(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176877
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20241212BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241212BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241212BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/894
A61K8/86
A61K8/25
A61K8/06
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095722
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 郁子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB052
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC342
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD332
4C083AD432
4C083AD532
4C083AD632
4C083BB51
4C083CC05
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC19
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE13
(57)【要約】
【課題】塗布中に肌の上を上滑りしにくく、肌への密着性に優れ、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際に化粧よれが生じにくい油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)ノルボルナン構造を含有するポリマー及び/又はシリコーン変性プルラン、
(B)フェニル変性シリコーン油、
(C)ポリエーテル変性シリコーン、
(D)油性ゲル化剤
を含有する油中水型乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)ノルボルナン構造を含有するポリマー及び/又はシリコーン変性プルラン、
(B)フェニル変性シリコーン油、
(C)ポリエーテル変性シリコーン、
(D)油性ゲル化剤
を含有する油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)が、ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーである請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(A)が、下記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンである請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【化1】
【請求項4】
成分(A)の含有量が、0.1~30質量%であり、成分(B)の含有量が、0.1~30質量%であり、成分(C)の含有量が、0.1~15質量%であり、成分(D)の含有量が、0.1~10質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(D)の油性ゲル化剤が、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサン、スチレンコポリマー、25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物から選ばれる1種又は2種以上である請求項1~4のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項6】
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.2~30である請求項1~5のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項7】
成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)が、0.3~30である請求項1~6のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項8】
成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)が、0.5~20である請求項1~7のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧膜の均一性や化粧料の持ちを向上させることを目的として、膜形成性ポリマーを配合した化粧料が知られている。
例えば、特許文献1には、ポリシクロオレフィン重合体の骨格に所定の官能基を導入した膜形成性ポリマーを含有する化粧料が、化粧もちや感触が良好であることが記載されている。
また、特許文献2には、特定の膜形成性ポリマーと、カチオン変性粘土鉱物を特定の割合で組合わせた皮膚外用剤組成物が、皮膚のシワを改善するとともに、塗布直後の塗膜の厚みにムラがなく、均一で明るい仕上がりが得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-17317号公報
【特許文献2】特開2021-165262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の膜形成性ポリマーを含有する化粧料は、塗布中に肌の上を上滑りして、肌への密着性に劣り、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際に化粧よれが生じやすくなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の膜形成性ポリマーと、フェニル変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン、油性ゲル化剤を組合わせた油中水型乳化化粧料が、塗布中に肌の上を上滑りしにくく、肌への密着性に優れ、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際に化粧よれが生じにくいことを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)ノルボルナン構造を含有するポリマー及び/又はシリコーン変性プルラン、
(B)フェニル変性シリコーン油、
(C)ポリエーテル変性シリコーン、
(D)油性ゲル化剤
を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油中水型乳化化粧料は、塗布した際の伸びの良さを維持しつつ、塗布中に肌の上を上滑りしにくく、肌への密着性に優れ、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際に化粧よれが生じにくいものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)は、(A1)ノルボルナン構造を含有するポリマー及び/又は(A2)シリコーン変性プルランである。
成分(A)のうち、(A1)ノルボルナン構造を含有するポリマーにおいて、ノルボルナン構造とは、下記式で示される構造を意味する。(A1)のポリマー中の任意の部位に該式で示される構造を有していればよい。
【0009】
【0010】
成分(A1)は分子中に上記ノルボルナン構造を有するポリマーであれば特に制限はないが、前述の作用機構により塗膜の収縮と皮膚との密着性を高める観点から、成分(A1)はノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーであることがさらに好ましい。
【0011】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0012】
【0013】
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0014】
【0015】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cは1以上5以下の整数である。
【0016】
【0017】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0018】
前記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、皮膚の形状を制御する観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、ブチル基、又はペンチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Xは前記式(i)で表される基であり、式(i)中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基である。肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、R2は好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又はフェニル基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より更に好ましくはメチル基である。cは1以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、c=1が好ましい。すなわちXは、好ましくはトリメチルシロキシ基である。
aは1以上3以下の整数であり、例えばa=2の繰り返し単位とa=3の繰り返し単位が混合して存在する重合体であってよい。汎用性の観点から、aは3であることが好ましい。bは0以上2以下の整数であり、同様の観点から、好ましくは0、1又はこれらの組み合わせであり、0がより好ましい。
【0019】
前記一般式(2)中、R1、R2及びbは前記と同じである。dは2以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、d=2が好ましい。一般式(2)における環状シリコーン構造は、同様の観点から、R1及びR2がメチル基であり、dが2又は3であることが好ましい。すなわち一般式(2)における環状シリコーン構造は、好ましくは下記式(4)又は(5)で示される構造である。
【0020】
【0021】
肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。また、上限は100%であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは70%以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10~100%、より好ましくは10~95%、更に好ましくは30~90%、より更に好ましくは50~70%である。
【0022】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位に加えて、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【0023】
【0024】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0025】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(3)で表される繰り返し単位の割合は、肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。また上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む場合、その割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(3)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5~90%、より好ましくは10~70%、更に好ましくは30~50%である。
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(1)~(3)で表される繰り返し単位の割合は、1H-NMR測定により求めることができる。
【0026】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、シリコーン変性ポリノルボルネンが好ましく、より好ましくは下記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンである。
【0027】
【0028】
式中、e、fは繰り返し単位数であり、それぞれ独立に1以上の整数である。
肌の形状を制御する観点から、一般式(6)中のeとfの割合は、好ましくはe/f=20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)であり、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0029】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnは、肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、更に好ましくは20万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは80万以下、より更に好ましくは60万以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnの具体的範囲は、好ましくは5万~200万、より好ましくは10万~150万、更に好ましくは20万~80万、より更に好ましくは20万~60万である。
当該ポリマーの数平均分子量Mnは、ポリスチレンを標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法により測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0030】
成分(A1)は、例えば、ノルボルナン構造を含有するか又はノルボルナン構造を形成し得る環状オレフィンモノマーを公知の方法で付加重合させて得られる。
例えば、成分(A1)が前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーであれば、下記一般式(1a)又は(2a)で表される環状オレフィンモノマーを付加重合させて得ることができる。更に、下記一般式(1a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させてもよい。
【0031】
【0032】
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0033】
【0034】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cは1以上5以下の整数である。
【0035】
【0036】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0037】
【0038】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0039】
上記一般式(3a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させる場合、その使用量は、肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、重合に使用する全モノマーを100モル%として、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは50モル%以下であり、また、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。
【0040】
前記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンは、下記式(6a)で表されるトリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとを付加重合させて得ることができる。
【0041】
【0042】
肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとの共重合比は、好ましくは20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)であり、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0043】
なお、前記一般式(1)~(3)、及び前記式(6)において示される繰り返し単位は、いずれも原料モノマーである環状オレフィンモノマーの2,3-付加構造単位を示すものであるが、該環状オレフィンモノマーの付加重合による2,7-付加構造単位となっているものが含まれていてもよい。
【0044】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーが好ましく、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第16版,第2巻,2016年,p.2274):NORBORNENE/TRIS(TRIMETHYLSILOXY)SILYLNORBORNENE COPOLYMERで表記される化合物である。
市販のノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、信越化学工業(株)製「NBN-30-ID」(ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液)等が挙げられる。
【0045】
成分(A)のうち、(A2)シリコーン変性プルランとしては、側鎖にシリコーン構造を有するプルランが挙げられ、具体的には、塗膜の収縮と皮膚との密着性を高める観点から、プルラン中のOH基の水素原子の少なくとも一部が下記一般式(7)で表される基で置換されたシリコーン変性プルランが好ましい。
【0046】
【0047】
式中、Z1は単結合又は2価の有機基である。R1、X、aは前記と同じであり、同様の観点から、Xは好ましくはトリメチルシロキシ基、aは好ましくは3である。
【0048】
一般式(7)において、同様の観点から、Z1は2価の有機基であることが好ましく、下記一般式(8)又は(9)で表される2価の基がより好ましく、下記一般式(9)で表される2価の基がより好ましい。
【0049】
【0050】
式中、R11は炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示される。同様の観点から、これらの中でもエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が好ましく、トリメチレン基又はプロピレン基がより好ましい。
【0051】
市販のシリコーン変性プルランとしては、信越化学工業社製「TSPL-30-ID」(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランのイソドデカン溶液)、「TSPL-30-D5」(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランのシクロペンタシロキサン溶液)等が挙げられる。
【0052】
成分(A)としては、肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、(A1)ノルボルナン構造を含有するポリマーが好ましく、ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーがより好ましい。
【0053】
成分(A)は、ノルボルナン構造を含有するポリマー、シリコーン変性プルランを1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、固形分として、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。また、成分(A)の含有量は、固形分として、全組成中に0.1~30質量%であるのが好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~15質量%が更に好ましい。
【0054】
成分(B)のフェニル変性シリコーン油としては、25℃で液状のフェニル変性シリコーンが好ましい。液状とは、25℃における粘度が、4000mPa・s以下のことを示す。
25℃で液状のフェニル変性シリコーンの25℃における粘度は、600mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましい。
ここで、粘度は、25℃において、B型粘度計(TVB-10型、東機産業社製)、ローターNo.4、60rpm、60秒で測定される。
【0055】
25℃で液状のフェニル変性シリコーンとしては、例えば、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキシサン等が挙げられる。
これらのうち、塗布中の肌の上滑りを抑制し、肌への密着性に優れる観点から、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むのが好ましい。なかでも、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含むのがより好ましい。
【0056】
成分(B)としては、フェニルトリメチコンとして、DOWSIL SH-556(ダウ・東レ社製);ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンとして、KF-56A(信越化学工業社製)、DOWSIL FZ-209(ダウ・東レ社製);ジフェニルジメチコンとして、KF-50(信越化学工業社製)、KF-53(信越化学工業社製)、KF-54P(信越化学工業社製);トリメチルシロキシフェニルジメチコンとして、PDM-1000(旭化成ワッカーシリコーン社製);トリメチルペンタフェニルトリシロキシサンとして、PH-1555 HRI Cosmetic Fluid(ダウ・東レ社製)等の市販品を用いることができる。
【0057】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布中の肌の上滑りを抑制し、肌への密着性に優れ、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際に化粧よれを抑制する観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1~30質量%であるのが好ましく、0.3~15質量%がより好ましく、1~8質量%が更に好ましい。
【0058】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、肌への密着性に優れ、肌上に均一な塗膜を形成し、肌の形状を制御する観点から、0.2以上であるのが好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、30以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.2~30であるのが好ましく、0.3~10がより好ましく、0.5~5が更に好ましい。
【0059】
成分(C)のポリエーテル変性シリコーンとしては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良い。例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等のほか、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG/PPG-18/18メチコン等アルキル変性ポリエーテル変性シリコーンであっても良い。
【0060】
成分(C)の変性シリコーンとしては、塗布中の肌の上滑りを抑制し、肌への密着性に優れる観点から、HLB2~7であるのが好ましく、2~5がより好ましい。
本発明において、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、下記グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
HLB=20×(親水基の分子量/全体の分子量)
【0061】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布中の肌の上滑りを抑制し、肌への密着性に優れる観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.1~15質量%であるのが好ましく、0.3~10質量%がより好ましく、0.5~7質量%が更に好ましい。
【0062】
本発明において、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、塗布中の肌の上滑りを抑制し、肌への密着性に優れ、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際に化粧よれを抑制する観点から、0.3以上であるのが好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、30以下が好ましく、14以下がより好ましく、8以下が更に好ましい。また、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、0.3~30であるのが好ましく、0.5~14がより好ましく、1~8が更に好ましい。
【0063】
成分(D)の油性ゲル化剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、(D1)ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサン、(D2)スチレンコポリマー、(D3)25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステル、(D4)デキストリン脂肪酸エステル、(D5)有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0064】
(D1)ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンとしては、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(11);
【0065】
【0066】
(式中、R21は水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、tは2又は3を示す)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が500~4000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が70/30~99/1であり、
隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が5000~40000であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が15000~200000であるオルガノポリシロキサンが好ましく、当該成分を用いることにより、より優れた安定性を得ることができる。
【0067】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントは、上記オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合している。さらに、上記オルガノポリシロキサンセグメントの両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましい。すなわち、成分(D1)のオルガノポリシロキサンは、側鎖として、少なくとも2つ以上の前記一般式(11)で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを有する、グラフトポリマーである。
【0068】
ヘテロ原子を含むアルキレン基は、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの連結基として機能する。かかるアルキレン基としては、例えば、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1~3個含む炭素数2~20のアルキレン基が例示され、中でも下記式(i)~(vii)のいずれかで表される基が好ましく、下記式(i)又は(ii)で表される基がより好ましく、さらに下記式(i)で表される基が好ましい。なお、式中、An-は4級アンモニウム塩の対イオンを示し、例えば、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0069】
【0070】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN-アシルアルキレンイミン単位において、一般式(11)中、R21における炭素数1~3のアルキル基としては、例えば、炭素数1~3の直鎖状のアルキル基、又は炭素数3の分岐状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0071】
一般式(11)においてtは2又は3の数を示し、オルガノポリシロキサン製造時の原料入手の観点から、2であることが好ましい。
【0072】
質量比(a/b)は、70/30~99/1の範囲であり、肌への付着性、仕上がりの均一感に優れる点から、好ましくは75/25~98/2、より好ましくは83/17~97/3である。
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、成分(D1)のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0073】
オルガノポリシロキサンにおいて、隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、単に「MWg」ともいう)は5000~40000の範囲であり、化粧料の皮膜の柔軟性の点から、10000~35000が好ましく、15000~32000がより好ましい。
【0074】
本明細書において、「隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(12)に示すように、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR22SiO単位と、1つのR23と、y+1個の(R22)2SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R23に結合する-Z-R24をいう。
【0075】
【0076】
上記一般式(12)中、R22はそれぞれ独立に炭素数1~22のアルキル基又はフェニル基を示し、R23はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、-Z-R24はポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R24は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。
【0077】
MWgは、上記一般式(12)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N-アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
【0078】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量は、N-アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度から算出するか、又はゲルパーミエションクロマトグラフィ(以下、単に「GPC」ともいう)測定法により測定することができる。なお、本発明においては、後記の測定条件で行なったGPC測定により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(以下、単に「MNox」とも言う)をいうものとする。MNoxは、化粧料の皮膜の柔軟性と溶媒への溶解性を高める点から、500~4000の範囲が好ましく、800~3500がより好ましく、1000~3000がさらに好ましい。
【0079】
また、上記MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(質量%)(以下、単に「Csi」ともいう)を用いて、下記式(I)により求めることができる。
MWg=Csi×MNox/(100-Csi) (I)
【0080】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、単に「MWsi」とも言う)は15000~200000であり、化粧料の柔軟性と皮膚への付着性の観点から、好ましくは50000~170000、より好ましくは70000~150000である。また、成分(D1)のオルガノポリシロキサンは、水などの極性溶媒に溶解することにより、種々の製品に容易に配合することができる。主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、後記の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0081】
成分(D1)のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(以下、単に「MWt」ともいう)は、皮膚への付着性に優れる観点から、好ましくは15000~200000、より好ましくは50000~170000、さらに好ましくは70000~150000である。MWtは、後記の測定条件によるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算した値である。
【0082】
成分(D1)のオルガノポリシロキサンは、高い弾性率と大きな変形可能量に加え、50~220℃といった温度領域に加熱すると、著しく塑性性が向上して柔らかくなり、加熱をやめて室温に戻る過程で直ぐに弾力性を取り戻すという特徴的な熱可塑性を有する。
【0083】
成分(D1)のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(13):
【0084】
【0085】
(式中、R22は前記と同じ意味を示し、R25及びR26はそれぞれR22と同一の基を示すか、又は下記式(viii)~(xiii)
【0086】
【0087】
のいずれかで表される1価の基を示し、R27は上記式(viii)~(xiii)で表される1価の基を示し、gは91.5~1255.0の数を示し、hは2.0~62.5の数を示す)
で表される変性オルガノポリシロキサンと、下記一般式(14)
【0088】
【0089】
(式中、R21及びtは前記と同じ意味を示す)
で表される環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0090】
一般式(14)で表される環状イミノエーテル(以下、単に「環状イミノエーテル(14)」ともいう)の開環重合には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、求電子反応性の強い化合物、例えば、ベンゼンスルホン酸アルキルエステル、p-トルエンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロ酢酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル等の強酸のアルキルエステルを使用することができ、中でも硫酸ジアルキルエステルが好適に使用される。
【0091】
重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。溶媒の使用量は、通常、環状イミノエーテル(14)の100質量部に対して20~2000質量部である。
【0092】
重合温度は通常30~170℃、好ましくは40~150℃であり、重合時間は重合温度等により一様ではないが、通常1~60時間である。
【0093】
環状イミノエーテル(14)として、例えば、2-置換-2-オキサゾリンを用いれば、前記一般式(11)において、t=2のポリ(N-アシルエチレンイミン)が得られ、2-置換-ジヒドロ-2-オキサジンを用いれば、上記一般式(11)において、t=3のポリ(N-アシルプロピレンイミン)が得られる。
【0094】
環状イミノエーテル(14)をリビング重合して得られるポリ(N-アシルアルキレンイミン)は、末端に反応性の基を有している。よって、このポリ(N-アシルアルキレンイミン)の末端の反応性基と、一般式(13)で表される変性オルガノポリシロキサンが有する前記(viii)~(xiii)で示される反応性基とを反応させることで、成分(D1)のオルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0095】
前記のリビング重合による製造方法は、下記に示す理論式(II)のように、環状イミノエーテル(14)と重合開始剤の使用量で重合度を容易に制御でき、しかも通常のラジカル重合よりも分子量分布の狭い略単分散のポリ(N-アシルアルキレンイミン)が得られる点で有効である。
【0096】
【0097】
環状イミノエーテル(14)の使用量及び重合開始剤の使用量は、式(II)におけるMNiが500~4000になる量とするのが好ましく、800~3500になる量とするのがより好ましく、1000~3000になる量とするのがさらに好ましい。
【0098】
一般式(13)で表される変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、得られるオルガノポリシロキサンの水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさの観点から、15000~220000が好ましく、より好ましくは50000~190000、さらに好ましくは70000~170000である。
【0099】
また、一般式(13)で表される変性オルガノポリシロキサンの官能基当量には、成分(D1)のオルガノポリシロキサンの質量比(a/b)及びMWgを満たすために、上限が存在する。この観点及び主鎖に適度な疎水性を持たせる観点から、官能基当量は、50000~40000であることが好ましく、10000~35000であることがより好ましく、15000~32000であることがさらに好ましい。ここで、一般式(13)で表される変性オルガノポリシロキサンの官能基当量とは、一般式(13)で表される変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量を、該変性オルガノポリシロキサンが一分子あたりに有するR27の数の平均値で除した値を言う。
【0100】
一般式(13)で表される変性オルガノポリシロキサンと、前記末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)の使用量は、その質量比(変性オルガノポリシロキサン/末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン))が70/30~99/1の範囲の値とすることが、得られるオルガノポリシロキサンの弾性率及び変形可能量の観点から好ましく、肌への密着性に優れ、仕上がりの均一感を得る点から、75/25~98/2がより好ましく、83/17~97/3がさらに好ましい。
【0101】
なお、本発明において、各オルガノポリシロキサンの合成では、以下の測定条件に従って各種分子量を測定した。
【0102】
<変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量の測定条件>
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0103】
<MNox及びMWtの測定条件>
カラム:K‐804L(東ソー社製)2つを直列につないで使用。
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム
流量 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル:50μL
【0104】
また、質量比(a/b)算出のための1H-NMR測定は、下記の条件で行なった。
<1H-NMR測定条件>
得られたポリマーの組成は1H-NMR(400MHz Varian製)により確認した。
サンプル量0.5gを測定溶剤(重クロロホルム)2gで溶解させたものを測定した。
PULSE SEQUENCE
・Relax.delay: 30秒
・Pulse: 45degrees
・積算回数: 8回
確認ピーク 0ppm付近: ポリジメチルシロキサンのメチル基、
3.4ppm付近: エチレンイミンのメチレン部分。
各積分値よりシリコーンとポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)の比率を算出した。
【0105】
成分(D1)のオルガノポリシロキサンとしては、肌への密着性に優れ、仕上がりの均一感を得る観点から、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が好ましく、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン(POLYSILICONE-9)がより好ましい。
【0106】
(D2)スチレンコポリマーとしては、スチレン-イソプレン、スチレン-エチレンプロピレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-エチレンブチレン、スチレン-プロピレンブチレン、スチレン-ブチレン、水素添加スチレン-イソプレン等の共重合体が挙げられる。これらのうち、肌への密着性に優れ、仕上がりの均一感を得る観点から、水素添加スチレン-イソプレン共重合体が好ましい。
これらのジブロックコポリマーは、数平均分子量10万~300万であるのが好ましく、15万~150万がより好ましい。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーション液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖ポリスチレンを標準として定められた較正曲線、屈折率検出器)によって求められる。
また、スチレンと、イソプレン、エチレンプロピレン、ブタジエン、エチレンブチレン、プロピレンブチレン又はブチレンとの質量割合は、滑らかな感触の点から、10/90~50/50が好ましく、20/80~40/60がより好ましい。
【0107】
このようなスチレンコポリマーとしては、例えば、KratonG1701、KratonG1702(クレイトン社製)、Viscup P(Arch社製)、油剤に分散されたVersagel ME1600(Penreco社製)、PIONIER GEL 12PAO(Hansen & Rosenthal KG社製)等の市販品を用いることができる。
【0108】
(D3)25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステルにおいて、25℃で固体とは、25℃において半固体~固体の性状を示すことをいう。
25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステルとしては、トリエステルが好ましく、肌への密着性に優れ、仕上がりの均一感を得る観点から、炭素数20~28の脂肪酸のトリグリセライドがより好ましく、炭素数20~24の脂肪酸のトリグリセライドがさらに好ましく、トリベヘニンがよりさらに好ましい。
【0109】
(D4)デキストリン脂肪酸エステルとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、炭素数8~24の脂肪酸とデキストリンのエステルが好ましく、炭素数14~20の脂肪酸とデキストリンのエステルがより好ましい。また、デキストリンの平均重合度が3~150であるのが好ましい。
具体的には、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸・ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸デキストリン等が挙げられる。
これらのうち、肌への密着性に優れ、仕上がりの均一感を得る観点から、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸デキストリンが好ましく、パルミチン酸デキストリンを含むのがより好ましい。
【0110】
(D5)有機変性粘土鉱物としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されずに用いることができる。例えば、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等の層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られるカチオン変性粘土鉱物が好ましい。
ここで、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記式(15):
【0111】
【0112】
(式中、R31は炭素原子数10~22のアルキル基又はベンジル基を示し、R32はメチル基又は炭素原子数10~22のアルキル基を示し、R33及びR34は炭素原子数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を示す)
で表されるものである。
【0113】
具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、及び上記各化合物のクロリドに代えてブロミド化合物としたもの等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
これらのうち、肌への密着性に優れ、仕上がりの均一感を得る観点から、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドが好ましく、少なくともジメチルジステアリルアンモニウムクロリドを含むのが好ましい。
【0114】
層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して得られるカチオン変性粘土鉱物としては、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト等が好ましく、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトがより好ましい。また、市販品としては、ベントン38、ベントン38VCG、ベントン27(以上、エレメンティスジャパン社製)等が挙げられる。
【0115】
有機変性粘土鉱物は、作業性向上の点、油の増粘効果に優れる点から、溶媒によって希釈された分散液として用いることもできる。
具体的には、有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを用いることが好ましい。溶媒としては、有機変性粘土鉱物によって増粘可能であれば制限されないが、油の増粘効果の点から、オクチルドデカノール、ミネラルオイル等が好ましい。また、有機変性粘土鉱物を効率良く分散させて増粘効果を発現させる点から、炭酸プロピレン、エタノール、水、各種界面活性剤等の極性添加剤を含むことが好ましい。
プレミックスゲル中の有機変性粘土鉱物の含有量は、作業性向上の点、油の増粘効果、及び増粘した油性ゲル自体の油分離を抑制する点から、5~25質量%が好ましい。
プレミックスゲルとしては、ベントンゲルEUGV、ベントンゲルMIOV、ベントンゲルISDV、ベントンゲルVS-5 PCV、ベントンゲルPTMV(以上、エレメンティスジャパン社製)等の市販品を用いることができる。
【0116】
成分(D)の油性ゲル化剤としては、(D5)有機変性粘土鉱物が好ましい。
【0117】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌への密着性に優れ、仕上がりの均一感を得る観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.2~7質量%がより好ましく、0.3~4質量%が更に好ましい。
【0118】
本発明において、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、塗布中の肌の上の上滑りを抑制し、肌への密着性に優れ、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際の化粧よれを抑制する観点から、0.5以上であるのが好ましく、0.8以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下が更に好ましい。また、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、0.5~20であるのが好ましく、0.8~10がより好ましく、1.5~8が更に好ましい。
【0119】
本発明の油中水型乳化化粧料は、更に、揮発性油を含有することができる。
揮発性とは、-4~88℃の引火点を有するものである。揮発性油としては、揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油が挙げられる。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン(1cs)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
揮発性炭化水素油としては、例えば、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油;シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油が挙げられる。これらのうち、炭素数8~16の炭化水素油が好ましく、炭素数10~16の炭化水素油がより好ましく、炭素数12の炭化水素油がさらに好ましい。
【0120】
揮発性油としては、成分(D)の分散・溶解性を高め、肌の形状を制御する観点から、炭化水素油及びシリコーン油から選ばれる1種以上であって、イソドデカン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、イソドデカン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメチコンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、少なくともヘキサメチルジシロキサンを含むことが更に好ましい。
なお当該動粘度は、例えばウベローデ粘度計を用いて測定できる。
【0121】
ヘキサメチルジシロキサン、及び、25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンの市販品としては、信越化学工業社製の「KF-96L-0.65cs」(ヘキサメチルジシロキサン)、「TMF1.5」、「KF-96L-1cs」(オクタメチルトリシロキサン)、「KF-96L-1.5cs」、「KF-96L-2cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200C Fluid 1cs」、「SH200C Fluid 1.5cs」,モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「TSF451-0.65」、旭化成ワッカーシリコーン社製の「BELSIL DM0.65」、ダウ・東レ社製の「XIAMETER PMX-200 SILICONE FLUID 0.65CS」等が挙げられる。
【0122】
揮発性油は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、成分(D)の分散・溶解性を高め、肌の形状を制御する観点から、全組成中に5質量%以上であるのが好ましく、15質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましい。また、揮発性油の含有量は、全組成中に5~75質量%であるのが好ましく、15~70質量%がより好ましく、30~65質量%が更に好ましく、50~65質量%がより更に好ましい。
【0123】
本発明の油中水型乳化化粧料は、更に、粉体を含有することができる。
粉体としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等を用いることができる。
着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、さらに、カーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられ、これらの着色顔料の複合体、これらの着色顔料とパール顔料とを組み合わせた複合顔料などが挙げられる。処理されるパール顔料としては、例えば、雲母、金雲母、タルク、シリカ、セリサイト、ガラス、カオリン、オキシ塩化ビスマス、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、板状アルミナ粉末等の天然又は合成の無機粉体が挙げられる。複合顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄被覆合成金雲母、酸化クロム被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン内包ガラス末、酸化鉄内包ガラス末等が挙げられる。
【0124】
体質顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、セリサイト、マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス末、金雲母、カオリン、クレー、ベントナイト、ヘクトライト、ゼオライト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機体質顔料及びこれらの複合粉体などが挙げられる。
【0125】
光輝性顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、雲母、合成金雲母、ガラス、シリカ、アルミナ等の板状粉体等の表面を、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したものなど、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミ蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末などの、フィルム原反を任意形状に断裁したものなどを用いることができる。
さらに、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、ナイロンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、シリコーンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、セルロースパウダー、デンプン粉末、ポリフッ化エチレン等の有機粉体;シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の無機粉体;ラウロイルリジン等のアシル化リジン粉体;高級脂肪酸金属塩である金属石鹸粉体などを用いることができる。
【0126】
これらの粉体は、そのまま用いられるほか、通常の方法により、疎水化処理したものを用いることもできる。
疎水化処理としては、例えば、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリ樹脂処理、ウレタン樹脂処理等の表面処理が挙げられる。
【0127】
粉体は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌に薄く均一に密着する観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。また、粉体の含有量は、全組成中に0.1~30質量%であるのが好ましく、1~20質量%がより好ましく、2~10質量%が更に好ましい。
【0128】
本発明の油中水型乳化化粧料において、水の含有量は、肌に薄く均一に密着する観点から、5~60質量%であるのが好ましく、10~50質量%がより好ましく、15~35質量%がさらに好ましい。
【0129】
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記の成分のほか、化粧料に通常使用される各種の成分を任意で使用することができる。これらの成分としては、例えば、前記以外の油性成分、界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、保湿剤、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
【0130】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状等の剤型にすることができる。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、例えば、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;スキンケア乳液、スキンケアクリーム、BBクリーム、美容液等のスキンケア化粧料などとして適用することができる。
【実施例0131】
製造例1(ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
2-エチル-2-オキサゾリン12.9g(0.13モル)と酢酸エチル27.7gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(ゼオラムA-4、東ソー社製)2.0gで、28℃15時間脱水を行った。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(KF-8015、信越シリコーン社製、重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで、28℃15時間脱水を行った。
上記の脱水2-エチル-2-オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.77g(0.005モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は2700であった。
この末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)溶液を、上記の脱水した側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン溶液を一括して加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン-ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(108g)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.87、最終生成物の重量平均分子量は115000であった。
【0132】
実施例1~10、比較例1~2
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、塗付中の上滑りしにくさ、塗膜の密着性の良さ、リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際の化粧よれのなさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0133】
(製造方法)
成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含む油相成分をディスパーで分散した。その後、水相成分を添加し、ディスパーで分散した後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料(シワ改善剤)を製造した。
【0134】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各油中水型乳化化粧料(シワ改善剤)を肌に塗布した際、塗付中の上滑りのしにくさ、塗膜の密着性の良さ、リクイドファンデーション(レヴュー エッセンスイン モイスチャーリクイドn)の後、重ねて使用した際に化粧よれのなさを、以下の基準で評価した。結果を5名の積算値で示した。
【0135】
(1)塗付中の上滑りしにくさ;
5;まったく上滑りしない。
4;上滑りしない。
3;あまり上滑りしない。
2;やや上滑りする。
1;上滑りする。
【0136】
(2)塗膜の密着性の良さ:
5;肌と化粧料がしっかり密着している。
4;肌と化粧料が密着している。
3;肌と化粧料がやや密着している。
2;肌と化粧料があまり密着していない。
1;肌と化粧料が密着していない。
【0137】
(3)リクイドファンデーションの後、重ねて使用した際の化粧よれのなさ:
5;化粧よれが目立たない。
4;化粧よれがほとんど目立たない。
3;化粧よれがあまり目立たない。
2;化粧よれが目立つ。
1;化粧よれがかなり目立つ。
【0138】
【0139】
表1中、*1、*2は下記のとおりである。
*1:信越化学工業社製「NBN-30-ID」(下記式(6)においてe/f=60/40(mol/mol)、Mn=36万のノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液、有効分濃度:30質量%)
【0140】
【0141】
*2:信越化学工業社製「TSPL-30-ID」(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランのイソドデカン溶液、有効分濃度:30質量%)を50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固形分を使用した。
【0142】
実施例11~17
表2及び表3に示す組成の油中水型乳化化粧料は、実施例1~10と同様にして製造される。
実施例11~17の油中水型乳化化粧料はいずれも、塗付中に上滑りしにくく、肌と化粧料の密着性に優れ、リクイドファンデーション(レヴュー エッセンスイン モイスチャーリクイドn)の後、重ねて使用した際に化粧よれが目立たないものである。
【0143】
【0144】