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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176820
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】コネクタおよび雌端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20241212BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01R13/11 A
H01R13/42 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095640
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】林 知宏
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴斗
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG24
5E087RR36
(57)【要約】
【課題】ハウジングの内部における雌端子の変位を抑制できるコネクタおよび雌端子を提供する。
【解決手段】コネクタC1は、雌端子31とハウジング30とを備える。雌端子31は、第1筒状部を有する第1周壁40と、第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁50と、第1筒状部と第2筒状部とにより構成される筒状接続部とを有する。雌端子31は、第1筒状部の第1内面と第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部90と、第2周壁50の外面から突出する凸部55とを有する。巻き押え部90は、第1周壁40から第2周壁50の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、第2周壁50の外面に接触されている。巻き押え部90と凸部55とは、Z軸に沿った同一直線上に並んで設けられている。ハウジング30は、巻き押え部90と凸部55とが内部に挿入される溝状の収容部123を有する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌端子と、前記雌端子を保持するハウジングと、を備え、
前記雌端子は、
第1筒状部を有する第1周壁と、
前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、
前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、
前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、
前記第2周壁の外面から突出する凸部と、を有し、
前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、
前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されており、
前記巻き押え部と前記凸部とは、第1軸に沿った同一直線上に並んで設けられており、
前記ハウジングは、前記巻き押え部と前記凸部とが内部に挿入される溝状の収容部を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記第1周壁は、第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、
前記第2周壁は、前記第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、
前記第1内面は、前記第1方向と交差する第2方向に向く面であり、
前記第2内面は、前記第2方向の反対方向である第2反対方向に向く面であり、
前記第2周壁の外面は、前記第2方向に向く面であり、
前記筒状接続部の軸方向は、前記第1方向および前記第2方向の両方と交差する第3方向に沿って延びており、
前記巻き押え部は、前記第1周壁の前記第3方向の端面から前記第2周壁の前記第3方向の端面を内部に抱え込みつつ折り返されており、
前記凸部は、前記第3方向から見た平面視において、前記巻き押え部と重なるように設けられており、
前記凸部は、前記第2周壁の外面から前記第2方向に向かって突出している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2周壁の外面からの前記凸部の第1突出量は、前記第2周壁の外面からの前記巻き押え部の第2突出量と等しい、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記雌端子を内部に収容するハウジング本体と、前記ハウジング本体に取り付けられるリテーナと、を有し、
前記リテーナは、前記ハウジング本体の内部に挿入されるとともに前記雌端子の移動を規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記収容部を有する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記規制部は、前記第1方向において前記凸部と係合する係合壁を有する、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記雌端子は、前記第1周壁と前記第2周壁とを連結する連結部を更に有し、
前記連結部は、前記第1周壁と一体に形成されるとともに、前記第2周壁と一体に形成されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記連結部は、前記第1周壁のうち前記第3方向の反対方向である第3反対方向の端面から前記第2周壁のうち前記第3反対方向の端面に向かって前記第2方向に延びるように形成されており、
前記連結部は、前記第3方向から見た平面視において、前記巻き押え部と重なるように設けられている、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記雌端子は、前記第1周壁の前記第1方向の端部に設けられた保護部を更に有し、
前記保護部は、前記第1周壁と一体に形成されており、
前記保護部は、前記第1周壁の前記第1方向の端部から前記第2周壁の前記第1方向の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成されており、
前記保護部は、前記第2方向において前記第2周壁の前記第1方向の端部と対向して設けられた保護壁を有し、
前記保護壁は、前記第2周壁の前記第1方向の端部と離隔して設けられている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記巻き押え部は、前記第1周壁のうち前記第1方向の反対方向である第1反対方向の端部に設けられており、
前記凸部は、前記第2周壁のうち前記第1反対方向の端部に設けられており、
前記筒状接続部は、前記第1方向において、前記巻き押え部と前記保護部との中間位置に設けられている、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
第1筒状部を有する第1周壁と、
前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、
前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、
前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、
前記第2周壁の外面から突出する凸部と、を備え、
前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、
前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されており、
前記巻き押え部と前記凸部とは、第1軸に沿った同一直線上に並んで設けられている、雌端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタおよび雌端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるコネクタとしては、ハウジングと、ハウジングに保持された雌端子とを備えるものが知られている。雌端子の筒状接続部には、雄端子の柱状接続部が挿入されるとともに、柱状接続部が電気的に接続される。この種の雌端子は、コイルばね等の付勢部材による付勢力を利用して、雄端子の柱状接続部に対する接触圧力を安定して確保している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-28903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記コネクタにおいては、ハウジングの内部における雌端子の変位を抑制することが望まれている。
本開示の目的は、ハウジングの内部における雌端子の変位を抑制できるコネクタおよび雌端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のコネクタは、雌端子と、前記雌端子を保持するハウジングと、を備え、前記雌端子は、第1筒状部を有する第1周壁と、前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、前記第2周壁の外面から突出する凸部と、を有し、前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されており、前記巻き押え部と前記凸部とは、第1軸に沿った同一直線上に並んで設けられており、前記ハウジングは、前記巻き押え部と前記凸部とが内部に挿入される溝状の収容部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示のコネクタおよび雌端子によれば、ハウジングの内部における雌端子の変位を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態のワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
図4図4は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す斜視図である。
図5図5は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す平面図である。
図6図6は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す平面図である。
図7図7は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(図5および図6における7-7線断面図)である。
図8図8は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(図5および図6における8-8線断面図)である。
図9図9は、一実施形態の雌端子を示す断面図(図5および図6における9-9線断面図)である。
図10図10は、一実施形態の雌端子を示す断面図(図9における10-10線断面図)である。
図11図11は、一実施形態の雌端子を示す断面斜視図である。
図12図12は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す分解斜視図である。
図13図13は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す平面図である。
図14図14は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(図13における14-14線断面図)である。
図15図15は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(図14における15-15線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示のコネクタは、雌端子と、前記雌端子を保持するハウジングと、を備え、前記雌端子は、第1筒状部を有する第1周壁と、前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、前記第2周壁の外面から突出する凸部と、を有し、前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されており、前記巻き押え部と前記凸部とは、第1軸に沿った同一直線上に並んで設けられており、前記ハウジングは、前記巻き押え部と前記凸部とが内部に挿入される溝状の収容部を有する。
【0009】
この構成によれば、ハウジングが有する収容部の内部に、雌端子の巻き押え部と凸部とが挿入される。ここで、巻き押え部は、第1周壁から折り返されて第2周壁の外面に接触されている。このため、巻き押え部は、第2周壁の外面よりも外方に突出している。このような巻き押え部が収容部の内部に収容されると、雌端子のうち巻き押え部が形成されていない部分と収容部の内面との間に大きな隙間が生じる場合がある。このような隙間が生じると、収容部の内部において雌端子が変位しやすくなるという問題が発生する。これに対し、上記構成では、第2周壁の外面から突出する凸部を、巻き押え部と同一直線上に並んで設けるようにした。この凸部を設けたことにより、雌端子のうち巻き押え部が形成されていない部分と収容部の内面との間の隙間を小さくすることができる。これによって、収容部の内部において雌端子が変位することを好適に抑制できる。ひいては、ハウジングの内部における雌端子の変位を好適に抑制できる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記第1周壁は、第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、前記第2周壁は、前記第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、前記第1内面は、前記第1方向と交差する第2方向に向く面であり、前記第2内面は、前記第2方向の反対方向である第2反対方向に向く面であり、前記第2周壁の外面は、前記第2方向に向く面であり、前記筒状接続部の軸方向は、前記第1方向および前記第2方向の両方と交差する第3方向に沿って延びており、前記巻き押え部は、前記第1周壁の前記第3方向の端面から前記第2周壁の前記第3方向の端面を内部に抱え込みつつ折り返されており、前記凸部は、前記第3方向から見た平面視において、前記巻き押え部と重なるように設けられており、前記凸部は、前記第2周壁の外面から前記第2方向に向かって突出していてもよい。
【0011】
この構成によれば、凸部が第2周壁の外面から第2方向に向かって突出するように形成される。これにより、第2方向において雌端子と収容部の内面との間の隙間を小さくできる。したがって、収容部の内部において雌端子が第2方向に傾くことを好適に抑制できる。この結果、雌端子の筒状接続部の軸方向が第2方向に傾くことを抑制できる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記第2周壁の外面からの前記凸部の第1突出量は、前記第2周壁の外面からの前記巻き押え部の第2突出量と等しくてもよい。
この構成によれば、凸部の第1突出量が巻き押え部の第2突出量と等しくなる。このような凸部を設けたことにより、巻き押え部が形成されていない部分の雌端子と収容部の内面との間の隙間をより小さくすることができる。これによって、収容部の内部において雌端子が変位することをより好適に抑制できる。
【0013】
[4]上記[2]または[3]において、前記ハウジングは、前記雌端子を内部に収容するハウジング本体と、前記ハウジング本体に取り付けられるリテーナと、を有し、前記リテーナは、前記ハウジング本体の内部に挿入されるとともに前記雌端子の移動を規制する規制部を有し、前記規制部は、前記収容部を有してもよい。
【0014】
この構成によれば、リテーナの規制部に収容部が設けられる。このため、ハウジング本体にリテーナが取り付けられた際に、リテーナの収容部の内部において雌端子が変位することを好適に抑制できる。ひいては、ハウジングの内部において雌端子が変位することを好適に抑制できる。
【0015】
[5]上記[4]において、前記規制部は、前記第1方向において前記凸部と係合する係合壁を有してもよい。
この構成によれば、雌端子の凸部が第1方向の反対方向である第1反対方向において係合壁と係合される。このため、収容部の内部において雌端子が第1反対方向に移動することを好適に抑制できる。
【0016】
[6]上記[2]から[5]のいずれかにおいて、前記雌端子は、前記第1周壁と前記第2周壁とを連結する連結部を更に有し、前記連結部は、前記第1周壁と一体に形成されるとともに、前記第2周壁と一体に形成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1周壁および第2周壁の両方と一体に形成された連結部によって、第1周壁と第2周壁とが連結される。これにより、連結部を通じて第1周壁と第2周壁とを一体に形成することができる。このため、1枚の金属板に対して折り曲げ加工等を施すことによって雌端子を構成することができる。この結果、雌端子の構造を簡素化することができる。
【0018】
[7]上記[6]において、前記連結部は、前記第1周壁のうち前記第3方向の反対方向である第3反対方向の端面から前記第2周壁のうち前記第3反対方向の端面に向かって前記第2方向に延びるように形成されており、前記連結部は、前記第3方向から見た平面視において、前記巻き押え部と重なるように設けられていてもよい。
【0019】
この構成によれば、第1周壁を間にして連結部の反対側に巻き押え部が設けられる。このため、連結部が開くこと、つまり第1周壁と第2周壁との離隔距離が大きくなることを巻き押え部によって好適に制限することができる。この結果、筒状接続部を構成する第1内面と筒状接続部を構成する第2内面との離隔距離が大きくなることを巻き押え部によって好適に制限することができる。
【0020】
[8]上記[2]から[7]のいずれかにおいて、前記雌端子は、前記第1周壁の前記第1方向の端部に設けられた保護部を更に有し、前記保護部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記保護部は、前記第1周壁の前記第1方向の端部から前記第2周壁の前記第1方向の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成されており、前記保護部は、前記第2方向において前記第2周壁の前記第1方向の端部と対向して設けられた保護壁を有し、前記保護壁は、前記第2周壁の前記第1方向の端部と離隔して設けられていてもよい。
【0021】
この構成によれば、第1周壁と一体に形成された保護部の保護壁が、第2周壁の第1方向の端部と離隔した状態で対向して設けられる。このため、例えば第2周壁の第1方向の端部に対して意図せずに過大な外力が加わり、その外力に起因して第1周壁から離隔するように第2周壁が変形する場合であっても、その変形を保護壁によって好適に阻止することができる。
【0022】
[9]上記[8]において、前記巻き押え部は、前記第1周壁のうち前記第1方向の反対方向である第1反対方向の端部に設けられており、前記凸部は、前記第2周壁のうち前記第1反対方向の端部に設けられており、前記筒状接続部は、前記第1方向において、前記巻き押え部と前記保護部との中間位置に設けられていてもよい。
【0023】
この構成によれば、巻き押え部が、第1方向において筒状接続部と異なる位置に設けられる。このような巻き押え部によって、第1周壁と第2周壁との離隔距離が大きくなることを制限することができる。ひいては、巻き押え部によって、筒状接続部を構成する第1内面と筒状接続部を構成する第2内面との離隔距離が大きくなることを制限することができる。
【0024】
[10]本開示の雌端子は、第1筒状部を有する第1周壁と、前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、前記第2周壁の外面から突出する凸部と、を備え、前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されており、前記巻き押え部と前記凸部とは、第1軸に沿った同一直線上に並んで設けられている。
【0025】
この構成によれば、上記[1]のコネクタと同様の効果を得ることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタおよび雌端子の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。本明細書において「等しい」とは、正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状やU字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。また、本明細書における「第1」「第2」「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
(ワイヤハーネスW1の全体構成)
図1に示すように、ワイヤハーネスW1は、1本以上(本実施形態では、2本)の電線20と、電線20の端部に取り付けられたコネクタC1とを備えている。ワイヤハーネスW1は、例えば、車両用の電気機器同士を電気的に接続するものである。車両用の電気機器としては、例えば、インバータや車輪駆動用のモータを挙げることができる。詳細な図示は省略するが、コネクタC1は、電気機器に設けられた相手コネクタと電気的に接続される。相手コネクタは、例えば、1以上(本実施形態では、2つ)の相手端子である雄端子200(図4参照)と、2つの雄端子200を保持する相手ハウジングとを備えている。なお、各図面における各方向は、必ずしもコネクタC1およびワイヤハーネスW1の使用時の姿勢を表すものではない。
【0027】
(コネクタC1の全体構成)
図2に示すように、コネクタC1は、ハウジング30と、複数の電線20の端部にそれぞれ接続された複数の雌端子31とを備えている。ハウジング30は、複数の雌端子31を保持している。ハウジング30は、雌端子31を内部に収容するハウジング本体110と、ハウジング本体110に取り付けられるリテーナ120とを有している。なお、各図面には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。各図面には、X軸に沿ったX軸方向の一方向である第1方向X1と、第1方向X1の反対方向である第1反対方向X2とを図示している。各図面には、Y軸に沿ったY軸方向の一方向である第2方向Y1と、第2方向Y1の反対方向である第2反対方向Y2とを図示している。各図面には、Z軸に沿ったZ軸方向の一方向である第3方向Z1と、第3方向Z1の反対方向である第3反対方向Z2とを図示している。以上説明した各方向は、特に説明の無い限り、電線20の端部にコネクタC1が組み付けられた状態における方向である。
【0028】
ハウジング本体110には、第1方向X1に沿って雌端子31および電線20が挿入される。ハウジング本体110には、第3反対方向Z2に沿ってリテーナ120が取り付けられる。コネクタC1には、例えば、第3反対方向Z2に沿って相手コネクタが接続される。例えば、相手コネクタの雄端子200(図4参照)が第3反対方向Z2に沿ってハウジング本体110の内部に挿入される。
【0029】
(電線20の構成)
各電線20は、導電性を有する芯線21と、芯線21の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆22とを有している。芯線21としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線を用いることができる。芯線21の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆22は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
【0030】
芯線21の第1方向X1の端部は、絶縁被覆22から露出している。絶縁被覆22から露出した芯線21の第1方向X1の端部には、雌端子31が接続されている。
図3に示すように、電線20の第1方向X1の端部は、ハウジング本体110の内部に収容されている。電線20は、ハウジング本体110の第1反対方向X2の端部から第1反対方向X2に導出されている。
【0031】
(雌端子31の構成)
図2に示すように、2つの雌端子31は、2つの電線20のそれぞれに電気的に接続されている。2つの雌端子31は、例えば、Y軸方向に沿って並んで設けられている。2つの雌端子31は、例えば、互いに同一の構造を有している。ここでは、2つの雌端子31のうち第2方向Y1側に設けられた雌端子31に着目して説明する。
【0032】
各雌端子31は、電線20の端部と接続される電線接続部32と、電線接続部32の第1方向X1の端部から第1方向X1に向かって延びる端子接続部33とを有している。各雌端子31は、例えば、電線接続部32と端子接続部33とが連続して一体に形成された単一部品である。各雌端子31は、例えば、金属板材を折り曲げたり組み合わせたりすることにより構成されている。本実施形態の各雌端子31は、1枚の金属板材を折り曲げることにより構成されている。各雌端子31は、例えば、金属製である。各雌端子31の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0033】
電線接続部32は、絶縁被覆22から露出された芯線21の端部に接続されている。電線接続部32は、例えば、平板状に形成されている。電線接続部32は、例えば、X軸方向に沿って帯状に延びている。電線接続部32は、例えば、圧着や超音波溶接などによって芯線21に接続されている。これにより、電線接続部32と芯線21とが電気的および機械的に接続されている。
【0034】
図4に示すように、端子接続部33は、相手コネクタの雄端子200と接続される雌端子部である。ここで、雄端子200は、柱状の柱状接続部201を有している。本実施形態の柱状接続部201は、円柱状に形成されている。
【0035】
端子接続部33は、第1筒状部41を有する第1周壁40と、第1筒状部41に対向する第2筒状部51を有する第2周壁50とを有している。端子接続部33は、第1筒状部41と第2筒状部51とにより構成される筒状接続部60を有している。端子接続部33は、例えば、連結部70と、突出部80と、巻き押え部90と、保護部100とを有している。第1周壁40と第2周壁50とは、Y軸方向において互いに対向している。
【0036】
(第1周壁40および第2周壁50の構成)
図4および図5に示すように、第1周壁40の第1反対方向X2の端部は、電線接続部32の第1方向X1の端部と接続されている。第1周壁40は、第1方向X1に沿って延びる帯状に形成されている。第1周壁40は、例えば、電線接続部32の第1方向X1の端部から第1方向X1に向かって延びている。換言すると、電線接続部32は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部から第1反対方向X2に向かって延びている。第1周壁40は、例えば、平板状に形成されている。第1周壁40は、Z軸方向に沿う所定の幅を有している。図4に示すように、第1周壁40は、Y軸方向に沿う所定の厚みを有している。第1周壁40は、第2周壁50と対向する内面と、その内面とY軸方向において反対側に設けられた外面とを有している。
【0037】
図4および図6に示すように、第2周壁50は、第1方向X1に沿って延びる帯状に形成されている。第2周壁50は、例えば、平板状に形成されている。第2周壁50は、Z軸方向に沿う所定の幅を有している。図4に示すように、第2周壁50は、Y軸方向に沿う所定の厚みを有している。第2周壁50は、第1周壁40の内面と対向する内面と、その内面とY軸方向において反対側に設けられた外面とを有している。第2周壁50の内面は、例えば、Y軸方向において、第1周壁40の内面と離隔して設けられている。第2周壁50は、例えば、第1周壁40と平行に延びている。
【0038】
第1筒状部41は、第1周壁40のX軸方向の中間位置に設けられている。第1筒状部41は、X軸方向において、巻き押え部90と保護部100との間に設けられている。第1筒状部41は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。図5に示すように、第1筒状部41は、Z軸方向に沿って延びている。第1筒状部41は、第1周壁40のZ軸方向の全長にわたって延びている。
【0039】
図4に示すように、第2筒状部51は、第2周壁50のX軸方向の中間位置に設けられている。第2筒状部51は、X軸方向において、巻き押え部90と保護部100との間に設けられている。第2筒状部51は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。第2筒状部51は、Z軸方向に沿って延びている。第2筒状部51は、第2周壁50のZ軸方向の全長にわたって延びている。
【0040】
図7に示すように、第1筒状部41は、第2方向Y1に向く第1内面42を有している。第2筒状部51は、第2反対方向Y2に向く第2内面52を有している。第1内面42と第2内面52とは、Y軸方向において互いに対向している。第1筒状部41と第2筒状部51とは、互いに離隔する方向に向かって湾曲している。第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52とにより、筒状接続部60の内部空間が形成されている。筒状接続部60は、雄端子200の柱状接続部201が内部に挿入されるとともに、柱状接続部201と電気的に接続される接続部分である。図4に示すように、筒状接続部60の軸方向は、例えば、電線20が延びる方向(ここでは、X軸方向)と交差する方向、本実施形態ではZ軸方向に沿って延びている。筒状接続部60は、Z軸方向の両端に開口している。すなわち、筒状接続部60は、第3方向Z1に開口するとともに、第3反対方向Z2に開口している。本実施形態の筒状接続部60には、第3反対方向Z2に沿って柱状接続部201が挿入される。
【0041】
図7に示すように、筒状接続部60は、例えば、全体として円筒状に形成されている。筒状接続部60は、例えば、柱状接続部201の最大外径寸法よりも小さな最大内径寸法を有している。すなわち、筒状接続部60は、柱状接続部201が圧入されるように構成されている。
【0042】
第1筒状部41の外面は、X軸方向と平行な平面で第1筒状部41を切断した断面形状が円弧状に湾曲した曲面に形成されている。第1筒状部41の外面は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に突出するように形成されている。同様に、第1筒状部41の第1内面42は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されている。
【0043】
第1筒状部41の第1内面42には、その第1内面42から筒状接続部60の径方向内方に向かって突出する複数(本実施形態では、2つ)の線状接触部43が設けられている。2つの線状接触部43は、筒状接続部60の周方向において互いに離隔した位置に設けられている。2つの線状接触部43は、例えば、X軸方向において互いに部分的に対向するように設けられている。図5に示すように、各線状接触部43は、筒状接続部60の軸方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びている。
【0044】
図7に示すように、2つの線状接触部43を有する第1内面42の曲率は、雄端子200の柱状接続部201の外周面の曲率よりも小さく設定されている。これにより、2つの線状接触部43を柱状接続部201の外周面に好適に接触させることができる。このとき、各線状接触部43は、筒状接続部60の軸方向に沿って線状に柱状接続部201の外周面に接触される。すなわち、各線状接触部43は、柱状接続部201の外周面に線接触する。
【0045】
第2筒状部51の外面は、X軸方向と平行な平面で第2筒状部51を切断した断面形状が円弧状に湾曲した曲面に形成されている。第2筒状部51の外面は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に突出するように形成されている。同様に、第2筒状部51の第2内面52は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されている。
【0046】
図4および図6に示すように、第2筒状部51の外面には、その外面から筒状接続部60の径方向内方に向かって窪む窪み部53が設けられている。図6に示すように、Y軸方向から見た窪み部53の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。窪み部53は、例えば、第2筒状部51のZ軸方向の中間位置に設けられるとともに、第2筒状部51のX軸方向の中間位置に設けられている。
【0047】
図8に示すように、第2筒状部51の第2内面52には、その第2内面52から筒状接続部60の径方向内方に向かって突出する突部54が設けられている。突部54は、例えば、窪み部53が形成された部分における第2筒状部51の第2内面52に設けられている。突部54は、例えば、筒状接続部60の軸方向(ここでは、Z軸方向)と平行な平面で突部54を切断した断面形状が、筒状接続部60の径方向内方に向かって円弧状に突出する形状に形成されている。突部54は、第2内面52から筒状接続部60の径方向内方に向かって断面円弧状に突出するように形成されている。突部54は、例えば、筒状接続部60の周方向に沿って延びている。突部54は、例えば、筒状接続部60の軸方向に沿って延びている。突部54は、雄端子200の柱状接続部201の外周面に点接触する。突部54は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。突部54は、第2筒状部51の外面を金型で加圧することによりエンボス状に形成されている。
【0048】
筒状接続部60の軸方向の両端部の各々は、例えば、誘導部61を有している。各誘導部61は、筒状接続部60の軸方向における開口端に近づくに連れて筒状接続部60の開口幅(ここでは、内径)が大きくなるように形成されている。各誘導部61は、例えば、筒状接続部60の内面が、筒状接続部60の開口端に近づくに連れて筒状接続部60の径方向外方に向かって傾斜することで形成されている。各誘導部61は、例えば、第1筒状部41の第1内面42の周方向全周にわたって形成されるとともに、第2筒状部51の第2内面52の周方向全周にわたって形成されている。各誘導部61は、筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201を挿入する際に、その柱状接続部201を筒状接続部60の内部にスムーズに誘導する機能を有している。このような誘導部61が筒状接続部60の軸方向の両端部に設けられているため、筒状接続部60への雄端子200の挿入口を筒状接続部60の軸方向の両端部のいずれに設定した場合であっても、挿入抵抗の変化を同様にすることができる。このため、筒状接続部60の軸方向に対する雄端子200の挿入方向の制限を無くすことができる。
【0049】
図4に示すように、第2周壁50は、第2周壁50の外面から突出する凸部55を有している。凸部55は、第2周壁50の外面から第2方向Y1に向かって突出している。凸部55は、Z軸(第1軸)に沿った同一直線上に巻き押え部90と並んで設けられている。凸部55は、第3方向Z1から見た平面視において、巻き押え部90と重なる位置に設けられている。凸部55は、例えば、第2周壁50の第1反対方向X2の端部に設けられている。凸部55は、例えば、第2周壁50の第1反対方向X2の端面から第1方向X1に向かって延びている。凸部55は、X軸方向において、第2筒状部51まで延びていない。凸部55は、例えば、第2周壁50のZ軸方向の中間位置に設けられている。Y軸方向から見た凸部55の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。凸部55は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。凸部55は、第2周壁50の内面を金型で加圧することによりエンボス状に形成されている。
【0050】
図9に示すように、第2周壁50では、凸部55が形成された部分の内面に凹部56が設けられている。凹部56は、第2周壁50の内面から第1周壁40から離れる方向に向かって凹むように形成されている。
【0051】
(連結部70の構成)
図4に示すように、連結部70は、第1周壁40と第2周壁50とを連結している。連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端部と第2周壁50の第3反対方向Z2の端部とを連結している。連結部70は、第1周壁40と一体に形成されるとともに、第2周壁50と一体に形成されている。連結部70は、第1周壁40のうち第3反対方向Z2の端面から第2周壁50のうち第3反対方向Z2の端面に向かって第2方向Y1に延びるように形成されている。連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から第2周壁50の第3反対方向Z2の端面に向かって折り返されるように形成されている。
【0052】
連結部70は、例えば、端子接続部33の第1反対方向X2の端部に設けられている。連結部70は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部に設けられている。連結部70は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部から第1方向X1に延びている。連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面よりも第3反対方向Z2に突出するとともに、第2周壁50の第3反対方向Z2の端面よりも第3反対方向Z2に突出している。
【0053】
図9に示すように、連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から第3反対方向Z2に延びる延出部71と、第2周壁50の第3反対方向Z2の端面から第3反対方向Z2に延びる延出部72とを有している。連結部70は、延出部71と延出部72とを繋ぐ折り返し部73を有している。
【0054】
延出部71は、第1周壁40と連続して一体に形成されている。折り返し部73は、延出部71と連続して一体に形成されている。折り返し部73は、延出部71の端部から第2周壁50に向かって折り返されるように形成されている。折り返し部73は、例えば、延出部71の端部から第3方向Z1に向かってU字状に折り返されている。延出部72は、折り返し部73から第2周壁50に向かって第3方向Z1に延びている。延出部72は、折り返し部73と連続して一体に形成されるとともに、第2周壁50と連続して一体に形成されている。連結部70は、延出部71と折り返し部73と延出部72とによって、第1周壁40および第2周壁50から離れる方向(ここでは、第3反対方向Z2)に向かって凸となるU字の折り返し形状をなしている。連結部70は、第1周壁40上に第2周壁50が対向配置されるように折り返されている。換言すると、端子接続部33では、第2周壁50が、連結部70によって第1周壁40上に向かって2つ折り状に折り重ねられている。
【0055】
(突出部80の構成)
図10に示すように、突出部80は、第2周壁50の第3方向Z1の端面に設けられている。突出部80は、例えば、第2周壁50の第3方向Z1の端面から第3方向Z1に延びる突出基部81と、突出基部81の突出先端面の一部から第3方向Z1に延びる突起82とを有している。突出基部81は、第2周壁50と連続して一体に形成されている。突出基部81は、第2周壁50の第1反対方向X2の端面から第1方向X1に沿って延びている。突起82は、突出基部81と連続して一体に形成されている。突起82は、突出基部81の突出先端面、ここでは第3方向Z1の端面よりも第3方向Z1に突出している。突起82は、例えば、突出基部81のX軸方向の中間位置のみに設けられている。突起82は、例えば、Y軸方向から見た平面視において、突出基部81から突起82の突出先端面に近づくに連れて、X軸方向に沿う幅が小さくなるように形成されている。
【0056】
(巻き押え部90の構成)
図4に示すように、巻き押え部90は、第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52との離隔距離を制限するように形成されている。巻き押え部90は、第1内面42と第2内面52との離隔距離が大きくなることを制限している。巻き押え部90は、連結部70が開くことを制限している。巻き押え部90は、第1周壁40と一体に形成されている。巻き押え部90は、例えば、第1周壁40の第3方向Z1の端部に設けられている。巻き押え部90は、例えば、第1周壁40から第2周壁50の端縁を内部に抱えこみつつ折り返されるように形成されている。巻き押え部90は、例えば、第1周壁40の第3方向Z1の端面から第2周壁50の第3方向Z1の端面を内部に配置しつつ折り返されるように形成されている。巻き押え部90は、第2周壁50の外面に接触されている。
【0057】
巻き押え部90は、例えば、端子接続部33の第1反対方向X2の端部に設けられている。巻き押え部90は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部に設けられている。巻き押え部90は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部から第1方向X1に延びている。巻き押え部90は、例えば、第3方向Z1から見た平面視において、連結部70と重なる位置に設けられている。例えば、巻き押え部90は、Z軸方向において、第1周壁40を間にして連結部70の反対側に設けられている。
【0058】
図9に示すように、巻き押え部90は、第1周壁40の第3方向Z1の端面から第3方向Z1に延びる延出部91と、延出部91の端部に設けられた折り返し部92と、折り返し部92の端部から第2周壁50に向かって延びる押え部93とを有している。
【0059】
延出部91は、第1周壁40と連続して一体に形成されている。折り返し部92は、延出部91と連続して一体に形成されている。折り返し部92は、延出部91の第3方向Z1の端部から第2周壁50に向かって折り返されるように形成されている。折り返し部92は、例えば、延出部91の端部から第3反対方向Z2に向かってU字状に折り返されている。押え部93は、折り返し部92と連続して一体に形成されている。押え部93は、折り返し部92から突出部80および第2周壁50に向かって第3反対方向Z2に延びている。巻き押え部90は、延出部91と折り返し部92と押え部93とによって、第1周壁40および第2周壁50から離れる方向(ここでは、第3方向Z1)に向かって凸となるU字の折り返し形状をなしている。
【0060】
押え部93は、第2周壁50の外面を外側から押えるように設けられている。押え部93は、例えば、突出基部81の外面を外側から押さえるように設けられている。押え部93は、第2周壁50の外面と対向する対向面94を有している。対向面94は、例えば、第2周壁50の外面と平行に延びている。対向面94は、例えば、第2周壁50の外面と面接触している。
【0061】
ここで、第1周壁40の第3方向Z1の端面からの巻き押え部90の突出量P1は、例えば、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面からの連結部70の突出量P2と等しい。突出量P1は、第1周壁40の第3方向Z1の端面から巻き押え部90の突出先端までのZ軸方向に沿う最長距離である。突出量P2は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から連結部70の突出先端までのZ軸方向に沿う最長距離である。Y軸方向に沿う折り返し部92の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う折り返し部73の長さ寸法よりも第2周壁50の厚み分だけ大きい。
【0062】
第2周壁50の外面からの凸部55の第1突出量は、例えば、第2周壁50の外面からの巻き押え部90の第2突出量と等しい。すなわち、凸部55は、第2周壁50の外面からの突出量が巻き押え部90と等しくなるように形成されている。第1突出量は、第2周壁50の外面から凸部55の突出先端までのY軸方向に沿う最長距離である。第2突出量は、第2周壁50の外面から巻き押え部90の突出先端までのY軸方向に沿う最長距離である。
【0063】
図4に示すように、巻き押え部90は、突起82が嵌合する貫通孔95を有している。貫通孔95は、巻き押え部90を厚さ方向に貫通している。貫通孔95は、例えば、折り返し部92の中間位置から押え部93の中間位置まで延びている。貫通孔95は、突起82が嵌合可能な大きさに形成されている。
【0064】
図11に示すように、巻き押え部90は、貫通孔95を構成するとともに突起82と係合する係合面96を有している。係合面96は、例えば、第2方向Y1に向いている。係合面96は、突起82の内面とY軸方向において対向している。係合面96は、例えば、突起82の内面と平行に延びている。係合面96は、例えば、突起82の内面と面接触している。突起82の外面は、例えば、貫通孔95により巻き押え部90から露出されている。
【0065】
本実施形態の端子接続部33では、巻き押え部90の押え部93により第2周壁50の外面が外側から押えられるとともに、突出部80の突起82により巻き押え部90の係合面96が外側から押えられている。これにより、第1周壁40と第2周壁50との離隔距離が大きくなることを安定して制限することができる。
【0066】
(保護部100の構成)
図4に示すように、保護部100は、例えば、端子接続部33の第1方向X1の端部を保護するように設けられている。保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部に設けられている。保護部100は、例えば、第1周壁40と一体に形成されている。保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部から第2周壁50の第1方向X1の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成されている。
【0067】
保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部から第2方向Y1に向かって延びる延出部101と、延出部101の第2方向Y1の端部から第2周壁50に向かって延びる保護壁102とを有している。延出部101は、第1周壁40と連続して一体に形成されている。保護壁102は、延出部101と連続して一体に形成されている。保護部100は、延出部101と保護壁102とによって、第2周壁50から離れる方向(ここでは、第1方向X1)に向かって凸となるU字の折り返し形状をなしている。保護壁102は、第2周壁50の第1方向X1の端部とY軸方向において対向するように設けられている。保護壁102は、第2周壁50の外面と離隔して設けられている。すなわち、保護壁102と第2周壁50の外面との間には、隙間が設けられている。保護壁102は、例えば、筒状接続部60に柱状接続部201が挿入された状態において、第2周壁50の外面と離隔するように設けられている。なお、Y軸方向に沿う延出部101の長さ寸法は、Y軸方向に沿う折り返し部92の長さ寸法よりも大きい。
【0068】
(ハウジング本体110の構成)
図3に示すように、ハウジング本体110は、電線20が第1反対方向X2に導出されるように雌端子31を保持している。ハウジング本体110は、2つの雌端子31を内部に収容している。ハウジング本体110は、例えば、全体として箱状に形成されている。ハウジング本体110は、例えば、合成樹脂製である。
【0069】
ハウジング本体110は、第1反対方向X2に開口する開口部111を有している。雌端子31に接続された電線20は、開口部111を通じてハウジング本体110の外部に引き出されている。ハウジング本体110は、例えば、第3方向Z1に設けられた周壁112と、周壁112の外面に設けられた筒部113とを有している。筒部113は、図示しない相手コネクタの相手ハウジングが嵌合される嵌合筒部である。筒部113は、周壁112のうち第1方向X1の端部に設けられている。筒部113は、周壁112の外面からハウジング本体110の径方向外方(ここでは、第3方向Z1)に向かって突出している。筒部113は、例えば、四角筒状に形成されている。
【0070】
筒部113は、挿入孔114を有している。挿入孔114は、ハウジング本体110の内外を連通するように形成されている。挿入孔114は、第3方向Z1に開口するとともに、第3反対方向Z2に開口している。挿入孔114は、例えば、筒部113をZ軸方向に貫通するとともに、周壁112をZ軸方向に貫通している。挿入孔114は、ハウジング本体110に収容された雌端子31を露出するように形成されている。ここで、ハウジング本体110の内部に収容された各雌端子31は、筒状接続部60の開口端が挿入孔114から露出されるように設けられている。
【0071】
(リテーナ120の構成)
リテーナ120は、ハウジング本体110の筒部113に取り付けられる。リテーナ120は、本体部121と、雌端子31の第1反対方向X2への移動を規制する1以上(本実施形態では、2つ)の規制部122とを有している。リテーナ120は、例えば、本体部121と規制部122とが連続して一体に形成された単一部品である。リテーナ120は、例えば、合成樹脂製である。
【0072】
本体部121は、例えば、全体として枠状に形成されている。本体部121の外周縁は、例えば、Z軸方向から見た平面形状が四角形状に形成されている。本体部121は、例えば、筒部113の第3方向Z1の端面を被覆するように形成されている。
【0073】
本体部121は、1以上(本実施形態では、2つ)の挿入孔121Xを有している。各挿入孔121Xは、本体部121をZ軸方向に貫通している。各挿入孔121Xは、筒部113の挿入孔114と連通するように形成されている。2つの挿入孔121Xは、例えば、ハウジング本体110に収容された2つの雌端子31の筒状接続部60の開口端をそれぞれ露出するように形成されている。
【0074】
図12に示すように、2つの規制部122は、2つの雌端子31のそれぞれに対応して設けられている。2つの規制部122は、例えば、Y軸方向に沿って並んで設けられている。各規制部122は、例えば、雌端子31の一部が収容される収容部123を有している。各収容部123は、例えば、筒状に形成されている。各収容部123の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。各収容部123の軸方向は、X軸方向に沿って延びている。各収容部123は、第1方向X1に開口するとともに、第1反対方向X2に開口している。各収容部123は、第3反対方向Z2に開口している。
【0075】
各収容部123の内部空間には、例えば、第3方向Z1に沿って各雌端子31が挿入される。各収容部123の内部空間には、例えば、各雌端子31における端子接続部33の第1反対方向X2の端部が収容されている。2つの収容部123には、例えば、2つの雌端子31が互いに異なる向きでそれぞれ収容されている。詳述すると、2つの収容部123のうち第2方向Y1側に設けられた収容部123には、巻き押え部90を第3方向Z1に向けた姿勢で雌端子31が収容されている。2つの収容部123のうち第2反対方向Y2側に設けられた収容部123には、巻き押え部90を第3反対方向Z2に向けた姿勢で雌端子31が収容されている。具体的には、第2反対方向Y2側に設けられた雌端子31は、第2方向Y1側に設けられた雌端子31を180°回転させた姿勢で収容部123に収容されている。図3に示すように、各規制部122は、リテーナ120がハウジング本体110の筒部113に取り付けられる際に、第3反対方向Z2に沿ってハウジング本体110の内部に挿入される。このとき、各規制部122は、雌端子31を収容部123の内部空間に収容するように、ハウジング本体110の内部に挿入される。
【0076】
図12図13および図14に示すように、各収容部123は、底壁124と、底壁124の第1側縁から突出する側壁125と、底壁124の第2側縁から突出する側壁126とを有している。底壁124の第1側縁は、他方の収容部123の底壁124と対向している。底壁124の第2側縁は、Y軸方向において第1側縁と反対側に設けられている。各収容部123の内部空間は、底壁124と側壁125と側壁126とによって囲まれた空間により構成されている。
【0077】
図14に示すように、各側壁125,126は、底壁124と連続して一体に形成されている。各側壁125,126は、底壁124から第3反対方向Z2に向かって突出している。各側壁125,126は、例えば、板状に形成されている。2つの側壁125,126は、例えば、底壁124の幅方向(ここでは、Y軸方向)において互いに対向している。側壁125の第3方向Z1の端部と側壁126の第3方向Z1の端部とは、底壁124により互いに接続されている。側壁125の第3反対方向Z2の端部と側壁126の第3反対方向Z2の端部とは、互いに接続されていない。換言すると、各収容部123は、第3反対方向Z2に開口する溝状の内部空間を有している。
【0078】
各収容部123は、雌端子31の巻き押え部90と凸部55とを内部に収容可能に形成されている。側壁125の内面と側壁126の内面との間の間隔は、例えば、巻き押え部90を収容可能な大きさに設定されている。側壁125の内面と側壁126の内面との間の最短距離は、Y軸方向に沿う巻き押え部90の最長距離よりも僅かに大きく設定されている。ここで、雌端子31の凸部55は、第2周壁50の外面からのY軸方向に沿う第1突出量が巻き押え部90のY軸方向に沿う第2突出量と等しくなるように形成されている。このため、側壁125の内面と側壁126の内面との間には、凸部55を好適に収容することができる。このような凸部55を設けたことにより、巻き押え部90が設けられていない部分において、雌端子31と側壁125,126の内面との間の隙間が大きくなることを抑制できる。これにより、各収容部123の内部において雌端子31が傾くことを好適に抑制できる。
【0079】
図13に示すように、各規制部122は、雌端子31と係合する係合壁127を有している。係合壁127は、例えば、収容部123の第1反対方向X2の開口の一部を塞ぐように設けられている。係合壁127は、例えば、底壁124と連続して一体に形成されている。係合壁127は、例えば、側壁126と連続して一体に形成されている。係合壁127は、例えば、側壁126の第1反対方向X2の端部からY軸方向に沿って側壁125に向かって延びている。係合壁127は、Y軸方向において側壁125まで延びていない。
【0080】
係合壁127は、リテーナ120がハウジング本体110(図2参照)に取り付けられた場合に、第1方向X1において雌端子31の第2周壁50の第1反対方向X2の端面と係合可能に設けられている。係合壁127は、雌端子31の第1反対方向X2への移動を規制している。このような係合壁127を有する規制部122は、ハウジング本体110(図2参照)の内部における雌端子31のX軸方向の位置を保証している。
【0081】
図15に示すように、係合壁127は、リテーナ120がハウジング本体110(図2参照)に取り付けられた場合に、第1方向X1において雌端子31の凸部55と係合可能に設けられている。係合壁127は、第1方向X1において凸部55の第1反対方向X2の端面と係合可能に設けられている。ここで、凸部55は、係合壁127のうち側壁126と接続される根本部分における第1方向X1の端面に係合される。これにより、雌端子31の第1反対方向X2への移動を好適に抑制できる。
【0082】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)コネクタC1は、雌端子31と、雌端子31を保持するハウジング30と、を備える。雌端子31は、第1筒状部41を有する第1周壁40と、第1筒状部41に対向する第2筒状部51を有する第2周壁50と、第1筒状部41と第2筒状部51とにより構成される筒状接続部60とを有する。雌端子31は、第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52との離隔距離を制限する巻き押え部90と、第2周壁50の外面から突出する凸部55とを有する。巻き押え部90は、第1周壁40と一体に形成されている。巻き押え部90は、第1周壁40から第2周壁50の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、第2周壁50の外面に接触されている。巻き押え部90と凸部55とは、Z軸に沿った同一直線上に並んで設けられている。ハウジング30は、巻き押え部90と凸部55とが内部に挿入される溝状の収容部123を有する。
【0083】
この構成によれば、ハウジング30が有する収容部123の内部に、雌端子31の巻き押え部90と凸部55とが挿入される。ここで、巻き押え部90は、第1周壁40から折り返されて第2周壁50の外面に接触されている。このため、巻き押え部90は、第2周壁50の外面よりも外方に突出している。このような巻き押え部90が収容部123の内部に収容されると、雌端子31のうち巻き押え部90が形成されていない部分と収容部123の内面との間に大きな隙間が生じる場合がある。このような隙間が生じると、収容部123の内部において雌端子31が変位しやすくなる、具体的には雌端子31が傾きやすくなるという問題がある。これに対し、上記構成では、第2周壁50の外面から突出する凸部55を、巻き押え部90と同一直線上に並んで設けるようにした。この凸部55を設けたことにより、雌端子31のうち巻き押え部90が形成されていない部分と収容部123の内面との間の隙間を小さくすることができる。これによって、収容部123の内部において雌端子31が変位することを好適に抑制できる。ひいては、ハウジング30の内部における雌端子31の変位を好適に抑制できる。
【0084】
(2)雌端子31に、第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52との離隔距離を制限する巻き押え部90を設けるようにした。この構成によれば、雌端子31の筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201が圧入される際に、巻き押え部90によって、第1周壁40の第1内面42と第2周壁50の第2内面52との離隔距離が大きくなることが制限される。この巻き押え部90による制限によって、第1内面42および第2内面52が互いに接近する方向に付勢された状態に維持される。このため、柱状接続部201の外周面に対して第1内面42および第2内面52を好適に接触させることができる。この結果、筒状接続部60と柱状接続部201との圧接状態を安定して保持することができる。さらに、巻き押え部90は、第1周壁40と一体に形成されている。このため、コイルばね等の別部品を用いる場合に比べて簡素な構造によって、筒状接続部60と柱状接続部201との圧接状態を保持することができる。すなわち、コイルばね等の別部品を用いる場合に比べて、雌端子31の構造を簡素化することができる。
【0085】
(3)筒状接続部60の軸方向は、第3方向Z1に沿って延びている。巻き押え部90は、第1周壁40の第3方向Z1の端面から第2周壁50の第3方向Z1の端面を内部に抱え込みつつ折り返されている。凸部55は、第3方向Z1から見た平面視において、巻き押え部90と重なるように設けられている。凸部55は、第2周壁50の外面から第2方向Y1に向かって突出するように形成される。これにより、第2方向Y1において雌端子31と収容部123の内面との間の隙間を小さくできる。したがって、収容部123の内部において雌端子31が第2方向Y1に傾くことを好適に抑制できる。この結果、雌端子31の筒状接続部60の軸方向が第2方向Y1に傾くことを抑制できる。このため、筒状接続部60の軸方向に対して雄端子200の柱状接続部201が傾いた状態で筒状接続部60に挿入されることを好適に抑制できる。
【0086】
(4)第2周壁50の外面からの第2方向Y1に沿う凸部55の第1突出量は、第2周壁50の外面からの第2方向Y1に沿う巻き押え部90の第2突出量と等しい。このような凸部55を設けたことにより、巻き押え部90が形成されていない部分の雌端子31と収容部123の内面との間の隙間をより小さくすることができる。これによって、収容部123の内部において雌端子31が変位することをより好適に抑制できる。
【0087】
(5)ハウジング30は、雌端子31を内部に収容するハウジング本体110と、ハウジング本体110に取り付けられるリテーナ120とを有する。リテーナ120は、ハウジング本体110の内部に挿入されるとともに雌端子31の移動を規制する規制部122を有する。規制部122は、収容部123を有する。この構成によれば、リテーナ120の規制部122に収容部123が設けられる。このため、ハウジング本体110にリテーナ120が取り付けられた際に、リテーナ120の収容部123の内部において雌端子31が変位することを好適に抑制できる。ひいては、ハウジング30の内部において雌端子31が変位することを好適に抑制できる。
【0088】
(6)規制部122は、第1方向X1において凸部55と係合する係合壁127を有する。この構成によれば、雌端子31の凸部55が第1反対方向X2において係合壁127と係合される。このため、収容部123の内部において雌端子31が第1反対方向X2に移動することを好適に抑制できる。
【0089】
(7)第1周壁40および第2周壁50の両方と一体に形成された連結部70によって、第1周壁40と第2周壁50とが連結される。これにより、連結部70を通じて第1周壁40と第2周壁50とを一体に形成することができる。このため、1枚の金属板に対して折り曲げ加工等を施すことによって雌端子31を構成することができる。この結果、雌端子31の構造を簡素化することができる。
【0090】
(8)第1周壁40を間にして連結部70の反対側に巻き押え部90が設けられる。このため、連結部70が開くこと、つまり第1周壁40と第2周壁50との離隔距離が大きくなることを巻き押え部90によって好適に制限することができる。この結果、第1内面42と第2内面52との離隔距離が大きくなることを巻き押え部90によって好適に制限することができる。
【0091】
(9)第1周壁40の第3方向Z1の端面から第2周壁50に向かって折り返された巻き押え部90の突出量P1は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から第2周壁50に向かって折り返された連結部70の突出量P2と等しい。このため、巻き押え部90と連結部70とを対称形状に近い形状に形成することができる。これにより、巻き押え部90を収容可能な空間、つまり収容部123の内部空間に対して、その内部空間に巻き押え部90を向けた姿勢であっても、内部空間に連結部70を向けた姿勢であっても、雌端子31を収容することができる。この結果、収容部123の内部空間に対する雌端子31の挿入方向の制約を緩和することができる。したがって、雌端子31の汎用性を向上させることができる。
【0092】
(10)第1周壁40と一体に形成された保護部100の保護壁102は、第2周壁50の第1方向X1の端部と離隔した状態で対向して設けられる。このため、例えば第2周壁50の第1方向X1の端部に対して意図せずに過大な外力が加わり、その外力に起因して第1周壁40から離隔するように第2周壁50が変形する場合であっても、その変形を保護壁102によって好適に阻止することができる。
【0093】
(11)巻き押え部90は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部に設けられている。筒状接続部60は、第1方向X1において、巻き押え部90と保護部100との中間位置に設けられている。この構成によれば、巻き押え部90が、第1方向X1において筒状接続部60と異なる位置に設けられる。このような巻き押え部90によって、第1周壁40と第2周壁50との離隔距離が大きくなることを制限することができる。ひいては、巻き押え部90によって、筒状接続部60を構成する第1内面42と筒状接続部60を構成する第2内面52との離隔距離が大きくなることを制限することができる。
【0094】
(12)電線20と電気的に接続される電線接続部32が第1周壁40と一体に形成されている。このため、雌端子31の部品点数の削減を図ることができ、雌端子31の構造を簡素化することができる。
【0095】
(13)筒状接続部60は、第1内面42から筒状接続部60の径方向内方に向かって突出するとともに、筒状接続部60の周方向において互いに離隔して設けられた複数の線状接触部43を有する。線状接触部43は、筒状接続部60の軸方向に沿って延びている。この構成によれば、筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201が圧入された際に、筒状接続部60を構成する第1内面42に設けられた線状接触部43が周方向に離隔した複数箇所で柱状接続部201の外周面に線接触した状態で圧接される。これにより、例えば雄端子200に揺動が伝達された場合であっても、その揺動による雄端子200の変位を、複数の線状接触部43に雄端子200が接触されることにより阻止することができる。
【0096】
(14)第2内面52は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されている。筒状接続部60は、第2内面52から筒状接続部60の径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部54を有する。この構成によれば、筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201が圧入された際に、筒状接続部60を構成する第2内面52から径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部54が柱状接続部201の外周面に圧接される。これにより、柱状接続部201の外周面に対して高い接圧で突部54を圧接させることができるため、筒状接続部60と柱状接続部201との圧接状態を安定して保持することができる。
【0097】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0098】
・上記実施形態における雌端子31の構造は適宜変更することができる。
・雌端子31の凸部55の大きさを適宜変更してもよい。例えば、凸部55のX軸方向に沿う長さ寸法を変更してもよい。例えば、凸部55を、X軸方向において筒状接続部60の近傍まで延びるように形成してもよい。
【0099】
・上記実施形態では、雌端子31に凸部55を設けることにより、雌端子31と収容部123の内面との隙間を小さくするようにしたが、これに限定されない。例えば、収容部123の内面に第2周壁50の外面に向かって突出する凸部を設けることにより、雌端子31と収容部123の内面との隙間を小さくするようにしてもよい。
【0100】
・上記実施形態では、保護部100を、第1周壁40と一体に形成したが、これに限定されない。例えば、保護部100を、第2周壁50と一体に形成してもよい。この場合の保護部100は、例えば、第2周壁50の第1方向X1の端部から第1周壁40の第1方向X1の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成される。
【0101】
・雌端子31の保護部100を省略してもよい。
・雌端子31の筒状接続部60における誘導部61を省略してもよい。
・雌端子31の第1筒状部41の第1内面42に、3つ以上の線状接触部43を設けてもよい。
【0102】
・雌端子31の第1内面42に、複数の線状接触部43と断面円弧状の突部54とを設けてもよい。
・上記実施形態の雌端子31では、第1筒状部41の第1内面42に複数の線状接触部43を設け、第2筒状部51の第2内面52に断面円弧状の突部54を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、第1内面42に断面円弧状の突部54を設け、第2内面52に複数の線状接触部43を設けるようにしてもよい。例えば、第1内面42および第2内面52の両方に線状接触部43を設けるようにしてもよい。例えば、第1内面42および第2内面52の両方に断面円弧状の突部54を設けるようにしてもよい。
【0103】
・雌端子31における巻き押え部90の位置を適宜変更してもよい。例えば、巻き押え部90を、X軸方向において連結部70と異なる位置に設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、電線接続部32を、第1周壁40と一体に形成したが、これに限定されない。例えば、電線接続部32を、第2周壁50と一体に形成してもよい。
【0104】
・上記実施形態の雌端子31では、電線接続部32および端子接続部33のうち端子接続部33のみを、第1周壁40上に第2周壁50を2つ折り状に折り重ねた構造に形成した。これに限らず、例えば、電線接続部32および端子接続部33の両方を、2枚の板材を折り重ねた構造に形成してもよい。
【0105】
・上記実施形態では、巻き押え部90と凸部55とが挿入される収容部123をリテーナ120に設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、ハウジング本体110に収容部123を設けるようにしてもよい。
【0106】
・上記実施形態におけるハウジング本体110の構造は適宜変更することができる。例えば、ハウジング本体110は、雌端子31を収容可能な構造を有していれば、その他の構造は適宜変更することができる。
【0107】
・上記実施形態におけるリテーナ120の構造は適宜変更することができる。例えば、係合壁127を省略してもよい。
・上記実施形態では、雄端子200の柱状接続部201を円柱状に具体化したが、これに限定されない。例えば、柱状接続部201を、円柱以外の柱状に形成してもよい。例えば、柱状接続部201の横断面形状を、楕円形状や多角形状に形成してもよい。
【0108】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
20…電線、21…芯線、22…絶縁被覆、30…ハウジング、31…雌端子、32…電線接続部、33…端子接続部、40…第1周壁、41…第1筒状部、42…第1内面、43…線状接触部、50…第2周壁、51…第2筒状部、52…第2内面、53…窪み部、54…突部、55…凸部、56…凹部、60…筒状接続部、61…誘導部、70…連結部、71,72…延出部、73…折り返し部、80…突出部、81…突出基部、82…突起、90…巻き押え部、91…延出部、92…折り返し部、93…押え部、94…対向面、95…貫通孔、96…係合面、100…保護部、101…延出部、102…保護壁、110…ハウジング本体、111…開口部、112…周壁、113…筒部、114…挿入孔、120…リテーナ、121…本体部、121X…挿入孔、122…規制部、123…収容部、124…底壁、125,126…側壁、127…係合壁、200…雄端子、201…柱状接続部、W1…ワイヤハーネス、C1…コネクタ、P1,P2…突出量、X1…第1方向、X2…第1反対方向、Y1…第2方向、Y2…第2反対方向、Z…Z軸(第1軸)、Z1…第3方向、Z2…第3反対方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15