IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

特開2024-176747学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム
<>
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図1
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図2
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図3
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図4
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図5
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図6
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図7
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図8
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図9
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図10
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図11
  • 特開-学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176747
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/02 20060101AFI20241212BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20241212BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241212BHJP
【FI】
G09B7/02
G09B19/00 G
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095525
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】石原 正規
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C028BD03
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】ネットワークへの接続が制限された学習用端末における学習結果を学習管理端末で効率的に管理することを可能とする。
【解決手段】電子腕時計10では、CPU11は、学習用アプリケーションが起動されると、ユーザが学習する教科の問題を表示部13に表示し、表示された問題に対する学習結果に関する情報(出題に対する解答の正誤結果や、解答するまでの経過時間、学習時間など)を、NFCタグ16のICチップに書き込む。そして、CPU11は、スマートフォン20に至近距離で近接したことを契機に、NFCタグ16による近距離無線通信を介して、NFCタグ16のICチップに書き込まれた学習結果に関する情報をスマートフォン20に送信する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの学習結果に関する情報を管理する学習管理端末との近距離無線通信を実行するためのRFIDタグと、
時間を計時する計時部と、
前記ユーザに学習させるための学習対象を提示する提示部と、
前記提示部によって提示された前記学習対象についての情報と、前記計時部によって計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として対応付けて前記RFIDタグに書き込み、前記RFIDタグによる近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信する制御部と、
を備えることを特徴とする学習用端末。
【請求項2】
前記学習対象は、ユーザが前記学習対象を学習するための問題からなり、
前記学習対象についての情報は、前記問題に対するユーザの解答の正誤結果を含み、
前記学習対象を学習した時間に関する時間情報は、前記問題に対してユーザが解答するまでの経過時間又は/及びユーザによる学習開始から学習終了までの学習時間を含み、
前記制御部は、前記問題に対するユーザの解答の正誤結果と、前記問題に対してユーザが解答するまでの経過時間又は/及び前記ユーザによる学習開始から学習終了までの学習時間と、を前記学習結果に関する情報として対応付けて前記RFIDタグに書き込む、
ことを特徴とする請求項1に記載の学習用端末。
【請求項3】
前記学習結果に関する情報は、当該学習結果に関する情報に基づく統計データを前記学習管理端末に表示させるための情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の学習用端末。
【請求項4】
前記制御部は、
前記RFIDタグによる近距離無線通信を介して、前記学習管理端末からの更新情報を受信した場合に、前記更新情報に基づいて前記学習対象の内容を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の学習用端末。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ユーザが前記学習対象に対する学習が終了するまでの間、前記RFIDタグによる近距離無線通信以外の無線通信機能を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の学習用端末。
【請求項6】
前記学習用端末は、前記RFIDタグによる近距離無線通信以外の通信機能を有さない端末である
ことを特徴とする請求項1に記載の学習用端末。
【請求項7】
ユーザに学習対象を提示する学習用端末と、前記ユーザの学習結果に関する情報を管理する学習管理端末と、を含んで構成される学習支援システムであって、
前記学習用端末は、
前記学習管理端末と近距離無線通信を実行するためのRFIDタグと、
時間を計時する計時部と、
前記ユーザに学習させるための学習対象を提示する提示部と、
前記提示部によって提示された前記学習対象についての情報と、前記計時部によって計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として対応付けて前記RFIDタグに書き込み、前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信する第1の制御部と、
を備え、
前記学習管理端末は、
前記学習用端末の前記RFIDタグとの間で前記近距離無線通信を実行するための通信部と、
表示部と、
前記学習用端末との前記近距離無線通信を介して前記学習結果に関する情報を受信した場合に、前記受信した学習結果に関する情報に基づいて統計データを生成し、生成した前記統計データを前記表示部に表示させる第2の制御部と、
を備える
ことを特徴とする学習支援システム。
【請求項8】
前記学習対象は、ユーザが前記学習対象を学習するための問題からなり、
前記学習対象についての情報は、前記問題に対するユーザの解答の正誤結果を含み、
前記学習対象を学習した時間に関する時間情報は、前記問題に対してユーザが解答するまでの経過時間又は/及びユーザによる学習開始から学習終了までの学習時間を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の学習支援システム。
【請求項9】
前記第2の制御部は、
前記通信部により前記学習結果に関する情報として受信された、前記問題に対するユーザの解答の正誤結果と、前記問題に対してユーザが解答するまでの経過時間又は/及びユーザによる学習開始から学習終了までの学習時間と、のうち少なくとも一以上の情報に基づいて統計データを生成し、前記統計データをグラフ化して前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項8に記載の学習支援システム。
【請求項10】
前記学習用端末は、それぞれに識別情報が割り当てられた複数のユーザの各々が所有する端末であり、
前記学習用端末の前記第1の制御部は、
前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信する際に、ユーザ毎に割り当てられた識別情報を送信し、
前記学習管理端末の前記第2の制御部は、
前記学習用端末の各々から前記学習結果に関する情報と前記識別情報とを受信すると、前記複数のユーザの各々に対する前記学習結果に関する情報を前記識別情報に基づいて識別し、当該識別した学習結果に関する情報に基づいて統計データを生成し、生成した前記統計データを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項7に記載の学習支援システム。
【請求項11】
前記第2の制御部は、
前記通信部による前記近距離無線通信を介して前記学習対象の内容を更新するための更新情報を前記学習用端末に送信し、
前記第1の制御部は、
前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記学習管理端末からの更新情報を受信すると、前記更新情報に基づいて前記学習対象の内容を更新する
ことを特徴とする請求項7に記載の学習支援システム。
【請求項12】
学習用端末で学習したユーザの学習結果に関する情報を学習管理端末で管理する学習支援方法であって、
前記学習用端末は、
時間を計時するステップと、
前記ユーザに学習させるための学習対象を提示するステップと、
前記提示された前記学習対象についての情報と、前記計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として取得するステップと、
前記学習結果に関する情報を、近距離無線通信が可能なRFIDタグに書き込むステップと、
前記学習管理端末に至近距離で近接したことを契機に、前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信するステップと、を含み、
前記学習管理端末は、
前記学習用端末と至近距離で近接したことを契機に、前記RFIDタグとの間における前記近距離無線通信により前記学習結果に関する情報を受信するステップと、
前記受信した学習結果に関する情報に基づいて統計データを生成するステップと、
前記生成した統計データを表示部に表示させるステップと、を含む
ことを特徴とする学習支援方法。
【請求項13】
近距離無線通信を行うRFIDタグと、制御部と、を備える学習用端末のコンピュータに、
時間を計時する計時機能、
ユーザに学習させるための学習対象を提示する提示機能、
前記提示された学習対象についての情報と、前記計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として対応付けて前記RFIDタグに書き込む書込機能、
学習管理端末に至近距離で近接したことを契機に、前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信する送信機能、
を実現させるためのプログラム。
【請求項14】
学習用端末との間で近距離無線通信が可能な通信部と、制御部と、を備える学習管理端末のコンピュータに、
前記制御部によって、前記学習用端末と至近距離で近接したことを契機に前記通信部による近距離無線通信を介して前記学習用端末から送信される学習結果に関する情報を受信する受信機能、
前記受信された学習結果に関する情報に基づいて統計データを生成し、生成した当該統計データを表示部に表示させる表示制御機能、
を実現させるためのプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習用端末、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スマートフォンや、タブレット端末等では、学習用アプリケーションを用いた学習が行われている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、学校では、スマートフォンの使用が認められていないことや、スマートフォンや、タブレット端末のようにネットワーク(キャリアの通信網や、無線LAN(WiFi(登録商標))も含む)に接続可能な機器を用いて学習をしていると、他のアプリケーションの通知等が来て学習の妨げとなる。
【0003】
そこで、学習するときにネットワークへの接続を切断し、学習結果を共有するときにネットワークへ接続するように、ユーザ(学習者)に切替操作を行わせることも考えられる。しかしながら、操作が煩雑になるとともに、切断操作を失念すれば、結局、他のアプリケーションによって学習が妨げられる可能性があるため、ネットワークへの接続が制限された学習用端末が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-55305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなネットワークへの接続が制限された学習用端末では、学習結果を学習管理端末で効率的に管理することができないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、ネットワークへの接続が制限された学習用端末における学習結果を学習管理端末で効率的に管理可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る学習用端末は、ユーザの学習結果に関する情報を管理する学習管理端末との近距離無線通信を実行するためのRFIDタグと、時間を計時する計時部と、前記ユーザに学習させるための学習対象を提示する提示部と、前記提示部によって提示された前記学習対象についての情報と、前記計時部によって計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として対応付けて前記RFIDタグに書き込み、前記RFIDタグによる近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る学習支援システムは、ユーザに学習対象を提示する学習用端末と、前記ユーザの学習結果に関する情報を管理する学習管理端末と、を含んで構成される学習支援システムであって、前記学習用端末は、前記学習管理端末と近距離無線通信を実行するためのRFIDタグと、時間を計時する計時部と、前記ユーザに学習させるための学習対象を提示する提示部と、前記提示部によって提示された前記学習対象についての情報と、前記計時部によって計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として対応付けて前記RFIDタグに書き込み、前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信する第1の制御部と、を備え、前記学習管理端末は、前記学習用端末の前記RFIDタグとの間で前記近距離無線通信を実行するための通信部と、表示部と、前記学習用端末との前記近距離無線通信を介して前記学習結果に関する情報を受信した場合に、前記受信した学習結果に関する情報に基づいて統計データを生成し、生成した前記統計データを前記表示部に表示させる第2の制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る学習支援方法は、学習用端末で学習したユーザの学習結果に関する情報を学習管理端末で管理する学習支援方法であって、前記学習用端末は、時間を計時するステップと、前記ユーザに学習させるための学習対象を提示するステップと、前記提示された前記学習対象についての情報と、前記計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として取得するステップと、前記学習結果に関する情報を、近距離無線通信が可能なRFIDタグに書き込むステップと、前記学習管理端末に至近距離で近接したことを契機に、前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信するステップと、を含み、前記学習管理端末は、前記学習用端末と至近距離で近接したことを契機に、前記RFIDタグとの間における前記近距離無線通信により前記学習結果に関する情報を受信するステップと、前記受信した学習結果に関する情報に基づいて統計データを生成するステップと、前記生成した統計データを表示部に表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
この発明に係るプログラムは、近距離無線通信を行うRFIDタグと、制御部と、を備える学習用端末のコンピュータに、時間を計時する計時機能、ユーザに学習させるための学習対象を提示する提示機能、前記提示された学習対象についての情報と、前記計時された前記学習対象を学習した時間に関する時間情報と、を学習結果に関する情報として対応付けて前記RFIDタグに書き込む書込機能、学習管理端末に至近距離で近接したことを契機に、前記RFIDタグによる前記近距離無線通信を介して、前記RFIDタグに書き込まれた前記学習結果に関する情報を前記学習管理端末に送信する送信機能、を実現させることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るプログラムは、学習用端末との間で近距離無線通信が可能な通信部と、制御部と、を備える学習管理端末のコンピュータに、前記制御部によって、前記学習用端末と至近距離で近接したことを契機に前記通信部による近距離無線通信を介して前記学習用端末から送信される学習結果に関する情報を受信する受信機能、前記受信された学習結果に関する情報に基づいて統計データを生成し、生成した当該統計データを表示部に表示させる表示制御機能、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ネットワークへの接続が制限された学習用端末における学習結果を学習管理端末で効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態による学習支援システム1の構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態による電子腕時計10及びスマートフォン20の構成を示すブロック図である。
図3】本第1実施形態による電子腕時計10の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】本第1実施形態によるスマートフォン20の動作を説明するためのフローチャートである。
図5】本第1実施形態による電子腕時計10において学習中の表示例を示す模式図である。
図6】本第1実施形態による電子腕時計10で収集される学習結果に関する情報の一例を示す概念図である。
図7】本第1実施形態による電子腕時計10において通信手段を選択するときの表示例を示す模式図である。
図8】本第1実施形態によるスマートフォン20における学習結果に関する情報の表示例を示す模式図である。
図9】本第2実施形態による学習支援システム60の構成を示す模式図である。
図10】本第2実施形態によるタブレット端末70-iとパーソナルコンピュータ80の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】本第3実施形態による電子腕時計10とスマートフォン20の動作を説明するためのフローチャートである。
図12】本第3実施形態によるスマートフォン20における学習内容の更新時での表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
A.第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態による学習支援システム1の構成を示す模式図である。図において、学習支援システム1は、電子腕時計(学習用端末)10とスマートフォン(学習管理端末)20とからなる。電子腕時計10及びスマートフォン20は、各々、NFC(Near Field Communication;近距離無線通信)によるデータ通信を行う。NFCは、RFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれる無線通信による個体識別を行う近距離無線通信の技術であり、至近距離で近接したICチップを内蔵したNFCタグに対して、NFCのリーダ・ライタ機能を有する機器によって、データの読み取り・書き込みを行う技術である。電子腕時計10がICチップを内蔵したNFCタグ(RFIDタグ)を備え、スマートフォン20がリーダ・ライタ機能を有する近距離無線通信機能を備えている。
【0016】
なお、学習用端末としては、電子腕時計10以外にもネットワークに接続されていない電子機器であればよく、近距離無線通信以外の通信機能を有さないことが望ましい。例えば、ネットワークに接続する機能を有していない、タブレット端末や電子辞書装置などであってもよい。また、スマートフォン20は、NFCによる通信手段(リーダ・ライタ)を備えているか、外付けで接続可能な電子機器であれば、タブレット端末や、ラップトップ(ノートパーソナルコンピュータ)、パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0017】
本第1実施形態において、電子腕時計10は、ネットワーク(キャリアの通信網や、無線LANも含む)30に一切接続されていない。このため、学習中に、他のアプリケーションの通知等が来て学習の妨げになることはない。一方、スマートフォン20は、通常のスマートフォンのように、ネットワーク(キャリアの通信網や、無線LANも含む)30に接続可能であり、他のアプリケーションの通知等を受信したり、ネットワーク30を介して、インターネット上の情報提供サーバ31から情報を取得(閲覧)したりすることが可能である。基本的に、電子腕時計10とスマートフォン20とのユーザは同一人物である。なお、学校等において、スマートフォン20の使用が禁止されている場合には、学習中、当該スマートフォン20のNFCによる近距離無線通信以外の通信機能(他の無線通信機能)を自動的に停止させるか、当該スマートフォン20の電源をオフにするなどして使用不可な状態となっているか、自宅などに置いてあることを想定している。したがって、スマートフォン20がネットワーク(キャリアの通信網や、無線LANも含む)30に接続可能であっても、電子腕時計10による学習を妨げることはない。
【0018】
電子腕時計10には、学習用アプリケーションがインストールされている。ユーザ(学習者)は、電子腕時計10の学習用アプリケーションを用いて、所望(選択)する教科(英語、歴史、数学など)の学習を行う。学習結果に関する情報(出題に対する解答の正誤結果や、解答するまでの経過時間又は学習開始から学習終了までの学習時間など)は、電子腕時計10のNFCタグ(RFIDタグ)16内のICチップに記憶される。学習終了後、ユーザが、スマートフォン20を取り出して電源をオンにするか、あるいは帰宅した後、電子腕時計10を、図1に示すように、スマートフォン20に至近距離(数cm)まで近接させると、スマートフォン20の近距離無線通信部(リーダ・ライタ)26から発生される磁界に応じて、NFCタグ16のコイルアンテに誘導電流が発生することで、電子腕時計10とスマートフォン20との間でNFCによる近距離無線通信が行われ、NFCタグ16内のICチップに記憶されている学習結果に関する情報がスマートフォン20に送信される。なお、詳細は後述するが、電子腕時計10とスマートフォン20とは、NFCとは別にBluetooth(登録商標;以下、単にBTとも称する)による通信手段も備えており、状況に応じて、BTによってもデータ通信を行うことが可能である。
【0019】
スマートフォン20には、学習支援アプリケーションがインストールされており、電子腕時計10からの学習結果に関する情報に基づいて、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により集計データ(統計データ)を作成したり、集計データをグラフ化したり、集計データから学習の進捗に関するアドバイスを提示したり、新たな教科や、学習内容(問題)などの学習内容の更新情報を電子腕時計10に送信したりする。スマートフォン20は、電子腕時計10と至近距離で近接すると、NFCによる近距離無線通信の開始を契機に、自動的に上記学習支援アプリケーションを自動起動し、電子腕時計10から送信される学習結果に関する情報をNFCによる近距離無線通信で受信し、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により集計データを作成したり、集計データをグラフ化したりする。
【0020】
図2は、本発明の第1実施形態による電子腕時計10及びスマートフォン20の構成を示すブロック図である。電子腕時計10は、CPU(第1の制御部)11、メモリ12、表示部(提示部)13、操作部14、計時部15、NFCタグ16、及びBT通信部17を備えている。CPU11は、メモリ12(ROM)に格納されているプログラムに従って、電子腕時計10の各種動作を制御する。CPU11は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。CPU11は、計時部15が計数する現在時刻に基づいて表示部13に時刻表示を行う。また、CPU11は、NFCタグ16のICチップと有線接続され、ICチップのデータを直接読み書きできる有線リーダ・ライタ機能を備える。CPU11は、学習結果に関する情報(出題に対する解答の正誤結果や、解答するまでの経過時間又は学習開始から学習終了までの学習時間など)を、NFCタグ16を介してスマートフォン20に送信する。
【0021】
メモリ12は、当該電子腕時計10の全体の動作を司るシステムプログラム(不図示)などを記憶する。表示部13は、ユーザが指等でタッチした位置を検出するタッチパネルと液晶表示器からなる表示部とが一体となった構造であり、表示部上にタッチパネルを重ねて構成される。表示部13は、学習における各種情報(問題、解答、経過時間など)などを表示する。操作部14は、ユーザが電子腕時計10を操作するための各種のキーである。
【0022】
計時部15は、現在時刻を計数して保持するカウンタである。この現在時刻が読み出されて、表示部13に表示される。また、計時部15は、ユーザによる学習開始から学習終了までの学習時間や、問題に対してユーザが解答するまでの経過時間を計時するためにも用いられる。NFCタグ16は、スマートフォン20の近距離無線通信部(無線リーダ・ライタ)26から発生される磁界に応じて誘導電流が発生するコイルアンテナと、当該コイルアンテナに流れる誘導電流を起電力として動作するICチップとが備えられている。NFCタグ16は、スマートフォン20と至近距離で近接することにより誘導電流が発生すると、ICチップに保存されている学習結果に関する情報をNFCによる近距離無線通信を介して、スマートフォン20に送信する。BT通信部17は、スマートフォン20などの外部機器との間でBTによるデータ通信を行う。
【0023】
スマートフォン20は、CPU(第2の制御部)21、メモリ22、表示部23、操作部24、ネットワーク通信部25、近距離無線通信部(リーダ・ライタ)26、及びBT通信部27を備えている。CPU21は、メモリ22(ROM)に格納されているプログラムに従って、スマートフォン20の各種動作を制御する。CPU21は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、CPU21は、2つ以上のCPUで構成されていてもよい。
【0024】
CPU21は、操作部24のうちの特定の操作キーの入力や、表示部23に対するタッチ操作(指によるタッチなど)の入力を判定する判定部として動作する。また、CPU21は、特定の操作キーの操作や、タッチ操作に応じて実行する処理を変える制御部として動作する。
【0025】
メモリ22は、当該スマートフォン20の全体の動作を司るシステムプログラム(不図示)や、各種のアプリケーションプログラム(学習支援アプリケーション)などを記憶する。CPU21は、上記学習支援アプリケーションを実行することにより、電子腕時計10から学習結果に関する情報を受信して、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により集計データを作成したり、集計データをグラフ化したりするなど、学習結果を統計的に管理する。表示部23は、ユーザが指等でタッチした位置を検出するタッチパネルと表示部とが一体となった構造であり、表示部上にタッチパネルを重ねて構成される。操作部24は、ユーザがスマートフォン20を操作するための各種のキーである。
【0026】
ネットワーク通信部25は、キャリアの通信網や、無線LANによる通信を用いて、携帯基地局との間で行われる電話通信やメールの送受信、情報提供サーバ31からの各種情報などの取得に関わるパケット通信の送受信処理を行う。近距離無線通信部26は、電子腕時計10などの外部機器との間でNFCによる近距離無線通信を行う。また、BT通信部27は、電子腕時計10などの外部機器との間でBTによるデータ通信を行う。
【0027】
図3は、本第1実施形態による電子腕時計10の動作を説明するためのフローチャートである。電子腕時計10において、CPU11は、ユーザが学習用アプリケーションを起動して学習を開始したか否かを判断し(ステップS10)、学習が開始されていない場合には(ステップS10のNO)、それまでの動作を継続する。ユーザは、所望するコンテンツ(教科)を学習するに際して、所定の操作を行い、学習用アプリケーションを起動する。
【0028】
一方、ユーザにより学習が開始された場合には(ステップS10のYES)、CPU11は、選択された教科に対する問題を提示したり、ユーザからの解答を収集したりするなど、選択された教科の学習に係る処理を実行する(ステップS12;提示機能)。それに伴い、ユーザは、電子腕時計10の表示部13に表示される学習内容に応じて学習を進める。
【0029】
ここで、図5(a)、(b)は、本第1実施形態による電子腕時計10において学習中の表示例を示す模式図である。例えば、英単語の学習としては、電子腕時計10の表示部13に表示される英単語の意味をユーザが解答するような学習内容が考えられる。英単語の学習では、図5(a)に示すように、電子腕時計10の表示部13に問題となる英単語40と発音記号41を表示させる。これ以外にも、表示部13には、上部に現在時刻42が表示され、下部に解答するまで経過時間43が表示される。
【0030】
ユーザは、表示部13に表示される英単語の意味が分かったと判断した場合、あるいは考えたものの分からなかった場合、表示部13上を指でスワイプする(操作部14で所定の操作をしてもよい)。CPU11は、ユーザにより表示部13がスワイプされると、図5(b)に示すように、英単語の意味(解答)44を表示部13に表示する。
【0031】
このとき、表示部13には、図5(b)に示すように、英単語の意味44に加えて、ユーザが憶えていた意味が当たっていたか、間違っていたか、あるいは分からなかったかを選択するための「正解」ボタン45、「不正解」ボタン46、及び「不明」ボタン47が表示される。ユーザは、正解した(憶えていた)場合には、「正解」ボタン45、間違っていた場合には、「不正解」ボタン46、分からなかった(憶えていない)場合には、「不明」ボタン47をタッチする。
【0032】
なお、本第1実施形態では、学習対象を表示部13に表示するとしたが、これに限らず、音声により出題、解答するようにしてもよく、ユーザは、解答を音声で確認した後、正解したか、不正解であったか、あるいは分からなかったかを、表示部13のタッチ操作の違いや、操作部14での操作によって指示するようにしてもよい。
【0033】
CPU11は、出題してからの経過時間や、ユーザにより選択された学習結果(正解、不正解、又は不明)などを、学習結果に関する情報としてNFCタグ16のICチップに書き込む(ステップS14;書込機能)。次に、CPU11は、ユーザにより学習の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS16)。ユーザは、学習を終える場合、学習の終了を表示部13や、操作部14から指定する。そして、ユーザにより学習の終了が指示されない場合には(ステップS16のNO)、CPU11は、ステップS12に戻り、学習を継続する。
【0034】
したがって、ユーザにより、学習の終了が指示されるまで、上述した学習を行う。
ここで、図6は、本第1実施形態による電子腕時計10で収集される学習結果に関する情報の一例を示す概念図である。学習結果に関する情報50として、英単語の学習の場合、図6に示すように、学習した日付、学習した単語、1つ1つの単語に要した時間(英単語が表示されてからスワイプされるまでの経過時間)、学習結果として、正解、不正解、あるいは不明だったのかを示す情報(2ビットフラグなど)が、NFCタグ16のICチップに書き込まれる。
【0035】
一方、ユーザにより学習の終了が指示された場合には(ステップS16のYES)、CPU11は、ユーザにより学習結果に関する情報の送信が指示されたか否かを判断する(ステップS18)。ユーザは、学習を終え、それまでの学習結果に関する情報をスマートフォン20に送信する場合、学習結果に関する情報の送信を選択する。そして、ユーザにより学習結果に関する情報の送信が指示された場合には(ステップS18のYES)、CPU11は、通信手段として、NFCが選択されたか否かを判断する(ステップS20)。
【0036】
ここで、図7は、本第1実施形態による電子腕時計10において通信手段を選択するときの表示例を示す模式図である。ユーザは、学習結果に関する情報をスマートフォン20に送信する通信手段として、NFCか、BTのいずれか一方を選択することが可能となっている。このとき、CPU11は、図7に示すように、表示部13に「学習結果を送信しますか」というメッセージ51とともに、通信手段として、NFCを選択するための「NFC」ボタン52と、BTを選択するための「BT」ボタン53とを表示する。また、表示部13の下部には、学習開始から終了までの学習時間54が表示される。
【0037】
BTを用いる場合には、通信相手が自身のスマートフォン20や、タブレット端末(不図示)、パーソナルコンピュータ(不図示)などのように、その所有者(使用者)が自明である場合、一度、ペアリングを行った相手端末であれば、学習結果に関する情報を間違って送信する心配がないというメリットがある。
【0038】
また、BTであれば、相手端末との距離(数m~十数m離れても可能)や、データ量などの制限が比較的緩いので利便性がよいというメリットもある。但し、BTの場合、過去に一度ペアリングを行うと、通信圏内に入ると自動的にペアリングするため、個人情報を含む学習結果に関する情報を本来送信すべきでない相手端末に送信してしまう可能性があるというデメリットがある。
【0039】
これに対して、NFCを用いる場合には、数センチメートルの単位で相手端末に近接させなければならないため、視認した相手端末に対して確実に学習結果に関する情報を送信することができるというメリットがある。逆に、相手端末に近接させなければならない点、大量のデータを送信するのには適さないというデメリットもある。本発明では、学習結果に関する情報をNFCによる近距離無線通信を用いて送信することを原則としている。これは、個人情報を含む学習結果に関する情報を、視認した相手端末に確実に送信することを優先するためである。
【0040】
そして、ユーザによって通信手段としてNFCが選択された場合には(ステップS20のYES)、CPU11は、スマートフォン20に至近距離で近接することにより、NFCタグ16のコイルアンテナに磁界による誘導電流が発生するまで待機する(ステップS22のNO)。そして、ユーザが電子腕時計10をスマートフォン20に至近距離で近接させることにより、NFCタグ16のコイルアンテナに誘導電流が発生すると(ステップS22のYES)、CPU11は、誘導電流の発生を契機に、学習結果に関する情報と電子腕時計10の識別情報ID1とを、NFCによる近距離無線通信でスマートフォン20に送信する(ステップS24;送信機能)。学習結果に関する情報と識別情報ID1の送信が終了すると、CPU11は、当該処理を終了する。
【0041】
一方、相手端末が十分に分かっているなどの理由から、ユーザが通信手段としてBTを指定した場合には(ステップS20のNO)、CPU11は、BT通信部17により、スマートフォン20とペアリングを行い(ステップS26)、ペアリングが確立すると、学習結果に関する情報と電子腕時計10の識別情報ID1とを、スマートフォン20に送信する(ステップS28)。送信が終了すると、当該処理を終了する。
【0042】
図4は、本第1実施形態によるスマートフォン20の動作を説明するためのフローチャートである。スマートフォン20において、CPU21は、電子腕時計10からのBTによるペアリング要求があるか(ステップS40のYES)、電子腕時計10がスマートフォン20に至近距離まで近接してNFCによる近距離無線通信が開始するまで(ステップS42のYES)、待機状態を維持する(ステップS40のNO、ステップS42のNO)。
【0043】
そして、電子腕時計10が至近距離まで近接することで、電子腕時計10との間でNFCによる近距離無線通信が開始すると(ステップS42のYES)、CPU21は、学習支援アプリケーションを起動し(ステップS46)、電子腕時計10から送信されてくる学習結果に関する情報と電子腕時計10の識別情報ID1とを、近距離無線通信部26によって受信する(ステップS48;受信機能)。
【0044】
CPU21は、予め自身に登録されている識別情報と受信した識別情報ID1とが一致するか否か、すなわち、予め登録された電子腕時計10(又はユーザ)であるか否かを判断する(ステップS50)。そして、予め登録されている識別情報と受信した識別情報ID1とが一致しない場合には(ステップS50のNO)、CPU21は、受信した学習結果に関する情報と電子腕時計10の識別情報ID1を破棄し、ステップS40に戻り、待機状態を継続する。
【0045】
このように、スマートフォン20では、NFCにより受信した学習結果に関する情報が、予め登録された電子腕時計10(又はユーザ)からの学習結果に関する情報ではない場合、受信した学習結果に関する情報を自動的に破棄するようにしたので、他人の学習結果に関する情報を利用することができないようになっている。
【0046】
一方、予め登録されている識別情報と受信した識別情報ID1とが一致した場合には(ステップS50のYES)、CPU21は、受信した学習結果に関する情報に基づいて、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により作成した集計データや、集計データのグラフなどを表示部23に表示する(ステップS58;表示制御機能)。ここでは、ユーザによる操作に応じて、学習している教科(コンテンツ)毎に集計データを表示したり、教科を切り替えたり、種々の操作が可能となっている。
【0047】
ここで、図8は、本第1実施形態によるスマートフォン20における学習結果に関する情報の表示例を示す模式図である。例えば、英単語の学習の場合、スマートフォン20の表示部23には、図8に示すように、学習結果に関する情報を集計した結果として、横軸に日付、左縦軸に学習単語数、右縦軸に学習時間を設定したグラフが表示される。当該グラフでは、日ごとの学習単語数が棒グラフで表示される。棒グラフには、正解した単語数、不正解だった単語数、分からなかった単語数が識別可能に表示される。また、日ごとの学習時間が折れ線グラフで表示される。
【0048】
これ以外にも、スマートフォン20は、例えば、単語毎に、出題から解答するまでに要した経過時間などをグラフで表示してもよい。また、スマートフォン20は、学習の進捗状況や、学習結果などに応じて、学習の進捗に関するアドバイスを提示してもよい。また、スマートフォン20は、不正解だった単語や、分からなかった単語、解答するまでに時間を要した単語などについては、再度、学習できるように、学習内容の更新情報を電子腕時計10側に送信するようにしてもよい(後述する第3実施形態)。
【0049】
一方、電子腕時計10からBTによりペアリング要求があった場合には(ステップS40のYES)、CPU21は、BT通信部27により、電子腕時計10とペアリングを行い(ステップS52)、学習支援アプリケーションを起動し(ステップS54)、電子腕時計10から送信されてくる学習結果に関する情報を受信する(ステップS56)。次に、CPU21は、上述したように、受信した学習結果に関する情報に基づいて、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により作成した集計データや、集計データのグラフなどを表示部23に表示する(ステップS58)。
【0050】
その後、CPU21は、ユーザにより学習支援アプリケーションの終了が指示されたか否かを判断する(ステップS60)。そして、ユーザにより学習支援アプリケーションの終了が指示されない場合には(ステップS60のNO)、ステップS58に戻り、上述したように、ユーザによる操作に応じて、学習教科(学習対象)毎に、集計データやグラフなどを表示したり、教科を切り替えたりするなどの処理を継続する。一方、ユーザにより学習支援アプリケーションの終了が指示された場合には(ステップS60のYES)、学習支援アプリケーションを終了する。
【0051】
上述した第1実施形態によれば、ネットワークへの接続が制限された電子腕時計10での学習結果に関する情報を、NFCによる近距離無線通信により、電子腕時計10に比べ処理能力、あるいは表示能力が高いスマートフォン20に送信し、スマートフォン20で、学習結果に関する情報に基づいて、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により作成した集計データや、集計データをグラフ化したグラフなど表示するようにしたので、処理能力、あるいは表示能力が比較的低い電子腕時計10では処理が難しかった統計処理やグラフ表示などの高度な処理を実現することができる。また、電子腕時計10からスマートフォン20にNFCによる近距離無線通信により、学習結果に関する情報を送信するようにしたので、意図せずに他の機器に個人情報を含む学習結果に関する情報を誤送信あるいは誤受信することなく、ネットワークへの接続が制限された電子腕時計10での学習結果に関する情報を、他の機器で効率的に管理することができる。
【0052】
また、上述した第1実施形態によれば、スマートフォン20の所有者(使用者)が自明である場合には、Bluetooth(登録商標)を用いたデータ通信によって学習結果に関する情報を送信することを選択可能にしたので、一度、ペアリングを行った相手端末であれば、間違った相手に誤送信することなく、容易に、かつ、比較的離れた場所から高速に送信することができる。
【0053】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、本第2実施形態による学習支援システム60の構成を示す模式図である。学習支援システム60は、複数のタブレット端末(学習用端末)70-1、70-2、…、70-nと、パーソナルコンピュータ(学習管理端末)80とから構成されている。タブレット端末70-i(i=1、2、…、n)とパーソナルコンピュータ80の構成は、一般的なものであるので説明を省略するが、タブレット端末70-i側にNFCタグ71-i(i=1、2、…、n)を備え、パーソナルコンピュータ80側に近距離無線通信部81を備えている。
【0054】
本第2実施形態では、図9に示すように、複数のユーザ(生徒)は、学校や、学習塾等で、それぞれのタブレット端末70-1、70-2、…、70-nを用いて、例えば、英単語を憶える学習を行う。そして、学習終了後に、それぞれのユーザが自身のタブレット端末70-i(i=1、2、…n)を教師(講師)のパーソナルコンピュータ80に至近距離で近接させることで、それぞれの学習結果に関する情報を、NFCによる近距離無線通信を介して、パーソナルコンピュータ80に送信する。パーソナルコンピュータ80では、それぞれのユーザ毎に学習結果に基づいて、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により集計データを作成したり、集計データをグラフ化したりして表示する。なお、以下では、Bluetooth(登録商標)での通信については行わないが、上述した第1実施形態と同様に選択可能であってもよい。
【0055】
図10は、本第2実施形態によるタブレット端末70-iとパーソナルコンピュータ80の動作を説明するためのフローチャートである。タブレット端末70-iは、ユーザが学習用アプリケーションを起動して学習を開始したか否かを判断し(ステップS70)、学習が開始されていない場合には(ステップS70のNO)、それまでの動作を継続する。ユーザは、所望するコンテンツ(教科)を学習するに際して、所定の操作を行い、学習用アプリケーションを起動する。
【0056】
一方、ユーザにより学習が開始された場合には(ステップS70のYES)、タブレット端末70-iは、選択された教科に対する問題を提示したり、ユーザからの解答を収集したりするなど、選択された教科の学習に係る処理を実行する(ステップS72)。ユーザは、タブレット端末70-iに表示される学習内容に応じて学習を進める。学習時におけるユーザ操作は、上述した第1実施形態と同様に、タブレット端末70-iに表示される英単語の意味が分かったと判断した場合、あるいは分からなかった場合に正解を確認するためにスワイプし、図5(b)に示したように、正解した(憶えていた)場合には、「正解」ボタン45、間違っていた場合には、「不正解」ボタン46、分からなかった(憶えていない)場合には、「不明」ボタン47をタッチする。
【0057】
タブレット端末70-iは、出題してからの経過時間や、ユーザにより選択された学習結果(正解、不正解、又は不明)などを、学習結果に関する情報としてNFCタグ71-iのICチップに書き込む(ステップS74)。次に、タブレット端末70-iは、ユーザにより学習の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS76)。そして、ユーザにより学習の終了が指示されない場合には(ステップS76のNO)、タブレット端末70-iは、ステップS72に戻り、学習を継続する。
【0058】
一方、ユーザにより学習の終了が指定された場合には(ステップS76のYES)、タブレット端末70-iは、パーソナルコンピュータ80に至近距離で近接することにより、NFCタグ71-iのコイルアンテナに磁界による誘導電流が発生するまで待機する(ステップS78のNO)。複数のユーザは、各々、学習終了後に自身のタブレット端末70-iを教師(講師)のパーソナルコンピュータ80に順次至近距離で近接させる。
【0059】
タブレット端末70-iは、パーソナルコンピュータ80に至近距離で近接させることにより、NFCタグ71-iのコイルアンテナに誘導電流が発生すると(ステップS78のYES)、誘導電流の発生を契機に、学習結果に関する情報とタブレット端末70-iの識別情報ID2とを、NFCによる近距離無線通信でパーソナルコンピュータ80に送信する(ステップS80)。タブレット端末70-iは、学習結果に関する情報と識別情報ID2の送信が終了すると、当該処理を終了する。
【0060】
パーソナルコンピュータ80は、タブレット端末70-iが至近距離で近接することによってNFCによる近距離無線通信が開始するまで待機する(ステップS90のNO)。そして、タブレット端末70-iが至近距離で近接することで、タブレット端末70-iとの間でNFCによる近距離無線通信が開始すると(ステップS90のYES)、パーソナルコンピュータ80は、タブレット端末70-iから送信されてくる学習結果に関する情報とタブレット端末70-iの識別情報ID2とを、近距離無線通信部81によって受信する(ステップS92)。パーソナルコンピュータ80は、予め登録されているユーザ(生徒)の識別情報(ID)リストに受信した識別情報ID2が含まれるか、すなわち管理下のユーザ(生徒)であるか否かを判断する(ステップS94)。そして、予め登録されている識別情報(ID)リストに受信した識別情報ID2が含まれない場合には(ステップS94のNO)、パーソナルコンピュータ80は、受信した学習結果に関する情報と識別情報ID2を破棄し、ステップS90に戻る。
【0061】
このように、パーソナルコンピュータ80では、予め登録されているユーザ(生徒)のタブレット端末70-iからの学習結果に関する情報ではない場合、受信した学習結果に関する情報を自動的に破棄するようにしたので、管理下(クラス)以外のユーザ(生徒)の学習結果に関する情報を利用することができないようになっている。
【0062】
一方、予め登録されている識別情報(ID)リストに受信した識別情報ID2が含まれる場合には(ステップS94のYES)、パーソナルコンピュータ80は、受信した学習結果に関する情報に基づいて、識別情報ID2に対応付けて、統計的手法(統計的データの数学的な処理・分析法)により集計データを作成したり、集計データをグラフ化したりする(ステップS96)。次に、パーソナルコンピュータ80は、クラス全員分の学習結果に関する情報を受信したか否かを判断する(ステップS98)。そして、クラス全員分の学習結果に関する情報を受信していない場合には(ステップS98のNO)、ステップS90に戻り、他のタブレット端末70-iが近接することによるNFCによる近距離無線通信の開始を待機する。なお、クラス全員分の学習結果に関する情報を受信する前に、強制的に学習結果に関する情報の受信を終了してもよい。
【0063】
そして、全員分の学習結果に関する情報を受信したか、あるいは教師(講師)により強制的に受信が終了された場合には(ステップS98のYES)、パーソナルコンピュータ80は、ユーザ(生徒)毎の学習結果に基づいて作成した集計データや、クラス全員の学習結果に基づいて作成した全生徒集計データや、集計データのグラフ等を表示する(ステップS100)。ここでは、教師(講師)による操作に応じて、学習している教科(コンテンツ)毎に集計データを表示したり、教科を切り替えたり、種々の操作が可能となっている。
【0064】
その後、パーソナルコンピュータ80は、教師(講師)により学習支援アプリケーションの終了が指示されたか否かを判断する(ステップS102)。そして、教師(講師)により学習支援アプリケーションの終了が指示されない場合には(ステップS102のNO)、ステップS100に戻り、上述したように、教師(講師)による操作に応じて、ユーザ(生徒)を切り替えたり、学習教科(学習対象)毎に集計データや、グラフを表示したり、教科を切り替えたりするなどの処理を継続する。一方、教師(講師)により学習支援アプリケーションの終了が指示された場合には(ステップS102のYES)、学習支援アプリケーションを終了し、当該処理を終了する。
【0065】
上述した第2実施形態によれば、ユーザ(生徒)がネットワークへの接続が制限されたタブレット端末70-iで学習(問題に対して解答)して、その学習結果に関する情報を、NFCによる近距離無線通信により、タブレット端末70-iに比べ処理能力、あるいは表示能力が高い、教師(講師)が使用するパーソナルコンピュータ80に送信することで、教師(講師)がパーソナルコンピュータ80でユーザ(生徒)の解答を採点したり、採点結果を集計して集計データを作成したり、ユーザ(生徒)毎に集計データをグラフ化して表示したりすることができる。また、タブレット端末70-iからパーソナルコンピュータ80へはNFCによる近距離無線通信を介して学習結果に関する情報を送信するようにしたので、意図せずに他の機器に個人情報を含む学習結果に関する情報を誤送信あるいは誤受信することや、解答の改ざんなどの不正行為などを防ぐことができる。
【0066】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態では、学習結果に関する情報に基づいて集計データを作成したスマートフォン20が、学習の進捗状況や、学習結果などに応じて、学習内容の更新情報を、電子腕時計10に送信し、電子腕時計10の学習内容を更新することを特徴としている。なお、電子腕時計10とスマートフォン20の構成については、前述した第1実施形態と同様であるので説明を省略する。また、第3実施形態では、電子腕時計10とスマートフォン20について説明するが、これに限らず、第2実施形態のように、タブレット端末70-iとパーソナルコンピュータ80の組み合わせであってもよく、この場合、タブレット端末70-iが電子腕時計10に対応し、パーソナルコンピュータ80がスマートフォン20に対応する。
【0067】
学習内容の更新情報としては、不正解だった単語、分からなかった単語、又は解答するまでに時間を要した単語などについて再度学習させるための情報(当該問題の出題順番や出題回数などの優先順位を高くする)、既に学習済みの単語については削除するための情報、あるいは、新たな学習内容(単語)を追加するための情報などがある。
【0068】
図11は、本第3実施形態による電子腕時計10とスマートフォン20の動作を説明するためのフローチャートである。スマートフォン20において、CPU21は、図4のステップS56で、学習結果から集計データを作成したり、集計データのグラフ化を行ったりしている際に、ユーザにより所定の操作が行われると、学習結果に関する情報から得られる学習の進捗状況や、学習結果などに応じて、学習内容の更新があることを表示部23に表示する(ステップS110)。
【0069】
図12(a)、(b)は、本第3実施形態によるスマートフォン20における学習内容の更新時での表示例を示す模式図である。表示部23には、図12(a)に示すように、「学習内容の更新があります」のメッセージ90、「送信する」ボタン91、「送信しない」ボタン92が表示される。CPU21は、「送信しない」ボタン92がタッチされたか否かを判断し(ステップS112)、「送信しない」ボタン92がタッチされた場合には(ステップS112のYES)、図3のステップS56へ進み、ユーザによる操作に応じて、学習教科(学習対象)毎に作成した集計データを表示したり、学習教科を切り替えたりするなどの処理を継続する。
【0070】
一方、「送信しない」ボタン92がタッチされない場合には(ステップS112のNO)、CPU21は、「送信する」ボタン91がタッチされたか否かを判断し(ステップS114)、「送信する」ボタン91がタッチされない場合には(ステップS114のNO)、ステップS112に戻り、いずれかがタッチされるまで待機する。
【0071】
そして、「送信する」ボタン91がタッチされた場合には(ステップS114のYES)、CPU21は、図12(b)に示すように、表示部23に「腕時計に近づけてください」などのメッセージ93を表示し、電子腕時計10が至近距離で近接することによってNFCによる近距離無線通信が開始するまで待機する(ステップS116のNO)。
【0072】
そして、スマートフォン20と電子腕時計10とが至近距離で近接することで、電子腕時計10との間でNFCによる近距離無線通信が開始すると(ステップS116のYES)、CPU21は、学習内容の更新情報とスマートフォン20の識別情報ID3とを、近距離無線通信部26により電子腕時計10に送信する(ステップS118)。次に、CPU21は、ユーザにより学習支援アプリケーションの終了が指示されたか否かを判断する(ステップS120)。そして、ユーザにより学習支援アプリケーションの終了が指示されない場合には(ステップS120のNO)、図3のステップS56へ進み、ユーザによる操作に応じて、学習教科毎に、集計データを作成したり、グラフを表示したり、教科を切り替えたりするなどの処理を継続する。一方、ユーザにより学習支援アプリケーションの終了が指示された場合には(ステップS120のYES)、学習支援アプリケーションを終了する。
【0073】
一方、電子腕時計10において、CPU11は、スマートフォン20に至近距離で近接することにより、NFCタグ16のコイルアンテナに磁界による誘導電流が発生するまで待機する(ステップS130のNO)。ユーザは、上述したように、スマートフォン20の表示部23に「腕時計に近づけてください」などのメッセージ93が表示されると、自身の電子腕時計10をスマートフォン20に近づけるか、スマートフォン20を電子腕時計10に近づける。そして、電子腕時計10とスマートフォン20とが至近距離で近接し、電子腕時計10のNFCタグ16のコイルアンテナに磁界による誘導電流が発生すると(ステップS116のYES)、CPU11は、スマートフォン20から送信される学習内容の更新情報とスマートフォン20の識別情報ID3とを、NFCタグ16により受信する(ステップS132)。
【0074】
次に、CPU11は、予め自身に登録されているスマートフォン20(認証済み)の識別情報と受信した識別情報ID3とが一致するか、すなわち、予め登録されたスマートフォン20からの学習内容の更新情報であるかを判断する(ステップS134)。そして、予め登録されている識別情報と受信した識別情報ID3とが一致しない場合には(ステップS134のNO)、CPU11は、受信した学習内容の更新情報と識別情報ID3を破棄し、ステップS130に戻る。そして、予め登録されている識別情報に一致する識別情報ID3を有する他のスマートフォン20と至近距離で近接するまで待機する。
【0075】
このように、電子腕時計10では、予め登録されたスマートフォン20(認証済み)からの学習内容の更新情報ではない場合、受信した学習内容の更新情報を自動的に破棄するので、他人の学習内容の更新情報を間違って利用することはできないようになっている。
【0076】
一方、予め登録されている識別情報と受信した識別情報ID3とが一致した場合には(ステップS134のYES)、CPU11は、受信した学習内容の更新情報に基づいて、自身に保存されている学習内容を更新する(ステップS136)。学習内容の更新には、上述したように、不正解だった単語、分からなかった単語、又は解答するまでに時間を要した単語などについて再度学習させるために、当該問題の出題順番の優先順位を高くしたり、出題回数を増やしたり、既に学習済みの単語については削除したり、あるいは、新たな学習内容を追加したりすることなどが含まれる。その後、CPU11は、学習内容の更新が終了したことを、表示部13に表示して当該処理を終了する。
【0077】
上述した第3実施形態によれば、学習結果に関する情報に基づいて集計データを作成したスマートフォン20が、学習の進捗状況や、学習結果などに応じて、学習内容の更新情報を電子腕時計10に送信して、電子腕時計10の学習内容を更新するようにしたので、学習の進捗状況や、学習結果などに応じて更新された学習内容で効率的に学習を行うことができる。
【0078】
また、第3実施形態によれば、学習内容の更新情報を、NFCによるデータ通信により電子腕時計10に送信するようにしたので、意図せずに他の機器に個人情報を含む学習結果に関する情報を誤送信あるいは誤受信することなく、学習内容を更新することができる。
【0079】
なお、上述した第1、第2実施形態において、電子腕時計10(又はタブレット端末70-i)での学習時に、学習内容についての詳細な情報を閲覧するためのURL(Uniform Resource Locator)が含まれる場合、電子腕時計10(又はタブレット端末70-i)の表示部13にそのURLを表示させた状態で、スマートフォン20(又はパーソナルコンピュータ80)に近接させると、そのURLを受信したスマートフォン20(又はパーソナルコンピュータ80)が、該URLに従ってインターネットを介して対応する情報を取得して、表示部23に表示するようにしてもよい。比較的大きな表示部23を備えるスマートフォン20(又はパーソナルコンピュータ80)で表示させることで、インターネットを介して取得した大量の情報を閲覧することができる。
【0080】
また、上記実施形態における学習支援システム1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0081】
1…学習支援システム、10…電子腕時計、11、21…CPU、12、22…メモリ、13、23…表示部、14、24…操作部、15…計時部、16…NFCタグ、17…BT通信部、20…スマートフォン、25…ネットワーク通信部、26…近距離無線通信部、27…BT通信部、30…ネットワーク、31…情報提供サーバ、40…英単語、43…経過時間、44…意味、54…学習時間、60…学習支援システム、70-1~70-n、70-i…タブレット端末、71-i…NFCタグ、80…パーソナルコンピュータ、81…近距離無線通信部、ID1、ID2、ID3…識別情報

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12