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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176875
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】光学式レベル検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G01F23/292 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095720
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】池上 幸紀
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014FA02
(57)【要約】
【課題】複数の光学検出体を用いて液体のレベルを検出する際に、光学検出体の異常を判別する。
【解決手段】複数の光学検出体110を有するセンサ部100と、制御部200とを備える光学式レベル検出装置1であって、複数の光学検出体110の各々は、発光体111、プリズム113、導光部117、及び受光体112を備え、プリズム113は、液体中において発光体111からの光を透過し、液体外において発光体111からの光を反射して受光体112に導くよう構成され、導光部117は、発光体111からの光の一部を受光体112に導くよう構成され、制御部200は、複数の光学検出体110の各々が備える発光体111を発光させ、複数の光学検出体110に各々が備える受光体112から出力される電圧を、液体の有無を検出する第1の閾値及び当該光学検出体110の故障を診断する第2の閾値と比較する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学検出体(110)を有するセンサ部(100)と、制御部(200)とを備える光学式レベル検出装置(1)であって、
前記複数の光学検出体(110)の各々は、
発光体(111)、プリズム(113)、導光部(117)、及び受光体(112)を備え、
前記プリズム(113)は、液体中において前記発光体(111)からの光を透過し、液体外において前記発光体(111)からの光を反射して前記受光体(112)に導くよう構成され、
前記導光部(117)は、前記発光体(111)からの光の一部を前記受光体(112)に導くよう構成され、
前記制御部(200)は、
前記複数の光学検出体(110)の各々が備える前記発光体(111)を発光させ、
前記複数の光学検出体(110)に各々が備える前記受光体(112)から出力される電圧を、液体の有無を検出する第1の閾値及び当該光学検出体(110)の異常を判別する第2の閾値と比較する、
光学式レベル検出装置。
【請求項2】
前記導光部(117)は、前記プリズム(113)により反射される光より少ない量の光を前記発光体(111)から前記受光体(112)に導くよう構成される、
請求項1に記載の光学式レベル検出装置。
【請求項3】
前記発光体(111)と前記受光体(112)との間に遮光部(115)が設けられ、
前記導光部(117)は、光透過部(117a)を備え、
前記光透過部(117a)は、前記遮光部(115)のいずれかの位置に設けられる、
請求項2に記載の光学式レベル検出装置。
【請求項4】
前記導光部(117)は、反射部(117b)を備え、
前記反射部(117b)は、前記プリズム(113)を透過しようとする前記発光体(111)からの光の一部を反射して前記受光体(112)に導くよう構成される、
請求項2に記載の光学式レベル検出装置。
【請求項5】
前記受光体(112)から出力される前記電圧は、
前記複数の光学検出体(110)の各々が液体外に位置する時に、前記プリズム(113)により反射された前記発光体(111)からの光を受光した前記受光体(112)から出力される第1電圧と、
前記複数の光学検出体(110)の各々が液体中に位置する時に、前記導光部(117)により導かれた前記発光体(111)からの光を受光した前記受光体(112)から出力される第2電圧と、
前記複数の光学検出体(110)の各々の前記発光体(111)または前記受光体(112)の異常の時に前記受光体(112)から出力される第3電圧と、
のいずれかの状態にあり、
前記制御部(200)は、
各々の前記受光体(112)から出力される前記第1電圧、前記第2電圧、及び前記第3電圧のうちのいずれかを、前記第1の閾値及び前記第2の閾値と比較する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学式レベル検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式レベル検出装置に関し、特に、複数の光学検出体を用いて液体のレベルを検出する際に、複数の光学検出体のいずれかの異常を判別可能な光学式レベル検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に貯留された燃料等の液体のレベル(液面の高さ)を検出するためのレベル検出装置が知られている。このレベル検出装置では、発光体と受光体と直角プリズムからなる光学検出体を垂直方向に複数備え、直角プリズムにおける光の反射と透過との違いにより、液体のレベルを検出するように構成されている。この種の光学式レベル検出装置は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-110663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された光学式レベル検出装置は、発光体と受光体と直角プリズムとを用いた光学検出体を垂直方向に複数個設けて構成される。光学検出体が液体中に位置する場合、発光体から照射された光は、直角プリズムの90°の角に接する面から液体に向けて進む。よって、発光体から照射された光は、受光体に到達しない。
一方、光学検出体が液体中に位置せず、液体外に位置する場合、発光体から照射された光は、直角プリズムの90°の角で反射され、受光体に向けて進む。よって、発光体から照射された光は、受光体に到達する。このようにして、複数の光学検出体の各々における受光信号の有無により、液体のレベルを検出することができる。
【0005】
一方、複数の光学検出体のいずれかにおいて、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、受光体から受光信号が出力されないことがある。この場合、受光体から受光信号が出力されない現象は、光学検出体110が液体中に位置するのと同じ状態であり、区別できない。このため、光学検出体の異常を判別することが困難であるという問題があった。
【0006】
このため、光学式レベル検出装置において、光学検出体の異常を判別できることが望まれていた。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、複数の光学検出体を用いて液体のレベルを検出する際に、光学検出体の異常を判別することが可能な光学式レベル検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る光学式レベル検出装置は、複数の光学検出体を有するセンサ部と、制御部とを備える光学式レベル検出装置であって、複数の光学検出体の各々は、発光体、プリズム、導光部、及び受光体を備え、プリズムは、液体中において発光体からの光を透過し、液体外において発光体からの光を反射して受光体に導くよう構成され、導光部は、発光体からの光の一部を受光体に導くよう構成され、制御部は、複数の光学検出体の各々が備える発光体を発光させ、複数の光学検出体に各々が備える受光体から出力される電圧を、液体の有無を検出する第1の閾値及び当該光学検出体の異常を判別する第2の閾値と比較する。
【0008】
この発明に係る光学式レベル検出装置において、導光部は、プリズムにより反射される光より少ない量の光を発光体から受光体に導くよう構成される。
【0009】
この発明に係る光学式レベル検出装置において、発光体と受光体との間に遮光部が設けられ、導光部は、光透過部を備え、光透過部は、遮光部のいずれかの位置に設けられる。
【0010】
この発明に係る光学式レベル検出装置において、導光部は、反射部を備え、反射部は、プリズム透過しようとする発光体からの光の一部を反射して受光体に導くよう構成される。
【0011】
この発明に係る光学式レベル検出装置において、受光体から出力される電圧は、複数の光学検出体の各々が液体外に位置する時に、プリズムにより反射された発光体からの光を受光した受光体から出力される第1電圧と、複数の光学検出体の各々が液体中に位置する時に、導光部により導かれた発光体からの光を受光した受光体から出力される第2電圧と、複数の光学検出体の各々の発光体または受光体の異常の時に受光体から出力される第3電圧と、のいずれかの状態にあり、制御部は、各々の受光体から出力される第1電圧、第2電圧、及び第3電圧のうちのいずれかを、第1の閾値及び第2の閾値と比較する。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る光学式レベル検出装置において、発光体からの光の一部を導光部により受光体に導くよう構成しておき、複数の光学検出体の各々が備える発光体を発光させ、複数の光学検出体に各々が備える受光体から出力される電圧を、液体の有無を検出する第1の閾値及び当該光学検出体の異常を判別する第2の閾値と比較することにより、複数の光学検出体を用いて液体のレベルを検出する際に、光学検出体の異常を判別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る光学式レベル検出装置の構成を示す構成図である。
図2】実施の形態1に係る光学式レベル検出装置の主要部の構成を示す説明図である。
図3】実施の形態1に係る光学式レベル検出装置の全体構成を示す構成図である。
図4】実施の形態1に係る光学式レベル検出装置の発光体と受光体との接続を示す回路図である。
図5】比較例における液体レベルの検出状態を示す説明図である。
図6】実施の形態1に係る光学式レベル検出装置の液体レベルの検出状態を示す説明図である。
図7】正常な光学検出体による液体レベル検出時のセンサ出力信号の特性を示す特性図である。
図8】異常な光学検出体を含む比較例の液体レベル検出時のセンサ出力信号の特性を示す特性図である。
図9】実施の形態1に係る光学式レベル検出装置の液体レベル検出時のセンサ出力信号の特性を示す特性図である。
図10】比較例と実施の形態との相違を説明する説明図である。
図11】実施の形態2に係る光学式レベル検出装置の主要部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の光学式レベル検出装置の実施の形態につき、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0015】
実施の形態1.
はじめに、実施の形態1における光学式レベル検出装置1の基本的な構成について、図1図4を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る光学式レベル検出装置1の構成を示す構成図である。図2は、実施の形態1に係る光学式レベル検出装置1の主要部の構成を示す説明図である。図3は、実施の形態1に係る光学式レベル検出装置1の全体構成を示す構成図である。図4は、実施の形態1に係る光学式レベル検出装置1の発光体と受光体との接続を示す回路図である。
【0016】
光学式レベル検出装置1は、主に、センサ部100と、制御部200とを備えている。センサ部100には、ケース101と、基板105と、複数の光学検出体110が設けられている。ここでは、図3に示すように、センサ部100に16個の光学検出体110A~110Pが設けられている場合を具体例として示す。
ケース101は、センサ部100内に液体400等が浸入しないように防水機能を有している。基板105は、複数の光学検出体110に駆動信号を供給すると共に、複数の光学検出体110から得られた検出信号を制御部200に供給するための配線が設けられている。
図1では、複数の光学検出体110A~110Pのうち、光学検出体110A、光学検出体110B、光学検出体110C、光学検出体110O、及び光学検出体110Pを拡大して示している。図2では、光学検出体110Hと光学検出体110Iとを更に拡大して示している。
複数の光学検出体110A~110Pの各々は、発光体111、受光体112、プリズム113、遮光部114~116、及び導光部117を備えて構成されている。
【0017】
プリズム113は、90°の角を有する、いわゆる直角プリズムを用いることができる。なお、プリズム113として、液体中または気体中(液体外)に位置する90°の角を有していればよく、90°、45°、及び45°の角を有する三角形のプリズムであってもよいし、90°、135°、135°、90°、及び90°の角を有する5角形のプリズムであってもよい。
また、発光体111と受光体112の向きを調整することで、液体中または気体中に位置する角を90°以外に設定することが可能である。例えば、発光体111、受光体112、及びプリズム113の構成と配置として、本件出願人による特開2021-148590号公報に記載された各種のプリズム、発光素子、及び受光素子の構成と配置とを用いることが可能である。
【0018】
この実施の形態1では、プリズム113は90°の角を有するものを具体例としており、プリズム113の90°の角は、液体または気体の中に位置するように配置される。発光体111と受光体112とは、プリズム113の90°の角に対向する面に向けて設けられている。
発光体111は、プリズム113の90°の角に対向する面から、プリズム113の90°に接する一方の面に向けて光を照射する。受光体112は、プリズム113の90°の角に接する2つの面で反射された光を受光する。なお、この明細書において、「90°の角で反射される」と言った場合、「90°の角に接する2つの面で反射される」ことを意味するものとする。
【0019】
遮光部114は、発光体111からの光が隣接する光学検出体の受光体112に到達しないように、発光体111からの光の漏れを遮断している。遮光部115は、発光体111と受光体112との間に設けられる。遮光部115は、導光部117による場合を除き、発光体111からの光が受光体112に直接到達しないように、発光体111からの光の漏れを遮断している。遮光部116は、隣接する光学検出体の発光体111からの光が受光体112に到達しないように、隣接する光学検出体110からの光の漏れを遮断している。
【0020】
導光部117は、同一の光学検出体の中で、発光体111からの光の一部を受光体112に導くよう構成されている。導光部117は、プリズム113の90°の角により反射される光より少ない量の光を、同一の光学検出体の中で発光体111から受光体112に導くよう構成される。導光部117は、図2のように、遮光部115のいずれかの位置に光透過部117aとして構成することが可能である。なお、遮光部115全体を所定の濃度または光透過率の半透明部材で構成し、光透過部117aと同様な特性とすることも可能である。
【0021】
光学式レベル検出装置1は、図3に示すように、センサ部100に含まれる複数の光学検出体110A~110Pの各々におけるプリズム113での光の反射または透過を利用し、容器300内の液面401の高さを液体400のレベルとして検知するために使用される。
【0022】
制御部200は、複数の光学検出体110A~110Pの各々の発光体111を異なるタイミングで順次発光させる駆動信号を光学式レベル検出装置1に供給し、複数の光学検出体110A~110Pの各々の受光体112から異なるタイミングで順次出力されるセンサ出力信号を受信し、受信したセンサ出力信号を処理することにより液体400のレベルを検出する。
また、制御部200は、複数の光学検出体110A~110Pの各々の受光体112から出力されるセンサ出力信号を複数の閾値と比較することで、複数の光学検出体110A~110Pのいずれかの異常を判別する。
【0023】
光学式レベル検出装置1において、複数の光学検出体110A~110Pの各々における発光体111と受光体112とは、図4に示すように、1行~4行とA列~D列との4行×4列マトリクス回路において、発光受光複合素子A1~A4、B1~B4、C1~C4、及びD1~D4(以下、これらをA1~D4と言う)として構成することができる。発光受光複合素子A1~D4は、光学検出体110A~110Pの各々の発光体111及び受光体112に対応している。ここで、発光体111はフォトダイオードで構成され、受光体112はフォトトランジスタで構成されている。
【0024】
以上のような4行×4列マトリクス回路において、制御部200からのA列選択信号~D列選択信号と1行選択信号~4行選択信号とにより、発光受光複合素子A1~D4の各々の発光体111は異なるタイミングで選択的に発光する。これに対応して、発光受光複合素子A1~D4の各々の受光体112は、発光体111からの光を受光した場合に、受光信号をセンサ出力として出力する。受光体112からの受光信号は発光体111の発光に同期して得られるため、制御部200は、受光信号の有無により液体400のレベルを検出することができる。
【0025】
以下、光学式レベル検出装置1について、複数の光学検出体110A~110Pを用いて液体400のレベルを検出する際に、複数の光学検出体110A~110Pの各々の異常を判別する本実施の形態について、図5図9を参照して説明する。
【0026】
図5は、比較例における液体レベルの検出状態を示す説明図である。図6は、実施の形態1に係る光学式レベル検出装置1の液体レベルの検出状態を示す説明図である。図7は、正常な光学検出体による液体レベル検出時のセンサ出力信号の特性を示す特性図である。図8は、異常な光学検出体を含む比較例の液体レベル検出時のセンサ出力信号の特性を示す特性図である。図9は、実施の形態1に係る光学式レベル検出装置1の液体レベル検出時のセンサ出力信号の特性を示す特性図である。
なお、図7図9の特性図のセンサ出力信号は、図3に示すマトリクス回路のフォトトランジスタをNPN型トランジスタにより構成すると共に、電源電圧Vccを+5Vとした場合の具体例を示している。図3のマトリクス回路にPNP型トランジスタにより構成する場合、図7図9の特性図における0Vと5Vとを反転した特性になる。また、電源電圧Vccの変更により、任意の電圧のセンサ出力信号を得ることができる。
【0027】
複数の光学検出体110A~110Pを用いて液体400のレベルを検出する際、光学検出体110A~110Pの全てが正常である場合、図7のセンサ出力信号を得ることができる。
液体外に位置する光学検出体110I~110Pにおいて、発光体111からの光はプリズム113で反射し、受光体112に到達する。このため、光学検出体110I~110Pの受光体112は、発光体111からの光に対応して電流が流れ、センサ出力信号として0V付近の第1電圧を出力する。
【0028】
また、液体中に位置する光学検出体110A~110Hにおいて、発光体111からの光はプリズム113から液体中を進む。このため、光学検出体110A~110Hの受光体112は、発光体111からの光を受光せず、電流が流れないため、センサ出力信号として5V付近の第2電圧を出力する。
そして、図示しない制御部は、以上のような第1電圧と第2電圧とのセンサ出力信号を、第1電圧と第2電圧との中間に設定された液面閾値Vthと比較することにより、液体400のレベルが光学検出体110Hの高さであるとして検出することができる。
【0029】
図5は、比較例として、複数の光学検出体110A~110Pのうち、光学検出体110A~110C、110E~110G、及び110M~110Pを省略し、光学検出体110D及び110H~110Lを拡大して示している。
ここで、複数の光学検出体110A~110Pのうち、光学検出体110D、110I、及び110Kが異常であり、それ以外は正常であるとする。このときの光学検出体110A~110Pからのセンサ出力信号を図8に示す。
【0030】
異常でなく液体外に位置する光学検出体110J、及び110L~110Pにおいて、発光体111からの光はプリズム113で反射し、受光体112に到達する。このため、光学検出体110J、及び110L~110Pの受光体112は、発光体111からの光に対応して電流が流れ、センサ出力信号として0V付近の第1電圧を出力する。
異常でなく液体中に位置する光学検出体110A~110C、及び110E~110Hにおいて、発光体111からの光はプリズム113から液体中を進み、受光体112に到達しない。このため、光学検出体110A~110C、及び110E~110Hの受光体112は、センサ出力信号として5V付近の第2電圧を出力する。
異常である光学検出体110D、110I、及び110Kでは、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、受光体112から受光信号が出力されない。このため、光学検出体110D、110I、及び110Kは、液体中に位置するのと同じ状態になる。このため、光学検出体110A~110C、及び110E~110Hの受光体112は、センサ出力信号として5V付近の第2電圧を出力する。
【0031】
光学検出体110Dでは、図8の[D]に示すように、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、センサ出力信号が第2電圧になるが、液体中に位置する場合と同じ第2出力電圧であり、液体中に位置するか異常であるか不明であり、異常であることを判別できない。
同様に、光学検出体110Iでも、図8の[I]に示すように、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、センサ出力信号が第2電圧になるが、液体中に位置する場合と同じ第2出力電圧であり、液体中に位置するか異常であるか不明であり、異常であることを判別できない。
光学検出体110Kでは、図8の[K]に示すように、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、センサ出力信号が第2電圧になるが、両隣の光学検出体110J及び110Lが液体外の第1電圧を示しているため、光学検出体110Kが液体外に位置することが明らかなため、異常であると判別することができる。
そして、以上のような第1電圧と第2電圧とのセンサ出力信号を、第1電圧と第2電圧との中間に設定された液面閾値Vthと比較した場合、液体400のレベルを実際とは異なる光学検出体110Iの高さであるとして検出する。
【0032】
図6は、実施の形態1に係る光学式レベル検出装置1における複数の光学検出体110A~110Pのうち、光学検出体110A~110C、110E~110G、及び110M~110Pを省略し、光学検出体110D及び110H~110Lを拡大して示している。
ここで、複数の光学検出体110A~110Pのうち、光学検出体110D、110I、及び110Kが異常であり、それ以外は正常であるとする。このときの光学検出体110A~110Pからのセンサ出力信号を図9に示す。
異常でなく液体外に位置する光学検出体110J、及び110L~110Pにおいて、発光体111からの光はプリズム113で反射し、受光体112に到達する。このため、光学検出体110J、及び110L~110Pの受光体112は、発光体111からの光に対応して電流が流れ、センサ出力信号として0V付近の第1電圧を出力する。
【0033】
異常でなく液体中に位置する光学検出体110A~110C、及び110E~110Hにおいて、発光体111からの光の大部分はプリズム113から液体中を進むが、導光部117を通して発光体111からの一部の光が受光体112に到達する。このため、光学検出体110A~110C、及び110E~110Hの受光体112は、発光体111からの一部の光に対応して電流が流れ、センサ出力信号として4V付近の第2電圧を出力する。なお、導光部117を通して受光体112に到達する光量により、第1電圧と第3電圧との間で第2電圧を調整することができる。
異常である光学検出体110D、110I、及び110Kでは、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、受光体112に電流が流れず、受光体112から受光信号が出力されない。このため、光学検出体110D、110I、及び110Kは、図9の[D]、[I]、及び[K]に示すように、5V付近の第3電圧のセンサ出力信号を出力する。
【0034】
すなわち、受光体112から出力される電圧は、
・複数の光学検出体110の各々が液体外に位置する時にプリズム113により反射された発光体111からの光を受光した受光体112から出力される第1電圧と、
・複数の光学検出体110の各々が液体中に位置する時に導光部117により導かれた発光体111からの光を受光した受光体112から出力される第2電圧と、
・複数の光学検出体110の各々の発光体111または受光体112の異常の時に受光体112から出力される第3電圧と、
のいずれかになる。
【0035】
制御部200は、第1電圧と第2電圧との中間に液面閾値として第1の閾値Vthと、及び、第2電圧と第3電圧との中間に異常判別閾値として第2の閾値Vthとを予め定めておく。
そして、制御部200は、各々の受光体112から出力される第1電圧、第2電圧、及び第3電圧のうちのいずれかを、第1の閾値Vth及び第2の閾値Vthと比較することにより、複数の光学検出体110を用いて液体400のレベルを検出する際に、光学検出体110の異常を判別することができる。
【0036】
光学検出体110Dでは、図9の[D]に示すように、発光体または受光体の少なくとも一方の異常によりセンサ出力信号が第3電圧になる。この第3電圧は、第2の閾値Vthとの比較により液体中に位置する場合のセンサ出力信号の第2電圧と判別可能である。よって、光学検出体110Dを異常と判別できる。
光学検出体110Iでも、図9の[I]に示すように、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、センサ出力信号が第3電圧になる。この第3電圧は、第2の閾値Vthとの比較により液体中に位置する場合のセンサ出力信号の第2電圧と判別可能である。よって、光学検出体110Iを異常判別できる。
光学検出体110Kでは、図9の[K]に示すように、発光体または受光体の少なくとも一方の異常により、センサ出力信号が第3電圧になる。この第3電圧は、第2の閾値Vthとの比較により異常であると判別できる。このため、隣接する光学検出体110J及び110Lとの比較は不要になり、異常判別処理を簡略化し、異常の判別を比較例よりも迅速に行える。
【0037】
以上のように、制御部200は、第1電圧と第2電圧と第3電圧とのセンサ出力信号を、第1の閾値Vth及び第2の閾値Vthと比較することで、液体400のレベルを光学検出体110Hの高さであると正確に検出すると共に、光学検出体110D、110I、及び110Kの異常を判別することができる。
制御部200は、光学式レベル検出装置1により検出された液体400のレベルを外部に出力すると共に、複数の光学検出体110A~110Pのうち異常と判別されたものを異常情報として外部に出力する。
【0038】
以上説明した比較例と実施の形態1とにおける、発光、透過、反射、受光、センサ出力信号の電圧の相違を図10に一覧形式でまとめた状態で示す。図10は、比較例と実施の形態との相違を説明する説明図である。以上の説明における0V付近の電圧を「LO」、5V付近の電圧を「HI」、4V付近の電圧を中間電圧の意味で「MID」と記載している。
【0039】
本実施の形態における異常判別は、起動時または測定開始時に故障診断として実行してもよいし、測定中に得られた電圧により実行してもよい。
なお、経年変化により導光部117の特性が変化すると、それに応じて実施の形態1の第2電圧も変化することがある。この場合、制御部200は、第2電圧の変化に応じて第2の閾値Vthを調整することが望ましい。
【0040】
実施の形態2.
ここで、実施の形態2における光学式レベル検出装置1の基本的な構成について、図11を用いて説明する。図11は、実施の形態2に係る光学式レベル検出装置1の主要部の構成を示す説明図である。図11では、複数の光学検出体110A~110Pのうち、光学検出体110Hと光学検出体110Iとを拡大して示している。なお、ここに示されていない光学検出体110A~110G及び110J~110Pも同様な構成であるとする。
【0041】
導光部117は、図11のように、プリズム113の一部の領域に反射部117bを備え、プリズム113を透過しようとする発光体111からの光の一部を反射して受光体112に導くように構成することが可能である。ここで、プリズム113の一部の領域とは、液体中または液体外に位置する90°の角を挟む面のいずれかの領域になる。これにより、反射部117bは、同一の光学検出体の中で、プリズム113の90°の角により反射される光より少ない量の光を、発光体111から受光体112に導くことができる。
なお、反射部117bを、プリズム113の90°の角を挟むように2つの反射部に分離して同様な反射を行うことも可能である。
【0042】
導光部117として、実施の形態1で説明した光透過部117aと実施の形態2で説明した反射部117bとを混在して使用することが可能である。また、導光部117として、光透過部117aと反射部117bとを併用することも可能である。
【0043】
[実施の形態により得られる効果]
以上の実施の形態で説明した光学式レベル検出装置1は、複数の光学検出体110を有するセンサ部100と、制御部200とを備え、複数の光学検出体110の各々は、発光体111、プリズム113、導光部117、及び受光体112を備え、プリズム113は、液体中において発光体111からの光を透過し、液体外において発光体111からの光を反射して受光体112に導くように構成され、導光部117は、発光体111からの光の一部を受光体112に導くように構成され、制御部200は、複数の光学検出体110の各々が備える発光体111を発光させ、複数の光学検出体110に各々が備える受光体112から出力される電圧を、液体の有無を検出する第1の閾値及び当該光学検出体110の故障を診断する第2の閾値と比較することにより、複数の光学検出体110を用いて液体400のレベルを検出する際に、光学検出体110の異常を判別することができる。
【0044】
以上の実施の形態で説明した光学式レベル検出装置1において、導光部117は、プリズム113により反射される光より少ない量の光を発光体111から受光体112に導くことにより、受光体112から出力される電圧をそれぞれ異なる電圧にすることが可能になり、複数の光学検出体110を用いて液体400のレベルを検出する際に、光学検出体110の異常を判別することが可能になる。
【0045】
以上の実施の形態で説明した光学式レベル検出装置1において、発光体111と受光体112との間に遮光部115が設けられ、遮光部115のいずれかの位置に、光透過部117aを導光部117として設けることで、導光部117は、プリズム113により反射される光より少ない量の光を発光体111から受光体112に確実に導くことができ、複数の光学検出体110を用いて液体400のレベルを検出する際に、光学検出体110の異常を判別することが可能になる。
【0046】
以上の実施の形態で説明した光学式レベル検出装置1において、導光部117は反射部117bを備え、プリズム113を透過しようとする発光体111からの光の一部を反射部117bにより反射して受光体112に導くことで、導光部117は、液体外においてプリズム113により反射される光より少ない量の光を、発光体111から受光体112に確実に導くことができ、複数の光学検出体110を用いて液体400のレベルを検出する際に、光学検出体110の異常を判別することが可能になる。
【0047】
以上の実施の形態で説明した光学式レベル検出装置1において、受光体112から出力される電圧は、複数の光学検出体110の各々が液体外に位置する時に、プリズム113により反射された発光体111からの光を受光した受光体112から出力される第1電圧と、複数の光学検出体110の各々が液体中に位置する時に、導光部117により導かれた発光体111からの光を受光した受光体112から出力される第2電圧と、複数の光学検出体110の各々の発光体111または受光体112の故障の時に受光体112から出力される第3電圧と、のいずれかの状態にあり、制御部200は、各々の受光体112から出力される第1電圧、第2電圧、及び第3電圧のうちのいずれかを、第1の閾値及び第2の閾値と比較することにより、複数の光学検出体110を用いて液体400のレベルを検出する際に、光学検出体110の異常を確実に判別することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 光学式レベル検出装置、100 センサ部、101 ケース、105基板、110,110A~110P 光学検出体、111 発光体、112 受光体、113 プリズム、114,115,116 遮光部、117 導光部、117a 光透過部、117b 反射部、200 制御部、300 容器、400 液体、401 液面、A1~A4,B1~B4,C1~C4,D1~D4 発光受光複合素子。
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