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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176791
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H02K9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095594
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶士郎
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP12
5H609QQ01
5H609RR02
5H609RR53
5H609RR54
5H609RR55
(57)【要約】
【課題】固定子および回転子の冷却性が低下するのを抑制することができる新規な構成の回転電機を得る。
【解決手段】回転電機1は、収容体10と、第1の固定子30と、第1の回転子20と、励磁装置100と、内扇25bと、第1の冷却器66Aと、第2の冷却器66Bと、を備える。収容体10は、第1の室10aと、第1の室10aと通じた第2の室10bと、第1の室10aおよび第2の室10bと通じた第3の室10cとが内部10nに設けられ、内部10nに気体を収容している。内扇25bは、気体の流れを生じさせる。第1の冷却器66Aは、気体を冷却する。第2の冷却器66Bは、冷却用気体の流れ方向において励磁装置100の下流側かつ固定子30および回転子鉄心22の上流側に位置し、冷却用気体を冷却する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の室と、前記第1の室と通じた第2の室と、前記第1の室および前記第2の室と通じた第3の室と、が内部に設けられ、前記内部に気体を収容した収容体と、
前記第1の室に収容され、前記収容体に固定された第1の固定子と、
一部が前記第1の固定子の内側に位置し前記収容体に対して回転可能なシャフトと、前記第1の固定子の内側に位置し前記シャフトと一体に回転する回転子鉄心と、を有した第1の回転子と、
前記第3の室に収容され、一部が前記シャフトと一体に回転する励磁装置と、
前記シャフトに設けられ、前記シャフトと一体に回転することにより、前記第1の室から前記第2の室を介して前記第3の室へ入り当該第3の室から前記第1の室に戻る前記気体の流れを生じさせる内扇と、
前記第2の室に収容され、前記気体を冷却する第1の冷却器と、
前記収容体に収容され、前記気体の流れ方向において前記励磁装置の下流側かつ前記第1の固定子および前記回転子鉄心の上流側に位置し、前記気体を冷却する第2の冷却器と、
を備えた回転電機。
【請求項2】
前記収容体は、
前記第1の室と、前記第2の室と、前記第3の室と、が設けられたベース部と、
前記ベース部に着脱可能に結合され、前記第3の室と前記第1の室とを接続し、前記励磁装置を通った前記気体を前記第3の室から前記第1の室へ案内するダクトと、
を備え、
前記第2の冷却器は、前記ダクトの内部に設けられた、
請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定子、回転子、励磁装置、内扇、および冷却器を収容体に収容し、内扇によって収容体内の気体を循環させる構成の回転電機が知られている。この回転電機では、冷却器で冷却された気体により、固定子、回転子、および励磁装置を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-72595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の回転電機では、例えば、回転電機の出力の増大化に伴い、励磁装置の出力の増加が必要とされる。励磁装置の出力が増加すると、励磁装置の放熱量が増加し、励磁装置側から固定子および回転子側へ流れる気体の温度が上昇してしまい、気体による固定子および回転子の冷却性が低下する場合がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、固定子および回転子の冷却性が低下するのを抑制することができる新規な構成の回転電機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の回転電機は、第1の室と、前記第1の室と通じた第2の室と、前記第1の室および前記第2の室と通じた第3の室と、が内部に設けられ、前記内部に気体を収容した収容体と、前記第1の室に収容され、前記収容体に固定された第1の固定子と、一部が前記第1の固定子の内側に位置し前記収容体に対して回転可能なシャフトと、前記第1の固定子の内側に位置し前記シャフトと一体に回転する回転子鉄心と、を有した第1の回転子と、前記第3の室に収容され、一部が前記シャフトと一体に回転する励磁装置と、前記シャフトに設けられ、前記シャフトと一体に回転することにより、前記第1の室から前記第2の室を介して前記第3の室へ入り当該第3の室から前記第1の室に戻る前記気体の流れを生じさせる内扇と、前記第2の室に収容され、前記気体を冷却する第1の冷却器と、前記収容体に収容され、前記気体の流れ方向において前記励磁装置の下流側かつ前記第1の固定子および前記回転子鉄心の上流側に位置し、前記気体を冷却する第2の冷却器と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、固定子および回転子の冷却性が低下するのを抑制することができる新規な構成の回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の回転電機の構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態の回転電機の一部を示す断面図である。
図3図3は、実施形態の回転電機における第2の冷却器を含む部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。
【0010】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0011】
図1は、実施形態の回転電機1の構成を示す模式図である。図2は、実施形態の回転電機1の一部を示す断面図である。
【0012】
図1および図2に示されるように、回転電機1は、収容体10と、回転子20と、固定子30と、内扇25a,25bと、第1の冷却器66Aと、第2の冷却器66Bと、励磁装置100と、を有する。以後、第1の冷却器66Aと第2の冷却器66Bとの総称として冷却器66を用いる。なお、本明細書中では、ブラシレス回転電機を挙げて説明するが、回転電機1はブラシレス回転電機に限定されない。回転子20は、第1の回転子の一例であり、固定子30は、第1の固定子の一例である。収容体10は、筐体とも称される。内扇25a,25bは、ファンとも称される。
【0013】
各図には、互いに直交する三方向が示されている。X方向は、収容体10の長手方向および回転子20の回転中心軸Axの軸方向に沿う。Y方向は、収容体10の短手方向および回転中心軸Axの軸方向と直交する方向に沿う。Z方向は、収容体10の上下方向に沿う。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する。ここで、回転中心軸Axは、回転子20のシャフト21の中心軸(中心線)である。すなわち、回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向は、シャフト21の軸方向、径方向、および周方向と同じである。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、軸方向、径方向、および周方向は、回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向、すなわちシャフト21の軸方向、径方向、および周方向である。
【0014】
収容体10の内部10nには、第1の室10aと、第2の室10bと、第3の室10cと、が設けられている。第2の室10bは、第1の室10aと隣接し、第1の室10aと通じている。第3の室10cは、第1の室10aおよび第2の室10bと隣接し、第1の室10aと第2の室10bとに通じている。具体的には、第3の室10cは、励磁装置入口ダクト64を介して第2の室10bと通じ、励磁装置出口ダクト65を介して第1の室10aと通じている。このように、第1の室10aと、第2の室10bと、第3の室10cとは、互いに通じている。励磁装置入口ダクト64および励磁装置出口ダクト65は、収容体10を構成する。
【0015】
第1の室10aには、回転子20、固定子30、内扇25a,25bが収容されている。第2の室10bには、第1の冷却器66Aが収容されている。第3の室10cには、励磁装置100が収容されている。励磁装置出口ダクト65には、第2の冷却器66Bが収容されている。
【0016】
収容体10の内部10nは、冷媒である冷却用の気体(以下、冷却用気体とも称する)で満たされている。すなわち収容体10の内部10nは、閉空間であり、冷却用気体を収容している。冷却用気体は、例えば空気である。気体は、内扇25a,25bの動作によって収容体10の内部10nを循環する。気体は、回転子20、固定子30、および励磁装置100を通過する際にこれら各部を冷却する。この際に、上記各部の熱によって加熱された気体は、冷却器66にて冷却水(冷媒)と熱交換されることにより冷却され、回転子20、固定子30、および励磁装置100を再び冷却することが可能となる。
【0017】
また、第1の室10aには、連結側軸受45aと、励磁機側軸受45bとが設けられている。また、第1の室10aには、連結側軸受ブラケット55aと、励磁機側軸受ブラケット55bとが設けられている。連結側軸受45aは連結側軸受ブラケット55aに、励磁機側軸受45bは励磁機側軸受ブラケット55bにそれぞれ固定されている。
【0018】
また、収容体10には、隔壁部15と隔壁部67が設けられている。隔壁部15は、第1の室10aと第3の室10cとの間に位置し、第1の室10aと第3の室10cとを仕切る。隔壁部15には、シャフト21が通る第1の孔16(図2)が設けられている。第1の孔16の内周面には、例えば、シャフト21に対向してラビリンスシールが設けられている。ラビリンスシールのシャフト21を向いた先端は、第1の孔16を通るシャフト21の外周面から径方向に第1の間隙を空けて離間する。なお、隔壁部15は油止環とも称される。
【0019】
隔壁部15は、励磁機側軸受ブラケット55bに取り付けられている。図2に示されるように、励磁機側軸受ブラケット55bは、励磁機側軸受45bを径方向に囲う。また、励磁機側軸受ブラケット55bに取り付けられた隔壁部15は、励磁機側軸受45bを軸方向に囲う。励磁機側軸受ブラケット55bと隔壁部15とは、励磁機側軸受45bを径方向および軸方向に囲う励磁機側軸受封止部56bを形成する。励磁機側軸受封止部56bは、潤滑油が充填されており、例えばオイルボックスとも称される。
【0020】
図1に示されるように、隔壁部67は、第1の室10aと第2の室10bとの間に位置し、第1の室10aと第2の室10bを仕切る。隔壁部67には、冷却器入口開口51aと、冷却器出口開口51b,51cとが設けられている。
【0021】
回転子20は、シャフト21と、回転子鉄心22と、回転子巻線23(界磁巻線)とを有する。シャフト21は、回転中心軸Axに沿って第1の室10aと第3の室10cとに亘って延び、連結側軸受45aおよび励磁機側軸受45bによって、回転中心軸Axまわりに回転可能に支持されている。また、シャフト21の一端には、連結部13が形成されている。シャフト21は、回転電機1が電動機の場合は駆動対象と、また回転電機1が発電機の場合は原動機と、連結部13において結合する。
【0022】
回転子鉄心22は、回転中心軸Ax回りに円筒状に形成されている。回転子鉄心22は、例えば、強磁性体製で中央に開口を有する円板状の鋼板が軸方向に積層された積層構造である。回転子鉄心22は、第1の室10aにおいて、シャフト21の径方向の外側に取り付けられている。回転子鉄心22には回転子巻線23が設けられている。回転子巻線23は、回転子鉄心22に固定されている。詳細には、回転子巻線23は、回転子鉄心22内を軸方向に貫通した状態で回転子鉄心22に固定されている。
【0023】
内扇25a,25bは、第1の室10aにおいて、シャフト21に固定されている。内扇25a,25bは、シャフト21と一体に回転中心軸Axまわりに回転することで、第1の室10aひいては収容体10の内部10nの全域に気流を発生させる。より詳細には、少なくとも内扇25bは、シャフト21と一体に回転することにより、第1の室10aから第2の室10bを介して第3の室10cへ入り当該第3の室10cから第1の室10aに戻る冷却用気体の流れを生じさせる。回転子鉄心22は、内扇25aと内扇25bとの間に位置する。
【0024】
図1に示されるように、固定子30は、回転子20の径方向の外側に設けられて、軸方向に延びた円筒状に形成されている。固定子30は、固定子鉄心31と、固定子巻線32と、を有する。固定子鉄心31は、例えば、強磁性体製で中央に開口を有する円板状の鋼板が軸方向に積層された積層構造である。回転子鉄心22の径方向の外側に対向する固定子鉄心31の内側には、回転中心軸Axの周方向に互いに間隔をおいて軸方向に延びた図示しないスロットが形成されている。それぞれのスロット内および固定子鉄心31の軸方向の両外側には固定子巻線32が設けられている。
【0025】
収容体10は、第1の室10aの上部に、冷却器カバー62を有する。冷却器カバー62は、第1の冷却器66Aを収納している。第1の冷却器66Aは、例えば熱交換器である。第1の室10aと冷却器カバー62の内部の空間とは、冷却器入口開口51aと、冷却器出口開口51b,51cとによって連通している。冷却器入口開口51aは、冷却器出口開口51bと冷却器出口開口51cとの間に位置する。
【0026】
第1の室10a内には、仕切り板51d,51fが設けられている。仕切り板51d,51fには、軸方向に当該仕切り板51d,51fを貫通する円形の開口が形成されている。
【0027】
仕切り板51dは、軸方向において固定子鉄心31と連結側軸受45aとの間に設けられている。仕切り板51fは、軸方向において固定子鉄心31と励磁機側軸受45bとの間に設けられている。
【0028】
シャフト21の励磁機側軸受45bによって支持されている部分の延長部分には、励磁装置用シャフト26が設けられている。励磁装置用シャフト26は、第3の室10cに設けられたシャフト21の一部であり、回転中心軸Axまわりに回転可能である。なお、励磁装置用シャフト26は、第1の室10aに設けられたシャフト21の一部と別体であってもよい。
【0029】
励磁装置100は、第3の室10cの内部に設けられ、回転体110と、励磁機120と、を有する。
【0030】
図2に示されるように、回転体110は、例えば、回転整流器115を有する。回転整流器115は、例えば、周方向に等間隔に配置されるとともに放射状に延びる複数の整流器を有する。回転体110は、第3の室10cで励磁装置用シャフト26に設けられ、励磁装置用シャフト26と一体に回転中心軸Axまわりに回転可能である。
【0031】
励磁機120は、励磁回転子121と、励磁固定子122と、スパイダ150と、を有する。
【0032】
励磁固定子122は、回転中心軸Ax回りの円筒状に形成されている。励磁固定子122は、径方向に励磁回転子121に対向するように設けられ、収容体10に固定されている。励磁固定子122には電源から直流電力が供給される。なお、励磁固定子122は、巻線による電磁石によって構成されている。なお、励磁固定子122は、これに限定されない。例えば、回転電機1の界磁電流すなわち回転子20の巻線に流れる電流の制御が不要な場合は、永久磁石であってもよい。
【0033】
励磁回転子121は、励磁回転子鉄心131と、励磁回転子巻線132と、を有する。
【0034】
励磁回転子鉄心131は、回転中心軸Axまわりの円筒状に形成されている。励磁回転子鉄心131は、例えば、強磁性体製で中央に開口を有する円板状の鋼板が軸方向に積層された積層構造である。励磁回転子鉄心131は、その径方向の内側にスパイダ150が入れられ、スパイダ150を介して励磁装置用シャフト26に固定されている。また、励磁回転子鉄心131は、励磁固定子122の径方向の内側に入れられている。また、励磁回転子鉄心131の外周部には、回転中心軸Axの周方向に互いに間隔をおいて軸方向に延びた複数のスロットが形成されている。これら複数のスロットに励磁回転子巻線132が入れられている。励磁回転子巻線132は、励磁回転子鉄心131に固定されている。
【0035】
スパイダ150は、回転中心軸Axまわりの環状(円筒状)であり、その径方向の内側に励磁装置用シャフト26が入れられ、励磁装置用シャフト26に固定されている。スパイダ150は、ブラケットや固定部材とも称される。
【0036】
励磁固定子122による直流の界磁の内側で、励磁回転子121が回転中心軸Axまわりに回転すると、励磁回転子121の励磁回転子121には、交流の誘導起電力が発生する。励磁回転子巻線132に発生する交流電力は、回転整流器115によって直流電力に変換され、同じく回転中心軸Axまわりに回転する回転子鉄心22に設けられた回転子巻線23(界磁巻線)に供給される。この界磁によって、固定子巻線32すなわち電機子巻線に誘導起電力が発生する。
【0037】
次に、収容体10についてより詳細に説明する。図1に示されるように、収容体10は、連結側軸受ブラケット55aと、励磁機側軸受ブラケット55bと、フレーム61と、冷却器カバー62と、励磁装置カバー63と、励磁装置入口ダクト64と、励磁装置出口ダクト65と、隔壁部15,67と、を有する。連結側軸受ブラケット55aと、励磁機側軸受ブラケット55bと、フレーム61と、冷却器カバー62と、励磁装置カバー63と、隔壁部15,67とは、ベース部11を構成している。ベース部11には、第1の室10aと、第2の室10bと、第3の室10cと、が設けられている。励磁装置入口ダクト64および励磁装置出口ダクト65は、ベース部11に着脱可能に結合されている。図2に示されるように、例えば、励磁装置出口ダクト65は、ボルトなどの結合具160によってベース部11に固定されており、結合具160を取り外すことにより、ベース部11から取り外すことが可能となる。
【0038】
励磁装置カバー63は、第3の室10cを囲う。励磁装置カバー63と、冷却器カバー62との間には、励磁装置カバー63と冷却器カバー62を連通する励磁装置入口ダクト64が設けられている。また、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット55bとの間には、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット55bを連通する励磁装置出口ダクト65が設けられている。
【0039】
第1の室10aは、軸方向の両端に設けられる連結側軸受ブラケット55aおよび励磁機側軸受ブラケット55bと、連結側軸受ブラケット55aおよび励磁機側軸受ブラケット55bの間でシャフト21に沿って設けられたフレーム61と、隔壁部15,67とにより形成されている。第2の室10bは、冷却器カバー62と隔壁部67とにより形成されている。第3の室10cは、隔壁部15と、励磁機側軸受ブラケット55bと、励磁装置カバー63により形成される。
【0040】
励磁装置出口ダクト65には、第1の室10aと第3の室10cとを連通する流路59cが設けられる。流路59cの一方の端部である第1の開口端59aは、励磁機側軸受ブラケット55bの上端部に開口する。これにより、第1の開口端59aは、第1の室10aに開口する。また、流路59cの他方の端部である第2の開口端59bは、回転体110から径方向に離間した位置で励磁装置カバー63に開口する。これにより、第2の開口端59bは、第3の室10cに開口する。本実施形態では、第2の開口端59bは、回転体110から上方向に離間した位置で第3の室10cに開口する。
【0041】
励磁装置入口ダクト64は、励磁装置出口ダクト65よりも第1の室10aから離間した位置で、励磁装置カバー63に連結される。軸方向において、励磁装置入口ダクト64が励磁装置カバー63に連結された位置と、第2の開口端59bとの間に、励磁機120が設けられる。
【0042】
収容体10は、フレーム61と、冷却器カバー62と、励磁装置カバー63と、励磁装置入口ダクト64と、励磁装置出口ダクト65等により、内部10nに密閉空間70を形成する。密閉空間70は、第1の室10a、第2の室10b、および第3の室10cを含む。また、密閉空間70は、励磁装置カバー部75と、フレーム中央部76と、冷却器カバー部77と、ファン入口部78,79と、を有する。励磁装置カバー部75は、第3の室10cに含まれる。フレーム中央部76およびファン入口部78,79は、第1の室10aに含まれる。
【0043】
フレーム中央部76は、仕切り板51dと仕切り板51fとの間に位置し、回転子鉄心22および固定子30が設けられている領域である。ファン入口部78は、内扇25aおよび仕切り板51dと連結側軸受45aとの間の部分である。ファン入口部79は、励磁機側軸受45bと内扇25bおよび仕切り板51fとの間の部分である。ファン入口部79は、流路59cを通じて励磁装置カバー部75に連通する。
【0044】
冷却器カバー部77は、冷却器カバー62により形成されている。冷却器カバー部77は、冷却器入口開口51aを通じてフレーム中央部76に連通し、冷却器出口開口51b,51cを通じてファン入口部78,79に連通する。また、冷却器カバー部77は、励磁装置入口ダクト64を通じて励磁装置カバー部75に連通する。
【0045】
次に、冷却器66について詳細に説明する。第1の冷却器66Aは、第2の室10bに設けられ、隔壁部67に固定されている。一方、第2の冷却器66Bは、励磁装置出口ダクト65の内部すなわち第3の室10cと第1の室10aとの間に設けられ、励磁装置出口ダクト65に固定されている。すなわち、第2の冷却器66Bは、冷却用気体の流れ方向において、第1の冷却器66Aの下流側に配置されている。
【0046】
第1の冷却器66Aと第2の冷却器66Bとは、ともに熱交換器によって構成されており、基本構成は同じである。ただし、第2の冷却器66Bは、第1の冷却器66Aよりも大きさが小さい。すなわち、第2の冷却器66Bは、第1の冷却器66Aよりも小型であり冷却性能が小さい。なお、第1の冷却器66Aと第2の冷却器66Bとは、異なる構成のものであってもよい。
【0047】
以下、図2および図3を参照して冷却器66の構成を説明する。図3は、実施形態の回転電機1における第2の冷却器66Bを含む部分を示す断面図である。
【0048】
図2および図3に示されるように、冷却器66は、冷却器66は、フレーム66aと、フレーム66aに支持された複数の冷却管(不図示)と、複数の冷却管に接続された複数のフィンと、を有する。
【0049】
フレーム66aの縦壁66bには、流入口66cと流出口66dとが設けられている。流入口66cおよび流出口66dは、それぞれ配管201,202が接続されている。配管201,202は、励磁装置出口ダクト65の側壁65aを貫通している。配管201,202と側壁65aとの間には、シール部材が設けられている。流入口66cは、入口側水室を介して複数の冷却管の一端部と接続されている。流出口66dは、出口側水室を介して複数の冷却管の他端部と接続されている。冷却器66では、配管201から流入口66cに流入した水等の冷却液(冷媒)が、冷却管の内部を流れ、流出口66dから配管202流出する。ここで、第1の冷却器66Aおよび第2の冷却器66Bの冷却水は、一つの共用の冷却水供給装置によって供給されてもよいし、別々の冷却水供給装置によって供給されてもよい。また、冷却水を循環させる構成の場合、第1の冷却器66Aおよび第2の冷却器66Bの冷却水を、一つの共用の冷却水供給装置によって回収して一緒に冷却し、冷却した冷却水を第1の冷却器66Aと第2の冷却器66Bに分配してもよい。
【0050】
また、フレーム66aの縦壁66bには、水抜き口66e(ドレン)と、空気抜き口66fとが設けられている。水抜き口66eおよび空気抜き口66fは、蓋によって閉じられている。
【0051】
冷却器66では、冷却器66の冷却管の外側を流れる冷却用気体と冷却管の内部を流れる冷却液との間で熱交換がなされ、冷却用気体が冷却液によって冷却される。
【0052】
第2の冷却器66Bは、流入口66cおよび流出口66dが、励磁装置出口ダクト65以外の収容体10と対向しない姿勢で配置されている。すなわち、第2の冷却器66Bは、流入口66cおよび流出口66dが、ベース部11および励磁装置入口ダクト64と対向しない姿勢で配置されている。例えば、第2の冷却器66Bは、流入口66cおよび流出口66dが、回転電機1の側方に向かう姿勢で配置されている。
【0053】
以上のように構成された本実施形態において、回転電機1の運転中、シャフト21が回転する。この結果、内扇25a,25bが回転し、密閉空間70内で冷却用気体を循環させる。図1は、冷却用気体の流れ(気流)を矢印で図示する。
【0054】
冷却用気体は、フレーム中央部76から冷却器入口開口51aを経て冷却器カバー部77に流入する。冷却用気体は、冷却器カバー部77内の第1の冷却器66Aにおいて冷却された後、一部が、冷却器出口開口51bを経由してファン入口部78に流入し、さらにフレーム中央部76に流入する。また他の一部は、冷却器出口開口51cを経由してファン入口部79に流入し、さらにフレーム中央部76に流入する。このようにして、冷却用気体は、回転子鉄心22および固定子30を冷却する。
【0055】
また、冷却器カバー部77からファン入口部79への流れに並行して、励磁装置カバー部75を経由する流れが存在する。すなわち、冷却用気体が、冷却器カバー部77内の第1の冷却器66Aにおいて冷却された後、励磁装置入口ダクト64を通過して励磁装置カバー部75に流入し、さらに、励磁装置出口ダクト65内の流路59cを経由して、ファン入口部79に流入する。励磁装置カバー部75を流れる冷却用気体が、励磁装置100を通過する際に、励磁装置100を冷却する。
【0056】
冷却用気体は、励磁装置100を冷却する際に、励磁回転子121や励磁固定子122の熱によって温度が上昇する。温度が上昇した冷却用気体は、励磁装置出口ダクト65を通過する過程で、第2の冷却器66Bによって冷却され、比較的低温となる。その後、冷却用気体は、ファン入口部79から第1の室10aに流入し、固定子30および回転子鉄心22を通過する際に固定子30および回転子鉄心22を冷却する。
【0057】
以上のように、本実施形態では、回転電機1は、収容体10と、固定子30(第1の固定子)と、回転子20(第1の回転子)と、励磁装置100と、内扇25bと、第1の冷却器66Aと、第2の冷却器66Bと、を備える。収容体10は、第1の室10aと、第1の室10aと通じた第2の室10bと、第1の室10aおよび第2の室10bと通じた第3の室10cとが内部10nに設けられ、内部10nに冷却用気体(気体)を収容している。固定子30は、第1の室10aに収容され、収容体10に固定されている。回転子20は、一部が固定子30の内側に位置し収容体10に対して回転可能なシャフト21と、固定子30の内側に位置しシャフト21と一体に回転する回転子鉄心22と、を有する。励磁装置100は、第3の室10cに収容され、一部(励磁固定子122、回転体110)がシャフト21と一体に回転する。内扇25bは、シャフト21に設けられ、シャフト21と一体に回転することにより、第1の室10aから第2の室10bを介して第3の室10cへ入り当該第3の室10cから第1の室10aに戻る気体の流れを生じさせる。第1の冷却器66Aは、第2の室10bに収容され、気体を冷却する。第2の冷却器66Bは、収容体10に収容され、冷却用気体の流れ方向において励磁装置100の下流側かつ固定子30および回転子鉄心22の上流側に位置し、冷却用気体を冷却する。
【0058】
このような構成によれば、第1の冷却器66Aによって冷却された冷却用気体が励磁装置100の熱により温度上昇しても、その後、当該冷却用気体は第2の冷却器66Bによって冷却される。よって、比較的低温となった冷却用気体が固定子30および回転子鉄心22に流れるので、当該冷却用気体によって固定子30および回転子鉄心22を冷却することができる。したがって、固定子30および回転子20の冷却性が低下するのを抑制することができる。これにより、回転電機1の固定子30、回転子20を含む本体側(タービン側)と励磁装置100側とで冷却量のバランスが崩れるのを抑制することができる。
【0059】
また、収容体10は、ベース部11と、励磁装置出口ダクト65(ダクト)と、有する。ベース部11には、第1の室10aと、第2の室10bと、第3の室10cと、が設けられている。励磁装置出口ダクト65は、ベース部11に着脱可能に結合され、第3の室10cと第1の室10aとを接続し、励磁装置100を通った冷却用気体を第3の室10cから第1の室10aへ案内する。第2の冷却器66Bは、励磁装置出口ダクト65の内部10nに設けられている。
【0060】
このような構成によれば、励磁装置出口ダクト65をベース部11から取り外すことにより、第2の冷却器66Bをベース部11から取り外すことができるので、第2の冷却器66Bのメンテナンス等がし易い。
【0061】
また、第2の冷却器66Bは、流入口66cおよび流出口66dが、励磁装置出口ダクト65以外の収容体10と対向しない姿勢で配置されている。
【0062】
よって、配管201,202が励磁装置出口ダクト65以外の収容体10に干渉しない構成を容易に実現することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、第2の冷却器66Bが励磁装置出口ダクト65の内部に設けられた例が示されたが、これに限定されない。例えば、第2の冷却器66Bは、第1の室10aにおいて、冷却用気体の流れ方向において励磁装置100の下流側かつ固定子30および回転子鉄心22の上流側に位置するように設けられてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…回転電機、10…収容体、10a…第1の室、10b…第2の室、10c…第3の室、10n…内部、11…ベース部、20…回転子(第1の回転子)、21…シャフト、22…回転子鉄心、25b…内扇、30…固定子(第1の固定子)、65…励磁装置出口ダクト(ダクト)、66A…第1の冷却器、66B…第2の冷却器、100…励磁装置、121…励磁回転子、122…励磁固定子。
図1
図2
図3