(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176774
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】自立生活支援装置、自立生活支援システム、自立生活支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241212BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61B5/00 G
A61B5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095565
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】物井 則幸
(72)【発明者】
【氏名】村山 瞬
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】時久 航一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 大輝
(72)【発明者】
【氏名】松平 浩
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA11
4C038VA17
4C038VB03
4C038VB07
4C038VB14
4C038VC05
4C117XB02
4C117XD04
4C117XD11
4C117XD28
4C117XD30
4C117XD31
4C117XE28
4C117XE43
4C117XK09
4C117XK18
(57)【要約】
【課題】体操等の運動を実施するユーザが自身の運動機能等を維持又は向上させることを支援すること。
【解決手段】自立生活支援装置は、ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得するデータ取得部と、前記自立生活動作に関する評価に基づいて、前記ユーザの自立生活機能を分析し、前記自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成する分析部と、前記分析結果データを含む支援レポートを生成する生成部と、前記支援レポートを提供する提供部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得するデータ取得部と、
前記自立生活動作に関する評価に基づいて、前記ユーザの自立生活機能を分析し、前記自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成する分析部と、
前記分析結果データを含む支援レポートを生成する生成部と、
前記支援レポートを提供する提供部と、を備える、
自立生活支援装置。
【請求項2】
前記自立生活機能は、体躯の機能に関する運動機能及び口腔の機能に関する口腔機能を含み、
前記データ取得部は、前記ユーザの体躯動作の検出結果に基づいて生成された運動機能の評価を示す運動評価データ及び前記ユーザの発声音の検出結果に基づいて生成された口腔機能の評価を示す口腔評価データを取得し、
前記分析部は、前記分析結果データとして、
前記ユーザの運動機能の評価に基づいて、前記ユーザの運動機能の分析結果を示す運動機能分析結果データを生成し、
前記ユーザの口腔機能の評価に基づいて、前記ユーザの口腔機能の分析結果を示す口腔機能分析結果データを生成する、
請求項1に記載の自立生活支援装置。
【請求項3】
前記運動機能は、前記ユーザの姿勢維持力、バランス力、俊敏性、または足腰の筋力、のうちの少なくとも1つを含み、
前記口腔機能は、前記ユーザの唇頬力または舌力のうち少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の自立生活支援装置。
【請求項4】
前記分析部は、前記ユーザの自立生活機能の分析結果に基づいて、前記ユーザに勧める自立生活動作を決定する、
請求項1に記載の自立生活支援装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の自立生活支援装置と、
前記ユーザの自立生活動作を検出するセンサと、
前記支援レポートを前記ユーザに提供する提供装置と、備える、
自立生活支援システム。
【請求項6】
コンピュータが、
ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得し、
前記自立生活動作に関する評価に基づいて、前記ユーザの自立生活機能を分析し、前記自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成し、
前記分析結果データを含む支援レポートを生成し、
前記支援レポートを提供する、
自立生活支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、
ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得し、
前記自立生活動作に関する評価に基づいて、前記ユーザの自立生活機能を分析し、前記自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成し、
前記分析結果データを含む支援レポートを生成し、
前記支援レポートを提供する、ことを行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立生活支援装置、自立生活支援システム、自立生活支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本を含む先進国において高齢化が進んでおり、健康寿命を延伸させる取り組みの重要性が高まっている。このような背景を踏まえ、ユーザの健康寿命の長期化を図るための技術として、従来、健康寿命の評価方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この健康寿命の評価方法は、身体機能、記憶、気持ちや気分、介護予防点数、健康感、運動に対する自信、から選択した2以上の評価項目の各々に関して、同一スケールによるスコア化を実施し、その総合的評価により、健康寿命の延伸効果を評価するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の健康寿命の評価方法は、体操等の運動を構成している動作による効果を評価するものであり、ユーザに健康寿命を長期化させるための運動を継続させる動機付けとなるものではない。健康寿命の長期化を図るためには、運動を継続して行わせることが重要である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、運動の動機付けを与えることができる自立生活支援装置、自立生活支援システム、自立生活支援方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得するデータ取得部と、前記自立生活動作に関する評価に基づいて、前記ユーザの自立生活機能を分析し、前記自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成する分析部と、前記分析結果データを含む支援レポートを生成する生成部と、前記支援レポートを提供する提供部と、を備える、自立生活支援装置である。
【0008】
また、上述した自立生活支援装置において、前記自立生活機能は、体躯の機能に関する運動機能及び口腔の機能に関する口腔機能を含み、前記データ取得部は、前記ユーザの体躯動作の検出結果に基づいて生成された運動機能の評価を示す運動評価データ及び前記ユーザの発声音の検出結果に基づいて生成された口腔機能の評価を示す口腔評価データを取得し、前記分析部は、前記分析結果データとして、前記ユーザの運動機能の評価に基づいて、前記ユーザの運動機能の分析結果を示す運動機能分析結果データを生成し、前記ユーザの口腔機能の評価に基づいて、前記ユーザの口腔機能の分析結果を示す口腔機能分析結果データを生成してもよい。
【0009】
また、上述した自立生活支援装置において、前記運動機能は、前記ユーザの姿勢維持力、バランス力、俊敏性、または足腰の筋力、のうちの少なくとも1つを含み、前記口腔機能は、前記ユーザの唇頬力または舌力のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
また、上述した自立生活支援装置において、前記分析部は、前記ユーザの自立生活機能の分析結果に基づいて、前記ユーザに勧める自立生活動作を決定してもよい。
【0011】
本発明の一態様は、上記のいずれかの自立生活支援装置と、前記ユーザの自立生活動作を検出するセンサと、前記支援レポートを前記ユーザに提供する提供装置と、備える、自立生活支援システムである。
【0012】
本発明の一態様は、コンピュータが、ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得し、前記自立生活動作に関する評価に基づいて、前記ユーザの自立生活機能を分析し、前記自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成し、前記分析結果データを含む支援レポートを生成し、前記支援レポートを提供する、自立生活支援方法である。
【0013】
本発明の一態様は、コンピュータに、ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得し、前記自立生活動作に関する評価に基づいて、前記ユーザの自立生活機能を分析し、前記自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成し、前記分析結果データを含む支援レポートを生成し、前記支援レポートを提供する、ことを行わせる、プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運動の動機付けを与えることができる自立生活支援装置、自立生活支援システム、自立生活支援方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る自立生活支援システムの1構成の一例を示す図である。
【
図3】ユーザに進めるゲーム及び運動の内容の一例を示す図である。
【
図4】第1制御部40の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本人動作映像及び見本映像を含む第1表示映像F1の一例を示す図である。
【
図6】複数の体躯動作をインストラクターがそれぞれ行う状態を示す第2表示映像F2~第8表示映像F8の一例を示す図である。
【
図7】ゲーム映像を含む第9表示映像F9の一例を示す図である。
【
図8】第2制御部60の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】口腔機能向上確認試験の結果の一例を示す図である。
【
図10】運動機能向上確認試験の結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から
図8を参照しながら実施形態に係る自立生活支援装置、自立生活支援システム、自立生活支援方法、及びプログラムについて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る自立生活支援システムの1構成の一例を示す図である。実施形態の自立生活支援システム1は、例えば、本体装置10と、タブレット20と、プリンタ30とを備える。プリンタ30は、例えば、本体装置10により送信される情報を印刷する。プリンタ30は、例えば、後に説明する支援レポートをユーザに提供する。プリンタ30は、提供装置の一例である。
【0018】
本体装置10は、例えば、モーションセンサ11と、マイク12と、入力インターフェース13と、ディスプレイ14と、スピーカ15と、第1通信装置16と、第1制御部40と、第1記憶部50とを備える。タブレット20は、例えば、タッチパネル21と、光学カメラ22と、第2通信装置23と、第2制御部60と、第2記憶部70とを備える。タブレット20は、スマートフォンでもよい。
【0019】
自立生活支援システム1は、例えば、高齢者であるユーザの自立生活動作に関する機能(以下、自立生活機能)を評価したり、自立生活支援動作を進めたりして、ユーザの自立生活を支援するシステムである。自立生活支援システム1は、例えば、ユーザが体操などの運動をする際の運動の見本をユーザに示したり、ユーザの動作を検出し計測して、ユーザの自立生活機能を分析して、分析結果に基づく支援レポートを生成したりする。
【0020】
自立生活支援システム1は、例えば、ユーザが体操などの運動を行う際の動作と同じ動作を行うことでユーザの動作を計測する。自立生活支援システム1は、ユーザに体操などの運動を促すことで自立生活を支援することができるとともに、ユーザが行う体操などの運動を検出して計測することにより、ユーザの自立生活機能を評価し、ユーザに勧める運動やトレーニングゲームの情報を提供するシステムである。
【0021】
自立生活支援システム1は、例えば、複数の作動モードのいずれか、例えば、「運動ゲームモード」または「計測ゲームモード」で作動可能である。「計測ゲームモード」は、ユーザの運動機能を計測する「運動機能計測モード」及びユーザの口腔機能を計測する「口腔機能計測モード」を含む。自立生活支援システム1は、これらの作動モードで作動しているときに、ユーザの自立生活機能を分析するためのデータを取得する。
【0022】
作動モードは、例えば、本体装置10またはタブレット20に設けられたスイッチなどを操作することにより送信される作動モード指定信号に基づいて設定可能とされている。自立生活支援システム1は、自立生活支援装置100を含む。自立生活支援装置100は、例えば、第1制御部40及び第2制御部60を含んで構成される。
【0023】
本体装置10におけるモーションセンサ11は、赤外線またはレーザ光線(以下、検出光線)を照射する光源と、光源から照射した光線が反射点で反射した反射光を受光する受光部を備える。モーションセンサ11は、光源から光線を照射してから、その光線を受光部が受光するまでの時間に基づいてモーションセンサ11から反射点までの距離を算出する。
【0024】
反射点は、例えば、ユーザの体躯における検出対象とする複数の点、例えば手(腕)、足、首などの各関節に相当する点に設定される。モーションセンサ11は、モーションセンサ11から各反射点の位置までのそれぞれの距離を一定時間間隔で計測する。モーションセンサ11は、計測した各反射点までの距離に関する距離情報を生成し、生成した距離情報を第1制御部40に出力する。
【0025】
マイク12は、本体装置10の周囲の音声を集音する。本体装置10の周囲の音声には、ユーザの発声音が含まれる。マイク12は、集音した音声に関する集音情報を生成し、生成した集音情報を第1制御部40に出力する。入力インターフェース13は、ユーザが操作可能なデバイスである。
【0026】
入力インターフェース13は、例えば、タッチパネルディスプレイ、マウス、キーボードを含む。入力インターフェース13は、ユーザの入力操作に応じた入力操作情報を生成し、第1通信装置16や第1制御部40に出力する。入力操作情報には、例えば、自立生活支援システム1を起動させるための起動情報及び自立生活支援システム1を停止させるための停止情報が含まれる。
【0027】
ディスプレイ14は、第1制御部40の統括制御部41の制御に従い、種々の画像を表示する。ディスプレイ14は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ14は、タッチパネルでもよい。スピーカ15は、第1制御部40の統括制御部41の制御に従い、種々の音声を出力する。
【0028】
第1通信装置16は、例えば、第2通信装置23との間で、例えば、Wi-Fi、DSRC、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う装置である。第1通信装置16は、近距離通信(NFC;Near Field Communication)を実行する近距離通信装置でもよい。第1通信装置16は、第1制御部40により生成された情報をタブレット20に送信したり、タブレット20により送信される情報を受信したりする。
【0029】
本体装置10において、ディスプレイ14は、例えば、床に立設されたスタンドにより支持されている。モーションセンサ11及びマイク12は、例えば、共通の筐体内に収容されている。モーションセンサ11及びマイク12を収容する筐体は、ディスプレイ14に表示される画像を見ながら運動したり、計測のため動作をしたりするユーザの動作や音声を検出しやすい位置、例えば、ディスプレイ14の直下位置に配置される。
【0030】
モーションセンサ11及びマイク12を収容する筐体は、その他の位置に配置されていてもよい。モーションセンサ11及びマイク12は、筐体に収容されていなくてもよく、筐体に収容されないモーションセンサ11及びマイク12は、近接して配置されていてもよいし、離れて配置されていてもよい。
【0031】
スピーカ15は、運動などをするユーザが、出力された音声を聞きやすくなる位置、例えば、ディスプレイ14の直下や真上、真横などに配置される。スピーカ15は、モーションセンサ11やマイク12の近接した位置、例えば、モーションセンサ11及びマイク12を収容する筐体に配置されていてもよいし、モーションセンサ11やマイク12から離れた位置に配置されていてもよい。
【0032】
第1制御部40は、例えば、統括制御部41と、検出部42と、評価部43とを備える。第1制御部40は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)が第1記憶部50(メモリ、記憶回路)に記憶された本体アプリ51(プログラム)を実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0033】
ハードウェアプロセッサは、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)
LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現される。
【0034】
統括制御部41は、第1記憶部50に記憶された本体アプリ51を実行し、本体装置10の全体を統括的に制御する。統括制御部41は、例えば、作動モードに応じて本体装置10を作動させる。統括制御部41は、例えば、作動モードが「運動ゲームモード」である場合には、ユーザが行う運動の見本となる動作をインストラクターが実践する見本映像をディスプレイ14に表示させ、運動に合わせた音楽をスピーカに出力させる。明細書中における「画像」は、画像が連続して表示される「映像」に適宜置き換えてよい。
【0035】
統括制御部41は、見本映像とともに、ユーザ本人の動作を示す本人動作映像をディスプレイ14に表示させる。統括制御部41は、例えば、ユーザに設定された反射点を関節に見立て、隣り合う点(関節)同士をつなぐ直線を骨に見立てた骨組み映像で本人動作映像を表現して、ディスプレイ14に表示させる。
【0036】
統括制御部41は、例えば、骨組み映像以外の映像で本人動作映像を表示してもよい。統括制御部41は、例えば、光学カメラにより撮像した画像でユーザを表示してもよいし、アバターにより表示されてもよい。統括制御部41は、本人動作映像を表示するにあたり、複数(例えば3人が上限)のユーザがある場合には、複数のユーザの動作を同時に表示してよい。
【0037】
統括制御部41は、例えば、作動モードが「計測ゲームモード」である場合には、実行されるトレーニングゲームの内容に応じたゲーム映像やお部屋でできる運動(以下、トレーニング動作ということもある)に応じたトレーニング映像などの画像をディスプレイ14に表示させる。トレーニングゲームやトレーニング動作には複数の種類がある。
【0038】
ゲーム映像は、例えば、ユーザを模したアバターが表示されるゲームとアバターが表示されないゲームがある。アバターが表示されるゲームである場合、アバターは、ユーザの動作に合わせて動くようにしてよい。ユーザは、アバターの動きによって自身がどのように動作しているかを認識できる。ゲーム映像は、運動機能を計測するゲーム(運動機能計測ゲーム)において使用される運動機能計測ゲーム映像及び口腔機能を計測するゲーム(口腔機能計測ゲーム)において使用される口腔機能計測ゲーム映像を含む。トレーニング映像は、運動ゲームモードが実行されている間にディスプレイ14に表示される場合と同様の見本映像を含む。
【0039】
検出部42は、ユーザの自立生活動作に関する自立生活動作情報を検出する。自立生活動作とは、健康寿命を維持しながら身体動作への補助及び介助のない状態での日常生活に対応するために必要な動作をいう。ここでの身体動作は、例えば、運動機能や口腔機能による動作を含む。
【0040】
自立生活動作情報は、例えば、ユーザの体躯動作に関する体躯動作情報やユーザの発声音を含む。検出部42は、例えば、モーションセンサ11により送信された距離情報に基づいて、ユーザの体躯動作を検出する。検出部42は、マイク12により出力された集音情報に基づいて、ユーザの発声音を検出する。
【0041】
評価部43は、検出部42により検出された自立生活動作情報に基づいて、ユーザの自立生活機能に関する評価を行い、評価を示す評価データを生成する。評価部43は、ユーザの体躯動作の検出結果、例えば、検出部42により検出されたユーザにおける各反射点に対する距離情報の時間変化に基づいて、ユーザの体躯の機能に関する運動機能を評価した運動評価データを生成する。
【0042】
評価部43は、例えば、検出部42により検出されたユーザの発声音の検出結果に基づいて、ユーザの口腔の機能に関する口腔機能を評価した口腔評価データを生成する。評価部43は、生成した評価データをタブレット20に送信する。評価部43における評価については、後にさらに説明する。
【0043】
第1記憶部50には、例えば、本体アプリ51と、本体ローカルファイル52とを記憶とが記憶されている。本体アプリ51は、本体装置10を稼働させるためのプログラムである。本体ローカルファイル52は、ユーザを識別するためのニックネームなどを含むユーザ識別情報に対して、検出部42により検出された自立生活動作情報及び評価部43により生成された評価データがユーザに紐づけられて生成されたファイルである。
【0044】
統括制御部41は、作動モードを「運動ゲームモード」または「計測ゲームモード」に移行させた際に、本体ローカルファイル52にユーザ識別情報を生成する。検出部42は自立生活動作情報を検出した際に本体ローカルファイル52を更新し、評価部43は、評価データを生成した際に本体ローカルファイル52を更新する。
【0045】
タブレット20におけるタッチパネル21は、例えば、タブレット筐体の前面の広い範囲を占めて設けられている。タッチパネル21は、例えば、施設の従業者の操作を受け付ける入力インターフェースとしての機能と、画像情報や文字情報などの各種の情報を表示する出力インターフェースとしての機能を有する。タッチパネル21は、ユーザの入力操作に応じた入力操作情報を生成して送信したり、第2制御部60により送信される情報に基づいて画像を表示させたりする。
【0046】
光学カメラ22は、例えば、タブレット筐体の外周の一部に取り付けられている。光学カメラ22は、例えばデジタルカメラでもよいし、デジタルカメラ以外のカメラ、例えばアナログカメラでもよい。光学カメラ22は、タッチパネル21に表示されたGUI(Graphical User Interface)ボタンやタブレット筐体の外周に設けられた物理ボタンの操作に応じて、撮像を行う。光学カメラ22は、画像を撮像するごとに、撮像した画像(光学写真)を、撮像日時や撮像場所などの撮像情報を付加して第1記憶部50に随時記憶させる。
【0047】
第2通信装置23は、例えば、第1通信装置16との間で、例えば、Wi-Fi、DSRC、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う装置である。第2通信装置23は、近距離通信(NFC;Near Field Communication)を実行する近距離通信装置でもよい。
【0048】
第2制御部60は、例えば、データ取得部61と、分析部62と、生成部63と、提供部64とを備える。データ取得部61は、第1制御部40により送信される評価データ、例えば、ユーザの運動機能を評価した運動評価データ、及びユーザの口腔機能を評価した口腔評価データを取得する。運動評価データは、例えば、ユーザの体躯動作の検出結果に基づいて生成される。口腔評価データは、例えば、ユーザの発声音の検出結果に基づいて生成される。
【0049】
分析部62は、データ取得部61により取得された評価データが示す評価に基づいて、ユーザの自立生活機能を分析する。分析部62は、例えば、ユーザの運動機能の評価に基づいて、ユーザの運動機能を分析し、ユーザの口腔機能の評価に基づいて、ユーザの口腔機能を分析する。分析部62は、分析した自立生活機能に基づいて、自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成する。分析結果データは、ユーザの運動機能の分析結果を示す運動機能分析結果データ及びユーザの口腔機能の分析結果を示す口腔機能分析結果データを含む。
【0050】
生成部63は、分析部62により生成された分析結果データを含む支援レポートを生成する。提供部64は、生成部63により生成された支援レポートを提供する。支援レポートを提供するにあたり、提供部64は、例えば、支援レポートの内容を示す支援レポート情報をタブレット20やプリンタ30に送信する。
【0051】
タッチパネル21は、例えば、提供部64により送信された支援レポート情報に基づく支援レポートを表示する。プリンタ30は、例えば、支援レポート情報に基づく支援レポートを印刷する。支援レポートは、タッチパネル21に表示され、プリンタ30により印刷されることにより、ユーザに提供される。
【0052】
図2は、支援レポートの一例を示す図である。
図2において、左図に支援レポートの第1面R1を示し、右図に支援レポートの第2面R2を示す。支援レポートは、例えば、毎月8回実施される自立生活動作を行う集会に参加するユーザに対して、月ごとに提供されるレポートである。支援レポートの第1面R1には、表題表示領域GA10と、参加実績表示領域GA20と、プレゼント情報表示領域GA30と、風景情報表示領域GA40とが含まれる。
【0053】
集会では、例えば、多数のユーザが同時に行う体操が実施され、続いて、少数のユーザが自立生活動作を計測するための体操が実施される。集会に参加するユーザが少数である場合などでは、これらの体操がまとめて行われてもよい。自立生活支援システム1は、多数のユーザが同時に体操を行う際には「運動ゲームモード」で作動し、少数のユーザが自立生活動作を計測するための体操を行う際には「計測ゲームモード」(「運動機能計測モード」または「口腔機能計測モード」)で作動する。
【0054】
表題表示領域GA10には、例えば、対象月、ユーザごとに付与されたユーザID、ユーザの名前が表示される。参加実績表示領域GA20には、対象月におけるユーザの集会の参加回数、集会で実施されるトレーニングゲームの数が表示される。プレゼント情報表示領域GA30には、対象月における参加回数に応じてユーザに付与されるインセンティブ、図に示す例では、「銅賞」「銀賞」「金賞」といったインセンティブの情報が表示される。
【0055】
風景情報表示領域GA40には、集会中に撮像された写真の画像及び参加者に対するコメントが表示される。風景情報表示領域GA40に表示される写真は、例えば、集会の主催者がタブレット20における光学カメラ22で撮像した写真を使用可能である。光学カメラ22は、その他の位置に設けられていてもよく、例えば、本体装置10の筐体に設けられていてもよく、ディスプレイ14の直下や真上などのディスプレイ14の表面やモーションセンサ11、マイク12の近傍などに設けられていてもよい。
【0056】
風景情報表示領域GA40に表示される写真は、その他のカメラで撮像された画像でもよい。参加者に対するコメントは、例えば、集会の主催者がタブレット20を利用して記入したコメントである。コメントは、あらかじめ定型文が用意され、用意された定型文の中から主催者が選択し、あるいはこの定型文を改変したコメントでもよい。
【0057】
支援レポートの第2面R2には、分析結果表示領域GA60と、レコメンド領域GA70が表示される。分析結果表示領域GA60には、生成部63により生成された分析結果データが表示される。レコメンド領域GA70には、分析結果データにより得られるレコメンド情報が表示される。
【0058】
レコメンド情報としては、ユーザが優れている自立生活機能(以下、ユーザが優れている力)、ユーザが高めるとよい自立生活機能(ユーザが高めるとよい力)、並びにユーザに勧めるトレーニングゲーム及びお部屋でできる運動の情報(以下、レコメンド情報)が含まれる。
【0059】
分析結果データは、例えば、姿勢維持力、バランス力、瞬時反応力(俊敏性、以下、反応力)、足腰の筋力(以下、足腰筋力)、唇と頬の力(以下、唇頬力)、舌の力(以下、舌力)の分析結果を示すデータである。このうち、姿勢維持力、バランス力、反応力、及び足腰筋力は、運動機能の分析結果を示し、唇頬力及び舌力は、口腔機能の分析結果を示す。
【0060】
姿勢維持力は、背筋や手を伸ばして維持できる力である。バランス力は、手を遠くまで伸ばせる力である。反応力は、とっさの一歩の反応力であり、手や足を素早く動かせる力である。足腰筋力は、足を浮かせたりおしりを浮かせたりする力である。唇頬力は、ご飯を食べたり、食べ物を吸い込こんだり、表情豊かに会話できたりするための力である。舌力は、食べ物をのどに通したり、はっきりと話せたりするための力である。
【0061】
分析結果表示領域GA60に表示される分析結果データとしては、姿勢維持力、バランス力、反応力、足腰筋力、唇頬力、及び舌力を100点満点の評価点数で評価した数値がレーダーチャートで示されている。支援レポートには、例えば、対象月とともに、支援を開始した月の分析結果データがレーダーチャートで示されている。
【0062】
レコメンド領域GA70に表示されるレコメンド情報に含まれているユーザが「優れている力」、及びユーザが「高めるとよい力」には、分析結果データとして得られる自立生活機能のいずれかが選択して表示される。例えば、「優れている力」として、評価点数が最も高い自立生活機能が表示され、「高めるとよい力」として、評価点数が最も低い自立生活機能が表示される。
【0063】
レコメンド情報に含まれるトレーニングゲーム及びお部屋でできる運動は、例えば、「高めるとよい力」を第2記憶部70に記憶されたレコメンドテーブル73に参照することにより決定される。ここで、レコメンドテーブル73について説明する。
図3は、レコメンドテーブル73の内容の一例を示す図である。
【0064】
レコメンドテーブル73は、「高めるとよい力」と、その力を高めるためのゲームの内容及びお部屋でできる運動とが対応付けられたテーブルである。例えば「高めるとよい力」としての「唇頬力」には、「福笑い」「音で的当て」などの複数のゲーム(口腔機能計測ゲーム)及び「口を閉じた状態で、ほほを膨らませる」という運動(口腔機能計測動作)が対応付けられている。また、「高めるとよい力」としての「姿勢維持力」には、「巻き割り」「沖釣り」などの複数のゲーム(運動機能計測ゲーム)及び「胸の前で手を合わせて10秒間押し合う」「背筋を伸ばし、両肘を胸の高さに上げ、胸を開き5秒保持する」などの複数の種類の運動(運動機能計測動作)が対応付けられている。
【0065】
「高めるとよい力」に対応付けられたユーザに勧めるトレーニングゲーム及びトレーニング動作(お部屋でできる運動)が複数ある場合には、複数の中から1つまたは2つ以上を選択して表示されたり、すべてのトレーニングゲーム及びトレーニング動作が表示されたりしてよい。複数の中から1つまたは2つ以上のトレーニングゲーム及びトレーニング動作を選択する場合には、例えば、ユーザの嗜好、特性、状態などに応じて適宜選択されるようにしてもよいし、主催者が選択可能となるようにしてもよい。あるいは、複数のトレーニングゲーム及びトレーニング動作が順次ループして表示されるようにしてもよい。
【0066】
第2記憶部70は、例えば、タブレットアプリ71と、タブレットローカルファイル72とを記憶する。タブレットアプリ71は、タブレット20を稼働させるためのプログラムである。タブレットローカルファイル72は、例えば、ユーザに関するユーザ情報に対して、データ取得部61により取得された評価データに基づく評価、分析部62により生成された分析結果データ、及び生成部63により生成され支援レポートデータがユーザに紐づけられて生成されたファイルである。ユーザ情報は、ユーザ識別情報に含まれる情報のほか、ユーザに関する情報、例えば、ユーザの氏名、年齢、住所、職業、家族構成、勤務先などの情報を含んでもよい。
【0067】
続いて、実施形態の自立生活支援システム1における処理について説明する。実施形態の自立生活支援システム1においては、本体装置10における第1制御部40と、タブレット20における第2制御部60は、それぞれ独立して作動する。以下の説明では、第1制御部40における処理を説明し、続いて、第2制御部60における処理について説明する。
【0068】
図4は、第1制御部40の処理の一例を示すフローチャートである。自立生活支援システム1は、まず、第1制御部40が、入力インターフェース13またはタブレット20により送信された起動情報を受信したときに起動する(ステップS101)。起動情報は、例えば、ユーザが入力インターフェース13やタブレット20のタッチパネル21を操作することで送信される入力操作情報に含まれる。自立生活支援システム1が起動すると、検出部42は、モーションセンサ11及びマイク12により送信された距離情報や集音情報に基づいて、ユーザの体躯動作及び発声音を含むユーザの自立生活動作情報を検出する。
【0069】
続いて、統括制御部41は、作動モードが「運動ゲームモード」であるか否かを判定する(ステップS103)。統括制御部41は、本体装置10に設けられたスイッチや、タブレット20に設けられたスイッチが操作されることでタブレット20により送信される作動モード指定信号に基づいて作動モードを決定する。作動モードが「運動ゲームモード」であると判定した場合、例えば、多数のユーザが同時に体操を行っている状態である。このため、統括制御部41は、見本映像をディスプレイ14に表示させる(ステップS105)。統括制御部41は、各ユーザの準備が整った後、例えば集会の主催者により入力インターフェース13の操作に基づいて起動情報が送信された後に見本映像の表示を開始させる。
【0070】
多数のユーザが体操を行っている間、集会の主催者は、タブレット20に設けられた光学カメラ22により、集会の風景を撮像する。主催者は、集会の風景として、体操を行うユーザが写される風景写真を撮像する。光学カメラ22により撮像された風景写真は、タブレットローカルファイル72に随時蓄積される。
【0071】
続いて、統括制御部41は、「運動ゲームモード」が終了したか否かを判定する(ステップS107)。「運動ゲームモード」が終了していないと判定した場合、統括制御部41は、処理をステップS105に戻し、見本映像の表示を継続する。「運動ゲームモード」が終了したと統括制御部41が判定した場合、または、ステップS103において、作動モードが運動ゲームモードでないと統括制御部41が判定した場合には、作動モードは、「計測ゲームモード」となっている。
【0072】
この場合、例えば、少数のユーザが自立生活動作を計測するための体操を本体装置10の前で行っている状態である。自立生活支援システム1は、ユーザの体躯動作や発声を行っており、本体装置10におけるモーションセンサ11及びマイク12は、それぞれユーザの体躯動作や発音に応じた距離情報や集音情報を生成して第1制御部40に送信している。
【0073】
続いて、統括制御部41は、作動モードが「計測ゲームモード」であるか否かを判定する(ステップS109)。作動モードが「計測ゲームモード」でないと判定した場合、統括制御部41は、処理をステップS131に進める。作動モードが「計測ゲームモード」であると判定した場合、続いて、統括制御部41は、作動モードが「運動機能計測モード」であるか否かを判定する(ステップS111)。
【0074】
作動モードが「運動機能計測モード」であると判定した場合、統括制御部41は、ユーザに適した運動機能計測ゲームをレコメンドテーブル73中から選択する(ステップS113)。続いて、統括制御部41は、選択した運動機能計測ゲームに応じた運動機能計測ゲーム映像またはトレーニング映像をディスプレイ14に表示させる(ステップS115)。続いて、評価部43は、ユーザが運動機能計測ゲームを行っている間、検出部42により検出されたユーザの体躯動作に基づいて、ユーザの運動機能を評価した運動評価データを生成する(ステップS117)。
【0075】
一方、作動モードが「運動機能計測モード」でないと判定した場合、統括制御部41は、作動モードが「口腔機能計測ゲームモード」であると判定し、ユーザに適した口腔機能計測ゲームをレコメンドテーブル73中から選択する(ステップS119)。続いて、統括制御部41は、選択した口腔機能計測ゲームに応じた口腔機能計測ゲーム映像またはトレーニング映像をディスプレイ14に表示させる(ステップS121)。続いて、評価部43は、ユーザが口腔機能計測ゲームを行っている間、検出部42により検出されたユーザの発声音に基づいて、ユーザの口腔機能を評価した口腔評価データを生成する(ステップS123)。
【0076】
評価部43は、運動評価データ及び口腔評価データの両評価データを生成済であるか否かを判定する(ステップS125)。両評価データを生成済でないと判定した場合、評価部43は、処理をステップS109に戻す。両評価データを生成済であると判定した場合、評価部43は、運動評価データ及び口腔評価データを統合して、ユーザの自立生活機能を評価した評価データを生成する(ステップS127)。評価データには、ユーザの運動機能を評価した運動評価データ及び口腔機能を評価した口腔評価データが含まれる。評価部43は、生成した評価データをタブレット20に送信する(ステップS129)。
【0077】
なお、評価部43は、運動評価データ及び口腔評価データを含む評価データを生成した後に評価データをタブレット20に送信するが、運動評価データ及び口腔評価データが生成されるごとに、タブレット20に送信するようにしてもよい。この場合、タブレット20では、運動評価データ及び口腔評価データが揃った後に評価データとして両者を含む評価データを生成するようにしてもよい。
【0078】
続いて、統括制御部41は、入力インターフェース13またはタブレット20により送信される停止情報を受信したか否かを判定する(ステップS131)。停止情報を受信していないと判定した場合、統括制御部41は、処理をステップS103に戻す。統括制御部41が停止情報を受信したと判定した場合、自立生活支援システム1は、
図4に示す処理を終了する。
【0079】
続いて、自立生活機能の評価について説明する。まず、自立生活機能の評価のうち、運動機能の評価について説明する。運動機能の評価は、例えば、見本映像を見ながら体操を行うユーザに対して行われる。運動機能の評価は、数値化され、例えば、タブレット20に送信されるとともに、本人動作映像及び見本映像とともにディスプレイ14に表示される。
【0080】
図5は、本人動作映像及び見本映像を含む第1表示映像F1の一例を示す図である。ディスプレイ14に表示される第1表示映像F1には、本人動作映像GB11と、見本映像GB12と、第1見本映像GB13と、第2見本映像GB14と、第1評価点数画像GB15と、第2評価点数画像GB16が含まれる。
【0081】
本人動作映像GB11は、検出部42により検出されたユーザの体躯動作情報に基づいて生成された骨組み映像を可視化した映像である。本人動作映像GB11は、ユーザ本人の体躯動作と同様に動くので、ユーザは、本人動作映像GB11を見ながら、自らの体躯動作を認識することができる。
【0082】
見本映像GB12は、インストラクターによる体操の見本を示す映像である。見本映像GB12は、例えば、本体アプリ51に含まれており、本体アプリ51が動作しているときにディスプレイ14に表示可能とされている。第1見本映像GB13は、インストラクターの動作を正面から見た骨組み映像であり、第2見本映像GB14は、インストラクターの動作を真上から見た骨組み映像である。
【0083】
第1評価点数画像GB15は、ユーザの動きと、インストラクターの動きの一致度を100点満点の点数で示す画像である。第1評価点数画像GB15の上段には、体操を開始してから通算した一致度の点数が示され、下段には、現在の一致度が示されている。複数のユーザの自立生活動作を検出する場合には、その中の対象として指定されたユーザの点数が第1評価点数画像GB15として表示される。
【0084】
第2評価点数画像GB16は、複数のユーザの自立生活動作を検出している場合のそれぞれの一致度の点数を示す画像である。
図5に示す例では、1名のみの自立生活動作の検出を行っているため、2名分の第2評価点数画像GB16については、「0」が表示されている。
【0085】
運動機能を評価するために検出の対象となる体躯動作には、例えば、姿勢維持力を計測するための動作(以下、姿勢維持力計測動作)、バランス力を計測するための動作(以下、バランス力計測動作)、反応力を計測するための動作(以下、反応力計測動作)、及び足腰筋力を計測するための動作(以下、足腰筋力計測動作)が含まれる。
【0086】
姿勢維持力計測動作は、背筋を伸ばし、肘を曲げない状態で両腕をそれぞれ上方に伸ばし、両掌を頭の上で合わせる動作である。姿勢維持力は、例えば、猫背になっていないこと、肘が曲がっていないことを基準として評価される。
図5では、インストラクターが姿勢維持力計測動作を行っている状態を示している。
【0087】
バランス力計測動作、足腰筋力計測動作、反応力計測動作については、
図6を参照して説明する。
図6は、複数の体躯動作をインストラクターがそれぞれ行う状態を示す第2表示映像F2~第8表示映像F8の一例を示す図である。なお、
図6に示す各画像では、見本映像GB12以外の本人動作映像GB11等は省略して示している。
【0088】
バランス力計測動作は、右腕を体幹から遠くに伸ばす第1バランス力計測動作と、左腕を体幹から遠くに伸ばす第2バランス力計測動作とを含む。バランス力は、腕が体幹から遠くに伸ばせていること、具体的には、腕を伸ばしたときの脇の開き具合、腰を前に曲げられていることを基準として評価される。
図6の上段左側には、第1バランス力計測動作を行うインストラクターが表示された第2表示映像F2が示されている。
図6の上段右側には、第2バランス力計測動作を行うインストラクターが表示された第3表示映像F3が示されている。
【0089】
反応力計測動作は、椅子など座った状態で両手両足を閉じた状態と開いた状態を繰り返す動作を含む。反応力計測動作は、股関節の開き具合と肘の上り具合により、両手両足を閉じた状態と開いた状態にするまでにかかる時間を基準として評価される。
図6の中段左側には、椅子に座り、両手両足を開いたインストラクターが表示された第4表示映像F4が示されている。
図6の中段右側には、椅子に座り、両手両足を閉じたインストラクターが表示された第5表示映像F5が示されている。
【0090】
足腰筋力計測動作は、椅子など座った状態で右足を上げる第1足腰筋力計測動作、椅子など座った状態で左足を上げる第2足腰筋力計測動作、椅子などに座った状態から尻を浮かせる第3足腰筋力計測動作を含む。足腰筋力は、足を上げられる時間、尻が浮いている時間を基準として評価される。
【0091】
図6の下段左側には、第1足腰筋力計測動作を行うインストラクターが表示された第6表示映像F6が示されている。
図6の下段中央には、第2足腰筋力計測動作を行うインストラクターが表示された第7表示映像F7が示されている。
図6の下段右側には、第3足腰筋力計測動作を行うインストラクターが表示された第8表示映像F8が示されている。
【0092】
次に、自立生活動作の評価のうち、口腔機能の評価について説明する。口腔機能の評価は、例えば、ゲーム映像を見ながらゲームを行うユーザに対して行われる。口腔機能の評価は、運動機能と同様に数値化され、例えば、タブレット20に送信される。ゲーム映像には、口腔機能の評価は表示されないが、ゲームの進行度合いが実質的に口腔機能を示唆していることとなる。
【0093】
図7は、口腔機能計測ゲーム映像を含む第9表示映像F9の一例を示す図である。ディスプレイ14に表示される口腔機能計測ゲーム映像は、「シラブル」と称されるゲームが実行されているときの映像である。「シラブル」は、「パ」「タ」の音を連呼するゲームである。「シラブル」のゲーム映像には、多数のろうそく画像GC10が含まれる。ろうそく画像GC10には、火が灯された状態のものと火が消された状態のものが含まれる。
【0094】
ゲームが開始されたときには、すべてのろうそく画像GC10において火が灯った状態となっている。ゲームが開始されると、指定の音、例えば「パ」または「タ」の音をユーザが発声すると、順次ろうそく画像GC10の火が消えていく。ユーザの発声音は、マイク12により集音される。検出部42は、マイク12により集音された発声音を検出し、指定した音(例えば「パ」または「タ」)をユーザが発声したか否かを判定する。統括制御部41は、指定の音をユーザが発声した検出部42が判定したときに、ローソクに灯された火の画像を順次消す。
【0095】
口腔機能を評価するために検出の対象となる発声音には、例えば、唇頬力を計測するための発声音(例えば「パ」、以下、第1発声音)、舌力を計測するための発声音(例えば「タ」、以下、第2発声音)が含まれる。検出部42は、「シラブル」が行われる間、ユーザの発声音を検出する。
【0096】
評価部43は、検出された発声音のうち、第1発声音及び第2発声音が連続して発声されたか否かを評価する。評価部43は、第1発声音が連続して発声された回数に基づいて、唇頬力を評価し、例えば、第1発声音を連続した回数が多いほど、唇頬力が高いと評価する。評価部43は、第2発声音が連続して発声された回数に基づいて、舌力を評価し、例えば、第2発声音を連続した回数が多いほど、舌力が高いと評価する。
【0097】
なお、ここでは、口腔機能を計測する口腔機能計測ゲームとして、「シラブル」について説明したが、口腔機能計測ゲームは、レコメンドテーブル73に示される「シラブル」以外のゲームでもよい。あるいは、口腔機能計測ゲームは、レコメンドテーブル73に示されるゲーム以外のゲーム、例えば、ユーザの発声に応じて鳥が飛んでいく様を表示するゲームなどでもよい。
【0098】
続いて、第2制御部60における処理について説明する。
図8は、第2制御部60の処理の一例を示すフローチャートである。第2制御部60は、まず、本体装置10またはタッチパネル21により送信された起動情報を受信したときに、起動する(ステップS201)。
【0099】
続いて、第2制御部60は、作動モードが「計測ゲームモード」であるか否かを判定する(ステップS203)。作動モードが「計測ゲームモード」であると判定した場合、データ取得部61は、本体装置10により送信される評価データを取得する(ステップS205)。
【0100】
続いて、分析部62は、「計測ゲームモード」が終了し、自立生活動作の計測が終了したか否かを判定する(ステップS207)。自立生活動作の計測が終了していないと判定した場合、分析部62は、処理をステップS205に戻して自立生活動作の計測を継続する。
【0101】
自立生活動作の計測が終了したと判定した場合、分析部62は、評価データを分析して分析結果データを生成する(ステップS209)。続いて、生成部63は、支援レポートに掲載する風景写真を取得する(ステップS211)。生成部63は、風景写真を取得するにあたり、タブレットローカルファイル72に蓄積された複数の風景写真をタッチパネル21に表示し、支援レポートに掲載する風景写真を主催者またはユーザに選択させ、コメントを入力させる。生成部63は、選択された風景写真を支援レポートに掲載する風景写真として取得する。
【0102】
続いて、生成部63は、生成した分析結果データをレコメンドテーブル73に参照し、ユーザに勧めるトレーニングゲーム及びトレーニング動作を選択する。生成部63は、その他、ユーザの情報やプレゼント情報を取得して、これらの情報を総合して
図2に示す支援レポートを生成する(ステップS213)。
【0103】
続いて、提供部64は、生成部63により生成された支援レポートの内容を示す支援レポート情報をタブレット20やプリンタ30に送信することにより、支援レポートを提供する(ステップS215)。主催者やユーザは、タブレット20のタッチパネル21に表示され、またはプリンタ30により印刷された、支援レポートの提供を受ける。
【0104】
続いて、データ取得部61は、タッチパネル21または本体装置10により送信される停止情報を受信したか否かを判定する(ステップS215)。停止情報を受信していないと判定した場合、データ取得部61は、処理をステップS203に戻す。データ取得部61が停止情報を受信したと判定した場合、自立生活支援システム1は、
図8に示す処理を終了する。
【0105】
以上、実施形態に係る自立生活支援システム1について説明した。自立生活支援システム1は、データ取得部61と、分析部62と、生成部63と、提供部64を備える。データ取得部61は、ユーザの自立生活動作に関する評価を示す評価データを取得する。分析部62は、自立生活動作に関する評価に基づいて、ユーザの自立生活機能を分析し、自立生活機能の分析結果を示す分析結果データを生成する。生成部63は、分析結果データを含む支援レポートを生成する。提供部64は、支援レポートを提供する。
【0106】
これにより、自立生活支援システム1は、ユーザの自立生活機能を評価し、ユーザの自立生活機能を分析した結果を含む支援レポートをユーザに提供することができる。したがって、自立生活支援システム1は、ユーザに自立生活機能を向上させるための運動の動機付けを与えることができる。
【0107】
また、ユーザの自立生活機能の分析結果に基づいて、ユーザに勧める自立生活動作を決定する。このため、ユーザが得意であったり不得意であったりする自立生活機能の情報をユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、どのような運動を行えばよいかを容易に認識することができるので、ユーザに自立生活機能を向上させるために与える運動の動機付けを大きくすることができる。
【0108】
以下に、実施形態の自立生活支援システム1による自立生活の支援を行う場合の効果について説明する。自立生活支援システム1による支援では、ユーザに対して楽しい気持ちで運動(ゲーム)を続けさせることができる。このため、自立生活支援システム1による支援を複数のユーザに対して行った結果、100%のユーザが運動をつづけられるようになったとの結果が得られた。この結果から、ユーザは、運動の習慣化により、健康維持・増進することができることがわかった。
【0109】
また、口腔機能の向上の効果を確認するための口腔機能向上確認試験を行った。口腔機能向上確認試験では、自立生活支援システム1による支援を開始する前と、支援を開始して2週間後、1か月後、2か月後のそれぞれにおいて、5秒間当たりの「パ」「タ」の発音回数を測定する試験を行った。
【0110】
図9は、口腔機能向上確認試験の結果の一例を示す図である。
図9から分かるように、自立生活支援システム1による支援を開始して2週間後、1か月後、2か月後のいずれにおいても、5秒間当たりの「パ」「タ」の発音回数が支援を開始する前よりも増加することとなった。したがって、自立生活支援システム1による支援を行うことにより、口腔機能が向上することが分かった。
【0111】
また、運動機能の向上の効果を確認するための運動機能向上確認試験を行った。運動機能向上確認試験では、自立生活支援システム1による支援を開始する前と、支援を開始して2週間後、1か月後、2か月後のそれぞれにおいて、5メートル歩行速度(秒)、TUG(Time Up & Go Test)における起立時間(秒)を測定する試験を行った。
【0112】
図10は、運動機能向上確認試験の結果の一例を示す図である。
図10から分かるように、自立生活支援システム1による支援を開始して2週間後、1か月後、2か月後のいずれにおいても、5メートル歩行速度及びTUGが短縮されることとなった。したがって、自立生活支援システム1による支援を行うことにより、運動機能が向上することが分かった。
【0113】
さらに、口腔機能及び運動機能の向上に伴い、ユーザは熟眠する割合が高くなった。このため、例えば、高齢者用施設に宿泊するユーザが自立生活支援システム1による支援を受けることにより、ユーザの夜間徘徊の割合が減少した。このため、高齢者用施設における夜間徘徊対応業務を削減することができる。さらに、高齢者用施設においては、サービスの差別化による集客効果を見込むことができる。
【0114】
上記実施形態において、自立生活支援装置100は、本体装置10とタブレット20を備え、それぞれが独自のプロセッサを搭載して、互いに異なる処理を実行する。これに対して、自立生活支援装置100が、本体装置10とタブレット20の両方の機能を備えたプロセッサを有し、本体装置10とタブレット20が一体化された自立生活支援システム1であってもよい。さらに、本体装置10とタブレット20のほか、プリンタ30が一体化されていてもよい。
【0115】
また、上述した実施形態では、評価データは、実際にユーザが実行する自立生活動作を検出した結果に基づいて生成するが、他の態様で評価データを生成してもよい。評価データは、上述した運動を実施しているユーザの動作が映っている映像または画像を示すデータが機械学習プログラムに入力され、当該機械学習プログラムにより評価された結果に基づいて生成されてもよい。
【0116】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。ただし、自立生活支援装置、自立生活支援システム、自立生活支援方法、及びプログラムは、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換、組み合わせ及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。
【0117】
また、上述した本発明の実施形態の効果は、一例として説明した効果である。したがって、本発明の実施形態は、上述した効果以外にも上述した実施形態の記載から当業者が認識し得る他の効果も奏し得る。
【符号の説明】
【0118】
1…自立生活支援システム、10…本体装置、11…モーションセンサ、12…マイク、13…入力インターフェース、14…ディスプレイ、15…スピーカ、16…第1通信装置、20…タブレット、21…タッチパネル、22…光学カメラ、23…第2通信装置、30…プリンタ、40…第1制御部、41…統括制御部、42…検出部、43…評価部、50…第1記憶部、51…本体アプリ、52…本体ローカルファイル、60…第2制御部、61…データ取得部、62…分析部、63…生成部、64…提供部、70…第2記憶部、71…タブレットアプリ、72…タブレットローカルファイル、73…レコメンドテーブル、100…自立生活支援装置