の空調機1064は加熱された熱媒体によって発熱し、第2の部屋202の暖房を行う。ヒートポンプ1062では、凝縮されて冷却された冷媒が膨張弁1067で再度膨張されてさらに温度が低下した状態で一次凝縮蒸発器1068へ送られる。そして第1の空調機104から循環された熱媒体との間で熱交換が行われる。
【0046】
第1の空調機104から設備機器106へ循環された熱媒体は、ヒートポンプ1062で熱を奪われて(冷却されて)地中熱交換器102に循環される。熱媒体は地中の温度より低い温度に冷やされているので、地中熱交換器102は地中302から採熱を行う。そして、採熱により地中温度にまで暖められた熱媒体が第1の空調機104へ循環される。
【0047】
以上のような一連の動作により、第1の空調機104により第1の部屋201で吸熱(冷房)が行われ、第2の空調機1064が発熱することにより第2の部屋202が暖房される。第1の運転モードは、季節が冬期であれば一定期間継続して運転が行われる。第1の運転モードでは、地中熱交換器102が地中302から熱を奪う採熱の状態となる。
図7(A)は、この状態を模式的に示すグラフであり、横軸を時間軸、縦軸のプラス側を放熱、マイナス側を採熱とすると、一定期間採熱が行われる状態となる。
【0048】
なお、第1の運転モードにおいて、熱媒体が循環する順番が逆であってもよい。すなわち、
図4に示すように、熱媒体が、地中熱交換器102から設備機器106、第1の空調機104の順に循環されてもよい。この場合、設備機器106では、第2の空調機1064が発熱(暖房)運転されており、ヒートポンプ1062の一次凝縮蒸発器1068では地中熱交換器102から循環された熱媒体が、ヒートポンプの冷媒と熱交換され冷却される。熱媒体は第1の空調機104に循環される。第1の空調機104では、第2の配管112Bの経路に設けられた第3の温度計1088によって熱媒体の温度を測定し、吸熱(冷房)運転が可能か否かを監視部110で判断される。第1の空調機104は吸熱(冷房)運転されているとき、吸熱により熱媒体の温度が上昇した状態で地中熱交換器102に循環する。地中熱交換器102では熱媒体の熱が地中302へ放熱される。このように、熱媒体が循環する順番を逆転させることによっても、第1の部屋201で吸熱(冷房)を行い、第2の部屋202で発熱(暖房)を行うことができる。
【0049】
第2の運転モード
図5は、第2の運転モードを示す。第2の運転モードは、夏期または冬期に適用されることがある運転モードである。第2の運転モードは、第1の空調機104が吸熱(冷房)運転され、第2の空調機1064が停止され、第1の補助空調機114が停止され、第2の補助空調機116は吸熱(冷房)運転または発熱(暖房)運転される状態となっている。第2の運転モードでは、地中熱交換器102が地中302へ熱を放熱し、第1の部屋201の室温よりも低い温度に冷やされた熱媒体が第1の空調機104に循環される。第1の空調機104は、地中熱交換器102から循環された熱媒体によって第1の部屋201の吸熱(冷房)を行う。熱媒体は、例えば、地中302の温度が17℃である場合、地中熱交換器102の放熱により同程度の温度に冷却される。
【0050】
第1の空調機104は、第1の運転モードと同様に吸熱(冷房)運転されるので、第1の補助空調機114は停止した状態にある。熱媒体は第1の空調機104から設備機器106に循環されるが、第2の運転モードでは設備機器106が停止した状態にある。第1の空調機104から設備機器106に循環した熱媒体は、ヒートポンプ1062で熱交換されずそのまま地中熱交換器102に循環される。したがって、地中熱交換器102には、第1の空調機104で温度が地中温度よりも上昇した熱媒体が循環される。そして、熱媒体が循環された地中熱交換器102は地中302へ熱を放熱する。
【0051】
なお、第2の部屋202では、第2の空調機1064が停止した状態であり、第2の補助空調機116により吸熱(冷房)または発熱(暖房)運転が行われる。なお、図示はされないが、第2の運転モードでは、第2の補助空調機116も停止した状態となっていてもよい。
【0052】
以上のような一連の動作により、第1の空調機104により第1の部屋201が吸熱(冷房)され、第2の補助空調機116により第2の部屋202が吸熱(冷房)または発熱(暖房)される。第2の運転モードは、夏期及び冬期において一定期間継続して運転を行うことができる。第2の運転モードでは、地中熱交換器102が地中302へ熱を放出する放熱の状態となる。
図7(B)は、第1の運転モードから第2の運転モードに切り替わり継続的に第1の空調機104が吸熱(冷房)運転される状態を模式的に示すグラフであり、地中302へ一定期間放熱される状態を示す。
【0053】
第1の運転モードおよび第2の運転モードは、地中302からの採熱量と地中302への放熱量が同じであるか、または同程度になるまで運転することができる。例えば、
図7(B)に示すように、第1の運転モードにより所定の採熱量がある場合、第2の運転モードは、その採熱量と同じまたは同程度の放熱量になるまで運転をすることが可能である。このように、空調システム100を稼働するときに、地中302からの採熱量と地中302への放熱量のバランスがとれるように運転モードを切り替えて運用することで、地中の温度上昇を抑えることができる。
【0054】
第3の運転モード
図6は、第3の運転モードを示す。第3の運転モードは、夏期または冬期に適用されることがある運転モードである。第2の運転モードは、第1の空調機104が停止され第1の補助空調機114が吸熱(冷房)運転され、設備機器106(第2の空調機1064)が停止され、第2の補助空調機116は吸熱(冷房)運転または発熱(暖房)運転される状態を有する。第3の運転モードは、第1の空調機104および設備機器の運転が行われないため、地中熱交換器102において地中302への放熱および地中302からの採熱が行われない。第3の運転モードは、地中302からの採熱量と地中302への放熱量のバランスがとれなくなったときに適用される運転モードとなる。
【0055】
図7(C)は、第3の運転モードによる地中302からの採熱量と地中302への放熱量の関係を模式的に示す。第3の運転モードでは、前述のように地中302への採放熱が行われず、仮に第1の空調機104を吸熱(冷房)運転したとすれば地中へ放出される熱量(図中点線で示す部分)を、第1の補助空調機114によって代替している。このように、第1の補助空調機114を用いることで、地中302に対する採熱量のバランスが崩れてしまう場合であっても、第1の部屋201の吸熱(冷房)を続けることができる。
【0056】
なお、採熱量と地中への放熱量のバランスは、日単位、週単位、または月単位で判断することもできるが、半年単位、年単位、または数年単位で比較し考慮することができる。
【0057】
以上のように、本発明の一実施形態に係る空調システム100によれば、地盤300の地中熱を熱源とする第1の空調機104と、第1の空調機104から熱媒体が循環される設備機器106とが組み合わされ、さらに地中熱を熱源としない第1の補助空調機114および補助設備機器116を備えた構成とすることで、第1の空調機104が年間を通して吸熱(冷房)のみを行う場合であっても、継続的に空調システム100を稼働させることができ、地中温度が変動しないようにして地中熱を最大限有効利用することが可能となる。
【0058】
[第2実施形態]
本実施形態は、第1の部屋201に設置された第1の空調機104が年間を通して発熱(暖房)を行う場合の運転モードについて示す。
【0059】
図8は、第4の運転モードを示す。第4の運転モードは夏期に適用される運転モードである。第4の運転モードは、第1の空調機104が発熱(暖房)運転され、第2の空調機1064が吸熱(冷房)運転され、第1の補助空調機114および第2の補助空調機116は停止した状態となる。
【0060】
第4の運転モードでは、地中熱交換器102が地中302の熱を採熱し、第2の部屋202の室温よりも低い温度に冷やされた熱媒体がヒートポンプ1062に循環される。ヒートポンプ1062の一次凝縮蒸発器1068では、圧縮機1066で圧縮され高温になった冷媒と、地中熱交換器102から循環された熱媒体との間で熱交換が行われる。熱交換された冷媒は、膨張弁1067で膨張され温度が低下されたあと二次凝縮蒸発器1069へ送られる。二次凝縮蒸発器1069は、膨張弁1067から送られた冷媒と、第2の空調機1064から循環された熱媒体との間で熱交換を行い、その熱媒体を冷却し冷媒を蒸発させる。そして、第2の空調機1064は冷却された熱媒体によって吸熱し、第2の部屋202の冷房を行う。
【0061】
ヒートポンプ1062では、蒸発されて温度が上層した冷媒が圧縮機1066で再度圧縮されて高温になった状態で一次凝縮蒸発器1068へ送られる。そして地中熱交換器102から循環された熱媒体との間で熱交換が行われる。一次凝縮蒸発器1068で熱交換され、温度が上昇した熱媒体は第1の空調機104へ循環する。第1の空調機104では、ヒートポンプ1062から循環された熱媒体によって発熱(暖房)を行う。そして、温度が低下した熱媒体は地中熱交換器102へ循環され、地中熱が採熱される。
【0062】
以上のような一連の動作により、第4の運転モードでは、第2の空調機1064により第2の部屋202で吸熱(冷房)が行われ、第1の空調機104で発熱(暖房)が行われることにより、地中熱交換器102では地中熱の採熱が行われる。
【0063】
第4の運転モードは、第1の部屋において年間を通して暖房が必要であったり、温熱利用をする機器又は設備が設置されていたりする場合に適用することができる。例えば、第1の部屋201が温室であったり、温泉、温水プールなど年間を通して給湯が必要であったりする場合に適用される。温泉、温水プールなどの場合には、第1の空調機104を、第1の給湯器などに置き換えることができる。
【0064】
なお、本実施形態においても、地中への採放熱量のバランスがとれないと判断されたときは、第3の運転モードに切り替えることができる。この場合、第1の補助空調機114は、第1の補助給湯器などに置き換えることができる。
【0065】
以上において開示された例示的な実施形態の全体または一部は、以下の補足的な説明として説明することができるが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。
【0066】
(付記1)
地中に埋設された地中熱交換器と、第1の室内を吸熱(冷房)する第1の空調機と、前記地中熱交換器と前記第1の空調機とを接続し熱媒体を循環させる第1の配管と、第2の室内の暖房を行う第2の空調機と、前記第1の空調機から前記第2の空調機へ前記熱媒体を循環させる第2の配管と、前記第2の空調機から前記地中熱交換器へ前記熱媒体を循環させる第3の配管と、を含む空調システム。
【0067】
(付記2)
前記第1の空調機は第1のファンコイルユニットを有し、前記熱媒体が前記第1のファンコイルユニットに循環される、付記1に記載の空調システム。
【0068】
(付記3)
前記第1の空調機から前記熱媒体が循環されるヒートポンプを有し、前記第2の空調機が、前記ヒートポンプと熱交換をして発熱する、付記2に記載の空調システム。
【0069】
(付記4)
前記第1の空調機が第1の部屋に対して設置され、前記第2の空調機が第2の部屋に対して設置され、前記第1の空調機が前記第1の部屋で吸熱(冷房)を行う、付記3に記載の空調システム。
【0070】
(付記5)
前記第1の部屋に前記地中熱以外を熱源とする第1の補助空調機器と、前記第2の部屋に前記地中熱以外を熱源とする第2の補助空調機器と、を有する、付記4に記載の空調システム。
【符号の説明】
【0071】
100:空調システム、102:地中熱交換器、104:第1の空調機、106:設備機器、1062:ヒートポンプ、1064:第2の空調機、1066:圧縮機、1067:膨張弁、1068:一次凝縮蒸発器、1069:二次凝縮蒸発器、108:熱交換量計測器、1082:第1の温度計、1084:第2の温度計、1086:流量計、1088:第3の温度計、110:監視部、1101:A/D変換部、1102:データ記憶部、1103:熱量計算部、1104:空調能力計算部、1105:判定部、1106:制御部、111:室内温湿度計、112A:第1の配管、112B:第2の配管、112C:第3の配管、114:第1の補助空調機、116:補助設備機器(第2の補助空調機)、201:第1の部屋、202:第2の部屋、300:地盤、302:地中