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特開2024-176852リニアモータモジュール及びリニア搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176852
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】リニアモータモジュール及びリニア搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/02 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H02K41/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095688
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】海野 旭弘
(72)【発明者】
【氏名】林 茂樹
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB06
5H641GG02
5H641GG15
5H641GG20
5H641HH03
(57)【要約】
【課題】フットプリントが小さく且つ高さ寸法が小さいリニアモータモジュール及びリニア搬送システムの提供を目的とする。
【解決手段】リニアモータモジュール3は、駆動基板50と、ベース部材20と、を備え、ベース部材20には、台座部22が設けられ、台座部22の側部には、長さ方向(X軸方向)に間隔をあけて、複数の空間部24が形成され、駆動基板50には、複数の空間部24に挿入される複数の突出部52が形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を案内する軌道体と、
前記軌道体に沿って配置された複数のコイルユニットと、
前記複数のコイルユニットと電気的に接続された駆動基板と、
前記軌道体、前記複数のコイルユニット、及び前記駆動基板を支持するベース部材と、を備え、
前記ベース部材には、前記軌道体を支持する台座部が設けられ、
前記台座部の側部には、前記軌道体が延びる長さ方向に間隔をあけて、複数の空間部が形成され、
前記駆動基板には、前記複数の空間部に挿入される複数の突出部が形成されている、
リニアモータモジュール。
【請求項2】
前記突出部には、前記コイルユニットを制御するモータドライバが設けられている、
請求項1に記載のリニアモータモジュール。
【請求項3】
前記ベース部材には、前記台座部を支持する底板部が設けられ、
前記モータドライバは、前記突出部の前記底板部と対向する面に配置されると共に、伝熱部材を介して前記底板部に接触している、
請求項2に記載のリニアモータモジュール。
【請求項4】
前記複数の空間部は、
前記長さ方向において第1長さで形成された第1空間部と、
前記長さ方向において前記第1長さよりも長い、第2長さで形成された第2空間部と、を備え、
前記複数の突出部は、
前記第1空間部に挿入される第1突出部と、
前記第2空間部に挿入され、前記第1突出部よりも前記長さ方向における幅が大きい第2突出部と、を備え、
前記第2突出部には、前記第1突出部より多くの前記モータドライバが設けられると共に、前記モータドライバを制御する制御チップの少なくとも一部が設けられている、
請求項2または3に記載のリニアモータモジュール。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のリニアモータモジュールと、
前記複数のコイルユニットと対向可能なマグネットを備えて前記軌道体に沿って案内される移動体と、を備え、
前記リニアモータモジュールは、前記軌道体が連続するように複数台連結可能である、
リニア搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータモジュール及びリニア搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数の固定子ユニットを連設してリニアモータを構成するリニア搬送装置が開示されている。この固定子ユニットは、ユニットフレームに固定される固定子と、固定子に対する通電を制御するセンサ基板と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-176214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなリニアモータモジュールにおいては、モジュールの小型化、周囲の作業スペースを確保する目的で、フットプリントが小さく且つ高さ寸法が小さいことが求められている。特許文献1の固定子ユニットでは、図3に示すように、センサ基板を垂直に立ててユニットフレームの側面に固定していたため、フットプリントを小さくできるものの、高さ寸法が大きくなっていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フットプリントが小さく且つ高さ寸法が小さいリニアモータモジュール及びリニア搬送システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るリニアモータモジュールは、移動体を案内する軌道体と、前記軌道体に沿って配置された複数のコイルユニットと、前記複数のコイルユニットと電気的に接続された駆動基板と、前記軌道体、前記複数のコイルユニット、及び前記駆動基板を支持するベース部材と、を備え、前記ベース部材には、前記軌道体を支持する台座部が設けられ、前記台座部の側部には、前記軌道体が延びる長さ方向に間隔をあけて、複数の空間部が形成され、前記駆動基板には、前記複数の空間部に挿入される複数の突出部が形成されている。
【0007】
また、本発明の一態様に係るリニア搬送システムは、先に記載のリニアモータモジュールと、前記複数のコイルユニットと対向可能なマグネットを備えて前記軌道体に沿って案内される移動体と、を備え、前記リニアモータモジュールは、前記軌道体が連続するように複数台連結可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、フットプリントを小さく且つ高さ寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るリニア搬送システムの全体図である。
図2】一実施形態に係る移動体及びリニアモータモジュールの斜視図である。
図3】一実施形態に係る移動体及びリニアモータモジュールをX軸方向から視た図である。
図4】一実施形態に係るリニアモータモジュールの斜視図である。
図5】一実施形態に係るベース部材及び駆動基板の斜視図である。
図6図5に示すベース部材及び駆動基板の平面図である。
図7】一実施形態に係るベース部材及び駆動基板の組み立ての様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るリニア搬送システム1の全体図である。
リニア搬送システム1は、図1に示すように、移動体2と、リニアモータモジュール3と、を備えている。なお、移動体2は、可動子ユニットとも言う。また、リニアモータモジュール3は、固定子ユニットとも言う。リニアモータモジュール3は、移動体2を案内する軌道体30と、軌道体30に沿って配置されたリニアエンコーダ60と、を備えている。
【0012】
リニアモータモジュール3は、軌道体30が連続するように複数台連結可能とされている。図1の例では、3台のリニアモータモジュール3が連結されている。各リニアモータモジュール3の軌道体30の間には、連結レール31が配設されている。移動体2は、連結レール31によって1本に連結された軌道体30に沿って移動可能とされている。
【0013】
なお、以下の説明において、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。X軸方向は、軌道体30が延びる長さ方向(移動体2の移動方向)である。Y軸方向は、X軸方向と直交する軌道体30の幅方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と直交する軌道体30の高さ方向である。
【0014】
図2は、一実施形態に係る移動体2及びリニアモータモジュール3の斜視図である。図3は、一実施形態に係る移動体2及びリニアモータモジュール3をX軸方向から視た図である。
図3に示すように、移動体2は、テーブル10と、スライダブロック11と、マグネット12と、リニアスケール13と、を備えている。
【0015】
テーブル10は、X-Y平面に沿って延びる天板部と、天板部のY軸方向両端部から下方に垂設される一対の側壁部と、を備えている。テーブル10の天板部の上面側には、図示しない搬送対象物が固定可能とされている。
【0016】
テーブル10の天板部の下面側には、スライダブロック11が取り付けられている。スライダブロック11は、軌道体30に対して、X軸方向に移動可能に係合している。軌道体30のY軸方向両側の側面には、凹部が形成され、スライダブロック11は、当該凹部に係合する凸部を備えている。
【0017】
なお、軌道体30の凹部とスライダブロック11の凸部との間には、図示しない転動体を無端転送させる転動体転送路が形成されてもよい。当該転動体転送路は、例えば、Y軸方向両側に1列ずつ計2列で設けられてもよく、またY軸方向両側に2列ずつ計4列で設けられてもよい。
【0018】
また、テーブル10の天板部の下面側には、マグネット12が取り付けられている。マグネット12は、スライダブロック11の-Y側に配置されている。マグネット12の磁極は、下方を向いている。マグネット12の下向きの磁極は、N極、S極がX軸方向において交互に並ぶように配設されている。
【0019】
テーブル10の+Y側の側壁部の内壁面には、リニアスケール13が取り付けられている。リニアスケール13は、X軸方向に延びる薄板の棒状に形成されている。リニアスケール13は、リニアエンコーダ60の検出部64aとY軸方向において対向している。なお、リニアスケール13及びリニアエンコーダ60は、光学式であっても磁気式であってもよい。
【0020】
リニアモータモジュール3は、ベース部材20と、軌道体30と、コイルユニット40と、駆動基板50と、リニアエンコーダ60と、カバー70と、を備えている。ベース部材20は、例えば、アルミニウムなどの軽量且つ放熱性を有する金属部材が好ましく、底板部21と、台座部22と、柱部23と、を備えている。底板部21は、X-Y平面に沿って延びる板状に形成されている。
【0021】
台座部22は、底板部21のY軸方向の中央部から上方(+Z側)に向かって立設している。台座部22の頂部には、上述した軌道体30が取り付けられている。台座部22は、図2に示すように、軌道体30と共にX軸方向に延在している。台座部22の-Y側を向く面には、第1取付部22a(段差)が形成されている。
【0022】
柱部23は、台座部22の-Y側に配置され、底板部21から上方(+Z側)に向かって立設している。柱部23も、台座部22(第1取付部22a)と共にX軸方向に延在している。柱部23の頂部の高さは、第1取付部22aの高さと同じとされている。柱部23と第1取付部22aとの間には、支持部材41が架設されている。
【0023】
支持部材41は、図3に示すように、X軸方向から視てL字状に形成されている。支持部材41は、コイルユニット40を支持している。コイルユニット40は、Z軸方向においてマグネット12と対向している。コイルユニット40は、U相、V相、W相のコイル群をX軸方向に沿って備えている。このコイルユニット40は、例えば、X軸方向に複数台(本実施形態では4台)並んで設けられている。
【0024】
駆動基板50は、図3に示すように、コイルユニット40の下方(-Z側)に配置され、底板部21上に固定されている。駆動基板50は、図示しないケーブルを介してコイルユニット40と接続されるコネクタ81と、当該ケーブルを介してコイルユニット40に電流を流して、移動体2のX軸方向の移動を制御するモータドライバ82と、を備えている。駆動基板50は、台座部22をY軸方向に貫通して配置されている(後述)。
【0025】
カバー70は、駆動基板50の台座部22より+Y側に突出した部分(基部51)を覆っている。カバー70には、駆動基板50と、図示しない外部装置とを接続する各種コネクタが設けられている。例えば、図2に示す符号71、72は、通信コネクタである。また、符号73は、電源コネクタである。また、符号74は、USBコネクタである。
【0026】
台座部22の+Y側を向く面には、第2取付部22b(段差)が形成されている。第2取付部22bには、リニアエンコーダ60が取り付けられている。リニアエンコーダ60は、図3に示すように、X軸方向から視てL字状に形成されている。リニアエンコーダ60は、取付ベース61と、位置決めプレート62と、センサカバー63と、位置検出センサ64と、を備えている。
【0027】
取付ベース61は、X-Y平面に沿って延びる板状に形成され、第2取付部22bに固定されている。取付ベース61の+Y側の端部には、位置決めプレート62がネジ部材61aによって取り付けられている。位置決めプレート62は、取付ベース61の+Y側の端部から上方(+Z側)に立設している。位置決めプレート62は、X-Z平面に沿って延びている。
【0028】
位置決めプレート62は、図2に示すように、移動体2の移動方向(X軸方向)に沿って延び、リニアスケール13とY軸方向で対向している。位置決めプレート62のリニアスケール13との対向面には、保護フィルム62aが貼り付けられている。位置決めプレート62の非対向面側は、図3に示すように、センサカバー63によって覆われている。センサカバー63の内側には、位置検出センサ64が配置されている。
【0029】
図4は、一実施形態に係るリニアモータモジュール3の斜視図である。なお、図4では、視認性の向上のため、移動体2及びカバー70は、図示していない。図4に示す符号75は、ベース部材20にカバー70を取り付けるための取付フレームである。
【0030】
図4に示すように、リニアモータモジュール3は、4台のコイルユニット40A~40Dを備えている。4台のコイルユニット40A~40Dは、X軸方向に並んで配置されている。
【0031】
図5は、一実施形態に係るベース部材20及び駆動基板50の斜視図である。なお、図5では、図4よりも視認性を向上させるため、コイルユニット40、支持部材41及び取付フレーム75を図示していない。
【0032】
図5に示すように、台座部22の側部には、X軸方向に間隔をあけて、複数の空間部(以下では貫通孔24)が形成されている。複数の貫通孔24は、第2取付部22bよりも下方(-Z側)に位置し、それぞれ台座部22をY軸方向に貫通している。
【0033】
駆動基板50は、ネジ部材91及びスペーサ92によって、底板部21に複数箇所で固定されている。スペーサ92によって、駆動基板50は、底板部21に対して僅かに上方(+Z側)に浮いた状態で固定されている。
【0034】
図6は、図5に示すベース部材20及び駆動基板50の平面図である。図7は、一実施形態に係るベース部材20及び駆動基板50の組み立ての様子を示す斜視図である。
図6及び図7に示すように、駆動基板50には、複数の貫通孔24に挿入される複数の突出部(以下では櫛歯部52)が形成されている。
【0035】
駆動基板50は、X軸方向に延びる基部51と、基部51から-Y側に向かって延びる複数の櫛歯部52と、を備えている。本実施形態の駆動基板50は、3本の櫛歯部52を備え、Z軸方向から視た平面視でE字状に形成されている。
【0036】
櫛歯部52の先端部には、コイルユニット40を制御するモータドライバ82が設けられている。モータドライバ82は、図3に示すように、櫛歯部52の底板部21と対向する-Z側を向く面に配置されると共に、伝熱部材83を介して底板部21に接触している。モータドライバ82で発生した熱は、伝熱部材83を介してベース部材20に伝えられ放熱される。
【0037】
図6及び図7に示すように、台座部22には、上述した3つの貫通孔24が形成されている。貫通孔24には、2種類の大きさの貫通孔24(第1貫通孔24a及び第2貫通孔24b)が含まれている。第1貫通孔24aは、台座部22のX軸方向の両端部に形成されている。第2貫通孔24bは、台座部22のX軸方向の中央部に形成されている。
【0038】
図6に示すように、第1貫通孔24aは、X軸方向において第1長さD1で形成されている。また、第2貫通孔24bは、X軸方向において第2長さD2で形成されている。第2長さD2は、第1長さD1よりも長い。具体的に、第2長さD2は、第1長さD1の約2倍の寸法を有する。
【0039】
一方、駆動基板50には、3つの櫛歯部52が形成されている。櫛歯部52には、2種類の大きさの櫛歯部52(第1櫛歯部52a及び第2櫛歯部52b)が含まれている。第1櫛歯部52aは、基部51のX軸方向の両端部に形成されている。第2櫛歯部52bは、基部51のX軸方向の中央部に形成されている。
【0040】
図6に示すように、第1櫛歯部52aは、X軸方向において第1幅W1で形成されている。また、第2貫通孔24bは、X軸方向において第2幅W2で形成されている。第2幅W2は、第1幅W1よりも大きい。具体的に、第2幅W2は、第1幅W1の約2倍の寸法を有する。
【0041】
第1櫛歯部52aは、第1貫通孔24aに挿入可能である。つまり、第1幅W1は、第1長さD1より僅かに小さい寸法を有する。また、第2櫛歯部52bは、第2貫通孔24bに挿入可能且つ第1貫通孔24aに挿入不能である。つまり、第2幅W2は、第2長さD2より僅かに小さい寸法且つ第1長さD1より大きい寸法を有する。
【0042】
第2櫛歯部52bには、第1櫛歯部52aよりも多くのモータドライバ82が設けられている。具体的に、+X側に配置された第1櫛歯部52aには、コイルユニット40A(図4参照)と図示しないケーブルを介して接続されるコネクタ81A及び当該ケーブルを介してコイルユニット40Aを制御するモータドライバ82Aが設けられている。モータドライバ82Aの周囲4箇所には、ネジ部材91(及びスペーサ92)が配置され、モータドライバ82Aが略均等な荷重を受けて、伝熱部材83を介し底板部21に接触している。
【0043】
また、-X側に配置された第1櫛歯部52aには、コイルユニット40Dと図示しないケーブルを介して接続されるコネクタ81D及び当該ケーブルを介してコイルユニット40Dを制御するモータドライバ82Dが設けられている。モータドライバ82Dの周囲4箇所には、ネジ部材91(及びスペーサ92)が配置され、モータドライバ82Dが略均等な荷重を受けて、伝熱部材83を介し底板部21に接触している。
【0044】
一方、第2櫛歯部52bには、コイルユニット40Bと図示しないケーブルを介して接続されるコネクタ81B及び当該ケーブルを介してコイルユニット40Bを制御するモータドライバ82B、さらには、コイルユニット40Cと図示しないケーブルを介して接続されるコネクタ81C及び当該ケーブルを介してコイルユニット40Cを制御するモータドライバ82Bが設けられている。
【0045】
モータドライバ82Bの周囲4箇所及びモータドライバ82Cの周囲4箇所には、(及びスペーサ92)が配置され、モータドライバ82B及びモータドライバ82Cが略均等な荷重を受けて、伝熱部材83を介し底板部21に接触している。なお、モータドライバ82Bとモータドライバ82Cとの間に配置された、2つのネジ部材91cは共有されており、モータドライバ82B及びモータドライバ82Cは、計6つのネジ部材91で固定されている。
【0046】
当該6つのネジ部材91のうち、図6に示す平面視で、第1取付部22aの延長線上に配置される3つのネジ部材91の上方には、梁部材90が取り付けられている。梁部材90は、台座部22に対してネジ部材を介して着脱可能に取り付けられ、第1取付部22aの一部を形成している。梁部材90を取り外すことで、第1取付部22aの延長線上に配置される3つのネジ部材91の締め付け、また締め付け解除を行うことができる。
【0047】
第2櫛歯部52bには、モータドライバ82A~82Dを統括して制御する制御チップ84の少なくとも一部が設けられている。第2櫛歯部52bは、第1櫛歯部52aよりもX軸方向の幅が大きいため、制御チップ84をレイアウトし易い。また、基部51のみに制御チップ84をレイアウトするよりも、基部51のY軸方向の寸法を小さくできる。なお、本実施形態では、制御チップ84が第2櫛歯部52b及び基部51に跨ってレイアウトされているが、制御チップ84が第2櫛歯部52bのみにレイアウトされてもよい。
【0048】
上記構成によれば、図6に示すように、台座部22の側部に複数の貫通孔24を形成し、駆動基板50の櫛歯部52を貫通孔24に差し込むことで、駆動基板50をX-Y平面に沿って水平に配置できるため、図3に示すように、リニアモータモジュール3の高さ寸法を小さくすることができる。また、櫛歯部52が台座部22をY軸方向に貫通することで、台座部22のY軸方向両側に駆動基板50が配置できるため、台座部22のY軸方向の片側のみに駆動基板50を配置するよりも、リニアモータモジュール3のフットプリントを小さくすることができる。
【0049】
上述したように、本実施形態のリニアモータモジュール3は、移動体2を案内する軌道体30と、軌道体30に沿って配置された複数のコイルユニット40と、複数のコイルユニット40と電気的に接続された駆動基板50と、軌道体30、複数のコイルユニット40、及び駆動基板50を支持するベース部材20と、を備え、ベース部材20には、軌道体30を支持する台座部22が設けられ、台座部22の側部には、軌道体30が延びる長さ方向に間隔をあけて、複数の貫通孔24が形成され、駆動基板50には、複数の貫通孔24に挿入される複数の櫛歯部52が形成されている。この構成によれば、フットプリントが小さく且つ高さ寸法が小さいリニアモータモジュール3を提供できる。
【0050】
また、本実施形態では、櫛歯部52には、コイルユニット40を制御するモータドライバ82が設けられている。この構成によれば、図3に示すように、コイルユニット40の下方にモータドライバ82を配置し、モータドライバ82とコイルユニット40とを短距離で接続することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ベース部材20には、台座部22を支持する底板部21が設けられ、モータドライバ82は、櫛歯部52の底板部21と対向する面に配置されると共に、伝熱部材83を介して底板部21に接触している。この構成によれば、モータドライバ82で発生した熱を、伝熱部材83を介して底板部21に伝えて効率よく放熱できる。
【0052】
また、本実施形態では、図6に示すように、複数の貫通孔24は、長さ方向において第1長さD1で形成された第1貫通孔24aと、長さ方向において第1長さD1よりも長い、第2長さD2で形成された第2貫通孔24bと、を備え、複数の櫛歯部52は、第1貫通孔24aに挿入される第1櫛歯部52aと、第2貫通孔24bに挿入され、第1櫛歯部52aよりも長さ方向における幅が大きい第2櫛歯部52bと、を備え、第2櫛歯部52bには、第1櫛歯部52aより多くのモータドライバ82が設けられると共に、モータドライバ82を制御する制御チップ84が設けられている。この構成によれば、第2櫛歯部52bに2つのモータドライバ82B、82Cを設けると共に、制御チップ84をレイアウトし易くなる。なお、仮に4つのモータドライバ82に対応して4つの櫛歯部52を形成する場合、台座部22にも4つの貫通孔24を形成しなくてはならない。台座部22の貫通孔24が増えると、ベース部材20の加工コストが増えると共に、軌道体30を支持する台座部22の剛性を確保することが難しくなる。したがって、本実施形態のように、幅広の第2櫛歯部52bを設けることが好ましい。
【0053】
また、本実施形態のリニア搬送システム1は、上記リニアモータモジュール3と、複数のコイルユニット40と対向可能なマグネット12を備えて軌道体30に沿って案内される移動体2と、を備え、リニアモータモジュール3は、軌道体30が連続するように複数台連結可能である。この構成によれば、リニアモータモジュール3を複数台連結することで、フットプリントが小さく且つ高さ寸法が小さいリニア搬送システム1を構築することができる。
【0054】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、空間部として貫通孔を記載したが、これには限定されず、台座部を貫通しない孔部や溝部に、駆動基板の突出部を挿入しても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0055】
1…リニア搬送システム、…移動体、3…リニアモータモジュール、12…マグネット、20…ベース部材、21…底板部、22…台座部、24…貫通孔(空間部)、24a…第1貫通孔、24b…第2貫通孔、30…軌道体、40…コイルユニット、50…駆動基板、52…櫛歯部(突出部)、52a…第1櫛歯部、52b…第2櫛歯部、82…モータドライバ、83…伝熱部材、84…制御チップ、D1…第1長さ、D2…第2長さ、W1…第1幅、W2…第2幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7