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特開2024-176870ランドセル金具代替品及びランドセル
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  • 特開-ランドセル金具代替品及びランドセル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176870
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ランドセル金具代替品及びランドセル
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A45F3/04 400J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095713
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】506071988
【氏名又は名称】有限会社はなさき屋
(71)【出願人】
【識別番号】592194107
【氏名又は名称】モミジヤ鞄材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】綿田 亮
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA24
3B045CE00
3B045CE04
3B045GA03
3B045GB02
3B045GC01
3B045GD08
(57)【要約】
【課題】実用可能なランドセル金具代替品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂製の基材100の表面にプライマ層101が形成され、プライマ層101の表面に蒸着メッキ層102が形成され、蒸着メッキ層102の表面に保護膜層103が形成されている。不連続膜によって蒸着メッキ層102が形成されていることが好ましい。また、保護膜層103が着色されていてもよい。基材100表面に蒸着メッキ層102が形成されていない非メッキ部104が設けられていてもよい。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂製の基材の表面にプライマ層が形成され、プライマ層の表面に蒸着メッキ層が形成され、蒸着メッキ層の表面に保護膜層が形成されている、ランドセル金具代替品。
【請求項2】
不連続膜によって蒸着メッキ層が形成されている、請求項1記載のランドセル金具代替品。
【請求項3】
保護膜層が着色されている、請求項1又は2記載のランドセル金具代替品。
【請求項4】
基材表面に蒸着メッキ層が形成されていない非メッキ部が設けられている、請求項1又は2記載のランドセル金具代替品。
【請求項5】
非メッキ部が、他の部品と重なる部分に設けられている、請求項4記載のランドセル金具代替品。
【請求項6】
基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂を含むアロイ、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むアロイ、コポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ABS樹脂のいずれかからなる、請求項1又は2記載のランドセル金具代替品。
【請求項7】
基材が、錠前の台座、ダルマ環、背環の縁金、背環の揺動アーム、揺動アームに取り付けられる連結環、吊具、バックルのいずかである、請求項1又は2記載のランドセル金具代替品。
【請求項8】
請求項1又は2記載のランドセル金具代替品を用いた、ランドセル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ランドセル金具の代替品及びそれを用いたランドセルに関する。
【背景技術】
【0002】
錠前等のランドセル金具は、その名の通り、金属製であることが一般的である。ただ、特許文献1には、錠前のベースを合成樹脂の一体成型品とし、金属メッキを施すことが記載されている。すなわち金具ではなく金具代替品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-215550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には金具代替品について詳しい説明は無く、従って実用性に疑義がある。例えば金属メッキとして湿式メッキを用いると、剥がれたメッキで怪我をするおそれがあるが、そのような点にまで配慮しているのか不明である。
【0005】
本発明は、実用可能なランドセル金具代替品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のランドセル金具代替品は、熱可塑性樹脂製の基材100の表面にプライマ層101が形成され、プライマ層101の表面に蒸着メッキ層102が形成され、蒸着メッキ層102の表面に保護膜層103が形成されていることを特徴としている。
【0007】
上記ランドセル金具代替品は、不連続膜によって蒸着メッキ層102が形成されていることが好ましい。
【0008】
さらに、保護膜層103が着色されていてもよい。または、基材100表面に蒸着メッキ層102が形成されていない非メッキ部104が設けられていてもよい。この場合、非メッキ部104が、他の部品と重なる部分に設けられていることが好ましい。
【0009】
また、基材100が、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂を含むアロイ、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むアロイ、コポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ABS樹脂、のいずれかからなることが好ましい。
【0010】
また、基材100が、錠前30の台座31、ダルマ環32、背環40の縁金44、背環40の揺動アーム42、揺動アーム42に取り付けられる連結環43、吊具50、バックル60のいずかであることが好ましい。
【0011】
本発明のランドセルは、上記いずれかのランドセル金具代替品20を用いていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明のランドセル金具代替品であれば、剥がれたメッキで怪我をするおそれが基本的に無い。すなわちランドセル金具代替品として実用可能である。
【0013】
不連続膜によって蒸着メッキ層が形成されている場合、メッキが大きな塊として剥がれることが無く、剥がれたメッキによる怪我をより一層抑制することができ、ランドセル金具代替品として好適である。
【0014】
保護膜層が着色されている場合、様々な色調のランドセル金具代替品が得られる。
【0015】
基材表面に蒸着メッキ層が形成されていない非メッキ部が設けられている場合、例えばコスト削減を図ることができる。
【0016】
非メッキ部が、他の部品と重なる部分に設けられている場合、例えば非メッキ部を設けているにもかかわらず見栄えを維持することができる。
【0017】
基材が、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂を含むアロイ、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むアロイ、コポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ABS樹脂のいずれかからなる場合、高い耐久性が得られる。
【0018】
基材が、錠前の台座、ダルマ環、背環の縁金、背環の揺動アーム、揺動アームに取り付けられる連結環、吊具、バックルのいずかである場合、ランドセルの軽量化に貢献し易い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るランドセルの斜視図である。
図2】ランドセルを底側から見た図である。
図3図3Aが背環の平面図、図3Bが吊具の斜視図、図3Cがバックルの正面図である。
図4】ランドセル金具代替品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るランドセルについて説明する。ランドセル1は、ランドセル本体10と、ランドセル本体10に取り付けられたランドセル金具代替品20(図4参照)とを備えている。
【0021】
ランドセル本体10は、図1に示すように、上部に開口11aを有する略箱状の収容部11と、収容部11の背当て(ランドセル1を背負った際、使用者の背中に当たる面)11bの上端から延びて収容部11の開口11aを覆うように塞ぐ蓋部12と、背当て11bの上端近傍から収容部11の底面11cにかけて設けられた一対の肩ベルト13とを備えている。
【0022】
ランドセル金具代替品20は、例えば、蓋部12の下端を収容部11の底面11cに固定するための錠前30(図2参照)や、背当て11bと肩ベルト13とを連結する背環40(図3A参照)、防犯ブザー等を吊り下げるための吊具50(図3B参照)、肩ベルト13の長さ調整に用いられるバックル60(図3C参照)である。ただ、これに限らず、ランドセル1に用いられる金具、例えば装飾用の部品等も含まれる。
【0023】
錠前30は、図2に示すように、台座31と、台座31の両端近傍に取り付けられた一対のダルマ環32と、台座31の中央に取り付けられたロックユニット33とを備えている。ダルマ環32は肩ベルト13を連結するための部材であり、ロックユニット33は蓋部12の下端に取り付けられた部材(下がり)12aを着脱可能に固定するための部材である。
【0024】
背環40は、図3Aに示すように、基体41と、基体41に揺動可能に取り付けられた一対の揺動アーム42と、揺動アーム42に取り付けられた連結環43と、基体41の上部付近を縁取る縁金44とを備えている。連結環43は、揺動アーム42と肩ベルト13とを連結するための部材である。揺動アーム42は、肩ベルト13を揺動可能に支持するための部材である。
【0025】
吊具50は、例えばナスカンやDカンである。ただ、環状のものであって物を吊り下げ可能なものであればよい。ナスカンは、図3Bに示すように、フック部51と、バネ部52とを備えている。
【0026】
バックル60は、図3Cに示すように、ガク61とツク棒62とを備えている。
【0027】
ランドセル金具代替品20は、その一部又は全体が熱可塑性樹脂製である。例えば、錠前30については台座31とダルマ環32とを熱可塑性樹脂製とすることが好ましい。もちろん、錠前30全体を熱可塑性樹脂製としてもよい。背環40であれば、揺動アーム42、連結環43、縁金44を熱可塑性樹脂製とすることが好ましい。もちろん、背環40全体を熱可塑性樹脂製としてもよい。吊具50については、ナスカンのようにバネ部52を備えるものについてはバネ部52以外のフック部51を、Dカンのようにバネ部52を備えないものについては全体を熱可塑性樹脂製とすることが好ましい。バックル60は全体を熱可塑性樹脂製としてもよいし、ガク61とツク棒62のどちらかを熱可塑性樹脂製としてもよい。
【0028】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂を含むアロイ、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むアロイ、コポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ABS樹脂のいずれかからなることが好ましい。
【0029】
熱可塑性樹脂製の部分を基材100とすると、この基材100の表面にメッキが施されている。具体的には、図4に示すように、基材100の表面に、基材100と蒸着メッキ層102とを密着させるためのプライマ層101が形成され、プライマ層101の表面に蒸着メッキ層102が形成され、蒸着メッキ層102の表面に保護膜層103が形成されている。
【0030】
プライマ層101及び保護膜層103は、例えばアクリルウレタン系塗料である。なお、アクリル系塗料やUV硬化型塗料等でもよい。
【0031】
金属成膜(蒸着メッキ層102の形成)にあたっては、例えば高周波イオンプレーティング法を用いる。高周波イオンプレーティング法を採用することにより、真空蒸着法に比べて結晶構造の指向性を持たせることができ、密着性を向上させることができる。すなわち、高い耐久性が得られる。ただ、真空蒸着法であってもよい。使用する金属は、例えば銅(Cu)とスズ合金(Sn合金)である。なお、インジウム(In)でもよい。蒸着メッキ層の厚みは例えば1.0~1.2μmである。例えばCuの厚みをおよそ1.0μmとして、Sn合金の厚みをおよそ0.2μmとする。
【0032】
蒸着メッキ層102は不連続膜によって形成されていることが好ましい。なお、不連続膜とは、金属粒子の集合体からなる島が互いに隙間を開けた状態で無数に存在する島状構造をなしており、金属が連続した膜を形成していない状態であるものを指す。従って、電気的抵抗が高い。また、島同士の間の隙間によって透光性を有する。また、ハーフミラーとなり、基材100の色調が蒸着メッキ層102を通して表面に現れる。
【0033】
基材100表面には、蒸着メッキ層102が形成されていない非メッキ部104が設けられていることが好ましい。非メッキ部104が、他の部品と重なる部分に設けられていることが好ましい。例えば、錠前30の台座31であれば、ランドセル本体10に取り付けた際にランドセル本体10側となる面を非メッキ部104とする。ダルマ環32であれば、錠前30の台座31に取り付けた際に台座31側になる面を非メッキ部104とする。背環40の縁金44であれば、縁金44を背当て11bに取り付けた際に背当て11b側になる面を非メッキ部104とする。揺動アーム42であれば、基体41内に収容される部分を非メッキ部104とする。要は、使用状態において目視できない、又は目視し辛い部分を非メッキ部104とすることが好ましい。ただ、目視できる部分にあえて非メッキ部104を設け、メッキを施しているメッキ部とで模様や絵等を描いてもよい。なお、非メッキ部104は、例えばメッキを施す前にマスキングを施すことで形成される。
【0034】
蒸着メッキ層102の表面に形成される保護膜層103は着色されていてもよい。着色を施すことによって、蒸着メッキ層102で使用される金属の色とは異なる色調とすることができる。着色の方法としては、例えば塗料中に顔料や染料を混合することで行う。
【0035】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 ランドセル
10 ランドセル本体
11 収容部
11a 開口
11b 背当て
11c 底面
12 蓋部
12a 下がり
13 肩ベルト
20 ランドセル金具代替品
30 錠前
31 台座
32 ダルマ環
33 ロックユニット
40 背環
41 基体
42 揺動アーム
43 連結環
44 縁金
50 吊具
51 フック部
52 バネ部
60 バックル
61 ガク
62 ツク棒
100 基材
101 プライマ層
102 蒸着メッキ層
103 保護膜層
104 非メッキ部

図1
図2
図3
図4