(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176790
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】開閉装置制御システム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/79 20150101AFI20241212BHJP
E05F 15/77 20150101ALI20241212BHJP
【FI】
E05F15/79
E05F15/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095593
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 顕
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA04
2E052BA02
2E052BA04
2E052BA10
2E052CA06
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC03
2E052GA02
2E052GA10
2E052KA08
(57)【要約】
【課題】 防犯性を確保した上で、持上げ操作による開閉体の開放を可能にする。
【解決手段】 所定の事象に応じて開閉装置10の開閉体11を自動閉鎖するようにした開閉装置制御システムにおいて、開閉体11が閉鎖してから所定時間内は、持上げ操作による開閉体11の開放を可能にし、前記所定時間経過後に、開閉体11を開放不能にする。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の事象に応じて開閉装置の開閉体を自動閉鎖するようにした開閉装置制御システムにおいて、
前記開閉体が閉鎖してから所定時間内は、持上げ操作による前記開閉体の開放を可能にし、前記所定時間経過後に、前記開閉体を開放不能にすることを特徴とする開閉装置制御システム。
【請求項2】
前記所定の事象が、インターネット回線を介して入力される気象情報であることを特徴とする請求項1記載の開閉装置制御システム。
【請求項3】
前記開閉体が閉鎖してから所定時間内は、前記持上げ操作に応じて前記開閉体を電動で開放動作させることを特徴とする請求項1記載の開閉装置制御システム。
【請求項4】
前記開閉体が閉鎖してから所定時間内は、前記開閉体の手動開放を可能にすることを特徴とする請求項1記載の開閉装置制御システム。
【請求項5】
前記開閉体が閉鎖してから所定時間内に、持上げ操作による前記開閉体の開放を可能にした状態と、同所定時間内であっても、持上げ操作による前記開閉体の開放を不能にした状態とを切り替える切替手段を備えたことを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の開閉装置制御システム。
【請求項6】
前記切替手段は、前記開閉体の閉鎖が自動閉鎖である場合に、持上げ操作による前記開閉体の開放を可能にし、前記開閉体の閉鎖が自動閉鎖以外の閉鎖である場合には、持上げ操作による前記開閉体の開放を不能にすることを特徴とする請求項5記載の開閉装置制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の事象に応じて開閉装置を自動閉鎖するようにした開閉装置制御システム関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、インターネット回線を介して入力される気象情報等に応じて開閉装置制御サーバーが制御指令を無線発信し、この制御指令に応じて開閉装置が開閉体を自動閉鎖するようにした開閉装置制御システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術によれば、例えば、屋内とベランダが窓用シャッター装置より仕切られた環境において、ベランダにいるユーザーがシャッターの閉鎖に気が付くのに遅れると、そのユーザーはベランダに締め出されてしまうおそれがある。
そこで、閉鎖したシャッターを持上げ操作により開放可能にすることが考えられるが、防犯性を損ねることのないように工夫を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
所定の事象に応じて開閉装置の開閉体を自動閉鎖するようにした開閉装置制御システムにおいて、前記開閉体が閉鎖してから所定時間内は、持上げ操作による前記開閉体の開放を可能にし、前記所定時間経過後に、前記開閉体を開放不能にすることを特徴とする開閉装置制御システム。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、防犯性を確保した上で、持上げ操作による開閉体の開放を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る開閉装置制御システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】ユーザー端末によるモード設定のための処理を示すフローチャートである。
【
図3】開閉装置制御通信機によるモード設定のための処理を示すフローチャートである。
【
図4】気象警報発令中における制御例を示すフローチャートである。
【
図5】ユーザー指示優先モード中の制御例を示すフローチャートである。
【
図6】自動制御優先モード中の制御例を示すフローチャートである。
【
図8】自動閉鎖中の制御例を示すフローチャートである。
【
図9】自動閉鎖中の開閉装置及びユーザー端末の状態を(a)~(c)に順次示す模式図である。
【
図10】自動閉鎖中の開閉装置及びユーザー端末の状態を(d)~(e)に順次示す模式図である。
【
図11】自動閉鎖処理に即しない開閉装置の動作があった場合の制御例を示すフローチャートである。
【
図12】全閉中に持ち上げ操作があった場合の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
この開閉装置制御システム1は、
図1に示すように、構造物の開口部等を開閉する単数もしくは複数の開閉装置10、インターネット回線等を介して入力されるユーザー指示情報及び気象情報に応じて開閉装置10を制御する開閉装置制御通信機20、インターネット回線及キャリア網等を介して開閉装置制御通信機20と通信する単数もしくは複数のユーザー端末30、インターネット回線等を介して開閉装置制御通信機20に気象情報を送信する情報提供サーバー40等により構成される。
【0009】
開閉装置10は、図示例によれば、建物の窓硝子の外側に設けられた窓シャッターであり、図示しない開閉機(電動モータ等)によって上下方向へ開閉動作する開閉体11や、開閉体11をその上方側で収納したり繰り出したりする収納部12等を備え、収納部12内には、開閉装置制御通信機20と無線通信を行うための送受信機13が設けられている。
この開閉装置10は、前記開閉機に設けられるカウンター式リミットスイッチや、エンコーダ等により、開閉体11の全閉状態、全開状態、途中閉鎖状態等を認識し、これら開閉状態を示す信号を、開閉装置制御通信機20の要求に応じて適宜発信する。
【0010】
また、各開閉装置10は、予め設定された時刻に開閉体11を開放動作又は閉鎖動作するタイマー機能を備える。
このタイマー機能は、後述する操作用リモコン14又はユーザー端末30の手動操作等によって時間設定される。
各開閉装置10の制御回路は、前記タイマー機能による制御情報を、開閉装置制御通信機20に対し適宜送信するように構成される。
【0011】
なお、前記タイマー機能は、開閉装置制御通信機20あるいはユーザー端末30に具備するタイマー機能によるものとすることも可能である。
【0012】
図1中の操作用リモコン14は、各開閉装置10に付属して具備され、対応する開閉装置10の近くで、開閉装置10の制御回路に対し、開放指令、停止指令、閉鎖指令等の操作指令を無線発信して、開閉装置10の動作を制御する。この操作用リモコン14は、後述する開閉装置制御通信機20との通信は行わない。
開閉装置10の制御回路は、操作用リモコン14による操作指令を、開閉装置制御通信機20による制御指令よりも優先する。すなわち、開閉装置10は、操作用リモコン14による操作指令と、開閉装置制御通信機20による制御指令とを同時に受けた場合、操作用リモコン14による操作指令を優先的に受け入れて動作する。
【0013】
開閉装置制御通信機20は、記憶装置、この記憶装置に記憶したプログラム、このプログラムを実行するCPU等を備えたコンピュータ回路を具備する。さらに、この開閉装置制御通信機20は、無線ルータ21及びモデム等を介してインターネット回線に無線又は有線で接続する通信手段や、特定小電力無線により複数の開閉装置10と直接的に無線通信を行う送受信機等を具備している。
【0014】
この開閉装置制御通信機20は、ユーザー端末30や、開閉装置管理団体の情報提供サーバー40からインターネット情報を取り込む(
図1参照)。このインターネット情報には、ユーザー指示情報や、気象情報等が含まれる。
【0015】
前記ユーザー指示情報は、ユーザーの操作に基づいてユーザー端末30から発せれる情報である。このユーザー指示情報には、ユーザー端末30を識別するためにユーザー端末30毎に設定されたユーザーコードや、ユーザー端末30に対するユーザー操作に基づき開閉装置10を開放、停止又は閉鎖するための指令や、後述する自動閉鎖無効モード、ユーザー指示優先モード及び自動制御優先モード等のモード設定指令、後述する自動閉鎖処理をキャンセルするための指令等が含まれる場合がある。
【0016】
気象情報は、気象庁から入手した情報に基づいて情報提供サーバー40から発生られる情報である。この気象情報には、開閉装置10に対し閉鎖指令を発信するトリガーとなる気象警報(例えば、大雨警報や暴風警報等)が含まれる場合がある。
【0017】
なお、開閉装置制御通信機20は、必要に応じて、無線ルータ21及びモデム等を介してHEMSコントローラ22に接続されるようにしてもよい。
HEMSコントローラ22は、開閉装置10の設置対象となる建築物に設置されて家庭内で使われるエネルギーの管理を行う、HEMS(Home Energy Management System)用の機器あり、必要情報を開閉装置制御通信機20に対し送受信する。
【0018】
ユーザー端末30は、入力されたデータを演算処理するCPU、記憶装置、入出力装置、無線送受信機等を具備し、予め記憶されたプログラム(アプリ)により機能するように構成される。このユーザー端末30には、例えば、携帯電話や、スマートフォン、タブレットパソコン、ウェアラブルコンピュータ(例えば、腕時計タイプやメガネタイプ等を含む)、車載コンピュータ(運転補助用コンピュータや、カーナビゲーションシステム等を含む)等、周知の移動体通信機器を用いればよい。図示例のユーザー端末30は、スマートフォンを示す。
【0019】
このユーザー端末30は、単数の開閉装置制御通信機20に対し、インターネットを介して、単数又は複数接続される。
各ユーザー端末30は、前記プログラム(アプリ)がインストールされた状態で、開閉装置制御通信機20に対しペアリング設定されることで、開閉装置制御通信機20に対し相互通信可能になる。
なお、ペアリングは、各ユーザー端末30と情報提供サーバー40とのペアリングと、情報提供サーバー40と開閉装置制御通信機20とのペアリングによって間接的に構成されるものであってもよい。
【0020】
ユーザー端末30は、前記プログラムにより機能することで、例えば、タッチパネル上に、操作対象となる開閉装置10を選択する画面や、開閉装置10を開放、停止、閉鎖するためのボタン、モード設定のための画面等を表示し、このタッチパネルに対する操作に応じたユーザー指示情報を、インターネット回線等を介して開閉装置制御通信機20へ送信する。
【0021】
さらに、ユーザー端末30は、前記プログラムにより機能することで、開閉装置制御通信機20からの受信信号に基づく各種通知(例えば、プッシュ通知や、アイコン表示等)を行う。
【0022】
情報提供サーバー40は、例えば、シャッター装置の製造メーカやサービス会社、設置会社、セキュリティ会社等の開閉装置管理団体が保有するコンピュータである。この情報提供サーバー40は、インターネット回線等を介することで、気象情報管理団体のデータベースサーバ(図示せず)から気象情報等のインターネット情報を入手し、これらの情報を開閉装置制御通信機20へ発信する。
なお、情報提供サーバー40は、仮想サーバーとしてハードウェア上のソフトウェアにより仮想的にサーバー機能を構築したものとしてもよい。
【0023】
次に、上記構成の開閉装置制御システム1による処理を、図面に沿って詳細に説明する。
【0024】
<ユーザー端末によるモード設定のための処理>
先ず、
図2に示すように、当該開閉装置制御システム1によって複数の開閉装置10を制御するにあたり、その準備作業としてモード設定操作が行われる。
【0025】
具体的に説明すれば、開閉装置制御通信機20とペアリング設定されたユーザー端末30は、ユーザー操作によるモード設定画面表示の指示があるのを待ち(ステップS1)、指示があれば、タッチパネルディスプレイに、
図2にモード設定画面G1を表示する(ステップS2)。
【0026】
モード設定画面G1は、「無効(自動閉鎖なし)」、「ユーザー指示優先」、「自動閉鎖優先」等の複数種類のボタンを選択操作可能に表示した画面である。
【0027】
ユーザー端末30は、前記複数種類のボタンのうち、何れかのボタンに対する選択操作(例えば、タッチ操作)があると、その選択されたボタンに対応するモード設定指令をユーザー指示情報に含ませ、このユーザー指示情報を、インターネット回線等を介して開閉装置制御通信機20へ送信する。
【0028】
例えば、「無効(自動閉鎖なし)」が選択された場合、ユーザー端末30は、自動閉鎖処理を無効にするためのモード設定指令を、開閉装置制御通信機20へ発信する(ステップS3及びS4)。
「ユーザー指示優先」が選択された場合、ユーザー端末30は、ユーザー指示優先モードにするためのモード設定指令を、開閉装置制御通信機20へ発信する(ステップS13及びS14)。
「自動制御優先」が選択された場合、ユーザー端末30は、制御優先モードにするためのモード設定指令を、開閉装置制御通信機20へ発信する(ステップS23及びS24)。
【0029】
<開閉装置制御通信機によるモード設定のための処理>
次に、ユーザー端末30から開閉装置制御通信機20へ前記モード設定指令が送信された場合の処理について説明する(
図3参照)。
【0030】
開閉装置制御通信機20は、ユーザー端末30からのモード設定指令を待ち(ステップS101)、モード設定指令がある場合には、次のステップへ処理をすすめる。
なお、複数のユーザー端末30からモード設定指令を受けた場合には、最先のモード設定指令のみを認識して処理を進める。
【0031】
ステップS102では、モード設定指令が自動閉鎖処理を無効にするための指令であるか否かを判断し、この指令である場合は、次のステップS103へ処理をすすめ、そうでなければステップS112へ処理を移行する。
開閉装置制御通信機20は、次のステップS103で、モード設定指令が自動閉鎖無効モードであることを記憶し、次のステップS104へ処理を進める。
【0032】
ここで、自動閉鎖無効モードとは、気象情報による自動制御である自動閉鎖処理(
図8参照)を行わないようにするモードである。なお、この自動閉鎖無効モードにおいても、各操作用リモコン14又は開閉装置制御通信機20による直接的な操作(開放、停止、閉鎖等)は可能である。
【0033】
また、ステップS112では、モード設定指令がユーザー指示優先モードにするための指令であるか否かを判断し、この指令である場合は、次のステップS113へ処理をすすめ、そうでなければステップS122へ処理を移行する。
開閉装置制御通信機20は、次のステップS113で、モード設定指令がユーザー指示優先モードであることを記憶し、次のステップS104へ処理を進める。
【0034】
また、ステップS122では、モード設定指令が自動制御優先モードにするための指令であるか否かを判断し、この指令である場合は、次のステップS123へ処理をすすめ、そうでなければステップS102へ処理を戻す。
開閉装置制御通信機20は、次のステップS123で、モード設定指令が自動制御優先モードであることを記憶し、次のステップS104へ処理を進める。
【0035】
ステップS104では、先の処理経過に基づき、モードが切り替わったか否かを判断し、モードが切り替わった場合には、次のステップS105へ処理を進め、そうでなければ、ステップS105を飛ばしてステップS101へ処理を戻す。
【0036】
ステップS105では、ペアリングされた全てのユーザー端末30に対し、モードが切り替わったことの通知をする。
この通知は、例えば、「シャッターの自動閉鎖の設定が変更されました。」や、「変更後のモードは・・・モードです。」等のプッシュ通知とすればよい。
【0037】
なお、上述したモード設定は、当該開閉装置制御システム1における開閉装置10毎に異なるモードが設定されるようにしてもよいし、全ての開閉装置10について同時に同モードが設定されるようにしてもよい。
【0038】
<気象警報発令中/解消時の処理>
次に、気象警報が発令された場合の処理、及び気象警報が解除された場合の処理について、
図4のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0039】
開閉装置制御通信機20は、情報提供サーバー40から受信する気象情報に、予め設定された対象地域についての所定の気象警報(例えば、暴風警報や大雨警報)が含まれるか否かを判断し(ステップS201)、含まれる場合には次のステップへ処理を進め、そうでなければステップS211へ処理を移行する。
【0040】
なお、気象警報の対象地域は、例えば、開閉装置10の所在地、又はユーザー端末30の所在地とすればよく、この所在地は、予めユーザー端末30に対する手動操作により入力されるようにしてもよいし、ユーザー端末30のGPS機能を用いて自動入力されるようにしてもよい。
【0041】
ステップS202では、タイマー機能による開放動作を無効にするとともに、タイマー機能による閉鎖動作は有効に保持する。
具体的に説明すれば、開閉装置制御通信機20は、予め制御対象に設定された開閉装置10に対し、タイマー機能による開放動作のみをキャンセルする指令を発信する。タイマー機能による閉鎖動作についてはそのまま有効に保持される。
この指令を受けた開閉装置10は、タイマー機能による開放動作の予約があった場合にこの予約をキャンセルし、タイマー機能による閉鎖動作の予約があった場合にはこの閉鎖動作の予約を有効にする。
【0042】
次のステップS203で、開閉装置制御通信機20は、先に記憶したモードがユーザー指示優先モードであるか自動制御優先モードであるかを判断し、ユーザー指示優先モードである場合には、
図5に示す処理(A)へ移行する。また、自動制御モードである場合には、
図6に示す処理(B)へ移行する。
【0043】
また、ステップS211では、タイマー機能による開閉装置10の開放動作と閉鎖動作を両方とも有効にするように、制御対象の開閉装置10に対し指令を発し、次のステップへ処理を進める。
この指令を受けた開閉装置10は、タイマー機能による開放動作及び/又は閉鎖動作の予約があった場合に、この予約を有効にする。
【0044】
次のステップS212において、開閉装置制御通信機20は、気象情報に所定の気象警報が含まれる状態から前記気象警報が含まれない状態に遷移しているかどうかを判断し(ステップS212)、遷移している場合には、インターネット回線を介して接続されたユーザー端末30に対し、気象警報が解除されたことを通知し(ステップS213)、遷移していない場合は処理をステップS201へ戻す。
【0045】
ステップS213の通知は、図示例によれば、「お住まいの地域に気象警報が解除されました。[風・雨]〇△県××市」という文章であり、ユーザー端末30のタッチディスプレイに、プッシュ通知として表示される(
図4の破線内参照)。
【0046】
よって、
図4に示す処理によれば、気象警報がある場合には、通常のタイマー機能を無効にすることができ、後述するステップで気象警報により自動閉鎖した開閉体11が、通常のタイマー機能の作動によって開放動作してしまうようなことを防ぐことができる。
なお、タイマー機能による閉鎖動作は有効にしているため、仮に、気象警報がありその気象警報による自動閉鎖の前に、タイマー機能による閉鎖動作があった場合には、その閉鎖動作に支障はない。
【0047】
また、気象警報が有りの状態から無しの状態に遷移した場合には、その情報を、各ユーザー端末30のユーザーが速やかに報せることができる。
【0048】
<ユーザー指示優先モードにおける処理>
ユーザー指示優先モードでは、開閉装置制御通信機20が、情報提供サーバー40から入手する気象情報に応じて、ユーザー指示情報の発信元であるユーザー端末30に対し、開閉装置10の制御に関する判断を要求し、この判断に応じた制御指令を開閉装置10に発信する。
以下、このユーザー指示優先モードが選択されている場合の制御例について、
図5のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0049】
先ず、開閉装置制御通信機20は、ペアリングされている全てのユーザー端末30に対し、通知1を発信し(ステップS301)、次のステップへ処理を進める。
【0050】
通知1は、気象警報が発令されていることを示す通知であり、図示例によれば、「お住まいの地域に気象警報が出ています。〇△県××市 [暴風警報]」という文章を、プッシュ通知画面として、各ユーザー端末30のディスプレイに表示する。
【0051】
次に、開閉装置制御通信機20は、制御対象の開閉装置10に対し開閉体11が開放状態であるか否か情報を要求し、この要求に対する開閉装置10からの応答より、開閉装置10が開放状態(全開及び途中開放を含む)か、あるいは既に全閉状態であるかを判断する(ステップS301a)。
そして、前記開放状態である場合は次のステップへ処理を進め、既に全閉状態である場合には、上記ステップS201へ処理を戻す。
【0052】
すなわち、開閉装置10が既に全閉状態である場合は、後述する閉鎖判断の要求(ステップS302及びS304)や自動閉鎖処理等は必要ないので、上記ステップS201へ処理を戻す。
このステップS301aによれば、ユーザーは、例えば夜間等、既に開閉装置10が全閉状態である場合に、ユーザー端末30によって閉鎖判断の要求を受けないで済む。
【0053】
次のステップS302では、ペアリングされている全てのユーザー端末30に対し、通知2を発信し、次のステップへ処理を進める。
【0054】
通知2は、気象警報が発令されていることの通知、及びこの通知の対応として開閉装置10の制御に関する判断を問う通知であり、図示例によれば、「お住まいの地域に気象警報が出ています。シャッターを閉鎖する場合はこの通知をタップしてください。」という文章を、タッチ操作可能なプッシュ通知画面として、各ユーザー端末30のタッチディスプレイに表示する。
【0055】
次に、開閉装置制御通信機20は、ユーザー端末30から受信するユーザー指示情報に基づき、通知2に対するタップ操作があったかどうかを判断し(ステップS303)、タップ操作があった場合には、次のステップS304へ処理を進め、そうでなければ、ステップS313へ処理を移行する。
【0056】
ステップS313では、所定時間(例えば1時間)経過したかどうかを判断し、経過していれば次のステップS314へ処理を進め、そうでなければステップS303へ処理を戻す。ステップS314では、上記通知2を再発信する。
すなわち、開閉装置制御通信機20は、ステップS302による通知2の後、タップ操作による応答がない場合には、所定時間置きに通知2を繰り返し発信するとともに、その発信の都度、タップ操作により応答を求める。
【0057】
なお、フローチャートを省略するが、上記ステップS303,S313,S314の処理が繰り返されている最中に、気象警報が解除された場合には、処理を上記ステップS213へ移行するようにしてもよい。
また、上記ステップS303,S313,S314を繰り返す回数が所定回数を超えた場合(又は繰り返す時間が所定時間を超えた場合)には、例えば次のステップS304へ処理を進める等、異なる処理へ移行するようにしてもよい。
【0058】
次のステップS304では、ユーザー端末30に、開閉体11を閉鎖するかどうかの判断を要求する画面G2を表示する。この画面G2は、
図5に示す一例によれば、「シャッターを閉める」のボタンや、その他のボタンを選択操作可能に表示した画面である。
【0059】
次のステップS305では、ユーザー端末30から受信するユーザー指示情報に基づき、前記「シャッターを閉める」又は「(他の処理)」)のボタンが操作(例えば、タッチ操作)されたか否かを判断し、操作されたなら、次のステップS306へ処理を進め、操作がなければ、ステップS315へ処理を移行する。
【0060】
ステップS315では、所定時間経過したか否かが判断され、経過した場合にはステップS306へ処理を移行し、そうでなければステップS305へ処理を戻す。
すなわち、このステップS315によれば、ステップS304の操作要求に対し応答がない状態が所定時間経過した場合に、後述する自動閉鎖処理を実行して開閉装置10に対し閉鎖指令を発信することになる。
【0061】
なお、フローチャートを省略するが、上記S304,S305において、「(他の処理)」のボタンが操作された場合は、このボタンに対応する処理を行うようにすればよい。
例えば、前記他の処理が操作された場合、後述する自動閉鎖処理を行わないように、上記ステップS103に移行して、制御モードを自動閉鎖無効モードに切り替えるようにしてもよい。
【0062】
次のステップS306では、ペアリングされた全てのユーザー端末30に対し、気象情報による開閉体11の自動閉鎖を開始したことを通知する。
この通知は、例えば、「シャッター閉鎖を開始しました。」等のプッシュ通知画面を、ユーザー端末30のディスプレイに表示すればよい。
【0063】
そして、この後、開閉装置制御通信機20による処理は、
図8に示す処理(D)へ移行する。
【0064】
よって、
図5に示すユーザー指示優先モードの処理によれば、複数のユーザー端末30の各ユーザーが、個々の事情に応じて、後述する自動閉鎖処理を行うか否かを判断することができる。
【0065】
なお、
図5のフローチャートでは、上記ステップS302の通知2で開閉体11を閉鎖するかどうかの判断を要求し、更に、上記ステップS304の操作画面表示によっても開閉体11を閉鎖するかどうかの判断を要求し、これら両方の要求に対する応答に基づき、後述する自動閉鎖処理へ進むようにしたが、他例としては、何れか一方の要求に対する応答に基づき、後述する自動閉鎖処理へ進むようにしてもよい。
すなわち、
図5のフローチャートから上記ステップS302,S303,S313,S314を省いた態様や、
図5のフローチャートから上記ステップS304,S305及びS315を省いた態様とすることも可能である。
また、ステップ315を省いて、ステップ305でボタンがおされるまで待機し続けるようにしてもよい。この場合、アプリ終了など、フローを中断する図示しない制御がない限り、ボタンが押されるのを待機することになる。
【0066】
また、
図5のフローチャートでは、上記ステップS304の操作画面に対し、所定時間ボタン操作がない場合に、後述する自動閉鎖処理へ進むようにしたが、他例としては、上記ステップS302の通知2に対し所定時間タップ操作がない場合に、後述する自動閉鎖処理へ進むようにすることも可能である。
【0067】
<自動制御優先モードにおける処理>
自動制御優先モードでは、開閉装置制御通信機20が、ユーザー端末30に対し、ユーザー指示優先モードでした前記要求(ステップS403の通知4やS405の操作画面表示に対する応答の要求)をすることなく、情報提供サーバー40から入手した気象情報に応じた制御指令を開閉装置10に発信する。
以下、自動制御優先モードが選択されている場合の制御例について、
図6及び
図7のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0068】
先ず、開閉装置制御通信機20は、ペアリングされている全てのユーザー端末30に対し、通知3を発信する(ステップS401)。
この通知3は、上記ステップS301の通知1と同様に、気象警報が発令されていることを示す通知であり、図示例によれば、「お住まいの地域に気象警報が出ています。〇△県××市 [暴風警報]」という文章を、プッシュ通知画面として、各ユーザー端末30のタッチディスプレイに表示する(
図6参照)。
【0069】
次に、開閉装置制御通信機20は、制御対象の開閉装置10と通信を行い、この開閉装置10の開閉体11が開放状態(途中開放状態及び全開状態を含む)にあるか否かを判断する(ステップS402)。そして、開閉装置制御通信機20は、開放状態であれば、次のステップS403へ処理を進め、前記開放状態でなければ(言い換えれば、全閉状態であれば)、上記ステップS201へ処理を戻す。
【0070】
次のステップS403では、ペアリングされている全てのユーザー端末30に対し、通知4を発信する。
【0071】
この通知4は、気象警報が発令されていることの通知、開閉装置10の自動閉鎖が予定されていることの通知、開閉装置10に閉鎖指令を発信する時間情報の通知、自動閉鎖をキャンセルする方法の通知、自動閉鎖を直ちに実行する方法の通知等である。
前記「閉鎖指令を発信する時間情報」は、具体的には、ステップS401の気象警報の通知をして所定時間経過した場合の時刻、自動閉鎖までの猶予時間、または自動閉鎖開始の予定時間とすればよい。
【0072】
この通知4は、
図6に示す一例によれば、「お住まいの地域に気象警報が出ています。シャッターの自動閉鎖が予定されています。予定時刻は〇年×月△日 〇時△分です。閉鎖を中止する場合、またはすぐに閉鎖を実行する場合はこの通知をタップしてください。」という文章を、タッチ操作可能なプッシュ通知画面として、各ユーザー端末30のタッチディスプレイに表示する。
【0073】
次に、開閉装置制御通信機20は、ユーザー端末30から受信するユーザー指示情報に基づき、通知4に対するタップ操作があったかどうかを判断し(ステップS404)、タップ操作があった場合には、次のステップS405へ処理を進め、そうでなければ、ステップS414へ処理を移行する。
【0074】
ステップS414では、所定時間(例えば1時間)経過したかどうかを判断し、経過していれば次のステップS415へ処理を進め、そうでなければステップS404へ処理を戻す。ステップS415は、上記通知4を再発信する。
すなわち、開閉装置制御通信機20は、ステップS403による通知4の後、タップ操作による応答がない場合には、所定時間置きに通知4を繰り返し発信してタップ操作により応答を待つ。
【0075】
次に、ステップS405では、ユーザー端末30に、開閉装置10の制御に関する判断を要求する画面G3を、タッチ操作可能な画像として表示する。
この画像G3は、開閉装置10が自動閉鎖する日時の情報や、開閉装置10の閉鎖動作をキャンセルするためのボタンの表示、開閉装置10の閉鎖動作を直ちに実行するためのボタンの表示等である。
この画像G3は、
図6に示す一例によれば、「自動閉鎖予定日時〇年X月 〇時〇分」の文章表示と、「自動閉鎖をやめる」及び「すぐに閉鎖する」等のボタン画像の表示により構成される。
【0076】
上記ステップS405の後、開閉装置制御通信機20は、
図7に示す処理(C)におけるステップS501を実行する。
【0077】
<自動制御優先モードにおける処理(続き)>
ステップS501では、ユーザー端末30から受信するユーザー指示情報に基づき、上記ステップS405で表示した操作画面に対し、「自動閉鎖をやめる」ボタンの操作があったか否かを判断し、操作されたなら、次のステップS502へ処理を進め、操作がなければ、ステップS511へ処理を移行する。
【0078】
ステップS502では、開閉装置制御通信機20が後述する自動閉鎖処理をキャンセルするものと認識し、次のステップS503へ処理を進める。
【0079】
ステップS503では、上記ステップS501の判断の後に受信したユーザー指示情報に、「すぐに閉鎖する」ボタンが操作されたことの情報が含まれているか否かを判断し、含まれていれば次のステップS504を実行し、そうでなければステップS504を実行せずにステップS505へジャンプする。
したがって、例えば、複数のユーザー端末30の何れかにより「自動閉鎖をやめる」ボタンの操作があった後。他のユーザー端末30により「すぐに閉鎖する」ボタンが操作された場合には、次のステップS504が実行される。
【0080】
ステップS504では、ユーザー端末30に対する操作が無効であることの通知や、既に自動閉鎖処理のキャンセルを実行していることの通知等を、ステップS503でユーザー指示情報を得たユーザー端末30に対し発する。
図7の一例によれば、「この操作は無効になりました。既に中止操作が入力され実行済みです。」という通知を、ユーザー端末30に表示する。
【0081】
ステップS505では、上記ステップS201へ処理を戻す。
【0082】
また、ステップS511では、ユーザー端末30から受信するユーザー指示情報に基づき、上記ステップS405で表示した操作画面に対し、「すぐに閉鎖する」ボタンの操作があったか否かを判断し、操作されたなら、次のステップS512へ処理を進め、操作がなければ、ステップS521へ処理を移行する。
【0083】
なお、
図7に示す処理(C)において、ペアリングされた複数のユーザー端末30により複数のユーザー指示情報がある場合、開閉装置制御通信機20は、これら複数のユーザー指示情報のうち、最先のユーザー指示情報に基づき、上記ステップS501又は上記ステップS511の判断を行う。
【0084】
また、ステップS521では、ステップS403で通知した閉鎖予定時刻になったか否かを判断し、閉鎖予定時刻になっていればステップS512へ処理を進め、そうでなければ、ステップS501へ処理を戻す。
【0085】
ステップS512では、上記ステップS511の判断の後に受信したユーザー指示情報に、「すぐに閉鎖する」ボタンが操作されたことの情報が含まれているか否かを判断し、含まれていれば次のステップS513を実行し、そうでなければステップS513を実行せずにステップS514へジャンプする。
したがって、例えば、複数のユーザー端末30の何れかにより「すぐに閉鎖する」ボタンの操作があった後、他のユーザー端末30によっても「すぐに閉鎖する」ボタンが操作された場合には、次のステップS513が実行される。
【0086】
ステップS513では、ユーザー端末30に対する操作が無効であることの通知や、既に自動閉鎖処理の操作があったことの通知等を、ステップS511でユーザー指示情報を得たユーザー端末30に対し発する。
図7の一例によれば、「この操作は無効になりました。既に閉鎖操作が入力され実行済みです。」という通知を、ユーザー端末30に表示する。
【0087】
次のステップS514では、ペアリングされた全てのユーザー端末30に対し、気象情報による開閉体11の自動閉鎖を開始したことを通知する。
この通知は、例えば、「シャッター閉鎖を開始しました。」等のプッシュ通知画面を、ユーザー端末30のディスプレイに表示する。
【0088】
そして、ステップS514の後、開閉装置制御通信機20による処理は、
図8に示す処理(D)へ移行する。
【0089】
よって、
図6及び
図7に示す自動制御優先モードの処理によれば、気象警報発令に応じて後述する自動閉鎖処理をすることができる。その上、ユーザーの選択によりこの自動閉鎖処理をキャンセルしたり、自動閉鎖開始予定時刻になる前に閉鎖処理を実行したりすることも可能である。
【0090】
<自動閉鎖処理>
図8に示す処理(D)では、開閉装置制御通信機20が、予め選択された単数又は複数の開閉装置10に対し制御指令を発信し、この制御指令を受けた開閉装置10が、独自の制御動作により開閉体11を閉鎖するようにしている。
【0091】
詳細に説明すれば、先ず、開閉装置制御通信機20は、自動閉鎖の対象となった単数又は複数の開閉装置10に対し、開放指令を発し(ステップS601)、ペアリングされた複数のユーザー端末30に対しては、自動閉鎖処理中のアイコンi1表示の指令を発する(ステップS602)。
【0092】
すると、
図9(a)に示すように、開放指令を受けた開閉装置10は、一端開放動作を開始し、ユーザー端末30は、ディスプレイに自動閉鎖処理中であることを示すアイコンi1を表示する。
【0093】
このアイコンi1は、気象情報(詳細には気象警報)に応じた制御指令の結果としての開閉体状態を、他の指令(例えば、操作用リモコン14やユーザー端末30の直接操作による指令)の結果としての開閉体状態と区別して、ユーザー端末30に通知するようにデザインされている。
図示例によれば、アイコンi1は、開閉装置10が気象情報に応じて自動閉鎖処理中であることを、閉鎖途中のシャッターカーテンに雲のマークと下向きの矢印を重ねた図柄によって表現している。
この図柄は、例えば、前記直接操作による閉鎖動作の場合の図柄を、閉鎖途中のシャッターカーテンに下向きの矢印のみを重ねた図柄とすることで、区別することが可能である。
【0094】
なお、
図9(a)では、開閉体11が全閉状態から開放動作を開始しているが、途中開放位置にある場合や、全開位置にある場合も、開閉体11を開放動作させるための開閉機が開放方向の動作を開始する。なお、開閉体11が全開位置にあって開閉機が開放方向の動作を開始した場合には、開閉体11の全開位置が維持される。
【0095】
次に、ステップS603では、所定時間経過するのを待ち次のステップへ処理を進める。
このステップS603における前記所定時間は、開閉体11が全閉状態から開放動作を開始して全開状態になるまでの時間を含むように設定され、図示例によれば60秒に設定される。
【0096】
次のステップS604では、自動閉鎖の対象となった単数又は複数の開閉装置10に対し、閉鎖指令を発する。
この閉鎖指令を受けた開閉装置10は、
図9(b)に示すように、開閉体11を全開位置から閉鎖動作させる。
なお、この閉鎖動作中も、ユーザー端末30には、自動閉鎖処理中であることを示すアイコンi1が表示される。
【0097】
次に、開閉装置制御通信機20は、前記閉鎖指令の発信から所定時間経過するのを待ち(ステップS605)、所定時間経過してれば、制御対象の開閉装置10に対し停止指令を発信する(ステップS606)。
この停止指令を受けた開閉装置10は、
図9(c)に示すように、開口高さHの位置で停止する。開口高さHは、人が体を曲げたり這ったり等して通過可能な高さである。
ステップS605における前記所定時間は、この開口高さHで開閉体11が停止するように設定され、図示例によれば、10秒に設定される。
なお、この停止中も、ユーザー端末30には、自動閉鎖処理中であることを示すアイコンi1が表示される。
【0098】
次のステップ607では、ステップS606の停止指令の発信から所定時間経過するのを待ち、所定時間経過した場合には次のステップへ処理を進める。
このステップS607の前記所定時間は、停止している開閉体11の下側を人が通過可能な時間を目安に設定され、図示例によれば30秒に設定される。
【0099】
次のステップS608では、開閉体11を途中停止した状態の開閉装置10に対し、再閉鎖指令が発信される。
この再閉鎖指令を受けた開閉装置10は、
図10(d)に示すように、開閉体11の閉鎖動作を再開する。この閉鎖動作再開中も、ユーザー端末30には、自動閉鎖処理中であることを示すアイコンi1が表示される。
【0100】
次に、開閉装置制御通信機20は、制御対象の開閉装置10が開閉体11を全閉するのを待ち(ステップS609)、全閉したらこの開閉装置10に対し停止指令を発信する(ステップS610)。
この停止指令を受けた開閉装置10は、開閉体11を開閉動作させるための開閉機を停止して、開閉体11を全閉状態に保持する。
【0101】
次のステップS611では、ペアリングされた全てのユーザー端末30に対して、気象情報(詳細には気象警報)による自動閉鎖処理により開閉体11が全閉したことを示すアイコンi2を表示するように指令を発する。
この指令を受けたユーザー端末30は、
図10(e)に示すように、ディスプレイに自動閉鎖処理中であることを示すアイコンi2を表示する。
【0102】
このアイコンi2は、気象情報(詳細には気象警報)に応じた制御指令の結果としての開閉体状態を、他の指令(例えば、操作用リモコン14やユーザー端末30の直接操作による指令)の結果としての開閉体状態と区別して、ユーザー端末30に通知するようにデザインされている。
図示例によれば、アイコンi2は、開閉装置10が気象情報に応じた自動閉鎖処理により全閉したことを、全閉状態のシャッターカーテンに雲のマークを重ねた図柄によって表現している。
この図柄は、例えば、前記他の指令による全閉状態の場合の図柄を、全閉状態のシャッターカーテンのみの図柄とすることで、区別することが可能である。
【0103】
そして、次のステップS612では、上記ステップS201へ処理を戻す。
【0104】
よって、
図8~
図10に示す自動閉鎖処理によれば、開閉体11を一旦全開した後に閉鎖し、その閉鎖動作の途中で停止した後に閉鎖動作を再開しているため、開閉体11の近くにいる人が、開閉体11が閉鎖されることに気が付き易い。
このため、例えば、屋内とベランダが開閉装置10より仕切られた環境において、ベランダにいるユーザーがシャッターの閉鎖に気が付くのに遅れて、ベランダに締め出されてしまうようなことを防ぐことができる。
【0105】
すなわち、ベランダにいるユーザーは、開閉体11が自動開放する時点(ステップS601)や、開閉体11が途中停止した時点(ステップS604)で、気象情報による自動閉鎖処理が行われていることに気が付く可能性が高く、これらの時点で開閉体11の下方側をくぐり抜けることができる。
【0106】
なお、上記自動閉鎖処理によれば、開閉体11の全開を開放動作時間により判断したが(上記ステップS603)、他例としては、開閉体11の全開を、開閉装置10からのフィードバック情報(開閉装置10のカウンター式リミットスイッチやエンコーダの信号)により判断するようにしてもよい。
【0107】
同様に、上記自動閉鎖処理によれば、開閉体11の途中閉鎖状態を閉鎖動作時間により判断したが(上記ステップS605)、他例としては、開閉体11の途中閉鎖状態を、開閉装置10からのフィードバック情報により判断するようにしてもよい。
【0108】
また、上記自動閉鎖処理によれば、気象情報に応じた制御指令の結果としての開閉体状態の通知を、アイコンi1,i2の表示としたが、この通知の他例としては、ユーザー端末30によるプッシュ通知や、音声通知、これらを適宜に組み合わせた通知とすることが可能である。
【0109】
また、
図9(a)に示す一例では、開閉体11が全閉位置にある場合でも先ず開放動作をするものとしたが、他の制御例としては、開閉体11が全閉位置にある場合に、上記自動閉鎖処理を省略してその全閉位置を維持したままとすることも可能である。
【0110】
また、複数の開閉装置10のうち、上記自動閉鎖処理を行う開閉装置10は、全ての開閉装置10としてもよいし、一部の開閉装置10のみとしてもよい。
例えば、ベランダの開閉装置10のみ上記自動閉鎖処理により閉鎖動作の一時停止を行うものとし(ステップS606~S608)、他の開閉装置10については前記一時停止を行わずに単純に閉鎖動作してアイコン表示する構成としてもよい。
【0111】
<気象情報に応じた制御指令に即しない動作があった場合の処理>
次に、上記自動閉鎖処理(
図8参照)中に、例えばリモコン操作による開放動作等、気象情報に応じた制御指令に即しない開閉装置10の動作があった場合の処理について、
図11に沿って詳細に説明する。
【0112】
図11に示す処理は、
図8のフローチャートによる自動閉鎖処理中に、例えば割り込み処理として実行される。
【0113】
詳細に説明すれば、先ず、開閉装置制御通信機20は、制御対象の開閉装置10が上記自動閉鎖処理(上記ステップS601~S611)中であるか否かを判断し(ステップS701)、自動閉鎖処理中であれば次のステップS702を実行し、そうでなければ当該ステップS701の処理を繰り返す。
【0114】
次に、開閉装置制御通信機20は、制御対処の開閉装置10について、後述する動作状態検知手段(図示せず)による特定の動作状態(例えば、操作用リモコン14の操作による開放動作)の検知があるか否かを判断する(ステップS702)。
開閉装置制御通信機20は、前記特定の動作状態の検知があれば、気象情報に応じた制御指令に即しない開閉装置10の動作があったものとみなして、次のステップS703へ処理を進め、そうでなければ、上記ステップS701へ処理を戻す。
【0115】
ここで、前記動作状態検知手段は、開閉装置10の制御回路や、開閉装置制御通信機20の制御回路及びプログラム等により、開閉装置制御通信機20では直接的に認識されない操作機器(図示例によれば、操作用リモコン14)の操作による開閉装置10の動作状態(例えば、開放動作または停止等)を検知する構成とすればよい。
【0116】
より具体的に説明すれば、開閉装置10の制御回路(図示せず)には、操作用リモコン14の操作により動作していることを示す動作状態信号を、送受信機13により発信する機能が設けられる。
開閉装置制御通信機20は、上記自動閉鎖処理中(ステップS601~S611)に、制御対象の開閉装置10に対し前記動作状態信号を要求し、この要求に応じて受信した前記動作状態信号に基づき、開閉装置10が操作用リモコン14の操作による開放動作をしているか否かを判断する(上記ステップS702参照)。
【0117】
次に、開閉装置制御通信機20は、上記自動閉鎖処理をキャンセルし(ステップS703)、上記ステップS701へ処理を戻す。
具体的に説明すれば、ステップS703では、
図8のフローチャートに示す自動閉鎖処理を実行中であっても、その処理を途中で中止し、当該自動閉鎖処理における以降の処理を行わない。
このため、上記自動閉鎖処理の対象となる開閉装置10は、上記自動閉鎖処理の指令に従わずに、操作用リモコン14の操作による上記動作状態(例えば開放動作や停止等)を継続する。
【0118】
なお、操作用リモコン14による操作がなくなった場合には、例えば、所定時間経過後に、上記ステップS201を実行すればよい。
【0119】
よって、
図11に示す処理によれば、気象情報による自動閉鎖処理中であっても、操作用リモコン14による操作がある場合には、自動閉鎖処理をキャンセルして、操作用リモコン14による操作を優先させることができる。
【0120】
なお、上記実施形態によれば、気象情報に応じた制御指令に即しない開閉装置10の動作状態を、操作用リモコン14の操作による開閉装置10の開放動作としたが、この動作状態の他例としては、操作用リモコン14の操作による開閉装置10の停止することも可能である。
さらに、この動作状態の他例としては、操作用リモコン14の操作による動作状態以外に、開閉装置制御通信機20が直接的に認識できない他のユーザー操作による動作状態とすることも可能である。
【0121】
<持上げ操作があった場合の処理>
次に、上記自動閉鎖処理等の結果による全閉状態において実行される処理について、
図12に沿って詳細に説明する。
【0122】
開閉装置制御通信機20は、制御対象となる開閉装置10について動作状態を確認する(ステップS801)。
この動作状態の確認は、例えば、上述した動作状態検知手段によるものとしてもよいし、開閉装置10との通信により得た開閉装置10の制御回路上の信号や、図示しないセンサにより開閉体11の開閉状態を感知した信号等によるものとしてもよい。
【0123】
次のステップS802では、開閉装置10が全閉中であるか否かを判断し、全閉中であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければステップS807へ処理をジャンプする。
【0124】
次のステップS803では、開閉体11が全閉してから、所定の開放可能時間内であるか否かを判断し、前記開放可能時間内であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければステップS807へ処理をジャンプする。
ここで、前記開放可能時間は、屋内とベランダが開閉装置10より仕切られた環境において、ベランダにいるユーザーがシャッターの全閉に気が付き、持上げ動作をすることを想定して適宜に設定され、例えば、数分~数十分程度に設定される。
【0125】
次のステップS804では、開閉体11の全閉が上記自動閉鎖処理による全閉であるか否かを判断し、自動閉鎖処理による全閉であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければステップS807へ処理をジャンプする。
このステップS804の全閉判断は、上記ステップS609と同様に、開閉装置10の制御回路からのフィードバック情報等に基づく判断とすればよい。
【0126】
次に、開閉装置制御通信機20は、制御対象の開閉装置10に対し、持上げ操作による開閉体11の開放を可能にする指令を発信する(ステップS805)。
【0127】
ここで、持上げ操作により開閉体11の開放を可能にする手段は、前記持上げ操作に応じて開閉体11を電動で開放動作させるようにしてもよし、開閉体11の手動開放を可能にしてもよい。
【0128】
例えば、前者では、開閉装置10が、開閉体11を閉鎖動作する開閉機の電流の監視、あるいはセンサによる感知等により、開閉体11に対する持上げ操作があると判断した場合、前記開閉機を開放方向へ動作させて開閉体11を開放動作させる。
また、後者では、開閉装置10が、前者と同様にて開閉体11に対する持上げ操作があると判断した場合に、前記開閉機に設けられる電磁ブレーキ機構を解除して前記開閉機を自由回転可能な状態にし、開閉体11に対する手動開放動作を可能にする。
【0129】
次のステップS806では、持上げ開放を可能にしてから、上述した開放可能時間が経過したか否かを判断し、上記開放可能時間を経過していれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、上記開放可能時間が経過するのを待つ。
【0130】
次の、ステップS807では、制御対象の開閉装置10に対し、開閉体11を開放不能にする指令を発し、上記ステップS801へ処理を戻す。
前記開放不能にする指令を受けた開閉装置10は、上述した電磁ブレーキ機構等により上記開閉機を拘束し、開閉体11を開放不能にする。あるいは、図示しないロック機構を作動させて開閉体11を開放不能にしてもよい。
【0131】
よって、
図12に示す処理によれば、上記自動閉鎖処理により開閉体11が全閉した場合であっても、所定時間内は、開閉体11を開放することができ、例えば、ベランダ等に締め出されたユーザーが開閉体11を開放して、開閉体11の下方を潜り抜けることができる。
また、所定時間経過後は、開閉体11が開放不能になるため、防犯性を高めることができる。
【0132】
なお、
図12に示す制御例によれば、気象情報に応じた上記自動閉鎖処理による全閉を対象に、持上げ開放を可能にしたが、他例としては、気象情報に応じた自動閉鎖処理以外の閉鎖、例えば、タイマー機能による全閉や、リモコン操作による全閉等、他の所定の事象に応じた全閉を対象に、所定時間内の持上げ開放を可能にしてもよい。
【0133】
さらに他の好ましい態様としては、
図12に示す処理に加えて、開閉体11が閉鎖してから所定時間内に持上げ操作による開閉体11の開放を可能にした状態と、同所定時間内であっても持上げ操作による開閉体11の開放を不能にした状態とを切り替える切替手段を具備するようにしてもよい。
【0134】
前記切替手段は、例えば、ユーザー端末30の操作に応じて、開閉装置制御通信機20が、前者の開放可能状態と、後者の開放不能状態とを切り替えるようにすればよい。
【0135】
また、前記切替手段の他の好ましい一例としては、開閉体11の閉鎖が上記自動閉鎖処理による閉鎖である場合に、持上げ操作による開閉体11の開放を可能にし、開閉体11の閉鎖が自動閉鎖以外の閉鎖である場合には、持上げ操作による開閉体11の開放を不能にする態様としてもよい。
すなわち、この態様では、開閉装置制御通信機20は、開閉体11の閉鎖が上記自動閉鎖処理による閉鎖であるか、上記自動閉鎖処理以外の閉鎖(例えば、操作用リモコン14操作による閉鎖や、タイマー機能による閉鎖)であるかを判断し、上記自動処理による閉鎖であることを条件に、上記したようにして、持上げ操作による開閉体11の開放を可能にする。
【0136】
また、上記制御例に加える構成して、持上げ操作がされた場合には、その検知信号を送受信機13から開閉装置制御通信機20へ発信し、ユーザー端末30へ持上げ操作されたことがプッシュツ通知される処理をしてもよい。
【0137】
<他の変形例>
上記実施形態では、開閉装置制御通信機20が利用する気象情報を気象警戒情報(例えば大雨警報や暴風警報等)としたが、他例としては、開閉装置制御通信機20が利用する気象情報を、大雪警報や注意報、早期注意情報、リアルタイム気象観測データ(例えば、雨量、風量、積乱雲接近等)、その他の気象関係の情報とすることが可能である。
【0138】
また、他の好ましい態様としては、開閉体11を止水板のように開口部からの水の浸入を防ぐ止水性能を有するものとし、開閉装置制御通信機20が利用する気象情報を、洪水警報や河川氾濫危険情報などの水害関係の情報としてもよい。
【0139】
また、上記実施形態によれば、開閉装置制御通信機20がユーザー指示情報及び気象情報に応じて開閉装置を閉鎖するようにしたが、他例としては、開閉装置制御通信機20がユーザー指示情報及び気象情報(例えば、気象警報が解除された情報等)に応じて開閉装置を開放する態様とすることも可能である。
【0140】
なお、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0141】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
所定の事象に応じて開閉装置の開閉体を自動閉鎖するようにした開閉装置制御システムにおいて、前記開閉体が閉鎖してから所定時間内は、持上げ操作による前記開閉体の開放を可能にし、前記所定時間経過後に、前記開閉体を開放不能にすることを特徴とする開閉装置制御システム(
図1及び
図12参照)。
(2)
前記所定の事象が、インターネット回線を介して入力される気象情報であることを特徴とする(1)に記載の開閉装置制御システム(
図1及び
図4参照)。
(3)
前記開閉体が閉鎖してから所定時間内は、前記持上げ操作に応じて前記開閉体を電動で開放動作させることを特徴とする(1)または(2)に記載の開閉装置制御システム(
図12参照)。
(4)
前記開閉体が閉鎖してから所定時間内は、前記開閉体の手動開放を可能にすることを特徴とする(1)または(2)に記載の開閉装置制御システム(
図12参照)。
(5)
前記開閉体が閉鎖してから所定時間内に、持上げ操作による前記開閉体の開放を可能にした状態と、同所定時間内であっても、持上げ操作による前記開閉体の開放を不能にした状態とを切り替える切替手段を備えたことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の開閉装置制御システム。
(6)
前記切替手段は、前記開閉体の閉鎖が自動閉鎖である場合に、持上げ操作による前記開閉体の開放を可能にし、前記開閉体の閉鎖が自動閉鎖以外の閉鎖である場合には、持上げ操作による前記開閉体の開放を不能にすることを特徴とする(5)に記載の開閉装置制御システム。
【符号の説明】
【0142】
1:開閉装置制御システム
10:開閉装置
11:開閉体
13:送受信機
14:操作用リモコン
20:開閉装置制御通信機
30:ユーザー端末
40:情報提供サーバー
G1:モード設定画面
G2,G3:判断を要求する画面
i1, i2:アイコン
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
<自動制御優先モードにおける処理>
自動制御優先モードでは、開閉装置制御通信機20が、ユーザー端末30に対し、ユーザー指示優先モードでした前記要求(ステップS
302の通知
2やS
304の操作画面表示に対する応答の要求)をすることなく、情報提供サーバー40から入手した気象情報に応じた制御指令を開閉装置10に発信する。
以下、自動制御優先モードが選択されている場合の制御例について、
図6及び
図7のフローチャートに沿って詳細に説明する。