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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176770
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241212BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241212BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095561
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茨木 博
【テーマコード(参考)】
2H012
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CB12
2H012CC11
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB22
5C062AB32
5C062AB40
5C062AC04
5C062AC22
5C062AD02
5C062AE15
5C072AA01
5C072BA20
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA04
5C072FB25
5C072LA02
5C072LA07
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】読取画像の高品質化とJAM発生時の操作性の向上とが図られた画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置100は、載置面を含む載置台と、載置台に対して開閉可能な本体部120とを備える。本体部120は、原稿の搬送路125と、載置面上の原稿を載置台側に押圧する押圧板128と、第1位置に配置される第1状態にて搬送路125の一部を規定しかつ本体部120の下面120aの一部を構成し、第2位置に配置される第2状態にて搬送路125から遠ざかることで搬送路125の一部を露出させる可動部127と、第1状態と第2状態とを切り換える切換機構とを有する。押圧板128は、第1状態にて可動部127の下面127aを覆う。切換機構の第1状態から第2状態への切り換えに連動し、押圧板128を可動部127から離間させる方向に移動させる連動機構が、本体部120に設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止した読取部に対して原稿が移動することで原稿を画像として読み取る第1読取モードと、停止した原稿に対して前記読取部が移動することで原稿を画像として読み取る第2読取モードとに切り換え可能に構成された画像読取装置であって、
前記第1読取モードにおいて移動する原稿に対して対向することとなる対向面、および、前記第2読取モードにおいて原稿が載置されることとなる載置面を含む上面を有し、前記読取部が内部に移動可能に設けられた載置台と、
前記載置台に開閉可能に取付けられ、開状態において前記載置台の前記上面を開放させるとともに、閉状態において前記載置台の前記上面をその下面によって覆う本体部とを備え、
前記本体部は、
前記第1読取モードにおいて原稿が搬送されることで原稿が移動する搬送路と、
当該本体部の前記下面側に位置し、前記第2読取モードにおいて前記載置面上に載置された原稿を前記載置台側に向けて押圧する押圧板と、
第1位置に配置された第1状態において、その上面によって前記搬送路の一部を規定しかつその下面によって前記本体部の前記下面の一部を構成するとともに、第2位置に配置された第2状態において、前記第1位置よりも前記搬送路から遠ざかることで前記搬送路の前記一部を外部に向けて露出させる可動部と、
前記第1状態および前記第2状態を切り換える切換機構とを有し、
前記可動部は、前記第1読取モードにおいて前記第1位置に配置されるとともに、前記開状態において前記第2位置に配置可能であり、
前記押圧板は、前記第1状態において前記可動部の前記下面を覆い、
前記切換機構による前記第1状態から前記第2状態への切り換えに連動し、前記押圧板を前記可動部から相対的に離間させる方向に向けて移動させる連動機構が、前記本体部に設けられている、画像読取装置。
【請求項2】
前記連動機構が、
前記押圧板の一端を前記本体部に対して回動可能に固定する固定機構と、
前記押圧板および前記可動部を相互に接続するリンク機構とを有している、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記リンク機構が、第1端部および第2端部を有し、前記第1端部において前記押圧板の他端に接続されるとともに、前記第2端部において前記可動部に接続されたリンク部とを含んでいる、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記本体部が、前記閉状態において前記押圧板を前記載置面の法線方向において移動可能とする浮動機構をさらに有している、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記押圧板が、樹脂製である、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記読取部が読み取る原稿の画像に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部とを備えた、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、および、当該画像読取装置を備えてなる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等に代表されるような画像形成装置として、原稿が載置される載置面を有する載置台と、載置台に開閉可能に取付けられた自動原稿給紙装置(ADF:Auto Document Feeder)とを備えた画像読取装置を具備するものが普及している。この画像読取装置は、停止した読取部に対して原稿が移動することで原稿を画像として読み取る第1読取モードと、停止した原稿に対して読取部が移動することで原稿を画像として読み取る第2読取モードとに切り換え可能に構成されている。
【0003】
第2読取モードにおいて読取画像の高品質化を図るためには、原稿を載置面に対して密着させることが重要となる。原稿が載置面から浮き上がった状態で読み取りが行なわれた場合には、浮き上がり部分において画像の濃度が変化することで当該部分が影と判断され、結果として読取画像に地肌かぶりを生じさせることになるからである。
【0004】
そのため、たとえば特開2007-309968号公報(特許文献1)には、両面テープを用いることでADFの下面に着脱可能に取付けられた押圧板を有する画像読取装置が開示されている。この画像読取装置にあっては、載置面上に載置された原稿を押圧板によって載置台側に向けて押圧することにより、原稿が載置面から浮き上がることが効果的に抑制されている。
【0005】
一方で、画像読取装置においては、第1読取モードにおける原稿の搬送路においてJAMが発生した際にこれを解消可能に構成されることもまた求められる。そのため、画像読取装置にあっては、その上面によって搬送路の一部を規定しかつその下面によってADFの下面の一部を構成する可動部が、ADFに取付けられる場合がある。JAMが発生した場合には、可動部を上記搬送路の一部から遠ざけるように移動させることで上記搬送路の一部を外部に向けて露出させる。これにより、露出した部分から原稿を引き抜いたりすることでJAMを解消させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-309968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上述の如く可動部が取付けられたADFに、上記特許文献1に開示の画像読取装置が有する押圧板をさらに取付けた場合には、可動部の下面を押圧板が覆うことになる。そのため、JAMが発生した場合には、まず押圧板をADFから取り外す操作を行ない、この操作の後に可動部を移動させる操作を行なうことが必要になり、操作が煩雑になるという問題が生じ得る。
【0008】
したがって、本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、読取画像の高品質化と、JAMの発生時における操作性の向上とが図られた画像読取装置、および、これを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく画像読取装置は、停止した読取部に対して原稿が移動することで原稿を画像として読み取る第1読取モードと、停止した原稿に対して上記読取部が移動することで原稿を画像として読み取る第2読取モードとに切り換え可能に構成されたものであって、上記第1読取モードにおいて移動する原稿に対して対向することとなる対向面、および、上記第2読取モードにおいて原稿が載置されることとなる載置面を含む上面を有し、上記読取部が内部に移動可能に設けられた載置台と、上記載置台に開閉可能に取付けられ、開状態において上記載置台の上記上面を開放させるとともに、閉状態において上記載置台の上記上面をその下面によって覆う本体部とを備えている。上記本体部は、上記第1読取モードにおいて原稿が搬送されることで原稿が移動する搬送路と、当該本体部の上記下面側に位置し、上記第2読取モードにおいて上記載置面上に載置された原稿を上記載置台側に向けて押圧する押圧板と、第1位置に配置された第1状態において、その上面によって上記搬送路の一部を規定しかつその下面によって上記本体部の上記下面の一部を構成するとともに、第2位置に配置された第2状態において、上記第1位置よりも上記搬送路から遠ざかることで上記搬送路の上記一部を外部に向けて露出させる可動部と、上記第1状態および上記第2状態を切り換える切換機構とを有している。上記可動部は、上記第1読取モードにおいて上記第1位置に配置されるとともに、上記開状態において上記第2位置に配置可能である。上記押圧板は、上記第1状態において上記可動部の上記下面を覆う。上記本発明に基づく画像読取装置にあっては、上記切換機構による上記第1状態から上記第2状態への切り換えに連動し、上記押圧板を上記可動部から相対的に離間させる方向に向けて移動させる連動機構が、上記本体部に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、読取画像の高品質化と、JAMの発生時における操作性の向上とが図られた画像読取装置、および、これを備えた画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る画像読取装置の閉状態における画像形成装置の概略斜視図である。
図2】実施の形態に係る画像読取装置の開状態における画像形成装置の概略斜視図である。
図3図1に示す画像読取装置の可動部の第1状態における模式正面図である。
図4図2に示す画像読取装置の可動部の第2状態における模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、本発明が適用された画像形成装置および画像読取装置として、たとえばコピー機能、スキャン機能およびプリント機能等の複数の機能を備えた複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)およびこれが具備する画像読取装置を例示して説明を行なう。また、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施の形態)
図1および図2は、実施の形態に係る画像読取装置のそれぞれ閉状態および開状態における画像形成装置の概略斜視図である。まず、図1および図2を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置1の概略的な構成について説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、画像形成装置1は、制御部10と、画像形成部20と、給紙部30と、操作パネル40と、画像読取装置100とを備えている。制御部10、画像形成部20および給紙部30は、画像形成装置1の内部に配置されている。操作パネル40は、画像形成装置1の外面に取付けられている。画像読取装置100は、画像形成装置1の上部に位置している。
【0015】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信I/F部および画像データ記憶部を含んでいる。CPU、ROM、RAM、通信I/F部および画像データ記憶部の各々は、互いにデータ連携が可能となるように接続されている。
【0016】
CPUは、画像形成装置1全体の動作を制御する。ROMは、CPUが実行する制御プログラムを記憶する。RAMはCPUの作業用のメモリである。通信I/F部は、ネットワーク等を通じて、図示しない外部機器との間で各種の情報を送受信する。画像データ記憶部は、後述する画像読取装置100の読取部116等で読み取った画像データ等を記憶する。
【0017】
CPUが実行する制御プログラムは、単体のプログラムとしてではなく、モジュールとしての任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。その場合、本実施の形態における制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。また、制御プログラムによって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0018】
画像形成部20は、トナー像形成部と定着装置等とによって構成されている。画像形成部20は、読取部116が読み取る原稿Pの画像等に基づいて記録媒体としての用紙に画像を形成するものである。
【0019】
画像形成部20は、たとえば電子写真方式で用紙に画像を形成する。より詳細には、画像形成部20は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成することができる。
【0020】
トナー像形成部は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について設けられた感光体と、感光体からトナー像が転写(すなわち、1次転写)される中間転写ベルトと、中間転写ベルトから用紙に画像を転写(すなわち、2次転写)する転写部等とによって構成されている。
【0021】
定着装置は、加熱ローラと加圧ローラとを有している。定着装置は、加熱ローラと加圧ローラとによってトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、この用紙に加熱および加圧を行なう。これにより、定着装置は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させることで用紙に画像を形成できる。
【0022】
給紙部30は、給紙ローラ、搬送ローラおよびこれらを駆動するモータ等によって構成されている。給紙部30は、用紙を給紙カセットから給紙し、画像形成装置1の筐体の内部にて搬送する。給紙部30は、画像が形成された用紙を画像形成装置1から排紙部に排出する。操作パネル40は、各種情報を表示するとともに、各種操作を受け付けるものである。
【0023】
図3は、図1に示す画像読取装置の可動部の第1状態における模式正面図である。図4は、図2に示す画像読取装置の可動部の第2状態における模式正面図である。次に、図3および図4と、前述の図1および図2とを参照して、本実施の形態に係る画像読取装置100の構成について説明する。
【0024】
なお、図3および図4においては、画像読取装置100の内部構成の理解を容易にするため、画像読取装置100の一部を透過させて図示している。また、図3は、画像読取装置100の閉状態を示すものである。図4は、画像読取装置100の開状態を示すものである。
【0025】
さらに、以下の説明においては、図1ないし図4に示すように、画像形成装置1を正面から見た場合の左方向および右方向をそれぞれX1方向およびX2方向と称し、これらX1方向およびX2方向に合致する方向をX軸方向とも称する。また、図1および図2に示すように、画像形成装置1を正面から見た場合の前方向および後方向をそれぞれY1方向およびY2方向と称し、これらY1方向およびY2方向に合致する方向をY軸方向とも称する。
【0026】
本実施の形態に係る画像読取装置100は、停止した後述する読取部116に対して原稿Pが移動することで原稿Pを画像として読み取る第1読取モードと、停止した原稿Pに対して読取部116が移動することで原稿Pを画像として読み取る第2読取モードとに切り換え可能に構成されたものである。
【0027】
図1ないし図4に示すように、画像読取装置100は、載置台110と、載置台110に開閉可能に取付けられ本体部120とを備えている。本体部120は、いわゆるADFである。
【0028】
載置台110の上面111は、対向面111aと載置面111bとを含んでいる。対向面111aは、第1読取モードにおいて移動する原稿Pに対して対向することとなる面である。載置面111bは、第2読取モードにおいて原稿Pが載置されることとなる面である。対向面111aと載置面111bとは、たとえばプラテンガラス等によって構成されている。
【0029】
載置台110の内部には、光源部112と、イメージセンサ113と、結像レンズ114と、ミラー群115とが設けられている。
【0030】
光源部112は、原稿Pに対して光を照射する。イメージセンサ113は、原稿Pからの反射光を画像データに光電変換する。結像レンズ114は、反射光をイメージセンサ113上に結像させる。ミラー群115は、原稿Pからの反射光を順次反射させて結像レンズ114に入射させる。光源部112とミラー群115の一部とによって構成される読取部116は、X軸方向に移動可能に構成されている。
【0031】
光源部112によって原稿Pの読取位置に光が照射されると、その反射光は、ミラー群115と結像レンズ114とを介してイメージセンサ113上に結像される。イメージセンサ113は、反射光の強さに応じて画素毎に光電変換を行なうことにより、原稿Pの画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成する。
【0032】
画像読取装置100にあっては、第2読取モードにおいて、載置面111b上に載置された原稿Pに対して読取部116が移動することにより、原稿Pが画像として読み取られる。
【0033】
本体部120は、開状態(図2参照)において載置台110の上面111を開放させるとともに、閉状態(図1および図3参照)において載置台110の上面111をその下面120aによって覆うものである。
【0034】
本体部120は、原稿Pが供給される給紙口121および原稿Pが排出される排紙口122と、給紙トレイ123と、排紙トレイ124と、搬送路125と、裏面読取ユニット126とを有している。
【0035】
給紙トレイ123は、給紙口121に供給される原稿Pをセットするためのものである。給紙トレイ123は、給紙口121に隣接配置されている。排紙トレイ124は、排紙口122から排出された原稿Pを載置するためのものである。排紙トレイ124は、排紙口122よりも下方の位置に配置されている。
【0036】
搬送路125は、第1読取モードにおいて原稿Pが搬送されることで原稿Pが移動するものである。搬送路125は、給紙口121と排紙口122とを結んでいる。
【0037】
画像読取装置100にあっては、第1読取モードにおいて、載置台110の対向面111aの下方の位置にて停止した読取部116に対して原稿Pが搬送路125上を移動することにより、原稿Pが画像として読み取られる。この際、搬送路125の一部に沿うように本体部120の内部に設けられた裏面読取ユニット126が、読取部116等によって読み取られない側の原稿Pの主面を画像として読み取る。
【0038】
原稿Pは、本体部120の内部に設けられた複数のローラによって搬送路125上を搬送される。複数のローラは、モータ等の駆動部(不図示)に駆動される。
【0039】
本体部120は、さらに、その下部に取付けられた正面視略楔形状の可動部127を有している。可動部127のY軸方向の寸法は、本体部120のY軸方向の寸法よりもわずかに小さく構成されている。可動部127は、後述するように、第1読取モードにおけるJAMを解消するために用いられるものである。なお、可動部127の正面視形状は、特にこれが略楔形状に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0040】
可動部127は、X2方向側の端部に、Y軸方向に沿って延びる支軸127sを含んでいる。支軸127sは、その軸方向(すなわち、Y軸方向)の両端部が本体部120のシャーシ(不図示)によって回動可能に保持されている。これにより、可動部127は、支軸127sを回転中心として回動可能に構成されている。
【0041】
可動部127は、その上面127bの一部から突出したフック形状の係止部127b1を含んでいる。係止部127b1は、後述する第1状態において係止部127b1に対向して位置する部分の本体部120の下面120aに設けられた溝形状の被係止部120a1に係止される。なお、被係止部120a1は、特にこれが溝形状の部位によって構成されるものには限定されず、係止部127b1が被係止部120a1に係止可能に構成されていればよい。
【0042】
係止部127b1には、レバー(不図示)が取付けられている。ユーザは、このレバーを操作することにより、係止部127b1の被係止部120a1への係止およびその解除を行なうことができる。
【0043】
このように構成された可動部127は、第1読取モードにおいて第1位置に配置されるとともに、開状態において第2位置に配置可能である。
【0044】
より詳細には、第1読取モードにおいて、可動部127は、係止部127b1が被係止部120a1に係止されていることにより、第1位置に配置された第1状態となる(図3参照)。可動部127は、第1状態において、その上面127bによって搬送路125の一部を規定するとともに、その下面127aによって本体部120の下面120aの一部を構成する。
【0045】
また、可動部127は、開状態において、係止部127b1の被係止部120a1への係止が解除されることにより、第2位置に配置された第2状態となる(図4参照)。可動部127は、第2状態において、第1位置よりも搬送路125から遠ざかることで搬送路125の上記一部を外部に向けて露出させる。
【0046】
このように、係止部127b1と被係止部120a1とは、これらが係止された係止状態と、係止が解除された解除状態とに切り換えることにより、可動部127を第1状態と第2状態とに切り換える切換機構を構成している。
【0047】
本体部120は、さらに、本体部120の下面120a側に位置する薄板形状の押圧板128を有している。
【0048】
第1状態において、押圧板128のX1方向側の端部である左端部は、可動部127の下面127aを覆っている。また、第1状態において、押圧板128の左端部以外の部分は、本体部120の下面120aのうちの可動部127の下面127aによって構成される部分以外の部分の大部分を覆っている。
【0049】
押圧板128は、第2読取モードにおいて、載置面111b上に載置された原稿Pを載置台110側に向けて押圧する。これによって原稿Pの載置面111bからの浮き上がりが抑制されることにより、第2読取モードにおける読取画像の高品質化が図られる。
【0050】
押圧板128の材質は、特にこれが制限されるものではないが、樹脂材料等からなる剛体によって構成されることが好ましい。これにより、画像読取装置100の軽量化を図りつつ、軟質部材にて構成される場合に比べて、押圧板128の全面にわたってより均一な押圧力で原稿Pを押圧できる。
【0051】
押圧板128の左端部には、当該左端部から上方に向けて第1連結部128fが立設されている。第1連結部128fには、後述する第2ピン129b2が挿通される第1貫通孔128f1が設けられている。
【0052】
第1貫通孔128f1の鉛直方向の寸法は、第2ピン129b2の鉛直方向の寸法よりも大きく構成されている。これにより、第1貫通孔128f1は、後述する浮動機構を構成している。
【0053】
可動部127と第1連結部128fとは、リンク機構129によって相互に接続されている。より詳細には、リンク機構129は、第1端部および第2端部を含むリンク部129aと、第1ピン129b1と、第2ピン129b2とを有している。リンク部129aは、第1端部において第1ピン129b1を介して可動部127に接続されるとともに、第2端部において第2ピン129b2を介して第1連結部128fに接続されている。
【0054】
押圧板128のX2方向側の端部である右端部には、当該右端部から上方に向けて第2連結部128gが立設されている。第2連結部128gには、鉛直方向に沿って延びる長孔形状の第2貫通孔128g1が設けられている。押圧板128は、第2貫通孔128g1に挿通された第3ピン128bを介して本体部120に固定されている。これにより、第2連結部128gと第3ピン128bとによって構成される固定機構は、押圧板128を、第3ピン128bを回転中心として回動可能となるように本体部120に固定している。
【0055】
第2連結部128gの長孔形状の第2貫通孔128g1は、上述した第1連結部128fの第1貫通孔128f1と共に、閉状態において、押圧板128を載置面111bの法線方向(すなわち、鉛直方向)において移動可能にする浮動機構を構成している。
【0056】
これにより、本体部120に全体として反りが生じたりした場合においても、載置面111bおよびこれに載置された原稿Pに対する押圧板128の鉛直方向の相対的な位置を一定に保つことができる。そのため、第2読取モードにおける読取画像の高品質化を図ることが可能になる。
【0057】
以上において説明したように構成される可動部127および押圧板128を有する画像読取装置100において、第1読取モードにおけるJAMが発生した場合には、まず、画像読取装置100が開状態とされる(図2および図4参照)。
【0058】
次に、係止部127b1と被係止部120a1とによって構成される切換機構が、係止状態から解除状態に切り換えられる。この切り換えは、たとえば、係止部127b1に取付けられたレバーをユーザが操作することで実行される。
【0059】
これにより、支軸127sを回転中心として本体部120に対して回動可能に構成された可動部127は、その自重によって搬送路125から離間する方向(すなわち、下方向)に向けて移動する。
【0060】
図4に示すように、リンク機構129を介して可動部127に接続された押圧板128は、可動部127の移動に連動して移動する。より詳細には、押圧板128は、第3ピン128bを回転中心として本体部120に対して回動する。これにより、押圧板128の左端部が、可動部127から相対的に離間する方向に向けて移動する。
【0061】
このように可動部127と押圧板128とが移動することで可動部127が第2位置に配置された第2状態となることにより、第1状態において可動部127の上面127bによって規定される搬送路125の一部が、外部に向けて露出されることになる。この露出した部分の搬送路125から原稿Pを引き抜いたりすることにより、JAMを解消させることができる。
【0062】
このように、本実施の形態に係る画像読取装置100においては、可動部127と押圧板128とを互いに接続するリンク機構129と、第2連結部128gおよび第3ピン128bによって構成され、押圧板128を本体部120に対して回動可能に固定する固定機構とが、切換機構による可動部127の第1状態から第2状態への切り換えに連動して押圧板128を可動部127から相対的に離間させる方向に向けて移動させる連動機構を構成している。
【0063】
ここで、上述したように、第1読取モードにおけるJAMを解決するためには、第1状態において可動部127の上面127bによって規定される搬送路125の一部を外部に向けて露出させることが必要になる。その際、本実施の形態においては、本体部120が上記連動機構を有することにより、切換機構の操作を行なうことのみにより、第1状態の可動部127と、第1状態において可動部127の下面127aを覆う押圧板128とを搬送路125から離間する方向に移動させることが可能になる。その結果、JAMの発生時における操作性を大幅に向上させることができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る画像読取装置100においては、本体部120が、第2読取モードにおける原稿Pの載置面111bからの浮き上がりを抑制可能な押圧板128を有している。このように構成することにより、第2読取モードにおける読取画像の高品質化を図ることが可能になる。
【0065】
したがって、本実施の形態に係る画像読取装置100とすることにより、読取画像の高品質化と、JAMの発生時における操作性の向上とを図ることができる。
【0066】
なお、上述した本実施の形態に係る画像読取装置100においては、可動部が係止部を有し、本体部が被係止部を有する場合を例示して説明を行なったが、本体部が係止部を有し、可動部が被係止部を有していてもよい。係止部および被係止部の具体的な構成は、特にこれが上述した本実施の形態に係る画像読取装置100における構成(すなわち、フック形状の係止部と溝形状の被係止部からなる構成)に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0067】
また、上述した本実施の形態に係る画像読取装置100においては、押圧板128から第1連結部128fが立設され、当該第1連結部128fと可動部127とがリンク機構129によって互いに接続される場合を例示して説明を行なったが、必ずしも第1連結部128fが押圧板128に設けられる必要はない。たとえば、押圧板128の左端部のY軸方向端面に第2ピン129b2を受け入れ可能な溝部を設けることにより、押圧板128がリンク機構129によって可動部127に接続されてもよい。
【0068】
さらに、押圧板128を本体部120に対して回動可能に固定する固定機構の具体的な構成は、特にこれが上述した本実施の形態に係る画像読取装置100における構成(すなわち、第2連結部128gおよび第3ピン128bからなる構成)に限定されるものではなく、適宜変更可能である。たとえば、第2連結部128gが押圧板128に設けられない構成において、押圧板128の右端部に支軸を設けて、この支軸の両端部を本体部120のシャーシによって回動可能に保持してもよい。この場合には、この支軸が固定機構を構成することになる。
【0069】
また、可動部127と押圧板128とを互いに接続するリンク機構129の具体的な構成は、特にこれが上述した本実施の形態に係る画像読取装置100における構成(すなわち、リンク部129a、第1ピン129b1および第2ピン129b2からなる構成)に限定されるものではなく、適宜変更可能である。すなわち、リンク機構129は、可動部127の第1位置から第2位置への移動に伴って、可動部127を覆う部分の押圧板128を可動部127から相対的に離間する方向に向けて移動可能とする限りにおいては、リンク機構129を構成する各部の形状や材質、当該各部が設けられる位置、個数等を種々変更することができる。
【0070】
(付記)
上述した実施の形態において開示した画像読取装置および画像形成装置の特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0071】
[付記1]
停止した読取部に対して原稿が移動することで原稿を画像として読み取る第1読取モードと、停止した原稿に対して上記読取部が移動することで原稿を画像として読み取る第2読取モードとに切り換え可能に構成された画像読取装置であって、
上記第1読取モードにおいて移動する原稿に対して対向することとなる対向面、および、上記第2読取モードにおいて原稿が載置されることとなる載置面を含む上面を有し、上記読取部が内部に移動可能に設けられた載置台と、
上記載置台に開閉可能に取付けられ、開状態において上記載置台の上記上面を開放させるとともに、閉状態において上記載置台の上記上面をその下面によって覆う本体部とを備え、
上記本体部は、
上記第1読取モードにおいて原稿が搬送されることで原稿が移動する搬送路と、
当該本体部の上記下面側に位置し、上記第2読取モードにおいて上記載置面上に載置された原稿を上記載置台側に向けて押圧する押圧板と、
第1位置に配置された第1状態において、その上面によって上記搬送路の一部を規定しかつその下面によって上記本体部の上記下面の一部を構成するとともに、第2位置に配置された第2状態において、上記第1位置よりも上記搬送路から遠ざかることで上記搬送路の上記一部を外部に向けて露出させる可動部と、
上記第1状態および上記第2状態を切り換える切換機構とを有し、
上記可動部は、上記第1読取モードにおいて上記第1位置に配置されるとともに、上記開状態において上記第2位置に配置可能であり、
上記押圧板は、上記第1状態において上記可動部の上記下面を覆い、
上記切換機構による上記第1状態から上記第2状態への切り換えに連動し、上記押圧板を上記可動部から相対的に離間させる方向に向けて移動させる連動機構が、上記本体部に設けられている、画像読取装置。
【0072】
[付記2]
上記連動機構が、
上記押圧板の一端を上記本体部に対して回動可能に固定する固定機構と、
上記押圧板および上記可動部を相互に接続するリンク機構とを有している、付記1に記載の画像読取装置。
【0073】
[付記3]
上記リンク機構が、第1端部および第2端部を有し、上記第1端部において上記押圧板の他端に接続されるとともに、上記第2端部において上記可動部に接続されたリンク部とを含んでいる、付記2に記載の画像読取装置。
【0074】
[付記4]
上記本体部が、上記閉状態において上記押圧板を上記載置面の法線方向において移動可能とする浮動機構をさらに有している、付記1から3のいずれかに記載の画像読取装置。
【0075】
[付記5]
上記押圧板が、樹脂製である、付記1から4のいずれかに記載の画像読取装置。
【0076】
[付記6]
付記1から5のいずれかに記載の画像読取装置と、
上記読取部が読み取る原稿の画像に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部とを備えた、画像形成装置。
【0077】
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0078】
また、上述した本発明の実施の形態において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0079】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置、10 制御部、20 画像形成部、30 給紙部、40 操作パネル、100 画像読取装置、110 載置台、111 上面、111a 対向面、111b 載置面、112 光源部、113 イメージセンサ、114 結像レンズ、115 ミラー群、116 読取部、120 本体部、120a 下面、120a1 被係止部、121 給紙口、122 排紙口、123 給紙トレイ、124 排紙トレイ、125 搬送路、126 裏面読取ユニット、127 可動部、127a 下面、127b 上面、127b1 係止部、127s 支軸、128 押圧板、128b 第3ピン、128f 第1連結部、128f1 第1貫通孔、128g 第2連結部、128g1 第2貫通孔、129 リンク機構、129a リンク部、129b1 第1ピン、129b2 第2ピン、P 原稿。
図1
図2
図3
図4