(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176862
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】吊り具
(51)【国際特許分類】
B66D 3/10 20060101AFI20241212BHJP
B66D 3/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B66D3/10
B66D3/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095702
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】592176158
【氏名又は名称】マーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安東 大介
(57)【要約】
【課題】扱いやすい吊り具の提供。
【解決手段】吊上対象物に連結されるチェーンと、チェーンを介して吊上対象物を吊り下げる吊具本体部とを備え、吊具本体部は、吊上機に掛ける被掛部を含む外装部と、外装部に回転可能に取り付けられ且つ外周側面にチェーンと嵌合する嵌合部が形成されるホイールと、ホイールの回転を規制可能なロック機構と、ホイールの回転を制動するブレーキ機構とを有し、ホイールは外装部に対して上下動可能であり、ロック機構はホイールの上下動を許容した状態で上方に付勢する付勢手段と、ホイールの上下方向での配置変更により接離する対向一対の噛合部とを有し、一方の噛合部はホイールに固定され、他方の噛合部は外装部に固定され、ブレーキ機構は、ホイールに押し当てるブレーキシューと、ホイールへのブレーキシューの押当力を調整する調整手段とを有する吊り具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なチェーンであって、吊上対象物に連結されるチェーンと、
前記チェーンを介して吊上対象物を吊り下げる吊具本体部と、を備え、
前記吊具本体部は、吊上機に掛ける被掛部を含む外装部と、前記外装部に対して回転可能に取り付けられているホイールであって、外周側面に前記チェーンと嵌合する嵌合部が形成されるホイールと、前記ホイールの回転を規制した状態と前記ホイールの回転に対する規制を解除した状態とに切替可能なロック機構と、前記ホイールの回転を制動するブレーキ機構と、を有し、
前記ホイールは、前記外装部に対して上下動可能であり、
前記ロック機構は、前記ホイールの上下動を許容した状態で上方に向けて付勢する付勢手段と、上下方向で対向配置される一対の噛合部であって、前記外装部に対する前記ホイールの上下方向での配置変更に伴って接離する一対の噛合部と、を有し、
前記一対の噛合部のうちの一方は前記ホイールに固定され、
前記一対の噛合部のうちの他方は前記外装部に固定され、
前記ブレーキ機構は、前記ホイールに押し当てるブレーキシューと、前記ホイールに対する前記ブレーキシューの押当力を調整する調整手段と、を有する、
吊り具。
【請求項2】
前記ホイールの外周側面には、前記チェーンが嵌合する嵌合溝と、前記ブレーキシューが当接するブレーキ用当接部とが形成され、
前記ブレーキ用当接部は、前記嵌合溝の底部に形成される、
請求項1に記載の吊り具。
【請求項3】
前記調整手段は、前記外装体の外部に露出したレバーを有し、
前記レバーは、前記ホイールに対する前記ブレーキシューの押当力に応じて姿勢が変化するように構成される、
請求項1又は請求項2に記載の吊り具。
【請求項4】
前記吊具本体部は、前記ロック機構の前記ホイールの回転を規制する状態への切り替えを不能にする切替規制手段を有し、
前記切替規制手段は、外装部に設けられるとともに、前記外装部が前記チェーンの一端側又は他端側に傾いている状態において、前記ホイールを直接的又は間接的に下方側から抱持するように構成される、
請求項1又は請求項2に記載の吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物等を吊り上げる際に用いる吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記吊り具として、例えば、特許文献1に開示されているような、被揚重物に連結するロープと、ロープを介して被揚重物を吊り下げる本体部と、を備える吊滑車が知られている。
【0003】
本体部は、対向配置される一対のスナッチプレートと、一対のスナッチプレートの間に取り付けられている吊金物であって、揚重機に掛ける吊金物と、ロープを巻回するロープシーブであって、一対のスナッチプレートの間に回転可能な状態で取り付けられているロープシーブと、ロープシーブの回転を停止させるための停止手段と、を有する。
【0004】
ロープシーブと一対のスナッチプレートには、一本のシーブ軸が挿通されている。このシーブ軸は、スナッチプレートに対して上下方向において配置変更可能となるように構成されており、また、上下方向で伸縮するようにスナッチプレートに取り付けられたスプリングの上に載置されている。
【0005】
そのため、ロープシーブは、スプリングの付勢力よりも大きな荷重がかかっていなければ、スナッチプレートの上方側に寄せて配置された状態になっており、スプリングの付勢力よりも大きな荷重がかかるとスナッチプレートに対する配置位置が上方側から下方側に変更される。
【0006】
停止手段は、中空状(円環状)のロープシーブの内周面に形成されている波形状の内波形歯と、内波形歯に対して下方側から対向する状態でスナッチプレートの内側に固定される扇形体と、を有しており、扇形体の上面には内波形歯に噛合する外波形歯が形成されている。
【0007】
上記構成の吊滑車を用いて被揚重物を吊り上げる場合は、ロープをロープシーブの外周側面に巻回し、且つ両端を被揚重物に連結し、吊金物を揚重機に掛ける。
【0008】
このような状態で揚重機によって吊滑車が吊り上げられるが、揚重機で本体部を吊り上げ始めた際に被揚重物の重心位置が吊上中心線(本体部を吊り上げる位置を通り上下方向に延びる仮想線)からずれている場合は、ホイールが回転することによって本体部が被揚重物の重心側に動くため、被揚重物の重心位置と吊上中心線が重なるように本体部の配置位置が自動的に調整される。
【0009】
そして、被揚重物が地面から持ち上がるとロープシーブにスプリングの付勢力よりも大きな荷重がかかるため、スナッチプレートに対するロープシーブの配置位置が上方側から下方側に変更される。これに伴い、内波形歯と外波形歯とが噛合し、ロープシーブが回転しないようにスナッチプレートに固定されるため、被揚重物に対する本体部の配置位置が変わらないようにしつつ、被揚重物を吊り上げることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記構成の吊滑車では、内波形歯と外波形歯とが噛合してロープシーブが回転しないようにスナッチプレートに固定されるまでの間はロープシーブが自由に回転できる状態であるため、ロープシーブが意図しないタイミングで回転してしまうことがあり、扱いにくい点があった。
【0012】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、扱いやすい吊り具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の吊り具は、
長尺なチェーンであって、吊上対象物に連結されるチェーンと、
前記チェーンを介して吊上対象物を吊り下げる吊具本体部と、を備え、
前記吊具本体部は、吊上機に掛ける被掛部を含む外装部と、前記外装部に対して回転可能に取り付けられているホイールであって、外周側面に前記チェーンと嵌合する嵌合部が形成されるホイールと、前記ホイールの回転を規制した状態と前記ホイールの回転に対する規制を解除した状態とに切替可能なロック機構と、前記ホイールの回転を制動するブレーキ機構と、を有し、
前記ホイールは、前記外装部に対して上下動可能であり、
前記ロック機構は、前記ホイールの上下動を許容した状態で上方に向けて付勢する付勢手段と、上下方向で対向配置される一対の噛合部であって、前記外装部に対する前記ホイールの上下方向での配置変更に伴って接離する一対の噛合部と、を有し、
前記一対の噛合部のうちの一方は前記ホイールに固定され、
前記一対の噛合部のうちの他方は前記外装部に固定され、
前記ブレーキ機構は、前記ホイールに押し当てるブレーキシューと、前記ホイールに対する前記ブレーキシューの押当力を調整する調整手段と、を有する。
【0014】
上記構成の吊り具を用いて吊上対象物を吊り上げるには、両端を吊上対象物に連結したチェーンをホイールに掛け、且つ外装部の被掛部を吊上機に掛ける。
【0015】
ホイールに付勢手段の付勢力よりも大きな荷重がかかっていない間、ホイールはブレーキ機構の制動力を超えた外力がかかれば回転可能であるため、吊具本体部の配置位置をチェーンに沿って変更できる状態である。
【0016】
そして、外装部が吊上機によって引き上げられてホイールに付勢手段の付勢力よりも大きな荷重がかかると、ホイールがその場に留まり続けようとする一方で外装部が引き上げられ続けるため、外装部に対するホイールの配置位置が上方側から下方側に変更される。これに伴い、ホイールに固定されている噛合部と外装部に固定されている噛合部とが互いに噛合し、ホイールの回転が規制される。
【0017】
さらに、上記構成の吊り具では、調整手段によってホイールに対するブレーキシューの押当力を高めればホイールの回転を制動できるため、ホイールが意図しないタイミングで回転してしまうことを抑えることができ、これにより、扱いやすさを向上させることができるようになっている。
【0018】
本発明の吊り具において、
前記ホイールの外周側面には、前記チェーンが嵌合する嵌合溝と、前記ブレーキシューが当接するブレーキ用当接部とが形成され、
前記ブレーキ用当接部は、前記嵌合溝の底部に形成される、ようにしてもよい。
【0019】
上記構成の吊り具によれば、チェーンが嵌合する嵌合溝と、ブレーキシューが当接するブレーキ用当接部が一体に形成されるため、シンプルな構造でホイールを回転しにくい状態にする機能を発揮できるようになる。
【0020】
本発明の吊り具において、
前記調整手段は、前記外装体の外部に露出したレバーを有し、
前記レバーは、前記ホイールに対する前記ブレーキシューの押当力に応じて姿勢が変化するように構成される、ようにしてもよい。
【0021】
上記構成の吊り具によれば、レバーの向きを見ることによってブレーキ機構がホイールの回転動作に作用させている制動力の強さを確認できるようになり、これにより、扱いやすさが向上する。
【0022】
本発明の吊り具において、
前記吊具本体部は、前記ロック機構の前記ホイールの回転を規制する状態への切り替えを不能にする切替規制手段を有し、
前記切替規制手段は、外装部に設けられるとともに、前記外装部が前記チェーンの一端側又は他端側に傾いている状態において、前記ホイールを直接的又は間接的に下方側から抱持するように構成される、ものであってもよい。
【0023】
上記構成の吊り具は、吊上機によって外装部が斜め上方に引き上げられた状態になると(外装部が、いわゆる斜め引きされている状態になると)、切替規制手段によりホイールが直接的又は間接的に下方側から抱持された状態になるため、ホイールを外装部に対して下方側に配置変更できない状態になる。
【0024】
これに伴い、ロック機構によるホイールの回転を規制する状態への切り替えもできない状態になるため、ホイールを回転可能な状態のままにしておくことで、吊上対象物が横向きの力を受けたまま吊り上げられてしまうことを抑制でき、これにより、吊上対象物を安全に吊り上げることができるようになる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明の吊り具は、扱いやすいという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る吊り具の外観図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る吊り具の吊具本体部の正面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る吊り具の吊具本体部の外装部を除く部分の正面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る吊り具のホイールの説明図であり、(a)は
図4のV矢視図であり、(a)のB-B断面線での断面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る吊り具におけるロック機構でホイールの回転を規制する動作の説明図であり、(a)はロック機構によりホイールの回転が規制される前の状態の説明図であり、(b)はロック機構によりホイールの回転が規制されている状態の説明図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る吊り具の切替規制手段でロック機構の動作を制限する動作の説明図であって、(a)は切替規制手段によりロック機構の動作が制限される前の状態の説明図であり、(b)は切替規制手段によりロック機構の動作が制限されている状態の説明図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る吊り具の回転軸の斜視図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る吊り具の使用状態の説明図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る吊り具の使用状態の説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の別の実施形態に係る吊り具の説明図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る吊り具のロック機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態にかかる吊り具について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、上下方向及び左右方向は、
図1~
図4に示した状態による。
【0028】
本実施形態に係る吊り具1は、
図1に示すように、長尺なチェーン2であって、両端部が吊上対象物(例えば、重量物)に連結可能なチェーン2と、チェーン2を介して吊上対象物を吊り下げる吊具本体部3と、を備えている。
【0029】
チェーン2の長手方向における両端部には、カップリングや、フック、シャックル等の連結手段20が設けられており、この連結手段20によりチェーン2の両端部が吊下対象物に連結される。
【0030】
本実施形態のチェーン2は、複数のリング200を連結することによって構成されている。リング200は、楕円環状であり、互いに平行な一対の直線部200aと、隣り合う一方の直線部200aの端部と他方の直線部200aの端部とにつながる円弧部200bとを有する。
【0031】
吊具本体部3は、
図2に示すように、吊上機(例えば、クレーン等)に掛ける被掛部300を含む外装部30と、外周側面にチェーン2を掛けるホイール31であって、外装部30に対して回転可能に取り付けられているホイール31と、ホイール31の回転を規制した状態(ロック状態)とホイール31の回転に対する規制を解除した状態(ロック解除状態)とに切替可能なロック機構32と、ホイール31の回転を制動するブレーキ機構33と、ロック機構32のロック状態からロック解除状態への切り替えを不能にする切替規制手段34と、を有する。
【0032】
本実施形態の外装部30は、間隔を空けて対向配置される一対のプレート301と、一対のプレート301の間に配置されているローラシャフト302と、を有する。
【0033】
ローラシャフト302は、軸線方向における一方の端部が一方のプレート301に取り付けられ、軸線方向における他方の端部が他方のプレート301に取り付けられている。そして、本実施形態の吊り具1では、このローラシャフト302が被掛部300を構成している。
【0034】
ホイール31は、一対のプレート301の間に配置されている。また、ホイール31の中央部の貫通孔と、一対のプレート301(具体的には、一対のプレート301のそれぞれに形成されている後述する軸挿通部320)のそれぞれには回転軸P1が挿通されており、これにより、ホイール31は、外装部30に対して回転可能に取り付けられている。
【0035】
本実施形態のホイール31の外周側面には、
図4に示すように、チェーン2が嵌合する嵌合溝310と、後述するブレーキシュー35を当接させるブレーキ用当接部311と、が形成されている。
【0036】
嵌合溝310は、
図5(a)に示すように、ホイール31の外周側面で開口するように形成されており、また、ホイール31の外周側面全周に亘って連続するように形成されている。
【0037】
本実施形態の嵌合溝310は、ホイール31の外周側面に形成される深溝部310aであって、ホイール31の外周側面外周側面全周に亘って連続するように形成される深溝部310aと、ホイール31の外周側面に形成される複数の浅溝部310bであって、ホイール31の周方向に沿って並ぶように形成される複数の浅溝部310bと、を有する。
【0038】
複数の浅溝部310bのそれぞれの深さは、深溝部310aよりも浅くなっている(
図5(b)参照)。
【0039】
また、複数の浅溝部310bのそれぞれは、ホイール31の厚み方向において深溝部310aを介して並ぶように形成される一対の浅溝形成部310cを有する。
【0040】
一対の浅溝形成部310cのうちの一方の浅溝形成部310cは、深溝部310aに対してホイール31の厚み方向における一方側(深溝部310aの溝幅方向における一方側)に連続し、一対の浅溝形成部310cのうちの他方の浅溝形成部310cは、深溝部310aに対してホイール31の厚み方向における他方側(深溝部310aの溝幅方向における他方側)に連続している。
【0041】
なお、複数の浅溝部310bのそれぞれは、ホイール31の周方向で間隔をあけて並ぶように形成されている。
【0042】
図5(b)に示すように、浅溝部310bにはリング200が横向き(ホイール31の外周側面に対して横向き)の状態で入り、深溝部310aにはリング200が縦向き(ホイール31の外周側面に対して縦向き)の状態で入るように構成されている。そのため、ホイール31にチェーン2が掛けられた状態においては、浅溝部310bと横向きのリング200がホイール31の周方向において互いに係合するようになっている。
【0043】
ブレーキ用当接部311は、深溝部310aによって構成されている。つまり、深溝部310aは、縦向きのリング200が入る部分と、ブレーキ機構33(後述するブレーキシュー330)が入る部分とを兼ねている。
【0044】
ブレーキ用当接部311の底面は、径方向での断面が直線状になるように形成されており、この底面に対して後述するブレーキシュー330が当接する。なお、ホイール31の上方側にはチェーン2が掛けられるが、ホイール31の下方側は開放されたままの状態になるため、ホイール31の下方側からブレーキシュー330をブレーキ用当接部311の底面に当接させることができるようになっている。
【0045】
ロック機構32は、
図3に示すように、外装部30に形成される軸挿通部320であって、ホイール31に挿通されている回転軸P1が上下動可能な状態で挿通される軸挿通部320と、ホイール31の上下動を許容した状態でホイール31を上方に向けて付勢する付勢手段321と、上下方向で対向配置される一対の噛合部322、323であって、外装部30に対するホイール31の上下方向での配置変更に伴って接離する一対の噛合部322、323と、を有する。
【0046】
軸挿通部320は、外装部30に形成された長孔(上下方向に沿って延びる長孔)によって構成されている。そのため、回転軸P1は、軸挿通部320に挿通されている状態においては、上下方向への動きが許容される一方で、回転軸P1の左右方向への動きが規制されるようになっている。そして、回転軸P1が挿通されているホイール31もまた、回転軸P1が軸挿通部320に挿通されている状態においては、上下方向への動きが許容される一方で、左右方向への動きが規制されるようになっている。
【0047】
付勢手段321は、軸挿通部320に挿通された状態の回転軸P1を下側から受けている。また、付勢手段321は、軸挿通部320での回転軸P1の上下動を許容した状態で、回転軸P1を上方に向けて付勢しているため、回転軸P1が挿通されているホイール31も上下動が許容された状態で上方向きの付勢力を受けた状態になっている。
【0048】
そのため、ホイール31は、吊上機で外装部30を吊り上げる際に付勢手段321の付勢力よりも大きな荷重がかかると外装部30に対する配置位置が下方側に変わり、荷重が付勢手段321の付勢力を上回っている状態から下回った状態になると外装部30に対する配置位置が上方側に変わる(戻る)ようになっている。
【0049】
なお、付勢手段321の付勢力は、吊具本体部3の吊り上げに伴い、吊下対象物が接地面から離れるまで、一対の噛合部322,323が互いに噛合しないように保持する程度に設定されている。
【0050】
また、付勢手段321は、例えば、トーションばねのような、弾性変形可能な弾性体を用いて構成されていればよい。この場合、付勢手段321には、螺旋状であり且つ固定用の軸が内部に挿通される取付部321aと、取付部321aから延出する一対の延出部321bとが含まれており、一方の延出部321bが回転軸P1を押し上げている。
【0051】
一対の噛合部322,323のうちの一方の噛合部322は、ホイール31にボルト止めによって取り付けられたホイール側噛合部322であり、一対の噛合部323のうちの他方の噛合部323は、外装部30に取り付けられた状態で外装部30に対して上下に不動である外装側噛合部323である。
【0052】
ホイール側噛合部322と外装側噛合部323には、互いに噛合する歯部3220、3230が形成されている。
【0053】
ホイール側噛合部322は、円板状に形成されており、歯部3220は、ホイール側噛合部322の外面全周に形成されている。また、ホイール側噛合部322は、ホイール31の正面又は背面に固定されていればよい。
【0054】
さらに、ホイール側噛合部322は、ホイール31に対して同心であるため、付勢手段321の付勢力によって外装部30に対するホイール31の配置位置が下側に変わっていない状態においては、ホイール31が回転してもホイール側噛合部322の歯部3220と外装側歯部323の歯部3230との間隔が一定に保たれるようになっている。
【0055】
外装側噛合部323は、ホイール側噛合部322に対して下方側で並ぶ位置に配置され且つ歯部3230がホイール側噛合部322の歯部3220に対向する状態で外装部30(本実施形態ではプレート301の内面)に固定されている。
【0056】
ここで、ホイール側噛合部322と外装側噛合部323の配置関係について説明する。外装側噛合部323は、
図6(a)に示すように、ホイール側噛合部322の内側に配置されている。また、ホイール31に付勢手段321の付勢力よりも大きな荷重がかかっていない状態においては、外装部30に対するホイール31の配置位置は上方側になるため、外装側噛合部323はホイール側噛合部322に対向した状態でホイール側噛合部322から下方側に離れた位置に配置された状態になる。
【0057】
そして、吊具本体部3の吊り上げ時にホイール31に付勢手段321の付勢力よりも大きな荷重がかかると、ホイール31とともにホイール側噛合部322がその場に留まる一方で外装部30とともに外装側噛合部323が上方に吊り上げられるため、
図6(b)に示すように、外装部30に対するホイール31の配置位置が上方側から下方側に変わり、外装側噛合部323がホイール側噛合部322に接近し、外装側噛合部323の歯部3230とホイール側噛合部322の歯部3220が噛合する。
【0058】
なお、歯部3220と歯部3230は、丸みを帯びた波形の歯や、三角形状の歯等で構成できるが、本実施形態のように、歯部3220と歯部3230とが三角形状の歯で形成されていれば、ホイール31の周方向における歯部3220と歯部3230の接触面積を確保し易くなるため、歯部3230と歯部3230との噛合によりホイール31の回転を規制する効果を高めやすくなり、ホイール31の回転を最小限に抑えることができる。これに伴い、吊り上げ時における吊下対象物に対する吊具本体部3の位置(例えば、吊下対象物の重心位置に対する吊具本体部3の吊上中心線の位置)にずれが生じにくくなる。
【0059】
このように、本実施形態の吊具本体部3は、外装部30に対するホイール31の配置位置に応じてホイール31の回転が規制された状態と、ホイール31の回転への規制が解除された状態とに切り替わるように構成されている。
【0060】
ブレーキ機構33は、
図4に示すように、ホイール31に摺接させるブレーキシュー330と、ホイール31へのブレーキシュー330の押付力を調整する調整手段331と、を有する。
【0061】
ブレーキシュー330は、ブレーキ用当接部311の底面に常時当接しており、ホイール31が回転しようとした際、若しくはホイール31が回転した際にホイール31の回転に対する制動力を発生させるように構成されている。なお、ブレーキシュー330は、ブレーキ用当接部311の底面との間に摩擦力を起こすことができる材料で構成されており、例えば、鋼や、レジン材、焼結材等を用いることができる。
【0062】
調整手段331は、ブレーキシュー330をホイール31の径方向における内方に向けて押し操作する押操作部3310と、押操作部3310のブレーキシュー330への押付力を調整する調整操作部3311と、を有する。
【0063】
押操作部3310は、ホイール31の径方向においてブレーキシュー330に対して接離する方向で動くように構成されており、調整操作部3311は、押操作部3310をホイール31に接近する方向、又はホイール31から離間する方向に移動させる際に操作する部分となっている。
【0064】
押操作部3310は、一端がブレーキシュー330に当接する押操作軸3310aと、操作軸3310aをホイール31に対して接離する方向でスライド可能な状態で保持する軸保持部3310bと、操作軸3310aをホイール31から離れる方向に付勢する軸付勢部3310cと、を有する。
【0065】
調整操作部3311は、細長い形状のレバーによって構成されている。また、調整操作部3311は、長手方向における一端部と他端部の間の中間部が外装部30に対して回転可能に取り付けられている。
【0066】
調整操作部3311の長手方向における一端部は使用者によって引き操作される操作部3311aとして構成され、調整操作部3311の長手方向における他端部は、押操作軸3310aをホイール31側に向けて押し操作する軸押部3311bとして構成されている。
【0067】
本実施形態の調整手段331では、操作部3311aが下方側に引操作されると、調整操作部3311全体が回転し、軸押部3311bが上方に向かって動く。軸押部3311bは、上方に向かって動く際に、押操作軸3310aをホイール31側(ブレーキシュー330側)に向けて押し操作するため、押操作軸3310aがブレーキシュー330を押し、これにより、ホイール31の回転が抑制された状態になる。
【0068】
そして、操作部3311aに対する操作状態が解除されると、押操作軸3310aは軸付勢部3310cに押されてホイール31から離れる方向に動き、この押操作軸3310aに軸押部3311bが押し返されると(押し下げられると)、調整手段331が回転して元の状態に戻る。
【0069】
なお、本実施形態の調整操作部3311は、上述のようにレバーによって構成されているため、調整操作部3311の回し具合(引き具合)に応じて押操作部3310の位置(すなわち、ブレーキシュー330への押付力)を調整できるようになっている。
【0070】
また、軸押部3311bは、使用者が直接手に持って操作をしてもよいし、棒や紐を取り付けて引き操作してもよい。
【0071】
切替規制手段34は、
図7(a)に示すように、外装部30に対するホイール31の下方側への移動を規制する移動規制部340と、該移動規制部340を外装部30に対して回転自在に連結する連結軸341と、を有する。
【0072】
移動規制部340は、外装部30の上端部と下端部が上下方向で真っすぐに並ぶ正立状態においては外装部30に対するホイール31の配置位置の下方側への変更を可能とし、外装部30の上端部と下端部の位置がチェーン2の一端と他端が並ぶ方向でずれている傾斜状態においては外装部30に対するホイール31の配置位置の下方側への変更を不能とするように構成される。
【0073】
本実施形態の移動規制部340は、
図7(b)に示すように、外装部30が正立状態から傾斜状態に切り替わると回転軸P1に対して下方側から係合し(抱持し)、
図7(a)に示すように、外装部30が傾斜状態から正立状態に切り替わると回転軸P1から離れるように構成されている。
【0074】
本実施形態の移動規制部340は、回転軸P1から上方側に離れた位置において外装部30に回転自在に連結されている回転連結部3400と、回転連結部3400から延出する一対の係合爪部3401であって、互いの間に間隔をあけて横並びに配置される一対の係合爪部3401と、を有する。
【0075】
回転連結部3400とプレート301には連結軸341が挿通されており、これにより、回転連結部3400が連結軸341を中心として回転自在となるように構成されている。そのため、回転連結部3400は、外装部30に対して振り子のように揺動する。
【0076】
回転連結部3400は、一対の係合爪部3401の間に回転軸P1が介在した状態になる場所に配置されている。本実施形態の回転連結部3400はプレート301の外面に重ねて配置されている。また、回転連結部3400とプレート301には連結軸341が挿通されており、これにより、回転連結部3400がプレート301(外装部30)に対して回転自在となるように構成されている。
【0077】
係合爪部3401の先端部には、隣り合う係合爪部3401側に向かって突出する返し部3401aが形成されている。
【0078】
ここで、本実施形態の回転軸P1は、
図8に示すように、ホイール31の中央部に挿通される軸本体部P10と、軸本体部P10から軸本体部P10の軸線方向に沿って外向きに延出し、且つプレート301の軸挿通部320に挿通される被案内軸部P11と、被案内軸部P11の先端から前記軸線方向に沿って外向きに延出し、且つ移動規制部340が下方から係合する被係合部P12と、を備えている。
【0079】
軸本体部P10は円筒状であるが、被案内軸部P11の両端面(上下方向と軸線方向に直交する横方向における両端面)は軸挿通部320の形状に合わせて平坦面になっており、また、被係合部P12の底面は、返し部3401aが下方側から係合可能な平坦面になっている。なお、回転軸P1を軸方向から見ると、被係合部P12は半円状に形成されているが、係合爪部3401の返し部3401aが係合可能であれば、半円状とは別の形状であってもよい。
【0080】
また、被案内軸部P11と被係合部P12は、軸本体部P10の一方側の端部又は他方側の端部のみに形成されていてもよいし、軸本体部P10の一方側の端部と他方側の端部の両方に形成されていてもよい。
【0081】
外装部30が正立状態である場合、回転連結部3400は回転軸P1の上方に配置され、一対の係合爪部3401は回転軸P1の両側(左方側と右方側に離れた位置)に配置される。各係合爪部3401の返し部3401aも、回転軸P1の両側に配置される。この場合、外装部30に対するホイール31の配置位置が上方側から下方側に変わる際においても回転軸P1には非接触のままであるため、ホイール31は配置位置の変更が可能な状態である。つまり、ロック機構32によりホイール31の回転を規制可能な状態である。
【0082】
外装部30が正立状態から傾斜状態に変わる際、外装部30とともに回転軸P1が横方向に動く。このとき、連結軸341及び移動規制部340も横方向に動くが、一対の係合爪部3401は垂下した姿勢が維持されるため、移動規制部340は、回転軸P1に対して相対的に回転した状態になり、係合爪部3401が被係合部P12の下側に回り込んだ状態になる。
【0083】
この場合、外装部30に対するホイール31の配置位置が上方側から下方側に変わろうとしても、ホイール31が切替規制手段34によって外装部30に引き留められた状態になるため、外装部30に対するホイール31の配置位置が上方側から下方側に変更できない状態になる。これにより、ロック機構32によってホイール31の回転を規制できない状態になる。
【0084】
本実施形態に係る吊り具1の構成は、以上の通りである。続いて、吊り具1の使用方法を説明する。
【0085】
吊り具1を用いて吊上対象物Oを吊り上げる場合、チェーン2をホイール31の外周側面に掛け、且つ両端を吊上対象物Oに連結する。
【0086】
ホイール31はブレーキ機構33から制動力を受けているため、
図1に示すようにチェーン2のホイール31に掛止されている位置から一端までの長さ(以下、一端側の長さと称する)と、チェーン2のホイール31に掛止されている位置から他端までの長さ(以下、他端側の長さと称する)とが不均等な状態であっても、ホイール31が回転しないため、この状態を保つことができる。そのため、吊下対象物Oの重心の位置に応じて、チェーン2の一端側の長さと他端側の長さを大まかに調整しておくことができる。
【0087】
そして、被掛部300を吊上機に掛けて、吊具本体部3の配置位置を調整する。
【0088】
吊具本体部3を吊り上げる前の状態においては、ホイール31には付勢手段321の付勢力よりも大きな荷重がかかっていない。そのため、ホイール31は、付勢手段321の付勢力によって外装部30に対して上方側に寄せられた状態になっている(
図6(a)参照)。このとき、外装側噛合部323の歯部3230とホイール側噛合部322の歯部3220とは互いに離間しているため、ホイール31はブレーキ機構33から制動力を受けているが、回転可能な状態である。
【0089】
そして、吊具本体部3の配置位置を調整する場合は、ホイール31を回転させながら吊具本体部3をチェーン2の一端側又は他端側に移動させる。例えば、吊具本体部3の配置位置は、
図8、
図9に示すように、吊上対象物Oの重心Gに合わせて設定してもよいが、吊上対象物の重心Gからずれた位置に設定されることもある。この際、調整操作部3311をレバー操作してブレーキ機構33がホイール31に与えている制動力を弱めれば、吊具本体部3を容易に移動させることができるようになる。
【0090】
なお、本実施形態のブレーキ機構33は、調整手段331によりホイール31へのブレーキシュー330の押付力を調整できるため、ホイール31が回転可能な範囲でホイール31の回転に対する制動力を発生させていれば、ホイール31が回転しすぎないようにすることができる。このように、ホイール31に余計な回転が起こらないようにすることによって、吊具本体部3の位置を調整し易くすることができる。
【0091】
そして、吊上機で吊具本体部3を吊り上げる。なお、吊上機で吊具本体部3を吊り上げ始める際に吊上対象物Oの重心Gの位置が吊上中心線CL(吊具本体部3を吊り上げる位置を通り上下方向に延びる仮想線)からずれている場合は、吊具本体部3をブレーキ機構33の制動力よりも大きな力でチェーン2の一端側又は他端側に向けて引けば、ホイール31が回転することによって吊具本体部3の配置位置をチェーン2の一端側又は他端側に移動させることができる。従って、吊具本体部3の吊り上げ時に吊上対象物Oの重心Gの位置と吊上中心線CLとが重なるように吊具本体部3の配置位置が自動的に調整される。
【0092】
さらに、外装部30に対するホイール31の配置位置が上方側から下方側に変更され、ホイール側噛合部322の歯部3220と外装側噛合部323の歯部3230が噛合するとホイール31の回転が完全に規制される。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る吊り具1によれば、上述のように、調整手段331によってホイール31に対するブレーキシュー330の押当力を高めればホイール31の回転を制動できるため、ホイール31が意図しないタイミングで回転してしまうことを抑えることができ、これにより、扱いやすさを向上させることができるようになっている。
【0094】
さらに、本実施形態の吊り具1では、ホイール31よりも大きい外径で形成したホイール側噛合部322の外周縁部にホイール側噛合部322の歯部3220を形成しているため、歯部3220にかかる負荷が小さくなるようにしている。また、歯部3220にかかる負荷が小さくなる分、歯部3220を小さくして歯部3220の数を増やすことができるようになる。
【0095】
また、本実施形態の吊り具1では、チェーン2が嵌合する嵌合溝310と、ブレーキシュー330が当接するブレーキ用当接部311が一体に形成されるため、シンプルな構造でホイール31を回転しにくい状態にする機能を発揮できるようになる。
【0096】
さらに、ブレーキ機構33は、ホイール31の回転に対する制動力を調整する調整手段331がレバーにより構成されているため、作業者がレバーの向きを見ることによってブレーキ機構33がホイール31の回転動作に作用させている制動力の強さを確認できるようになり、これにより、扱いやすさが向上する。
【0097】
そして、本実施形態の吊り具1は、吊上機によって外装部30が斜め上方に引き上げられた状態になると(外装部30が、いわゆる斜め引きされている状態になると)、切替規制手段34によってロック機構32でホイール31の回転を規制できない状態になるため、ホイール31を回転可能な状態のままにしておくことで、吊上対象物Oが横向きの力を受けたまま吊り上げられてしまうことを抑制でき、これにより、吊上対象物Oを安全に吊り上げることもできるようにもなる。
【0098】
なお、本発明に係る吊り具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0099】
上記実施形態において特に言及しなかったが、ホイール側噛合部322と外装側噛合部323は、ホイール31の正面側又は背面側のみに配置されていてもよいし、ホイール31の正面側と背面側の両方に配置されていてもよい。
【0100】
上記実施形態において、付勢手段321は、回転軸P1を下から押し上げるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、付勢手段321は、回転軸P1を上から引き上げるように構成されていてもよい。
【0101】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、ホイール側噛合部322の歯部3220も、外装側噛合部323の歯部3230も歯幅を大きくすれば強度が高まる。また、ホイール側噛合部322と外装側噛合部323をホイール31の一方側と他方側とに設置してホイール31を両側で受け持つようにすることも可能である。
【0102】
上記実施形態において付勢手段321は、トーションばねで構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、付勢手段321は、板ばねや、竹の子ばねや、引っ張りコイルばねによって構成されていてもよい。
【0103】
また、付勢手段321は、
図11に示すように、圧縮コイルばねによって構成されていてもよい。この場合、ロック機構32は、付勢手段321の付勢力を受けて回転軸P1(具体的には、回転軸P1の被係合部P12)を押し上げる押上部324と、付勢手段321の圧縮力を調整する調整機構325とを有するように構成されていてもよい。
【0104】
押上部324は、
図12に示すように、回転軸P1の被係合部P12の下面に当接する当接頭部3240と、当接頭部から下向きに延出する第1延出軸3241と、第1延出軸3241の先端から下向きに延出する第2延出軸3241と、を有する。
【0105】
当接頭部3240の上面は、上述のように回転軸P1の被係合部P12の下面に当接しており、当接頭部3240の下面は、付勢手段321に当接している。
【0106】
第1延出軸3241は、当接頭部3240よりも小径であり、第2延出軸3242は、第1延出軸3241よりも小径である。また、第1延出軸3241と第2延出軸3242は、付勢手段321の内側に挿通されている。
【0107】
調整機構325は、外装部に固定されているベース部3250と、ベース部3250に対して上下動可能に取り付けられている可動部3251と、付勢手段321の下端を受ける下受部3252であって、可動部3251とともに上下動するように構成される下受部3252と、を有する。
【0108】
図12に示す可動部3251は、ボルト状に形成されており、ベース部3250に螺合している。具体的に説明すると、可動部3251は、外周面にねじ山が形成されており、ベース部3250に形成されているねじ穴に螺合可能な可動軸部3251aと、可動軸部3251aの軸線方向における一端(下端)に連設されている可動頭部3251bと、を有する。
【0109】
図12に示す可動部3251は、ボルト状に形成されており、ベース部3250に螺合している。具体的に説明すると、可動部3251は、外周面にねじ山が形成されており、ベース部3250に形成されているねじ穴に螺合可能な可動軸部3251aと、可動軸部3251aの軸線方向における一端(下端)に連設されている可動頭部3251bと、を有する。
【0110】
また、可動軸部3251aには、軸線方向における他端(上端)で開口する挿込凹部3251cであって、第2延出軸2342が上下方向においてスライド可能となるように
挿込凹部3251cが形成されている。
【0111】
下受部3252は、円環状であり、可動軸部3251aの先端に載置され且つ中央部には第2延出軸3242が挿通されている。
【0112】
かかる構成のロック機構32は、可動軸部3251aの上下位置を調整することによって付勢手段321の圧縮量を変更することができ、これにより、回転軸P1を押し上げる力を調整できるようになっている。
【0113】
上記実施形態において、ホイール側噛合部322は、平歯車形状であったが、平歯車形状以外の形状であってもよい。
【0114】
上記実施形態では、ホイール側噛合部322が円板状に形成され、歯部3220が外周縁部全周に亘って形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、ホイール側噛合部322は、円環に形成され、歯部3220が内周縁部全周に亘って形成されていてもよい。但し、ホイール側噛合部322を円板状として外周縁部に歯部3220を形成する場合の方が、ホイール側噛合部322の外径を大きくし易いため、歯部3220のサイズを小さくし易くなり、また、歯部3220の数を増やし易くなるため、ホイール側噛合部322の歯部3220にかかる荷重(負担)を小さくすることができるようになる。
【符号の説明】
【0115】
1…吊り具、2…チェーン、3…吊具本体部、20…連結手段、30…外装部、31…ホイール、32…ロック機構、33…ブレーキ機構、34…切替規制手段、300…被掛部、301…プレート、302…ローラシャフト、310…嵌合溝、311…ブレーキ用当接部、320…軸挿通部、321…付勢手段、322…噛合部、322…ホイール側噛合部、323…外装側噛合部、330…ブレーキシュー、331…調整手段、340…移動規制部、341…連結軸、3220…歯部、3230…歯部、3310…押操作部、3311…調整操作部、3400…回転連結部、3401…係合爪部、3401a…返し部、P1…回転軸、P10…軸本体部、P11…被案内軸部、P12…被係合部