(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176850
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】止水板立て掛け用緩衝具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095685
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長峰 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三浦 美依
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】止水板を損傷することなく、好適に収納保管することができる止水板立て掛け用緩衝具を提供することを課題とする。
【解決手段】横長に形成された複数の止水板10を、横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように、保管場所の壁部に立て掛け支持する止水板立て掛け用緩衝具30であって、止水板立て掛け用緩衝具30は、止水板1における構成部分の一部を被収容部15として収容可能な内部空間Sを有する緩衝具本体30Aを備え、緩衝具本体30Aは、内部空間Sに被収容部15を収容した状態で被収容部15を挟持するように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長に形成された複数の止水板を、前記横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように、保管場所の壁部に立て掛け支持する止水板立て掛け用緩衝具であって、
前記止水板立て掛け用緩衝具は、前記止水板における構成部分の一部を被収容部として収容可能な内部空間を有する緩衝具本体を備え、
前記緩衝具本体は、前記内部空間に前記被収容部を収容した状態で前記被収容部を挟持するように構成されている
ことを特徴とする止水板立て掛け用緩衝具。
【請求項2】
前記緩衝具本体は、
所定の厚みを有する第1肉厚部と、
前記第1肉厚部に間隔をあけて対向配置される所定の厚みを有する第2肉厚部と、
前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部の端部間に連結される所定の厚みを有する第3肉厚部と、を有する断面略コ字状に形成され、
前記緩衝具本体は、前記第1肉厚部と前記第2肉厚部と前記第3肉厚部とが画成する内部空間内に、前記被収容部を収容するとともに、前記被収容部を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
【請求項3】
前記被収容部は、起立状態の前記止水板の一方の側面の上部位置に突出して設けられた取手であり、
前記緩衝具本体は、前記内部空間内に前記取手を収容するとともに、前記取手を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成され、
前記第3肉厚部の外面は、前記壁部又は隣接する他の前記止水板の他方の側面に当接可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
【請求項4】
前記被収容部は、起立状態の前記止水板における上端部であり、
前記緩衝具本体は、前記内部空間内に前記上端部を収容するとともに、前記上端部を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成され、
前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部の外面は、前記壁部又は隣接する他の前記止水板の側面に当接可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
【請求項5】
前記止水板における前記上端部は、前記止水板の一方の側面又は他方の側面又は上端面に突出して設けられる機能部品を含み、
前記第1肉厚部又は前記第2肉厚部又は前記第3肉厚部には、前記機能部品と当接しないように逃すための凹部が形成され、
前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部は、前記上端部の内、前記機能部品以外の部分を挟持するように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
【請求項6】
前記被収容部は、前記起立状態の前記止水板における上部に位置する側端部であり、
前記緩衝具本体は、前記内部空間内に前記側端部を収容するとともに、前記側端部を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成され、
前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部の外面は、前記壁部又は隣接する他の前記止水板の側面に当接可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
【請求項7】
前記止水板における前記側端部は、前記止水板の一方の側面又は他方の側面又は側端面に突出して設けられた機能部品を含み、
前記第1肉厚部又は前記第2肉厚部又は前記第3肉厚部には、前記機能部品と当接しないように逃すための凹部が形成され、
前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部は、前記側端部の内、前記機能部品以外の部分を挟持するように構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水板を立て掛けて収納保管する際に使用する止水板立て掛け用緩衝具に関する。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が、建物や地下道等の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態が想定される場合に、前記開口部を構成する左右の縦枠間に横長に形成された止水板を嵌め込み、この止水板により水の浸入を阻むようにした従来技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、止水板は、台風や集中豪雨などによる増水時に使用されるものであるため、通常時には倉庫等の保管場所に収納保管されている。しかし、倉庫等の保管場所には他の保管物も収納されていることから、止水板を収納するための収納スペースには制約がある。
また、止水板には、止水板の端部から突出するように設けられる機能部品を備えるものも存在し、このような止水板の機能部品を損傷することなく好適に収納保管する必要性もある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、複数の止水板を、省スペースで好適に収納保管することができる止水板立て掛け用緩衝具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
横長に形成された複数の止水板を、前記横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように、保管場所の壁部に立て掛け支持する止水板立て掛け用緩衝具であって、前記止水板立て掛け用緩衝具は、前記止水板における構成部分の一部を被収容部として収容可能な内部空間を有する緩衝具本体を備え、前記緩衝具本体は、前記内部空間に前記被収容部を収容した状態で前記被収容部を挟持するように構成されていることを特徴とする止水板立て掛け用緩衝具。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上のように構成されているので、複数の止水板を、省スペースで好適に収納保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具の一例を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、止水板を支持する止水板用スタンド装置を示す概略斜視図であり、
図3(b)は、同止水板用スタンド装置の概略平面図であり、
図3(c)は、同止板用スタンド装置の概略側面図である。
【
図4】本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具の装着の態様を示す概略斜視図である。
【
図5】止水板を起立状態に起立させて立て掛ける状態を示す概略正面図である。
【
図6】本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具を装着した複数の止水板を立て掛けて保管している一例を示す概略側面図である。
【
図7】
図7(a)は、本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具の他の例を示す概略斜視図であり、
図7(b)は、同止水板立て掛け用緩衝具を装着した複数の止水板を立て掛けて保管している例を示す概略側面図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具の他の例を示す概略斜視図であり、
図8(b)は、同止水板立て掛け用緩衝具を装着した複数の止水板を立て掛けて保管している他の例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
先ず、止水板10の構成について説明する。なお、以下の説明において、止水板10の横長の幅方向を長手方向(長手側)とし、この長手方向(長手側)と直交する止水板10の高さ方向を短手方向(短手側)として説明する。
【0010】
図1は、止水板の構成を示す概略斜視図である。止水板10は、
図1に示すように、例えば、建物や地下道等の開口部をなす支柱、枠体、壁材等の左右の被取付部材20間に設置され、左右の被取付部材20間の開口部を通過しようとする雨水等が浸入することを阻むものである。この止水板10は、左右の被取付部材20間に設置可能な幅方向に横長の板状の構造体として構成されている。
【0011】
この止水板10は、設置時の外側面10aで受け止めた雨水の水圧に耐えうる強度を有し、かつ、利用者が単独で持ち運びできる程度の重量であることが好ましく、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、ステンレスなど、軽量で強度の高い材料で構成されている。
なお、止水板10は、外形を規定するフレームを金属で形成し、フレームの内部を遮水性の材料で塞ぐような形態でもよい。遮水性の材料として、例えば、発泡材やシートを用いることができる。この場合、止水板10の軽量化に寄与できる。
【0012】
また、止水板10には、利用者が運搬作業や設置作業を容易にできるように、例えば、外側面10aに把持用の屋外側に突出する取手15が左右方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。
【0013】
各取手15は、止水板10を上流側から被取付部材20に装着する際に握られるように構成されており、上下方向へ延設された棒状の握り部15aと、この握り部15aの上下両端からそれぞれ水平方向に延びる上部水平部15bと、下部水平部15cとからなり、側面視略コ字状に一体的に形成されている。
上部水平部15bの端部と、下部水平部15cの端部は、例えば、ネジ等の固定具により止水板10の外側面10aに取り付け固定される。
なお、取手15は、止水板10の外側面10aとともに内側面10bにも設けてもよいし、内側面10bにのみ設けてもよい。
【0014】
また、止水板10の内側面10bの両端部には、左右の被取付部材20と水密に接触する上下方向に延びる一対の帯状の第1止水部材11(
図6参照)が設けられるとともに、止水板10の下端面10eには、不動面G、あるいは、下方側に隣接して配置される止水板10の上端面10dと水密に接触する長手方向に延びる帯状の第2止水部材12(
図5参照)が取り付けられている。
【0015】
また、止水板10の左右の短手側の端面10c,10cには、それぞれ、複数の転動部材としてのローラ13が回転可能に設けられている。これらのローラ13は、被取付部材20に形成された支持部20aに支持される。
【0016】
また、止水板10の外側面10aの両端部には、左右の被取付部材20に形成された被係合部材(不図示)と係合可能に構成された係止部材14が設けられている。この係止部材14は、例えば、スライド可能な移動部材としての係止軸(不図示)を有し、この係止軸を被取付部材20の被係合部材に係合させることで、止水板10を、被取付部材20に対し離脱する方向(下流側から上流側)へ移動しないように係止(位置決め)することができる。
【0017】
このように構成された止水板10には、設置される建物等の開口部に応じて、止水板10における長手側の長さや短手側の長さが異なる各種サイズの止水板10が存在する。
【0018】
この止水板10は、台風や集中豪雨などによる増水時に建物や地下道等の開口部をなす左右の被取付部材20間に配置され、開口部の内側に雨水等が浸入することを防止する。また、止水板10は、台風や集中豪雨などによる増水時に使用されるものであるため、通常時には建物や倉庫等の保管場所に保管される。
以下、複数の止水板を、横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように保管場所の壁部に立て掛け支持する際に使用する、止水板立て掛け用緩衝具30及び止水板用スタンド装置40について説明する。
【0019】
(止水板立て掛け用緩衝具)
図2は、本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具の一例を示す概略斜視図である。この止水板立て掛け用緩衝具30は、複数の止水板10を、横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように、保管場所の壁部Wに立て掛け支持するものである(
図6参照)。
【0020】
止水板立て掛け用緩衝具30は、
図2に示すように、所定の厚み31tを有する第1肉厚部31と、第1肉厚部31に間隔をあけて対向配置される所定の厚み32tを有する第2肉厚部32と、第1肉厚部31及び第2肉厚部32の端部間に連結される所定の厚み33tを有する第3肉厚部33と、を有する断面略コ字状に形成された緩衝具本体30Aを備えている。緩衝具本体30Aは、ゴム、エラストマー樹脂、ウレタン樹脂等の弾性材料から一体に形成される。
【0021】
この緩衝具本体30Aは、第1肉厚部31と第2肉厚部32と第3肉厚部33とが画成する内部空間S内に、止水板10における構成部分の一部である取手15を被収容部として収容するとともに、取手15(被収容部)を互いに対向する第1肉厚部31及び第2肉厚部32で挟持するように構成されている。
【0022】
止水板立て掛け用緩衝具30を止水板10の取手15に装着した場合、
図6に示すように、緩衝具本体30Aの第1肉厚部31の先端面31aと第2肉厚部32の先端面32aは、止水板10の外側面10aに当接する。また、緩衝具本体30Aの第3肉厚部33の外面33aは、保管場所の壁部W又は隣接する他の止水板10の内側面10bに当接可能な当接面をなす。
【0023】
各肉厚部31~33の各厚み31t~33tは任意に設定可能であり、緩衝具本体30Aを取手15に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の厚みに設定することができる。
【0024】
また、緩衝具本体30Aの幅方向の長さ30ALは任意に設定できる。
図4には、止水板10の短手の長さよりも短く、且つ、取手15の全てを覆うような長さに構成しているが、その例に限定されない。緩衝具本体30Aを取手15に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の長さに設定することができる。例えば、取手15の一部を覆うような長さでもよく、また、止水板10の短手の長さと略同一の長さに設定してもよい。
また、緩衝具本体30Aの幅方向の長さ30ALを、取手15の握り部15aの長さよりも短く設定する場合には、第1肉厚部31の端部と第2肉厚部32の端部が、止水板10の外側面10aと握り部15aとの間に回り込むように構成してもよい。つまり、緩衝具本体30Aを、取手15の握り部15aの周り全てを取り囲むように構成してもよい。
【0025】
また、緩衝具本体30Aの奥行方向の長さ30ADは、緩衝具本体30Aを取手15に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の長さに設定することができる。
【0026】
図6に示すように、このように構成された止水板立て掛け用緩衝具30を複数の止水板10に装着し、止水板10の横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように保管場所の壁部Wに立て掛けた場合、複数の止水板10は、壁部W及び隣接する止水板10と離間した状態となり、各止水板10が直接、保管場所の壁部Wや他の止水板10に接触することを防止することができるため、各止水板10を傷つけることなく安定して収納保管することができる。
【0027】
(止水板用スタンド装置)
次に、止水板10を保管場所に立て掛けて収納保管する際に使用する止水板用スタンド装置40について説明する。
図3(a)は、止水板を支持する止水板用スタンド装置を示す概略斜視図であり、
図3(b)は、同止水板用スタンド装置の概略平面図であり、
図3(c)は、同止板用スタンド装置の概略側面図である。
【0028】
止水板用スタンド装置40は、一対の横フレーム部材41と、一対の横フレーム部材41の一端側に掛け渡された状態で固定して設けられる固定支持体42と、一対の横フレーム部材41間に掛け渡された状態で移動可能に設けられる移動支持体43と、一対の横フレーム部材41の他端側に掛け渡された状態で固定して設けられる縦フレーム部材45と、を有する。
【0029】
横長に形成された止水板10は、横長の長手側が上下を向くように起立させた状態で、長手側と直交する短手側の端面10cが固定支持体42と移動支持体43に支持され、立て掛けて収納保管される(
図5参照)。
【0030】
フレーム部材としての一対の横フレーム部材41は、例えば、金属製の板材からなり、横長の矩形平板状に形成されている。各横フレーム部材41は、所定の間隔をあけて対向するように配置されており、各横フレーム部材41の一端側には、固定支持体42が掛け渡された状態で、ネジ、ビス等の固定具や溶接、接着により不動に固定される。
また、各横フレーム部材41には、他端側から一端側に向けて略水平方向に延びる横長の長孔41aが形成されている。この長孔41aには、移動支持体43の両端部43cに設けられた軸部44が水平方向に移動可能(スライド移動)に支持される。
【0031】
長孔41aの上縁には、凹状に切り欠かれた位置決め凹部41a1,a2,a3が所定の間隔をあけて複数(図示例では3つ)形成されている。これら位置決め凹部41a1,a2,a3は、移動支持体43の両端部43cに設けられた軸部44を受け入れて移動支持体43を位置決めすることができる。
【0032】
支持体としての固定支持体42は、一対の横フレーム部材41の一端側に、各横フレーム部材41と直交するように掛け渡された状態で、ネジ、ビス等の固定具や溶接、接着により不動に固定される。
固定支持体42は、例えば、四角筒状や四角柱状等の柱状に形成されている。固定支持体42の上面42aは、止水板10の短手側の端面10cを支持する支持面をなす。この固定支持体42は、アルミニウム等の金属の押出成形や、鋼板等の金属板の折り曲げ加工や、樹脂等の押出成形、あるいは、木材等の部材により形成することができる。
【0033】
また、固定支持体42の上面42aには、ゴムや合成樹脂等の弾性体からなる板状の緩衝部材(不図示)を設けることができる。このような緩衝部材を設けることにより、止水板10の端面10cを傷つけることなく、さらに、支持した際の滑り止めにもなって、止水板10を安定して支持することができる。
【0034】
また、固定支持体42の下面42bには、ゴムや合成樹脂等の摩擦係数の高い部材からなる板状の滑り止め部材42b1を設けることができる。このような滑り止め部材42b1を設けることにより、止水板用スタンド装置40を保管場所に安定して配置することができる。例えば、止水板10を止水板用スタンド装置40に支持させる際に、止水板用スタンド装置40に水平方向の外力が生じても、止水板用スタンド装置40は、保管場所の不動面G1(グランド面、床面)に対して滑ることなく安定した状態を維持することができる。
【0035】
支持体としての移動支持体43は、一対の横フレーム部材41に対し、各横フレーム部材41の一端部に設けられた固定支持体42と水平方向に最大限離間した最大離間位置と、固定支持体42と水平方向に最小限離間した最小離間位置との間で、移動可能に設けられる。
【0036】
移動支持体43は、例えば、四角筒状や四角柱状等の柱状であって、両端部43cが閉じた形状に構成されている。移動支持体43の上面43aは、止水板10の短手側の端面10cを支持する支持面をなす。この移動支持体43は、アルミニウム等の金属の押出成形や、鋼板等の金属板の折り曲げ加工や、樹脂等の押出成形、あるいは、木材等の部材により形成することができる。なお、例えば、移動支持体43が中空状に形成されている場合には、その両端に端板を固定して両端部43cを形成すればよい。
【0037】
移動支持体43の両端部43cには、軸部44が突出して設けられる。この軸部44は、各横フレーム部材41に形成された長孔41aに、水平方向に移動可能(スライド移動)に支持される。
軸部44は、例えば、ドライバー等の操作具を掛ける溝が形成された頭部44aと、ネジ山が形成された軸44bとを有するネジ部材を用いて構成することができる。移動支持体43を一対の横フレーム部材41間に配置した状態で、軸部44の軸44bを横フレーム部材41の長孔41aに挿通させるとともに、軸44bを移動支持体43の両端部43cに形成したネジ孔(不図示)に螺合させることで、軸部44を移動支持体43に取り付けることができる。
【0038】
この軸部44は、操作具により頭部44aが比較的緩めに締め付けられることで、各横フレーム部材41に形成された長孔41aに対して移動可能(スライド移動)に支持される。
また、この軸部44を長孔41aに対して移動させた後、例えば、長孔41aの上縁に形成された各位置決め凹部41a1~41a3に位置させた状態で比較的強固に締め付けることで、移動支持体43を、最大離間位置、中間離間位置及び最小離間位置に位置決めした状態で不動に固定することができる。
【0039】
また、移動支持体43の上面43aには、固定支持体42と同様に、ゴムや合成樹脂等の弾性体からなる板状の緩衝部材(不図示)を設けることができる。
また、移動支持体43の下面43bには、固定支持体42と同様に、ゴムや合成樹脂等の摩擦係数の高い部材からなる板状の滑り止め部材43b1を設けることができる。
【0040】
縦フレーム部材45は、例えば、金属製の板材からなり、横長の矩形平板状に形成されている。縦フレーム部材45は、各横フレーム部材41の他端側に掛け渡された状態で、ネジ、ビス等の固定具や溶接、接着により不動に固定される。
この縦フレーム部材45は、一対の横フレーム部材41及び固定支持体42とともに、止水板用スタンド装置40のフレーム構造をなし、このフレーム構造の剛性を高めることができる。
【0041】
(止水板の支持態様)
次に、止水板立て掛け用緩衝具30及び止水板用スタンド装置40を用いた止水板10の支持の態様について説明する。
図4は、止水板立て掛け用緩衝具の装着の態様を示す概略斜視図である。
図5は、止水板を起立状態に起立させて立て掛ける状態を示す概略正面図であり、
図6は、止水板立て掛け用緩衝具を装着した複数の止水板を立て掛けて保管している一例を示す概略側面図である。
【0042】
止水板10を保管場所に立て掛けて収納保管する場合、先ずは、
図4に示すように、長手側を横向きにした状態の止水板10に対して、止水板立て掛け用緩衝具30を装着する。この場合、止水板10の長手側が上下を向く起立状態に起立させた場合に上部に位置する取手15に止水板立て掛け用緩衝具30を装着する。具体的には、緩衝具本体30A(
図2参照)の第1肉厚部31、第2肉厚部32及び第3肉厚部33が画成する内部空間S内に取手15を挿通させて収容するとともに、第1肉厚部31及び第2肉厚部32で取手15を挟持させればよい。
緩衝具本体30Aは、弾性変形可能に構成されているため、緩衝具本体30Aを、止水板10の外側面10aに対して直交する方向から、あるいは、外側面10aと平行な方向から取手15に押し込むことで容易に装着することができる。
【0043】
次に、
図5に示すように、先ずは、一枚目の止水板10(101)を起立させるとともに、止水板10(101)の下端部を止水板用スタンド装置40に支持させる。止水板10(101)の短手側の端面10cは、止水板用スタンド装置40の固定支持体42と移動支持体43に安定して載置(支持)される。この状態で
図6に示すように、一枚目の止水板10(101)を保管場所の壁部Wに立て掛けて収納保管する。一枚目の止水板10(101)は、取手15に装着された緩衝具本体30Aの第3肉厚部33の外面33aが、壁部Wに当接した状態で安定して収納保管される。
【0044】
その後、同様に、止水板立て掛け用緩衝具30を装着した二枚目の止水板10(102)を一枚目の止水板10(101)に重なるように立て掛けて収納保管する。二枚目の止水板10(102)は、取手15に装着された緩衝具本体30Aの第3肉厚部33の外面33aが、一枚目の止水板10(101)の内側面10bに当接した状態で安定して収納保管される。
その後、同様に、止水板立て掛け用緩衝具30を装着した三枚目の止水板10(103)を二枚目の止水板10(102)に重なるように立て掛けて収納保管する。三枚目の止水板10(103)は、取手15に装着された緩衝具本体30Aの第3肉厚部33の外面33aが、二枚目の止水板10(102)の内側面10bに当接した状態で安定して収納保管される。
【0045】
このように、複数の止水板10(101,102,103)は、起立状態で隣接して収納保管される。止水板10の取手15に装着した緩衝具本体30Aの第3肉厚部33が、壁部W又は隣接する止水板10の内側面10bに当接することで、壁部Wと止水板10とが離間するとともに、隣接する各止水板10同士が離間して支持されることから、止水板の外側面10aや内側面10bから突出状態で設けられる第1止水部材11や係止部材14等の機能部品を損傷することなく好適に収納保管することができる。
【0046】
また、
図5及び
図6に示すように、各止水板10の短手側の端面10cより突出状態で設けられているローラ13等の機能部品は、止水板用スタンド装置40の固定支持体42及び移動支持体43と干渉しない位置に配置される。さらに、固定支持体42及び移動支持体43の下面から上面までの距離は、止水板10の短手側の端面10cからローラ13等の機能部品の先端までの距離よりも長く(大きく)設定されているため、止水板10の機能部品は、保管場所の不動面G1(グランド面、床面)と当接することないので、機能部品を保護した状態で収納保管することができる。
【0047】
以上のとおり、本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具30は、止水板10を、省スペースで好適に収納保管することができる。
【0048】
次に、本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具30の他の例について、図面を参照しつつ説明する。
【0049】
(第2の実施形態)
図7(a)は、本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具の他の例を示す概略斜視図であり、
図7(b)は、同止水板立て掛け用緩衝具を装着した複数の止水板を立て掛けて保管している例を示す概略側面図である。
第2の実施形態の止水板立て掛け用緩衝具50は、上述した止水板立て掛け用緩衝具30を、起立状態の止水板10における上端部に装着するように構成したものである。
【0050】
この止水板立て掛け用緩衝具50は、
図7(a)に示すように、所定の厚み51tを有する第1肉厚部51と、第1肉厚部51に間隔をあけて対向配置される所定の厚み52tを有する第2肉厚部52と、第1肉厚部51及び第2肉厚部52の端部間に連結される所定の厚み53tを有する第3肉厚部53と、を有する断面略コ字状に形成された緩衝具本体50Aを備えている。緩衝具本体50Aは、ゴム、エラストマー樹脂、ウレタン樹脂等の弾性材料から一体に形成される。
【0051】
この緩衝具本体50Aは、第1肉厚部51と第2肉厚部52と第3肉厚部53とが画成する内部空間S1内に、起立状態の止水板10における構成部分の一部である上端部を被収容部として収容するとともに、この上端部(被収容部)を互いに対向する第1肉厚部51及び第2肉厚部52で挟持するように構成されている。
【0052】
図7(b)に示すように、止水板立て掛け用緩衝具50を止水板10の上端部に装着した場合、緩衝具本体50Aの第1肉厚部51の外側面51bは、保管場所の壁部W又は隣接する他の止水板10の内側面10bに当接可能な当接面をなすとともに、第2肉厚部52の外側面52bは、隣接する他の止水板10の外側面10aに当接可能な当接面をなす。
したがって、止水板立て掛け用緩衝具50を複数の止水板10に装着し、止水板10の横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように保管場所の壁部Wに立て掛けた場合、止水板10は、壁部W及び隣接する止水板10と離間した状態となり、各止水板10が直接、保管場所の壁部Wや他の止水板10に接触することを防止することができるため、各止水板10を傷つけることなく安定して収納保管することができる。
【0053】
各肉厚部51~53の各厚み51t~53tは任意に設定可能であり、緩衝具本体50Aを止水板10の上端部に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の厚みに設定することができる。
【0054】
また、緩衝具本体50Aの幅方向の長さ50ALは、緩衝具本体50Aを止水板10の上端部に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の長さに設定することができる。止水板10の上端部において、隣接する各止水板10に装着した止水板立て掛け用緩衝具50同士が干渉しない(例えば、互い違いに配置できる)長さに設定すればよい。
【0055】
また、緩衝具本体50Aの奥行方向の長さ50ADは、緩衝具本体50Aを止水板10の上端部に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の長さに設定することができる。
【0056】
また、第1肉厚部51、第2肉厚部52及び第3肉厚部53には、その内面側に止水板10を構成する第1止水部材11やローラ13等の機能部品と当接しないように逃すための凹溝や凹所からなる凹部(不図示)を形成してもよい。この場合、第1肉厚部51及び第2肉厚部52は、止水板10の上端部の内、第1止水部材11やローラ13等の機能部品以外の部分を挟持するように構成される。凹部(不図示)には、第1止水部材11やローラ13等の機能部品が干渉することなく収容されるため、機能部品を保護することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図8(a)は、本発明に係る止水板立て掛け用緩衝具の他の例を示す概略斜視図であり、
図8(b)は、同止水板立て掛け用緩衝具を装着した複数の止水板を立て掛けて保管している他の例を示す概略側面図である。
第3の実施形態の止水板立て掛け用緩衝具60は、上述した止水板立て掛け用緩衝具30を、起立状態の止水板10における上部に位置する側端部に装着するように構成したものである。
【0058】
この止水板立て掛け用緩衝具60は、所定の厚み61tを有する第1肉厚部61と、第1肉厚部61に間隔をあけて対向配置される所定の厚み62tを有する第2肉厚部62と、第1肉厚部61及び第2肉厚部62の端部間に連結される所定の厚み63tを有する第3肉厚部63と、を有する断面略コ字状に形成された緩衝具本体60Aを備えている。緩衝具本体60Aは、ゴム、エラストマー樹脂、ウレタン樹脂等の弾性材料から一体に形成される。
【0059】
この緩衝具本体60Aは、
図8(a)に示すように、第1肉厚部61と第2肉厚部62と第3肉厚部63とが画成する内部空間S2内に、起立状態の止水板10における構成部分の一部である上部に位置する側端部を被収容部として収容するとともに、この側端部(被収容部)を互いに対向する第1肉厚部61及び第2肉厚部62で挟持するように構成されている。
【0060】
図8(b)に示すように、止水板立て掛け用緩衝具60を止水板10の上部に位置する側端部に装着した場合、緩衝具本体60Aの第1肉厚部61の外側面61bは、保管場所の壁部W又は隣接する他の止水板10の内側面10bに当接可能な当接面をなすとともに、第2肉厚部62の外側面62bは、隣接する他の止水板10の外側面10aに当接可能な当接面をなす。
したがって、止水板立て掛け用緩衝具60を複数の止水板10に装着し、止水板10の横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように保管場所の壁部Wに立て掛けた場合、止水板10は、壁部W及び隣接する止水板10と離間した状態となり、各止水板10が直接、保管場所の壁部Wや他の止水板10に接触することを防止することができるため、各止水板10を傷つけることなく安定して収納保管することができる。
【0061】
各肉厚部61~63の各厚み61t~63tは任意に設定可能であり、緩衝具本体60Aを止水板10の上部に位置する側端部に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の厚みに設定することができる。
【0062】
また、緩衝具本体60Aの幅方向の長さ60ALは、緩衝具本体60Aを止水板10の上部に位置する側端部に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の長さに設定することができる。止水板10の上部に位置する側端部において、隣接する各止水板10に装着した止水板立て掛け用緩衝具60同士が干渉しない(例えば、互い違いに配置できる)長さに設定すればよい。
【0063】
また、緩衝具本体60Aの奥行方向の長さ60ADは、緩衝具本体60Aを止水板10の上部に位置する側端部に装着した状態で、複数の止水板10を立て掛けて支持できる適宜の長さに設定することができる。
【0064】
また、止水板立て掛け用緩衝具60は、起立状態の止水板10における上部に位置する両側の側端部に装着するように構成してもよく、あるいは片側の側端部に装着するように構成してもよい。
【0065】
また、第1肉厚部61、第2肉厚部62及び第3肉厚部63には、その内面側に止水板10を構成する第2止水部材12や係止部材14や取手15等の機能部品と当接しないように逃すための凹溝や凹所からなる凹部(不図示)を形成してもよい。この場合、第1肉厚部61及び第2肉厚部62は、止水板10の側端部の内、第2止水部材12や係止部材14や取手15等の機能部品以外の部分を挟持するように構成される。凹部(不図示)には、第2止水部材12や係止部材14や取手15等の機能部品が干渉することなく収容されるため、機能部品を保護することができる。
【0066】
以上のとおり、他の実施形態においても、止水板を好適に支持し、且つ、省スペースで収納保管することができる。
本発明は、上述した各実施形態の具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
横長に形成された複数の止水板を、前記横長の長手側が上下を向く起立状態で隣接して重なるように、保管場所の壁部に立て掛け支持する止水板立て掛け用緩衝具であって、前記止水板立て掛け用緩衝具は、前記止水板における構成部分の一部を被収容部として収容可能な内部空間を有する緩衝具本体を備え、前記緩衝具本体は、前記内部空間に前記被収容部を収容した状態で前記被収容部を挟持するように構成されていることを特徴とする止水板立て掛け用緩衝具。
(2)
前記緩衝具本体は、所定の厚みを有する第1肉厚部と、前記第1肉厚部に間隔をあけて対向配置される所定の厚みを有する第2肉厚部と、前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部の端部間に連結される所定の厚みを有する第3肉厚部と、を有する断面略コ字状に形成され、前記緩衝具本体は、前記第1肉厚部と前記第2肉厚部と前記第3肉厚部とが画成する内部空間内に、前記被収容部を収容するとともに、前記被収容部を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成されていることを特徴とする上記(1)に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
(3)
前記被収容部は、起立状態の前記止水板の一方の側面の上部位置に突出して設けられた取手であり、前記緩衝具本体は、前記内部空間内に前記取手を収容するとともに、前記取手を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成され、前記第3肉厚部の外面は、前記壁部又は隣接する他の前記止水板の他方の側面に当接可能に構成されていることを特徴とする上記(2)に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
(4)
前記被収容部は、起立状態の前記止水板における上端部であり、前記緩衝具本体は、前記内部空間内に前記上端部を収容するとともに、前記上端部を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成され、前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部の外面は、前記壁部又は隣接する他の前記止水板の側面に当接可能に構成されていることを特徴とする上記(2)に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
(5)
前記止水板における前記上端部は、前記止水板の一方の側面又は他方の側面又は上端面に突出して設けられる機能部品を含み、前記第1肉厚部又は前記第2肉厚部又は前記第3肉厚部には、前記機能部品と当接しないように逃すための凹部が形成され、前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部は、前記上端部の内、前記機能部品以外の部分を挟持するように構成されていることを特徴とする上記(4)に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
(6)
前記被収容部は、前記起立状態の前記止水板における上部に位置する側端部であり、 前記緩衝具本体は、前記内部空間内に前記側端部を収容するとともに、前記側端部を互いに対向する前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部で挟持するように構成され、前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部の外面は、前記壁部又は隣接する他の前記止水板の側面に当接可能に構成されていることを特徴とする上記(2)に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
(7)
前記止水板における前記側端部は、前記止水板の一方の側面又は他方の側面又は側端面に突出して設けられた機能部品を含み、前記第1肉厚部又は前記第2肉厚部又は前記第3肉厚部には、前記機能部品と当接しないように逃すための凹部が形成され、前記第1肉厚部及び前記第2肉厚部は、前記側端部の内、前記機能部品以外の部分を挟持するように構成されていることを特徴とする上記(6)に記載の止水板立て掛け用緩衝具。
【符号の説明】
【0068】
10:止水板
30,50,60:止水板立て掛け用緩衝具
30A,50A,60A:緩衝具本体
31,51,61:第1肉厚部
32,52,62:第2肉厚部
33,53,63:第3肉厚部