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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176784
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20241212BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20241212BHJP
   B01D 61/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61M1/16 161
C02F1/44 J
B01D61/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095582
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】593061891
【氏名又は名称】日本ウォーターシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】上原 崇史
(72)【発明者】
【氏名】津山 義生
(72)【発明者】
【氏名】和田 順
【テーマコード(参考)】
4C077
4D006
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD14
4C077EE03
4C077GG10
4D006GA03
4D006GA06
4D006HA91
4D006JA14Z
4D006JA18Z
4D006JA25Z
4D006JA53Z
4D006JA68Z
4D006KA01
4D006KA15
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA57
4D006KB11
4D006KB12
4D006KB14
4D006KE16P
4D006KE16Q
4D006PA01
4D006PB05
4D006PB06
4D006PC44
(57)【要約】
【課題】 ポンプの交換作業を比較的容易に実施することができる水処理装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュールと、前記原水を前記ROモジュールへ供給するROポンプと、前記RO水を貯留するRO水タンクと、前記RO水タンクから前記RO水を送出する送水ポンプと、前記ROモジュール、前記ROポンプ、前記RO水タンク及び前記送水ポンプの周囲を取り囲むフレーム枠体と、を備え、前記送水ポンプは、前記フレーム枠体の第1外側面に対して出没可能な第1スライド可能床に設置されていることを特徴とする水処理装置である。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュールと、
前記原水を前記ROモジュールへ供給するROポンプと、
前記RO水を貯留するRO水タンクと、
前記RO水タンクから前記RO水を送出する送水ポンプと、
前記ROモジュール、前記ROポンプ、前記RO水タンク及び前記送水ポンプの周囲を取り囲むフレーム枠体と、
を備え、
前記送水ポンプは、前記フレーム枠体の第1外側面に対して出没可能な第1スライド可能床に設置されている
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記ROモジュールは、前記フレーム枠体の前記第1外側面とは異なる第2外側面に対して出没可能な第2スライド可能床に設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記原水を一時的に貯留する原水タンクと、
前記原水を軟水化処理する軟水装置と、
前記原水を前記原水タンクから前記軟水装置へ供給する原水ポンプと、
を更に備え、
前記原水ポンプも、前記第1スライド可能床に設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記軟水装置は、前記フレーム枠体の前記第1外側面とは異なる第3外側面に対して出没可能な第3スライド可能床に設置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記原水を一時的に貯留する原水タンクと、
前記原水を軟水化処理する軟水装置と、
前記原水を前記原水タンクから前記軟水装置へ供給する原水ポンプと、
を更に備え、
前記原水ポンプも、前記第1スライド可能床に設置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記軟水装置は、前記フレーム枠体の前記第1外側面及び前記第2外側面とは異なる第3外側面に対して出没可能な第3スライド可能床に設置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析治療に用いられる人工透析用水等を製造するための水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人工透析用水製造装置について、図11を用いて説明する。図11に示すように、人工透析用水は、典型的には水道水や井戸水である原水から製造される。
【0003】
原水は、まず、原水タンク51に貯留される。原水タンク51の内部には、加温用ヒータ51hが設けられていて、原水の温度を一般的に25℃にまで加温する。原水の温度が25℃よりも低いままでは、後続の装置内において、原水中のシリカ成分等が析出して不具合を発生させるおそれがあるからである。
【0004】
25℃に加温された原水は、次に、原水ポンプ52によって前処理ユニット53に送られる。前処理ユニット53は、原水フィルタ53aと、軟水装置53bと、カーボンフィルタ53cと、を当該順序で有している。原水フィルタ53aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過し、軟水装置53bは、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去し、カーボンフィルタ53cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0005】
前処理ユニット53での前処理が終わった原水は、ROユニット54(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット54は、ROポンプ54pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール54mに供給する。ROモジュール54mは、原水に含まれる無機イオン全般を除去する。ROモジュール54mでの処理を終えたRO水(原水の50~75%程度)は、RO水供給ユニット55に送られ、ROモジュール54mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ54pを介してROモジュール54mに再投入され、他の一部(原水の25~50%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理される。
【0006】
RO水供給ユニット55は、RO水が貯留されるRO水タンク55tを有している。RO水タンク55tの内部には、紫外線殺菌装置55uが設けられていて、RO水にUV照射処理を行なえるようになっている。また、RO水タンク55tには、当該RO水タンク55t内のRO水の水位変化に依存して流入する外部空気中の浮遊菌やゴミを除去するために、エアーフィルタ55fが設けられている。
【0007】
RO水タンク55t内に貯留されたRO水は、送水ポンプ56を介して、UF57(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に送られる。UF57は、RO水から生物学的不純物を除去する。UF57によって生物学的不純物を除去されたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器に送られる。通常、それらの医療機器において、透析用水は36℃前後にまで加温されて、各種の透析治療に利用される。そして、透析用水は、医療機器で使用され、未使用分が、UF58(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に戻ってきて、更にRO水タンク55tに戻される。
【0008】
図11に示す以上のような人工透析用水製造装置は、すでに実用化されていて、透析治療のための人工透析用水を安定的に製造している。
【0009】
その他、特許文献1は、人工透析用水中の細菌由来のDNA断片を簡単な設備、操作で効率よく除去できる方法及び浄化装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-279461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本件出願人は、図11に示す人工透析用水製造装置を製造する製造メーカーである。そして、本件発明者は、図11の人工透析用水製造装置を更に改良することについて、鋭意検討を重ねてきた。
【0012】
図11に示す人工透析用水製造装置の概略平面図を、図12に示す。図12の上側が、装置の正面側に相当し、図12の下側が、装置の裏面側に相当する。図12に示すように、当該装置の主要な構成要素の全て(原水タンク51、原水ポンプ52、原水フィルタ53a、軟水装置53b、カーボンフィルタ53c、ROモジュール54m(2本のROモジュール54mが直列接続されている(配置は並列である))、ROポンプ54p、RO水タンク55t、及び、送水ポンプ56)が、フレーム枠体60によって取り囲まれている。
【0013】
通常運転時、フレーム枠体60の正面、左面、右面、裏面及び上面には、対応するパネル板が装着されていて、デザイン性と合わせて、ポンプなどの騒音を低減するようになっている。一方、装置メンテナンス時には、左面、右面及び裏面のパネル板が、取り外されるようになっている。
【0014】
図12に示すように、3台のポンプ(原水ポンプ52が1台、送水ポンプ56が2台)は、装置の裏面側に集約的に配置され、フレーム枠体60に固定された床板61上に固定されている。
【0015】
3台のポンプ52、56の近傍の様子を、図13乃至図15に示す。図13乃至図15に示すように、ポンプ52、56の周囲の空間は比較的狭い。このため、例えば各ポンプ52、56を交換するために、当該ポンプ52、56を接続配管から取り外し(取り付け)、更に当該ポンプ52、56を床板61から取り外す(取り付ける)作業が、容易であるとは言い難い。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、ポンプの交換作業を比較的容易に実施することができる水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュールと、前記原水を前記ROモジュールへ供給するROポンプと、前記RO水を貯留するRO水タンクと、前記ROタンクから前記RO水を送出する送水ポンプと、前記ROモジュール、前記ROポンプ、前記RO水タンク及び前記送水ポンプの周囲を取り囲むフレーム枠体と、を備え、前記送水ポンプは、前記フレーム枠体の第1外側面に対して出没可能な第1スライド可能床に設置されていることを特徴とする水処理装置である。
【0018】
本発明によれば、送水ポンプが、フレーム枠体の第1外側面(例えば裏面の一部)に対して出没可能な第1スライド可能床に設置されていることにより、送水ポンプに対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際、第1スライド可能床をフレーム枠体の第1外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【0019】
また、本発明において、前記ROモジュールは、前記フレーム枠体の前記第1外側面とは異なる第2外側面に対して出没可能な第2スライド可能床に設置されていることが好ましい。
【0020】
これによれば、ROモジュールが、フレーム枠体の第1外側面とは異なる第2外側面(例えば裏面の他の一部)に対して出没可能な第2スライド可能床に設置されていることにより、ROモジュールに対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際、第2スライド可能床をフレーム枠体の第2外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【0021】
また、本発明の水処理装置は、前記原水を一時的に貯留する原水タンクと、前記原水を軟水化処理する軟水装置と、前記原水を前記原水タンクから前記軟水装置へ供給する原水ポンプと、を更に備え、前記原水ポンプも、前記第1スライド可能床に設置されていることが好ましい。
【0022】
これによれば、原水ポンプに対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際においても、第1スライド可能床をフレーム枠体の第1外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【0023】
また、前記軟水装置は、前記フレーム枠体の前記第1外側面とは異なる第3外側面に対して出没可能な第3スライド可能床に設置されていることが更に好ましい。
【0024】
あるいは、前記軟水装置は、前記フレーム枠体の前記第1外側面及び前記第2外側面とは異なる第3外側面に対して出没可能な第3スライド可能床に設置されていることが更に好ましい。
【0025】
これによれば、軟水装置に対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際、第3スライド可能床をフレーム枠体の第3外側面(例えば右面または左面)から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、送水ポンプに対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際、第1スライド可能床をフレーム枠体の第1外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る水処理装置の概略説明図である。
図2図1の水処理装置の概略正面図である。
図3図1の水処理装置の裏側の概略斜視図である。
図4】右側及び裏側のパネル板を取り外した状態での、図3に対応する概略斜視図である。
図5】各スライド可動床が引き出された状態での、図4に対応する概略斜視図である。
図6図1の水処理装置の概略平面図である。
図7図5のポンプ近傍の拡大斜視図(裏面側から見て斜め上からの斜視図)である。
図8図5のポンプ近傍の拡大斜視図(裏面側から見て斜め左からの斜視図)である。
図9図5のポンプ近傍の拡大斜視図(裏面側から見て斜め右からの斜視図)である。
図10】スライド可能床の一例の写真であって、図10(a)は収納された状態を示し、図10(b)は引き出された状態を示す。
図11】従来の人工透析用水製造装置の概略説明図である。
図12図11の水処理装置の概略平面図である。
図13図11の水処理装置のポンプ近傍の拡大斜視図(裏面側から見て斜め上からの斜視図)である。
図14図11の水処理装置のポンプ近傍の拡大斜視図(裏面側から見て斜め左からの斜視図)である。
図15図11の水処理装置のポンプ近傍の拡大斜視図(裏面側から見て斜め右からの斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
(基本構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る水処理装置の概略説明図である。図1に示すように、本実施形態の水処理装置10は、原水が貯留されると共に当該原水を加温する加温ヒータ11hが設けられた原水タンク11と、原水タンク11内の調温された原水を前処理する前処理ユニット13と、前処理ユニット13によって前処理された原水に対して逆浸透膜(RO膜)を用いて当該原水をRO水とRO排水とに分離するROモジュール14m(2本のROモジュール14mが直列接続されている(配置は並列である))と、を備えている。
【0030】
本実施形態では、原水として水道水が用いられるようになっている。水道水である原水は、原水タンク11において貯留されるようになっている。原水タンク11には原水タンク温度センサ11sが設けられている。
【0031】
25℃~33℃に調温された原水は、原水ポンプ12によって前処理ユニット13に送られるようになっている。前処理ユニット13は、原水フィルタ13aと、軟水装置13bと、カーボンフィルタ13cと、を当該順序で有している。原水フィルタ13aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過するようになっており、軟水装置13bは、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去するようになっており、カーボンフィルタ13cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去するようになっている。
【0032】
前処理ユニット13での前処理が終わった原水は、ROユニット14(逆浸透膜処理装置)に送られるようになっている。ROユニット14は、ROポンプ14pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール14mに供給するようになっている。ROモジュール14mは、原水に含まれる無機イオン全般を除去するようになっている。ROモジュール14mでの処理を終えたRO水(原水の50~75%程度)は、RO水供給ユニット15に送られるようになっており、ROモジュール14mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ14pを介してROモジュール14mに再投入されるようになっており、他の一部(原水の25~50%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理されるようになっている。
【0033】
RO水供給ユニット15は、RO水が貯留されるRO水タンク15tを有している。RO水タンク15tの内部には、紫外線殺菌装置15uが設けられていて、RO水にUV照射処理を行なえるようになっている。また、RO水タンク15tには、当該RO水タンク15t内のRO水の水位変化に依存して流入する外部空気中の浮遊菌やゴミを除去するために、エアーフィルタ15fが設けられている。
【0034】
RO水タンク15t内に貯留されたRO水は、送水ポンプ16(2台の送水ポンプ16が並列接続されている(配置も並列である))を介して、UF17(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に送られるようになっている。UF17は、RO水から生物学的不純物を除去するようになっている。UF17によって生物学的不純物を除去されたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器(不図示)に送られるようになっている。通常、それらの医療機器において、透析用水は各種の透析治療に利用される。そして、透析用水は、医療機器で使用され、未使用分が、UF18(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に戻ってきて、更にRO水タンク15tに戻されるようになっている。
【0035】
(レイアウト)
図2は、図1の水処理装置10の概略正面図であり、図3は、図1の水処理装置10の裏側の概略斜視図である(例えば、高さ1800mm、幅1270mm、奥行き1000mm)。図4は、右側及び裏側のパネル板22を取り外した状態での、図3に対応する概略斜視図である。
【0036】
図2乃至図4に示すように、水処理装置10の主要な構成要素の全て(原水タンク11、原水ポンプ12、原水フィルタ13a、軟水装置13b、カーボンフィルタ13c、ROモジュール14m(2本のROモジュール14mが直列接続されている(配置は並列である))、ROポンプ14p、RO水タンク15t、及び、送水ポンプ16)が、フレーム枠体20によって取り囲まれている。
【0037】
通常運転時、フレーム枠体20の正面、左面、右面、裏面及び上面には、対応するパネル板22が装着されていて、デザイン性と合わせて、ポンプなどの騒音を低減するようになっている。一方、装置メンテナンス時には、左面、右面及び裏面のパネル板22が、取り外されるようになっている。
【0038】
図4に示すように、3台のポンプ(原水ポンプ12が1台、送水ポンプ16が2台)は、装置の裏面の裏面側から見て右側に集約的に配置され、フレーム枠体20の第1外側面(裏面の裏面側から見て右側)に対して出没可能な第1スライド可能床31(例えば、幅530mm×奥行き410mm)に設置されている。
【0039】
また、ROモジュール14m(並列配置された2本のROモジュール14m)が、装置の裏面の裏面側から見て左側に配置され、フレーム枠体20の第2外側面(裏面の裏面側から見て左側)に対して出没可能な第2スライド可能床32に設置されている。
【0040】
更に、軟水装置13bが、装置の正面側から見て右面に配置され、フレーム枠体20の第3外側面(正面側から見て右面)に対して出没可能な第3スライド可能床33に設置されている。
【0041】
図5は、各スライド可動床31~33が引き出された状態での、図4に対応する概略斜視図である。また、図6は、図1の水処理装置10の概略平面図である。
【0042】
スライド可動床31が引き出された状態での3台のポンプ12、16の近傍の様子を、図7乃至図9に示す。スライド可動床31が収納された状態では、図13乃至図15に示すのと概ね同様に、ポンプ12、16の周囲の空間は比較的狭い。これに対して、スライド可動床31が引き出された状態では、図7乃至図9に示すように、ポンプ12、16の周囲の空間は比較的広くなる。このため、例えば各ポンプ12、16を交換するために、当該ポンプ12、16を接続配管から取り外し(取り付け)、更に当該ポンプ12、16をスライド可動床31から取り外す(取り付ける)作業が、比較的容易となる。
【0043】
略同様に、スライド可動床32が引き出された状態では、図5に示すように、ROモジュール14mの周囲の空間が比較的広くなる。このため、ROモジュール14mを交換するために、当該ROモジュール14mを接続配管から取り外し(取り付け)、更に当該ROモジュール14mをスライド可動床32から取り外す(取り付ける)作業が、比較的容易となる。
【0044】
略同様に、スライド可動床33が引き出された状態では、図5に示すように、軟水装置13bの周囲の空間が比較的広くなる。このため、軟水装置13bを交換するために、当該軟水装置13bを接続配管から取り外し(取り付け)、更に当該軟水装置13bをスライド可動床33から取り外す(取り付ける)作業が、比較的容易となる。
【0045】
各スライド可能床31~33は、例えば、スガツネ工業製スライドレール5301-12、スガツネ工業製スライドレール5301-14、スガツネ工業製スライドレール5301-16、等によって構成され得る。図10は、各スライド可能床31~33の一例の写真であって、図10(a)は収納された状態を示し、図10(b)は引き出された状態を示す。
【0046】
次に、以上のような本実施形態の水処理装置10の作用について説明する。
【0047】
(通常運転時)
原水が、まず、原水タンク11に貯留される。原水タンク11の内部には、加温ヒータ11hが設けられていて、原水の温度を約25℃程度にまで加温する。
【0048】
25℃程度に加温された原水が、原水ポンプ12によって前処理ユニット13に送られる。前処理ユニット13において、原水フィルタ13aが、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過して除去し、軟水装置13bが、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去し、カーボンフィルタ13cが、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0049】
前処理ユニット13での前処理が終わった原水は、ROユニット14(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット14は、ROポンプ14pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール14mに供給する。ROモジュール14mは、原水に含まれる無機イオン全般を除去する処理を実施し、ROモジュール14mでの処理を終えたRO水(原水の50~75%程度)は、RO水供給ユニット15に送られる。
【0050】
一方、ROモジュール14mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ14pを介してROモジュール14mに再投入され、他の一部(原水の25~50%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理される。
【0051】
RO水供給ユニット15では、RO水タンク15tにRO水が貯留される。必要に応じて、紫外線殺菌装置15uによってUV照射処理が行なわれる。
【0052】
その後、RO水タンク15t内に貯留されたRO水は、送水ポンプ16を介して、UF17(ウルトラフィルタ)に送られる。UF17は、RO水から生物学的不純物を除去する。UF17によって生物学的不純物を除去されたRO水は、例えば透析用水として、透析治療用の各種の医療機器(不図示)に送られる。当該透析用水は、医療機器で使用され、未使用分が、UF18(ウルトラフィルタ)に戻ってきて、更にRO水タンク15tに戻される。
【0053】
(メンテナンス時)
装置メンテナンス時には、右面及び裏面のパネル板22が取り外される。
【0054】
そして、ポンプ12、16のメンテナンス時には、第1スライド可動床31が引き出され、ポンプ12、16の周囲の空間を確保した状態で作業が実施される。作業後は、第1スライド可動床31が収納状態に戻される。
【0055】
ROモジュール14mのメンテナンス時には、第2スライド可動床32が引き出され、ROモジュール14mの周囲の空間を確保した状態で作業が実施される。作業後は、第2スライド可動床32が収納状態に戻される。
【0056】
軟水装置13bのメンテナンス時には、第3スライド可動床33が引き出され、軟水装置13bの周囲の空間を確保した状態で作業が実施される。作業後は、第3スライド可動床32が収納状態に戻される。
【0057】
全てのメンテナンス作業の終了後、右面及び裏面のパネル板22が再び取り付けられる。
【0058】
なお、本実施形態のROポンプ14pは、正面側に配置されているため(図6参照)、ROポンプ14pのメンテナンス作業は、正面側から比較的容易に実施される。(もっとも、ROポンプ14pについても、フレーム枠体20の外側面(例えば正面)に対して出没可能なスライド可能床に設置されてもよい。)
【0059】
(効果の纏め)
以上の通り、本実施形態の水処理装置10によれば、2台の送水ポンプ16がフレーム枠体20の第1外側面(例えば裏面の裏面側から見た右側)に対して出没可能な第1スライド可能床31に設置されていることにより、2台の送水ポンプ16に対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際、第1スライド可能床31をフレーム枠体20の第1外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【0060】
また、本実施形態の水処理装置10は、原水を一時的に貯留する原水タンク11と、原水を軟水化処理する軟水装置13bと、原水を原水タンク11から軟水装置13bへ供給する原水ポンプ12と、を更に備え、原水ポンプ12も、第1スライド可能床31に設置されている。これにより、原水ポンプ12に対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際においても、第1スライド可能床31をフレーム枠体20の第1外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【0061】
更に、本実施形態の水処理装置10によれば、ROモジュール14mが、フレーム枠体20の第1外側面とは異なる第2外側面(例えば裏面の裏面側から見た左側)に対して出没可能な第2スライド可能床32に設置されている。これにより、ROモジュール14mに対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際、第2スライド可能床32をフレーム枠体20の第2外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【0062】
更に、本実施形態の水処理装置10によれば、軟水装置13bが、フレーム枠体20の第1外側面及び第2外側面とは異なる第3外側面(正面側から見て右面)に対して出没可能な第3スライド可能床33に設置されている。これにより、軟水装置13bに対するメンテナンス作業(例えば交換作業)を実施する際、第3スライド可能床33をフレーム枠体20の第3外側面から引き出すことにより、当該メンテナンス作業をより容易に実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 水処理装置
11 原水タンク
11h 加温ヒータ
11s 原水タンク温度センサ
12 原水ポンプ
13 前処理ユニット
13a 原水フィルタ
13b 軟水装置
13c カーボンフィルタ
14 ROユニット
14m ROモジュール
14p ROポンプ
15 RO水供給ユニット
15f エアーフィルタ
15t RO水タンク
15u 紫外線殺菌装置
16 送水ポンプ
17 送り用限外濾過膜
18 戻り用限外濾過膜
20 フレーム枠体
22 パネル板
31 第1スライド可能床
32 第2スライド可動床
33 第3スライド可動床
51 原水タンク
51h 加温用ヒータ
52 原水ポンプ
53 前処理ユニット
53a 原水フィルタ
53b 軟水装置
53c カーボンフィルタ
54 ROユニット
54m ROモジュール
54p ROポンプ
55 RO水供給ユニット
55f エアーフィルタ
55t RO水タンク
55u 紫外線殺菌装置
56 送水ポンプ
57 送り用限外濾過膜
58 戻り用限外濾過膜
60 フレーム枠体
61 床板
図1
図2
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図4
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