(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176753
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 17/00 20060101AFI20241212BHJP
B08B 9/28 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A47L17/00 A
B08B9/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095534
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】阿部 邦昭
(72)【発明者】
【氏名】後藤 惇
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA22
3B116BB22
3B116BB62
3B116BB82
3B116BC05
3B116CC01
3B116CC03
(57)【要約】
【課題】洗浄機の安全性又は乾燥効率を向上させる。
【解決手段】洗浄機1は、ボトル本体51を洗浄するためのボトル本体洗浄部5と、蓋52を洗浄するための蓋洗浄部6と、ボトル本体51及び蓋52を乾燥させる際に、ボトル本体51を保持するボトル本体保持部と蓋52を保持する蓋収納部とを振動させるための乾燥用振動機と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の本体を洗浄するための本体洗浄部と、
前記容器の蓋を洗浄するための蓋洗浄部と、
前記本体及び前記蓋を乾燥させる際に、前記本体を保持する本体保持部と前記蓋を保持する蓋保持部とを振動させるための乾燥用振動機と、
を備える
洗浄機。
【請求項2】
1つの前記乾燥用振動機によって前記本体保持部と前記蓋保持部の双方を振動させる
請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記乾燥用振動機は、前記本体保持部及び前記蓋保持部を共振させるための振動板を振動させる
請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記振動板は、前記本体保持部と前記蓋保持部の下方にわたって設けられる
請求項3に記載の洗浄機。
【請求項5】
前記本体保持部及び前記蓋保持部のうち少なくとも一方は、前記振動板にすきまばめ又は中間ばめで嵌合される
請求項3に記載の洗浄機。
【請求項6】
前記本体保持部及び前記蓋保持部のうち少なくとも一方は、前記振動板の固有振動数と同じ固有振動数を有する
請求項3に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器などを洗浄するための洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を洗浄するための技術として、特許文献1には、食器類を含む被洗浄物を載置する食器用かごと、被洗浄物に向けて洗浄水を噴射する回転体ノズル体と、洗浄槽の内底側に設けられ、洗浄水の加熱や被洗浄物の乾燥を行うヒータとを有する食器洗浄機において、水切り振動を食器用かごに付与する加振手段を有することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された食器洗浄機では、食器用かご振動させるので、食器用かごに載置された食器が転倒する可能性がある。本発明者らは、洗浄機の安全性や乾燥効率を更に向上させることを課題として開発を進め、本開示の洗浄機に想到した。
【0005】
本開示は、洗浄機の安全性又は乾燥効率を向上させるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における洗浄機は、容器の本体を洗浄するための本体洗浄部と、容器の蓋を洗浄するための蓋洗浄部と、本体及び蓋を乾燥させる際に、本体を保持する本体保持部と蓋を保持する蓋保持部とを振動させるための乾燥用振動機と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、洗浄機の安全性又は乾燥効率を向上させるを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る洗浄機により洗浄されるボトルの構成図
【
図4】実施の形態1に係る洗浄機の外観を示す斜視図
【
図7】本体の左右の側面板を取り外した洗浄機を右側から見た図
【
図9】排水用タンクの周辺の構成を示す側面視断面図
【
図10】本体の左右の側面板を取り外した洗浄機を左側から見た図
【
図11】ボトル本体が保持されないときのボトル本体洗浄部の断面図
【
図13】ボトル本体が保持されたときのボトル本体洗浄部の断面図
【
図14】クリーニング工程における洗浄水の流れを示す図
【
図18】洗浄機における排水に関わる構成を示す断面図
【
図19】洗浄機における乾燥に関わる構成を示す断面図
【
図20】洗浄機における乾燥に関わる構成を示す断面図
【
図21】洗浄機における乾燥に関わる構成を示す断面図
【
図24】実施の形態2に係る本体の左右の側面板を取り外した洗浄機を左側後方から見た図
【
図25】実施の形態2に係る洗浄工程における水の流れを示す図
【
図26】実施の形態2に係るすすぎ工程における水の流れを示す図
【
図27】三方弁を用いた実施の形態2に係る洗浄工程における水の流れを示す図
【
図28】三方弁を用いた実施の形態2に係るすすぎ工程における水の流れを示す図
【
図29】実施の形態3に係るボトル本体が保持されないときのボトル本体洗浄部の断面図
【
図30】実施の形態3に係る排水孔近傍の断面斜視図
【
図31】実施の形態3に係るクリーニング工程における洗浄水の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0010】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1~23を用いて、実施の形態1を説明する。実施の形態1に係る洗浄機は、主に飲料用のボトルの本体及び蓋を洗浄するためのものである。
【0012】
[1-1.構成]
[1-1-1.ボトル]
図1は、実施の形態1に係る洗浄機により洗浄されるボトルの構成を示す。ボトル50は、ボトル本体51と、蓋52とを備える。
【0013】
図2は、スクリュー式の蓋52の構成を示す。スクリュー式の蓋52は、回転させることによりボトル本体51に着脱される。
【0014】
図3は、ワンタッチ式の蓋52の構成を示す。ワンタッチ式の蓋52は、蓋上部53と、蓋下部54とを備える。蓋下部54は、回転させることによりボトル本体51に着脱される。蓋上部53は、一端が軸55により蓋下部54に軸支され、他端が係止部56により蓋下部54に係止される。蓋下部54に設けられたボタン57を押下することにより、係止部56における蓋上部53と蓋下部54の間の係止が解除され、蓋上部53が軸55を中心軸として上方向に回転して開かれる。
【0015】
実施の形態1に係る洗浄機は、スクリュー式の蓋52もワンタッチ式の蓋52も洗浄可能に構成される。以降の説明において、スクリュー式の蓋52とワンタッチ式の蓋52を区別する必要がない場合は、それらを「蓋52」と総称する。蓋52は、上記以外の形状の蓋であってもよい。蓋52は、ボトル本体51の開口部に押し込まれることによりボトル本体51に装着されてもよい。
【0016】
[1-1-2.洗浄機]
図4は、実施の形態1に係る洗浄機1の外観を示す斜視図である。
図5は、実施の形態1に係る洗浄機1の正面図である。洗浄機1は、洗浄機本体2、操作パネル3、洗浄室4、及び大扉7を備える。
【0017】
洗浄室4は、洗浄機本体2の内部に設けられる。
【0018】
洗浄室4に、ボトル本体51を洗浄するためのボトル本体洗浄部5と、蓋52を洗浄するための蓋洗浄部6が設けられる。
【0019】
洗浄室4の手前側の開口部に、開口部を開閉するための大扉7と、大扉7の開閉を検知するための大扉開閉スイッチ8が設けられる。
【0020】
洗浄機本体2の手前側の側面の上部に、洗浄機1を操作するための操作パネル3が設けられる。操作パネル3は、使用者から受け付けた指示入力を、洗浄機1を制御する制御装置(図示なし)に伝達する。操作パネル3は、制御装置により生成された画像や文字などを表示する。
【0021】
図6は、洗浄室4の上部を斜め下から見た図である。洗浄室4の上面に、洗浄室換気口9と、ボトル本体センサ10と、庫内灯11が設けられる。
【0022】
洗浄室換気口9は、洗浄室4の内気を外気と換気するために設けられる。
【0023】
ボトル本体センサ10は、ボトル本体洗浄部5にボトル本体51がセットされたことを検知する。ボトル本体センサ10は、ボトル本体洗浄部5の直上又は直下に設けられてもよいし、ボトル本体洗浄部5に隣接して設けられてもよい。要は、ボトル本体洗浄部5に載置されたボトル本体51を検知できればよい。
【0024】
洗浄室換気口9は、ボトル本体センサ10の近傍において、ボトル本体センサ10に隣り合うように配置される。これにより、ボトル本体センサ10が水蒸気によって曇るのを抑えることができるので、ボトル本体センサ10の検知精度を向上させることができる。
【0025】
庫内灯11は、洗浄室4の内部を照明する。庫内灯11は、大扉7が開かれている時、洗浄機1において洗浄運転が開始された時、後述するクリーニング工程中などに点灯されてもよい。庫内灯11は、大扉7が閉じられている時、洗浄機1の待機中などに消灯されてもよい。
【0026】
図7は、洗浄機本体2の左右の側面板を取り外した洗浄機1を右側から見た図である。洗浄機1は、庫内換気用ファン12、自動洗剤投入機13、自動洗剤投入機用ポンプ14、すすぎ用加熱ヒータ15、洗浄用加熱ヒータ16、排水ホース17、排水ポンプ18、排水用タンク19、乾燥用振動機20、洗浄用貯留タンク21、飲み残し投入口22、換気ダクト23、すすぎ用貯留タンク24、及び経路49を備える。
【0027】
庫内換気用ファン12は、換気ダクト23を介して洗浄機本体2の内気を外気と換気するために、制御装置により作動される。制御装置は、洗浄工程、すすぎ工程、及び乾燥工程において、庫内換気用ファン12を常時作動させて、水蒸気を含む内気を外気と換気する。制御装置は、洗浄機1の運転が終了した後にも、庫内換気用ファン12を所定時間作動させて内気を外気と換気してもよい。制御装置は、洗浄機1の運転が開始した時に庫内換気用ファン12の作動を開始してもよい。制御装置は、洗浄機1が設置された施設などの営業開始時間(例えば7時)に庫内換気用ファン12の作動を開始してもよい。制御装置は、洗浄機1の運転が終了してから、洗浄機本体2内の換気が完了して大扉7の曇りが解消する時間(例えば30分)が経過した後に庫内換気用ファン12を停止してもよい。制御装置は、洗浄機1が設置された施設などの営業終了時間(例えば22時)以降に庫内換気用ファン12を停止してもよい。洗浄機1が、除菌や脱臭などの効果を有するイオンなどを発生する機能を有している場合、制御装置は、イオンを発生している間や、イオンを発生してから所定の除菌時間(例えば30分)が経過するまでの間は、庫内換気用ファン12を停止してもよい。例えば、制御装置は、洗浄機本体2内を除菌する場合に、イオン発生開始時からイオン発生終了時までは庫内換気用ファン12を停止してもよいし、イオン発生開始時からイオン発生終了後に所定の除菌時間が経過するまでの間は庫内換気用ファン12を停止してもよい。また、制御装置は、ボトル50の洗浄時にボトル50を除菌する場合に、ボトルの洗浄開始時にイオンを発生させるとともに庫内換気用ファン12を停止し、ボトルの洗浄終了時にイオンの発生を停止させるとともに庫内換気用ファン12の作動を開始してもよい。また、制御装置は、ボトル50の洗浄後にボトル50を除菌する場合に、ボトルの洗浄後にイオンを発生させるとともに庫内換気用ファン12を停止し、所定の除菌時間の経過後にイオンの発生を停止させるとともに庫内換気用ファン12の作動を開始してもよい。
【0028】
自動洗剤投入機13は、洗剤を貯留し、ボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6を洗浄するための洗浄水に洗剤を投入する。自動洗剤投入機用ポンプ14は、自動洗剤投入機13に貯留された洗剤を洗浄水に投入するために、制御装置により作動される。
【0029】
洗浄用貯留タンク21は、洗浄工程においてボトル本体51及び蓋52を洗浄するための洗浄水を貯留する。洗浄用加熱ヒータ16は、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水を加熱するために、制御装置により作動される。制御装置は、洗浄用温度センサ(図示なし)により検知された洗浄水の温度が所定温度に維持されるように、洗浄用加熱ヒータ16を制御する。後述するように、洗浄工程において使用された洗浄水と、すすぎ工程において使用されたすすぎ水は、洗浄用貯留タンク21に回収され、洗浄水として再利用される。
【0030】
すすぎ用貯留タンク24は、洗浄用貯留タンク21より上方に設けられ、すすぎ工程においてボトル本体51及び蓋52をすすぐためのすすぎ水を貯留する。制御装置は、すすぎ用貯留タンク水位センサ(図示なし)により検知されたすすぎ水の水位が所定の下限値を下回ったときに、給水電磁弁(図示なし)を開いて上水道などからすすぎ用貯留タンク24に上水を供給する。制御装置は、すすぎ用貯留タンク水位センサ(図示なし)により検知されたすすぎ水の水位が所定の上限値に達したときに、給水電磁弁(図示なし)を閉じて上水の供給を停止する。すすぎ用加熱ヒータ15は、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水を加熱するために、制御装置により作動される。制御装置は、すすぎ用温度センサ(図示なし)により検知されたすすぎ水の温度が所定温度に維持されるように、すすぎ用加熱ヒータ15を制御する。
【0031】
経路49は、すすぎ用貯留タンク24と洗浄用貯留タンク21を接続する。すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水の温度の上昇などによって、すすぎ用貯留タンク24内の圧力が上昇したときに、すすぎ用貯留タンク24の内気が経路49を介して洗浄用貯留タンク21へ流れる。後述するように、洗浄用貯留タンク21は洗浄室4と通じているので、洗浄用貯留タンク21へ流れた気体は、洗浄室換気口9から換気ダクト23を介して外部に排出される。これにより、すすぎ用貯留タンク24の内圧の上昇を抑えることができる。また、洗浄用貯留タンク21がすすぎ用貯留タンク24の下方に設けられるので、すすぎ用貯留タンク水位センサの故障などによって、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水の水位が上昇したときに、すすぎ用貯留タンク24からオーバーフローしたすすぎ水が経路49を介して洗浄用貯留タンク21へ流れる。これにより、予期せぬ箇所から水漏れが発生するのを防ぐことができる。このように、経路49を設けることにより、洗浄機1の安全性を向上させることができる。
【0032】
排水用タンク19は、排水を貯留する。排水は、飲み残し投入口22から投入された飲み残しの飲料や、洗浄工程において使用された洗浄水や、すすぎ工程において使用されたすすぎ水などを含む。排水ポンプ18は、排水用タンク19に貯留された排水を排水ホース17を介して外部に排出するために、制御装置により作動される。制御装置は、排水用タンク水位センサ(図示なし)により検知された排水の水位が所定値を超えたときに、排水ポンプ18を作動させて、排水用タンク19に貯留された排水を排水ホース17から外部に排出する。これにより、排水を迅速に排出することができるので、排水用タンク19の容積を必要最小限に抑えることができ、ひいては洗浄機1全体のサイズを抑えることができる。また、排水ホース17を延ばすことにより洗浄機1を任意の場所に設置することができるので、設置場所の自由度を向上させることができる。また、洗浄機1の設置場所に排水用の孔を設ける必要がないので、施工の手間やコストを抑えることができる。また、排水ホース17の設置態様によらず排水を排出することができる。排水ホース17は、洗浄機本体2の側面、前面、背面から排水用タンク19に接続されてもよい。なお、排水ポンプ18を設けずに、排水ホース17を排水用タンク19の底面に接続して排水を外部に排出してもよい。
【0033】
乾燥用振動機20は、乾燥工程において、ボトル本体51及び蓋52を振動させてボトル本体51及び蓋52に付着した水滴を振り落とすために、制御装置により作動される。
【0034】
図8は、洗浄機4の内部の構成を示す断面斜視図である。
図9は、排水用タンク19の周辺の構成を示す側面視断面図である。
【0035】
洗浄機1は、結露水回収ホース63を備える。換気ダクト23は、中央部が端部よりも低いU字状の形状を有し、換気ダクト23の内部で結露した水が中央部に溜まるように構成されている。結露水回収ホース63は、換気ダクト23の中央部に溜まった結露水を排水用タンク19に導く。これにより、換気ダクト23内で結露した水を排水用タンク19に回収し、排水ポンプ18によって外部に排出させることができるので、洗浄機本体2内での不具合を未然に防ぐことができる。
【0036】
図10は、洗浄機本体2の左右の側面板を取り外した洗浄機1を左側から見た図である。洗浄機1は、すすぎ用ポンプ25、すすぎ経路電磁弁26、洗浄用ポンプ27、洗浄経路電磁弁28、及び水抜き用電磁弁29を備える。
【0037】
洗浄用ポンプ27は、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52を洗浄するために、制御装置により作動される。洗浄工程において、制御装置は、洗浄経路電磁弁28を開くとともに、すすぎ経路電磁弁26を閉じる。制御装置は、洗浄用ポンプ27を作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52を洗浄する。洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水は、洗浄用加熱ヒータ16により約60℃に加熱される。これにより、牛乳などに含まれるタンパク質が熱変性により固着するのを抑えつつ、洗浄効率を向上させることができる。ボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給された洗浄水は、洗浄用貯留タンク21に回収され、循環される。制御装置は、洗浄機1を移動させる場合や洗浄機1をメンテナンスする場合などに、水抜き用電磁弁29を開いて、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水を排水用タンク19に排出する。
【0038】
すすぎ用ポンプ25は、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52をすすぐために、制御装置により作動される。すすぎ工程において、制御装置は、すすぎ経路電磁弁26を開くとともに、洗浄経路電磁弁28を閉じる。制御装置は、すすぎ用ポンプ25を作動させ、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52をすすぐ。すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水は、すすぎ用加熱ヒータ15により約80℃に加熱される。これにより、すすぎ効率を向上させることができるとともに、乾燥効率を向上させることができる。また、ボトル本体51及び蓋52を除菌することができる。ボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給されたすすぎ水は、洗浄用貯留タンク21に回収される。
【0039】
[1-1-3.ボトル本体洗浄部]
図11は、ボトル本体51が保持されないときのボトル本体洗浄部5の断面図である。
図12は、ボトル本体51が保持されたときのボトル本体洗浄部5の断面図である。
図13は、ボトル本体洗浄部5の上面図である。ボトル本体洗浄部5は、ボトル本体保持部30、菊割れゴム31、ボトル本体挿入口32、開閉部33、排水孔34、回転軸35、付勢部36、支持部37、洗浄経路38、及びボトル本体洗浄用射出部39を備える。
【0040】
ボトル本体保持部30は、ボトル本体51を挿入するためのボトル本体挿入口32の周囲に円筒状に形成され、ボトル本体51が開口を下にしてボトル本体挿入口32に挿入されたときに、ボトル本体51の外側面を環囲して保持する。ボトル本体保持部30の上面は、付着した水滴が中央の排水孔34へ自動的に落下するように、内径側に向かって下向きに傾斜していてもよい。支持部37は、水平方向に伸びる2本の金属棒であり、ボトル本体51の開口を下方から支持する。ボトル本体挿入口32に挿入されたボトル本体51は、支持部37によって位置決めされる。
【0041】
ボトル本体51がボトル本体挿入口32に挿入され、正しい位置でボトル本体保持部30に保持されたときに、使用者がクリック感を感じるように構成される。ボトル本体51が支持部37やボトル本体保持部30などの周囲の構成に接触することにより音や手応えが生じるように構成されてもよいし、開閉部33が周囲の構成に接触することにより音や手応えが生じるように構成されてもよい。これにより、ボトル本体51を正しい位置にセットさせることができる。
【0042】
ボトル本体洗浄用射出部39は、少なくともボトル本体51の内部に洗浄水を射出してボトル本体51の内部を洗浄する。ボトル本体洗浄用射出部39は、ボトル本体51の開口の外側にも洗浄水を射出してボトル本体51の飲み口を洗浄する。ボトル本体洗浄用射出部39は、すすぎ水も射出する。ボトル本体洗浄用射出部39は、菊割れゴム31及び開閉部33よりも下方に設けられる。
【0043】
菊割れゴム31は、ボトル本体保持部30の内側上部において、ボトル本体保持部30の内径に沿うように円環状に設けられ、ボトル本体保持部30よりもさらに内径方向に伸びている。菊割れゴム31は、ボトル本体洗浄用射出部39から射出された洗浄水及びすすぎ水が外部に漏れるのを抑えるためのシール部として機能する。これにより、ボトル本体51の外径によらず、洗浄水及びすすぎ水が外部に漏れるのを抑えることができるので、洗浄室4内の湿気を抑えることができる。また、菊割れゴム31を設けることにより、ボトル本体51をボトル本体保持部30の中心に確実に保持することができる。これにより、ボトル本体51の傾きを防ぐことができるので、ボトル本体51の洗浄効率を向上させることができるとともに、ボトル本体センサ10による検知精度を向上させることができる。
【0044】
ボトル本体51は、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水の液面の上方に保持される。洗浄水の液面とボトル本体51の間は隔てられていないので、ボトル本体洗浄用射出部39から射出された洗浄水及びすすぎ水は、落下して洗浄用貯留タンク21に回収される。このように、洗浄水及びすすぎ水を再利用してボトル本体51を洗浄するので、水や洗剤の消費量を抑えることができる。
【0045】
開閉部33は、ボトル本体保持部30の内側下部に設けられ、ボトル本体保持部30によりボトル本体51が保持されるときにはボトル本体挿入口32を開き、ボトル本体保持部30によりボトル本体51が保持されないときにはボトル本体挿入口32を閉じる。洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水は約60℃に加熱されているので、ボトル本体挿入口32が開いていると水蒸気が洗浄室4内部に拡散するが、ボトル本体51が保持されないときには開閉部33によってボトル本体挿入口32を閉じることにより、洗浄室4内の湿気を抑えることができる。また、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水を保温することができる。
【0046】
開閉部33は、正面視で円弧が半円形に形成された2つの部材を含む。それぞれの部材は、円弧側が上面にくるように回転軸35により軸支され、回転軸35を軸中心として下方に回転することにより開かれる。これにより、ボトル本体51がボトル本体挿入口32に挿入されるときに、ボトル本体51の重量によって容易に開閉部33を開くことができる。
【0047】
付勢部36は、開閉部33が閉じる方向に開閉部33を付勢する。付勢部36は、ボトル本体51をボトル本体挿入口32に挿入するときには開閉部33がボトル本体51の重量によって容易に開き、ボトル本体51をボトル本体挿入口32から抜去するときには開閉部33が確実に閉じる程度の付勢力を有する。これにより、ボトル本体51がボトル本体保持部30に保持されないときには自動的に開閉部33を閉じることができる。付勢部36は、S字状に形成されたゴムや、コイルバネなどによって構成されてもよい。
【0048】
洗浄経路38及びスリット58は、ボトル本体洗浄用射出部39から射出されたすすぎ水を菊割れゴム31及び開閉部33の上面に導いて菊割れゴム31及び開閉部33の上面をクリーニングするために設けられる。ボトル本体51がボトル本体挿入口32から挿入されたときに、菊割れゴム31や開閉部33の上面にボトル本体51の内容物が付着する場合がある。また、菊割れゴム31や開閉部33の上面にボトル本体51の飲み口が直接接触するので、不衛生であると使用者が感じる場合がある。ボトル本体51を洗浄するとき、又は洗浄した後に、洗浄経路38及びスリット58を介してすすぎ水を菊割れゴム31及び開閉部33の上面に射出し、菊割れゴム31及び開閉部33の上面をクリーニングすることにより、衛生性を向上させることができる。また、使用者の不安感や不快感を低減させることができる。洗浄経路38は、ボトル本体保持部30の内径かつボトル本体挿入口の外径に設けられる。洗浄経路38は、ボトル本体保持部30に設けられた溝によって構成されてもよい。スリット58は、ボトル本体挿入口の天面内側と菊割れゴム31との間に設けられる。スリット58は、菊割れゴム31の1片に対して1穴ずつ設けられる。スリット58の形状、サイズ、数、設置位置などは、適宜変更されてもよい。
【0049】
開閉部33の上面視中央付近に、開閉部33の上面に存在する洗浄水を開閉部33の下方に落下させるための排水孔34が設けられる。開閉部33の上面は、排水孔34が設けられた位置が低くなるように傾斜している。これにより、菊割れゴム31及び開閉部33の上面のクリーニングに使用されたすすぎ水を洗浄用貯留タンク21に回収し、菊割れゴム31及び開閉部33を乾燥させることができるので、衛生性をさらに向上させることができる。排水孔34は、開閉部33を構成する2つの部材が接触する辺の中央付近に設けられた切欠きによって構成されてもよい。これにより、製造コストを抑えることができる。排水孔34は、菊割れゴム31及び開閉部33の上面をクリーニングする間だけ開かれ、それ以外のときには閉じられるように構成されてもよい。開閉部33を開閉するための駆動部が設けられ、菊割れゴム31及び開閉部33の上面をクリーニングの終了後に開閉部33を開いて菊割れゴム31及び開閉部33の上面のすすぎ水を洗浄用貯留タンク21に落下させてもよい。この場合、排水孔34は設けられなくてもよい。
【0050】
庫内灯11は、開閉部33が洗浄される際に開閉部33を照明するための照明部として機能する。操作パネル3は、開閉部33が洗浄される旨を報知するための報知部として機能する。制御装置は、開閉部33を洗浄する際に、庫内灯11を点灯させるとともに、開閉部33が洗浄される旨を操作パネル3に表示する。これにより、使用者は、菊割れゴム31及び開閉部33が洗浄されたことを目視で確認することができるので、洗浄機1が複数の使用者により共用されるような場合であっても、使用者の不安感や不快感を低減させることができる。
【0051】
図14は、クリーニング工程におけるすすぎ水の流れを示す。ボトル本体洗浄用射出部39から上に向かって射出されたすすぎ水は、開閉部33とボトル本体保持部30の間の空隙から洗浄経路38を経由してボトル本体保持部30内の天面に到達すると、複数のスリット58へと導かれる。スリット58を通過したすすぎ水は、菊割れゴム31の上面に流れる。菊割れゴム31の中央の開口部に集まったすすぎ水は、開閉部33に流れ落ち、排水孔34から落下して洗浄用貯留タンク21に回収される。これにより、菊割れゴム31や開閉部33より下方に設けられたボトル本体洗浄用射出部39から上に向かって射出されたすすぎ水を菊割れゴム31や開閉部33に行き渡らせてクリーニングすることができる。
【0052】
ボトル本体51がボトル本体保持部30に保持されているとき、回動した開閉部33が洗浄経路38の一部を覆っているため、開閉部33によって覆われている洗浄経路38の部分では洗浄水やすすぎ水が洗浄経路38に入ることが妨げられているが、開閉部33によって覆われていない洗浄経路38の部分は洗浄水やすすぎ水が通過可能であるので、菊割れゴム31や開閉部33はボトル本体51の洗浄及びすすぎの際にもクリーニングされる。
【0053】
ボトル本体51がボトル本体保持部30に保持されているときに、回動した開閉部33によって洗浄経路38のほぼ全てが覆われるように構成される場合や、ボトル本体51の洗浄及びすすぎの際には洗浄経路38に洗浄水やすすぎ水が到達しないような水量、水圧で洗浄水やすすぎ水がボトル本体洗浄用射出部39から射出される場合などには、ボトル本体51の洗浄及びすすぎの際には菊割れゴム31や開閉部33がクリーニングされない。この場合は、ボトル本体51がボトル本体保持部30に保持されていないときに、クリーニング工程を実行して菊割れゴム31や開閉部33をクリーニングしてもよい。
【0054】
[1-1-4.蓋洗浄部]
図15は、蓋洗浄部6を右側から見た斜視図である。
図16は、蓋洗浄部6を左側から見た斜視図である。
図17は、蓋洗浄部6の内部の斜視図である。蓋洗浄部6は、蓋収納部40、蓋載置部41、蓋洗浄用射出部42、蓋扉43、蓋扉回転軸44、蓋扉開閉スイッチ45、蓋収納部換気口46を備える。
【0055】
蓋収納部40は、蓋52を収納する。蓋収納部40は、洗浄対象となる様々な種類の蓋52を収納可能な容積及び形状を有する。蓋収納部40は、正面から見て奥側壁面の一角に設けられ、円弧のドーム型に構成される。蓋収納部40の天面は、水平で平らな面を有する。
【0056】
蓋扉43は、蓋収納部40から蓋52を出し入れするための開口部を開閉する。蓋扉43は、ドーム形状の側面に沿って設けられ、外向きに突出した取っ手(つまみ)を水平方向にスライドさせることで、蓋扉回転軸44を中心軸として開閉される。蓋扉43が閉じられたとき、蓋扉43は、蓋52を洗浄するための洗浄水が蓋収納部40の外部に漏れないようにシールする。蓋収納部40及び蓋扉43のうち少なくとも一方は、透明又は半透明な部材で構成されてもよい。これにより、使用者が洗浄されている蓋52を視認することができるので、信頼性を担保することができる。
【0057】
蓋扉開閉スイッチ45は、蓋扉43の開閉を検知する。制御装置は、蓋扉開閉スイッチ45により蓋扉43が開いていることが検知された場合は、蓋収納部40の内部に洗浄水を射出しない。これにより、洗浄水が蓋収納部40の外部に漏れるのを防ぐことができる。
【0058】
蓋載置部41は、蓋52を載置するために設けられる。蓋載置部41は、円筒状の蓋52を載置するために、円筒の側面に沿った曲面の形状を有する。蓋載置部41は、曲面形状の上段と下段との2段構成になっており、上段で一度えぐれるように下に凸に湾曲し、上段と下段との間で外側に凸のくびれを持たせ、下段でもえぐれるように下に凸に湾曲している。このように、すべり台形状の載置台を蓋載置部41として設けることで、円筒形状のスクリュー式の蓋52も、開いた状態で8の字形状となるワンタッチ式の蓋52も、安定して支持できるように構成されている。蓋載置部41は、蓋洗浄用左側射出口42a又は蓋洗浄用右側射出口42bから射出された洗浄水がかかる位置に蓋52が載置されるように構成される。蓋収納部40は、蓋洗浄用左側射出口42a又は蓋洗浄用右側射出口42bから射出された洗浄水がかからない位置には蓋52を載置できないような構造を有してもよい。
【0059】
蓋洗浄用射出部42は、蓋洗浄用左側射出口42a及び蓋洗浄用右側射出口42bを含む。蓋洗浄用左側射出口42aは、蓋収納部40の左側の側面に設けられ、洗浄用ポンプ27によって供給される洗浄水、及びすすぎ用ポンプ25によって供給されるすすぎ水を蓋52に向けて射出する。蓋洗浄用右側射出口42bは、蓋収納部40の右側の側面に設けられ、洗浄用ポンプ27によって供給される洗浄水、及びすすぎ用ポンプ25によって供給されるすすぎ水を蓋52に向けて射出する。蓋洗浄用左側射出口42aと蓋洗浄用右側射出口42bは、蓋52を挟んで対向する位置に設けられ、蓋52に左右から略水平方向に洗浄水及びすすぎ水を射出する。蓋収納部40の両側面から洗浄水を射出するので、蓋52の形状によらず蓋52を適切に洗浄することができる。また、蓋52を載置する向きによらず蓋52を適切に洗浄することができる。
【0060】
蓋洗浄用左側射出口42aから射出される洗浄水及びすすぎ水が蓋52に与える力と蓋洗浄用右側射出口42bから射出される洗浄水及びすすぎ水が蓋52に与える力が概ね釣り合うように、洗浄水及びすすぎ水の水圧、水量、蓋洗浄用左側射出口42a及び蓋洗浄用右側射出口42bの位置、数、径、射出方向などが調整される。これにより、蓋52を洗浄しているとき及びすすいでいるときに蓋52を安定に保持することができるので、蓋52の洗浄効率を向上させることができる。
【0061】
蓋洗浄用左側射出口42a及び蓋洗浄用右側射出口42bは、それぞれ、蓋載置部41の載置台の上段の近傍に設けられた1つの上段射出口と、蓋載置部41の載置台の下段の近傍に設けられた5つの下段射出口を含む。下段射出口から射出される洗浄水やすすぎ水の量は、上段射出口から射出される洗浄水やすすぎ水の量よりも多い。下段射出口から射出される洗浄水やすすぎ水の圧力は、上段射出口から射出される洗浄水やすすぎ水の圧力よりも高くてもよい。蓋載置部41の載置台はすべり台形状を有しているので、スクリュー式の蓋52を洗浄する場合、通常、使用者は蓋52を載置台の下段に載置する。仮に使用者が載置台の上段に蓋52を載置しても、蓋52がすべり台形状を転がり落ちて下段に載置される。これにより、射出口のより多い下段に蓋52を載置させることができるので、蓋52の洗浄効率を向上させることができる。ワンタッチ式の蓋52を洗浄する場合、重量が軽い方の蓋上部53を載置台の下段に、重量が重い方の蓋下部54を載置台の上段に載置すると、蓋52が載置台から滑り落ちやすいが、蓋下部54を載置台の下段に、蓋上部53を載置台の上段に載置すると、蓋52を安定して載置させることができる。これにより、飲み口があって特に洗浄を要する蓋下部54を射出口のより多い下段に載置させることができるので、蓋52の洗浄効率を向上させることができる。
【0062】
蓋収納部40の底面には、貫通孔が設けられる。蓋洗浄用左側射出口42a及び蓋洗浄用右側射出口42bから射出された洗浄水及びすすぎ水は、貫通孔を通過して、蓋収納部40の下方に設けられた洗浄用貯留タンク21に回収される。
【0063】
蓋収納部換気口46は、蓋収納部40の内気を外気と換気するために設けられる。蓋収納部換気口46は、蓋収納部40又は蓋扉43の上部に設けられる。これにより、蓋収納部40の内部の暖かい水蒸気を効率良く換気することができる。蓋洗浄用左側射出口42a及び蓋洗浄用右側射出口42bから洗浄水が略水平方向に射出されるので、蓋収納部40又は蓋扉43の上部に設けられた蓋収納部換気口46から洗浄水が漏れるのを抑えることができる。蓋収納部換気口46は、蓋洗浄用左側射出口42a及び蓋洗浄用右側射出口42bから射出された洗浄水がかからない任意の位置に設けられてもよい。
【0064】
本実施の形態の洗浄機1は、蓋収納部40に蓋52を収納して洗浄するので、蓋の形状によらず、様々な種類の蓋52を洗浄することができる。また、ボトル本体51の飲み口と接触する蓋52の部分が洗浄機1に接触しないようにすることができるので、衛生性を向上させることができる。
【0065】
[1-1-5.排水タンク]
図18は、洗浄機1における排水に関わる構成を示す断面図である。
【0066】
洗浄用貯留タンク21は、ボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6の下方に設けられており、ボトル本体洗浄部5において使用された洗浄水及びすすぎ水と、蓋洗浄部6において使用された洗浄水及びすすぎ水を回収して貯留する。洗浄用貯留タンク21に貯留された液体は、洗浄水として使用される。
【0067】
洗浄用貯留タンク21の上端付近にオーバーフロー排水口48が設けられる。排水用タンク19が洗浄用貯留タンク21の下方に設けられるので、洗浄用貯留タンク21の水位がオーバーフロー排水口48の位置まで到達すると、オーバーフローした洗浄水がオーバーフロー排水口48を介して排水用タンク19に排出される。洗浄工程においてボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給された洗浄水は、洗浄用貯留タンク21に回収されて再利用されるが、すすぎ工程においてボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給された汚染の少ないすすぎ水が洗浄用貯留タンク21に注ぎ足されるとともに、それによってオーバーフローした分が排水用タンク19に排出されるので、洗浄水の汚染の蓄積が抑えられる。これにより、洗浄効率を向上させることができる。
【0068】
飲み残し投入口22から投入された飲み残しの飲料は、飲み残し投入口22の下方に設けられた飲み残し排水口47から排水用タンク19に排出される。
【0069】
洗浄機本体2の内気を外気と換気するための換気ダクト23の内部で結露した水は、結露水回収ホース63を介して排水用タンク19に排出される。
【0070】
制御装置は、排水用タンク水位センサ(図示なし)により検知された排水の水位が所定値を超えたときに、排水ポンプ18を作動させて、排水用タンク19に貯留された排水を排水ホース17から外部に排出する。
【0071】
このように、本実施の形態の洗浄機1は、飲み残し投入口22から投入される飲み残しの飲料と、洗浄用貯留タンク21からオーバーフローした洗浄水と、結露水回収ホース63により回収された結露水とを排水用タンク19に貯留し、排水用タンク19に貯留された排水を自動的に外部に排出する。洗浄機1の管理者は、飲み残しの飲料や洗浄機1によって生じた排水を定期的に廃棄する必要が無いので、管理者の利便性を向上させることができる。また、飲み残しの飲料と洗浄機1によって生じた排水とを同時に排出することができるので、メンテナンス性を向上させることができる。
【0072】
排水用タンク19の容量は、1回のボトル50の洗浄によって生じる排水の量よりも多くなるように設計される。1回のボトル50の洗浄によって生じうる排水の量は、ボトル本体51の容量と、すすぎ工程において使用されるすすぎ水の量に基づいて算出されてもよい。
【0073】
[1-1-6.乾燥用振動機]
図19、
図20、及び
図21は、洗浄機1における乾燥に関わる構成を示す。洗浄機1は、乾燥用振動機20、庫内板60、及び振動板61を備える。
【0074】
乾燥用振動機20は、乾燥工程において、ボトル本体51及び蓋52を振動させてボトル本体51及び蓋52に付着した水滴を振り落とす。
【0075】
乾燥用振動機20は、洗浄室4の底面を構成する庫内板60を振動させるのではなく、庫内板60の下方に設けられた振動板61を振動させる。振動板61は、庫内板60とは分離されている。振動板61は、ボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6の下方にわたって設けられる。振動板61は、ボトル本体保持部30の下方において、ボトル本体洗浄用射出部39が洗浄水及びすすぎ水をボトル本体51に射出するための開口を有する。
【0076】
ボトル本体51は、ボトル本体保持部30及び支持部37を介して振動される。ボトル本体保持部30及び支持部37は、振動板61と共に振動するように構成される。ボトル本体保持部30及び支持部37のうち少なくとも一方は、すきまばめ又は中間ばめで振動板61に嵌合されてもよい。これにより、ボトル本体保持部30の共振を促進することができるので、乾燥効率を向上させることができる。
【0077】
蓋52は、蓋収納部40を介して振動される。蓋収納部40は、振動板61と共に振動するように構成される。蓋収納部40は、すきまばめ又は中間ばめで振動板61に嵌合されてもよい。これにより、蓋収納部40の共振を促進することができるので、乾燥効率を向上させることができる。蓋収納部40の底面は、振動板61によって構成されてもよい。この場合、蓋52は、振動板61に接触し、振動板61によって振動される。
【0078】
ボトル本体保持部30、支持部37、蓋収納部40のうち少なくとも1つは、振動板61の固有振動数と同じ固有振動数を有してもよい。これにより、共振を促進することができるので、乾燥効率を向上させることができる。
【0079】
本実施の形態の洗浄機1によれば、ボトル本体51を保持するボトル本体保持部30と、蓋52を保持する蓋収納部40の双方を1つの乾燥用振動機20で振動させるので、ボトル本体51と蓋52を同時に乾燥させることができる。また、構成を簡略化することができるので、洗浄機1の製造コストを抑えることができる。また、ボトル本体51をボトル本体保持部30に、蓋52を蓋収納部40に、それぞれ保持させた状態でボトル本体51と蓋52を振動させるので、ボトル本体51及び蓋52が振動中に転倒したり移動したりするのを抑え、安全性を向上させることができる。
【0080】
[1-2.動作]
以上のように構成された洗浄機1について、以下その動作、作用を説明する。
【0081】
洗浄機1の電源がオンになると、制御装置は、洗浄用加熱ヒータ16を作動させ、洗浄水を約60℃に加熱するとともに、すすぎ用加熱ヒータ15を作動させ、すすぎ水を約80℃に加熱する。
【0082】
使用者は、ボトル50の蓋52を外し、ボトル本体51内に残っている飲料を飲み残し投入口22に捨てる。使用者は、大扉7を開いて、ボトル本体51をボトル本体保持部30にセットする。使用者は、蓋扉を開いて、蓋52を蓋洗浄部6にセットする。使用者は、蓋扉を閉じ、大扉7を閉じる。使用者は、操作パネル3を介して、洗浄運転の実行を洗浄機1に指示する。使用者は、必要に応じて、操作パネル3を介して、クリーニング工程の実行を洗浄機1に指示することもできる。
【0083】
制御装置は、ボトル本体センサ10によりボトル本体51がボトル本体保持部30にセットされていることが検知され、かつ、大扉開閉スイッチ8及び蓋扉開閉スイッチ45によって大扉7及び蓋扉43が閉じていることが検知された場合、洗浄運転を実行する。制御装置は、洗浄工程において、自動洗剤投入機13を作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水に洗剤を投入する。制御装置は、洗浄用ポンプ27を所定時間作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52を洗浄する。洗浄工程が終了すると、制御装置は、すすぎ工程において、すすぎ用ポンプ25を所定時間作動させ、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52をすすぐ。上述したように、洗浄工程及びすすぎ工程において、洗浄経路38を介して菊割れゴム31や開閉部33がクリーニングされてもよいし、クリーニングされなくてもよい。すすぎ工程が終了すると、制御装置は、乾燥工程において、乾燥用振動機20を所定時間作動させ、ボトル本体51及び蓋52を振動させてボトル本体51及び蓋52に付着した水滴を振り落とす。乾燥工程が終了すると、制御装置は、洗浄運転が終了した旨を操作パネル3により使用者に報知する。
【0084】
使用者は、大扉7を開いて、ボトル本体51をボトル本体保持部30から抜去する。使用者は、蓋扉43を開いて、蓋52を蓋洗浄部6から取り出す。使用者は、蓋扉43を閉じ、大扉7を閉じる。
【0085】
制御装置は、クリーニング工程において、すすぎ用ポンプ25を所定時間作動させ、菊割れゴム31及び開閉部33の上面をクリーニングする。また、蓋洗浄用左側射出口42a及び蓋洗浄用右側射出口42bからすすぎ水を射出して、蓋載置部41の載置台の上段及び下段をクリーニングする。制御装置は、開閉部33などをクリーニングする際に、庫内灯11を点灯させるとともに、開閉部33などがクリーニングされる旨を操作パネル3に表示する。クリーニング工程が終了すると、制御装置は、次の洗浄運転の実行指示を待機する。なお、クリーニング工程は実行されなくてもよい。洗浄運転の終了後にクリーニング工程を実行するか否かを使用者が選択できるようにしてもよい。また、クリーニング工程は、洗浄運転の開始前に実行されてもよい。洗浄運転の開始前にクリーニング工程を実行するか否かを使用者が選択できるようにしてもよい。
【0086】
洗浄運転は、次のパターンのいずれかで実行されてもよい。使用者の指示、ボトル50の内容物の種類や量、洗浄運転の回数や頻度などに応じて、洗浄運転のパターンが決定されてもよい。
(1)洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングなし)-乾燥工程
(2)洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングあり)-乾燥工程
(3)洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングなし)-乾燥工程-クリーニング工程
(4)洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングあり)-乾燥工程-クリーニング工程
(5)クリーニング工程-洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングなし)-乾燥工程
(6)クリーニング工程-洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングあり)-乾燥工程
(7)クリーニング工程-洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングなし)-乾燥工程-クリーニング工程
(8)クリーニング工程-洗浄工程・すすぎ工程(クリーニングあり)-乾燥工程-クリーニング工程
【0087】
図22は、洗浄工程における水の流れを示す。洗浄工程において、制御装置は、洗浄経路電磁弁28を開くとともに、すすぎ経路電磁弁26を閉じる。制御装置は、自動洗剤投入機13を作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水に洗剤を投入する。制御装置は、洗浄用ポンプ27を作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水をボトル本体洗浄用射出部39及び蓋洗浄用射出部42から射出させ、ボトル本体51及び蓋52を洗浄する。ボトル本体51及び蓋52の洗浄に使用された洗浄水は、洗浄用貯留タンク21に回収され、循環される。
【0088】
図23は、すすぎ工程における水の流れを示す。すすぎ工程において、制御装置は、すすぎ経路電磁弁26を開くとともに、洗浄経路電磁弁28を閉じる。制御装置は、すすぎ用ポンプ25を作動させ、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄用射出部39及び蓋洗浄用射出部42から射出させ、ボトル本体51及び蓋52をすすぐ。ボトル本体51及び蓋52のすすぎに使用されたすすぎ水は、洗浄用貯留タンク21に回収される。洗浄用貯留タンク21からオーバーフローした洗浄水は、オーバーフロー排水口48を介して排水用タンク19に排出される。すすぎ用貯留タンク24の水位が所定の下限値を下回った場合、制御装置は、給水電磁弁59を開いて上水道からすすぎ用貯留タンク24に上水を供給する。
【0089】
クリーニング工程において、制御装置は、すすぎ経路電磁弁26を開くとともに、洗浄経路電磁弁28を閉じる。制御装置は、すすぎ用ポンプ25を作動させ、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄用射出部39及び蓋洗浄用射出部42から射出させ、菊割れゴム31、開閉部33、蓋載置部41をクリーニングする。クリーニングに使用されたすすぎ水は、洗浄用貯留タンク21に回収される。洗浄用貯留タンク21からオーバーフローした洗浄水は、オーバーフロー排水口48を介して排水用タンク19に排出される。すすぎ用貯留タンク24の水位が所定の下限値を下回った場合、制御装置は、給水電磁弁59を開いて上水道からすすぎ用貯留タンク24に上水を供給する。なお、クリーニング工程における水の流れは、すすぎ工程における水の流れを示す
図23と同じ図で示される。
【0090】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、洗浄機1は、ボトル本体51を洗浄するためのボトル本体洗浄部5と、蓋52を洗浄するための蓋洗浄部6と、ボトル本体51及び蓋52を乾燥させる際に、ボトル本体51を保持するボトル本体保持部30と蓋52を保持する蓋収納部40とを振動させるための乾燥用振動機20と、を備える。これにより、ボトル本体51及び蓋52が振動中に転倒したり移動したりするのを抑え、安全性を向上させることができる。
【0091】
また、本実施の形態において、1つの乾燥用振動機20によってボトル本体保持部30と蓋収納部40の双方を振動させる。これにより、ボトル本体51と蓋52を同時に乾燥させることができる。また、構成を簡略化することができるので、洗浄機1の製造コストを抑えることができる。
【0092】
また、本実施の形態において、乾燥用振動機20は、ボトル本体保持部30及び蓋収納部40を共振させるための振動板61を振動させる。これにより、ボトル本体51と蓋52を同時に乾燥させることができる。また、構成を簡略化することができるので、洗浄機1の製造コストを抑えることができる。
【0093】
また、本実施の形態において、振動板61は、ボトル本体保持部30と蓋収納部40の下方にわたって設けられる。これにより、ボトル本体51と蓋52を同時に乾燥させることができる。また、構成を簡略化することができるので、洗浄機1の製造コストを抑えることができる。
【0094】
また、本実施の形態において、ボトル本体保持部30及び蓋収納部40のうち少なくとも一方は、振動板61にすきまばめ又は中間ばめで嵌合される。これにより、ボトル本体保持部30又は蓋収納部40の共振を促進することができるので、乾燥効率を向上させることができる。
【0095】
また、本実施の形態において、ボトル本体保持部30及び蓋収納部40のうち少なくとも一方は、振動板61の固有振動数と同じ固有振動数を有する。これにより、ボトル本体保持部30又は蓋収納部40の共振を促進することができるので、乾燥効率を向上させることができる。
【0096】
(実施の形態2)
以下、
図24~28を用いて、実施の形態2を説明する。実施の形態2に係る洗浄機は、主に飲料用のボトルの本体及び蓋を洗浄するためのものである。なお、実施の形態1と同様の構成に関しては説明を省略する。
【0097】
[2-1.構成]
実施の形態2において、洗浄機1は、実施の形態1におけるすすぎ用ポンプ25及び洗浄用ポンプ27に代えて、共用ポンプ70を備える。
【0098】
図24は、洗浄機本体2の左右の側面板を取り外した洗浄機1を左側後方から見た斜視図である。洗浄機1は、共用ポンプ70、すすぎ経路電磁弁76、洗浄経路電磁弁78、及び水抜き用電磁弁29を備える。
【0099】
共用ポンプ70は、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52を洗浄するために、制御装置により作動される。洗浄工程において、制御装置は、洗浄経路電磁弁78を開くとともに、すすぎ経路電磁弁76を閉じる。制御装置は、共用ポンプ70を作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52を洗浄する。洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水は、洗浄用加熱ヒータ16により約60℃に加熱される。これにより、牛乳などに含まれるタンパク質が熱変性により固着するのを抑えつつ、洗浄効率を向上させることができる。ボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給された洗浄水は、洗浄用貯留タンク21に回収され、循環される。制御装置は、洗浄機1を移動させる場合や洗浄機1をメンテナンスする場合などに、水抜き用電磁弁29を開いて、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水を排水用タンク19に排出する。
【0100】
共用ポンプ70は、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52をすすぐために、制御装置により作動される。すすぎ工程において、制御装置は、すすぎ経路電磁弁76を開くとともに、洗浄経路電磁弁78を閉じる。制御装置は、共用ポンプ70を作動させ、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給してボトル本体51及び蓋52をすすぐ。すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水は、すすぎ用加熱ヒータ15により約80℃に加熱される。これにより、すすぎ効率を向上させることができるとともに、乾燥効率を向上させることができる。また、ボトル本体51及び蓋52を除菌することができる。ボトル本体洗浄部5及び蓋洗浄部6に供給されたすすぎ水は、洗浄用貯留タンク21に回収される。
【0101】
図25は、共用ポンプ70を使用する場合の洗浄工程における水の流れを示す。洗浄工程において、制御装置は、洗浄経路電磁弁78を開くとともに、すすぎ経路電磁弁76を閉じる。制御装置は、自動洗剤投入機13を作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水に洗剤を投入する。制御装置は、共用ポンプ70を作動させ、洗浄用貯留タンク21に貯留された洗浄水をボトル本体洗浄用射出部39及び蓋洗浄用射出部42から射出させ、ボトル本体51及び蓋52を洗浄する。ボトル本体51及び蓋52の洗浄に使用された洗浄水は、洗浄用貯留タンク21に回収され、循環される。
【0102】
図26は、共用ポンプ70を使用する場合のすすぎ工程における水の流れを示す。すすぎ工程において、制御装置は、すすぎ経路電磁弁76を開くとともに、洗浄経路電磁弁78を閉じる。制御装置は、共用ポンプ70を作動させ、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄用射出部39及び蓋洗浄用射出部42から射出させ、ボトル本体51及び蓋52をすすぐ。ボトル本体51及び蓋52のすすぎに使用されたすすぎ水は、洗浄用貯留タンク21に回収される。洗浄用貯留タンク21からオーバーフローした洗浄水は、オーバーフロー排水口48を介して排水用タンク19に排出される。すすぎ用貯留タンク24の水位が所定の下限値を下回った場合、制御装置は、給水電磁弁59を開いて上水道からすすぎ用貯留タンク24に上水を供給する。
【0103】
クリーニング工程において、制御装置は、すすぎ経路電磁弁76を開くとともに、洗浄経路電磁弁78を閉じる。制御装置は、共用ポンプ70を作動させ、すすぎ用貯留タンク24に貯留されたすすぎ水をボトル本体洗浄用射出部39及び蓋洗浄用射出部42から射出させ、菊割れゴム31、開閉部33、蓋載置部41をクリーニングする。クリーニングに使用されたすすぎ水は、洗浄用貯留タンク21に回収される。洗浄用貯留タンク21からオーバーフローした洗浄水は、オーバーフロー排水口48を介して排水用タンク19に排出される。すすぎ用貯留タンク24の水位が所定の下限値を下回った場合、制御装置は、給水電磁弁59を開いて上水道からすすぎ用貯留タンク24に上水を供給する。なお、クリーニング工程における水の流れは、すすぎ工程における水の流れを示す
図26と同じ図で示される。
【0104】
ここで、すすぎ用貯留タンク24は、洗浄用貯留タンク21より上方に設けられ、ボトル本体51及び蓋52をすすぐためのすすぎ水を貯留する。すすぎ経路電磁弁76は、すすぎ用貯留タンク24と洗浄用貯留タンク21との位置関係に対応して、洗浄経路電磁弁78よりも上方に設けられているため、共用ポンプと洗浄経路電磁弁78との間の経路に洗浄水が残っていたとしても、洗浄水がすすぎ経路電磁弁76を超えて上方へと逆流するのを防ぐことができる。
【0105】
なお、すすぎ工程において、制御装置は、すすぎ経路電磁弁76を開くとともに、洗浄経路電磁弁78を閉じる。ここでも、すすぎ用貯留タンク24は洗浄用貯留タンク21及び洗浄経路電磁弁78よりも上方に設けられているため、すすぎ経路電磁弁76を開き、すすぎ用ポンプ25を作動させたとしても、すすぎ用貯留タンク24からのすすぎ水は、重力と水圧により共用ポンプ70へと勢いよく供給される。これにより、共用ポンプ70と洗浄経路電磁弁78との間の経路に洗浄水が残っていたとしても、洗浄水がすすぎ経路電磁弁76を超えて上方へと逆流するのを防ぐことができる。
【0106】
したがって、洗浄工程及びすすぎ工程にて水を供給する際、共用ポンプ70により洗浄機1を構成したとしても、すすぎ用貯留タンク24を洗浄用貯留タンク21より上方に設けることで、すすぎ水よりも濁度の高い洗浄水がすすぎ用貯留タンク24へと逆流、混入するのを防ぐことができる。また、これにより、すすぎ工程ですすぎ水よりも濁度の高い水を誤って使ってしまうといった事態を避けることができる。
【0107】
また、すすぎ用ポンプ25及び洗浄用ポンプ27に代えて共用ポンプ70を用いることで、庫内スペース又はタンクのスペースを広くとることができ、ポンプ、電磁弁及びタンクとの間の経路も簡略化することができる。
【0108】
また、すすぎ経路電磁弁76は、洗浄用貯留タンク21の上端付近に設けられるオーバーフロー排水口48よりも高い位置に設けられていてもよい。洗浄用貯留タンク21の水位はオーバーフロー排水口48の位置以下に維持されているので、この構成により、すすぎ水よりも濁度の高い洗浄水がすすぎ用貯留タンク24に混入してくることをより確実に防ぐことができる。
【0109】
例えば、すすぎ用貯留タンク24に貯留されているすすぎ水が一度空になったとしても、すすぎ経路電磁弁76と共用ポンプ70との間の経路において、すすぎ経路電磁弁76の直下には、オーバーフロー排水口48の高さまでの空気の層が形成される。よって、その後、すすぎ経路電磁弁76を開いたとしても、空気の層がすすぎ水と洗浄水が交わることを防ぐことにより、すすぎ水よりも濁度の高い洗浄水がすすぎ用貯留タンク24に混入することをより確実に防ぐことができる。
【0110】
なお、上記の例では、すすぎ経路電磁弁76と洗浄経路電磁弁78とを別の電磁弁として説明した。しかしながら、共用ポンプ70と洗浄用貯留タンク21とすすぎ用貯留タンク24との経路を選択して制御可能な三方弁77を1つ用いることにより簡易な構成としてもよい。すすぎ経路電磁弁76と洗浄経路電磁弁78とに代えて三方弁77を用いた場合には、電磁弁の配置及び経路を簡易化し、庫内スペース又はタンクのスペースを広くとることができる。
【0111】
図27は、共用ポンプ70及び三方弁77を使用した場合の、洗浄工程における水の流れを示す。また、
図28は、共用ポンプ70及び三方弁77を使用した場合の、すすぎ工程及びクリーニング工程における水の流れを示す。
【0112】
(実施の形態3)
以下、
図29~31を用いて、実施の形態3を説明する。実施の形態3に係る洗浄機は、主に飲料用のボトルの本体及び蓋を洗浄するためのものである。なお、実施の形態1又は2と同様の構成に関しては説明を省略する。
【0113】
[3-1.構成]
実施の形態3において、洗浄機1は、実施の形態1で説明したボトル本体洗浄部5において、ボトル本体挿入口32及び排水孔34の裏側に、排水孔カバー80を備える。
【0114】
図29は、ボトル本体51が保持されないときの、排水孔カバー80を備えたボトル本体洗浄部5の断面図である。
【0115】
ボトル本体保持部30の内側下部に設けられる開閉部33は、ボトル本体保持部30によりボトル本体51が保持されるときにはボトル本体挿入口32を開き、ボトル本体保持部30によりボトル本体51が保持されないときにはボトル本体挿入口32を閉じる。
【0116】
開閉部33は、正面視で円弧が半円形に形成された2つの半円状部材33a、及び2つの部材を支持する開閉部支持板33bを含む。それぞれの半円状部材33aは、円弧側が上面にくるように回転軸35により軸支され、回転軸35を軸中心として下方に回転することにより開かれる。これにより、ボトル本体51がボトル本体挿入口32に挿入されるときに、ボトル本体51の重量によって容易に開閉部33を開くことができる。
【0117】
開閉部33の上面視中央付近に、開閉部33の上面に存在する洗浄水を開閉部33の下方に落下させるための排水孔34が設けられる。開閉部33の上面は、排水孔34が設けられた位置が低くなるように傾斜している。これにより、菊割れゴム31及び開閉部33の上面のクリーニングに使用されたすすぎ水を洗浄用貯留タンク21に回収し、菊割れゴム31及び開閉部33を乾燥させることができるので、衛生性をさらに向上させることができる。排水孔34は、開閉部33を構成する左右の部材が接触する辺の中央付近に設けられた切欠きによって構成されてもよい。
【0118】
排水孔カバー80は、左右の開閉部支持板33bが接触するそれぞれの辺の裏側に沿うように形成され、ボトル本体51がボトル本体挿入口32に挿入されたときには、開閉部33と一緒に開口する。ボトル本体51が保持されないときには、開閉部33と一緒に閉じられる。ボトル本体挿入口32が閉じているとき、開閉部33を構成する左右の部材が接触するそれぞれの辺が合わさる隙間及び排水孔34の真下をカバーするように設けられている。
【0119】
これにより、クリーニング工程時に、ボトル本体洗浄用射出部39から射出されたすすぎ水が、排水孔34や開閉部33を構成する左右の部材が接触する辺の隙間から飛び出してくることを防ぐことができる。
【0120】
排水孔カバー80は、ボトル本体挿入口32が閉じているとき、開閉部33を構成する左右の部材が接触する辺に向かって、下向きかつ内向きに湾曲して設けられる。ボトル本体挿入口32が閉じられるとき、左右の排水孔カバー80が閉じられるとともに、排水孔カバー80と開閉部支持板33bとの間には、開閉部支持板33bの左右の縁に沿った棒状の空間ができる。この部分を、戻り水用ポケット81とする。
【0121】
図30は、排水孔34付近の断面斜視図である。
図30に示すように、排水孔カバー80は、ボトル本体挿入口32が閉じているとき、開閉部33を構成する左右の部材が接触するそれぞれの辺が合わさる隙間及び排水孔34の真下をカバーするように設けられる。戻り水用ポケット81の側面には、戻り水用ポケット81と外部とを連通する戻り水用排水孔82が設けられる。戻り水用排水孔82は、複数設けられていてもよい。
【0122】
これにより、ボトル本体挿入口32が閉じているときに、開閉部33上面にすすぎ水が集まってきた場合にも、排水孔34や開閉部33を構成する左右の部材が接触する辺の隙間に落下した戻り水は、戻り水用ポケット81へと溜められ、戻り水用排水孔82から排水され、洗浄用貯留タンク21に回収される。
【0123】
[3-2.水の流れ]
図31は、クリーニング工程におけるすすぎ水の流れを示す。ボトル本体洗浄用射出部39から上に向かって射出されたすすぎ水は、開閉部33とボトル本体保持部30の間の空隙から洗浄経路38を経由してボトル本体保持部30内の天面に到達すると、複数のスリット58へと導かれる。スリット58を通過したすすぎ水は、菊割れゴム31の上面に流れる。菊割れゴム31の中央の開口部に集まったすすぎ水は、開閉部33に流れ落ち、排水孔34から落下して、戻り水用ポケット81に溜められる。そして、戻り水用ポケット81の側面に設けられた戻り水用排水孔82から落下し、洗浄用貯留タンク21に回収される。
【0124】
これにより、すすぎ水が排水孔34の上面に溜まっている不衛生な状態を維持することなく、戻ってきた水を下へ排水することができる。
【0125】
さらに、この構成により、排水孔34や左右の開閉部33の隙間からすすぎ水が飛び出してくることを防ぐ構成と、開閉部33の上面に溜まった水を排水する構成と、を両立することができ、衛生性及び使用者の利便性を向上できる。
【0126】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0127】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0128】
実施の形態1では、飲料用の容器を洗浄する例について主に説明したが、本実施の形態の技術は、任意の用途の容器を洗浄する場合に適用可能である。
【0129】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0130】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)
容器の本体を洗浄するための本体洗浄部と、
前記容器の蓋を洗浄するための蓋洗浄部と、
前記本体及び前記蓋を乾燥させる際に、前記本体を保持する本体保持部と前記蓋を保持する蓋保持部とを振動させるための乾燥用振動機と、
を備える
洗浄機。
これにより、ボトル本体51及び蓋52が振動中に転倒したり移動したりするのを抑え、安全性を向上させることができる。
(技術2)
1つの前記乾燥用振動機によって前記本体保持部と前記蓋保持部の双方を振動させる
技術1に記載の洗浄機。
これにより、ボトル本体51と蓋52を同時に乾燥させることができる。また、構成を簡略化することができるので、洗浄機1の製造コストを抑えることができる。
(技術3)
前記乾燥用振動機は、前記本体保持部及び前記蓋保持部を共振させるための振動板を振動させる
技術1又は2に記載の洗浄機。
これにより、ボトル本体51と蓋52を同時に乾燥させることができる。また、構成を簡略化することができるので、洗浄機1の製造コストを抑えることができる。
(技術4)
前記振動板は、前記本体保持部と前記蓋保持部の下方にわたって設けられる
技術3に記載の洗浄機。
これにより、ボトル本体51と蓋52を同時に乾燥させることができる。また、構成を簡略化することができるので、洗浄機1の製造コストを抑えることができる。
(技術5)
前記本体保持部及び前記蓋保持部のうち少なくとも一方は、前記振動板にすきまばめ又は中間ばめで嵌合される
技術3又は4に記載の洗浄機。
これにより、ボトル本体保持部30又は蓋収納部40の共振を促進することができるので、乾燥効率を向上させることができる。
(技術6)
前記本体保持部及び前記蓋保持部のうち少なくとも一方は、前記振動板の固有振動数と同じ固有振動数を有する
技術3から5のいずれか1項に記載の洗浄機。
これにより、ボトル本体保持部30又は蓋収納部40の共振を促進することができるので、乾燥効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、容器を洗浄するための洗浄機に利用可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 洗浄機
2 洗浄機本体
3 操作パネル
4 洗浄室
5 ボトル本体洗浄部
6 蓋洗浄部
7 大扉
8 大扉開閉スイッチ
9 洗浄室換気口
10 ボトル本体センサ
11 庫内灯
12 庫内換気用ファン
13 自動洗剤投入機
14 自動洗剤投入機用ポンプ
15 すすぎ用加熱ヒータ
16 洗浄用加熱ヒータ
17 排水ホース
18 排水ポンプ
19 排水用タンク
20 乾燥用振動機
21 洗浄用貯留タンク
22 飲み残し投入口
23 換気ダクト
24 すすぎ用貯留タンク
25 すすぎ用ポンプ
26 すすぎ経路電磁弁
27 洗浄用ポンプ
28 洗浄経路電磁弁
29 水抜き用電磁弁
30 ボトル本体保持部
31 菊割れゴム
32 ボトル本体挿入口
33 開閉部
33a 半円状部材
33b 開閉部支持板
34 排水孔
35 回転軸
36 付勢部
37 支持部
38 洗浄経路
39 ボトル本体洗浄用射出部
40 蓋収納部
41 蓋載置部
42 蓋洗浄用射出部
42a 蓋洗浄用左側射出口
42b 蓋洗浄用右側射出口
43 蓋扉
44 蓋扉回転軸
45 蓋扉開閉スイッチ
46 蓋収納部換気口
47 飲み残し排水口
48 オーバーフロー排水口
49 経路
50 ボトル
51 ボトル本体
52 蓋
53 蓋上部
54 蓋下部
55 軸
56 係止部
57 ボタン
58 スリット
59 給水電磁弁
60 庫内板
61 振動板
63 結露水回収ホース
70 共用ポンプ
76 すすぎ経路電磁弁
77 三方弁
78 洗浄経路電磁弁
80 排水孔カバー
81 戻り水用ポケット
82 戻り水用排水孔