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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176891
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】コネクタの取付構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20241212BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20241212BHJP
【FI】
H05K7/14 C
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095749
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】荻田 健治
(72)【発明者】
【氏名】清水 幸雄
【テーマコード(参考)】
5E223
5E348
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AA21
5E223AB18
5E223AC04
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223DB09
5E348AA03
5E348AA07
5E348AA32
(57)【要約】
【課題】コネクタに負荷がかかった際のコネクタ取り付け部分の損傷を防止する。
【解決手段】電子機器に用いられるコネクタの取付構造である。取付構造は、機器側コネクタと、基板と、ホルダと、を備える。機器側コネクタは、電子機器の内部に配置され、外部コネクタが挿抜自在に接続される。基板は、電気回路が形成され、機器側コネクタが当該電気回路と電気的に接続するように取り付けられる。ホルダは、支持部と、第一アーム部と、第二アーム部を備え、所定の弾性を有し基板を支持する。支持部は、基板を支持する。第一アーム部は、一方向に延設され、一端が前記支持部と接続される。第二アーム部は、第一アーム部の他端と接続され、第一アーム部の延設方向とは異なる方向へ延設され、前記第一アーム部に接続される端部とは異なる端部が、前記電子機器の構造部材に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に用いられるコネクタの取付構造であって、
前記電子機器の内部に配置され、外部コネクタが挿抜自在に接続される機器側コネクタと、
電気回路が形成され、前記機器側コネクタが前記電気回路と電気的に接続するように取り付けられる基板と、
前記基板を支持するホルダと、を備え、
前記ホルダが、
前記基板を支持する支持部と、
一方向に延設され、一端が前記支持部と接続された第一アーム部と、
前記第一アーム部の他端と接続され、前記第一アーム部の延設方向とは異なる方向へ延設され、前記第一アーム部に接続される端部とは異なる端部が、前記電子機器の構造部材に固定される第二アーム部と、を備える、
コネクタの取付構造。
【請求項2】
前記第一アーム部が、前記外部コネクタの挿抜方向に延設され、当該第一アーム部と前記第二アーム部とがL字状に形成されている請求項1に記載のコネクタの取付構造。
【請求項3】
前記電子機器における筐体の少なくとも一部を構成する筐体パネルに前記外部コネクタの差込口が設けられ、前記機器側コネクタの差込口が、前記筐体パネルに設けられた前記外部コネクタの差込口と対向して配置されている請求項1に記載のコネクタの取付構造。
【請求項4】
前記外部コネクタの挿抜方向において平面視した場合に、前記筐体パネルの前記差込口と、前記機器側コネクタの前記差込口との間に所定の隙間が形成されている、
請求項3に記載のコネクタの取付構造。
【請求項5】
前記機器側コネクタはレセプタクルとして形成され、前記外部コネクタはプラグとして形成されている、
請求項1に記載のコネクタの取付構造。
【請求項6】
前記ホルダは、前記基板の前記機器側コネクタが取り付けられた面における、前記外部コネクタの挿抜方向と直交する方向において、前記機器側コネクタから離間した位置で前記基板を支持する、
請求項1~5の何れか1項に記載のコネクタの取付構造。
【請求項7】
前記ホルダの前記支持部は、前記基板の前記機器側コネクタが取り付けられた面における、前記外部コネクタの挿抜方向と直交する方向において、前記機器側コネクタを跨いで前記基板に接続される架橋部の少なくとも一部を構成し、
前記架橋部は、前記機器側コネクタと所定の間隙を隔てて配置されている、
請求項6に記載のコネクタの取付構造。
【請求項8】
前記ホルダは、板金で形成されている、
請求項1に記載のコネクタの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接続コードの抜き差しによる基盤割れやハンダ剥がれを抑制する端子部材が提案されていた(例えば、特許文献1)。特許文献1では、端子部材が直接に上ケースに固定されることで、接続コードの抜き差しによる外力がハンダに大きくかからないようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-65435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタを基盤に設置する場合、一般的にはコネクタの電子機器への取り付け剛性を高めることで、プラグの抜き差し等による負荷がコネクタの取り付け部分にかかった際の基板割れやハンダ剥がれといった取り付け部分の損傷を抑制しようとする。この場合、コネクタの取り付け部分にかかる負荷が逃げにくく、繰り返し負荷がかかった場合や、許容範囲以上の負荷がかかった場合には、コネクタの取り付け部分が損傷することがある。また、取り付け部分の剛性を高めるのにも限度があり、コネクタの取り付け部分の損傷を十分に抑えることが困難であった。
【0005】
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタに負荷がかかった際のコネクタ取り付け部分の損傷を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の技術は以下の構成を採用した。本開示に係る技術の一側面としての取付構造は、電子機器に用いられるコネクタの取付構造(以下、単に取付構造とも称す)である。取付構造は、機器側コネクタと、基板と、ホルダと、を備える。機器側コネクタは、電子機器の内部に配置され、外部コネクタが挿抜自在に接続される。基板は、電気回路が形成され、機器側コネクタが当該電気回路と電気的に接続するように取り付けられる。ホルダは、支持部と、第一アーム部と、第二アーム部を備え、所定の弾性を有し基板を支持する。支持部は、基板を支持する。第一アーム部は、一方向に延設され、一端が前記支持部と接続される。第二アーム部は、第一アーム部の他端と接続され、第一アーム部の延設方向とは異なる方向へ延設され、前記第一アーム部に接続される端部とは異なる端部が、前記電子機器の構造部材に固定される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電子機器に用いられる取付構造について、コネクタに負荷がかかった際のコネクタ取り付け部分の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る取付構造を備える電子機器の断面図である。
図2図2は、実施形態に係る取付構造を備える電子機器の部分拡大された正面図である。
図3図3は、実施形態に係る取付構造を備える電子機器を後側から見た斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るホルダの斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るホルダと基板との係止状態を説明する斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る取付構造を備える電子機器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0010】
[全体構造]
図1は、取付構造1を備える電子機器10を側面から眺めた状態の断面図である。図2は、取付構造1を備える電子機器10の正面を部分的に拡大した正面図である。図3は、取付構造1を備える電子機器10を後側から見た斜視図である。以下では、図1図2図3を用いて、本実施形態に係る電子機器10の全体構造について説明する。電子機器10は、例えば自動車である車両の車室内で用いられる。本実施形態の電子機器10は、例えば、自動車のダッシュボードに設けられるような、オーディオやヘッドユニット、カーナビなどの車載機器、エンターテインメントシステムの一部等として用いられる。便宜上、図1に示すように、電子機器10の第一筐体パネル13側を前側、第二筐体パネル14側を後側とし、この前後方向をY方向とする。本実施形態において、Y方向は外部コネクタ15の挿抜方向と一致している。さらに、図1及び図2に示すように、ホルダ11の長手方向をX方向(左右方向)とし、Y方向及びX方向のいずれとも直交する方向をZ方向(上下方向)とする。なお、各軸方向、及び各方向に基づく前側、後側、右側、左側、上側、下側とは本実施形態の各要素における相対的な位置関係を示すものに過ぎない。
【0011】
電子機器10は、ホルダ11と、基板12と、第一筐体パネル13と、第二筐体パネル14と、を含んでいる。図1に示すように、電子機器10は第一筐体パネル13と第二筐体パネル14とによって筐体(本開示における「構造部品」の一例)が形成されている。第一筐体パネル13と第二筐体パネル14によって形成される内部空間10S(本開示における「電子機器の内部」の一例)にホルダ11と、基板12と、が備えられている。ホルダ11はビスV1によって第一筐体パネル13と接続し、ビスV3によって基板12を保持している。また、ホルダ11は概略L字形状を有し、基板12が第一筐体パネル13に対して所定の配置となるように基板12を支持している。
【0012】
基板12は、電気回路が形成された電子基板である。本実施形態における基板12は、一般的なプリント基板等の一定の弾性を持つ材料によって形成される。基板12のZ軸方向下側には、機器側コネクタ121が設置されている。機器側コネクタ121は、基板12の電気回路と電気的に接続するように設置されている。また、図1には、基板12と外部との電気信号等の送受を可能にするための、外部コネクタ15を示している。外部コネクタ15は、機器側コネクタ121と対になっており、機器側コネクタ121に対し挿抜自在に接続される。ただし、内部空間10Sには、基板12以外の基板を更に備えていてもよい。本実施形態では、プロセッサ等を含む電気回路が形成された基板が内部空間10Sに設けられ、当該基板と基板12とが柔軟な配線ケーブルを介して電気的に接続される。
【0013】
本実施形態における取付構造1は、ホルダ11と、基板12と、機器側コネクタ121とを備えている。取付構造1は、基板12に備えられる機器側コネクタ121への負荷を軽減することができるコネクタの取付構造である。本実施形態における負荷とは、例えば
、外部コネクタ15を機器側コネクタ121に挿入する際または挿入された際に、挿抜方向とは異なる方向に加わる力である。当該負荷は、外部コネクタ15と機器側コネクタ121とが嵌合した状態において、または、外部コネクタ15と機器側コネクタ121とを嵌合する際に、外部コネクタ15を捻ったり抉ったり揺らしたりすることで発生する。図1には、負荷の一例として、外部コネクタ16においてZ方向に加わる力を矢印A1として示している。また、本実施形態では使用者が外部コネクタ15を挿抜自在に接続する態様であるが、本実施形態は一態様に過ぎず、使用者が頻繁にコネクタ同士を挿抜しない箇所に取付構造1を用いてもよい。より具体的には、電子機器10の側部や後部、或は内部に取付構造1を用いてもよい。
【0014】
図2に示すように、機器側コネクタ121は機器側コネクタ差込口1211とコネクタハウジング1212とコンタクト1213とを有する。コネクタハウジング1212は、右側壁12121と、下部壁12122と、左側壁12123と、上部壁12124と、脚部12125とを有する。本実施形態では、外部コネクタ15と機器側コネクタ121とが接続可能となるように所定の規格に沿って形成されている。例えば、外部コネクタ15と機器側コネクタ121は、インターフェイス用コネクタのUSB Type-C形状で形成されている。本実施形態では、機器側コネクタ121はレセプタクル(メス側)として形成され、外部コネクタ15はプラグ(オス側)として形成されている。本実施形態では、機器側コネクタ121の脚部12125が基板12に対してハンダ付けなどで取り付けられ、機器側コネクタ121が、上部壁12124を基板12の下側面に当接した状態で固定される。また、機器側コネクタ121のコンタクト1213は、複数の信号線を有し、これらの信号線が、ハンダ付けなどで基板12の電気回路に電気的に接続されている。これにより、基板12等の電子基板は、コンタクト1213を介して、外部との情報の送受信を行うことや、電子機器10から外部の機器へ給電することを可能となっている。但し、外部コネクタ15とのコネクタ形状の態様は一例であり、例えば、レセプタクル(メス側)とプラグ(オス側)を反転したり、外部コネクタ15と機器側コネクタ121を、一対のHDMI(登録商標)やAUX等のオーディオビジュアル用コネクタや他形状のUSBコネクタ等に変更してもよい。
【0015】
第一筐体パネル13は使用者側に面するフロントパネルとして用いられ、第二筐体パネル14は筐体の背面のバックパネルとして用いられる。本実施形態における第一筐体パネル13は、例えばプラスチック等の樹脂によって成形されている。但し、第一筐体パネル13の態様は一例であり、例えば、材料を金属等に置換したり、適宜形状が変形されてもよい。同様に、第二筐体パネル14は、金属で形成されても樹脂によって形成されてもよい。
【0016】
図1及び図2に示すように、第一筐体パネル13の前側は平面状に成形されており、前側には外部コネクタ15を挿抜するための開口である差込口131(本開示における、「外部コネクタの差込口」の一例)が形成される。外部コネクタ15を差込口131に挿入することで、外部コネクタ15と機器側コネクタ121とが接続できるように、差込口131と機器側コネクタ差込口1211とは対向して配置されている。また、図1に示すように、外部コネクタ15の挿抜方向において、差込口131と機器側コネクタ差込口1211とは、距離d1の隙間(本開示における、「所定の隙間」の一例)が形成されている。これにより、外部コネクタ15を機器側コネクタ121に差し込んだ際に、外部コネクタ15は当該隙間の分だけ揺動可能に形成される。これにより、例えば、矢印A1方向に負荷が発生しても差込口131の大きさに外部コネクタ15の移動が制限されることとなり、機器側コネクタ121にかかる負荷を第一筐体パネル13へ分散することができる。さらに、第一筐体パネル13は、ディスプレイ等の出力装置や、タッチパネル等の入力装置を有してもよい。例えば、第一筐体パネル13に設置されるタッチパネル等の入力装置は使用者の操作を受け付け、操作に応じた信号を、基板12等の基板に送ってもよい。但
し、第一筐体パネル13の態様は一例であり、例えば、第一筐体パネル13は、使用用途等に応じて適宜設定され得る。
【0017】
図1及び図3に示すように、第一筐体パネル13の後側には第一ねじ受部132が、Y軸方向に突設されている。さらに、第一筐体パネル13の後側には、図3に示すように第二ねじ受部133が第一ねじ受部132と略平行に突設されている。本実施形態における第一ねじ受部132及び第二ねじ受部133は内部に雌ねじが形成されている。図1及び図3に示すように、ビスV1と第一ねじ受部132を締結する際、ホルダ11と第二筐体パネル14とが共締めされる。なお、図3では、第二筐体パネル14を省略して示している。また、図3に示すように、ビスV2と第二ねじ受部133を締結する際、ホルダ11が共締めされる。但し、第一筐体パネル13の態様は一例であり、例えば、第一筐体パネル13の後側に突設されるねじ受部を増減したり、共締めする部品を増減したりといった変形は、用途や状況に応じて適宜行われ得る。
【0018】
図1及び図3に示すように、第二筐体パネル14の後側は平面状に成形され、ビスV1を挿通可能な貫通孔141が形成される。本実施形態では、ビスV1と第一ねじ受部132を締結する際、ビスV1を貫通孔141に挿通し、第二筐体パネル14を固定する。なお、電子機器10が、車両のダッシュボードに取り付けて用いられるような場合、第二筐体パネル14は必須ではないが、本実施形態の電子機器10は第二筐体パネル14によって筐体の背面がおおわれており、持ち運び時や脱着時等の利便性の向上や、基板12等の保護が図られている。
【0019】
図4は、取付構造1に用いられるホルダ11の斜視図である。ホルダ11は、基板12を第一筐体パネル13に対して支持するための部材である。ホルダ11は、第一アーム部111と、第二アーム部112と、締結部113と、ツメ部114とを有する。ホルダ11は、第二アーム部112の一部と締結部113の一部を介して第一筐体パネル13に固定される。ホルダ11には、締結部113の一部とツメ部114の一部で、基板12が係止されている。このように各部材と二点ずつ固定することで、XZ平面においては第一筐体パネル13に対しホルダ11が回転することを制限し、XY平面においては基板12がホルダ11に対し回転することを制限している。また、ホルダ11は、弾性変形が可能な材料で形成されている。ホルダ11の材質は、特段限定されるものではないが、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミ等の金属を材料として板金成形されてもよい。これにより、ホルダ11が外部コネクタ15からの負荷を吸収した場合でも、ホルダ11の破断や塑性変形を防止できる。また、ホルダ11は、基板12で発生した熱を効率的に第一筐体パネル13や第二筐体パネル14へ伝導することで、ヒートシンクとして機能してもよい。
【0020】
第一アーム部111はY軸方向(外部コネクタ15の挿抜方向)に平面状に延設される。第一アーム部111は、Y軸方向において、一端が締結部113と接続され、他端が第二アーム部112と接続されている。なお、本実施形態では、第一アーム部111の前側端部を含む第一アーム部111の側部が締結部113と接続されている。第一アーム部111はX軸方向において、前側部分の右側部が締結部113と接続され、左側部がツメ部114と接続されている。本実施形態では、第一アーム部111は平面状に形成されているが、例えば、溶接ナットや位置合わせ用の突起等を設けることで、第一アーム部111が基板12を支持して支持部を兼ねる態様でもよい。
【0021】
第二アーム部112は、第一アーム部111とは異なる方向に延設されている。本実施形態では、第二アーム部112は概略Z軸方向に延設されている。第二アーム部112は、接続部1121と固定部1122を有する。本実施形態では固定部1122はZ軸方向に平面状に延設され、ビスV1が挿通可能な貫通孔11221を有する。接続部1121は、一端が第一アーム部111と接続され、他端が固定部1122と接続されている。接
続部1121は、第一アーム部111と固定部1122とを突き合せた際に想定される角の面取りをしたように形成され、第一アーム部111との接続部分の角度、及び固定部1122との接続部分の角度が鈍角となるように第一アーム部111と固定部1122とを接続している。換言すると、第二アーム部112は、一端(接続部1121)が、第一アーム部111の他端と接続されると共に、第一アーム部111の延設方向とは異なる方向へ延設され、第一アーム部111に接続される端部とは異なる端部が、第一筐体パネル13(電子機器の構造部材)に固定される。このように本実施形態の第一アーム部111と第二アーム部112は概略L字状に形成されている。
【0022】
締結部113は、X軸方向において、第一アーム部111の一端に延設されている。締結部113は、支持部支柱1131と支持板1132と固定部1133とを有する。支持部支柱1131は、第一アーム部111の一端にZ軸方向上向きに立設され、支持部支柱1131の上側端面は支持板1132の下面と接続されている。支持板1132は概略矩形の平面状に形成されている。支持板1132は、上面で基板12を支持しており、さらに、Y軸方向の一端が第一筐体パネル13と対向し、他端には固定部1133が配置されている。支持板1132には、ビスV3を締結可能な雌ねじ11321がZ軸方向に向けて設けられると共に、基板12の位置合わせのための突起部11322がZ軸方向上向きに突設されている。固定部1133は、Y軸方向において支持板1132の後側端部からZ軸方向上向きに立設されている。固定部1133は、ビスV2が挿通可能な貫通孔11331と、補強リブ11332を有する。補強リブ11332は、固定部1133がY軸方向に折れ曲がることを抑制し、固定部1133の剛性を高めている。
【0023】
また、支持部支柱1131のZ軸方向の高さは、第一アーム部111と基板12との間に、機器側コネクタ121を配置可能な程度の隙間を形成できるように設定される。また、本実施形態では、機器側コネクタ121が第一アーム部111と接触しないように、支持部支柱1131のZ軸方向の高さが設定されている。但し以上で説明した締結部113の態様は一例であり、例えば、固定部1133が他の形状で第一筐体パネル13と接続されてもよい。
【0024】
ツメ部114は、X軸方向において、第一アーム部111の他端に延設されている。ツメ部114は、ツメ部支柱1141とツメ先1142とを有する。ツメ部支柱1141は、第一アーム部111の他端にZ軸方向上向きに立設され、基板12を上側に載置可能な載置部11411が設置されている。載置部11411は、先述の支持部支柱1131及び支持板1132と共働し、第一アーム部111と基板12との間に、機器側コネクタ121が設置可能な程度の隙間を形成する。ツメ先1142は、後述する基板12の係止孔122に挿通され、載置部11411との間で基板12を挟持する。
【0025】
締結部113及びツメ部114の態様は一例であり、ホルダ11上において、基板12と第一アーム部111を係止できればよい。より具体的には、例えば、締結部113をツメ部114のような態様に変更したり、締結部113を設けずツメ部114のみによって係止する態様等としてもよい。本実施形態において、締結部113とツメ部114とを繋ぐ第一アーム部111の前側部分と、締結部113と、ツメ部114とは、支持部の一形態を構成する。即ち、第一アーム部111の前側部分は、支持部(後述の架橋部115)を兼ねている。
【0026】
[組立状態]
図5は、実施形態に係るホルダ11と基板12との係止状態を説明する斜視図である。本実施形態では、基板12は、ツメ部114のツメ先1142が係止孔122に挿通された状態でホルダ11の締結部113における支持板1132の上面、及びツメ部114のツメ部支柱1141に設けられた載置部11411の上側に設置される。これにより、基
板12と第一アーム部111とが、Z軸方向において対向するように配置される。
【0027】
このとき、締結部113の支持板1132上面に突設された突起部11322が、基板12に設けられた位置決め孔124と係合することによって、基板12と締結部113とが位置決めされる。
【0028】
Z軸方向において第一アーム部111は基板12と対向するように配置される。この際、締結部113の支持部支柱1131と、ツメ部114のツメ部支柱1141と、第一アーム部111の前側部分は、基板12に設置された機器側コネクタ121をZ軸方向下側に覆うような形状を形成する。本実施形態では、これら第一アーム部111と支持部支柱1131とツメ部支柱1141とによって形成される部分を架橋部115とする。本実施形態では図5に示すように、架橋部115は、機器側コネクタ121から距離d2~d4をおいた位置に配置され、Z軸方向下向きに機器側コネクタ121を跨ぐように基板12に接続される。
【0029】
距離d2、距離d3は、機器側コネクタ121をコネクタの差込口正面から見た際、X軸方向(外部コネクタ15の挿抜方向に直交する方向)において、機器側コネクタ121と架橋部115との左右に離間した距離を示している。距離d2は、支持部支柱1131と、コネクタハウジング1212の右側壁12121との距離を示している。また、距離d3は、ツメ部支柱1141と、コネクタハウジング1212の左側壁12123との距離を示している。これにより、ホルダ11は機器側コネクタ121から距離d2、距離d3離間した位置で、基板12を支持する。つまり、ホルダ11はコンタクト1213のハンダ付け部分から離間した位置で基板12を支持するため、負荷が加わった際に、基板12自体の弾性も利用し、コンタクト1213のハンダ付け部分への応力集中を軽減できる。
【0030】
距離d4(本開示における、「所定の間隙」の一例)は、機器側コネクタ121をコネクタの差込口正面から見た際、Z軸方向(外部コネクタ15の挿抜方向に直交する方向)において、機器側コネクタ121と架橋部115とが離間した間隙を示している。これにより、ホルダ11とコネクタハウジング1212が直接接触しないため、負荷が加わった際に、コネクタハウジング1212とコンタクト1213が基板12の弾性を利用し、一体となって揺動可能となる。つまり、負荷が加わった際のコンタクト1213とコネクタハウジング1212との間に発生する虞のある応力を、基板12の弾性によって吸収できる。
【0031】
図6は、本実施形態に係る取付構造1を備える電子機器10の分解斜視図である。図6に示すように、ホルダ11は、ビスV1およびビスV2によって第一筐体パネル13と接続される。ビスV1には、頭部V11と軸部V12が形成され、ビスV2には頭部V21と軸部V22が形成されている。また、第一筐体パネル13には、第一ねじ受部132及び第二ねじ受部133が設置されている。第一ねじ受部132は、外壁部1321の内部に雌ねじ1322が形成されている。また、第二ねじ受部133は、外壁部1331の内部に雌ねじ1332が形成されている。基板12は、ビスV3およびツメ部114によってホルダ11に係止される。ビスV3には頭部V31と軸部V32が形成されている。また、ホルダ11には雌ねじ11321が設置されている。
【0032】
ビスV1の軸部V12は、第一ねじ受部132の雌ねじ1322と締結される。この際、ビスV1は、軸部V12がホルダ11に形成された貫通孔11221と第二筐体パネル14に形成された貫通孔141に挿通され、頭部V11と外壁部1321との間にホルダ11と第二筐体パネル14を挟んで締結する。
【0033】
ビスV2の軸部V22は、第二ねじ受部133の雌ねじ1332と締結される。この際、ビスV2は、軸部V22がホルダ11に形成された貫通孔11331に挿通され、頭部V21と外壁部1331との間にホルダ11を挟んで締結する。
【0034】
ビスV3の軸部V32は、ホルダ11の雌ねじ11321と締結される。この際、ビスV3は、軸部V32が基板12に形成された貫通孔123に挿通され、頭部V31と支持板1132との間に基板12を挟んで締結する。雌ねじ11321は、例えば、ホルダ11に溶接される溶接ナット等でもよい。
【0035】
基板12には、ツメ部114のツメ先1142が挿通可能な係止孔122が形成されている。また、基板12には位置決め孔124も形成されている。これら係止孔122と位置決め孔124がホルダ11のツメ先1142と突起部11322に係合することにより、基板12はホルダ11上における位置が決定される。さらに、ビスV3の軸部V32が貫通孔123に挿通され雌ねじ11321と螺合することで、基板12がホルダ11に締結される。つまりホルダ11と基板12は、二点で係止されることになる。これにより、ホルダ11は、例えばXY平面において基板12がホルダ11に対し回転することを制限している。
【0036】
[作用効果]
例えば、外部コネクタ15にかかる負荷は、機器側コネクタ121を介して基板12へ伝達される。この際、ビスV3によって締結部113に固定された基板12は、ホルダ11の第一アーム部111と共に移動し、ホルダ11が撓むことによって負荷が軽減され、コネクタ取付部分への損傷が抑制される。また、本実施形態では、ホルダ11と機器側コネクタ121の間に、距離d2~d4の隙間が形成されているため、基板12の弾力によっても応力の集中が緩和され、コンタクト1213が含む信号線のハンダ付け部分等の損傷を抑制することができる。
【0037】
ホルダ11の第二アーム部112は、第一筐体パネル13に対してビスV1で固定されている。これにより、負荷が加わった際、ホルダ11において、支点となる第二アーム部112と力点となる第一アーム部111との間に設けられた接続部1121へ優先的に、応力が集中することとなる。これにより、ホルダ11自体が揺動することになり、機器側コネクタ121と基板12がハンダ付けされている箇所への負荷を軽減することができる。なお、本実施形態では、ホルダ11の第二アーム部112は、第一筐体パネル13に対して固定されたが、これに限らず、電子機器10において固定される構成であれば第一筐体パネル13以外の構造部材に固定されてもよい。
【0038】
このように、L字形状のホルダ11を用いて、支点(ビスV1によって固定される個所)と力点(負荷の加わる位置、外部コネクタ15等)との間に距離を設けることで、ホルダ11が揺動可能であると同時に基板12も揺動可能にしている。これにより、基板12と機器側コネクタ121とが接続される部分のハンダ割れ、ハンダ剥がれ、機器側コネクタ121の脱落や基板12の割れといった、コネクタ取付部分の損傷が抑制される。
【0039】
さらに、第一筐体パネル13に設けられた差込口131が、機器側コネクタ差込口1211と対向して配置されているため、過剰な負荷が発生した場合でも外部コネクタ15が差込口131の壁面に突き当たることで過剰な負荷が第一筐体パネル13に分散されるので、コネクタ取付部分の損傷が抑制される。
【0040】
本実施形態に係る取付構造1によると、本開示における電子機器10において、基板12と第一筐体パネル13とを、機器側コネクタ121に負荷が加わった際に、第一筐体パネル13に対して基板12を揺動可能に固定することが可能である。さらに、第一筐体パ
ネル13の差込口131に外部コネクタ15が接触することにより、負荷を第一筐体パネル13に分散することができる。これにより、負荷が強固に固定された箇所に集中することを防止でき、ホルダ11や第一筐体パネル13に負荷を逃がすことができる。つまり、基板12の割れや機器側コネクタ121の脱落や基板12と機器側コネクタ121との接続部分のハンダ割れ・剥がれを防止する。
【0041】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 :取付構造
10 :電子機器
11 :ホルダ
12 :基板
13 :第一筐体パネル
14 :第二筐体パネル
V1,V2,V3 :ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6