(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176816
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】メンテナンス方法およびメンテナンス装置
(51)【国際特許分類】
E01D 22/00 20060101AFI20241212BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E04G23/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095632
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】523220891
【氏名又は名称】神田 東正
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】神田 東正
【テーマコード(参考)】
2D059
2E176
【Fターム(参考)】
2D059GG22
2D059GG39
2E176AA01
2E176AA07
2E176AA09
2E176BB01
(57)【要約】
【課題】構造物の劣化を効果的に防止することができるようにしたメンテナンス方法およびメンテナンス装置を提供する。
【解決手段】塗膜Cを撮影して塗膜Cの劣化状態を検出するカメラ13と、このカメラ13の検出結果にもとづいて塗膜Cの劣化状態を補修するために塗膜Cにその塗膜Cの原料を付与する噴射ノズル12と、カメラ13よび噴射ノズル12を搭載して飛行することが可能な第1ドローン14を備え、この第1ドローン14を飛行させながら塗膜Cを撮影して塗膜Cの劣化状態を検出し、この検出工程の検出結果に基づいて塗膜Cの劣化状態を補修する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を保護するために前記構造物の表面に形成された保護膜のメンテナンス方法であって、
前記保護膜の劣化状態を検出する検出工程と、
該検出工程の検出結果に基づいて前記保護膜の劣化状態を補修する補修工程と、
を具備したことを特徴とするメンテナンス方法。
【請求項2】
前記保護膜は、透湿性を有する塗膜で形成したことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記保護膜は、伸縮性を有する塗膜で形成したことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記保護膜は、不透水性を有する塗膜で形成したことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記保護膜は、防汚性および視認性を有する塗膜で形成したことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記保護膜は、付着性を有する塗膜で形成したことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項7】
前記補修工程は、前記保護膜の劣化状態に応じて部分的に前記保護膜を補修する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項8】
前記補修工程は、前記構造物の劣化前に前記保護膜を補修する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記補修工程は、前記構造物の劣化に係わらず前記保護膜を補修する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項10】
前記検出工程および前記補修工程は、所定期間ごとに繰返し行う工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項11】
前記補修工程は、前記保護膜に該保護膜の原料を上塗りし、前記保護膜を初期状態に復帰せしめる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項12】
前記検出工程は、前記保護膜の劣化状態を検出する検出手段を搭載した第1飛行手段を飛行させて検出する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項13】
前記補修工程は、前記保護膜に該保護膜の原料を付与する原料付与手段を搭載した第1飛行手段を飛行させて前記保護膜を補修する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項14】
前記補修工程は、前記検出工程と同時に行うことにより前記保護膜の劣化を検出しながら補修する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項15】
構造物を保護するために前記構造物の表面に形成された保護膜をメンテナンスするメンテナンス装置であって、
前記保護膜を撮影して前記保護膜の劣化状態を検出する検出手段と、
該検出手段の検出結果にもとづいて前記保護膜の劣化状態を補修するために前記保護膜に該保護膜の原料を付与する原料付与手段と、
前記検出手段および前記原料付与手段を搭載して飛行することが可能な第1飛行手段と、
を具備したことを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項16】
前記構造物の上を移動可能な移動手段と、
該移動手段に搭載され、前記原料付与手段に前記保護膜の原料を供給するための供給手段と、
該供給手段から前記原料付与手段へ前記原料を導くための可撓性を有するホースと、
を具備したことを特徴とする請求項15に記載のメンテナンス装置。
【請求項17】
前記ホースを移動可能に支持する支持手段を備えたことを特徴とする請求項16に記載のメンテナンス装置。
【請求項18】
前記支持手段は、前記第1飛行手段の予定飛行路に沿って配設される索状部材と、該索状部材に移動可能に取付けられ、前記ホースを吊架する吊架部材とを備えたことを特徴とする請求項17に記載のメンテナンス装置。
【請求項19】
前記索状部材の基端側を前記移動手段に連結する支持部材と、前記索状部材の先端側を連結して飛行することが可能な第2飛行手段とを備えたことを特徴とする請求項18に記載のメンテナンス装置。
【請求項20】
第2飛行手段は、該第2飛行手段を固定するための電磁石を備えたことを特徴とする請求項19に記載のメンテナンス装置。
【請求項21】
前記移動手段に搭載された発電機と、前記移動手段から前記第1飛行手段に電源を供給するための電源ケーブルと、該電源ケーブルを移動可能に支持する支持具を備えたことを特徴とする請求項16に記載のメンテナンス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁や道路などの構造物を保護するための保護膜のメンテナンスに適用されるメンテナンス方法およびメンテナンス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁や道路などの構造物を保護するために、構造物の表面に保護膜を塗布することが行われている。
【0003】
たとえば特許文献1には、鋼橋の塗り替え補修において、劣化進行度合いが他の部位より著しい鋼橋の両端部に、他の部位より耐候性の高い塗装を施すことで、鋼橋全体の劣化バランスを平均化させ、塗り替え補修サイクルを伸ばし、メンテナンス費用を低減させるようにした鋼橋の塗装方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、表面に塗膜を有する構造物のき裂や欠損部あるいは塗膜の浮きや剥離の欠陥を検出する欠陥検出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-144285号公報
【特許文献2】特開2019-45398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者は、塗膜の剥がれなどが生じてから塗り替える塗装方法であり、鋼橋の劣化を効果的に防止することができない。
【0007】
また、後者は、塗装を除去せずに塗装下の構造物の欠陥を検出する方法であり、構造部に欠陥が生じた後にその欠陥の検出を行うため、構造物の劣化を効果的に防止することができない。
【0008】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、従来のように構造物そのものを対象とするのではなく、構造物を保護するための保護膜の劣化状態を検出し、その保護膜の劣化状態を補修することにより、構造物の劣化を効果的に防止することができるようにしたメンテナンス方法およびメンテナンス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るメンテナンス方法は、構造物を保護するために構造物の表面に形成された保護膜のメンテナンス方法であって、保護膜を撮影して保護膜の劣化状態を検出する検出工程と、この検出工程の検出結果に基づいて保護膜の劣化状態を補修する補修工程とを具備したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係るメンテナンス装置は、構造物を保護するために構造物の表面に形成された保護膜をメンテナンスするメンテナンス装置であって、保護膜を撮影して保護膜の劣化状態を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果にもとづいて保護膜の劣化状態を補修するために保護膜に保護膜の原料を付与する原料付与手段と、検出手段および原料付与手段を搭載して飛行することが可能な第1飛行手段とを具備したことことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るメンテナンス方法およびメンテナンス装置によれば、従来のように構造物そのものを対象とするのではなく、構造物を保護するための保護膜の劣化状態を検出し、その保護膜の劣化状態を補修することにより、構造物の劣化を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本発明の第1実施形態に係るメンテナンス装置を示す斜視図。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るメンテナンス装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1中、符号1は、たとえば鉄筋コンクリート構造物などで構成される桁橋などの橋梁(構造物)を示している。
【0015】
この橋梁1は、間隔を開けて配設された複数の橋脚2と、この橋脚2に支承された床板3を備えている。
【0016】
床板3は、長尺に形成され、上面4および下面5を有している。
【0017】
この床板3の上面4には、車道部6が幅方向中央に長手方向に沿って形成されている。
【0018】
また、この車道部6の両側にはそれぞれ、歩道部7が設けられている。
【0019】
さらに、歩道部7の外側にはそれぞれ、防護柵8が設けられている。
【0020】
このように構成された橋梁1の下面には、橋梁1を保護するための塗膜(保護膜)Cが形成されている。
【0021】
この塗膜Cは、透湿性、伸縮性、不透水性、防汚性および視認性(有色)、付着性などを有するたとえばアイゾールEX(商品名、株式会社アイゾールテクニカ製)などが用いられている。
【0022】
この塗膜Cは、透湿性を有することにより、橋梁1のコンクリート内部の湿気を外部に放出し、塗膜Cの剥がれなどを起こさず付着性または一体性を保つことができる。
【0023】
また、この塗膜Cは、伸縮性を有することにより、橋梁1のコンクリートの温度による伸縮などに追従し、塗膜Cの剥がれなどを起こさず付着性または一体性を保つことができる。
【0024】
さらに、この塗膜Cは、不透水性を有することにより、透水量はゼロであり、塗膜Cが劣化せず健全な状態であれば橋梁1の内部のコンクリートおよび鉄筋の劣化を生じさせない。
【0025】
さらに、この塗膜Cは、防汚性および視認性(有色)を有することにより、汚れが付き難く、画像解析をより容易に行うことができる。
【0026】
さらに、この塗膜Cは、付着性を有することにより、塗膜Cに異常がなければ付着力を維持することができ、たとえばアイゾールEX(商品名)の場合は、1.8N/mm2である。
【0027】
一方、
図1中、符号11は、このように塗膜Cが形成された橋梁1の塗膜Cのメンテナンスを行うための本発明に係るメンテナンス装置を示している。
【0028】
このメンテナンス装置11は、塗膜Cに塗膜Cの原料を噴射して塗布(付与)する噴射ノズル(原料付与手段)12と、塗膜Cを撮影して塗膜Cの劣化状態を検出するカメラ(検出手段)13と、噴射ノズル12およびカメラ13を搭載して飛行することが可能な第1ドローン(第1飛行手段)14を備えている。
【0029】
さらに、メンテナンス装置11は、橋梁1の上面4を移動可能な台車(移動手段)15を備えていて、橋梁1のメンテナンス時には橋梁1の長さ方向に沿って移動させることができるようになっている。
【0030】
この台車15には、噴射ノズル12に保護膜Cの原料と水を選択的に供給するための供給手段16が搭載されている。
【0031】
この供給手段16は、原料を収容する原料収容タンク17と、水を収容する水収容タンク18と、これらを選択的に圧送するためのポンプ19を備えている。
【0032】
また、ポンプ19と噴射ノズル12は可撓性のホース20によって接続されていて、台車15に搭載されたポンプ19から選択的に圧送される原料または水は、第1ドローン14に搭載された噴射ノズル12にホース20を介して導かれるようになっている。
【0033】
このホース20は、支持手段21によって移動可能にガイドされるように支持され、これによりホース20の荷重が支持手段21に負担されるように構成されている。
【0034】
すなわち、支持手段21は、第1ドローン14の予定飛行路に沿って配設される可撓性を有するロープ(索状部材)22と、このロープ22に移動可能に取付けられ、ホース20を吊架するたとえばSUSなどからなる複数のリング(吊架部材)23を備えている。
【0035】
このリング23は、ホース20に所定間隔を開けて連結されていて、これによりホース20がロープ22に沿ってガイドされるようになっている。
【0036】
このロープ22は、基端側が台車15に固定された支持手段21に連結されている。
【0037】
この支持手段21は、台車15に立設される垂直部24と、この垂直部24の上部から防護柵8を超えて橋脚2から張出す水平部25を備えていて、この水平部25の先端にロープ22の基端側が連結されている。
【0038】
そして、ホース20は、リング23によって垂直部24および水平部25にも移動可能に支持されるように構成されている。
【0039】
すなわち、ホース20は、ポンプ19から垂直部24に沿って上方へガイドされ、続いて水平部25に沿って水平にガイドされ、続いてロープ22によって下方へガイドされた後、橋梁1の下方へガイドされるようになっている。
【0040】
また、ロープ22は、第2ドローン(第2飛行手段)26によって張設されるようになっている。
【0041】
すなわち、ロープ22の先端側は、第2ドローン(第2飛行手段)26に絶縁性を有するピンなどで連結され、第2ドローン26が橋梁1の一側側(台車15側)から下面側を飛行して他側側の防護柵8の上部に着地することにより、橋梁1の下回りに張設されるようになっている。
【0042】
第2ドローン26には電磁石27が設けられていて、防護柵8が鋼製の場合には、第2ドローン26が防護柵8に着地し、電磁石27に通電することにより、ロープ22の先端側が防護柵8に固定されるようになっている。
【0043】
なお、防護柵8が鋼製でない場合は、着磁部材を防護柵8に取付けるか、ロープ22の先端を防護柵8に直接連結すればよい。
【0044】
次に、本発明に係るメンテナンス方法を説明する。
【0045】
先ず、橋梁1の上の所定位置に台車15をセットする。
【0046】
次いで、第2ドローン26を橋梁1の幅方向すなわち塗膜Cの予定補修部分に沿って、橋梁1の台車15の側から橋梁1の下方を通って橋梁1の台車15と反対側へ導き、防護柵8に着地させる。
【0047】
次いで、第2ドローン26の電磁石27を通電して第2ドローン26を防護柵8に固定する。
【0048】
これにより、ロープ22を橋梁1の下回りに橋梁1の幅方向に沿って(すなわち、第1ドローン14の予定飛行路に沿って)張設することができる。
【0049】
次いで、第1ドローン14を飛行させると、
図2および
図3にも示すように、ホース20はロープ22にガイドされながら移動する。
【0050】
したがって、ホース20の荷重は、ロープ22に負担されるので、第1ドローン14の荷重負担を軽減させることができる。
【0051】
次いで、第1ドローン14を飛行させながらポンプ19を稼動させて噴射ノズル12から水を噴射させて橋梁1の下面5を洗浄する。
【0052】
次いで、第1ドローン14を飛行させながらカメラ13で橋梁1の下面5に形成された塗膜Cを撮影し塗膜Cの劣化部分を検出する。
【0053】
次いで、第1ドローン14を飛行させながらポンプ19を稼動させて噴射ノズル12から塗膜Cの原料を噴射させて塗膜Cの劣化部分に上塗りし、これにより塗膜Cの劣化部分を補修する。
【0054】
すなわち、補修は、保護膜Cの劣化状態に応じて部分的に保護膜Cを補修することになる。
ただし、必要に応じて非破壊検査等を行い、局部的な橋梁1の補修の必要性を検討し、実施する場合も稀にはあり得る。
【0055】
また、この補修は、カメラ13で撮影し劣化部分を検出しながら同時に行う。
なお、補修は、カメラ13での検出データを一旦記録し、この記録データに基づいて行っても良い。
【0056】
次いで、第1ドローン14および第2ドローン26を台車15側に戻す。
【0057】
これにより、橋梁1の塗膜Cの補修を橋梁1の幅方向に沿って一定幅で行うことができる。
【0058】
次いで、台車15を橋梁1の長さ方向に移動させ、塗膜Cの次の予定補修部分の補修作業を行う。
【0059】
以上の構成によれば、塗膜Cとしての橋梁1の保護機能が損なわれる前に塗膜Cの補修作業を行う、すなわち、橋梁1の劣化に係わらず塗膜Cを補修作業を行うので、橋梁1の劣化前に塗膜Cを補修することになる。
【0060】
従って、塗膜Cが劣化しない限り橋梁1の劣化を防止することができるため、従来のように橋梁1の劣化を検出してから塗膜Cの補修を行う場合に比べ、橋梁1の劣化を効果的に防止することができる。
【0061】
さらに、構造物毎に残留膜厚調査等にて最適な再塗布期間を設定し、保護膜が残留しているうちに全面的な上塗りを定期的に行う。
【0062】
いずれにしても、橋梁1が健全な状態で塗膜Cを最初に塗ることで、補修費のみならず、ドローン搭載カメラによる画像解析や非破壊検査の労力や時間が大幅に軽減できる。
【0063】
さらに、構造物の状況等に応じてメンテナンス装置の一部を増設することも可能である。
【0064】
たとえば、第1ドローン14に搭載のバッテリー重量を軽減する目的で、台車15に発電機を搭載し、支持手段21、ロープ22、リング23、第2ドローン26、電磁石27と同様の設備(支持具)を増設し、第1ドローン14と発電機を接続する電気ケーブルをホース20と同様に移動可能に支持することも可能である。
【0065】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0066】
本第2実施形態では、
図4に示すように、メンテナンス装置11は、ロープ22およびリング23を用いない構成となっている。
【0067】
また、第1ドローン14を複数台用いる構成となっている。
【0068】
このような構成においても、第1実施形態同様のメンテナンス方法を実施することができる。
【0069】
なお、補修作業は、所定期間ごとに繰返し行う。
【0070】
また、補修作業は、塗膜Cに塗膜Cの原料を上塗りし、塗膜Cを可及的に初期状態に復帰せしめる。
【0071】
さらに、塗膜Cの劣化状態の検出においては、視認性を有するたとえば有色の塗膜Cを用いることにより劣化状態をより容易に検出することができる。
【0072】
さらに、上述の実施形態では、第1ドローン14にカメラ13および噴射ノズル12を搭載してメンテナンス作業を行うようにしたが、本発明は、高所作業車による作業や吊りロープによる作業でもよい。
【0073】
さらに、噴射ノズル12およびカメラ13は、1台の第1ドローン14に搭載するようにしたが、2台の第1ドローン14に別々に搭載しても良く、また1台の第1ドローンに乗せ換えるようにしてもよい。
【0074】
さらに、構造物は、コンクリート構造物に限らず、鋼構造物や、木製構造物、樹脂製構造物などでもよい。
【0075】
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0076】
すなわち、本発明に係るメンテナンス方法は、構造物を保護するために構造物の表面に形成された保護膜のメンテナンス方法であって、保護膜を撮影して保護膜の劣化状態を検出する検出工程と、この検出工程の検出結果に基づいて保護膜の劣化状態を補修する補修工程とを具備したことを特徴とするものである。
【0077】
また、本発明に係るメンテナンス装置は、構造物を保護するために構造物の表面に形成された保護膜をメンテナンスするメンテナンス装置であって、保護膜を撮影して保護膜の劣化状態を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果にもとづいて保護膜の劣化状態を補修するために保護膜に保護膜の原料を付与する原料付与手段と、検出手段および原料付与手段を搭載して飛行することが可能な第1飛行手段とを具備したことことを特徴とするものである。
【0078】
上記本発明は、少なくとも下記実施形態を含むことができる。該実施形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
【0079】
(1)保護膜は、透湿性を有する塗膜で形成する。
【0080】
(2)保護膜は、伸縮性を有する塗膜で形成する。
【0081】
(3)保護膜は、不透水性を有する塗膜で形成する。
【0082】
(4)保護膜は、防汚性および視認性を有する塗膜で形成する。
【0083】
(5)保護膜は、付着性を有する塗膜で形成する。
【0084】
(6)補修工程は、保護膜の劣化状態に応じて部分的に保護膜を補修する工程を含む。
【0085】
(7)補修工程は、構造物の劣化前に保護膜を補修する工程を含む。
【0086】
(8)補修工程は、構造物の劣化に係わらず保護膜を補修する工程を含む。
【0087】
(9)検出工程および補修工程は、所定期間ごとに繰返し行う工程を含む。
【0088】
(10)補修工程は、保護膜に保護膜の原料を上塗りし、保護膜を初期状態に復帰せしめる工程を含む。
【0089】
(11)検出工程は、保護膜の劣化状態を検出する検出手段を搭載した第1飛行手段を飛行させて検出する工程を含む。
【0090】
(12)補修工程は、保護膜に保護膜の原料を付与する原料付与手段を搭載した第1飛行手段を飛行させて保護膜を補修する工程を含む。
【0091】
(13)補修工程は、検出工程と同時に行うことにより保護膜の劣化を検出しながら補修する工程を含む。
【0092】
(14)さらに、構造物の上を移動可能な移動手段と、この移動手段に搭載され、原料付与手段に保護膜の原料を供給するための供給手段と、この供給手段から原料付与手段へ原料を導くための可撓性を有するホースを備える。
【0093】
(15)さらに、ホースを移動可能に支持する支持手段を備える。
【0094】
(16)支持手段は、第1飛行手段の予定飛行路に沿って配設される索状部材と、この索状部材に移動可能に取付けられ、ホースを吊架する吊架部材を備える。
【0095】
(17)さらに、索状部材の基端側を移動手段に連結する支持部材と、索状部材の先端側を連結して飛行することが可能な第2飛行手段とを備える。
【0096】
(18)第2飛行手段は、この第2飛行手段を固定するための電磁石を備える。
【符号の説明】
【0097】
1 構造物(橋梁)
C 保護膜(塗膜)
11 メンテナンス装置
12 原料付与手段(噴射ノズル)
13 検出手段(カメラ)
14 第1飛行手段(第1ドローン)
15 移動手段(台車)
16 供給手段
20 ホース
21 支持手段
22 索状部材(ロープ)
23 吊架部材(リンク)
26 第2飛行手段(第2ドローン)
27 電磁石