(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176861
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】圧力センサおよび圧力センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 19/14 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G01L19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095700
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】平井 一徳
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和哉
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF43
2F055GG01
2F055GG12
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】センサと回路基板とを容易かつ信頼性高く導通接続することのできる組み立て作業の容易な簡易構造の圧力センサを実現すること。
【解決手段】外部機器Aに接続される圧力センサチップ11を備える圧力センサユニット10により構成される圧力センサであって、外部機器とセンサとの間に介在する回路基板50と、センサと回路基板とに導通接続される中継接続端子36と、回路基板と外部機器とに導通接続される中継接続端子37とを備え、回路基板は2組の中継接続端子と接続する凹壁電極面50uが外周端面に形成され、2組の中継接続端子は回路基板を安定載置可能に凹壁電極面の開口形状よりも大きな端子片36d、37dを備え、回路基板が2組の中継接続端子の端子片上に載置される形態で凹壁電極面にはんだ付けする接続作業を行い得る構造に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に接続されるセンサを備えるセンサユニットにより構成される圧力センサであって、
前記外部機器との間に介在するように配置されて前記センサに接続される回路基板と、前記センサおよび前記回路基板の間に位置して当該センサおよび当該回路基板に導通接続される接続部材および前記回路基板に導通接続される当該回路基板の前記外部機器への導通接続用の端子部材の一方または双方と、を備え、
前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方は、前記回路基板との接続領域が形成され、前記接続領域には前記回路基板を載置することができる程度の大きさの支持領域を備えており、
前記回路基板の接続領域が前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の上に載置される形態で前記支持領域上に位置し、当該回路基板の接続領域と当該接続部材および当該端子部材の一方あるいは双方の接続領域との間の導通接続作業を行い得る構造に構成されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記回路基板の接続領域と前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の接続領域との導通接続は、はんだ付け、溶接、または導電性材料の塗布により行われることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記接続部材が長尺形状に形成されて、延在する両端側に位置する一端側端片および他端側端片を有しており、
前記接続部材は、前記一端側端片および前記他端側端片が互いに対面する場合、前記接続領域を構成して前記回路基板に接続される当該一端側端片が該回路基板の外周側に位置するとともに、当該他端側端片は該回路基板の外周側の内側に位置して前記センサ側に接続可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の前記接続領域は、前記回路基板の外周端部に位置して導通接続されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記回路基板は、外周端部で内方に窪む凹壁面が前記接続領域として形成されて、当該凹壁面に前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の前記接続領域が導通接続されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記回路基板、前記接続部材および前記端子部材の接続部は、流体の連通が遮断される空間を形成する部材内に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記凹壁面は、前記回路基板の外周端面における開口幅よりも内方への窪み距離の方が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記凹壁面は、前記回路基板の外周端面から内方へ窪む半円形状を備えることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方は、はんだの濡れ性に優れる接続領域を備えるとともに、当該接続領域以外にはんだの濡れ性が当該接続領域より劣る領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方を支持する端子台を備え、
前記接続部材および前記端子部材は、電気的に接続可能に延長されている端子片が前記端子台の構成部を貫通して保持されるようになっており、
前記接続部材および前記端子部材の双方あるいは一方の前記端子片には、前記端子台の構成部を貫通する構造の内面に接触して当該貫通順方向および貫通逆方向の一方または双方への移動を抑制する形状が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項11】
外部機器に接続されるセンサを備えるセンサユニットにより構成される圧力センサの製造方法であって、
前記センサユニットは、前記外部機器との間に介在するように配置されて前記センサに接続される回路基板と、前記センサおよび前記回路基板の間に位置して当該センサおよび当該回路基板に導通接続される接続部材および前記回路基板に導通接続される当該回路基板の前記外部機器への導通接続用の端子部材の一方または双方と、を備え、
前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方は、前記回路基板との接続領域が形成され、前記接続領域には前記回路基板を安定して載置することができる程度の大きさの支持領域を備えており、
前記回路基板の接続領域が前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の上に載置される形態で前記支持領域上に位置し、当該回路基板の接続領域と当該接続部材および当該端子部材の一方あるいは双方の接続領域との間の導通接続作業を行うことを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項12】
前記回路基板の接続領域と前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の接続領域との間は、はんだ付け、溶接、または導電性材料の塗布により導通接続させることを特徴とする請求項11に記載の圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易かつ信頼性高く組み立て作業をすることのできる簡易な構造の圧力センサおよび圧力センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力や温度などを検出する各種センサは、測定対象の近傍に固定されて検出信号を測定機器などに送出するように利用されており、その測定機器に内蔵あるいは外付けされる形態で多用されている(特許文献1を参照)。
【0003】
この種の各種センサは、測定対象と同等の環境に晒されるように設置可能なセンサユニットに組み込まれて利用されるようになっており、センサが測定機器に直接接続されるだけでなく、センサあるいは外部の機器の一方または双方で電気特性の変更の必要性が生じる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなセンサユニットにあっては、例えば、外部制御機器からセンサに対する駆動電圧や、センサから外部制御機器に対する出力信号の仕様が異なる場合などでは、時間や費用の掛かるセンサの設計変更だけでなく、センサとの間に駆動電圧や出力信号の変換回路基板を介在させるなどして調整することも有効である。
【0006】
このような場合には、センサと外部機器との間に入出力信号の変換の為の回路基板を組み込む組み立て構造の回路構成を採用するセンサユニットも一考の価値があり、センサと電気的に接続する回路基板をセンサユニット内の所定位置に位置決めして導通接続するなどの各種作業を行って、信頼性高く各種検出信号を得られるようにすることが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、センサと回路基板とを容易かつ信頼性高く導通接続することのできる組み立て作業の可能な簡易な構造のセンサユニットを実現して、そのセンサユニットを備える圧力センサおよび圧力センサの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する圧力センサの発明の一態様は、外部機器に接続されるセンサを備えるセンサユニットにより構成される圧力センサであって、前記外部機器との間に介在するように配置されて前記センサに接続される回路基板と、前記センサおよび前記回路基板の間に位置して当該センサおよび当該回路基板に導通接続される接続部材および前記回路基板に導通接続される当該回路基板の前記外部機器への導通接続用の端子部材の一方または双方と、を備え、前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方は、前記回路基板との接続領域が形成され、前記接続領域には前記回路基板を安定して載置することができる程度の大きさの支持領域を備えており、前記回路基板の接続領域が前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の上に載置される形態で前記支持領域上に位置し、当該回路基板の接続領域と当該接続部材および当該端子部材の一方あるいは双方の接続領域との間の導通接続作業を行い得る構造に構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明の一態様によれば、センサと回路基板とを信頼性高く導通接続する簡易な構造のセンサユニットを実現することができ、そのセンサユニットで圧力センサならびに容易な組み立て作業の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサユニットの一例である圧力センサユニットを備える圧力センサを示す図であり、その概略全体構成を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、その圧力センサの製造方法の概要を示すとともに、その各部品の積み重ね方向に離隔させている分解斜視図である。
【
図3】
図3は、その要部部品を示す一方向からの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3と同じ要部部品を示す一方向の反対方向からの斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3および
図4の要部部品に取り付けられている一接続端子を示す図であり、(a)はその立面正面図、(b)はその上面図、(c)はその底面図、(d)はその3部品のリードフレームを示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図3および
図4の要部部品に取り付けられている
図5と異なる一接続端子を示す図であり、(a)はその立面正面図、(b)はその上面図、(c)はその底面図、(d)はその側面図である。
【
図7】
図7は、
図3および
図4の要部部品への接続端子と回路基板との取り付け状態を示す図であり、(a)はその縦断面図、(b)はその斜視図、(c)はその回路基板と接続端子の接続箇所の拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7における接続箇所の接続状態を説明する図であり、(a)はその構造による効果を示す縦断面図、(b)はその構造を採用しない場合を示す縦断面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の第1の他の態様を示す図であり、(a)は本実施形態で生じる可能性のある課題を説明する一部拡大縦断面図であり、(b)はその課題の解決パターンを示す一部拡大縦断面図、(c)はその(b)と異なる解決パターンを示す一部拡大縦断面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の第2の他の態様を示す図であり、(a)は本実施形態で生じる可能性のある課題の解決パターンを示す一部拡大縦断面図、(b)はその(a)で解決する課題を説明する一部拡大縦断面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の第3の他の態様を示す図であり、その概略全体構成を示す縦断面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の第4の他の態様を示す図であり、その概略全体構成を示す縦断面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の着想前の技術を示す縦断面図である。
【
図14】
図14は、
図13と異なる着想技術を示す図であり、(a)はその全体構造を示す縦断面図、(b)はその接続状態を示す一部拡大縦断面図、(c)はその接続不良状を示す一部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1~
図8は本発明の一実施形態に係るセンサユニットの一例の圧力センサユニットを備える圧力センサならびにその製造方法を説明する図である。
【0012】
図1および
図2において、圧力センサ100は、構成部品を後述するように積み重ねるようにして組み立てた圧力センサユニット10を外部環境の圧力特性を測定する対象箇所に取り付けて、圧力センサチップ11の検出する圧力情報を接続されている外部機器Aに出力するように作製されている。本実施形態の圧力センサ100は、樹脂製の防水ケース20内に収容されている圧力センサユニット10を、例えば、圧力を検出する気体や液体などの流体が導かれる測定対象の配管に金属製の継手部材30で連結することにより接続可能に構築されている。
【0013】
ここで、防水ケース20は、圧力センサユニット10を収容可能な円筒形状に作製されて一端側の開口部20bに、継手部材30の固定されているキャップ28の周縁部が連結されている。この継手部材30は、圧力測定対象の配管などにねじ止め可能に雌ねじ30sが形成されており、その雌ねじ30sに連通するポート30aを介して、配管から矢印P方向に供給される流体をそのキャップ28の下流側の圧力室PRに導入することを実現している。
【0014】
圧力センサユニット10は、短尺な円筒形状に作製されて軸方向の下端面がキャップ28に接合固定されるハウジング12と、圧力センサチップ11が設置されてハウジング12の内筒内中心に位置するように配置される支柱13と、そのハウジング12の内筒内の支柱13周りに充填されて閉塞させつつその内筒内を貫通する部材を固定するハーメチックガラス14と、を備えている。
【0015】
また、圧力センサユニット10では、ハウジング12の下端面に金属製のダイヤフラム32が接合固定されている。ダイヤフラム32は、キャップ28側に気密な圧力室PRを形成しつつ、ハウジング12内の支柱13側の圧力センサチップ11の設置空間を圧力室PRから隔絶させている。
【0016】
そして、この圧力センサユニット10では、ハウジング12の内筒内におけるハーメチックガラス14とダイヤフラム32とにより形成される圧力センサチップ11の設置空間に、例えば、圧力伝達媒体として所定量のシリコーンオイル(フッ素系不活性液体などでもよい)が充填されて液封室LRとして機能するようになっている。
【0017】
これにより、圧力センサチップ11は、継手部材30を連結された配管から圧力室PR内に導入された検出対象の流体の圧力を、ダイヤフラム32を介して液封室LR内の圧力伝達媒体の圧力変動として検出する圧力センサとして機能する。
【0018】
ここで、圧力センサチップ11は、外部機器Aからの複数のリード線38のそれぞれに後述する回路基板50を介して接続されているリードピン40にボンディングワイヤ11wを介して導通接続されることにより電源供給されるとともに、検出信号を圧力情報として出力するように設置されている。また、ハウジング12の内筒内におけるハーメチックガラス14とダイヤフラム32との間の液封室LRにはオイル充填用パイプ44を介して圧力伝達媒体が充填されるようになっている。これらリードピン40およびオイル充填用パイプ44は、支柱13を中心に同一円状に等間隔で整列し、ハーメチックガラス14などの絶縁物を介して、ハウジング12とは絶縁して支持されている。なお、オイル充填用パイプ44は、一方の端部を圧力伝達媒体の充填後に閉塞される。
【0019】
ここで、ダイヤフラム32は、ハウジング12の下端面に、複数の連通孔34aを有するダイヤフラム保護カバー34が接合固定されることにより、外力や圧力室PR内への急激な圧力によって損傷してしまうことが未然に防止されるようになっている。また、ハーメチックガラス14の一端側に凹形状のフレーム16が固定されて蓋状のシールド板17が取り付けられており、フレーム16はシールド板17に形成されて急激な圧力変動を抑制する連通孔17aを介して圧力センサチップ11側とダイヤフラム32側との間で圧力伝達媒体を流動自在に収容している。
【0020】
リードピン40は、有底の短尺な概略円筒形状に形成された樹脂製の端子台24の底面部24bに、電源用端子2本と、出力信号用端子1本と、組み立て時に使用する調整用端子5本が配列されてボンディングワイヤ11wを介して圧力センサチップ11に電気的に接続されており、これらリードピン40は、端子台24の底面部24bに形成されている挿通孔24h内に挿通されつつハーメチックガラス14に固定支持されている。ここで、端子台24は、概略円筒形状の側壁部24sの一部が平面状に形成されて、後述するそれぞれ3つで1組の中継接続端子36(36A~36C)、37(37A~37C)を取り付け保持させる端子保持部51、53が円筒中心の対称位置に配置されている。
【0021】
このリードピン40は、両端部がハウジング12の内筒内におけるハーメチックガラス14の両面側に貫通して、液封室LR側である一端側にはボンディングワイヤ11wを介して圧力センサチップ11が導通接続される。また、複数のリードピン40の内、電源用端子と出力信号用端子の他端側には、端子台24の側壁部24sに保持されている中継接続端子36の端子片36eが例えば、スポット溶接(溶融金属接合でもよい)されて端面に導通接続されている。また、端子台24の側壁部24sの中継接続端子36の反対(対面)側には後述するように外部機器Aからのリード線38が接続される中継接続端子37が保持されている。これら中継接続端子36、37の端子片36d、37dには、載せるようにして設置される回路基板50が溶融はんだ(導通接続材料)Sを塗布されるはんだ付けにより接続されている。すなわち、中継接続端子36が接続部材を構成し、中継接続端子37が端子部材を構成している。なお、導通接続材料としては、はんだSなどの溶融金属だけでなく、例えば、導電性材料を含む接着剤等を塗布するようにしてもよいことは言うまでもない。また、上述のように、はんだ付けや導電性接着剤での導通接続の他に、溶接(例えば、レーザ等でのスポット溶接)などにより導通接続してもよく、溶接の手段としては特に限定する必要もない。
【0022】
ここで、回路基板50は、圧力センサチップ11と外部機器Aとの間に介在して回路構成の一部として機能するようになっており、本実施形態においては、圧力センサチップ11および外部機器Aの異なる入出力電圧を調整するなど、例えば、外部機器Aの入力電圧DC12VやDC3.3Vを圧力センサチップ11の動作電圧DC5Vにするなど入出力電圧の変換調整回路が搭載されている。この種の変換調整回路は本実施形態に限らず、本実施形態とは異なる駆動・出力電圧の電圧出力形式、または2線式/3線式等の電流出力形式、あるいはデジタル出力形式など、様々な駆動電圧や圧力検出信号の信号方式に対応するための任意の変換調整回路である。なお、これらの変換調整回路は、図示されてはいない複数の電子部品が実装されることにより構成されている。
【0023】
ここで、端子台24は、円筒形の側壁部24sの開口側に端子台キャップ25が取り付けられて、リードピン40、中継接続端子36、37の端子片36d、36e、37dおよび回路基板50の設置空間SRが閉塞されており、圧力センサチップ11の支柱13がハーメチックガラス14で固定されているハウジング12と共に圧力センサユニット10を構築している。この圧力センサユニット10は、ハウジング12と継手部材30の連結されているキャップ28の外周縁部とがTIG溶接、プラズマ溶接、レーザ溶接等により外側から溶接されて所望の接合強度で一体化されている。この圧力センサユニット10が防水ケース20内に内装されてウレタン系樹脂などの封止材26が充填されることにより防水処理されつつ固定されている。ここで、端子台24および端子台キャップ25により設けられる設置空間SR内に回路基板50を配置することにより、回路基板50の周囲に熱伝導率の低い空気層を形成することができ、圧力センサ周囲や配管からの温度変化が急激に回路基板50に伝わることを防ぐことができる。また、回路基板50自体や、回路基板50に搭載されている実装部品、または回路基板50と中継接続端子36、37との接続箇所等が封止材26と接触しないように配置することで、周囲温度変化に伴う封止材26の収縮、膨張による機械的応力が、接続部材、実装部品、特にこれらのはんだ付け部分に作用することを防ぐことができる。
【0024】
そして、圧力センサユニット10は、継手部材30の連結されているキャップ28に固定されているハウジング12から端子台24、回路基板50、および端子台キャップ25までを載せるように積み重ねる(スタッキングする)手順(製造方法)で組み立てるようになっている。端子台24は、中継接続端子36、37を側壁部24sの端子保持部51、53にセットした後に、ハウジング12上に載せてリードピン40の端部を中継接続端子36の端子片36eにスポット溶接し、この後に、中継接続端子36、37の端子片36d、37d上に回路基板50を載せてはんだ付けすることで導通接続するようになっている。ここで、リードピン40の端面には中継接続端子36の端子片36eをスポット溶接に限らず、はんだ付け、かしめなどで導通接続してもよいことはいうまでもない。なお、端子台24の底面部24bには、組み立て作業可能に適宜に挿通孔などが開口されており、例えば、オイル充填用パイプ44の挿通孔24Hも開口されている。
【0025】
詳細には、端子台24は、
図3および
図4に示すように、側壁部24sに形成されている端子保持部51、53に中継接続端子36、37を取り付けて保持させるようになっている。
【0026】
中継接続端子36は、長尺の形状に形成されて延在する両端側に位置する一端側および他端側の端片(端子片)が互いに対面する形状、所謂、U字形状の平行方向に延長されている両端側の端子片36d、36eの間の平面部36fを端子台24の端子保持部51の外面に沿わせて、その端子片36d、36eを側壁部24s内に延長させるU字形状に形成されている。中継接続端子37は、同様に端子片37dを端子台24の側壁部24s内に延長させて端子保持部53の外面に平面状の接続面37fを沿わせつつ、その端子片37dの反対側を折り曲げた屈曲片37eを備えるU字形状に形成されている。この中継接続端子37の接続面37fには、外部機器Aからのリード線38の芯線Cがはんだ付けされて接続されることにより、圧力センサチップ11からリードピン40、中継接続端子36、37および回路基板50を介して外部機器Aまで電気的に接続される。
【0027】
端子保持部51、53は、中継接続端子36、37の端子片36d、36e、37d毎を差し込み可能に端子台24の側壁部(構成部)24sを貫通するスリット51a、51b、53aを備えている。この中継接続端子36、37の端子片36eおよび屈曲片37eに隣接する端子台24の側壁部24sの外面には窪み部51p、53pが形成されて防水ケース20内に充填される封止材26が進入することにより、端子台24と中継接続端子36、37が固定されるようになっている。
【0028】
ここで、中継接続端子36は、
図5に示すように、それぞれ形状の異なる中継接続端子36A~36Cの3つで1組に作製されて、端子片36dよりも端子片36eの方の間隔の狭くなる並列状態で端子台24の側壁部24s内部に差し込まれる形状に形成されている。この中継接続端子36は、端子片36eが小型の圧力センサチップ11に対応して支柱13を中心とした同一円状に配列されたリードピン40に接続させることから、中央に寄って幅狭間隔に並列されて延長される形状に形成されている。また、端子片36dは後述の回路基板50の凹部電極面50uと接続されるが、隣接する凹部電極面50uとの絶縁距離、およびはんだ付けなどの作業性を考慮して、端子片36eよりも広めの間隔に並列されて延長される形状に形成されている。なお、この中継接続端子36は、
図5(d)に示すように、3つで1組の中継接続端子36A~36Cをリードフレーム36LFで一体化した状態で打ち抜き形成した後に、端子片36d、36eをそれぞれ平面部36fに対して折り曲げて作製するようになっている。
【0029】
また、中継接続端子37は、
図6に示すように、中継接続端子37A~37C毎に同一形状に作製されており、端子片37dおよび屈曲片37eを同じ方向に折り曲げて端子台24の側壁部24s内部や窪み部53p内に差し込まれる形状に形成されている。この中継接続端子37は、幅広の接続面37fや屈曲片37eに対して端子片37dを幅狭に形成して両側に同一方向に折り曲げて端子保持部53の上部に食い込むように引っ掛ける係合片37gが形成されている。なお、端子台24は、中継接続端子37の屈曲片37eを進入させる窪み部53pが側壁部24sの端子保持部53に形成されているのと同様に、中継接続端子36の端子片36eを進入させる窪み部51pが側壁部24sの端子保持部51に形成されてスリット51bが形成されている。ここで、この中継接続端子36、37の端子片36eや屈曲片37eの進入する窪み部51p、53pには、防水ケース20内への封止材26の充填作業の前に、端子固定用接着剤26aを塗布して固定してもよい。このような構成とすることにより、端子台24から中継接続端子36、37の脱落、位置ずれなどを防ぐことができ、また端子片36d、36e、37dの端子台24の挿通部であるスリット51a、51b、53a部の極小の隙間から、端子台24内部への封止材26の漏出を防ぐことができる。
【0030】
これにより、中継接続端子36は、長尺の端子片36d、36eが端子保持部51の両外面を挟み込むように端子台24の側壁部24sに差し込まれることで引き抜きを抑制する状態で取り付けることができ、また、中継接続端子37は、端子片37dよりも屈曲片37eが短尺でも係合片37gが端子保持部53を屈曲片37eの間に挟み込むように引っ掛けられることで引き抜きを抑制する状態で取り付けることができる。このため、中継接続端子36、37は、端子片36eをリードピン40に安定姿勢でスポット溶接して導通接続することができるとともに、端子片36d、37eを回路基板50に安定姿勢ではんだ付けして導通接続することができる。
【0031】
これら中継接続端子36、37は、はんだ付けする端子片36d、37dや接続面37fに溶融はんだの濡れ性を良くするめっきMが施されており、後述の回路基板50の電極面50uとの接続不良の発生を低減し、導通接続可能に作製されている。また、中継接続端子37の接続面37fの隣接個所にもめっきMが施されており、リード線38の芯線Cとのはんだ付けにおいて、はんだの濡れ性を改善し、接続不良の発生を低減するようになっている。ここで、中継接続端子36、37は、はんだ付けに必要な領域のみにめっきMが施されて、それ以外の領域にはめっきMを施されていないので、溶融はんだの流れ出しは抑制されることになる。本例のようにめっきMによりはんだの濡れ性を良くする箇所を設けるほかに、はんだ付け面は金属素地表面の状態のままとし、はんだの流動を制限する箇所にレジスト、コーティングなどを施すなどを行っても良いことは明らかである。
【0032】
回路基板50は、
図7に示すように、中継接続端子36、37の端子片36d、37dに対応する個所の外周端面が、回路基板50の平面に対し平行な方向である内方側にU字形状に窪み、回路基板50の平面と直交する表裏両面側に開口する接続領域の凹壁電極面(凹壁面)50uが形成されている。この凹壁電極面50uは、回路基板50の外周端面から溶融はんだが全体(全面)に浸透し易い半円を内方に窪み距離Lだけ進入させて内面にはんだ濡れ性に優れるめっきMが施されている。すなわち、凹壁電極面50uは、回路基板50外周端面から、基板の内方に向かって深さLの小判状の切欠形状として形成されている。この凹壁面の内方に窪む形状を半円状とすることにより、はんだによるフィレット形成における凹壁面50u内部の応力が均等に作用する効果が期待できる。また回路基板50の製作工程においても、実装部品の取付穴の加工や、回路基板50の外形加工と同じ加工工具で製作することができる。矩形形状では円盤状のカッターでの加工等、別行程・別工具が必要であり、半円状とすることで、生産性、品質の面で有利である。
【0033】
これに対して、中継接続端子36、37の端子片36d、37dは、回路基板50の凹壁電極面50uよりも幅広に形成されているとともに、凹壁電極面50uの外周端面からの深さ(距離)Lよりも長めに形成されて、回路基板50を安定姿勢で載せることができるようになっている。さらに端子台24は、その回路基板50の四隅に形成されている角凹部50rに嵌まり込む支柱形状部54が側壁部24sの内面側に形成されて回路基板50を位置決めすることができるようになっている。すなわち、中継接続端子36、37の端子片36d、37dが回路基板50の凹壁電極面50u付近を支持する支持領域として機能する。なお、本実施形態では、中継接続端子36、37の端子片36d、37dに接続する双方の回路基板50の接続領域に凹壁電極面50uを形成するが、これに限るものではなく、凹壁電極面50uを形成せず回路基板50の外周端面で接続してもよいし、凹壁電極面50uをいずれか一方のみにしてもよいが、双方に形成するのが接続作業性や信頼性からすると好適である。
【0034】
これにより、回路基板50は、
図8(a)に示すように、安定姿勢で中継接続端子36、37の端子片36d、37dに載せられて端子台24の支柱形状部54に位置決めされる安定姿勢で保持されるとともに、その端子片36d、37dに
図8(b)に示す半円の凹壁電極面50u´よりも大容量でフィレット高さも十分な安定形状のはんだSにより凹壁電極面50uが信頼性高く導通接続されている。はんだ付け箇所である接続領域は回路基板50の裏側となってしまうため、接続領域を直接目視確認することはできない。しかし本実施形態の様に、凹壁部50u内部におけるフィレットの状態を目視若しくは画像認識等により管理することにより、はんだ付けが正常に行われたか否かを判断することができる。なお、回路基板50には、組み立て作業時にオイル充填用パイプ44を挿通する挿通孔50Hも開口されている。
【0035】
ここで、本実施形態のように、回路基板50を中継接続端子36、37の端子片36d、37dに載せてはんだ付けするという技術的思想に着想することができない場合には、例えば、
図13に示すように、回路基板150に形成する丸穴のスルーホール150hに、中継接続端子136の一端部を折り曲げて形成する接続部136dを貫通させてはんだ付けすることになる。このような場合、回路基板150の内方に接続領域を確保しなければならないため、接続領域よりも回路基板外周側に部品を配置することは困難であることから、回路基板150上の実装面積も減少してしまう。また、回路基板150およびそれに関連する端子台、端子台キャップ等の部品も実装部品、回路レイアウトに合わせて大型化する必要がある。また、接続部136dの位置や溶融はんだSの付着量がばらついて接続品質や作業性が低下してしまう。またはんだ付けを行うといわゆる「はんだボール」が発生する恐れがある。このはんだボールの所望しない箇所への飛散により回路のショートなどの不具合の発生が考えられる。この対策のために、はんだ付け条件などはんだボールの発生そのものを抑えるほかに、回路基板自体にはんだボール付着防止のマスクを行ない、回路へのはんだボールの飛散をガードすることも考えられる。本実施形態の様に回路基板外周側ではんだ付けを行うことにより、飛散する範囲の低減が可能であったり、回路基板へのマスクを簡易な方法で行うことができるため、不良の発生を抑制する効果もある。
【0036】
また、通常であれば、回路基板に形成されたはんだ付け接続部の上面側に端子片が載置するような構造とすることが考えられる。この場合、回路基板を端子台に載置したのち、端子片を基板上面側に折り曲げるという工程を経なければならない。すなわち、回路基板の端子台載置後、端子片の折り曲げという工程が必要であり、更に端子片のバックラッシュにより基板と端子が密着せず、はんだ付け不良の恐れがある。さらに、本実施形態に近づくように一歩進んで、例えば、
図14(a)に示すように、回路基板150の外周端面に接続箇所151uを形成したとしても、中継接続端子146の端子片146dが接続箇所151uよりも小さいのでは、
図14(b)に示すように、フィレットの形成が不十分であったり、
図14(c)に示すように、溶融はんだSでは不安定で適正姿勢を維持できずに斜めに傾斜する不適正姿勢で固定(固化)してしまう可能性が高い。
【0037】
このように、本実施形態の圧力センサ100の圧力センサユニット10においては、端子台24のスリット51a、51b、53aに中継接続端子36、37の端子片36d、36e、37dを差し込み、端子台24をハウジング12に載置し、そのうちの端子片36eをリードピン40にスポット溶接した後に、さらに、残りの端子片36d、37d上に回路基板50を載置し、回路基板50の凹部電極面50uと端子片36d、37dとをはんだ付け作業をすることで、外部機器Aに圧力センサチップ11を高品質に接続する組み立て作業(製造方法)を実行することができる。
【0038】
したがって、圧力センサチップ11と回路基板50とを簡易な構造で容易に組み立てて信頼性高く導通接続した圧力センサユニット10を構築することができ、その圧力センサユニット10を搭載する圧力センサ100を提供することができる。
【0039】
ここで、本実施形態の第1の他の態様としては、
図9(a)に示すように、端子台24のスリット53aに中継接続端子37の端子片37dを貫通順方向に差し込むだけでは引き抜き方向(貫通逆方向)に抵抗なく移動してしまう可能性があることから、その端子台24の側壁部(構成部)24sを貫通するスリット53aの内面に接触して移動を抑制する形状を備える方が有利である。このため、その中継接続端子37の端子片37dの表面には、例えば、
図9(b)に示す突起37pを形成してスリット53aの内面に引っ掛かるようにしたり、あるいは
図9(b)に示す湾曲形状37cを形成してスリット53aの内面を押圧する状態になるようにするのが有利である。
【0040】
さらに、本実施形態の第2の他の態様としては、端子台24のスリット53aに端子片37dを差し込んで回路基板50の凹壁電極面50uにはんだ付けする中継接続端子37は、外部機器Aからのリード線38の芯線Cを接続面37fにはんだ付けする必要もあることから、
図10(b)に大きな矢印で示すように、そのはんだ付け作業時に回路基板50の凹壁電極面50uと端子片37dとを導通接続するはんだSが再度溶融して接続面37f側に流れてしまう可能性があるが、その中継接続端子36、37の母材自体をめっきMよりもはんだの濡れ性に劣る導電性材料で作製することによって、
図10(a)に小さな矢印で示すように、めっきMの領域以外に溶融はんだが流れ出るのをより積極的かつ効果的に抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態の第3の他の態様としては、
図11に示すように、回路基板50に導通接続されているコンタクト(端子部材)71を備える雄タイプのコネクタ73を準備するようにしてもよく、そのコネクタ73に外部機器からの不図示の雌タイプのコネクタに容易に着脱(接続/遮断)可能にすることもできる(雄雌逆でもよい)。この第3の他の態様では、回路基板50はコンタクト71を介して導通接続するので、中継接続端子37やリード線38と共に端子保持部53も省略して端子台24に載置して支持するようにすればよく、また、コネクタ73も端子台キャップ25に代えて端子台24に設置する。ここで、この第3の他の態様では、回路基板50にコンタクト71を導通接続した後に、中継接続端子36の端子片36eをリードピン40にスポット溶接し、この後に、その中継接続端子36の端子片36dを回路基板50にはんだ付けしてコネクタ73の外装を被せるようにして組み立て製造する。なお、この組み立て作業の後に、防水ケース20との間の端子台24やコネクタ73との間に封止材26が充填される。
【0042】
また、本実施形態の第4の他の態様としては、
図12に示すように、上述の第3の他の態様における防水ケース20に代えて、加締め板75をコネクタ73に取り付けている。この加締め板75は、ハウジング12や端子台24の外周を覆ってある程度の防水機能を有するようにコネクタ73の加締め部73sに加締めて一体化することによって、封止材26の充填を省略可能な構造にしている。
【0043】
また、本実施形態の第5の他の態様として、図示することは省略するが、
図1の本実施形態の中継接続端子36、37のうちの一方に統一して共通にしてもよいことは言うまでもない。具体的には、端子部材の中継接続端子37を用いることなく、リード線38を端子部材の代わりとして端子台キャップ25を貫通させて回路基板50に直接はんだ付けなどして導通接続するようにしてもよい。または、中継接続端子37をそのままにして、接続部材の中継接続端子36を用いることなく、リードピン40を回路基板50に届くように延長し、接続部材の代わりとして回路基板50に直接はんだ付けなどして導通接続するようにしてもよい。
【0044】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により特定される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0045】
10……圧力センサユニット
11……圧力センサチップ
24……端子台
24b……底面部
24h……挿通孔
24s……側壁部
26……封止材
26a……端子固定用接着剤
30……継手部材
32……ダイヤフラム
36(36A~36C)、37(37A~37C)……中継接続端子
36d、36e、37d……端子片
36f……平面部
37e……屈曲片
37f……接続面
37c……湾曲形状
37g……係合片
37p……突起
38……リード線
40……リードピン
50……回路基板
50r……角凹部
50u……凹壁電極面
51、53……端子保持部
51a、51b、53a……スリット
51p、53p……窪み部
54……支柱形状部
71……コンタクト
73……コネクタ
100……圧力センサ
L……窪み距離
M……めっき
S……導通接続材料
SR……設置空間