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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176881
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G01L19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095730
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】平井 一徳
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和哉
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD01
2F055EE40
2F055FF43
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】温度変化に伴う機械的応力の影響を抑制し得る圧力センサを提供すること。
【解決手段】外部機器Aに接続される圧力センサチップ11を備える圧力センサユニット10であって、外部機器とセンサとの間に介在する回路基板50と、センサと回路基板とに導通接続される中継接続端子36と、回路基板と外部機器とに導通接続される中継接続端子37と、接続部材および端子部材を位置決め支持するとともにこれら部材と重ねられる回路基板を保持する端子台24と、を備え、回路基板に対する接続部材の相対的な位置関係を調整する内壁部55の切欠58を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に接続されるセンサを備えるセンサユニットにより構成される圧力センサであって、
前記外部機器との間に介在するように配置されて前記センサに接続される回路基板と、前記センサおよび前記回路基板の間に位置して当該センサおよび当該回路基板に導通接続される接続部材および前記回路基板に導通接続される当該回路基板の前記外部機器への導通接続用の端子部材の一方または双方と、前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方を固定して位置決め支持する端子台と、を備え、
前記回路基板は前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方に載置され、
前記回路基板に対する前記接続部材、前記端子部材および前記端子台のうちの少なくとも1つ以上の相対的な位置関係を調整する調整部を有することを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記調整部は、前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方の前記端子台における支持位置と、該接続部材および該端子部材の一方あるいは双方の前記回路基板への接続位置と、の間の離隔間隔を調整することを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記調整部は、前記支持位置において、前記接続位置に対する離隔方向に前記接続部材および前記端子部材の一方または双方の少なくとも一部が当該離隔間隔を調整可能に変形する変形部を備えることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記調整部は、前記接続位置に対する離隔間隔を調整する前記変形部の変形を可能にする空間を有することを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記調整部は、前記端子台における前記支持位置に形成されている凹部を有して、前記変形部の当該凹部から離隔する方向または該凹部内に進入する方向への変形を可能にすることを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記調整部は、前記変形部の前記凹部から離隔する方向への変形を許容する空間を形成する部材により前記端子台が覆われていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記調整部は、前記変形部を前記支持位置に位置決め保持する弾性材を備えて、当該弾性材が前記支持位置および前記接続位置の間の離隔間隔を調整する方向への当該変形部の変形を許容するように弾性変形することを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記変形部は、前記支持位置および前記接続位置の間において、当該支持位置および当該接続位置との間の離隔方向に伸長または収縮するように変形することを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記変形部は、前記支持位置および前記接続位置の間の離隔方向の断面形状が波形に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記変形部は、前記支持位置および前記接続位置の間の離隔方向の断面形状が湾曲形に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記変形部は、前記支持位置および前記接続位置の間の少なくとも一部の幅が当該接続位置側よりも狭い板形状に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記変形部は、前記回路基板の平面方向に対する交差方向にずれている前記支持位置および前記接続位置の間に位置して、該回路基板の平面方向における当該支持位置および当該接続位置との間の離隔間隔を調整可能に変形することを特徴とする請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項13】
前記調整部は、前記端子台に対する前記回路基板の保持位置がスライド自在にされて構成されて、当該回路基板に対する当該端子台の相対的な位置関係が調整されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易かつ信頼性高く組み立て作業をすることのできる簡易な構造の圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力や温度などを検出する各種センサは、測定対象の近傍に固定されて検出信号を測定機器などに送出するように利用されており、その測定機器に内蔵あるいは外付けされる形態で多用されている(特許文献1を参照)。
【0003】
この種の各種センサは、測定対象と同等の環境に晒されるように設置可能なセンサユニットに組み込まれて利用されるようになっており、センサユニットは、設置するセンサに導通接続する端子を保持する端子台を備えて、その端子に測定機器を接続することでセンサの検出信号を利用可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-98685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の各種センサは、外部環境に晒されることから、周囲環境の温度変化、または設置される機器の運転、停止に伴ない、配管を伝わる流体の温度変化などがセンサユニットに繰り返し作用することがある。
【0006】
例えば、図18(a)に示すように、センサ11の前段に各種電気信号等を調整する回路基板50を設置するセンサユニット10である場合、図18(b)に黒矢印や白矢印で図示するように、回路基板50と端子片36d、37dとを導通接続するはんだ付け等による接合箇所および端子台24の線膨張係数の差により、当該箇所に機械的応力が繰り返し加わる。長期にわたりこのような応力が作用すると、はんだ付け箇所のクラック、はんだ付け部の配線パターンの剥離等の接合品質が低下してしまう恐れがある。なお、図18に図示する圧力センサ100は、理解の一助になるように、以下で説明する実施形態と共通の構成には同一の符号を付している。
【0007】
そこで、本発明は、周囲または流体の温度変化に伴う圧力センサの内部部品の線膨張係数の差による機械的応力の影響を抑制しつつ組み立て作業を行い得るセンサユニットを実現して、そのセンサユニットを備える圧力センサならびにそのセンサユニットの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するセンサユニットの発明の一態様は、外部機器に接続されるセンサを備えるセンサユニットにより構成される圧力センサであって、前記外部機器との間に介在するように配置されて前記センサに接続される回路基板と、前記センサおよび前記回路基板の間に位置して当該センサおよび当該回路基板に導通接続される接続部材および前記回路基板に導通接続される当該回路基板の前記外部機器への導通接続用の端子部材の一方または双方と、前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方を固定して位置決め支持する端子台と、を備え、前記回路基板は前記接続部材および前記端子部材の一方あるいは双方に載置され、前記回路基板に対する前記接続部材、前記端子部材および前記端子台のうちの少なくとも1つ以上の相対的な位置関係を調整する調整部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明の一態様によれば、回路基板に対する接続部材、端子部材および端子台のうちの少なくとも1つ以上の相対的な位置関係が調整部により調整可能なので、例えば、回路基板に平面方向の機械的応力が負荷されるような現象が生じたとしても、その回路基板の相対的な位置関係が調整されて機械的応力の負荷が吸収されることによって損傷などしてしまうことが未然に防止される。
【0010】
したがって、周囲又は流体の温度変化に伴う、圧力センサの内部部品の線膨張係数の差による機械的応力の影響を抑制しつつ組み立て作業を行い得る簡易な構造のセンサユニットを実現することができ、そのセンサユニットを備える圧力センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るセンサユニットの一例である圧力センサユニットを備える圧力センサを示す図であり、その概略全体構成を示す縦断面図である。
図2図2は、その圧力センサの製造方法の概要を示す図であり、(a)はその各部品の積み重ね方向に離隔させている上方からの分解斜視図、(b)はその一部品の下方からの斜視図である。
図3図3は、その要部部品を示す一方向からの斜視図である。
図4図4は、図3の要部部品に取り付けられる一接続端子を示す図であり、(a)はその立面正面図、(b)はその上面図、(c)はその底面図、(d)はその3部品のリードフレームを示す平面図である。
図5図5は、図3の要部部品に取り付けられる図4と異なる一接続端子を示す図であり、(a)はその立面正面図、(b)はその上面図、(c)はその底面図、(d)はその側面図である。
図6図6は、図3の要部部品への接続端子の取り付け状態を示す図であり、(a)はその縦断面図、(b)はその上面図である。
図7図7は、図6における接続端子の取付状態を説明する図であり、(a)はその一接続端子の一方向からの斜視図および他の接続端子の異なる方向からの斜視図、(b)はその両接続端子の上面図である。
図8図8は、図3の要部部品への接続端子と回路基板との取り付け状態を示す図であり、(a)はその縦断面図、(b)はその斜視図、(c)はその回路基板と接続端子の接続箇所の拡大斜視図である。
図9図9は、図8における接続箇所の接続状態を説明する図であり、(a)はその構造による効果を示す縦断面図、(b)はその構造を採用しない場合を示す縦断面図である。
図10図10は、本実施形態による作用効果を説明する図であり、(a)は機械的応力の無負荷時の拡大縦断面図、(b)は回路基板側に押される負荷時の拡大縦断面図、(c)は回路基板に引かれる負荷時の拡大縦断面図である。
図11図11は、本実施形態の第1の他の態様を示す図であり、その一部拡大縦断面図である。
図12図12は、本実施形態の第2の他の態様を示す図であり、(a)はその一態様を示す一部拡大縦断面図、(b)は(a)と異なる態様を示す一部拡大縦断面図、(c)は(a)、(b)と異なる態様を示す一部拡大縦断面図である。
図13図13は、本実施形態の第2の更なる他の態様を示す図であり、(a)~(d)は図12(a)~図12(c)を含めてそれぞれ異なる態様を示す一部拡大縦断面図である。
図14図14は、本実施形態の第3の他の態様を示す図であり、その一部拡大縦断面図である。
図15図15は、本実施形態の第4の他の態様を示す図であり、その一部拡大縦断面図である。
図16図16は、本実施形態の第5の他の態様を示す図であり、その概略全体構成を示す縦断面図である。
図17図17は、本実施形態の第6の他の態様を示す図であり、その概略全体構成を示す縦断面図である。
図18図18は、本実施形態の着想前の技術を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図10は本発明の一実施形態に係るセンサユニットの一例の圧力センサユニットを備える圧力センサならびにそのセンサユニットの製造方法を説明する図である。
【0013】
図1および図2において、圧力センサ100は、構成部品を後述するように積み重ねるようにして組み立てた圧力センサユニット10を外部環境の圧力特性を測定する対象箇所に取り付けて、圧力センサチップ11の検出する圧力情報を接続されている外部機器Aに出力するように作製されている。本実施形態の圧力センサ100は、樹脂製の防水ケース20内に収容されている圧力センサユニット10を、例えば、圧力を検出する気体や液体などの流体が導かれる測定対象の配管に金属製の継手部材30で連結することにより接続可能に構築されている。
【0014】
ここで、防水ケース20は、圧力センサユニット10を収容可能な円筒形状に作製されて一端側の開口部20bに、継手部材30の固定されているキャップ28の周縁部が連結されている。この継手部材30は、圧力測定対象の配管などにねじ止め可能に雌ねじ30sが形成されており、その雌ねじ30sに連通するポート30aを介して、配管から矢印P方向に供給される流体をそのキャップ28の下流側の圧力室PRに導入することを実現している。
【0015】
圧力センサユニット10は、短尺な円筒形状に作製されて軸方向の下端面がキャップ28に接合固定されるハウジング12と、圧力センサチップ11が設置されてハウジング12の内筒内中心に位置するように配置される支柱13と、そのハウジング12の内筒内の支柱13周りに充填されて閉塞させつつその内筒内を貫通する部材を固定するハーメチックガラス14と、を備えている。
【0016】
また、圧力センサユニット10では、ハウジング12の下端面に金属製のダイヤフラム32が接合固定されている。ダイヤフラム32は、キャップ28側に気密な圧力室PRを形成しつつ、ハウジング12内の支柱13側の圧力センサチップ11の設置空間を圧力室PRから隔絶させている。
【0017】
そして、この圧力センサユニット10では、ハウジング12の内筒内におけるハーメチックガラス14とダイヤフラム32とにより形成される圧力センサチップ11の設置空間に、例えば、圧力伝達媒体として所定量のシリコーンオイル(フッ素系不活性液体などでもよい)が充填されて液封室LRとして機能するようになっている。
【0018】
これにより、圧力センサチップ11は、継手部材30を連結された配管から圧力室PR内に導入された検出対象の流体の圧力を、ダイヤフラム32を介して液封室LR内の圧力伝達媒体の圧力変動として検出する圧力センサとして機能する。
【0019】
ここで、圧力センサチップ11は、外部機器Aからの複数のリード線38のそれぞれに後述する回路基板50を介して接続されているリードピン40にボンディングワイヤ11wを介して導通接続されることにより、電源供給されるとともに、検出信号を圧力情報として出力するように設置されている。また、ハウジング12の内筒内におけるハーメチックガラス14とダイヤフラム32との間の液封室LRにはオイル充填用パイプ44を介して圧力伝達媒体が充填されるようになっている。これらリードピン40およびオイル充填用パイプ44は、支柱13を中心に同一円状に等間隔で整列し、ハーメチックガラス14などの絶縁物を介して、ハウジング12とは絶縁して支持されている。なお、オイル充填用パイプ44は、一方の端部を圧力伝達媒体の充填後に閉塞される。
【0020】
ここで、ダイヤフラム32は、ハウジング12の下端面に、複数の連通孔34aを有するダイヤフラム保護カバー34が接合固定されることにより、外力や圧力室PR内への急激な圧力によって損傷してしまうことが未然に防止されるようになっている。また、ハーメチックガラス14の一端側に凹形状のフレーム16が固定されて蓋状のシールド板17が取り付けられており、フレーム16はシールド板17に形成されて急激な圧力変動を抑制する連通孔17aを介して圧力センサチップ11側とダイヤフラム32側との間で圧力伝達媒体を流動自在に収容している。
【0021】
リードピン40は、有底の短尺な概略円筒形状に形成された樹脂製の端子台24の底面部24bに電源用端子2本と出力信号用端子1本と、組み立て時に使用する調整用端子5本が配列されてボンディングワイヤ11wを介して圧力センサチップ11に電気的に接続されており、これらリードピン40は、端子台24の底面部24bに形成されている挿通孔24h内に挿通されつつハーメチックガラス14に固定支持されている。ここで、端子台24は、概略円筒形状の側壁部24sの一部が平面状に形成されて、後述するそれぞれ3つで1組の中継接続端子36(36A~36C)、37(37A~37C)を取り付け保持させる端子保持部51、53が円筒中心の対称位置に配置されている。この端子台24は、ハウジング12の上端面に、シリコーン系接着剤により接着されている。また、リードピン40が突出するハーメチックガラス14の上端面全体には、シリコーン系接着剤からなる被覆層14aが所定の厚さで形成されている。なお、被覆層はエポキシ樹脂などの接着剤でも良い。
【0022】
このリードピン40は、両端部がハウジング12の内筒内におけるハーメチックガラス14の両面側に貫通して、液封室LR側である一端側にはボンディングワイヤ11wを介して圧力センサチップ11が導通接続される。また、複数のリードピン40の内、電源用端子と出力信号用端子の他端側には端子台24の側壁部24sに保持されている中継接続端子36の端子片36eが例えば、スポット溶接(溶融金属接合でもよい)されて端面に導通接続されている。また、端子台24の側壁部24sの中継接続端子36の反対(対面)側には後述するように外部機器Aからのリード線38が接続される中継接続端子37が保持されている。これら中継接続端子36、37の端子片36d、37dには、載せるようにして設置される回路基板50が溶融はんだ(導通接続材料)Sを塗布されるはんだ付けにより接続されている。すなわち、中継接続端子36が接続部材を構成し、中継接続端子37が端子部材を構成している。なお、導通接続材料としては、はんだSなどの溶融金属だけでなく、例えば、導電性材料を含む接着剤等を塗布するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0023】
ここで、回路基板50は、圧力センサチップ11と外部機器Aとの間に介在して回路構成の一部として機能するようになっており、本実施形態においては、圧力センサチップ11および外部機器Aの異なる入出力電圧を調整するなど、例えば、外部機器Aの入力電圧DC12VやDC3.3Vを圧力センサチップ11の動作電圧DC5Vにするなど入出力電圧の変換調整回路が搭載されている。この種の変換調整回路は本実施形態に限らず、本実施形態とは異なる駆動、出力電圧の電圧出力形式、または2線式/3線式等の電流出力形式、あるいはデジタル出力形式など、様々な駆動電圧や圧力検出信号の信号方式に対応するための任意の変換調整回路である。なおこれらの変換調整回路は、図示されてはいない複数の電子部品が実装されることにより構成されている。
【0024】
ここで、端子台24は、円筒形の側壁部24sの開口側に端子台キャップ25が取り付けられて、リードピン40、中継接続端子36、37の端子片36d、36e、37dおよび回路基板50の設置空間SRが閉塞されており、圧力センサチップ11の支柱13がハーメチックガラス14で固定されているハウジング12と共に圧力センサユニット10を構築している。この圧力センサユニット10は、ハウジング12と継手部材30の連結されているキャップ28の外周縁部とがTIG溶接、プラズマ溶接、レーザ溶接等により外側から溶接されて所望の接合強度で一体化されている。この圧力センサユニット10が防水ケース20内に内装されてウレタン系樹脂などの封止材26が充填されることにより防水処理されつつ固定されている。ここで、端子台24および端子台キャップ25は、設置空間SRを閉塞することで、回路基板50の周囲に熱伝導率の低い空気層を形成することができ、圧力センサ周囲や配管からの温度変化が急激に回路基板50に伝わることを防ぐことができる。また、回路基板50自体や、回路基板50に搭載されている実装部品、または回路基板50と中継接続端子36、37との接続箇所等が封止材26と接触しないように配置することで、周囲温度変化に伴う封止材26の収縮、膨張による機械的応力が、接続部材、実装部品、特にこれらのはんだ付け部分に作用することを防ぐことができる。
【0025】
そして、圧力センサユニット10は、継手部材30の連結されているキャップ28に固定されているハウジング12から端子台24、回路基板50、および端子台キャップ25までを載せるように積み重ねる(スタッキングする)手順で組み立てるようになっている。端子台24は、中継接続端子36、37を側壁部24sの端子保持部51、53にセットした後に、ハウジング12上に載せてリードピン40の端部を中継接続端子36の端子片36eにスポット溶接し、この後に、中継接続端子36、37の端子片36d、37d上に回路基板50を載せてはんだ付けすることで導通接続するようになっている。ここで、リードピン40の端面には中継接続端子36の端子片36eをスポット溶接に限らず、はんだ付け、かしめなどで導通接続してもよいことはいうまでもない。なお、端子台24の底面部24bには、組み立て作業可能に適宜に挿通孔などが開口されており、例えば、オイル充填用パイプ44の挿通孔24Hも開口されている。
【0026】
詳細には、端子台24は、図3図7に示すように、側壁部24sに形成されている端子保持部51、53に中継接続端子36、37を取り付けて保持させるようになっている。
【0027】
中継接続端子36は、長尺の形状に形成されて延在する両端側に位置する一端側および他端側の端片(端子片)が互いに対面する形状、所謂、U字形状の平行方向に延長されている両端側の端子片36d、36eの間の平面部36fを端子台24の端子保持部51の外面に対して平行姿勢になるように設置して、その端子片36d、36eを側壁部24s内に延長させるように形成されている。中継接続端子37は、同様に端子片37dを端子台24の側壁部24s内に延長させて端子保持部53の外面に平面状の接続面37fを平行姿勢になるように沿わせつつ、その端子片37dの反対側を折り曲げた屈曲片37eを備えるU字形状に形成されている。この中継接続端子37の接続面37fには、外部機器Aからのリード線38の芯線Cがはんだ付けされて接続されることにより、圧力センサチップ11からリードピン40、中継接続端子36、37および回路基板50を介して外部機器Aまで電気的に接続される。
【0028】
端子保持部51は、端子台24の側壁部24sの内側に中継接続端子36を固定する固定溝である溝55gを介在させるように対面する複数本の内壁部55が形成されており、この内壁部55のそれぞれの上面は、同一平面となる高さに形成されている。また、同様に、端子保持部53は、端子台24の側壁部24sの内側に中継接続端子37を固定する固定溝である溝56gを介在させるように対面する一枚の内壁部56が形成されている。これら内壁部55、56の間には側壁部24sの内側に溝57gを介在させるように対面する一対の内壁部57が形成されている。すなわち、端子台24の側壁部24sおよび内壁部55~57の間には、溝55g~57gが連続する形態で形成されている。
【0029】
端子保持部51は、端子台24の側壁部24sに対面する4本の内壁部55の間の3か所のスリット55sの底面に中継接続端子36A~36C毎の端子片36eを接する状態に差し込んで位置決めするようになっている。その状態では、スリット55sよりも大きめに形成されている中継接続端子36A~36Cの平面部36fが内壁部55の側壁部24s側対面部に接しており、3つの中継接続端子36A~36Cの端子片36dは、内壁部55の上面と接するよう、同一平面上となる位置で折り返されている。中継接続端子36A~36Cは、平面部36fにおける端子片36eに隣接する個所をその平面部36fの平面方向に延長した突片(固定部)36h、36iを備えている。また、端子台24の側壁部24sと側壁55との間の溝55gの底面には、突片36h、36iの差込溝55hが形成されている。この差込溝55hに突片36h、36iが差し込まれることにより、中継接続端子36A~36Cが立っている状態を維持するようになっている。このような端子保持部51の構造により、端子台24の開口端である上方から、中継接続端子36A~36Cの端子片36eを溝55gおよびスリット55sに適合するように挿入し組み込むことができる、すなわちこのような構造により固定部を形成している。なお、突片36iは、図2に図示するのは省略して、図4に図示している。
【0030】
中継接続端子36は、それぞれ形状の異なる中継接続端子36A~36Cの3つで1組に作製されて、平面部36fに対する直角方向に端子片36d、36eがそれぞれ折り曲げられており、そのうちの端子片36eは端子片36dよりも間隔の狭くなる並列状態で端子台24の底面部24bと平行方向に延長される形態になるように形成されている。詳細には、この中継接続端子36は、端子片36eが小型の圧力センサチップ11に対応して支柱13を中心とした同一円状に等間隔に配列されたリードピン40に接続することから、中央に寄って幅狭間隔に並列されて延長される形状に形成される。また、端子片36dは任意の間隔に設定可能な回路基板50に接続することから、端子片36eよりも接続作業をし易くするように広めの間隔に並列されて延長される形状に形成されている。なお、この中継接続端子36は、図4(d)に示すように、3つで1組の中継接続端子36A~36Cをリードフレーム36LFで一体化した状態で打ち抜き形成した後に、端子片36d、36eをそれぞれ平面部36fや突片36h、36iに対して折り曲げて作製するようになっている。また、内壁部55のスリット55sが、溝55gから端子台24の底面24b側へと開放となっているが、後述の端子固定用接着剤26gを溝55gに注入して中継接続端子36を固定するとき、平面部36fの背面側(端子台24の外方側)が端子固定用接着剤26gを受け止めるようになっており、端子台24の底面24b側への端子固定用接着剤26gの漏出を防ぐようになっている。
【0031】
端子保持部53は、上面側および下面側に中継接続端子37の端子片37dおよび屈曲片37eを差し込み可能に端子台24の側壁部24sを貫通するスリット53a、53bが形成されている。また、端子保持部53には、その端子片37dおよび屈曲片(交差部)37eが端子台24の側壁部24sのスリット53a、53bを貫通して内側の溝56gを交差する方向から通過した後に内壁部56の上面や溝56gの底面に接する状態で位置決めされるようになっている。
【0032】
このような構造のため、中継接続端子37は、中継接続端子37A~37C毎に同一形状に作製されており、端子片37dおよび屈曲片37eは、端子保持部53の上面および下面に接するように、接続面37fに対し直交する同一方向に折り曲げて形成されている。そのうちの端子片37dは端子台24の側壁部24s内にスリット35aから回路基板50を載置可能な程度に差し込まれる形状に形成されている。この中継接続端子37は、幅広の接続面37fに対して端子片37dや屈曲片37eを幅狭に形成して、そのうちの端子片37dの両側に同一方向に折り曲げて端子保持部53の上面に食い込むように引っ掛ける係合片37gが形成されている。なお、この係合片37gは、後述する端子固定用接着剤26gによる固定で十分な場合には省略してもよい。
【0033】
これにより、中継接続端子36は、端子保持部51に取り付けられて長尺の端子片36d、36eが端子台24の側壁部24sの内側の内壁部55間(スリット55s)に位置決めされつつ突片36h、36iがその側壁部24sおよび内壁部55間の溝55g底面の差込溝55hに差し込まれて位置決め保持する状態で取り付けることができ、また端子片36eの端子台24内部への突出量も一定となるように取り付けることができる。このような構成により、それぞれ端子片36dは内壁部55上面の高さに、また、端子片36eは内壁部55間のスリット55s底面の高さに、さらに端子片36eの端子台24内部への突出量も一定に位置決め支持することができる。このように、端子片36eのリードピン40が配列している平面に対する位置関係、つまり端子片36eの延在方向および端子片36eの幅方向に対するリードピン40端面の位置が安定するとともに、端子片36eとリードピン40端部との高さ方向を安定して位置決めを行うことができる。このことは、リードピン40の端面と端子片36eとをスポット溶接を行ううえで、両者の相対的な位置関係を一定にすることが必要である。また、中継接続端子37は、端子保持部53に取り付けられて端子片37dが端子台24の側壁部24sの内側の内壁部56上面に位置決め保持される状態で取り付けることができる。すなわち、端子台24の内壁部55の溝55g側が中継接続端子36の支持位置として機能する。
【0034】
このため、中継接続端子36、37は、端子片36eおよび屈曲片(固定部)37eを端子台24の側壁部24sを貫通して内壁部55、56との間に形成される回路基板50を重ねるように載せる方向の深さの溝55g、56g内に位置させることができる。この中継接続端子36、37は、その溝55g、56g内に端子固定用接着剤26gを注入することによって位置決め固定することができ、その内壁部55、56による溝55g、56gは、側壁部24sおよび内壁部57の間の溝57gの両側に連続しているので、その幅広の溝57g内にディスペンサを差し込んで端子固定用接着剤26gを注入して固定作業を容易に完了する手順(製造方法)を実行することができる(図6を参照)。この後に、中継接続端子36、37は、端子片36eをリードピン40に安定姿勢でスポット溶接して導通接続することができるとともに、端子片36d、37dに載せる回路基板50を安定姿勢のままはんだ付けして導通接続することができる。ここで、端子台24には、内壁部57に対面する円弧形状の側壁部24sの内面に平面部29が形成されている。これは端子台キャップ25下面の突起25aと係合することにより、端子台キャップ25を端子台24に載置した時に、端子台キャップ25の水平方向のズレ、および回転防止として機能する。端子台24と端子台キャップ25とを密着するように載置することにより、端子台24、端子台キャップ25の周囲に封止材26を充填した時に、端子台24内部への封止材26の漏出を防止することができる。
【0035】
これら中継接続端子36、37は、はんだ付けする端子片36d、37dや接続面37fに溶融はんだの濡れ性を良くするめっきMが施されて接続不良の発生を少なく導通接続可能に作製されており、その中継接続端子37の接続面37fの隣接個所にもめっきMを施してはんだ付けした接続ライン38の導通線Cが外れてしまうことを抑制するようになっている。ここで、中継接続端子36、37は、はんだ付けに必要な領域のみにめっきMが施されて、それ以外の領域にはめっきMを施されていないので溶融はんだの流れ出しは抑制されることになる。本例のようにめっきMによりはんだの濡れ性を良くする箇所を設けるほかに、はんだ付け面は金属素地表面の状態のままとし、はんだの流動を制限する箇所にレジスト、コーティングなどを施すなどを行っても良い。
【0036】
回路基板50は、図8に示すように、中継接続端子36、37の端子片36d、37dに対応する個所の外周端面が、回路基板50の平面に対し平行な方向である内方にU字形状に窪み、回路基板50の平面と直交する表裏両面側に開口して接続位置として機能する接続領域の凹壁電極面(凹壁面)50uが形成されている。この凹壁電極面50uは、回路基板50の外周端面から溶融はんだが全体(全面)に浸透し易い半円を内方に窪み距離Lだけ進入させて内面にはんだ濡れ性に優れるめっきMが施されている。すなわち、凹壁電極面50uは、回路基板50外周端面から、基板の内方に向かって深さLの小判状の切欠形状として形成されている。この凹壁面の内方に窪む形状を半円状とすることにより、はんだによるフィレット形成における凹壁面50u内部の応力が均等に作用する効果が期待できる。応力が均等となる事は、圧力センサに加わる冷熱繰り返し、いわゆるヒートサイクルによるはんだ付け部のクラックによる導通不良といった不具合に対する耐性を向上することができ、信頼性の高い接続をなし得ることができる。また回路基板50の製作工程においても、実装部品の取付穴の加工や、回路基板50の外形加工と同じ加工工具で製作することがでる。矩形形状では円盤状のカッターでの加工等、別行程、別工具が必要であり、半円状とすることで、生産性、品質の面で有利である。
【0037】
これに対して、中継接続端子36、37の端子片36d、37dは、回路基板50の凹壁電極面50uよりも幅広に形成されているとともに、凹壁電極面50uの外周端面からの深さ(距離)Lよりも長めに形成されて、回路基板50を安定姿勢で載せることができるようになっている。さらに端子台24は、その回路基板50の四隅に形成されている角凹部50rに嵌まり込む支柱形状部54が側壁部24sの内面側に形成されて回路基板50を位置決めすることができるようになっている。すなわち、中継接続端子36、37の端子片36d、37dが回路基板50の凹壁電極面50u付近を支持する支持領域として機能する。なお、本実施形態では、中継接続端子36、37の端子片36d、37dに接続する双方の回路基板50の接続領域に凹壁電極面50uを形成するが、これに限るものではなく、凹壁電極面50uを形成せず回路基板50の外周端面で接続してもよいし、凹壁電極面50uをいずれか一方のみにしてもよいが、双方に形成するのが接続作業性や信頼性からすると好適である。
【0038】
これにより、回路基板50は、図9(a)に示すように、安定姿勢で中継接続端子36、37の端子片36d、37dに載せられて端子台24の支柱形状部54に位置決めされる安定姿勢で保持されるとともに、その端子片36d、37dに図9(b)に示す半円の凹壁電極面50u´よりも大容量でフィレット高さも十分な安定形状のはんだSにより凹壁電極面50uが信頼性高く導通接続されている。はんだ付け箇所である接続領域は回路基板50の裏側となってしまうため、接続領域を直接目視確認することはできない。しかし本実施形態の様に、凹壁部50u内部におけるフィレットの状態を目視若しくは画像認識等により管理することにより、はんだ付けが正常に行われたか否かを判断することができる。なお、回路基板50には、組み立て作業時にオイル充填用パイプ44を挿通する挿通孔50Hも開口されている。
【0039】
そして、端子保持部51には、図10(a)に示すように、内壁部55の端子台24の側壁部24sとの対面側上部に、溝56g内で注入固化される端子固定用接着剤26gよりも高い位置に切欠(凹部)58が形成されており(図1図3図6を参照)、本実施形態では、端子固定用接着剤26gの高さを抑えて必要十分な大きさの切欠58が形成されている。これにより、端子保持部51では、リードピン40、中継接続端子36、37および回路基板50などの設置空間SRを介在させても端子台24等などを介する間接的な熱伝導が生じるが、この内壁部55の切欠58に対面する中継接続端子36の一部を変形部として機能させて変形することを許容している。
【0040】
具体的には、端子台24および回路基板50の線膨張係数の相違により、温度変化による両者間の伸縮量に相違が生じても、中継接続端子36は、図10(b)および図10(c)に示すように、内壁部55に対して回路基板50が端子台24の底面部24bと平行方向に揺動して伸縮することを許容する方向に、言い換えると、その切欠58から離隔あるいは切欠58内に進入する方向に復帰可能に、中継接続端子36の一部(変形部)が弾性変形することができる。このため、内壁部55の切欠58は、中継接続端子36、37の端子片36d、37dと回路基板50との間を導通接続するはんだSの接合部分に機械的応力が加わって、はんだ付け部のクラック、回路基板50の凹壁部50u周辺の回路パターンの剥離による導通不良などの接合品質が低下してしまうことを回避する調整部として機能することができる。
【0041】
このように、本実施形態の圧力センサ100の圧力センサユニット10においては、端子台24における内壁部55の溝55g側から回路基板50の凹壁電極面50uまでの離隔間隔を中継接続端子36がその内壁部55の切欠58を利用して弾性変形することができ、周囲温度変化に伴う端子台24と回路基板50の線膨張係数の相違により中継接続端子36と基板回路50とのはんだSの接合部間に機械的応力が発生しても、中継接続端子36は基板回路50と接近、離隔方向に伸縮を許容できる構造であるため、当該接合部間に過度な応力が作用することを防ぐことができる。
【0042】
したがって、端子台24の内壁部55の溝55g側に切欠58を形成するだけの簡易な構造で、回路基板50と端子台24の線膨張係数の相違による、中継接続端子36と基板回路50とのはんだSの接合部分への機械的応力の影響を抑制しつつ組み立て作業を行い得る圧力センサユニット10を搭載する圧力センサ100を提供することができる。
【0043】
ところで、上述の図18に示すように、端子台24の側壁部24sに形成する端子保持部51、53がコの字形状に形成された中継接続端子136、37を外面側から差し込まれる形態の場合には、その端子台24を横向きに倒して側壁部24sの端子保持部51、53の下側に開口する溝内に端子固定用接着剤26aを注入する作業を少なくとも2回以上行う。これに対して、本実施形態では、立てた状態の端子台24のまま1回の注入作業で端子固定用接着剤26gの形成を簡易かつ迅速に完了することができ、中継接続端子36、37の位置決め精度が横向きにする際に低下してしまうことも回避することができる。
【0044】
ここで、本実施形態の第1の他の態様としては、図11に示すように、端子保持部51に設置する中継接続端子36の突片36h、36iを延長した突片36he、36ieを形成して端子台24の溝55gの底に深く突き刺して位置決め固定するようにしてもよい。これにより、端子保持部51においては、端子台24の溝55g内に注入固化して中継接続端子36を固定するための端子固定用接着剤26gを省略することができる。また、その端子固定用接着剤26gに代えて、ハーメチックガラス14に端子台24を固定する被覆層14aの凹部の位置を溝55g下に移動させて被覆層14gを注入固化することによって、端子台24自体と一緒に中継接続端子36をも位置決め固定することもできる。
【0045】
本実施形態の第2の他の態様としては、図18に示すように、端子保持部51に端子台24の外面側から差し込んで設置する中継接続端子136に代えて、図12に示すように、その端子片36dの平面部36f側に回路基板50の凹壁電極面50uとの離隔間隔をその離隔方向に伸長変形または収縮変形して調整可能にする後述の変形部を有する中継接続端子66を設置するようにしてもよい。これにより、この端子保持部51と回路基板50との間の機械的応力に対応して中継接続端子66の変形部が変形することで、本実施形態の内壁部55の切欠58による中継接続端子36の揺動と同様の作用効果を得ることができ、中継接続端子36、37の端子片36d、37dと回路基板50との間を導通接続するはんだSの接合部分に機械的応力が加わって接合品質が低下してしまうことを回避することができる。
【0046】
具体的には、例えば、端子片36dの平面部36f側に、図12(a)に示す断面波形の変形部66rを形成して、また、図12(b)に示す断面湾曲形の変形部66fを形成して、当該離隔間隔を容易に調整可能にしてもよい。さらに、図12(c)に示すように、端子片36dの平面部36f側および回路基板50の凹壁電極面50u側の端子台24の底面部24bからの高さ(端子台24の円筒軸方向の長さ)を変える中継接続端子66に代えて、当該離隔間隔を容易に調整可能にしてもよい。すなわち、図12(c)に示す中継接続端子66は、端子台24の円筒軸方向(回路基板50の平面方向に対する交差方向)にオフセットされている回路基板50の凹壁電極面50u側と端子台24の内壁部55の溝55g側との間の離隔距離を調整可能にしている。
【0047】
この第2の他の態様として、中継接続端子66は、図13に示す形状に代えてもよく、端子片36dの平面部36f側に、正多角形あるいは異形の開口(四角形を図示)を有する変形部66qを形成して(図13(a))、また、端子片36dとの間を幅狭に形成されて直線的に繋げる平板形状の変形部66sを形成して(図13(b))、同様に、幅狭で傾斜する形状で繋げる平板形状の変形部66iを形成して(図13(c))、同様に、幅狭で蛇行する形状で繋げる平板形状の変形部66tを形成して(図13(d))、回路基板50の凹壁電極面50uとの離隔間隔を調整可能にしてもよい。
【0048】
ここで、これら中継接続端子66は、図18に示す端子保持部53に端子台24の外面側から差し込んで端子固定用接着剤26aにより位置決め固定して設置する中継接続端子37に適用することができることは言うまでもない。
【0049】
本実施形態の第3の他の態様としては、図18に示す端子保持部51に端子台24の外面側から差し込んで端子固定用接着剤26aにより位置決め固定して設置する中継接続端子136と共に端子保持部53を備える端子台24の開口側上部に取り付ける端子台キャップ25に代えて、図14に示す上部キャップ65を取り付けるとともに、端子保持部51の外面側に切欠68を形成するようにしてもよい。具体的には、上部キャップ65は、端子台24の外周側から少なくともハウジング12の上面までを覆うことによって、防水ケース20内に充填する封止材26が端子台24、および中継端子接続端子136に直接接触するのを回避し、図10a、図10bの様に、中継接続端子136の端子台24の径方向への拡大、収縮の揺動が可能となる(上部キャップ65により確保された空間で切欠68から離隔する方向への揺動(変形調整)が確保されている)。また、端子保持部51の外面側の切欠68は、中継接続端子136が端子台24の径方向に大きく揺動することを許容することできる。これにより、この第3の他の態様でも、本実施形態の内壁部55の切欠58による中継接続端子36の揺動と同様に、中継接続端子136の切欠68に対応する部分(変形部)が容易に変形して揺動することができ、中継接続端子136、37の端子片36d、37dと回路基板50との間を導通接続するはんだSの接合部分に機械的応力が加わって接合品質が低下してしまうことを回避することができる。
【0050】
ここで、この端子保持部51の切欠68は、図18に示す端子保持部53に上部キャップ65と共に適用して、その端子保持部53に設置する中継接続端子37が中継接続端子136と同様に挙動するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0051】
本実施形態の第4の他の態様としては、図18に示す端子保持部51の外面上部側を切り欠いて設置する弾性材69が中継接続端子136を覆って保持することによって、中継接続端子136が弾性材69の弾性変形を利用して端子台24の径方向(上述の離隔間隔の調整方向)に保持箇所(変形部)が大きく揺動することを許容するようにしてもよい(図15)。これにより、本実施形態の内壁部55の切欠58による中継接続端子36の揺動と同様に、中継接続端子136、37の端子片36d、37dと回路基板50との間を導通接続するはんだSの接合部分に機械的応力が加わって接合品質が低下してしまうことを回避することができる。
【0052】
ここで、この端子保持部51の弾性材69は、図18に示す端子保持部53に適用して、その端子保持部53に設置する中継接続端子37が中継接続端子136と同様に挙動するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0053】
ここで、図示することは省略するが、本実施形態の端子保持部51、53と中継接続端子36、37の構造を入れ替えてもよく、あるいは、その構造のうちの一方に統一して共通にしてもよいことは言うまでもない。
【0054】
例えば、本実施形態の第5の他の態様として、図16に示すように、端子部材の中継接続端子37を用いることなく、リード線38を端子部材として端子台25を貫通させて回路基板50に直接はんだ付けなどして導通接続するようにしてもよい。この第5の他の形態では、中継接続端子37の割愛により支持固定が解除されてリード線38の変形と共に回路基板50をスライド自在に保持することができ、端子台24との相対的な位置関係を調整することができる。そして、この第5の他の形態は、あらかじめ回路基板50にリード線38を導通接続しておき、中継接続端子36の端子片36eをリードピン40にスポット溶接し、この後に、リード線38が接続されている回路基板50を中継接続端子36の端子片36dに載置し、その当該載置部をはんだ付けして端子台キャップ25を被せるようにして組み立て製造する。なお、この組み立て作業の後に、防水ケース20と端子台24および端子台キャップ25との間に封止材26が充填される。
【0055】
また、本実施形態の第6の他の態様として、図17に示すように、中継接続端子37をそのままにして(中継接続端子36と同様の調整機能を付加してもよい)、接続部材の中継接続端子36を用いることなく、リードピン40を接続部材として回路基板50に直接はんだ付けなどして導通接続するようにしてもよい。この第6の他の形態では、中継接続端子36の割愛により支持固定が解除されて回路基板50をスライド自在に保持することができ、端子台24との相対的な位置関係を調整することができる。
【0056】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により特定される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0057】
10……圧力センサユニット
11……圧力センサチップ
14a、14g……被覆層
20……防水ケース
24……端子台
24s……側壁部
25……端子台キャップ
26……封止材
26a、26g……端子固定用接着剤
30……継手部材
36(36A~36C)、37(37A~37C)、66、136……中継接続端子
36d、36e、37d、37e……端子片
36f……平面部
36h、36he、36i、36ie……突片
37e……屈曲片
37f……接続面
38……リード線
40……リードピン
50……回路基板
50r……角凹部
50u……凹壁電極面
51、53……端子保持部
53a、53b……スリット
54……支柱形状部
55~57……内壁部
55g~57g……溝
55h……差込溝
55s……スリット
58……切欠
65……上部キャップ
66a、66f、66i、66q、66r、66t……変形部
68……切欠
69……弾性材
100……圧力センサ
A……外部機器
LR……液封室
M……めっき
S……導通接続材料
SR……設置空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18