(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176782
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】フランジ継手構造
(51)【国際特許分類】
F16L 23/02 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F16L23/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095579
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】武田 悟
(72)【発明者】
【氏名】東海林 卓也
【テーマコード(参考)】
3H016
【Fターム(参考)】
3H016AA05
3H016AC02
3H016AD01
(57)【要約】
【課題】フランジ継手部からの流体の漏洩及び腐食を防止することができるフランジ継手構造を提供すること。
【解決手段】ボルト17及びナット18により締結された一対のフランジ3A,3Bからなるフランジ継手部3の外周を漏洩防止装置30により密封するとともに、一対のフランジ3A,3Bに形成された接続孔3c,3cを密封してなるフランジ継手構造1は、ボルト17の軸部17aに挿通され、接続孔3cを密封するシールワッシャ11と、ボルト17の軸部17aに挿通され、該軸部17aにおけるシールワッシャ11よりも端部側に配置される絶縁ワッシャ12と、ボルト17の軸部17a外周面を被覆する絶縁スリーブ14と、を備え、絶縁スリーブ14は、ボルト17の軸部17a外周面における接続孔3c、シールワッシャ11及び絶縁ワッシャ12にかけて軸方向に延設されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト及びナットにより締結された一対のフランジからなるフランジ継手部の外周を密封するとともに、前記一対のフランジに形成されたボルト挿通孔を密封するフランジ継手構造であって、
前記ボルトに挿通され、前記ボルト挿通孔を密封するシールワッシャと、
前記ボルトに挿通され、該ボルトの軸部における前記シールワッシャよりも端部側に配置される絶縁ワッシャと、
前記ボルトの軸部外周面を被覆する絶縁スリーブと、を備え、
前記絶縁スリーブは、前記ボルトの軸部外周面における前記ボルト挿通孔、前記シールワッシャ及び前記絶縁ワッシャにかけて軸方向に延設されていることを特徴とするフランジ継手構造。
【請求項2】
前記絶縁スリーブは、前記ボルトの軸部における雄ねじ部を除く胴部を被覆することを特徴とする請求項1に記載のフランジ継手構造。
【請求項3】
前記絶縁スリーブの外径は、前記雄ねじ部の外径と略同一であることを特徴とする請求項2に記載のフランジ継手構造。
【請求項4】
前記シールワッシャと前記絶縁ワッシャとの間に保護ワッシャが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフランジ継手構造。
【請求項5】
前記シールワッシャは、弾性部材からなるシール部材と、前記ボルトの軸部における前記シール部材よりも端部側に配置され、該シール部材よりも硬質の枠部材と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載のフランジ継手構造。
【請求項6】
前記ボルトの軸部における前記絶縁ワッシャよりも端部側に厚さ調整用ワッシャが配設されることを特徴とする請求項1に記載のフランジ継手構造。
【請求項7】
前記シールワッシャ、前記絶縁ワッシャ及び前記絶縁スリーブは、前記一対のフランジの両側に各々配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフランジ継手構造。
【請求項8】
前記絶縁スリーブは、前記ボルトの軸部に遊嵌状態で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のフランジ継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ継手部からの流体の漏洩及び腐食を防止するフランジ継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の流体管の端部や、内部流体を制御する弁などの配管部材の端部に形成されたフランジ部同士が接続されるフランジ継手部では、地震などの不測の外力や老朽化等の影響により、フランジ部同士の隙間から流体が漏洩する虞が生じることがある。
【0003】
このような流体の漏洩を防止する装置として、フランジ継手部の外周面に沿って配置される漏洩防止部材と、この漏洩防止部材を収容してフランジ継手部に外嵌される外嵌部材とから構成され、フランジ継手部の外周面に亘って密封することで漏洩を防止するとともに、フランジ部同士を接続するボルト及びナットの座面とフランジ部との間に配置したシールワッシャによりボルト挿通孔を密封して、ボルトを挿通するボルト挿通孔からの流体の漏洩を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6026122号公報(第5-6頁、第4-6図)
【特許文献2】特許第6105342号公報(第6頁、第3-4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、これらの流体管や配管部材は、それぞれの配管位置にて要求される構造強度や耐震性、耐候性、もしくは、コスト等に応じて種々の素材からなる管が適用されることがある。そして、接続されるフランジ部同士が、例えば、ステンレス鋼管とダクタイル鋳鉄管など互いに異種の金属材である場合、水等の内部流体を介した異種金属間の電位差により、金属材のフランジ同士で接続される電気的接触部に所謂ガルバニック腐食が発生し、その腐食領域が経年とともに増大して、これらフランジ部間から漏洩を生じる虞があった。
【0006】
上記特許文献1、2に記載のフランジ継手部にあっては、例えば、フランジ同士の対向面間にガスケット等の絶縁部材を配置することで異種金属間の電位差を原因とする腐食を防止しているが、ボルト及びナットやシールワッシャを構成する金属製の枠部材が金属材の場合、ボルトや枠部材を介してフランジ同士が電気的に接続することがあるため、ガルバニック腐食の発生を防止できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、フランジ継手部からの流体の漏洩及び腐食を防止することができるフランジ継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のフランジ継手構造は、
ボルト及びナットにより締結された一対のフランジからなるフランジ継手部の外周を密封するとともに、前記一対のフランジに形成されたボルト挿通孔を密封してなるフランジ継手構造であって、
前記ボルトの軸部に挿通され、前記ボルト挿通孔を密封するシールワッシャと、
前記ボルトの軸部に挿通され、該ボルトの軸部における前記シールワッシャよりも端部側に配置される絶縁ワッシャと、
前記ボルトの軸部外周面を被覆する絶縁スリーブと、を備え、
前記絶縁スリーブは、前記ボルトの軸部外周面における前記ボルト挿通孔、前記シールワッシャ及び前記絶縁ワッシャにかけて軸方向に延設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、ボルトの軸部におけるシールワッシャよりも端部側に絶縁ワッシャが配置されるとともに、ボルトの軸部外周面とボルト挿通孔、シールワッシャ及び絶縁ワッシャとの間に絶縁スリーブが介在することで、フランジとボルトとがシールワッシャを介して電気的に接続されることを回避できるため、フランジ継手部からの流体の漏洩及び腐食を防止することができる。
【0009】
前記絶縁スリーブは、前記ボルトの軸部における雄ねじ部を除く胴部を被覆することを特徴としている。
この特徴によれば、雄ねじ部を潰すことなく絶縁スリーブをボルトの外周に装着することができる。
【0010】
前記絶縁スリーブの外径は、前記雄ねじ部の外径と略同一であることを特徴としている。
この特徴によれば、フランジのボルト挿通孔へのボルトの挿通に支障をきたす虞がない。
【0011】
前記シールワッシャと前記絶縁ワッシャとの間に保護ワッシャが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、ボルト及びナットを締結したときにシールワッシャ及び絶縁ワッシャが損傷することを防止できる。
【0012】
前記シールワッシャは、弾性部材からなるシール部材と、前記ボルトの軸部における前記シール部材よりも端部側に配置され、該シール部材よりも硬質の枠部材と、から構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、ボルト及びナットを締結したときに枠部材によりシール部材がフランジにおけるボルト挿通孔の周縁部に押圧されるため、ボルト挿通孔からの流体の漏洩を防止できる。
【0013】
前記ボルトの軸部における前記絶縁ワッシャよりも端部側に厚さ調整用ワッシャが配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、絶縁ワッシャが絶縁スリーブより端部側に大きく突出し、ナットが雄ねじ部を除く胴部に配置されて締結できなくなることを回避できる。
【0014】
前記シールワッシャ、前記絶縁ワッシャ及び前記絶縁スリーブは、前記一対のフランジの両側に各々配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、一対のフランジ双方を絶縁できるため、絶縁効果を高めることができる。
【0015】
前記絶縁スリーブは、前記ボルトの軸部に遊嵌されていることを特徴としている。
この特徴によれば、ボルトの軸部が周方向に回転したときに絶縁スリーブは軸部に対し相対回転するので、シールワッシャとの密封性が損なわれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】漏洩防止装置が取付けられたフランジ継手部を示す一部破断正面図である。
【
図3】(a)は分割体の取付け工程(仮設置)を示す図、(b)は(a)のB-B断面図である。
【
図4】締結寸法が所定寸法未満の場合のフランジ継手構造を示す拡大断面図である。
【
図7】(a)は絶縁状態を説明するための説明図、(b)は(a)の変形例を示す説明図である。
【
図8】締結寸法が所定寸法以上の場合のフランジ継手構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るフランジ継手構造を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0018】
本発明の実施例に係るフランジ継手構造について、
図1~
図7に基づいて説明する。尚、以下の説明において、
図1の手前側をフランジ継手部の前方側(正面側)、奥側を後方側として説明する。
【0019】
図1に示すように、流体を上流側から下流側に輸送する既設の流体管1Aと流体管1Bとは、本発明の実施例としてのフランジ継手構造1により接続されている。尚、本実施例では、流体管1A,1B及び流路1c(
図4参照)内の流体は上水であるが、上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水などの液体の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0020】
流体管1A,1Bは断面視略円筒形状に形成され、流体管1A,1Bのうち一方の流体管はダクタイル鋳鉄製であって、内周面がエポキシ樹脂層(図示略)で被覆されている一方で、他方の流体管はステンレス鋼製であり、互いに異種の金属管にて構成されているため、後述するように絶縁状態で接続されている。
【0021】
尚、本発明に係る流体管1A,1Bは、互いに異種の金属管であれば、その他鋳鉄、鋼等の金属製であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層に限らず、例えば、モルタル等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0022】
図1,
図2及び
図3に示すように、流体管1A,1B各々の一端には、全周に亘り円環状のフランジ3A,3Bが径方向の外側に向けて突出して形成されている。流体管1A,1Bのフランジ3A,3Bには、管軸方向を向く接続孔3c(
図4参照)が周方向に複数形成されており、各接続孔3cに後述するボルト17を挿通してナット18を取付けて緊締することで、密封性を備えた締結部材7によりフランジ3A,3B同士が接続されている。
【0023】
締結部材7により管軸方向に締結された一対のフランジ3A,3Bから構成されるフランジ継手部3には、漏洩防止装置30がフランジ継手部3の外周に亘って密封して取付けられることで、フランジ継手部3における漏洩が防止されている。
【0024】
図1,
図2及び
図3に示すように、漏洩防止装置30は、フランジ継手部3の外周に上下から取付け可能な複数(本実施例では2つ)の分割体31A,31Bと、分割体31A,31B同士を接続(連結)して環状に構成するボルト・ナット32と、から主に構成される。尚、本実施例では、漏洩防止装置30は、上下2つの分割体31A,31Bにて構成されているが、3つ以上の分割体にて構成されてもよい。
【0025】
各分割体31A,31Bは、フランジ継手部3の外周に亘って密封する漏洩防止部材としてのパッキン33A,33Bと、パッキン33A,33Bを収容する溝部39(収容部)を有し、フランジ継手部3に外嵌される断面視略コ字形状をなす取付部材34A,34Bと、を備えている。
【0026】
次に、取付部材34A,34Bについて説明する。尚、上方の分割体31Aの取付部材34A及び下方の分割体31Bの取付部材34Bは略同一に構成されているため、以下においては取付部材34Bについて説明し、取付部材34Aの詳細な説明は省略する。
【0027】
図3(a),(b)に示すように、分割体31Bの取付部材34Bは、ダクタイル鋳鉄製であり、半円弧状をなす本体部35と、本体部35の両端部に設けられる接続部36,36と、を備えている。接続部36,36は、他方の取付部材34Aと接続する際に用いられ、本体部35の端部において径方向の外側に向けて突出するように形成されている。接続部36,36の径方向の外側には、ボルト・ナット32,32を挿通する貫通孔37が設けられ、径方向の内側には、パッキン33A,33Bが嵌合可能な嵌合部43,43が形成されている。尚、貫通孔37は、接続部36,36に対し垂直に設けられている。
【0028】
また、本実施例では、取付部材34B(取付部材34A)はダクタイル鋳鉄製とされていたが、材質は上記のものに限定されるものではなく、例えば、鋼製など、他の素材にて構成されていてもよい。
【0029】
次に、パッキン33A,33Bについて説明する。尚、上方の分割体31Aのパッキン33A及び下方の分割体31Bのパッキン33Bは略同一に構成されているため、以下においてはパッキン33Bについて説明し、パッキン33Aの詳細な説明は省略する。
【0030】
図3(a),(b)に示すように、分割体31Bのパッキン33Bは、スチレンブタジエンゴム等からなる弾性部材にて構成されており、半円弧状をなす本体部55と、本体部55の周方向の両端部に設けられ、他方のパッキン33Aと接続する際に用いられる接続部56,56と、を備えている。尚、パッキンは、弾性を有する部材であればよく、例えばニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム等であっても構わない。
【0031】
接続部56,56は、本体部55の端部において径方向の外側に向けて突出して形成され、取付部材34Bの嵌合部43に嵌合可能とされている。また、本体部55の一端部には、接続部56に対し周方向に突出する接続凸部55aが形成され、本体部55の他端部には、接続部56に対し周方向に凹む接続凹部55bが形成されている。つまり、一方は接続部56と接続凸部55aとから構成され、他方は接続部56と接続凹部55bとから構成されている。
【0032】
図3(a)に示すように、本体部55は、周方向に亘り略同じ断面形状を有しており、取付部材34Bの溝部39に嵌合される基部57と、基部57の中央部から内径方向に周方向に亘って膨出する断面視半円形状の第1膨出部58と、基部57から第1膨出部58を管軸方向に挟むように内径方向に周方向に亘って膨出する第2膨出部59,59と、を備えている。基部57の管軸方向の両側面には、凹部57a,57aが周方向に亘って形成されている。これら第1膨出部58及び第2膨出部59,59は、後述するようにフランジ3A,3Bの外周に亘って密封する密封部として機能する。
【0033】
そして、取付部材34A,34Bの溝部39にパッキン33A,33Bの本体部55を径方向の内側から押し込んで収容するとともに、取付部材34A,34Bの嵌合部43,43にパッキン33A,33Bの接続部56,56を配置することで、分割体31A,31Bが構成される。
【0034】
次いで、上下の分割体31A,31Bを互いに突き合わせ、取付部材34A,34Bの接続部36,36の貫通孔37にボルトを挿通してナットを螺合し、接続部36,36同士をボルト・ナット32,32により接続することで円環状に形成される。このとき、パッキン33A,33Bのうち一方の接続凸部55aと他方の接続凹部55bとが互いに周方向に圧接される。
【0035】
(漏洩防止装置の取付け工程)
次に、漏洩防止装置30の取付け工程について説明すると、まず、フランジ3A,3B同士を接続する既存の締結部材(ボルト・ナット、図示略)を取外し、後述する高い密封性を備えた締結部材7に1本ずつまたは数本ずつ交換する(
図3(a),(b)参照)。締結部材7は、フランジ3A,3Bの軸方向の両側に後述するシールワッシャ11,11が配設されることで接続孔3cからの漏洩が防止される。尚、締結部材7の詳細については後述する。また、新設配管へ締結部材7を取付ける際などにおいては、上記のように既存の締結部材を取外す工程は省略してもよい。
【0036】
次いで、各取付部材34A,34Bの溝部39にパッキン33A,33Bを収容して分割体31A,31Bを構成し、分割体31A,31Bをフランジ継手部3の外周に上下に配置する。そして、上方の分割体31Aを径方向の内側(下方)に向けて移動してフランジ継手部3の外周面3dの上半部に外嵌させ、下方の分割体31Bを径方向の内側(上方)に向けて移動してフランジ継手部3の外周面3dの下半部に外嵌させる。
【0037】
ここで、最も径方向の内側に膨出した第1膨出部58がフランジ3A,3Bの対向面3b,3bの間隙に挿入されていく。詳しくは、第1膨出部58の管軸方向の幅寸法は、フランジ3A,3Bの離間幅寸法よりも大きいため、フランジ3A,3Bの対向面3b,3bと外周面3d,3dとで形成されるエッジ部分に第1膨出部58が圧接されながらフランジ3A,3Bの対向面3b,3bの間隙に挿入される(
図4参照)。そのため、第1膨出部58におけるエッジ部分よりも外径側の部分(対向面3b,3bの間隙に挿入されていない部分)は、管軸方向に膨らむように弾性変形しながら(管軸方向の反力を得ながら)フランジ3A,3Bの対向面3b,3bの間隙に挿入されることとなり、これに伴い両側の第2膨出部59,59は管軸方向に位置決めされる。
【0038】
また、
図4に示すように、第1膨出部58は、周方向の両端側が中央部より先にフランジ3A,3Bの対向面3b,3bの間隙に挿入され、分割体31A,31Bの径方向の内側への移動に応じて、間隙に挿入される部分が周方向の中央部に向けて拡がっていく。第1膨出部58における間隙に挿入される部分が周方向の中央部に向けて拡がっていくと、第2膨出部59,59における周方向の両側が中央部より先にフランジ3A,3Bの外周面3d,3dに当接する。そして、分割体31A,31Bの径方向の内側への移動に応じて、径方向の外側に向けて押し潰されていくとともに、押し潰される部分が周方向の中央部に向けて拡がっていく。
【0039】
その後、上下の分割体31A,31Bの接続部36,36同士が近接したら、各々の貫通孔37にボルトを挿通してナットを螺合し、接続部36,36同士をボルト・ナット32,32により接続して仮設置した状態でボルト・ナット32,32を締付けて緊締すると、パッキン33A,33Bの一方の接続凸部55aと他方の接続凹部55bとが互いに周方向に嵌合して圧接されることで接続部56,56が密封状態で接続され、連続する環状のパッキンが構成される。
【0040】
このように、分割体31A,31Bの接続部36,36をボルト・ナット32,32により接続して該ボルト・ナット32,32を緊締することで、漏洩防止装置30がフランジ継手部3に固定される(
図1参照)。また、
図4に示すように、第1膨出部58によりフランジ3A,3Bの対向面3b,3b間とエッジ部分とに亘って密封することができるとともに、第2膨出部59,59によりフランジ3A,3Bの外周面3d,3dを密封することができる。つまり、フランジ3A,3Bの対向面3b,3bから外周面3d,3dに亘って面状に密封領域が形成されるため、フランジ継手部3の内部の流体圧力に対抗して漏洩を防止するための十分な密封力を得ることができ、また、取付部材34A,34Bを、パッキン33A,33Bを収容してフランジ3A,3Bに外嵌するだけで容易に施工することができる。
【0041】
また、第1膨出部58は、フランジ3A,3Bの対向面3b,3b間に対して管軸方向に圧接し、第2膨出部59,59は、フランジ3A,3Bの外周面3d,3dに対して径方向に圧接する。すなわち、第1膨出部58と第2膨出部59,59とがそれぞれ独立しているため、種々の方向からの内部流体の圧力に対抗することができる。
【0042】
(フランジ継手構造)
図4に示すように、フランジ3A,3Bの対向面3b,3bにおける開口周囲に円環状に形成された突部3e,3e間には、止水機能を有する絶縁ガスケット9が設けられている。絶縁ガスケット9は、樹脂もしくはゴム材等の弾性材からなる円環状リングであり、流体管1A,1Bを隔離して絶縁する他、使用時において、土圧等に対し柔軟性を保ち、土圧により生じる接続部の位置ずれ等に起因する漏水を防止する機能を有している。
【0043】
フランジ3A,3Bを締結する締結部材7は、ボルト17と、ボルト17に螺入可能なナット18と、シールリング11a及びシールリングゴム11bからなるシールワッシャ11と、絶縁ワッシャ12と、該絶縁ワッシャ12を保護する保護ワッシャ12a,12bと、環状のスペーサ13と、ボルト17の軸部外周面に装着される絶縁スリーブ14と、を主に有している。
【0044】
ボルト17、ナット18、シールリング11a、スペーサ13及び保護ワッシャ12a,12bは、ステンレス材などの金属材からなり、シールリングゴム11bは、ゴム材等の絶縁性を有する弾性材からなり、絶縁ワッシャ12は、ガラス繊維入りエポキシ樹脂からなり、絶縁スリーブ14は、フッ素樹脂からなる。
【0045】
尚、ボルト17、ナット18、シールリング11a、スペーサ13及び保護ワッシャ12a,12bの材質はステンレス材に限定されるものではなく、上記以外の金属材または樹脂材等でもよい。また、シールリングゴム11bの材質は、弾性を有するゴム材であれば種類は限定されるものではない。また、絶縁ワッシャ12及び絶縁スリーブ14の材質は上記樹脂材に限定されるものではなく、絶縁性を有する樹脂材であれば上記以外のポリエチレン樹脂やポリアセタール樹脂等でもよい。
【0046】
図5に示すように、ボルト17は、円柱状の軸部17aと、軸部17aの基端側に設けられる頭部17bと、から構成されている。軸部17aの先端側の外周面には雄ねじ部17cが形成されているとともに、軸部17aの外周面における雄ねじ部17cを除く部分は、雄ねじ部が形成されておらず軸方向に一定の外径の胴部17dとされている。
【0047】
胴部17dの外径寸法L1は、雄ねじ部17cの山の外径寸法L2よりも小寸であるとともに(L1<L2)、雄ねじ部17cの谷の径寸法L3と略同寸である(L1≒L3)。絶縁スリーブ14の外径寸法L11は、雄ねじ部17cの山の外径寸法L2と略同寸であるとともに(L11≒L2)、絶縁スリーブ14の厚さ寸法L12は、ねじ山の高さ寸法L4と略同寸である(L12≒L4)。尚、厚さ寸法L12は、ねじ山の高さ寸法L4より若干短寸でもよい(L12<L4)。また、絶縁スリーブ14の長さ寸法L13は、胴部17dの長さ寸法L5と略同寸である(L13≒L5)。
【0048】
絶縁スリーブ14は弾性を有し、周方向に無端の円筒状に形成されており、軸部17aの先端側から弾性拡径させて雄ねじ部17cの外周を滑らせて頭部17b側に向けて軸方向に圧入され、雄ねじ部17cを超えると弾性復元して胴部17dの外周面を被覆するように装着される。絶縁スリーブ14の装着状態において、軸方向の一端面は頭部17bに当接するとともに、他端面は雄ねじ部17cの終端部17eに当接することで軸方向への移動が規制されている。また、絶縁スリーブ14の装着状態において、その内周面は胴部17dの外周面に隙間なく当接若しくは密接している。
【0049】
本実施例では、胴部17dの外径寸法L1を雄ねじ部17cの外径寸法L2よりも小寸とし、装着された絶縁スリーブ14の外径寸法L11が雄ねじ部17cの外径寸法L2と略同寸としている。よって、胴部17dに装着された絶縁スリーブ14の外径寸法L11が雄ねじ部17cの外径寸法L2よりも大寸となって接続孔3cに挿通しにくくなることがない。また、絶縁スリーブ14の厚さ寸法L12を小寸にしなくて済むため、絶縁スリーブ14が破損しやすくなったり、絶縁効果が低下することを抑制できる。
【0050】
また、ボルト17は、雄ねじ部17cを軸部17aの長手方向にわたり全面に形成することなく、胴部17dの長さ寸法L13を、雄ねじ部17cの長さ寸法L14よりも長寸としている(L13>L14)。このように雄ねじ部17cを極力短くし、絶縁スリーブ14による絶縁領域を長くすることで絶縁効果を高めている。また、シールワッシャ11のシールリングゴム11bを雄ねじ部17cの外周に装着すると、雄ねじ部17cの谷とシールリングゴム11bとの間に隙間が生じて流体の漏洩の防止が困難となる場合があるため、シールリングゴム11bは、雄ねじ部17cでなく、胴部17dに装着した絶縁スリーブ14の外周に密接させることが好ましい。
【0051】
図6に示すように、シールワッシャ11は、ボルト17の軸部17aに挿通可能な孔部11eが形成された円環部11cと、円環部11cの外周縁から軸方向に延設される筒状部11dと、から円環状に構成され、シールリングゴム11bの一部を収容可能に形成されている。シールリングゴム11bは、ボルト17の軸部17aに挿通可能な孔部11fが形成されているとともに、一方の側面における孔部11fの周囲には突部11gが軸方向に突設されており、装着時に接続孔3c内に入り込んで密封状態が高まるようになっている。
【0052】
絶縁ワッシャ12及び保護ワッシャ12a,12bは、ボルト17の軸部17aに挿通可能な孔部12c,12dが形成されている。また、絶縁ワッシャ12及び保護ワッシャ12a,12bの外径、内径及び軸方向の厚み寸法は略同寸に形成されているが、絶縁ワッシャ12と保護ワッシャ12a,12bとで厚み寸法等が異なっていてもよい。
【0053】
スペーサ13は、ボルト17の軸部17aに挿通可能な孔部13aが形成されるとともに、所定の厚み寸法L25を有している。そして、フランジ3A,3Bの外側面間の締結寸法L21を実測し、実測値に応じてスペーサ13を用いるか否かを決定することで、ナット18を雄ねじ部17cに螺合させた状態でフランジ3A,3B同士を締結できるようになっている。
【0054】
具体的には、フランジ3A,3Bの外側面間の締結寸法L21が所定寸法L20未満である場合(L21<L20)、
図4に示すように、2個のスペーサ13を両側に配置することで、ナット18を雄ねじ部17cに螺合させた状態でフランジ3A,3B同士を締結することができる。尚、締結寸法L21がもう少し長寸である場合にはスペーサ13を1個のみ配置することでナット18を雄ねじ部17cに螺合させることができるし、締結寸法L21がより短寸である場合にはスペーサ13を3個以上配置することでナット18を雄ねじ部17cに螺合させることができる。一方、フランジ3A,3Bの外側面間の締結寸法L22が所定寸法L20以上である場合(L22≧L20)、
図8に示すように、スペーサ13を用いなくても、ナット18を雄ねじ部17cに螺合させた状態で締結することができる。
【0055】
次に、フランジ3A,3B同士を接続する既存の締結部材(ボルト・ナット、図示略)を取外し、本実施例の締結部材7を取付ける場合について説明する。
【0056】
図6に示すように、まず、ボルト17の軸部17aに、スペーサ13、保護ワッシャ12b、絶縁ワッシャ12、保護ワッシャ12a、シールリング11a、シールリングゴム11bの順に各部材を挿通して取付ける。
【0057】
次いで、ボルト17の軸部17aをフランジ3A,3Bの接続孔3c,3cに挿入し、フランジ3Bの接続孔3cから突出した軸部17aに、今度は逆に、シールリングゴム11b、シールリング11a、保護ワッシャ12a、絶縁ワッシャ12、保護ワッシャ12b、スペーサ13の順に各部材を挿通して取付け、最後に、ナット18を雄ねじ部17cに螺入して締付ける。
【0058】
締結部材7を構成する複数のボルト17及びナット18の締付け管理は、周方向に偏った締結にならないように注意しながら、必要に応じてトルクレンチ等の工具や治具を用いて、所定の締付けトルク(例えばボルトの呼び径M20の場合、100N・m)まで均等に締付けることが望ましい。
【0059】
このように構成された締結部材7により、フランジ3A,3B同士は絶縁状態で締結される(
図4参照)。詳しくは、
図7(a)に示すように、ナット18を締付けることにより、スペーサ13、保護ワッシャ12b、絶縁ワッシャ12、保護ワッシャ12a、シールリング11a及びシールリングゴム11bがフランジ3A,3B側に向けて軸方向に押圧される。これにより、シールリングゴム11bがシールリング11aによりフランジ3A,3Bの外側面における接続孔3cの周縁近傍に密接するとともに、突部11gが接続孔3c内に押し込まれ、また、絶縁スリーブ14の外周に密着するため、接続孔3cとボルト17の絶縁スリーブ14との間が密封されて漏洩が防止される。
【0060】
また、絶縁スリーブ14は、ボルト17の軸部17aの外周面における接続孔3c、シールワッシャ11、保護ワッシャ12a、絶縁ワッシャ12、保護ワッシャ12b、スペーサ13にかけて軸方向に延設されている。より詳しくは、接続孔3cにおける対向面3b側の周縁からスペーサ13の孔部13a内まで延びるように設けられている。
【0061】
ここで、フランジ3A,3Bの接続孔3cの内周面とボルト17の軸部17aの外周面との間に絶縁スリーブ14が介在していることで、フランジ3A,3Bとボルト17の軸部17aとが直接または流体を介して電気的に接触(以下、単に接触と称する)する導通ルートR1が絶縁される。尚、シールリングゴム11bは、流体の漏洩を防止しつつ、接続孔3c及びシールリング11aと絶縁スリーブ14とを絶縁している。
【0062】
また、ナット18を締付けることで、シールリング11aの筒状部11dがフランジ3A,3Bの外側面に接触するが、シールリング11aの孔部11eの内周面とボルト17の軸部17aの外周面との間に絶縁スリーブ14が介在していることで、フランジ3A,3Bとボルト17の軸部17aとがシールリング11aを介して間接的に接触する導通ルートR2が絶縁される。
【0063】
また、保護ワッシャ12aの孔部12dの内周面とボルト17の軸部17aの外周面との間に絶縁スリーブ14が介在していることで、フランジ3A,3Bとボルト17の軸部17aとが、シールリング11a及び保護ワッシャ12aを介して間接的に接触する導通ルートR3が絶縁される。
【0064】
また、保護ワッシャ12aと保護ワッシャ12bとの間に絶縁ワッシャ12が介在していることで、フランジ3A,3Bとボルト17の軸部17aとが、シールリング11a、保護ワッシャ12a,12b、スペーサ13またはナット18を介して間接的に接触する導通ルートR5,R6が絶縁される。
【0065】
このように、ボルト17の軸部17aの外周面と、フランジ3A,3Bの接続孔3cの内周面、シールリング11aの孔部11e、保護ワッシャ12a,12bの孔部12d及びスペーサ13の孔部13aと、の間に絶縁スリーブ14が介在することで、径方向の導通ルートR1~R3が絶縁されるとともに、フランジ3Bとナット18の間におけるシールリング11aより軸部17aの先端側及びフランジ3Aと頭部17bの間におけるシールリング11aより軸部17aの基端側に絶縁ワッシャ12,12が介在することで、軸方向の導通ルートR5,R6が絶縁される。
【0066】
つまり、絶縁スリーブ14の長手方向の所定位置に絶縁ワッシャ12,12が直交するように配置されることで、径方向の導通ルートR1~R3だけでなく、軸方向の導通ルートR5,R6も遮断されて絶縁状態となるので、フランジ3A,3B同士がボルト17及びナット18を介して接触することを防止できる。
【0067】
尚、本実施例では、絶縁スリーブ14は、ボルト17の軸部17aの外周面における接続孔3c、シールワッシャ11、保護ワッシャ12a、絶縁ワッシャ12、保護ワッシャ12b、スペーサ13にかけて軸方向に延設されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図7(b)に示すように、少なくともボルト17の軸部17aの外周面における接続孔3c、シールワッシャ11、保護ワッシャ12a、絶縁ワッシャ12にかけて軸方向に延設されていれば、上記導通ルートR1~R6を絶縁することができる。
【0068】
(作用・効果)
以上説明したように、本発明の実施例としてのフランジ継手構造1にあっては、ボルト17及びナット18により締結された一対のフランジ3A,3Bからなるフランジ継手部3の外周を漏洩防止装置30により密封するとともに、一対のフランジ3A,3Bに形成された接続孔3c,3cを密封してなり、ボルト17の軸部17aに挿通され、接続孔3cを密封するシールワッシャ11と、ボルト17の軸部17aに挿通され、該軸部17aにおけるシールワッシャ11よりも端部側に配置される絶縁ワッシャ12と、ボルト17の軸部17aの外周面を被覆する絶縁スリーブ14と、を備え、絶縁スリーブ14は、ボルト17の軸部17aの外周面における接続孔3c、シールワッシャ11及び絶縁ワッシャ12にかけて軸方向に延設されている。
【0069】
これによれば、ボルト17の軸部17aにおけるシールワッシャ11よりも端部側に絶縁ワッシャ12が配置されるとともに、ボルト17の軸部17aの外周面と接続孔3c、シールワッシャ11及び絶縁ワッシャ12との間に絶縁スリーブ14が介在することで、フランジ3A,3Bとボルト17とがシールワッシャ11を介して電気的に接続されることを回避できるため、フランジ継手部3からの流体の漏洩及び腐食を防止することができる。
【0070】
また、絶縁スリーブ14は、ボルト17の軸部17aにおける雄ねじ部17cを除く胴部17dを被覆することで、雄ねじ部17cを潰すことなく絶縁スリーブ14をボルト17の外周に装着することができる。
【0071】
また、絶縁スリーブ14の外径寸法L11は、雄ねじ部17cの外径寸法L2と略同一であることで、フランジ3A,3Bの接続孔3cへのボルト17の挿通に支障をきたす虞がない。
【0072】
また、シールワッシャ11と絶縁ワッシャ12との間に保護ワッシャ12aが設けられていることで、ボルト17及びナット18を締結したときにシールワッシャ11及び絶縁ワッシャ12が損傷することを防止できる。
【0073】
また、シールワッシャ11は、弾性部材からなるシール部材としてのシールリングゴム11bと、ボルト17の軸部17aにおけるシールリングゴム11bよりも端部側に配置され、該シールリングゴム11bよりも硬質の枠部材としてのシールリング11aと、から構成されることで、ボルト17及びナット18を締結したときにシールリング11aによりシールリングゴム11bがフランジ3A,3Bにおける接続孔3cの周縁部に押圧されるため、接続孔3cからの流体の漏洩を防止できる。
【0074】
また、ボルト17の軸部17aにおける絶縁ワッシャ12よりも端部側に厚さ調整用ワッシャとしてのスペーサ13が配設されることで、絶縁ワッシャ12が絶縁スリーブ14より端部側に大きく突出し、ナット18が雄ねじ部17cを除く胴部17dに配置されて締結できなくなることを回避できる。
【0075】
また、シールワッシャ11、絶縁ワッシャ12及び絶縁スリーブ14は、一対のフランジ3A,3Bの軸方向の両側に各々配置されていることで、一対のフランジ3A,3B双方を絶縁できるため、絶縁効果を高めることができる。
【0076】
尚、本実施例では、シールワッシャ11、絶縁ワッシャ12及び絶縁スリーブ14が、一対のフランジ3A,3Bの軸方向の両側、つまり、フランジ3Aとボルト17の頭部17bとの間及びフランジ3Bとナット18との間各々に配置されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シールワッシャ11、絶縁ワッシャ12及び絶縁スリーブ14は、フランジ3Aとボルト17の頭部17bとの間及びフランジ3Bとナット18との間のうち少なくもいずれか一方に配置されていれば、必ずしもフランジ3A,3Bの軸方向の両側に配置されなくてもよい。つまり、絶縁スリーブ14も胴部17dにおける頭部17b側またはナット18側の半分の領域にのみ設けられていればよい。
【0077】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0078】
例えば、前記実施例では、絶縁スリーブ14は、ボルト17の軸部17aにおける胴部17dに圧入されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、胴部17dに遊嵌するようにしてもよい。このようにすることで、ナット18を締付ける際にボルト17の軸部17aが周方向に回転した場合、絶縁スリーブ14が軸部17aに対し相対回転するだけで、シールリングゴム11bの絶縁スリーブ14に対する相対回転が防止されるため、シールワッシャ11との密封性が損なわれることを防止できる。
【0079】
また、前記実施例では、フランジ継手部3を構成するフランジ3A,3Bは、流体管1A,1Bの一端に外径方向に突設されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フランジは流体管に設けられるものだけでなく、流体管1A,1B等に接続される接続部材(例えば、筐体、作業弁、仕切弁、プラグ、空気弁、補修弁等)など、流路の少なくとも一部を構成する流体管や接続部材を含む様々な流路構成部材に形成されるフランジ等であってもよい。
【0080】
また、前記実施例では、締結部材7として、ボルト17、ナット18、シールリング11a及びシールリングゴム11bからなるシールワッシャ11、絶縁ワッシャ12、保護ワッシャ12a,12b、スペーサ13、絶縁スリーブ14、を主に有している形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくともボルト17、ナット18、シールワッシャ11、絶縁ワッシャ12及び絶縁スリーブ14を有していれば、必ずしも保護ワッシャ12a,12bやスペーサ13は備えていなくてもよい。また、保護ワッシャ12a,12bやスペーサ13以外の部材を備えていてもよい。
【0081】
また、前記実施例では、絶縁スリーブ14は、雄ねじ部17cが形成されていない胴部17dの外周面の略全面に装着される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、胴部17dの外周面の一部に装着されてもよいし、あるいは雄ねじ部17cの外周面に一部がかかるように装着されていてもよい。また、絶縁スリーブとして、加熱することにより収縮して装着される熱収縮チューブ等を適用してもよい。このように、本発明の絶縁スリーブとして熱収縮チューブを適用することで、熱収縮する前の大径の当該チューブをボルト17の雄ねじ部17cと接触することなく胴部17dまで挿入でき、その後に当該チューブを熱収縮させて胴部17dに隙間なく密接させることができる。
【0082】
また、前記実施例では、フランジ継手部3の外周が漏洩防止装置30にて密封されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、漏洩防止装置30以外の密封手段により密封されていてもよい。また、ボルト挿通孔としての接続孔3cはシールリングゴム11bにより密封される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シールリングゴム11b以外の漏洩防止部材により密封されていてもよい。つまり、漏洩防止装置30やシールリングゴム11bの形態等は任意であり、種々に変形可能である。