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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176890
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】換気送風システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095748
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 維範
【テーマコード(参考)】
3L056
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BD04
3L056BF06
(57)【要約】
【課題】複数の換気対象空間をそれぞれに対応する換気機器で換気する換気送風システムにおいて、ある換気対象空間の換気が対応の換気機器では行えない或いは不十分である場合が生じても、その換気対象空間の換気を促進する。
【解決手段】換気送風システムは、換気機器3及び4、換気対象空間1と換気機器3とを繋げる風路6b及び7b、換気対象空間2と換気機器4とを繋げる風路9b及び10b、換気対象空間2と換気機器3とを繋げる風路6c及び7c、並びに、換気機器3及び風路6c及び7cに接続され、風路6c及び7cの開閉を行うダンパー5a及び5bを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の換気機器、
第2の換気機器、
第1の換気対象空間を前記第1の換気機器に繋げる第1の風路、
第2の換気対象空間を前記第2の換気機器に繋げる第2の風路、
前記第2の換気対象空間を前記第1の換気機器に繋げる第3の風路、及び、
前記第1の換気機器及び前記第3の風路に接続され、前記第3の風路の開閉を行う第1のダンパー、
を備えることを特徴とする換気送風システム。
【請求項2】
前記第1のダンパーは前記第1の風路に接続され、前記第1の風路の開度及び前記第3の風路の開度を変更可能とする請求項1に記載の換気送風システム。
【請求項3】
前記第1の換気対象空間の空気質を検出する第1の空気質検出手段、
前記第2の換気対象空間の空気質を検出する第2の空気質検出手段、及び、
前記第1の空気質検出手段の検出結果と前記第2の空気質検出手段の検出結果とに基づき、前記第1の換気機器の風量、前記第1の風路の開度及び前記第3の風路の開度を調整する制御手段
を備える請求項2に記載の換気送風システム。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記第1の空気質検出手段による検出結果から前記第1の風路に発生させるべき空気流の風量を示す要求風量を決定し、
前記要求風量が前記制御手段により設定可能な前記第1の換気機器の最大の風量より小さく且つ前記第2の空気質検出手段による検出結果がある閾値以上である場合には、前記第3の風路が開いた状態となるよう前記第1のダンパーを制御し、前記要求風量より高い風量となるように前記第1の換気機器を制御する請求項3に記載の換気送風システム。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記要求風量が前記第1の換気機器の前記最大の風量より小さく且つ前記第2の空気質検出手段による検出結果が前記閾値以上である場合には、前記第1の風路の開度及び前記第3の風路の開度を前記要求風量に応じた開度に調整する請求項4に記載の換気送風システム。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記要求風量が前記第1の換気機器の前記最大の風量である場合には、前記第3の風路を閉じるよう前記第1のダンパーを制御する請求項4又は請求項5に記載の換気送風システム。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記第1の空気質検出手段による検出結果から前記第1の風路に発生させるべき空気流の風量である要求風量を決定し、
前記要求風量が前記制御手段により設定可能な前記第1の換気機器の最大の風量である場合には、前記第3の風路を閉じるよう前記第1のダンパーを制御する請求項3に記載の換気送風システム。
【請求項8】
前記第1の換気対象空間を前記第2の換気機器に繋げる第4の風路、及び、
前記第2の換気機器及び前記第4の風路に接続され、前記第4の風路の開閉を行う第2のダンパー、
を備える請求項1に記載の換気送風システム。
【請求項9】
前記第1のダンパーは前記第1の風路に接続され、前記第1の風路の開度及び前記第3の風路の開度を変更可能とし、
前記第2のダンパーは前記第2の風路に接続され、前記第2の風路の開度及び前記第4の風路の開度を変更可能とする請求項8に記載の換気送風システム。
【請求項10】
前記第1の換気対象空間の空気質を検出する第1の空気質検出手段、
前記第2の換気対象空間の空気質を検出する第2の空気質検出手段、及び、
前記第1の空気質検出手段の検出結果と前記第2の空気質検出手段の検出結果とに基づき、前記第1の換気機器及び前記第2の換気機器のそれぞれ風量、並びに、前記第1の風路から前記第4の風路のそれぞれ開度を調整する制御手段
を備える請求項9に記載の換気送風システム。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記第1の空気質検出手段による検出結果から前記第1の風路に発生させるべき空気流の風量である第1の要求風量を決定し、
前記第2の空気質検出手段による検出結果から前記第2の風路に発生させるべき空気流の風量である第2の要求風量を決定し、
前記第1の要求風量が前記制御手段により設定可能な前記第1の換気機器の最大の風量より小さく且つ前記第2の空気質検出手段による検出結果が第1の閾値以上である場合には前記第3の風路が開いた状態となるよう前記第1のダンパーを制御し、前記第1の要求風量より高い風量となるように前記第1の換気機器の風量を調整し、
前記第2の要求風量が前記制御手段により設定可能な前記第2の換気機器の最大の風量より小さく且つ前記第1の空気質検出手段による検出結果が第2の閾値以上である場合には、前記第4の風路が開いた状態となるよう前記第2のダンパーを制御し、前記第2の要求風量より高い風量となるように前記第2の換気機器の風量を調整する請求項10に記載の換気送風システム。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記第1の要求風量が前記第1の換気機器の前記最大の風量より小さく且つ前記第2の空気質検出手段による検出結果が前記第1の閾値以上である場合、前記第1の風路の開度及び前記第2の風路の開度を前記第1の要求風量に応じた開度に調整し、
前記第2の要求風量が前記第2の換気機器の前記最大の風量より小さく且つ前記第1の空気質検出手段による検出結果がある前記第2の閾値以上である場合、前記第2の風路の開度及び前記第4の風路の開度を前記第2の要求風量に応じた開度と調整する請求項11に記載の換気送風システム。
【請求項13】
前記制御手段は、
前記第1の要求風量が前記第1の換気機器の前記最大の風量である場合には、前記第3の風路を閉じるよう前記第1のダンパーを制御し、
前記第2の要求風量が前記第2の換気機器の前記最大の風量である場合には、前記第4の風路を閉じるよう前記第2のダンパーを制御する請求項11又は請求項12に記載の換気送風システム。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記第1の空気質検出手段による検出結果から前記第1の風路に発生させるべき空気流の風量である第1の要求風量を決定し、
前記第2の空気質検出手段による検出結果から前記第2の風路に発生させるべき空気流の風量である第2の要求風量を決定し、
前記第1の要求風量が前記制御手段により設定可能な前記第1の換気機器の最大の風量である場合には、前記第3の風路を閉じるよう前記第1のダンパーを制御し、
前記第2の要求風量が前記制御手段により設定可能な前記第2の換気機器の最大の風量である場合には、前記第4の風路を閉じるよう前記第2のダンパーを制御する請求項10に記載の換気送風システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気送風システムに関する。
【背景技術】
【0002】
快適な空気調和を行うために、給気ファンによって室外から室内へ空気を導入し、排気ファンによって室内から室外へ空気を排出する換気機器がある。室内に設けられる空調機のエネルギーを低減するために、室外から室内へ導入する空気と室内から室外へ導入する空気との間で熱交換を行わせ、温度差を低減した給気を室内へ導く熱交換型換気機器が用いられている。
【0003】
事務所ビルなどでは、室内にいる人数の増減に応じて、室内の空気汚れの度合いは大きく異なる。通常、事務所ビルなどの換気設計は室内の在室率が100%状態で室内の炭酸ガス(CO2)濃度が一定値以下となるように換気設計されているが、実際の室内の在室率は文献などの調査によると、50~70%がほとんどであり、最大在籍人数が室内に存在するものとして機械換気の出力を100%の状態で動作させた場合には、換気による外気負荷が生じるため、空調エネルギーが余分に使用されてしまう。そのため例えば壁面に設置されたリモコンによって、出力100%より小さい風量に固定され設定される使用法も用いられるが、多人数が室内にいる場合など、室内の空気が汚れるという問題がある。一方で、早朝や夜間の時間帯では少人数或いは全然人がいない場合においては、過剰換気であり空調負荷の増大となり、省エネ上好ましくない。
【0004】
特許文献1には、室内のCO2ガスを検出するCO2センサーを備え、室内のCO2濃度に基づいて風量を制御する換気機器が開示されている。
【0005】
室内のCO2濃度に基づいて換気を行う理由は下記の2つである。第1の理由は、高濃度のCO2は人体に有害であるため、室内のCO2濃度を人体に有害とならない濃度に管理することである。第2の理由は、人の活動量に比例して発生する有害物質はCO2以外にも存在するが、他の有害物質の検出は容易ではないため、検出が比較的容易なCO2濃度で人の活動量に比例して発生する有害物質を代表して検出することである。よってCO2センサーによる室内のCO2濃度の情報を用いて換気風量が制御されることによって、過剰換気を抑制した省エネルギー性の高い換気機器を得ることができる。
【0006】
CO2濃度に基づいて換気を行う換気送風システムとして、特許文献2のように、各々CO2センサーを備えた複数の換気機器が一つの部屋に設置された換気送風システム、特許文献3のように、複数の対象空間を一台の換気機器で制御する換気送風システムもある。特許文献3では、2つの換気対象空間のそれぞれCO2濃度から換気機器の風量、及び換気機器から2つの換気対象空間にそれぞれ通じるダクトの開度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-95532号公報
【特許文献2】特開2018-119752号公報
【特許文献3】特開2022-190835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数の換気対象空間をそれぞれ異なる換気機器で換気する換気送風システムにおいて、ある換気対象空間では換気が十分行われない場合がある。換気対象空間の空気質が急激に悪化する場合の他、換気対象空間が貸し会場若しくは会議室などであれば催される一つのイベントと別のイベントの間の休憩時間など、短期間で換気する必要がある場合がある。換気対象空間の換気は換気機器の能力に依存してしまい、短時間では換気対象空間を完全に換気することができず、臭気、空気質が残ってしまう。
【0009】
また、自動車が多く通る幹線道路に面している等、ある換気対象空間では時間帯によって極端に外気の空気質が悪くなるといった環境においては、換気をしても換気対象空間の空気質を効率よく改善することができない。さらには、ある換気対象空間を換気する換気機器が故障した場合、故障を解消するまでその換気対象空間の換気ができなくなる。
【0010】
本開示は、複数の換気対象空間をそれぞれに対応する換気機器で換気する換気送風システムにおいて、ある換気対象空間の換気が対応の換気機器では行えない或いは不十分である場合が生じても、その換気対象空間の換気を促進することのできる換気送風システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る換気送風システムは、第1の換気機器、第2の換気機器、第1の換気対象空間と第1の換気機器とを繋げる第1の風路、第2の換気対象空間と第2の換気機器とを繋げる第2の風路、第2の換気対象空間と第1の換気機器とを繋げる第3の風路、及び、第1の換気機器及び第3の風路に接続され、第3の風路の開閉を行う第1のダンパーを備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る換気送風システムによれば、第1のダンパーが第3の風路を開けることにより、第1の換気機器が第2の換気対象空間の換気を補助することができる。よって第2の換気機器では第2の換気対象空間の換気ができない或いは換気が十分ではない場合でも第2の換気対象空間の換気を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態1に係る換気送風システムの模式図である。
図2図1に示されるダンパー5aの構成図であり、開度0であるダンパー5aの状態を示す。
図3図1に示されるダンパー5aの構成図であり、開度3であるダンパー5aの状態を示した構成図である。
図4】CO2濃度レベルに対する要求風量及び補助レベルを示す対応表である。
図5図1に示される制御部23の風量・補助レベル決定処理を示すフローチャートである。
図6図1に示される制御部23の風量・補助レベル決定処理を示すフローチャートである。
図7】風量のアップ量に対するダンパー5a及び5bの開度を示す対応表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面及び以下の説明において、同一のもの及び実質的に同一のものには同一の符号を付し、同一の符号を付したものの説明は繰り返さない。
【0015】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る換気送風システムの模式図を示す。換気送風システムは、換気対象空間1及び2の換気を行うシステムである。換気対象空間1及び2の例示は、同じ建物(例えば、事務所ビル)の中の互いに仕切られた部屋である。換気送風システムは、換気機器3、ダンパー5a及び5b並びに風路6a~6c及び7a~7cを備える。換気機器3は空気流を発生させ、換気対象空間1及び2の一方又は双方の換気を行う。換気機器3は空気流として、屋外から取り込まれる空気を換気対象空間1及び2の一方又は双方に給気する給気流と、換気対象空間1及び2の一方又は双方から取り込まれる空気を屋外に排気する排気流を発生させる。換気機器3は、給気ファン及びモーターを有して給気流を発生させる給気送風機(不図示)と、排気ファン及びモーターを有して排気流を発生させる給気送風機(不図示)とを備える。
【0016】
各々ダクト等で構成される風路6a~6cは給気流を流す風路であり、以下では給気風路6a~6cと称される。給気風路6aを介して換気機器3に接続されるダンパー5aは、給気風路6bに接続され、給気風路6bの開閉を行う。ダンパー5aは、給気風路6cにも接続され、給気風路6cの開閉を行う。ダンパー5aが給気風路6bを開け且つ給気風路6cを閉じると、換気機器3は屋外から外気OA1を取り込み、給気風路6a及び給気風路6bを介して換気対象空間1に給気SA1として供給する。給気風路6cには給気流は生じない。ダンパー5aが給気風路6cを開け、給気風路6bを閉じると、換気機器3は屋外から外気OA1を取り込み、給気風路6a及び給気風路6cを介して換気対象空間2に給気SA2として供給する。給気風路6bには給気流は生じない。給気風路6b及び6cがともに開いていると、換気機器3により取り込まれた外気OA1はダンパー5aで分流され、給気SA1及びSA2として換気対象空間1及び2にそれぞれ供給される。またダンパー5aは、給気風路6bを開けるときは給気風路6bの開度を変更可能に、給気風路6cを開けるときは給気風路6cの開度を変更可能に構成される。
【0017】
各々ダクト等で構成される風路7a~7cは排気流を流す風路であり、以下では排気風路7a~7cと称される。排気風路7aを介して換気機器3に接続されるダンパー5bは、排気風路7bに接続され、排気風路7bの開閉を行う。ダンパー5bはまた、排気風路7cに接続され、排気風路7cの開閉を行う。ダンパー5bが排気風路7bを開け且つ排気風路7cを閉じると、換気機器3は排気風路7b及び7aを介して換気対象空間1から還気RA1を取り込み、排気EA1として屋外に排出する。排気風路7cには排気流は生じない。ダンパー5bが排気風路7cを開け且つ排気風路7bを閉じると、換気機器3は排気風路7c及び7aを介して換気対象空間2から還気RA2を取り込み、排気EA1として屋外に排出する。排気風路7bには排気流は生じない。排気風路7b及び7cがともに開いていると、排気風路7b及び7cにそれぞれ還気RA1及びRA2が発生し、ダンパー5bで合流して排気EA1として屋外に排出される。またダンパー5aは、排気風路7bを開けるときは排気風路7bの開度を変更可能に、排気風路7cを開けるときは排気風路7cの開度を変更可能に構成される。
【0018】
換気機器3は、熱交換器により給気流と排気流との間で熱交換を行う熱交換器(不図示)を備えた熱交換型換気機器であっても構わない。
【0019】
換気送風システムは、換気機器4、ダンパー8a及び8b、並びに風路9a~9c及び10a~10cを備える。換気機器4は空気流を発生させ、換気対象空間1及び2の一方又は双方の換気を行う。換気機器4は空気流として、屋外から取り込まれる空気を換気対象空間1及び2の一方又は双方に給気する給気流と、換気対象空間1及び2の一方又は双方から取り込まれる空気を屋外に排気する排気流を発生させる。そのため換気機器4は、給気ファンを有して給気流を発生させる給気送風機(不図示)と、排気ファンを有して排気流を発生させる給気送風機(不図示)と備える。
【0020】
各々ダクト等で構成される風路9a~9cは給気流を流す風路であり、以下では給気風路9a~9cと称される。給気風路9aを介して換気機器4に接続されたダンパー8aは、給気風路9bに接続され、給気風路9bの開閉を行う。ダンパー8aは給気風路9cにも接続され、給気風路9cの開閉を行う。ダンパー8aが給気風路9bを開け且つ給気風路9cを閉じると、換気機器4は屋外から外気OA2を取り込み、給気風路9a及び給気風路9bを介して換気対象空間2に給気SA3として供給する。給気風路9cには給気流は生じない。ダンパー8aが給気風路9cを開け且つ給気風路9bを閉じると、換気機器4は屋外から外気OA2を取り込み、給気風路9a及び給気風路9cを介して換気対象空間1に給気SA4として供給する。給気風路9bには給気流は生じない。給気風路9b及び9cがともに開いた状態では、換気機器4により取り込まれた外気OA2はダンパー8aで分流され、給気SA3及びSA4として換気対象空間2及び1にそれぞれ供給される。またダンパー5aは、給気風路9bを開けるときは給気風路9bの開度を変更可能に、給気風路9cを開けるときは給気風路9cの開度を変更可能に構成される。
【0021】
各々ダクト等で構成される風路10a~10cは排気流を流す風路であり、以下では排気風路10a~10cと称される。排気風路10aを介して換気機器4に接続されたダンパー8bは、排気風路10bに接続され、排気風路10bの開閉を行う。ダンパー8bは、排気風路10cにも接続され、排気風路10cの開閉を行う。ダンパー8bが排気風路10bを開け且つ排気風路10cを閉じると、換気機器3は排気風路10b及び10aを介して換気対象空間2から還気RA3を取り込み、排気EA2として屋外に排出する。排気風路10cには排気流は生じない。ダンパー8bが排気風路10cを開け且つ排気風路10bを閉じると、換気機器4は排気風路10c及び10aを介して換気対象空間1から還気RA4を取り込み、排気EA2として屋外に排出する。排気風路10bには排気流は生じない。排気風路10b及び10cがともに開いていると、排気風路10b及び10cにそれぞれ還気RA3及びRA4が発生し、ダンパー8bで合流して排気EA2として屋外に排出される。またダンパー5aは、排気風路10bを開けるときは排気風路10bの開度を変更可能に、排気風路10cを開けるときは排気風路10cの開度を変更可能に構成される。
【0022】
換気機器4は、熱交換器により給気流と排気流との間で熱交換を行う熱交換器(不図示)を備えた熱交換型換気機器であっても構わない。
【0023】
図2及び図3はダンパー5aの一例を示す構成図である。ダンパー5aは、給気風路6a、6b及び6cに接続される筐体12と、筐体12の中に設けられる風量調整弁11とを備える。風量調整弁11が給気風路6bの開度及び給気風路6cの開度を調整する。この開度の調整により給気風路6b及び6cにそれぞれ流れる給気流の風量が調整される。風量は単位時間当たりの空気流の体積を指す。
【0024】
風量調整弁11は、筐体12の給気風路6bとの接続口(以下、第1接続口)と、筐体12の給気風路6cとの接続口(以下、第2接続口)との間をスライドするスライド部材で構成される。第1接続口及び第2接続口が風量調整弁11により覆われない部分が給気風路6b及び6cが換気機器3に対して開口する部分である。風量調整弁11は一方向へのスライド動作により第1接続口の開口面積を上げ且つ第2接続口の開口面積を下げる。風量調整弁11はその逆方向へのスライド動作により第1接続口の開口面積を下げ且つ第2接続口の開口面積を上げる。風量調整弁11は第1接続口を全開にする位置までスライド可能であり、このとき第2接続口を閉じた状態にする。また風量調整弁11は第2接続口を全開にする位置にスライド可能であり、このとき第1接続口を閉じた状態にする。
【0025】
給気風路6bの開度は第1接続口の全面積のうちの風量調整弁11に塞がれない開口部分の面積の割合で表され、給気風路6cの開度は第2接続口の全面積のうちの風量調整弁11により塞がれない開口部分の面積の割合で表される。よってダンパー5aは給気風路6bの開度を上げると給気風路6cの開度が下がり、給気風路6bの開度を上げると給気風路6cの開度が上がる構成をなす。
【0026】
ダンパー5aは給気風路6b及び6cの開度を多段に調整する。例えば、ダンパー5aには後述する制御部24により開度0から開度10までの11段階が設定され、ダンパー5aは設定された開度に応じて給気風路6b及び6cの開度を調整する。開度0が設定されると給気風路6cの開度が0%(=給気風路6bの開度が100%)になる。設定される開度が1段増えるごとに給気風路6cの開度が10%増加する(つまり、給気風路6bの開度が10%減少する)。開度11が設定されると給気風路6cの開度が100%(=給気風路6bの開度が0%)になる。ダンパー5aに設定された開度に応じた風量割合で給気風路6b及び6cに給気流が発生する。
【0027】
図2は、開度0が設定されたダンパー5aの状態を示しており、換気機器3からの給気は換気対象空間1にだけ供給される。図3は開度3が設定されたダンパー5aの状態を示しており、換気機器3からの給気は7:3の風量割合で換気対象空間1及び2に分流される。
【0028】
ダンパー5bは、給気風路6a、6b及び6cの代わりにそれぞれ排気風路7a、7b及び7cが接続される点を除きダンパー5aと同一の構成である。ダンパー5bには制御部24によって開度0~開度11が設定される。開度0が設定されると排気風路7cの開度が0%(=排気風路7bの開度が100%)になる。設定される開度が1段増えるごとに排気風路7cの開度が10%増加する(つまり排気風路7bの開度が10%減少する)。開度11が設定されると排気風路7cの開度が100%(=排気風路7bの開度が0%)になる。ダンパー5bに設定された開度に応じた風量割合で排気風路7b及び7cに排気流が発生する。
【0029】
ダンパー8aは、給気風路6a、6b及び6cの代わりにそれぞれ給気風路9a、9b及び9cが接続される点を除きダンパー5aと同一の構成である。ダンパー8aには後述する制御部24によって開度0~開度11が設定される。開度0が設定されると給気風路9cの開度が0%(=給気風路9bの開度が100%)になる。設定される開度が1段増えるごとに給気風路9cの開度が10%増加する(つまり給気風路9bの開度が10%減少する)。開度11が設定されると給気風路9cの開度が100%(=給気風路9bの開度が0%)になる。ダンパー8aに設定された開度に応じた風量割合で給気風路9b及び9cに給気流が発生する。
【0030】
ダンパー8bは、給気風路6a、6b及び6cの代わりにそれぞれ排気風路10a、10b及び10cが接続される点を除きダンパー5aと同一の構成である。ダンパー8bには制御部24によって開度0~開度11が設定される。開度0が設定されると排気風路10cの開度が0%(=排気風路10bの開度が100%)になる。設定される開度が1段増えるごとに排気風路10cの開度が10%増加する(言い換えると排気風路10bの開度が10%減少する)。開度11が設定されると排気風路10cの開度が100%(=排気風路10bの開度が0%)になる。ダンパー8bに設定された開度に応じた風量割合で排気風路10b及び10cに排気流が発生する。
【0031】
このように本実施の形態に係る換気送風システムは換気機器3、換気機器4、給気風路6b、排気風路7b、給気風路9b及び排気風路10bを備え、給気風路6b及び排気風路7bの各々は換気対象空間1を換気機器3に繋げ、給気風路9b及び排気風路10bの各々は換気対象空間2を換気機器4に繋げる。換気機器3は給気風路6b及び排気風路7bにそれぞれ給気流及び排気流を発生させることにより換気対象空間1の換気を行い、換気機器4は給気風路9b及び排気風路10bにそれぞれ給気流及び排気流を発生させることにより換気対象空間2の換気を行う。換気機器3及び4は同時に稼働して換気対象空間1及び2を同時に換気することができる。
【0032】
換気送風システムは、給気風路6c、排気風路7c、ダンパー5a及びダンパー5bを備える。給気風路6c及び排気風路7cの各々は換気対象空間2を換気機器3に繋げる。換気機器3及び給気風路6cに接続されるダンパー5aは、給気風路6cの開閉を行い、換気機器3及び排気風路7cに接続されるダンパー5bは、排気風路7cの開閉を行う。ダンパー5a及び5bが給気風路6c及び排気風路7cをそれぞれ開けると換気機器3は換気対象空間2を換気するための空気流を発生させる。よって換気機器4では換気対象空間2の換気が行えない或いは換気が不足する場合があっても換気機器3が換気機器4を補助して換気対象空間2の換気を促進することができる。
【0033】
換気送風システムは、給気風路9c、排気風路10c、ダンパー8a及びダンパー8bを備える。給気風路9c及び排気風路10cの各々は換気対象空間を換気機器4に繋げる。換気機器4及び給気風路9cに接続されるダンパー8aは、給気風路9cの開閉を行い、換気機器4及び排気風路10cに接続されるダンパー8bは、排気風路10cの開閉を行う。ダンパー8a及び8bが給気風路9c及び排気風路10cをそれぞれ開けると換気機器4は換気対象空間1を換気するための空気流を発生させる。よって換気機器3では換気対象空間1の換気が行えない或いは換気が不足する場合があっても換気機器4が換気機器3を補助して換気対象空間1の換気を促進することができる。
【0034】
なお換気送風システムは、換気機器3及び4に加え、さらに他の換気対象空間を換気する他の換気機器を備える場合、ダンパー5a及び5bが当該他の換気対象空間に繋がる給気風路及び排気風路の開閉を行い、当該他の換気対象空間を換気するために換気機器3が他の換気機器を補助することも可能である。また換気送風システムは、ダンパー8a及び8bが当該他の換気対象空間に繋がる給気風路及び排気風路の開閉を行い、当該他の換気対象空間を換気するために換気機器4が換気機器3とともに他の換気機器を補助することも可能である。
【0035】
ダンパー5aは給気風路6bに接続され、給気風路6bの開度及び給気風路6cの開度を変更可能とする。よってダンパー5aは換気対象空間1及び2の換気に必要とする給気風路6b及び給気風路6cの風量を調整することができる。ダンパー5bは排気風路7bに接続され、排気風路7bの開度及び排気風路7cの開度を変更可能とする。よってダンパー5bは換気対象空間1及び2の換気に必要とする排気風路7b及び排気風路7cの風量を調整することができる。
【0036】
ダンパー8aは給気風路9bに接続され、給気風路9bの開度及び給気風路9cの開度を変更可能とする。よってダンパー8aは換気対象空間1及び2の換気に必要とする給気風路9b及び給気風路9cの風量を調整することができる。ダンパー8bは排気風路10bに接続され、排気風路10bの開度及び排気風路10cの開度を変更可能とする。よってダンパー8bは換気対象空間1及び2の換気に必要とする排気風路10b及び排気風路10cの風量を調整することができる。
【0037】
次いで換気機器3及び4、並びにダンパー5a、5b、8a及び8bを制御するための構成を具体的に説明する。
【0038】
換気送風システムはCO2センサー21及び22を備える。CO2センサー21は換気対象空間1に設けられ、換気対象空間1の空気中のCO2濃度を測定する。CO2センサー22は換気対象空間2に設けられ、換気対象空間2の空気中のCO2濃度を測定する。CO2センサー21及び22は換気対象空間1及び2のそれぞれ空気質を検出する空気質検出手段の一例であり、換気送風システムの備える空気質検出手段の検出対象はCO2に限らない。
【0039】
換気送風システムはこのシステムを制御する制御手段を備える。制御手段は制御部23及び24からなる。制御部23は換気機器3に取り付けられ、CO2センサー21により検出された検出結果及び制御部24から受ける信号A2に基づいて換気機器3、ダンパー5a及びダンパー5bを制御する。信号A2は換気対象空間2の換気のために換気機器3による補助が必要であるか否かを示す情報である。制御部24は換気機器4に取り付けられ、CO2センサー22で検出された検出結果及び制御部23から受ける信号A1に基づいて換気機器4、ダンパー8a及びダンパー8bを制御する。信号A1は換気対象空間1の換気ために換気機器4による補助が必要であるか否かを示す情報である。
【0040】
以下、制御部23及び24の各動作を詳述する。なお制御部23及び24の各動作は換気送風システムの制御手段の動作と言い換えることができる。
【0041】
制御部23は、制御部24からの信号A2に基づき給気風路6c及び排気風路7cを開けるか否かを判断する。給気風路6c及び排気風路7cを開けると判断した場合、制御部23は、CO2センサー21により検出されたCO2濃度に基づき給気風路6b及び6c並びに排気風路7b及び7cの開度を調整する。具体的には、制御部23は、CO2濃度から前述の開度1~開度11のいずれかを決定し、その開度をダンパー5a及び5bに設定する。なお給気風路6c及び排気風路7cを閉じると判断した場合には制御部23はダンパー5a及び5bに開度0を設定する。制御部23はさらに、CO2センサー21により検出されたCO2濃度に基づき換気機器3の風量を決定し、その決定した風量となるように換気機器3の給気送風機及び排気送風機を制御する。ここで換気機器の風量は、換気機器3が出力する給気流及び排気流の各風量を指す。通常、給気流の風量及び排気流の風量は同じ値に設定される。
【0042】
図4は、CO2濃度レベルに対する要求風量レベル及び補助レベルを示す対応表の一例であり、参照データとして予め用意され、制御部23の内部のメモリに格納されている。CO2濃度レベルとして濃度1~濃度11が設定されており、濃度範囲はCO2センサー21により検出されるCO2濃度の濃度レベルを規定している。CO2濃度が例えば1400ppm以上1500ppm未満であったとき、その濃度レベルは濃度2である。
【0043】
濃度1~10に対応して、要求風量レベルとしてそれぞれ要求風量1~10が設定されている。濃度11には要求風量10が設定されている。要求風量1~10は、CO2センサー21により検出されるCO2濃度が各濃度レベルにあるときに換気対象空間1の換気に要する空気流の風量、つまり換気機器3が稼働して給気風路6b及び排気風路7bに発生させるべき空気流のそれぞれ風量を示す。要求風量レベルが一つ上がるごとに換気対象空間1の換気に要する空気流の風量は大きくなる。要求風量10は、制御部23により設定可能な換気機器3の最大の風量と同じ風量を示す。要求風量レベルには濃度レベルに対応しない要求風量0が含まれる。要求風量0は換気対象空間1の換気が停止された状態、すなわち、換気機器3が停止している状態又は換気機器3が稼働しているがダンパー5a及び5bが給気風路6b及び排気風路7bを閉じた状態を示す。
【0044】
また濃度1~濃度10に対応して補助レベルとしてそれぞれ補助可能レベル9~0が設定されている。要求風量0には補助可能レベル10が設定されている。補助可能レベル1~10は、換気対象空間2を換気するために換気機器3が補助可能な風量、つまり換気機器3が稼働して給気風路6c及び排気風路7cにそれぞれ発生させることのできる風量を示す。補助可能レベルが一つ上がるごとに換気機器3の補助可能な風量は大きくなる。補助可能レベル0は、換気機器3は換気機器4を補助できないが換気機器4からの補助も不要であることを示す。補助可能レベルでの換気機器3の補助可能な風量と、対応する要求風量レベルの要求風量との合計値は、各補助可能レベルで同じ値になるように設定される。補助レベルの補助必要レベルは濃度11に対応するもので、換気機器3の最大風量では換気対象空間1の換気が不十分である或いは換気機器3の故障により換気対象空間1の換気ができないため、換気機器4による補助が必要であることを示す。
【0045】
制御部23はCO2センサー21から検出結果を受けるとこの参照データを参照し、その検出されたCO2濃度の濃度レベルを決定する。濃度範囲の各数値(1500ppm、1400ppm、・・・)は濃度レベルを決定するための閾値として参照データに含まれている。制御部23は、その決定された濃度レベルに対応する要求風量レベル及び補助レベルを取得する。制御部23はその取得した要求風量レベル及び補助レベルからダンパー5a及び5bの開度を決定する。制御部23はまた、その取得した補助レベルを信号A1として制御部24に送信する。
【0046】
制御部24は、制御部23からの信号A1に基づき給気風路9c及び排気風路10cを開けるか否かを決定する。給気風路9c及び排気風路10cを開けると判断した場合、制御部24は、CO2センサー22により検出されたCO2濃度に基づき給気風路9b及び9c並びに排気風路10b及び10cの開度を調整する。具体的には、制御部24は、CO2濃度から前述の開度1~開度11のいずれかを決定し、その開度をダンパー8a及び8bに設定する。他方、給気風路9c及び排気風路7cを閉じると判断した場合には制御部23はダンパー8a及び8bに開度0を設定する。制御部24はさらに、CO2センサー22により検出されたCO2濃度に基づき換気機器4の風量を決定し、その決定した風量となるように換気機器4の給気送風機及び排気送風機を制御する。
【0047】
制御部24の内部のメモリには図4の対応表と同様の参照データが格納されている。制御部24は、CO2センサー22の検出結果を受けると、この参照データを参照し、検出されたCO2濃度の濃度レベルを決定し、その決定された濃度レベルに対応する要求風量レベルと補助レベルとを取得する。制御部24はその取得した要求風量レベル及び補助レベルからダンパー8a及び8bの開度を決定する。制御部24はまた、その取得した補助レベルを信号A2として制御部23に送信する。
【0048】
制御部23及び24に格納される図4に関する参照データは、濃度範囲と要求風量レベルと補助レベルとの対応が各制御部により把握される限りデータの形式に制約はない。また制御部23が参照する参照データにおける、濃度範囲を規定するための閾値、要求風量レベルの示す風量及び補助レベルの示す風量の各値と、制御部24が参照する参照データにおける、濃度範囲を規定するための閾値、要求風量レベルの示す風量及び補助レベルの示す風量の各値とは同じに設定されてもよいが、異なる値に設定されてもよい。各値は、換気機器の運転能力、給気風路及び排気風路の長さ、並びに換気対象空間の規模等に応じて決定される。
【0049】
図5は、制御部23による風量・補助レベル決定処理を示すフローチャートである。換気対象空間1の換気の実行中、ステップS1において制御部23は、CO2センサー21から検出結果を受け、制御部23に格納された参照データを参照してCO2センサー21で検出されたCO2濃度の濃度レベルを決定し、さらにその濃度レベルに対応する要求風量レベルを決定する。リモコン、スイッチ等からの指示で換気対象空間1の換気の停止が設定されている場合、制御部23は要求風量レベルとして要求風量0を決定する。ステップS2において制御部23は、濃度レベルに対応した補助レベルを決定する。ステップS1で要求風量レベルとして要求風量0を決定した場合には、制御部23は補助レベルとして補助可能レベル10を決定する。ステップS2の後、ある設定された一定時間が経過すると処理はステップS1に戻る。よって風量・補助レベル決定処理はその一定時間毎に繰り返される。
【0050】
制御部24による風量・補助レベル決定処理は図5と同様の手順で行われる。風量・補助レベル決定処理の上記説明において、制御部23を制御部24に、CO2センサー21をCO2センサー22に、換気対象空間1を換気対象空間2にそれぞれ置き換えることで制御部24による風量・補助レベル決定処理は理解される。
【0051】
図6は、換気機器3が換気機器4を補助するための制御部23の補助制御の動作を示すフローチャートである。ステップS1及びS2で要求風量レベル及び補助レベルが決定すると、ステップS11において制御部23は、制御部23によりステップS2で決定された補助レベル(以下、「自身の補助レベル」と称す)が換気機器3による換気機器4の補助が可能とする補助可能レベル1~10のいずれかであるか否かを判定する。自身の補助レベルが補助可能レベル1~10のいずれかであると判定した場合には(ステップS11:Yes)、ステップS12において制御部23は、制御部24によりステップS2で決定され、信号A2として受信した補助レベル(以下、「相手の補助レベル」と称す)が補助必要レベルであるか否かを判定する。
【0052】
相手の補助レベルが補助必要レベルであると判断した場合(ステップS12:Yes)、ステップS13において制御部23は、補助による風量のアップ量を決定する。風量のアップ量は、要求風量レベルに加えるべき風量の増分を示す。具体的には、制御部23は、自身の補助レベルで示される補助可能レベルと、相手の補助レベルの補助必要レベルに関連する補助要求レベルとを比較し、その小さい方を風量のアップ量として決定する。
【0053】
補助要求レベルはある定められた固定値とする。又は、補助要求レベルは換気対象空間2のCO2濃度に応じた段階的な補助要求レベルでも構わない。その際には制御部23は、制御部24からCO2センサー22の検出結果を受け、その検出結果が示すCO2濃度に対応した補助要求レベルを得ることになる。補助要求レベルが固定値及び段階的な値のいずれであっても、予め設定された値であり、制御部23の内部のメモリに格納される。補助要求レベルはリモコン、スイッチ等から使用者が予め設定可能としてもよい。
【0054】
CO2センサー21で検出されたCO2濃度の濃度レベルが例えば濃度8であったとき、制御部23は、風量要求レベルを要求風量8と、補助レベルを補助可能レベル2と決定する。補助要求レベルが「1」であった場合には風量のアップ量は「2」となる。補助要求レベルが「3」であった場合には風量のアップ量は「3」となる。
【0055】
一方、制御部23は、自身の補助レベルが補助必要レベル又は補助可能レベル0である場合(ステップS11:No)、又は、相手の補助レベルが補助可能レベル0~10のいずれかである場合(ステップS12:No)には、ステップS14において制御部23は風量のアップ量をゼロと決定する。言い換えると、CO2センサー21の検出結果の濃度レベルが濃度10以上、又は、CO2センサー22の検出結果の濃度レベルが濃度10以下のとき風量のアップ量はゼロである。
【0056】
ステップS15において制御部23は、決定された風量アップ量に基づき、換気機器3の風量並びにダンパー5a及び5bの開度を決定する。換気機器3の風量は制御部23により多段に、例えば風量0~10の11段に設定される。風量0~10は要求風量0~10とそれぞれ同じ風量を示し、風量10が制御部23により設定可能な換気機器3の最大の風量である。換気機器3の風量は、制御部23によってステップS1で決定された要求風量レベルにステップS13又はS14で決定された風量のアップ量を加算して得られる。例えば、要求風量レベルが要求風量8であり、風量のアップ量が「1」のとき、換気機器3の風量は風量9に決定される。要求風量レベルと風量アップ量との加算値が10を超える場合、換気機器3の風量は風量10と決定される。つまり、CO2センサー21の検出したCO2濃度が濃度9以下のレベル(つまり制御部23が取得した要求風量レベルが風量10より小さい)且つCO2センサー22の検出したCO2濃度が濃度11のレベル(つまり制御部24が取得した補助レベルが補助必要レベル)である場合、制御部23は換気機器3の風量は要求風量レベルより高い風量に調整される。
【0057】
ダンパー5a及び5bの開度は、図7の対応表を表す参照データに基づき決定される。図7は風量のアップ量に対するダンパー5a及び5bの開度を示す対応表であり、その参照データは制御部23の内部のメモリに格納される。制御部23は、ステップS13又はS14で風量のアップ量を決定すると、参照データを参照して対応する開度を決定する。例えば、風量のアップ量が「3」のときダンパー5a及び5bの開度は開度3である。風量のアップ量がゼロのときは、ダンパー5a及び5bの開度は開度0である。なお制御部23に格納される参照データは、風量アップ量と開度との対応が制御部23により把握される限りデータの形式に制約はない。
【0058】
そして制御部23は、ステップS15により決定された風量を出力するように換気機器3を制御する。さらに制御部23はステップS15により決定された開度となるようにダンパー5a及び5bを制御する。その後、次の要求風量レベル及び補助レベルがステップS1及びS2で決定されると処理はステップS11に戻る。すなわち、風量・補助レベル決定処理で設定される一定時間毎に制御部23の補助制御の動作が繰り返される。
【0059】
換気機器4が換気機器3を補助するための制御部24の補助制御は図6と同様の手順で行われる。補助制御の動作の上記説明において、換気機器3と換気機器4とを互いに置き換え、制御部23と制御部24とを互いに置き換え、CO2センサー21とCO2センサー22とを互いに置き換え、換気対象空間2を換気対象空間1に置き換え、ダンパー5a及び5bをダンパー8a及び8bに置き換えることで制御部24の補助制御は理解される。
【0060】
制御部23及び24の各々は例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリで構成される。風量・補助レベル決定処理及び補助制御の動作は、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。しかし制御部23及び24の各機能の一部又は全部の機能は専用の処理回路で実現されても構わない。
【0061】
以上のように構成された換気送風システムにおいて、換気機器3並びにダンパー5a及び5bの制御を要約すると以下のとおりである。
【0062】
換気送風システムは、換気対象空間1及び2のそれぞれ空気質を検出するCO2センサー21及び22、並びにCO2センサー21の検出結果とCO2センサー22の検出結果とに基づき、換気機器3の風量、給気風路6b及び排気風路7bの開度並びに給気風路6c及び排気風路7cの開度を調整する制御部23を備える。よって換気機器3が換気機器4を補助する場合、換気対象空間1及び2での空気の汚れに応じて換気対象空間1及び2の換気に必要なそれぞれの空気流の風量を調整することができる。
【0063】
制御部23は、CO2センサー21の検出結果から換気対象空間1を換気するための要求風量を決定する。制御部23は、要求風量が換気機器3の発生可能な最大の風量より小さく且つCO2センサー22の検出結果がある第1の閾値(図4で言えば1500ppm)以上である場合には、給気風路6c及び排気風路7cが開いた状態となるようダンパー5a及び5bを制御し、決定された要求風量より高い風量となるよう換気機器3を制御する。よって換気機器3は風量を上げて換気対象空間2の換気を促進することができる。このとき、制御部23は、給気風路6b及び排気風路7bの開度及び給気風路6c及び排気風路7cの開度を要求風量に応じた開度に調整する。換気機器3が換気対象空間1及び2を換気する際に過不足の少ない空気流を給気風路6b及び6c並びに排気風路7b及び7cに発生させることができる。
【0064】
制御部23は、要求風量が換気機器3の発生可能な最大の風量である場合には、給気風路6c及び排気風路7cを閉じるようダンパー5a及び5bを制御する。換気機器3が換気機器4を補助する余裕がないほどに換気対象空間1の空気が汚れている場合、換気機器3を換気対象空間1の換気に集中させることができる。
【0065】
また、換気機器4並びにダンパー8a及び8bの制御を要約すると以下のとおりである。
【0066】
換気送風システムは、CO2センサー21の検出結果とCO2センサー22の検出結果とに基づき、換気機器4の風量、給気風路9b及び排気風路10bの開度並びに給気風路9c及び排気風路10cの開度を調整する制御部24を備える。よって換気機器4が換気機器3を補助する場合、換気対象空間1及び2での空気の汚れに応じて換気対象空間1及び2の換気に必要なそれぞれの空気流の風量を調整することができる。
【0067】
なお一般に換気送風システムでは、換気対象空間での在室率が100%の状態で室内のCO2濃度が一定値以下となるように換気設計されているため、通常の在室率では換気機器は風量を下げて運転している。よってある換気対象空間の環境が何らかの理由で急に悪くなっても、他の換気機器はその換気対象空間に対応の換気機器を補助するため風量を上げる能力が残される場合が多い。
【0068】
制御部24は、CO2センサー22の検出結果から換気対象空間2を換気するための要求風量を決定する。制御部24は、要求風量が換気機器4の発生可能な最大の風量より小さく且つCO2センサー21の検出結果が第2の閾値(第1の閾値と同じ値でも異なる値でも構わない)以上である場合には、給気風路9c及び排気風路10cが開いた状態となるようダンパー8a及び8bを制御し、決定された要求風量より高い風量となるよう換気機器4を制御する。よって換気機器4は風量を上げて換気対象空間1の換気を促進することができる。このとき、制御部24は、給気風路9b及び排気風路10bの開度及び給気風路9c及び排気風路10cの開度を要求風量に応じた開度に調整する。換気機器4が換気対象空間1及び2を換気する際に過不足の少ない空気流を給気風路9b及び9c並びに排気風路10b及び10cに発生させることができる。
【0069】
制御部24は、要求風量が換気機器4の発生可能な最大の風量である場合には、給気風路9c及び排気風路10cを閉じるようダンパー8a及び8bを制御する。換気機器3が換気機器3を補助する余裕がないほどに換気対象空間2の空気が汚れている場合には、換気機器4を換気対象空間2の換気に集中させることができる。
【0070】
この換気送風システムでは、制御部23及び24は別個のものであるが、一つの制御部で構成された制御手段であっても構わない。当該一つの制御部は、制御部23及び24並びにダンパー5a、5b、8a及び8bと通信可能に建物内に設置される。
【0071】
また、この換気送風システムでは、換気機器3及び4の各々は、給気流及び排気流の双方を発生させるが、給気流のみ発生させるものでも構わない。その際には排気風路7a、7b、7c、10a、10b及び10c並びにダンパー5b及び8bは設けられない。制御部23及び24はダンパー5b及び8bの制御を不要とする。逆に、換気機器3及び4の各々は、排気流のみ発生させるものでも構わない。その際には給気風路6a、6b、6c、9a、9b及び9c並びにダンパー5a及び8aは設けられない。制御部23及び24はダンパー5a及び8aの制御を不要とする。
【0072】
今回開示された実施の形態は例示的なものであり、実施の形態において、特許請求の範囲の記載から逸脱しない範囲で構成要素の変形、省略又は追加が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1、2 換気対象空間、3,4 換気機器、5a、5b、8a、8b ダンパー、6a、6b、6c、9a、9b、9c 給気風路、7a、7b、7c、10a、10b、10c 排気風路、11 風量調整弁、12 筐体、21、22 CO2センサー、23、24 制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7