(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176814
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】警報システム、移動局、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20241212BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20241212BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241212BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241212BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G08B25/10 A
G08B25/04 K
G08B21/02
E02F9/24 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095628
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】スワプニル,ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】山路 貴司
【テーマコード(参考)】
2D015
5C086
5C087
5J062
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
5C086AA22
5C086CA06
5C086CB27
5C086DA08
5C086FA02
5C086FA11
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA11
5C087AA42
5C087AA44
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG83
5J062BB05
5J062CC15
5J062CC18
5J062GG01
(57)【要約】
【課題】人又は物が予め決められたエリアにあるか否かを高精度に決定する。
【解決手段】処理回路24は、ビーコン信号N11,N12の信号レベルに基づいて、第1の固定局1を基準として移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定する。処理回路24は、ビーコン信号N21,N22の信号レベルに基づいて、第2の固定局1を基準として移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定する。処理回路24は、第1及び第2の暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固定局、第2の固定局、及び移動局を含む警報システムであって、
前記第1及び第2の固定局は、第1及び第2のエリアの境界線上における異なる位置にそれぞれ設けられ、
前記第1の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第1の主ビーム方向を有する第1の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第2の主ビーム方向を有する第2の送信アンテナと、
前記第1の送信アンテナを介して第1のビーコン信号を送信し、前記第2の送信アンテナを介して第2のビーコン信号を送信する第1の送信回路とを備え、
前記第2の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第3の主ビーム方向を有する第3の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第4の主ビーム方向を有する第4の送信アンテナと、
前記第3の送信アンテナを介して第3のビーコン信号を送信し、前記第4の送信アンテナを介して第4のビーコン信号を送信する第2の送信回路とを備え、
前記移動局は、
受信アンテナと、
前記受信アンテナを介して前記第1~第4のビーコン信号を受信し、前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルを検出する受信回路と、
前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する処理回路と、
前記移動局が前記第2のエリアにある場合、前記移動局が前記第2のエリアにあることを示す第1の警報信号を出力する出力装置とを備え、
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第2の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定し、
前記第1及び第2の暫定位置に基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する、
警報システム。
【請求項2】
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記移動局が、前記第1の固定局の位置において前記境界線に接する第1の基準線のいずれの側に位置しているかを決定することにより、前記第1の暫定位置を決定し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記移動局が、前記第2の固定局の位置において前記境界線に接する第2の基準線のいずれの側に位置しているかを決定することにより、前記第2の暫定位置を決定する、
請求項1記載の警報システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の基準線は、前記第1及び第2の固定局の位置を通る共通の直線である、
請求項2記載の警報システム。
【請求項4】
前記第1及び第2の基準線は、所定角度を有して互いに交差する、
請求項2記載の警報システム。
【請求項5】
前記処理回路は、
前記第2のビーコン信号の信号レベルが前記第1のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第1の暫定位置を決定し、
前記第4のビーコン信号の信号レベルが前記第3のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第2の暫定位置を決定する、
請求項1~4のうちの1つに記載の警報システム。
【請求項6】
前記処理回路は、
予め決められた時間期間中に、前記第2のビーコン信号の信号レベルが前記第1のビーコン信号の信号レベルを超過した回数が第1のしきい値を超えた場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第1の暫定位置を決定し、
前記時間期間中に、前記第4のビーコン信号の信号レベルが前記第3のビーコン信号の信号レベルを超過した回数が前記第1のしきい値を超えた場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第2の暫定位置を決定する、
請求項1~4のうちの1つに記載の警報システム。
【請求項7】
前記移動局は、前記移動局の加速度を検出する加速度センサをさらに備え、
前記処理回路は、
前記移動局の加速度に基づいて、前記移動局が移動中であるか否かを決定し、
前記移動局が移動中であり、かつ、前記第2のビーコン信号の信号レベルが前記第1のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第1の暫定位置を決定し、
前記移動局が移動中であり、かつ、前記第4のビーコン信号の信号レベルが前記第3のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第2の暫定位置を決定する、
請求項1~4のうちの1つに記載の警報システム。
【請求項8】
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の基準線から前記移動局までの第1の距離を計算し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第2の基準線から前記移動局までの第2の距離を計算し、
前記第1及び第2の暫定位置と、前記第1又は第2の距離とに基づいて、前記移動局が、前記第1のエリアに含まれる第3のエリアであって、第2のしきい値よりも短い距離を有して前記第2のエリアに近接した第3のエリアにあるか否かを決定し、
前記出力装置は、前記移動局が前記第3のエリアにある場合、前記移動局が前記第3のエリアにあることを示す第2の警報信号を出力する、
請求項2~4のうちの1つに記載の警報システム。
【請求項9】
前記処理回路は、前記第1及び第2の暫定位置と、前記第1又は第2の距離とに基づいて、前記移動局が、前記第1のエリアに含まれる第4のエリアであって、前記第2のしきい値より短い第3のしきい値よりも短い距離を有して前記第2のエリアに近接した第4のエリアにあるか否かを決定し、
前記出力装置は、前記移動局が前記第4のエリアにある場合、前記第1の警報信号を出力する、
請求項8記載の警報システム。
【請求項10】
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて第1の特徴量を計算し、
前記第1の特徴量に基づいて、第1の機械学習モデルを用いて、前記移動局が前記第1の基準線に対して前記第2のエリアを含む側に位置しているか否かを決定することにより、前記第1の暫定位置を決定し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて第2の特徴量を計算し、
前記第2の特徴量に基づいて、前記第1の機械学習モデルを用いて、前記移動局が前記第2の基準線に対して前記第2のエリアを含む側に位置しているか否かを決定することにより、前記第2の暫定位置を決定する、
請求項2~4のうちの1つに記載の警報システム。
【請求項11】
前記処理回路は、
前記移動局が前記第1の基準線に対して前記第2のエリアを含まない側にある場合、前記第1の特徴量に基づいて、第2の機械学習モデルを用いて、前記第1の基準線から前記移動局までの第1の距離が第2のしきい値より短いか否かを決定し、
前記移動局が前記第2の基準線に対して前記第2のエリアを含まない側にある場合、前記第2の特徴量に基づいて、前記第2の機械学習モデルを用いて、前記第2の基準線から前記移動局までの第2の距離が前記第2のしきい値より短いか否かを決定し、
前記第1及び第2の暫定位置と、前記第1又は第2の距離とに基づいて、前記移動局が、前記第1のエリアに含まれる第3のエリアであって、前記第2のしきい値よりも短い距離を有して前記第2のエリアに近接した第3のエリアにあるか否かを決定し、
前記出力装置は、前記移動局が前記第3のエリアにある場合、前記移動局が前記第3のエリアにあることを示す第2の警報信号を出力する、
請求項10記載の警報システム。
【請求項12】
前記第1~第4の送信アンテナは複数のアンテナ素子をそれぞれ含む、
請求項1記載の警報システム。
【請求項13】
前記警報システムは、前記境界線上において、前記第1及び第2の固定局とは異なる位置に設けられた第3の固定局をさらに含み、
前記第3の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第5の主ビーム方向を有する第5の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第6の主ビーム方向を有する第6の送信アンテナと、
前記第5の送信アンテナを介して第5のビーコン信号を送信し、前記第6の送信アンテナを介して第6のビーコン信号を送信する第3の送信回路とを備え、
前記受信回路は、前記受信アンテナを介して前記第5及び第6のビーコン信号を受信し、前記第5及び第6のビーコン信号の信号レベルを検出し、
前記処理回路は、
前記第5及び第6のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第3の暫定位置を決定し、
前記第1~第3の暫定位置ののうちの2つに基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する、
請求項1記載の警報システム。
【請求項14】
請求項1記載の警報システムのための移動局。
【請求項15】
第1の固定局、第2の固定局、及び移動局を含む警報システムの移動局に実装された処理回路によって実行される命令を含むプログラムであって、
前記第1及び第2の固定局は、第1及び第2のエリアの境界線上における異なる位置にそれぞれ設けられ、
前記第1の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第1の主ビーム方向を有する第1の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第2の主ビーム方向を有する第2の送信アンテナと、
前記第1の送信アンテナを介して第1のビーコン信号を送信し、前記第2の送信アンテナを介して第2のビーコン信号を送信する第1の送信回路とを備え、
前記第2の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第3の主ビーム方向を有する第3の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第4の主ビーム方向を有する第4の送信アンテナと、
前記第3の送信アンテナを介して第3のビーコン信号を送信し、前記第4の送信アンテナを介して第4のビーコン信号を送信する第2の送信回路とを備え、
前記移動局は、
受信アンテナと、
前記受信アンテナを介して前記第1~第4のビーコン信号を受信し、前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルを検出する受信回路と、
前記処理回路と、
出力装置とを備え、
前記命令は、前記処理回路に、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定することと、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第2の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定することと、
前記第1及び第2の暫定位置に基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定することと、
前記移動局が前記第2のエリアにある場合、前記移動局が前記第2のエリアにあることを示す第1の警報信号を前記出力装置から出力させることとを実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、警報システム、移動局、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場において作業者が工作機械に不用意に近づくと、作業者が工作機械によって怪我をするおそれがある。このため、工作機械の近傍に危険エリアを設定し、作業者が危険エリアに進入したときに警報を発生することがある。
【0003】
例えば,特許文献1は、安全エリアと危険エリアとが存在する建設現場に適用される安全制御システムを開示している。特許文献1のシステムは、作業者及び重機などに設けられた発信源から送信されたビーコン信号の受信強度に基づいて、危険エリアと安全エリアとの境界からビーコン信号の発信源までの距離を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにビーコン信号の受信信号強度に基づいて距離を検出する場合、ビーコン信号の発信源から遠ざかると、安定的な信号強度でビーコン信号を受信することは困難になる。その結果、作業者が安全エリアにいるか、それとも危険エリアにいるのかを確実に判断できなくなる。作業者が安全エリアにいるか、それとも危険エリアにいるのかを確実に判断するために、1つの発信源でカバーする範囲が狭くなるように、多数の発信源を高密度で配置することが考えられる。しかしながら、この場合、多数の発信源を用いるために高いコストがかかる。従って、コストの大幅な増大をまねくことなく、人又は物が予め決められたエリアにあるか否かを従来よりも高精度に決定することが求められる。
【0006】
本開示の目的は、人又は物が予め決められたエリアにあるか否かを従来よりも高精度に決定することができる警報システムを提供することにある。また、本開示の目的は、そのような警報システムのための移動局及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
第1の固定局、第2の固定局、及び移動局を含む警報システムであって、
前記第1及び第2の固定局は、第1及び第2のエリアの境界線上における異なる位置にそれぞれ設けられ、
前記第1の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第1の主ビーム方向を有する第1の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第2の主ビーム方向を有する第2の送信アンテナと、
前記第1の送信アンテナを介して第1のビーコン信号を送信し、前記第2の送信アンテナを介して第2のビーコン信号を送信する第1の送信回路とを備え、
前記第2の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第3の主ビーム方向を有する第3の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第4の主ビーム方向を有する第4の送信アンテナと、
前記第3の送信アンテナを介して第3のビーコン信号を送信し、前記第4の送信アンテナを介して第4のビーコン信号を送信する第2の送信回路とを備え、
前記移動局は、
受信アンテナと、
前記受信アンテナを介して前記第1~第4のビーコン信号を受信し、前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルを検出する受信回路と、
前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する処理回路と、
前記移動局が前記第2のエリアにある場合、前記移動局が前記第2のエリアにあることを示す第1の警報信号を出力する出力装置とを備え、
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第2の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定し、
前記第1及び第2の暫定位置に基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る警報システムは、人又は物が予め決められたエリアにあるか否かを従来よりも高精度に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る警報システムを示す概略図である。
【
図2】
図1の固定局1の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の移動局2の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のサーバ装置4の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図2の固定局1の例示的な放射パターンを示す図である。
【
図6】
図3の処理回路24によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図1の警報システムにおけるマルチパスの影響を説明するための図である。
【
図8】第1の実施形態の変形例に係る警報システムの移動局2Aの構成を示すブロック図である。
【
図9】第2の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。
【
図10】
図9の移動局2の処理回路24によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図10のステップS101のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図12】
図10のステップS102のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施形態に係る警報システムによる安全エリアA1及び危険エリアA2の決定を説明するための表である。
【
図14】第3の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。
【
図15】第3の実施形態に係る警報システムの移動局2によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【
図16】第3の実施形態の第1の変形例に係る警報システムの移動局2によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【
図17】第3の実施形態の第2の変形例に係る警報システムの動作を説明するための図である。
【
図18】第3の実施形態の第2の変形例に係る警報システムの移動局2によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【
図19】第4の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。
【
図20】第4の実施形態の第1の変形例に係る警報システムの動作を説明するための図である。
【
図21】
図19の移動局2の処理回路24によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【
図22】
図21のステップS201のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図23】
図21のステップS202のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図24】第4の実施形態の第1の変形例に係る警報システムによる安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3の決定を説明するための表である。
【
図25】第4の実施形態の第2の変形例に係る警報システムの動作を説明するための図である。
【
図26】第5の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。
【
図27】第6の実施形態に係る警報システムの固定局1Aの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る警報システムについて説明する。各図面にわたって、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0011】
[第1の実施形態]
[第1の実施形態の構成]
図1は、第1の実施形態に係る警報システムを示す概略図である。
図1の警報システムは、1つ又は複数の固定局1、移動局2、アクセスポイント装置(AP)3、及びサーバ装置4を備える。
【0012】
図1の警報システムは、例えば、工場及び建設現場など、安全エリアA1及び危険エリアA2を含む場所に設けられる。安全エリアA1は、進入又は滞在している人又は物を損なう原因が存在しないと考えられる領域である。危険エリアA2は、例えば、工作機械、段差、又は化学薬品などの近傍などのように、進入又は滞在している人又は物が損なわれる可能性がある領域である。
【0013】
各固定局1は、安全エリアA1及び危険エリアA2の境界線B1上における互いに異なる位置にそれぞれ設けられる。各固定局1は、後述するように、放射パターンR1,R2をそれぞれ有する2つのアンテナを備える。一方の放射パターンR1は、境界線B1から安全エリアA1の側に向かう主ビーム方向を有し、他方の放射パターンR2は、境界線B1から危険エリアA2の側に向かう主ビーム方向を有する。各固定局1は、これらのアンテナを介してビーコン信号を送信する。各ビーコン信号は、固定局1の識別情報、固定局1が設けられた危険エリアA2の識別情報、及びビーコン信号を送信したアンテナ(2つのアンテナの一方)の識別情報を含む。
【0014】
移動局2は、人の身体又は衣服など(例えばヘルメット)に取り付けられてもよく、又は、物(例えば無人搬送車)に取り付けられてもよい。移動局2は、少なくとも1つの固定局1からビーコン信号を受信し、ビーコン信号に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。移動局2は、移動局2が危険エリアA2にある場合、移動局2が危険エリアA2にあることを示す警報信号を発生する。
【0015】
移動局2はさらに、アクセスポイント装置3を介してサーバ装置4に接続され、サーバ装置4から、移動局2の動作に必要な情報を取得する。移動局2の動作に必要な情報は、例えば、危険エリアA2の識別情報、固定局1の識別情報、及び固定局1の各アンテナの識別情報を含む。
【0016】
図2は、
図1の固定局1の構成を示すブロック図である。固定局1は、入力装置11、送信回路12、アンテナ13、及びアンテナ14を備える。入力装置11は、固定局1が設けられる危険エリアA2の識別情報を入力するように構成される。入力装置11は、キーボード又はテンキーを備えてもよく、他の装置から情報を取得するための通信インターフェースを備えてもよい。アンテナ13は、第1の主ビーム方向を有する指向性アンテナであり、アンテナ14は、第1の主ビーム方向とは異なる第2の主ビーム方向を有する指向性アンテナである。送信回路12は、アンテナ13を介して第1のビーコン信号を送信し、アンテナ14を介して第2のビーコン信号を送信する。前述したように、各ビーコン信号は、固定局1の識別情報、固定局1が設けられた危険エリアA2の識別情報、及びビーコン信号を送信したアンテナ13又は14の識別情報を含む。送信回路12は、例えば、1秒以下の間隔で周期的又はランダムに、各ビーコン信号を送信する。
【0017】
固定局1は、バッテリ又は商用電源などの電源装置をさらに備えるが、図示の簡単化のために省略する。
【0018】
図3は、
図1の移動局2の構成を示すブロック図である。移動局2は、アンテナ21、送受信回路22、入力装置23、処理回路24、及び出力装置25を備える。アンテナ21は、無指向性アンテナである。送受信回路22は、固定局1からアンテナ21を介して2つのビーコン信号を受信し、2つのビーコン信号の信号レベルを検出する。信号レベルは、例えば、受信信号強度(Received Signal Strength Indicator:RSSI)である。また、送受信回路22は、移動局2の動作に必要な情報(例えば、危険エリアA2の識別情報、固定局1の識別情報、及び固定局1の各アンテナの識別情報)をサーバ装置4に要求して取得する。入力装置23は、移動局2の動作に必要な情報をサーバ装置4に要求することをトリガするユーザ入力を受ける。処理回路24は、固定局1から受信された2つのビーコン信号の信号レベルに基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。具体的には、処理回路24は、アンテナ14を介して送信されたビーコン信号の信号レベルが、アンテナ13を介して送信されたビーコン信号の信号レベルより高い場合、移動局2が危険エリアA2にあると決定してもよい。出力装置25は、移動局2が危険エリアA2にある場合、移動局2が危険エリアA2にあることを示す警報信号を出力する。出力装置25は、音声により警報信号を出力するブザー又はスピーカなどを備えてもよく、光により警報信号を出力する発光ダイオードを備えてもよい。また、出力装置25は、移動局2が安全エリアA1にある場合、警報信号を発生しないこと、又は、警報信号とは異なる音声又は光を発生することにより、移動局2が安全エリアA1にあることを示す信号を出力してもよい。
【0019】
移動局2は、バッテリなどの電源装置をさらに備えるが、図示の簡単化のために省略する。
【0020】
固定局1及び移動局2は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)方式でビーコン信号を送受信するように構成されてもよい。
【0021】
図4は、
図1のサーバ装置4の構成を示すブロック図である。サーバ装置4は、バス40、プロセッサ41、メモリ42、記憶装置43、通信装置44、入力装置45、及び表示装置46を備える。プロセッサ41は、サーバ装置4全体の動作を制御する。メモリ42は、サーバ装置4の動作に必要なプログラム及びデータを一時的に記憶する。記憶装置43は、サーバ装置4の動作に必要なプログラムを格納する不揮発性記憶媒体である。記憶装置43は、移動局2の動作に必要な情報(例えば、危険エリアA2の識別情報、固定局1の識別情報、及び固定局1の各アンテナの識別情報)を格納する。通信装置44は、アクセスポイント装置3を介して移動局2と通信可能に接続される。入力装置45は、サーバ装置4の動作を制御するユーザ入力を受ける。入力装置45は、例えば、キーボード及びポインティングデバイスを含む。表示装置46は、サーバ装置4の動作に関連する情報を表示する。プロセッサ41、メモリ42、記憶装置43、通信装置44、入力装置45、及び表示装置46は、バス40を介して互いに接続される。サーバ装置4は、移動局2の動作に必要な情報を移動局2に提供するエリアデータベースとして動作する。
【0022】
[第1の実施形態の動作]
図5は、
図2の固定局1の例示的な放射パターンを示す図である。固定局1は、安全エリアA1及び危険エリアA2の境界線B1の上に設けられる。固定局1のアンテナ13,14は、放射パターンR1,R2をそれぞれ有する。放射パターンR1,R2の向きを説明するために、固定局1の位置において境界線B1に接する基準線が設定される。
図5の例では、固定局1が設けられた境界線B1の直線区間が、放射パターンR1,R2の基準線となる。放射パターンR1は、境界線B1から安全エリアA1の側に向かう主ビーム方向を有し、放射パターンR2は、境界線B1から危険エリアA2の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR1,R2の主ビーム方向は、境界線B1に直交してもよく、境界線B1に対して所定角度(例えば、90度の近傍の角度)を有して交差してもよい。固定局1は、放射パターンR1,R2の主ビーム方向が安全エリアA1及び危険エリアA2の側にそれぞれ向かうように配置される。
【0023】
移動局2は、アンテナ13を介して送信されたビーコン信号N1と、アンテナ14を介して送信されたビーコン信号N2とを受信する。移動局2が安全エリアA1にある場合、ビーコン信号N1の信号レベルL1はビーコン信号N2の信号レベルL2よりも高くなると期待される。一方、移動局2が危険エリアA2にある場合(「移動局2’」として示す)、アンテナ14を介して送信されたビーコン信号N2’の信号レベルL2’は、アンテナ13を介して送信されたビーコン信号N1’の信号レベルL1’よりも高くなると期待される。従って、処理回路24は、固定局1から受信された2つのビーコン信号N1,N2の信号レベルL1,L2を互いに比較し、比較結果に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。
【0024】
図6は、
図3の処理回路24によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【0025】
ステップS1において、処理回路24は、2つのビーコン信号N1,N2の信号レベルL1,L2を取得する。
【0026】
ステップS2において、処理回路24は、ビーコン信号N2の信号レベルL2がビーコン信号N1の信号レベルL1よりも高いか否かを決定し、YESのときはステップS3に進み、NOのときはステップS5に進む。処理回路24は、ビーコン信号N1,N2の信号レベルL1,L2に基づいて、移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを決定する。
【0027】
ステップS3において、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると決定する。次いで、ステップS4において、処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が危険エリアA2にあることを示す警報信号を発生する。
【0028】
ステップS5において、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1にあると決定する。処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が安全エリアA1にあることを示す信号を発生してもよい。
【0029】
特許文献1のようにビーコン信号の受信信号強度に基づいて距離を検出する場合、作業者が安全エリアにいるか、それとも危険エリアにいるのかを確実に判断するためには、遠距離の発信源から送信されて減衰した弱いビーコン信号を使用することはできない。一方、本実施形態に係る警報システムによれば、固定局1から受信された2つのビーコン信号の信号レベルを互いに比較するので、減衰した弱いビーコン信号であっても、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定するために使用可能である。1つの固定局1により従来よりも広い範囲をカバーすることができ、多数の固定局1を高密度で配置することは不要である。このように、本実施形態に係る警報システムによれば、コストの大幅な増大をまねくことなく、人又は物が予め決められたエリアにあるか否かを従来よりも高精度に決定することができる。
【0030】
[第1の実施形態の変形例]
図7は、
図1の警報システムにおけるマルチパスの影響を説明するための図である。建物の床、壁、及び天井、又は他の障害物などの反射によってビーコン信号がマルチパスで伝搬し、ビーコン信号の直接波及び反射波の干渉により、受信されるビーコン信号の信号レベルが変動することがある。
図7の例では、エリアA11において、ビーコン信号N2の信号レベルはビーコン信号N1の信号レベルよりも高くなり、エリアA12において、ビーコン信号N1’の信号レベルはビーコン信号N2’の信号レベルよりも高くなる。従って、エリアA11は、安全エリアA1に含まれるにもかかわらず、「移動局2は危険エリアA2にある」と誤って判断される偽陽性エリアである。また、エリアA12は、危険エリアA2に含まれるにもかかわらず、「移動局2’は安全エリアA1にある」と誤って判断される偽陰性エリアである。
【0031】
概して、マルチパスに起因する信号レベルの変動は一時的である。従って、処理回路24は、予め決められた時間期間中に、ビーコン信号N1の信号レベルがビーコン信号N2の信号レベルを超過した回数が予め決められたしきい値を超えた場合、移動局2が安全エリアA1にあると決定してもよい。また、処理回路24は、予め決められた時間期間中に、ビーコン信号N2’の信号レベルがビーコン信号N1’の信号レベルを超過した回数が予め決められたしきい値を超えた場合、移動局2’が危険エリアA2にあると決定してもよい。これにより、マルチパスの影響を低減し、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0032】
なお、移動局2がエリアA2からエリアA12に進入する場合、移動局2がエリアA2にあるときに警報信号がすでに発生しているので、エリアA12において警報信号が発生しないことは実質的には問題とならない。
【0033】
図8は、第1の実施形態の変形例に係る警報システムの移動局2Aの構成を示すブロック図である。移動局2Aは、
図3の移動局2の処理回路24に代えて処理回路24Aを備え、さらに、加速度センサ26を備える。加速度センサ26は、移動局2Aの加速度を検出する。処理回路24Aは、移動局2Aの加速度に基づいて、移動局2Aが移動中であるか否かを決定する。処理回路24Aは、例えば、予め決められた時間長にわたって移動局2Aの加速度が非ゼロである場合、移動局2Aが移動中であると決定してもよい。処理回路24Aは、移動局2Aが移動中であり、かつ、ビーコン信号N1の信号レベルがビーコン信号N2の信号レベルより高い場合、移動局2Aが安全エリアA1にあると決定してもよい。また、処理回路24Aは、移動局2Aが移動中であり、かつ、ビーコン信号N2の信号レベルがビーコン信号N1の信号レベルより高い場合、移動局2Aが危険エリアA2にあると決定してもよい。これにより、マルチパスの影響を低減し、移動局2Aが安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0034】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。固定局1-1,1-2は、安全エリアA1及び危険エリアA2の境界線B1のうちの一部の直線区間上における異なる位置にそれぞれ設けられる。固定局1-1,1-2は、移動局2が固定局1-1,1-2の両方からビーコン信号を受信できる程度の距離を有して互いに離隔して設けられる。固定局1-1,1-2は、
図2の固定局1と同様に構成される。固定局1-1のアンテナ13-1,14-1は、放射パターンR1-1,R2-1をそれぞれ有する。また、固定局1-2のアンテナ13-2,14-2は、放射パターンR1-2,R2-2をそれぞれ有する。放射パターンR1-1,R2-1,R1-2,R2-2の向きを説明するために、固定局1-1,1-2の位置において境界線B1にそれぞれ接する基準線が設定される。
図5の例では、固定局1-1,1-2が設けられた境界線B1の直線区間が、放射パターンR1-1,R2-1,R1-2,R2-2の基準線となる。放射パターンR1-1は、境界線B1から安全エリアA1の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR2-1は、境界線B1から危険エリアA2の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR1-2は、境界線B1から安全エリアA1の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR2-2は、境界線B1から危険エリアA2の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR1-1,R2-1,R1-2,R2-2の主ビーム方向は、境界線B1に直交してもよく、境界線B1に対して所定角度(例えば、90度の近傍の角度)を有して交差してもよい。固定局1-1,1-2は、放射パターンR1-1,R2-1,R1-2,R2-2の主ビーム方向が安全エリアA1及び危険エリアA2の側にそれぞれ向かうように配置される。
【0035】
固定局1-1の送信回路12は、アンテナ13-1を介してビーコン信号N11を送信し、アンテナ14-1を介してビーコン信号N12を送信する。固定局1-2の送信回路12は、アンテナ13-2を介してビーコン信号N21を送信し、アンテナ14-2を介してビーコン信号N22を送信する。
【0036】
移動局2の送受信回路22は、アンテナ13-1を介して送信されたビーコン信号N11と、アンテナ14-1を介して送信されたビーコン信号N12とを受信し、ビーコン信号N11,N12の信号レベルを検出する。また、移動局2の送受信回路22は、アンテナ13-2を介して送信されたビーコン信号N21と、アンテナ14-2を介して送信されたビーコン信号N22とを受信し、ビーコン信号N21,N22の信号レベルを検出する。移動局2の処理回路24は、ビーコン信号N11~N22の信号レベルに基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。このため、処理回路24は、ビーコン信号N11,N12の信号レベルに基づいて、固定局1-1を基準として移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定する。また、処理回路24は、ビーコン信号N21,N22の信号レベルに基づいて、固定局1-2を基準として移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定する。次いで、処理回路24は、第1及び第2の暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。
【0037】
図10は、
図9の移動局2の処理回路24によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS101において、処理回路24は、ビーコン信号N11,N12に基づく判定処理を実行し、固定局1-1から受信されたビーコン信号N11,N12に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを暫定的に決定する。
【0039】
ステップS102において、処理回路24は、ビーコン信号N21,N22に基づく判定処理を実行し、固定局1-2から受信されたビーコン信号N21,N22に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを暫定的に決定する。
【0040】
図11は、
図10のステップS101のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0041】
ステップS111において、処理回路24は、固定局1-1から受信されたビーコン信号N11,N12の信号レベルL11,L12を取得する。
【0042】
ステップS112において、処理回路24は、信号レベルL12が信号レベルL11よりも高いか否かを決定し、YESのときはステップS113に進み、NOのときはステップS114に進む。
【0043】
ステップS113において、処理回路24は、移動局2が境界線B1に対して危険エリアA2を含む側に位置していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると暫定的に決定する。
【0044】
ステップS114において、処理回路24は、移動局2が境界線B1に対して危険エリアA2を含まない側に位置していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1にあると暫定的に決定する。
【0045】
このように、処理回路24は、ビーコン信号N11,N12の信号レベルL11,L12に基づいて、固定局1-1を基準として移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを示す第1の暫定位置を決定する。
【0046】
図12は、
図10のステップS102のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0047】
ステップS121において、処理回路24は、固定局1-2から受信されたビーコン信号N21,N22の信号レベルL21,L22を取得する。
【0048】
ステップS122において、処理回路24は、信号レベルL22が信号レベルL21よりも高いか否かを決定し、YESのときはステップS123に進み、NOのときはステップS124に進む。
【0049】
ステップS123において、処理回路24は、移動局2が境界線B1に対して危険エリアA2を含む側に位置していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると暫定的に決定する。
【0050】
ステップS124において、処理回路24は、移動局2が境界線B1に対して危険エリアA2を含まない側に位置していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1にあると暫定的に決定する。
【0051】
このように、処理回路24は、ビーコン信号N21,N22の信号レベルL21,L22に基づいて、固定局1-2を基準として移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを示す第2の暫定位置を決定する。
【0052】
処理回路24は、
図10に示すようにステップS101,S102を並列に実行してもよく、ステップS101,S102を逐次に実行してもよい。
【0053】
ステップS103において、処理回路24は、第1及び第2の暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1にあるか否かを決定し、YESのときはステップS104に進み、NOのときはステップS106に進む。
【0054】
図13は、第2の実施形態に係る警報システムによる安全エリアA1及び危険エリアA2の決定を説明するための表である。
図13に示すように、ビーコン信号N11,N12に基づく判定と、ビーコン信号N21,N22に基づく判定との両方が「移動局2が危険エリアA2にある」ことを示す場合、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると決定する。一方、少なくとも一方の判定結果が「移動局2が安全エリアA1にある」ことを示す場合、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1にあると決定する。
【0055】
図10のステップS104において、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると決定する。次いで、ステップS105において、処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が危険エリアA2にあることを示す警報信号を発生する。
【0056】
ステップS106において、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1にあると決定する。処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が安全エリアA1にあることを示す信号を発生してもよい。
【0057】
本実施形態に係る警報システムによれば、2つの固定局1-1,1-2から受信されたビーコン信号N11~N22を参照することにより、マルチパスの影響を低減し、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0058】
処理回路24は、予め決められた時間期間中に信号レベルが所定の条件を満たした回数に基づいて、移動局2が境界線B1のいずれの側に位置しているかを決定してもよい。処理回路24は、予め決められた時間期間中に、信号レベルL12が信号レベルL11を超過した回数が予め決められたしきい値を超えた場合、移動局2が境界線B1に対して危険エリアA2を含む側に位置していることを示すように第1の暫定位置を決定してもよい。また、処理回路24は、この時間期間中に、信号レベルL22が信号レベルL21を超過した回数がしきい値を超えた場合、移動局2が境界線B1に対して危険エリアA2を含む側に位置していることを示すように第2の暫定位置を決定してもよい。その後、処理回路24は、第1及び第2の暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。これにより、マルチパスの影響をさらに低減し、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0059】
図8に示すように加速度センサ26を備える移動局2Aの場合、移動局2Aの加速度に基づいて移動局2Aが移動中であるか否かを決定し、移動局2Aが移動中であるか否かに基づいて、移動局2Aが境界線B1のいずれの側に位置しているかを決定してもよい。処理回路24Aは、移動局2Aが移動中であり、かつ、信号レベルL12が信号レベルL11より高い場合、移動局2Aが境界線B1に対して危険エリアA2を含む側に位置していることを示すように第1の暫定位置を決定してもよい。移動局2Aが移動中であり、かつ、信号レベルL22が信号レベルL21より高い場合、移動局2Aが境界線B1に対して危険エリアA2を含む側に位置していることを示すように第2の暫定位置を決定してもよい。その後、処理回路24Aは、第1及び第2の暫定位置に基づいて、移動局2Aが安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。これにより、マルチパスの影響をさらに低減し、移動局2Aが安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0060】
[第3の実施形態]
図14は、第3の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。本実施形態では、安全エリアA1の一部において、危険エリアA2に近接した警戒エリアA3を設定する。警戒エリアA3は、移動局2の将来の移動によって、移動局2が危険エリアA2に進入する可能性が高い領域である。警戒エリアA3は、危険エリアA2の外側の領域であって、固定局1を通る基準線(すなわち境界線B1)からの距離がしきい値Th1以下である領域である。本実施形態では、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを決定する。
【0061】
図15は、第3の実施形態に係る警報システムの移動局2によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【0062】
ステップS11において、処理回路24は、2つのビーコン信号N1,N2の信号レベルL1,L2を取得する。
【0063】
ステップS12において、処理回路24は、ビーコン信号N2の信号レベルL2がビーコン信号N1の信号レベルL1よりも高いか否かを決定し、YESのときはステップS18に進み、NOのときはステップS13に進む。
【0064】
ステップS13において、処理回路24は、ビーコン信号N1,N2の信号レベルに基づいて、境界線B1から移動局2までの距離dを計算する。距離dは、主に、ビーコン信号N1の信号レベルに基づいて計算される。信号レベルが小さくなるほど、距離dは大きくなる。ただし、ビーコン信号N1,N2が同程度である場合、移動局2は境界線B1の近傍にあると考えられ、従って、距離dは小さくなる。
【0065】
ステップS14において、処理回路24は、距離dがしきい値Th1より長いか否かを決定し、YESのときはステップS15に進み、NOのときはステップS16に進む。
【0066】
ステップS15において、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1(すなわち、安全エリアA1のうち、警戒エリアA3ではない領域)にあると決定する。処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が安全エリアA1にあることを示す信号を発生してもよい。
【0067】
ステップS16において、処理回路24は、移動局2が警戒エリアA3にあると決定する。次いで、ステップS17において、処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が警戒エリアA3にあることを示す警報信号を発生する。
【0068】
ステップS18において、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると決定する。次いで、ステップS19において、処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が危険エリアA2にあることを示す警報信号を発生する。
【0069】
本実施形態によれば、警戒エリアA3を設定し、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを決定することにより、人又は物の移動をより詳細に管理することができる。
【0070】
図16は、第3の実施形態の第1の変形例に係る警報システムの移動局2によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
図16の処理は、
図15のステップS12~S14に代えて、ステップS21~S25を含む。
図16の処理では、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを決定するために、機械学習モデルを用いる。
【0071】
機械学習モデルを生成するために、ビーコン信号N1,N2の信号レベルに基づいて1つ又は複数の特徴量が計算される。特徴量は、信号レベル自体を含んでもよく、2つの信号レベルの和、差、積、比、最大値、平均値などを含んでもよい。また、特徴量は、所定時間期間にわたって取得された信号レベルの複数のサンプルを含んでもよく、それらのサンプルの和、差、積、比、最大値、平均値などを含んでもよい。特徴量に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定するように学習された第1の機械学習モデルが生成される。また、特徴量に基づいて、移動局2が安全エリアA1の警戒エリアA3及び残りのエリア(すばわち、境界線B1からの距離がしきい値Th1より大きい領域)のいずれにあるかを決定するように学習された第2の機械学習モデルが生成される。処理回路24は、第1及び第2の機械学習モデルを内部に格納する。
【0072】
図16のステップS11において2つのビーコン信号N1,N2の信号レベルL1,L2を取得した後、ステップS21において、処理回路24は、ビーコン信号N1,N2の信号レベルに基づいて特徴量を計算する。
【0073】
ステップS22において、処理回路24は、第1の機械学習モデルに特徴量を入力する。
【0074】
ステップS23において、処理回路24は、第1の機械学習モデルを用いて、移動局2が危険エリアA2にあるか否かを決定し、YESのときはステップS18に進み、NOのときはステップS23に進む。
【0075】
ステップS24において、処理回路24は、第2の機械学習モデルに特徴量を入力する。
【0076】
ステップS25において、処理回路24は、第2の機械学習モデルを用いて、移動局2が警戒エリアA3にあるか否かを決定し、YESのときはステップS16に進み、NOのときはステップS15に進む。
【0077】
図16の他のステップは、
図15の対応するステップと同様である。
【0078】
本変形例によれば、機械学習モデルを用いることにより、電波伝搬環境の変動など、様々な条件に柔軟に追従することができる。
【0079】
図17は、第3の実施形態の第2の変形例に係る警報システムの動作を説明するための図である。危険エリアA2の外側であっても、境界線B1の近傍では、進入又は滞在している人又は物が損なわれる可能性がある。従って、本変形例では、危険エリアA2の外側に追加の危険エリアA2’を設定する。追加の危険エリアA2’は、危険エリアA2の外側の領域であって、境界線B1からの距離がしきい値Th2以下である領域である。ここで、Th2<Th1を満たす。
【0080】
図18は、第3の実施形態の第2の変形例に係る警報システムの移動局2によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
図18の処理は、
図15のステップS13の次にステップS31をさらに含む。ステップS31において、処理回路24は、距離dがしきい値Th2より短いか否かを決定し、YESのときはステップS18に進み、NOのときはステップS14に進む。
図18の他のステップは、
図15の対応するステップと同様である。
【0081】
本変形例によれば、追加の危険エリアA2’を設定することにより、人又は物の安全性をさらに向上することができる。
【0082】
[第4の実施形態]
図19は、第4の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。固定局1-1,1-2は、危険エリアA2のコーナーの近傍において、かつ、コーナーを挟んで、安全エリアA1及び危険エリアA2の境界線B1上にそれぞれ設けられる。放射パターンR1-1,R2-1,R1-2,R2-2の向きを説明するために、固定局1-1の位置において境界線B1に接する基準線B1-1と、固定局1-2の位置において境界線B1に接する基準線B1-2とが設定される。放射パターンR1-1は、境界線B1から安全エリアA1の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR2-1は、境界線B1から危険エリアA2の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR1-2は、境界線B1から安全エリアA1の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR2-2は、境界線B1から危険エリアA2の側に向かう主ビーム方向を有する。放射パターンR1-1,R2-1の主ビーム方向は、基準線B1-1に直交してもよく、基準線B1-1に対して所定角度(例えば、90度の近傍の角度)を有して交差してもよい。また、放射パターンR1-2,R2-2の主ビーム方向は、基準線B1-2に直交してもよく、基準線B1-2に対して所定角度(例えば、90度の近傍の角度)を有して交差してもよい。放射パターンR1-2,R2-2は、放射パターンR1-1,R2-1の主ビーム方向とは異なる主ビーム方向を有する。固定局1-1,1-2は、放射パターンR1-1,R2-1,R1-2,R2-2の主ビーム方向が安全エリアA1及び危険エリアA2の側にそれぞれ向かうように配置される。
【0083】
移動局2の処理回路24は、
図10~
図12を参照して説明した警報処理を実行することにより、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。ただし、処理回路24は、ビーコン信号N11,N12の信号レベルに基づいて、移動局2が基準線B1-1のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定する。また、処理回路24は、ビーコン信号N21,N22の信号レベルに基づいて、移動局2が基準線B1-2のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定する。処理回路24は、
図13を参照して説明したように、第1及び第2の暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。
【0084】
本実施形態に係る警報システムによれば、2つの固定局1-1,1-2から受信されたビーコン信号N11~N22を参照することにより、境界線B1がコーナーなどを含む複雑な形状を有する場合であっても、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0085】
図20は、第4の実施形態の第1の変形例に係る警報システムの動作を説明するための図である。本変形例では、第3の実施形態と同様に、安全エリアA1の一部において、危険エリアA2に近接した警戒エリアA3を設定する。
【0086】
図21は、
図19の移動局2の処理回路24によって実行される警報処理を示すフローチャートである。
【0087】
ステップS201において、処理回路24は、ビーコン信号N11,N12に基づく判定処理を実行し、固定局1-1から受信されたビーコン信号N11,N12に基づいて、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを暫定的に決定する。
【0088】
ステップS202において、処理回路24は、ビーコン信号N21,N22に基づく判定処理を実行し、固定局1-2から受信されたビーコン信号N21,N22に基づいて、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを暫定的に決定する。
【0089】
図22は、
図21のステップS201のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0090】
ステップS211において、処理回路24は、固定局1-1から受信されたビーコン信号N11,N12の信号レベルL11,L12を取得する。
【0091】
ステップS212において、処理回路24は、信号レベルL12が信号レベルL11よりも高いか否かを決定し、YESのときはステップS217に進み、NOのときはステップS213に進む。
【0092】
ステップS213において、処理回路24は、信号レベルL11,L12に基づいて、基準線B1-1から移動局2までの距離d1を計算する。
【0093】
ステップS214において、処理回路24は、距離d1がしきい値Th1より長いか否かを決定し、YESのときはステップS215に進み、NOのときはステップS216に進む。
【0094】
ステップS215において、処理回路24は、移動局2が基準線B1-1に対して危険エリアA2を含まない側に位置し、かつ、移動局2が基準線B1-1から遠隔していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1(すなわち、安全エリアA1のうち、警戒エリアA3ではない領域)にあると暫定的に決定する。
【0095】
ステップS216において、処理回路24は、移動局2が基準線B1-1に対して危険エリアA2を含まない側に位置し、かつ、移動局2が基準線B1-1に近接していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が警戒エリアA3にあると暫定的に決定する。
【0096】
ステップS217において、処理回路24は、移動局2が基準線B1-1に対して危険エリアA2を含む側に位置していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると暫定的に決定する。
【0097】
図23は、
図21のステップS202のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0098】
ステップS221において、処理回路24は、固定局1-2から受信されたビーコン信号N21,N22の信号レベルL21,L22を取得する。
【0099】
ステップS222において、処理回路24は、信号レベルL22が信号レベルL21よりも高いか否かを決定し、YESのときはステップS227に進み、NOのときはステップS223に進む。
【0100】
ステップS223において、処理回路24は、信号レベルL21,L22に基づいて、基準線B1-2から移動局2までの距離d2を計算する。
【0101】
ステップS224において、処理回路24は、距離d2がしきい値Th1より長いか否かを決定し、YESのときはステップS225に進み、NOのときはステップS226に進む。
【0102】
ステップS225において、処理回路24は、移動局2が基準線B1-2に対して危険エリアA2を含まない側に位置し、かつ、移動局2が基準線B1-2から遠隔していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1(すなわち、安全エリアA1のうち、警戒エリアA3ではない領域)にあると暫定的に決定する。
【0103】
ステップS226において、処理回路24は、移動局2が基準線B1-2に対して危険エリアA2を含まない側に位置し、かつ、移動局2が基準線B1-2に近接していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が警戒エリアA3にあると暫定的に決定する。
【0104】
ステップS227において、処理回路24は、移動局2が基準線B1-2に対して危険エリアA2を含む側に位置していると決定する。これにより、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると暫定的に決定する。
【0105】
処理回路24は、
図21に示すようにステップS201,S202を並列に実行してもよく、ステップS201,S202を逐次に実行してもよい。
【0106】
ステップS203において、処理回路24は、基準線B1-1,B1-2に対する移動局2の位置に基づいて、移動局2が危険エリアA2にあるか否かを決定し、YESのときはステップS208に進み、NOのときはステップS204に進む。ステップS204において、処理回路24は、基準線B1-1,B1-2に対する移動局2の位置と、距離d1又はd2とに基づいて、移動局2が警戒エリアA3にあるか否かを決定し、YESのときはステップS206に進み、NOのときはステップS205に進む。
【0107】
図24は、第4の実施形態の第1の変形例に係る警報システムによる安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3の決定を説明するための表である。ビーコン信号N11,N12に基づく判定と、ビーコン信号N21,N22に基づく判定との両方が「移動局2が危険エリアA2にある」ことを示す場合、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると決定する。一方、少なくとも一方の判定結果が「移動局2が安全エリアA1にある」ことを示す場合、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1にあると決定する。これらのいずれでもない場合、処理回路24は、移動局2が警戒エリアA3にあると決定する。
【0108】
図21のステップS205において、処理回路24は、移動局2が安全エリアA1(すなわち、安全エリアA1のうち、警戒エリアA3ではない領域)にあると決定する。処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が安全エリアA1にあることを示す信号を発生してもよい。
【0109】
ステップS206において、処理回路24は、移動局2が警戒エリアA3にあると決定する。次いで、ステップS207において、処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が警戒エリアA3にあることを示す警報信号を発生する。
【0110】
ステップS208において、処理回路24は、移動局2が危険エリアA2にあると決定する。ステップS209において、処理回路24は、出力装置25を用いて、移動局2が危険エリアA2にあることを示す警報信号を発生する。
【0111】
本変形例によれば、警戒エリアA3を設定し、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを決定することにより、人又は物の移動をより詳細に管理することができる。
【0112】
図20の警報システムにおいて、移動局2の処理回路24は、
図16の処理と同様に、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを決定するために、機械学習モデルを用いてもよい。この場合、
図22の処理は、ステップS212~S214に代えて、
図16のステップS21~S25を含む。処理回路24は、ビーコン信号N11,N12の信号レベルに基づいて第1の特徴量を計算する。処理回路24は、第1の特徴量に基づいて、第1の機械学習モデルを用いて、移動局2が基準線B1-1に対して危険エリアA2を含む側に位置しているか否かを決定することにより、第1の暫定位置を決定する。移動局2が基準線B1-1に対して危険エリアA2を含まない側にある場合、処理回路24は、第1の特徴量に基づいて、第2の機械学習モデルを用いて、基準線B1-1から移動局2までの第1の距離d1がしきい値Th1より短いか否かを決定する。また、
図23の処理は、ステップS222~S224に代えて、
図16のステップS21~S25を含む。処理回路24は、ビーコン信号N21,N22の信号レベルに基づいて第2の特徴量を計算する。処理回路24は、第2の特徴量に基づいて、第1の機械学習モデルを用いて、移動局2が基準線B1-2に対して危険エリアA2を含む側に位置しているか否かを決定することにより、第2の暫定位置を決定する。移動局2が基準線B1-2に対して危険エリアA2を含まない側にある場合、処理回路24は、第2の特徴量に基づいて、第2の機械学習モデルを用いて、基準線B1-2から移動局2までの第2の距離d2がしきい値Th1より短いか否かを決定する。処理回路24は、基準線B1-1,B1-2に対する移動局2の位置と、距離d1又はd2とに基づいて、移動局2が安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3のいずれにあるかを決定する。機械学習モデルを用いることにより、電波伝搬環境の変動など、様々な条件に柔軟に追従することができる。
【0113】
図25は、第4の実施形態の第2の変形例に係る警報システムの動作を説明するための図である。本変形例では、
図17の場合と同様に、危険エリアA2の外側に追加の危険エリアA2’を設定する。この場合、
図22の処理は、
図18のステップS31と同様に、距離d1がしきい値Th2より短いか否かを決定するステップをさらに含む。また、
図23の処理は、
図18のステップS31と同様に、距離d2がしきい値Th2より短いか否かを決定するステップをさらに含む。処理回路24は、基準線B1-1,B1-2に対する移動局2の位置と、距離d1又はd2とに基づいて、移動局2が追加の危険エリアA2’にあるか否かを決定することができる。本変形例によれば、追加の危険エリアA2’を設定することにより、人又は物の安全性をさらに向上することができる。
【0114】
[第5の実施形態]
図26は、第5の実施形態に係る警報システムの動作を説明するための図である。
図26の警報システムは、複数の固定局1-1~1-3と、移動局2とを含む。固定局1-1~1-3は、
図2の固定局1と同様に構成される。
【0115】
複数の固定局1-1~1-3は、境界線B1上における互いに異なる位置にそれぞれ設けられる。危険エリアA2は、例えば、所定角度を有して互いに連結される複数の辺を有する凸多角形形状を有してもよい。この場合、多角形の各辺に少なくとも1つずつの固定局が設けられる。この場合、固定局1-1の位置において境界線B1に接する基準線B1-1と、固定局1-2の位置において境界線B1に接する基準線B1-2と、固定局1-3の位置において境界線B1に接する基準線B1-3とが設定される。
【0116】
移動局2の送受信回路22は、固定局1-1~1-3のそれぞれから2つのビーコン信号を受信し、各ビーコン信号の信号レベルを検出する。移動局2の処理回路24は、固定局1-1~1-3のうちの1つから受信される2つのビーコン信号の信号レベルに基づいて、当該固定局を基準として移動局2が境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定する。また、処理回路24は、固定局1-1~1-3のうちの他の1つから受信される2つのビーコン信号の信号レベルに基づいて、当該固定局を基準として移動局2が境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定する。次いで、処理回路24は、第1及び第2の暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定する。処理回路24は、固定局1-1~1-3のうちの任意に選択された2つに係る暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定してもよい。また、処理回路24は、固定局1-1~1-3のうちのすべてに係る暫定位置を取得し、これらのうちの2つの暫定位置に基づいて、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかを決定してもよい。
【0117】
本実施形態によれば、複数の固定局1-1~1-3からビーコン信号を受信することにより、境界線B1がコーナーなどを含む複雑な形状を有する場合であっても、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0118】
[第6の実施形態]
図27は、第6の実施形態に係る警報システムの固定局1Aの構成を示すブロック図である。固定局1Aは、入力装置11、送信回路12A、アンテナ13A、及びアンテナ14Aを備える。アンテナ13A,14Aのそれぞれは、複数のアンテナ素子を含む。アンテナ13A,14Aのそれぞれは、各アンテナ素子から互いに識別可能な信号を送信するように構成される。送信回路12Aは、アンテナ13A,14Aを制御し、アンテナ13A,14Aを介してビーコン信号をそれぞれ送信する。移動局2の送受信回路22は、受信されたビーコン信号のうち、最も高い信号レベルを有するビーコン信号のみを選択する。これにより、マルチパスの影響を低減し、移動局2が安全エリアA1及び危険エリアA2のいずれにあるかをより正確に決定することができる。
【0119】
[他の実施形態]
説明した各実施形態及び各変形例は、互いに組み合わされてもよい。例えば、第3の実施形態は、第2の実施形態のように、固定局1-1,1-2が同じ直線区間上にあって、各送信アンテナが同じ主ビーム方向を有する場合にも適用可能である。また、第3及び第4の実施形態において、予め決められた時間期間中に信号レベルが所定の条件を満たした回数に基づいて、移動局が安全エリアA1及び危険エリアA2(又は、安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3)のいずれにあるかを決定してもよい。また、第3及び第4の実施形態において、移動局の加速度に基づいて移動局が移動中であるか否かを決定し、移動局が移動中であるか否かに基づいて、移動局が安全エリアA1及び危険エリアA2(又は、安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3)のいずれにあるかを決定してもよい。
【0120】
図6、
図15、
図16、及び
図18を参照して説明した警報処理及び/又は移動局2の他の処理は、汎用のプロセッサによって実行されるプログラムとして提供されてもよい。移動局2は、例えば、アクセスポイント装置3を介してサーバ装置4からプログラムをダウンロードしてもよい。
【0121】
固定局1に設けられた2つのアンテナ13,14の主ビーム方向は、境界線B1に直交する方向に限らず、他の角度に設定されてもよい。
【0122】
警報信号は、移動局2の内部に設けられた出力装置25から出力されてもよく、追加又は代替として、アクセスポイント装置3を介して接続されたサーバ装置4又は他の装置から出力されてもよい。
【0123】
警報システムは、安全エリアA1及び危険エリアA2を識別すること、又は、安全エリアA1、危険エリアA2、及び警戒エリアA3を識別することに限らず、より多くのエリアを識別するために使用されてもよい。例えば、警報システムは、境界線からの距離に基づいて、複数の警戒レベルを識別するように構成されてもよい。
【0124】
警報システムは、移動局が危険エリアにあることを検出することに限らず、移動局が安全エリア又は他の予め決められたエリアにあることを検出するために使用されてもよい。警報システムは、所定エリアへのアクセス制限のために使用されてもよい。この場合、各エリアには、進入可能なユーザの職種を示す識別情報(職種ID)が設定され、移動局2にもまた、移動局2を保持するユーザの職種IDが設定される。サーバ装置4のエリアデータベースは、各エリアに関連付けて職種IDを登録する。ユーザは、移動局2の使用を開始するとき、又は、エリア設定が変更されたとき、移動局2の入力装置23を操作することにより、サーバ装置4から、エリアデータベースの一部とユーザ自身の職種IDとを取得する。固定局1は、検知したいエリアに設置される。固定局1には当該エリアの識別情報(エリアID)が手動で設定される。移動局2は、エリアに接近した事を検知すると、ビーコン信号に含まれるエリアIDと、サーバ装置4からダウンロードされたエリアデータベースとを照合する。ユーザの職種IDが「進入可能」に設定されていない場合、移動局2は警報信号を出力する。ユーザの職種IDが「進入可能」に設定されている場合、移動局2は警報信号を出力しない。移動局2は、エリアに進入した事を検知すると、ビーコン信号に含まれるエリアIDと、サーバ装置4からダウンロードされたエリアデータベースとを照合する。ユーザの職種IDが「進入可能」に設定されていない場合、移動局2は、ユーザがエリアに進入したことを示す警報信号を出力し、さらに、ユーザがエリアに進入したことをサーバ装置4にも通知する。ユーザの職種IDが「進入可能」に設定されている場合、移動局2は、ユーザがエリアに進入したことをサーバ装置4に通知する。これにより、エリアに対するユーザの進入を管理することができる。
【0125】
[実施形態のまとめ]
本開示の第1の態様によれば、
第1の固定局、第2の固定局、及び移動局を含む警報システムであって、
前記第1及び第2の固定局は、第1及び第2のエリアの境界線上における異なる位置にそれぞれ設けられ、
前記第1の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第1の主ビーム方向を有する第1の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第2の主ビーム方向を有する第2の送信アンテナと、
前記第1の送信アンテナを介して第1のビーコン信号を送信し、前記第2の送信アンテナを介して第2のビーコン信号を送信する第1の送信回路とを備え、
前記第2の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第3の主ビーム方向を有する第3の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第4の主ビーム方向を有する第4の送信アンテナと、
前記第3の送信アンテナを介して第3のビーコン信号を送信し、前記第4の送信アンテナを介して第4のビーコン信号を送信する第2の送信回路とを備え、
前記移動局は、
受信アンテナと、
前記受信アンテナを介して前記第1~第4のビーコン信号を受信し、前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルを検出する受信回路と、
前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する処理回路と、
前記移動局が前記第2のエリアにある場合、前記移動局が前記第2のエリアにあることを示す第1の警報信号を出力する出力装置とを備え、
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第2の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定し、
前記第1及び第2の暫定位置に基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する。
【0126】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様において、
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記移動局が、前記第1の固定局の位置において前記境界線に接する第1の基準線のいずれの側に位置しているかを決定することにより、前記第1の暫定位置を決定し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記移動局が、前記第2の固定局の位置において前記境界線に接する第2の基準線のいずれの側に位置しているかを決定することにより、前記第2の暫定位置を決定する。
【0127】
本開示の第3の態様によれば、第2の態様において、
前記第1及び第2の基準線は、前記第1及び第2の固定局の位置を通る共通の直線である。
【0128】
本開示の第4の態様によれば、第2の態様において、
前記第1及び第2の基準線は、所定角度を有して互いに交差する。
【0129】
本開示の第5の態様によれば、第1~4のうちの1つの態様において、
前記処理回路は、
前記第2のビーコン信号の信号レベルが前記第1のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第1の暫定位置を決定し、
前記第4のビーコン信号の信号レベルが前記第3のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第2の暫定位置を決定する。
【0130】
本開示の第6の態様によれば、第1~4のうちの1つの態様において、
前記処理回路は、
予め決められた時間期間中に、前記第2のビーコン信号の信号レベルが前記第1のビーコン信号の信号レベルを超過した回数が第1のしきい値を超えた場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第1の暫定位置を決定し、
前記時間期間中に、前記第4のビーコン信号の信号レベルが前記第3のビーコン信号の信号レベルを超過した回数が前記第1のしきい値を超えた場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第2の暫定位置を決定する。
【0131】
本開示の第7の態様によれば、第1~4のうちの1つの態様において、
前記移動局は、前記移動局の加速度を検出する加速度センサをさらに備え、
前記処理回路は、
前記移動局の加速度に基づいて、前記移動局が移動中であるか否かを決定し、
前記移動局が移動中であり、かつ、前記第2のビーコン信号の信号レベルが前記第1のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第1の暫定位置を決定し、
前記移動局が移動中であり、かつ、前記第4のビーコン信号の信号レベルが前記第3のビーコン信号の信号レベルより高い場合、前記移動局が前記境界線に対して前記第2のエリアを含む側に位置していることを示すように前記第2の暫定位置を決定する。
【0132】
本開示の第8の態様によれば、第2~4のうちの1つの態様において、
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の基準線から前記移動局までの第1の距離を計算し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第2の基準線から前記移動局までの第2の距離を計算し、
前記第1及び第2の暫定位置と、前記第1又は第2の距離とに基づいて、前記移動局が、前記第1のエリアに含まれる第3のエリアであって、第2のしきい値よりも短い距離を有して前記第2のエリアに近接した第3のエリアにあるか否かを決定し、
前記出力装置は、前記移動局が前記第3のエリアにある場合、前記移動局が前記第3のエリアにあることを示す第2の警報信号を出力する。
【0133】
本開示の第9の態様によれば、第8の態様において、
前記処理回路は、前記第1及び第2の暫定位置と、前記第1又は第2の距離とに基づいて、前記移動局が、前記第1のエリアに含まれる第4のエリアであって、前記第2のしきい値より短い第3のしきい値よりも短い距離を有して前記第2のエリアに近接した第4のエリアにあるか否かを決定し、
前記出力装置は、前記移動局が前記第4のエリアにある場合、前記第1の警報信号を出力する。
【0134】
本開示の第10の態様によれば、第2~4のうちの1つの態様において、
前記処理回路は、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて第1の特徴量を計算し、
前記第1の特徴量に基づいて、第1の機械学習モデルを用いて、前記移動局が前記第1の基準線に対して前記第2のエリアを含む側に位置しているか否かを決定することにより、前記第1の暫定位置を決定し、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて第2の特徴量を計算し、
前記第2の特徴量に基づいて、前記第1の機械学習モデルを用いて、前記移動局が前記第2の基準線に対して前記第2のエリアを含む側に位置しているか否かを決定することにより、前記第2の暫定位置を決定する。
【0135】
本開示の第11の態様によれば、第10の態様において、
前記処理回路は、
前記移動局が前記第1の基準線に対して前記第2のエリアを含まない側にある場合、前記第1の特徴量に基づいて、第2の機械学習モデルを用いて、前記第1の基準線から前記移動局までの第1の距離が第2のしきい値より短いか否かを決定し、
前記移動局が前記第2の基準線に対して前記第2のエリアを含まない側にある場合、前記第2の特徴量に基づいて、前記第2の機械学習モデルを用いて、前記第2の基準線から前記移動局までの第2の距離が前記第2のしきい値より短いか否かを決定し、
前記第1及び第2の暫定位置と、前記第1又は第2の距離とに基づいて、前記移動局が、前記第1のエリアに含まれる第3のエリアであって、前記第2のしきい値よりも短い距離を有して前記第2のエリアに近接した第3のエリアにあるか否かを決定し、
前記出力装置は、前記移動局が前記第3のエリアにある場合、前記移動局が前記第3のエリアにあることを示す第2の警報信号を出力する。
【0136】
本開示の第12の態様によれば、第1~第11のうちの1つの態様において、
前記第1~第4の送信アンテナは複数のアンテナ素子をそれぞれ含む。
【0137】
本開示の第13の態様によれば、第1~第12のうちの1つの態様において、
前記警報システムは、前記境界線上において、前記第1及び第2の固定局とは異なる位置に設けられた第3の固定局をさらに含み、
前記第3の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第5の主ビーム方向を有する第5の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第6の主ビーム方向を有する第6の送信アンテナと、
前記第5の送信アンテナを介して第5のビーコン信号を送信し、前記第6の送信アンテナを介して第6のビーコン信号を送信する第3の送信回路とを備え、
前記受信回路は、前記受信アンテナを介して前記第5及び第6のビーコン信号を受信し、前記第5及び第6のビーコン信号の信号レベルを検出し、
前記処理回路は、
前記第5及び第6のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第3の暫定位置を決定し、
前記第1~第3の暫定位置ののうちの2つに基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定する。
【0138】
本開示の第14の態様によれば、第1~第13のうちの1つの態様に係る警報システムのための移動局が提供される。
【0139】
本開示の第15の態様によれば、
第1の固定局、第2の固定局、及び移動局を含む警報システムの移動局に実装された処理回路によって実行される命令を含むプログラムであって、
前記第1及び第2の固定局は、第1及び第2のエリアの境界線上における異なる位置にそれぞれ設けられ、
前記第1の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第1の主ビーム方向を有する第1の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第2の主ビーム方向を有する第2の送信アンテナと、
前記第1の送信アンテナを介して第1のビーコン信号を送信し、前記第2の送信アンテナを介して第2のビーコン信号を送信する第1の送信回路とを備え、
前記第2の固定局は、
前記境界線から前記第1のエリアの側に向かう第3の主ビーム方向を有する第3の送信アンテナと、
前記境界線から前記第2のエリアの側に向かう第4の主ビーム方向を有する第4の送信アンテナと、
前記第3の送信アンテナを介して第3のビーコン信号を送信し、前記第4の送信アンテナを介して第4のビーコン信号を送信する第2の送信回路とを備え、
前記移動局は、
受信アンテナと、
前記受信アンテナを介して前記第1~第4のビーコン信号を受信し、前記第1~第4のビーコン信号の信号レベルを検出する受信回路と、
前記処理回路と、
出力装置とを備え、
前記命令は、前記処理回路に、
前記第1及び第2のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第1の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第1の暫定位置を決定することと、
前記第3及び第4のビーコン信号の信号レベルに基づいて、前記第2の固定局を基準として前記移動局が前記境界線のいずれの側に位置しているかを暫定的に示す第2の暫定位置を決定することと、
前記第1及び第2の暫定位置に基づいて、前記移動局が前記第1及び第2のエリアのいずれにあるかを決定することと、
前記移動局が前記第2のエリアにある場合、前記移動局が前記第2のエリアにあることを示す第1の警報信号を前記出力装置から出力させることとを実行させる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本開示の一態様に係る警報システムは、例えば、工場及び建設現場など、安全エリア及び危険エリアを含む場所に適用可能である。
【符号の説明】
【0141】
1,1-1~1-3,1A 固定局
2,2A 移動局
3 アクセスポイント装置(AP)
4 サーバ装置
11 入力装置
12,12A 送信回路
13,13A アンテナ
14,14A アンテナ
21 アンテナ
22 送受信回路
23 入力装置
24,24A 処理回路
25 出力装置
26 加速度センサ
40 バス
41 プロセッサ
42 メモリ
43 記憶装置
44 通信装置
45 入力装置
46 表示装置
A1 安全エリア
A2 危険エリア
A3 警戒エリア
A11 偽陽性エリア
A12 偽陰性エリア
B1 境界線
R1 アンテナ13の放射パターン
R2 アンテナ14の放射パターン