(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176851
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】リニアエンコーダ及びリニア搬送システム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20241212BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01D5/245 110W
G01B7/00 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095687
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】吉野 裕之
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BA28
2F063BC03
2F063CA09
2F063DA01
2F063DA05
2F063DB01
2F063DB04
2F063DC08
2F063DD06
2F063EA02
2F063GA52
2F063ZA01
2F063ZA02
2F077AA46
2F077AA47
2F077CC02
2F077NN05
2F077PP05
2F077VV02
2F077VV21
2F077VV23
2F077VV31
(57)【要約】
【課題】位置検出センサとリニアスケールとのギャップ寸法を精度良く管理できるリニアエンコーダ及びリニア搬送システムの提供を目的とする。
【解決手段】リニアエンコーダ60は、センサ基板65と、センサ基板65の一方の面65Aに設けられた位置検出センサ64と、位置検出センサ64に対向する部分に、窓部62bが設けられた位置決めプレート62と、位置決めプレート62にセンサ基板65を固定する固定部80と、を備え、複数の位置検出センサ64は、センサ基板65の一方の面65Aが位置決めプレート62に当接した状態で、窓部62b内に配置されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ基板と、
前記センサ基板の一方の面に設けられた複数の位置検出センサと、
前記複数の位置検出センサに対向する部分に、複数の窓部が設けられた位置決めプレートと、
前記位置決めプレートに前記センサ基板を固定する固定部と、を備え、
前記複数の位置検出センサは、前記センサ基板の前記一方の面が前記位置決めプレートに当接した状態で、前記複数の窓部内に配置されている、
リニアエンコーダ。
【請求項2】
前記固定部は、前記複数の位置検出センサの各々の両側に設けられている、
請求項1に記載のリニアエンコーダ。
【請求項3】
前記固定部は、
前記位置決めプレートに設けられた支柱部材と、
前記支柱部材に沿って移動可能なカラー部材と、
前記カラー部材を前記支柱部材に締結固定する締結部材と、を備え、
前記センサ基板には、前記一方の面から他方の面に貫通し、前記支柱部材が挿入される貫通孔が形成され、
前記カラー部材は、前記支柱部材に締結固定された状態で、前記センサ基板の前記他方の面に当接している、
請求項1または2に記載のリニアエンコーダ。
【請求項4】
前記支柱部材は、前記位置決めプレートに対してカシメにより固定されている、
請求項3に記載のリニアエンコーダ。
【請求項5】
リニアスケールを備える移動体と、
前記移動体を案内する軌道体、及び、前記軌道体に沿って配置され、前記リニアスケールに対向可能なリニアエンコーダを備える搬送ユニットと、を備え、
前記搬送ユニットは、前記軌道体が連続するように複数台連結可能であり、
前記リニアエンコーダとして、請求項1または2に記載のリニアエンコーダを備える、
リニア搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアエンコーダ及びリニア搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、誘導型位置トランスデューサ素子を用いた電子スケールが開示されている。この電子スケールは、第一部材と、前記第一部材が移動可能な測定軸を有する細長いビーム部材と、駆動信号に応答し、磁束域内で変動磁束を発生する少なくとも1つの磁場発生器と、前記磁束域内に配置でき、その近傍の変調域内で前記変動磁束を変更可能な少なくとも1つの磁束変調器と、前記磁束域内に配置され、前記磁束域内の変動磁束を検出し、その検出された磁束に基づいて、それと前記少なくとも1つの磁束変調器との間の相対位置を示す出力信号を生成する少なくとも1つの磁束センサと、を含み、前記各磁場発生器および前記各磁束センサは、連続的な空間的に変調された誘導結合を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなリニアエンコーダにおいて、高精度の測定を行うためには、位置検出センサとリニアスケールとのギャップ寸法を精度良く管理する必要がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、位置検出センサとリニアスケールとのギャップ寸法を精度良く管理できるリニアエンコーダ及びリニア搬送システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るリニアエンコーダは、センサ基板と、前記センサ基板の一方の面に設けられた複数の位置検出センサと、前記複数の位置検出センサに対向する部分に、複数の窓部が設けられた位置決めプレートと、前記位置決めプレートに前記センサ基板を固定する固定部と、を備え、前記複数の位置検出センサは、前記センサ基板の前記一方の面が前記位置決めプレートに当接した状態で、前記複数の窓部内に配置されている。
【0007】
また、本発明の一態様に係るリニア搬送システムは、リニアスケールを備える移動体と、前記移動体を案内する軌道体、及び、前記軌道体に沿って配置され、前記リニアスケールに対向可能なリニアエンコーダを備える搬送ユニットと、を備え、前記搬送ユニットは、前記軌道体が連続するように複数台連結可能であり、前記リニアエンコーダとして、先に記載のリニアエンコーダを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、位置検出センサとリニアスケールとのギャップ寸法を精度良く管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るリニア搬送システムの全体図である。
【
図2】一実施形態に係る移動体及び搬送ユニットの斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る移動体及び搬送ユニットをX軸方向から視た図である。
【
図4】一実施形態に係る搬送ユニットをY軸方向から視た図である。
【
図5】一実施形態に係るリニアエンコーダの背面側斜視図である。
【
図6】一実施形態に係る取付ベース及び位置決めプレートの背面側斜視図である。
【
図7】
図4に示す矢視VII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るリニア搬送システム1の全体図である。
リニア搬送システム1は、
図1に示すように、移動体2と、搬送ユニット3と、を備えている。搬送ユニット3は、移動体2を案内する軌道体30と、軌道体30に沿って配置されたリニアエンコーダ60と、を備えている。
【0012】
搬送ユニット3は、軌道体30が連続するように複数台連結可能とされている。
図1の例では、3台の搬送ユニット3が連結されている。各搬送ユニット3の軌道体30の間には、連結レール31が配設されている。移動体2は、連結レール31によって1本に連結された軌道体30に沿って移動可能とされている。
【0013】
なお、以下の説明において、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。X軸方向は、軌道体30が延びる長さ方向(移動体2の移動方向)である。Y軸方向は、X軸方向と直交する軌道体30の幅方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と直交する軌道体30の高さ方向である。
【0014】
図2は、一実施形態に係る移動体2及び搬送ユニット3の斜視図である。
図3は、一実施形態に係る移動体2及び搬送ユニット3をX軸方向から視た図である。
図3に示すように、移動体2は、テーブル10と、スライダブロック11と、マグネット12と、リニアスケール13と、を備えている。
【0015】
テーブル10は、X-Y平面に沿って延びる天板部と、天板部のY軸方向両端部から下方に垂設される一対の側壁部と、を備えている。テーブル10の天板部の上面側には、図示しない搬送対象物が固定可能とされている。
【0016】
テーブル10の天板部の下面側には、スライダブロック11が取り付けられている。スライダブロック11は、軌道体30に対して、X軸方向に移動可能に係合している。軌道体30のY軸方向両側の側面には、凹部が形成され、スライダブロック11は、当該凹部に係合する凸部を備えている。
【0017】
なお、軌道体30の凹部とスライダブロック11の凸部との間には、図示しない転動体を無端転送させる転動体転送路が形成されてもよい。当該転動体転送路は、例えば、Y軸方向両側に1列ずつ計2列で設けられてもよく、またY軸方向両側に2列ずつ計4列で設けられてもよい。
【0018】
また、テーブル10の天板部の下面側には、マグネット12が取り付けられている。マグネット12は、スライダブロック11の-Y側に配置されている。マグネット12の磁極は、下方を向いている。マグネット12の下向きの磁極は、N極、S極がX軸方向において交互に並ぶように配設されている。
【0019】
テーブル10の+Y側の側壁部の内壁面には、リニアスケール13が取り付けられている。リニアスケール13は、X軸方向に延びる薄板の棒状に形成されている。リニアスケール13は、リニアエンコーダ60の検出部64aとY軸方向において対向している。なお、リニアスケール13及びリニアエンコーダ60は、光学式であっても磁気式であってもよい。
【0020】
搬送ユニット3は、ベース部材20と、軌道体30と、コイルユニット40と、駆動基板50と、リニアエンコーダ60と、カバー70と、を備えている。ベース部材20は、底板部21と、第1柱部22と、第2柱部23と、を備えている。底板部21は、X-Y平面に沿って延びる板状に形成されている。
【0021】
第1柱部22は、底板部21のY軸方向の中央部から上方(+Z側)に向かって立設している。第1柱部22の頂部には、上述した軌道体30が取り付けられている。第1柱部22は、
図2に示すように、軌道体30と共にX軸方向に延在している。第1柱部22の-Y側を向く面には、第1取付部22a(段差)が形成されている。
【0022】
第2柱部23は、第1柱部22の-Y側に配置され、底板部21から上方(+Z側)に向かって立設している。第2柱部23も、第1柱部22(第1取付部22a)と共にX軸方向に延在している。第2柱部23の頂部の高さは、第1取付部22aの高さと同じとされている。第2柱部23と第1取付部22aとの間には、支持部材41が架設されている。
【0023】
支持部材41は、
図3に示すように、X軸方向から視てL字状に形成されている。支持部材41は、コイルユニット40を支持している。コイルユニット40は、Z軸方向においてマグネット12と対向している。コイルユニット40は、U相、V相、W相のコイル群をX軸方向に沿って備えている。このコイルユニット40は、例えば、X軸方向に複数台(本実施形態では4台)並んで設けられている。
【0024】
駆動基板50は、
図3に示すように、コイルユニット40の下方(-Z側)に配置され、底板部21上に固定されている。駆動基板50は、図示しないケーブルを介してコイルユニット40と接続され、コイルユニット40に電流を流して、移動体2のX軸方向の移動を制御する。駆動基板50は、第1柱部22をY軸方向に貫通して配置されている。
【0025】
カバー70は、駆動基板50の第1柱部22より+Y側に突出した部分を覆っている。カバー70には、駆動基板50と、図示しない外部装置とを接続する各種コネクタが設けられている。例えば、
図2に示す符号71、72は、通信コネクタである。また、符号73は、電源コネクタである。また、符号74は、USBコネクタである。
【0026】
第1柱部22の+Y側を向く面には、第2取付部22b(段差)が形成されている。第2取付部22bには、リニアエンコーダ60が取り付けられている。リニアエンコーダ60は、
図3に示すように、X軸方向から視てL字状に形成されている。リニアエンコーダ60は、取付ベース61と、位置決めプレート62と、センサカバー63と、位置検出センサ64と、を備えている。
【0027】
取付ベース61は、X-Y平面に沿って延びる板状に形成され、第2取付部22bに固定されている。取付ベース61の+Y側の端部には、位置決めプレート62がネジ部材61aによって取り付けられている。位置決めプレート62は、取付ベース61の+Y側の端部から上方(+Z側)に立設している。位置決めプレート62は、X-Z平面に沿って延びている。
【0028】
位置決めプレート62は、
図2に示すように、移動体2の移動方向(X軸方向)に沿って延び、リニアスケール13とY軸方向で対向している。位置決めプレート62のリニアスケール13との対向面には、保護フィルム62aが貼り付けられている。位置決めプレート62の非対向面側は、
図3に示すように、センサカバー63によって覆われている。センサカバー63の内側には、後述するセンサ基板65が配置されている。
【0029】
図4は、一実施形態に係る搬送ユニット3をY軸方向から視た図である。
図5は、一実施形態に係るリニアエンコーダ60の背面側斜視図である。
図6は、一実施形態に係る取付ベース61及び位置決めプレート62の背面側斜視図である。
図7は、
図4に示す矢視VII-VII断面図である。なお、これらの図では、視認性の向上のため、位置決めプレート62の保護フィルム62aは、図示していない。
【0030】
図5及び
図7に示すように、リニアエンコーダ60は、センサ基板65を備えている。センサ基板65の+Y側(リニアスケール13側)を向く一方の面65Aには、位置検出センサ64が設けられている。位置検出センサ64は、センサ基板65に対し、
図4に示すように、X軸方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。
【0031】
位置決めプレート62は、
図4及び
図6に示すように、複数の位置検出センサ64に対向する部分に、複数の窓部62bを備えている。つまり、位置決めプレート62には、X軸方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)の窓部62bが設けられている。なお、本実施形態の窓部62bは、位置決めプレート62に形成された長方形状の開口であるが、位置検出センサ64に対応する形状であれば長方形状に限定されない。
【0032】
センサ基板65は、後述する固定部80によって、位置決めプレート62に固定されている。固定部80は、
図4に示すように、複数の位置検出センサ64の各々のX軸方向両側に設けられている。位置検出センサ64の素子(検出部64aを含む)は、
図7に示すように、センサ基板65の一方の面65Aが位置決めプレート62に当接した状態で、窓部62b内に配置されている。
【0033】
図5に示すように、取付ベース61には、第1固定孔61bと、第2固定孔61cと、長孔61dと、が形成されている。第1固定孔61bには、取付ベース61を第2取付部22b(
図2及び
図3参照)に取り付ける図示しないネジ部材が配置される。第1固定孔61bは、取付ベース61の-Y側の端縁に沿って、X軸方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0034】
第2固定孔61cは、取付ベース61において第1固定孔61bより+Y側に形成されている。第2固定孔61cには、センサカバー63を下方からZ軸方向に固定するネジ部材92が配置される。なお、センサカバー63は、位置決めプレート62に固定された複数の固定筒91に対し、図示しないネジ部材によってY軸方向においても固定されている。
【0035】
図5に示すように、長孔61dは、取付ベース61の+Y側の端縁に沿って形成されている。長孔61dには、センサ基板65の他方の面65Bに設けられたコネクタ65aと接続可能な図示しない接続配線が配置される。当該接続配線は、センサ基板65と駆動基板50とを電気的に接続する。なお、センサ基板65の他方の面65Bとは、-Y側を向く面であって、+Y側(リニアスケール13側)を向く一方の面65Aとは逆向きの面である。
【0036】
取付ベース61において長孔61dの+Y側には、センサ基板65をX軸方向に位置決めする位置決め凸部61eが形成されている。位置決め凸部61eは、取付ベース61の+Y側の端縁から上方(+Z側)に向かって立設している。センサ基板65の下端縁には、位置決め凸部61eと係合する位置決め凹部65bが形成されている。位置決め凹部65bは、上方(+Z側)に向かって窪んでいる。
【0037】
図7に示すように、固定部80は、位置決めプレート62に設けられた支柱部材81と、支柱部材81に沿ってY軸方向に移動可能なカラー部材82と、カラー部材82を支柱部材81に締結固定する締結部材83と、を備えている。なお、支柱部材81は、上述した固定筒91(
図6参照)と位置が異なるが、同じ構成である。
【0038】
支柱部材81は、位置決めプレート62から-Y側に延びる円筒状に形成されている。支柱部材81の内周面には、雌ネジが形成されている。支柱部材81は、金属製であって、
図7に示すように、位置決めプレート62に対してカシメにより固定されている。支柱部材81の+Y側の端部には、支柱部材81の外周面より拡径した変形部81aが形成されている。
【0039】
変形部81aは、位置決めプレート62に対してカシメられる前は、位置決めプレート62に形成された固定孔62cよりも大きい拡張部を備えている。この変形部81aを固定孔62cに位置決めし、拡張部を固定孔62c内にプレス機等で押し入れることで、拡張部が変形し、支柱部材81を位置決めプレート62に固定できる。
【0040】
カラー部材82は、樹脂製であって、支柱部材81の外周面に沿ってY軸方向に摺動可能な円筒状に形成されている。カラー部材82の+Y側の端部には、カラー部材82の外周面より拡径した円環状の鍔部82aが形成されている。鍔部82aは、センサ基板65の他方の面65Bに当接し、位置決めプレート62との間でセンサ基板65を固定(挟持)する。
【0041】
締結部材83は、ネジ部材83aと、座金部材83bと、を備えている。ネジ部材83aは、-Y側から支柱部材81に螺合している。座金部材83bは、カラー部材82の-Y側の開口端縁とネジ部材83aの頭部との間に介在している。なお、ネジ部材83aの頭部の外径が、カラー部材82の内径より大きい場合、必ずしも座金部材83bは設けなくてもよい。
【0042】
センサ基板65には、一方の面65Aから他方の面65Bに貫通し、支柱部材81が挿入される貫通孔65cが形成されている。カラー部材82の鍔部82aの外径は、貫通孔65cの内径よりも大きい。締結部材83(ネジ部材83a)を締め付けると、カラー部材82がセンサ基板65の他方の面65Bに当接し、センサ基板65の一方の面65Aが位置決めプレート62に当接した状態で固定される。
【0043】
この構成によれば、
図7に示すように、位置検出センサ64とリニアスケール13とのギャップG1の寸法の誤差要因が、位置検出センサ64の素子の高さH1のみとなる。すなわち、センサ基板65の厚み等がギャップG1の寸法の誤差要因にならなくなるため、位置検出センサ64とリニアスケール13とのギャップG1の寸法を精度よく管理することができる。
【0044】
上述したように、本実施形態のリニアエンコーダ60は、センサ基板65と、センサ基板65の一方の面65Aに設けられた複数の位置検出センサ64と、複数の位置検出センサ64に対向する部分に、複数の窓部62bが設けられた位置決めプレート62と、位置決めプレート62にセンサ基板65を固定する固定部80と、を備え、複数の位置検出センサ64は、センサ基板65の一方の面65Aが位置決めプレート62に当接した状態で、複数の窓部62b内に配置されている。この構成によれば、位置検出センサ64とリニアスケール13とのギャップG1の寸法を精度良く管理できる。
【0045】
また、本実施形態では、固定部80は、複数の位置検出センサ64の各々の両側に設けられている。この構成によれば、少なくとも位置検出センサ64の両側で、センサ基板65の一方の面65Aが位置決めプレート62に当接した状態となるため、位置検出センサ64とリニアスケール13とのギャップG1の寸法をより精度良く管理できる。
【0046】
また、本実施形態では、固定部80は、位置決めプレート62に設けられた支柱部材81と、支柱部材81に沿って移動可能なカラー部材82と、カラー部材82を支柱部材81に締結固定する締結部材83と、を備え、センサ基板65には、一方の面65Aから他方の面65Bに貫通し、支柱部材81が挿入される貫通孔65cが形成され、カラー部材82は、支柱部材81に締結固定された状態で、センサ基板65の他方の面65Bに当接している。この構成によれば、固定部80をリニアスケール13側(+Y側)に突出させないで、センサ基板65の一方の面65Aを位置決めプレート62に密着させることができる。これにより、ギャップG1を小さくできる。
【0047】
また、本実施形態では、支柱部材81は、位置決めプレート62に対してカシメにより固定されている。この構成によれば、支柱部材81を位置決めプレート62に溶接等する場合と比べて、位置決めプレート62に歪みが生じ難くなり、位置検出センサ64とリニアスケール13とのギャップG1の寸法をより精度良く管理できる。なお、カシメよりも加工コストがかかるが、位置決めプレート62及び支柱部材81を、例えば削り出しにより形成してもよい。
【0048】
また、本実施形態のリニア搬送システム1は、リニアスケール13を備える移動体2と、移動体2を案内する軌道体30、及び、軌道体30に沿って配置され、リニアスケール13に対向可能なリニアエンコーダ60を備える搬送ユニット3と、を備え、搬送ユニット3は、軌道体30が連続するように複数台連結可能である。この構成によれば、一台一台の搬送ユニット3において位置検出センサ64とリニアスケール13とのギャップG1の寸法を精度良く管理できるため、搬送ユニット3を複数台連結しても、リニア搬送システム1全体としての移動体2の位置検出精度を高めることができる。
【0049】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…リニア搬送システム、2…移動体、3…搬送ユニット、13…リニアスケール、30…軌道体、60…リニアエンコーダ、62…位置決めプレート、62b…窓部、64…位置検出センサ、64a…検出部、65…センサ基板、65A…一方の面、65B…他方の面、80…固定部、81…支柱部材、82…カラー部材、83…締結部材、H1…素子高さ、G1…ギャップ