(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176779
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】検知装置及び検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G01V 3/08 20060101AFI20241212BHJP
H03K 17/955 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01V3/08 D
H03K17/955 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095573
(22)【出願日】2023-06-09
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 奨
【テーマコード(参考)】
2G105
5J050
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB04
2G105EE01
2G105FF13
2G105GG01
2G105HH01
5J050AA13
5J050BB22
5J050FF25
(57)【要約】
【課題】近接する人の有無をより精度高く検知すること。
【解決手段】実施形態の検知装置は、非接触型のセンサと、判定部と、を持つ。非接触型のセンサは、電界への物体の進入に応じて変化する静電容量値を計測する。判定部は、前記センサによって計測された前記静電容量値の変化量に基づいて、近接する人が存在するか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界への物体の進入に応じて変化する静電容量値を計測する非接触型のセンサと、
前記センサによって計測された前記静電容量値の変化量に基づいて、近接する人が存在するか否かを判定する判定部と、
を備える検知装置。
【請求項2】
前記判定部は、所定期間における前記静電容量値の前記変化量の累積値が閾値以上である場合に、近接する人が存在すると判定する
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記静電容量値が数値振動を伴って変化している場合に、近接する人が存在すると判定する
請求項1に記載の検知装置。
【請求項4】
前記センサは、前記電界を生成する電極部
をさらに備え、
前記電極部は、銅箔テープによって構成される
請求項1に記載の検知装置。
【請求項5】
前記センサは、机の天板又は引き出しの下面、前記机の幕板の側面、又は前記机の袖箱の側面に設置される
請求項1に記載の検知装置。
【請求項6】
コンピュータに、
電界への物体の進入に応じて変化する静電容量値を非接触型のセンサに計測させ、
前記センサによって計測された前記静電容量値の変化量に基づいて、近接する人が存在するか否かを判定する
検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検知装置及び検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフリーアドレスのオフィスのワークスペースにある机、及び飲食店内の座席等、机や座席の現在の利用状況や過去の利用履歴(以下、総称して「利用状況」という。)を離れた場所から確認したいことがある。従来、このような離れた場所からの机や座席の利用状況の確認を可能にするものとして、例えば人感センサ付きの机がある。人感センサは、机や座席に近接する人の有無を検知することができる。しかしながら、人感センサ付きの机をオフィスや飲食店等に新規導入する場合、机をはじめとする設備やシステムの総入れ替えが必要になることが多く、多大なコストが発生してしまう。このような導入コストの増大を抑えるため、例えば赤外線人感センサを備えるIoT機器を、既存の机に後付けで設置するという方法が考えられる。しかしながら、赤外線センサは、温度の揺らぎに弱いという特性がある。そのため、赤外線人感センサを用いる方法では、冷暖房器具からの熱、又は窓から差し込む日光等の影響による誤検知が発生し、机や座席に近接する人の有無を検知する精度が低下してしまうことがある。
【0003】
このような検知精度の低下を防ぐため、赤外線センサではなく静電容量センサを備えたIoT機器を、既存の机に後付けで設置する方法が考えられる。一般的に、静電容量センサを用いた人の検知方法では、測定された静電容量値の絶対値の大きさに基づいて、近接する人の有無の判定がなされる。より具体的には、一般的に、静電容量センサを用いた人の検知では、例えば静電容量値の絶対値が所定の閾値以上であるならば、近接する人が存在すると判定される。一方、例えば静電容量値の絶対値が所定の閾値未満であるならば、近接する人が存在しないと判定される。しかしながら一般的に、静電容量値の初期値は、静電容量センサを備えたIoT(Internet of Things)機器が取り付けられる机の材質や厚さ等によって大きく異なる。そのため、静電容量センサを備えたIoT機器が取り付けられる箇所によって、適切な閾値はそれぞれ異なっている。また、近接する人が存在するような場合だけでなく、机の近傍に物が置かれた場合や、椅子が動いた場合にも、静電容量値は大きく変化する。そのため、このような従来の方法では、近接する人が存在していなくても静電容量値の絶対値が所定の閾値を超える場合がある。これにより誤検知が発生し、机や座席に近接する人の有無を検知する精度が低下してしまうことがあるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4816713号公報
【特許文献2】特許第5585793号公報
【特許文献3】特開2017-54376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、近接する人の有無をより精度高く検知することができる検知装置及び検知プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の検知装置は、非接触型のセンサと、判定部と、を持つ。非接触型のセンサは、電界への物体の進入に応じて変化する静電容量値を計測する。判定部は、前記センサによって計測された前記静電容量値の変化量に基づいて、近接する人が存在するか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の在席検知装置1の全体構成を示す外観図。
【
図2】実施形態の在席検知装置1の基板格納部12の内部構成を示す図。
【
図3】実施形態の在席検知装置1の設置例を示す図。
【
図4】実施形態の在席検知装置1によって計測された静電容量値の推移の一例を示す図。
【
図5】実施形態の在席検知装置1の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の検知装置及び検知プログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
実施形態の在席検知装置1の全体構成について説明する。実施形態の在席検知装置1は、本発明の検知装置の一例である。在席検知装置1は、静電容量型の近接センサを備えるIoT機器である。但し、在席検知装置1は、IoT機器に限られるものではなく、例えばスタンドアロンの機器、又は有線でネットワークに接続する通信インターフェースを備える機器等であってもよい。静電容量型の近接センサは、電界を利用して静電容量値を測定し、測定値の変化を捉えることによって、近接する物体の有無を検知することができる。在席検知装置1は、例えば机等に取り付けられる。在席検知装置1は、机又は座席(以下、総称して「机等」という。)を利用する人の有無を非接触で検知する。在席検知装置1は、無線によりネットワークに接続し、当該ネットワークを介して検知結果を示す情報を外部の装置へ伝送する。ここでいう外部の装置とは、例えば、机等の利用状況を示す情報を収集するサーバ等である。
【0010】
実施形態の在席検知装置1は、自己容量方式の静電容量センサである。但し、静電容量方式は自己容量方式に限られるものではなく、その他の方式であってもよい。在席検知装置1は、電極と接続する静電容量センシングIC(Integrated Circuit)と、IoTセンサとして情報を転送する機能を有する基盤とを含んで構成される。在席検知装置1は、電極に信号を出力し、その変化に基づいて静電容量値を算出する。在席検知装置1は、さらに、算出された静電容量値の変化量を算出し、算出された変化量の累積値に基づいて机等に近接する人の有無を検知する。
【0011】
以下、在席検知装置1の構成例についてさらに詳しく説明する。
図1は、実施形態の在席検知装置1の全体構成を示す外観図である。
図1に示されるように、在席検知装置1は、電極部11と、基板格納部12とを備える。
【0012】
電極部11は、銅箔テープ111と、絶縁テープ112と、を含んで構成される。銅箔テープ111は、在席検知装置1が備える電極として用いられる。
【0013】
なお一般的に、電極としてFPC(Flexible Printed Circuit)等のプリント基板が用いられることがある。一方、実施形態の在席検知装置1は、FPCより単純な製造工程で生産が可能な銅箔テープ111を用いている。これにより、実施形態の在席検知装置1は、電極の生産コストをより低く抑えることができ、装置自体の価格もより低く抑えることができる。
【0014】
また、静電容量型の近接センサを用いて非接触での物体検知を行うためには、電極を十分に大きくする必要がある。一般的に、FPCを用いた電極の大きさは、およそ2~3センチ幅であり、長さは任意の長さに延長することが可能である。一方、銅箔テープ111を電極として用いる場合には、縦方向及び横方向のいずれも任意に長さにすることが可能である。そのため、銅箔テープ111を用いる実施形態の在席検知装置1では、任意の大きさ及び任意の形状の電極を容易に形成することができる。
【0015】
なお、銅箔テープ111の代わりに銅線等が用いられても構わない。但し、銅箔テープ111は銅線と比べてより薄く形成することができ、机等への貼り付けも容易であるという特徴を有していることから、銅箔テープ111が用いられることが望ましい。
【0016】
絶縁テープ112は、リークや感電の発生を防ぐために銅箔テープ111を覆うものである。例えば、銅箔テープ111は、2枚の絶縁テープ112によって挟まれるようにして覆われる。2枚の絶縁テープ112の一方は、例えば、さらに粘着テープによって覆われている。これにより、机の天板や引き出しの下面等の任意の箇所に、在席検知装置1を容易に設置することが可能になる。
【0017】
図2は、実施形態の在席検知装置1の基板格納部12の内部構成を示す図である。
図2に示されるように、基板格納部12は、電極部11を固定する上面部121、及び基板123を内蔵する下面部122からなる。基板123は、静電容量センシングIC(Integrated Circuit)124と、通信インターフェース125とを含んで構成される。
【0018】
静電容量センシングIC124は、電極部11の銅箔テープ111に接続されており、銅箔テープ111によって物体検知用の電界を発生させる。静電容量センシングIC124は、静電容量値を算出する。静電容量センシングIC124は、さらに、算出された静電容量値の変化量を算出し、算出された変化量の累積値に基づいて机等に近接する人の有無を検知する。静電容量センシングIC124は、検知結果を示す情報を通信インターフェース125へ出力する。なお一般的に、IoT機器は低消費電力で動作することが求められることから、静電容量センシングIC124は、例えば10秒程度の間隔で電荷の測定を行う。
【0019】
通信インターフェース125は、ネットワークに接続して情報転送を行うことにより、在席検知装置1をIoTセンサとして機能させる。通信インターフェース125は、無線によりネットワークに接続し、静電容量センシングIC124から出力された検知結果を示す情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信する。
【0020】
なお、通信インターフェース125は、任意の無線通信規格で規定された通信方式を用いることができる。例えば、低消費電力を目的とする場合、Bluetooth Low Energy又はEnOcean等の無線通信規格で規定された通信方式を用いることができる。また、例えば、高速通信を目的とする場合、無線LAN(Local Area Network)規格であるIEEE802.11ac等の無線通信規格で規定された通信方式を用いることができる。また、例えば、遠距離通信を目的とする場合、LoRa、Wi-Fi HaLow等の無線通信規格で規定された通信方式を用いることができる。
【0021】
図3は、実施形態の在席検知装置1の設置例を示す図である。
図3に示されるように、在席検知装置1は、例えば、絶縁テープ112を覆っている前述の粘着テープによって、机2の天板の下面に貼り付けられる。これにより、在席検知装置1は、椅子(不図示)に着席して机2を使用する人の太腿、あるいは、机2の上にある上腕を検知することができる。
【0022】
なお、天板の下面に引き出しが設けられた机である場合には、引き出しの下面に在席検知装置1が取り付けられてもよい。また、在席検知装置1は、机2の脚部内側に取り付けられてもよい。また、在席検知装置1は、机2の幕板の側面、又は机2の袖箱の側面に設置されてもよい。また、在席検知装置1は、例えば不図示の脇机等、机2以外の物に取り付けられてもよい。
【0023】
以下、机2等に近接する人の有無の検知に用いられる検知アルゴリズムについて説明する。
【0024】
従来の静電容量型の近接センサによる検知処理では、一般的に、静電容量値の絶対値に基づいて判定が行われる。例えば、従来の静電容量型の近接センサは、測定された静電容量の絶対値が所定の閾値以上である場合に、近接する人が存在すると判定する。また、従来の静電容量型の近接センサは、測定された静電容量の絶対値が所定の閾値未満である場合に、近接する人が存在しないと判定する。しかしながら一般的に、静電容量値の初期値は、机の材質や厚さ等によって大きく異なり、適切な閾値はそれぞれ異なる。また、人以外の物体が接近する場合でも静電容量値は大きく変化する。これにより誤検知が発生し、検知精度が低下してしまうことがある。
【0025】
これに対し、実施形態における在席検知装置1は、静電容量値の絶対値ではなく、静電容量値の数値振動の大きさに基づいて、近接する人の有無の検知を行う。ここでいう数値振動の大きさは、計測期間ごとの静電容量値の変化量の累積値の大きさに相当する。例えば静電容量型の近接センサに人や動物などの動くものが近接している場合、人や動物は完全に静止していることは困難であるため、僅かな動きが生じ、静電容量値は細かく変動(数値振動)する。一方、静電容量型の近接センサに例えば工業製品等の動かない物体が近接している場合、静電容量値は全く変化しない。実施形態における在席検知装置1は、静電容量値の変化量の累積値を算出することによって、静電容量値の細かい変化(数値振動)の有無を検知することができる。在席検知装置1は、静電容量値の変化量の累積値の大きさに基づいて、机2等に近接する人の有無を判定する。
【0026】
図4は、実施形態の在席検知装置1によって計測された静電容量値の推移の一例を示す図である。
図4に示されるグラフにおいて、縦軸は静電容量値を表し、横軸は時間を表している。なお、
図4に示される(1)~(6)の期間の各々は、静電容量センシングIC124が静電容量値の計測を行う所定の間隔より十分に長い期間であるものとする。
【0027】
例えば、
図4における(1)の期間は、静電容量値が殆ど変化していない。このような場合、静電容量値の変化量の累積値は相対的に小さい値になるため、在席検知装置1は、机2等に近接する人は存在しない(不在)と判断する。次に、
図4における(2)の期間は、1つ前の(1)の期間から静電容量値が上昇しているが、一度上昇した後は静電容量値が殆ど変化していない。このような場合、静電容量値の変化量の累積値は相対的に小さい値になるため、在席検知装置1は、机2等に近接する人は存在しない(不在)と判断する。
【0028】
なお、(2)の期間のように、静電容量値が上昇した状態で数値振動せずに略一定の状態である場合、机2の近傍に(例えば、机2の上や下等に)例えば何か動かないものが置かれたり、椅子が動かされたりしたようなケースが考えられる。なお、静電容量値の絶対値に基づいて近接する人の有無の検知を行う従来の静電容量型の近接センサの場合には、(2)の期間のように静電容量値が上昇した状態になっている場合、近接する人が存在する(在席)と誤判定されやすいと考えられる。
【0029】
次に、
図4における(3)の期間は、1つ前の(2)の期間からさらに静電容量値が上昇した後、期間中も静電容量値が数値振動して細かく変動している。このような場合、静電容量値の変化量の累積値は相対的に大きな値になるため、在席検知装置1は、机2等に近接する人は存在する(在席)と判断する。次に、
図4における(4)の期間は、1つ前の(3)の期間から静電容量値が下降しているが、一度下降した後は静電容量値が殆ど変化していない。このような場合、静電容量値の変化量の累積値は相対的に小さい値になるため、在席検知装置1は、机2等に近接する人は存在しない(不在)と判断する。
【0030】
次に、
図4における(5)の期間は、1つ前の(4)の期間と同様に比較的小さい静電容量値の状態を維持しつつ、期間中には静電容量値が数値振動して細かく変動している。このような場合、静電容量値の変化量の累積値は相対的に大きな値になるため、在席検知装置1は、机2等に近接する人は存在する(在席)と判断する。
【0031】
なお、静電容量値の絶対値に基づいて近接する人の有無の検知を行う従来の静電容量型の近接センサの場合には、(5)の期間のように静電容量値が数値振動して細かく変化していても、静電容量値の絶対値は期間を通して小さい値が持続しているため、近接する人が存在しない(不在)と誤判定されやすいと考えられる。
【0032】
次に、
図4における(6)の期間は、1つ前の(5)の期間から静電容量値が下降しているが、一度下降した後は静電容量値が殆ど変化していない。このような場合、静電容量値の変化量の累積値は相対的に小さい値になるため、在席検知装置1は、机2等に近接する人は存在しない(不在)と判断する。なお、(6)の期間のように、静電容量値がゼロに近い値にまで低下した状態で数値振動せずに一定である場合、机2の近傍から全ての物体が取り除かれたようなケースが考えられる。
【0033】
以下、実施形態の在席検知装置1の動作の一例について説明する。
図5は、実施形態の在席検知装置1の動作を示すフローチャートである。
図5のフローチャートが示す在席検知装置1の動作は、例えば在席検知装置1の電源がオンにされた際に開始される。
【0034】
静電容量センシングIC124は、電極側の静電容量値を算出する(ACT001)。静電容量センシングIC124は、算出された静電容量値を、例えば基板23に備えられた記憶媒体(不図示)に記憶させる(ACT002)。静電容量センシングIC124は、記憶媒体(不図示)を参照し、前回算出された静電容量値を読み出す。静電容量センシングIC124は、今回算出された静電容量値と前回算出された静電容量値との差を計算することで、静電容量値の変化量を算出する(ACT003)。
【0035】
静電容量センシングIC124は、記憶媒体(不図示)を参照し、前回までの静電容量値の変化量の累積値(以下、「変化量累積値」という。)を読み出す。静電容量センシングIC124は、変化量累積値を更新する。例えば、静電容量センシングIC124は、読み出された変化量累積値に対して0.8を乗算し、今回算出された静電容量値の変化量に対して0.2を乗算して、両者の値を合算する。そして、静電容量センシングIC124は、合算された値を新たな変化量累積値とする(ACT004)。なお、初回の静電容量値の測定においては、変化量累積値がまだ記録されていないため、測定された静電容量値をそのまま変化量累積値として記録する。
【0036】
静電容量センシングIC124は、変化量累積値と所定の閾値とを大小比較する(ACTCT005)。変化量累積値が閾値以上である場合(ACT006・YES)、静電容量センシングIC124は、机2等に近接する人が存在する(在席)と判定し、在席であることを示す情報を通信インターフェース125へ出力する(ACT007)。一方、変化量累積値が閾値以上である場合(ACT006・NO)、静電容量センシングIC124は、机2等に近接する人が存在しない(不在)と判定し、不在であることを示す情報を通信インターフェース125へ出力する(ACT008)。通信インターフェース125は、無線によりネットワークに接続し、静電容量センシングIC124から取得した検知結果を示す情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信する。
【0037】
ここで静電容量センシングIC124は、スリープ状態(休止状態)に入る(ACT009)。静電容量センシングIC124は、所定の時間が経過するまでスリープ状態となる(ACT010・NO)。所定の時間が経過した場合(ACT010・YES)、静電容量センシングIC124はスリープ状態から復帰し、上記のACT001から処理を再開する。その後、例えば在席検知装置1の電源がオフにされるまで、
図5のフローチャートに示される処理が繰り返し実行される。
【0038】
以上説明したように、実施形態の在席検知装置1は、静電容量型の近接センサを備えるIoT機器である。在席検知装置1は、電極部11と、静電容量センシングIC124とを含んで構成される。静電容量センシングIC124は、電極部11によって物体検知用の電界を発生させる。静電容量センシングIC124は、電極部11の静電容量値を算出する。静電容量センシングIC124は、算出された静電容量値の変化量を算出し、算出された変化量の累積値に基づいて、机2等に近接する人の有無を検知する。
【0039】
このような構成を備えることで、実施形態の在席検知装置1は、机2に近接する人が静止していても、僅かな動きを捉えることができ、工業製品等の動かない物体であると誤検知をすることなく人を検知することができる。これにより、在席検知装置1は、近接する人の有無をより精度高く検知することができる。
【0040】
前述の通り、一般的に、静電容量値の初期値は、静電容量型の近接センサが取り付けられる机の材質や厚さ等によって大きく異なり、適切な閾値はそれぞれ異なる。そのため、従来の静電容量型の近接センサでは、誤検知が生じることがある。一方、実施形態の在席検知装置1は、静電容量値の絶対値に基づいて判定を行うのではなく、静電容量値の変化量の累積値に基づいて判定を行う構成を備えるため、適切な閾値は、机の材質や厚さ等に影響されないという利点がある。これにより、実施形態の在席検知装置1は、誤検知の発生を低減させることができる。
【0041】
また、前述の通り、近接する人が存在する場合だけでなく、机の近傍に物が置かれた場合や、椅子が動いた場合でも静電容量値は大きく変化する。これにより、近接する人が存在していなくても静電容量値の絶対値が所定の閾値を超える場合がある。この場合、従来の静電容量型の近接センサでは、静電容量値の絶対値に基づいて判定がなされるため、近接する人が存在すると誤検知が生じる可能性がある。一方、実施形態の在席検知装置1は、静電容量値の絶対値に基づいて判定を行うのではなく、静電容量値の変化量の累積値に基づいて判定を行う構成を備える。そのため、実施形態の在席検知装置1では、数値振動を伴わない静電容量値の変化である場合には、近接する人が存在しないと判定する。これにより、実施形態の在席検知装置1は、例えば椅子等の工業製品等の移動によって生じた静電容量値の変化の場合には近接する人が存在しないと判定するため、誤検知の発生が防がれる。
【0042】
また、以上説明したように、実施形態の在席検知装置1では、電極として、より単純な製造工程で生産が可能な銅箔テープ111が用いられる。そのため、実施形態の在席検知装置1は、電極の生産コストをより低く抑えることができ、装置自体の価格をより低く抑えることができる。また、銅箔テープ111は、例えば銅線等と比べてより薄く形成することができ、机2等への貼り付けも容易であるという特徴を有する。これにより、実施形態の在席検知装置1は、導入コスト及び設置スペースをより削減することができる。
【0043】
上述した実施形態によれば、検知装置は、非接触型のセンサと、判定部とを備える。例えば、検知装置は、実施形態における在席検知装置1であり、非接触型のセンサは、実施形態における基板格納部12であり、判定部は、実施形態における静電容量センシングIC124である。非接触型のセンサは、電界への物体の進入に応じて変化する静電容量値を計測する。判定部は、センサによって計測された静電容量値の変化量に基づいて、近接する人が存在するか否かを判定する。
【0044】
なお、上記の検知装置において、判定部は、所定期間における静電容量値の変化量の累積値が閾値以上である場合に、近接する人が存在すると判定するようにしてもよい。
【0045】
なお、上記の検知装置において、判定部は、静電容量値が数値振動を伴って変化している場合に、近接する人が存在すると判定するようにしてもよい。
【0046】
なお、上記の検知装置は、電極部をさらに備えていてもよい。例えば、電極部は、実施形態における電極部11である。電極部は、電界を生成する。電極部は、銅箔テープによって構成される。例えば、銅箔テープは、実施形態における銅箔テープ111である。
【0047】
なお、上記の検知装置において、センサは、机の天板又は引き出しの下面、机の幕板の側面、又は机の袖箱の側面に設置されていてもよい。例えば、机は、実施形態における机2である。
【0048】
上述した各実施形態における基板23が実現する機能の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
1…在席検知装置、2…机、11…電極部、12…基板格納部、23…基板、111…銅箔テープ、112…絶縁テープ、121…上面部、122…下面部、123…基板、124…静電容量センシングIC、125…通信インターフェース