(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176896
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車両用呼吸統制システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20241212BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241212BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20241212BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/00 B
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095755
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】塚田 将司
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
3B084JC01
3B087BD04
3B087DE04
3B087DE08
3B087DE10
4C038SS08
4C038SV01
4C038SX08
4C117XA07
4C117XB01
4C117XB15
4C117XC06
4C117XD28
4C117XE13
4C117XE24
4C117XE27
4C117XG12
4C117XJ42
4C117XN04
4C117XP12
4C117XQ18
(57)【要約】
【課題】車室内において、各人にあった呼吸統制を行うことが可能となる車両用呼吸統制システムを提供する。
【解決手段】車室内の1または複数の座席シート(2A~2D)のそれぞれに設けられて着座者の生体情報を取得する生体情報取得部(114)と、座席シート(2A~2D)の着座者の生体情報に基づいて呼吸させるための呼吸タイミングを着座者のそれぞれに提示する提示部(111)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の1または複数の座席シートのそれぞれに設けられて着座者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記座席シートの着座者の前記生体情報に基づいて呼吸させるための呼吸タイミングを前記着座者のそれぞれに提示する提示部と、
を備えた、
車両用呼吸統制システム。
【請求項2】
1または複数の前記座席シートのそれぞれに設けられて着座者の有無を検知する着座者検知部を備え、
前記提示部は、
前記着座者検知部によって検知された前記着座者に対して前記呼吸タイミングを提示する、
請求項1に記載の車両用呼吸統制システム。
【請求項3】
複数の前記座席シートは、運転席と助手席とを含み、
車両の走行中と駐車中とを含む運転状態を検知する運転状態検知部と、
制御装置と、
を備え、
前記提示部は、
複数の前記座席シートのそれぞれに設けられて前記呼吸タイミングを触覚刺激により提示する触覚刺激提示部と、
メータパネルに設けられた第1表示部と、
インストルメントパネルの前記運転席と前記助手席との間に設けられたナビゲーションシステムの第2表示部と、
を有し、
前記制御装置は、
前記運転状態検知部を介して、前記走行中であると検知した場合は、前記運転席と前記助手席の着座者に対して、前記触覚刺激提示部を介して前記呼吸タイミングを触覚刺激により提示すると共に、前記第1表示部を介して、前記運転席の着座者の呼吸精度を含む視覚簡易情報を提示し、前記第2表示部を介して、前記助手席の着座者の呼吸精度を含む視覚簡易情報を提示する、
請求項2に記載の車両用呼吸統制システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記運転状態検知部を介して、前記駐車中であると検知した場合は、前記第1表示部を介して、前記運転席の着座者の前記呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を提示し、
前記第2表示部を介して、前記助手席の着座者の前記呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を提示する、
請求項3に記載の車両用呼吸統制システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記運転状態検知部を介して、前記駐車中であると検知し、かつ、前記着座者検知部を介して、前記助手席に着座者がいないと検知した場合は、前記第1表示部に替えて前記第2表示部を介して、前記運転席の着座者の前記呼吸タイミングを表す前記視覚詳細情報を提示する、
請求項4に記載の車両用呼吸統制システム。
【請求項6】
複数の前記座席シートは、左後部座席と右後部座席とを含み、
前記提示部は、
前記左後部座席と前記右後部座席とのそれぞれに設けられた前記触覚刺激提示部と、
前記運転席のシートバックの背面に設けられた第3表示部と、
前記助手席のシートバックの背面に設けられた第4表示部と、
を有し、
前記制御装置は、
前記第3表示部と前記第4表示部とに画像が表示されている場合は、前記左後部座席と前記右後部座席の着座者に対して、前記触覚刺激提示部を介して前記呼吸タイミングを触覚刺激により提示すると共に、前記第3表示部を介して、前記右後部座席の着座者の呼吸精度を含む視覚簡易情報を提示し、前記第4表示部を介して、前記左後部座席の着座者の呼吸精度を含む視覚簡易情報を提示する、
請求項3に記載の車両用呼吸統制システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記第3表示部と前記第4表示部とに画像が表示されていない場合は、前記第3表示部を介して、前記右後部座席の着座者の前記呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を提示し、前記第4表示部を介して、前記左後部座席の着座者の前記呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を提示する、
請求項6に記載の車両用呼吸統制システム。
【請求項8】
前記触覚刺激提示部は、
前記座席シートに配置されると共に空気の供給および排出によって膨張および収縮が可能な少なくとも1つの空気袋を有する加圧器と、
空気を吐出する空気ポンプと、
前記空気ポンプの吐出空気の供給先を前記加圧器に切り替える供給弁と、
前記加圧器内の空気を排出する状態と排出しない状態とに切り替える排気弁と、
を有し、
前記制御装置は、
前記空気ポンプの運転または停止と、前記供給弁および前記排気弁の切り替えにより発生される加圧器による着座者への押圧力として前記触覚刺激を提示する、
請求項3から7のいずれか1項に記載の車両用呼吸統制システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、呼吸統制システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラにて被観察者の顔の皮膚部分を含む検出領域の映像データを取得し、処理部にて映像データから人の脈波の情報を含む生体情報を取得する。そして、処理部は、生体情報を用いて心拍変動バイオフィードバックを行うための、被観察者の呼吸を補助する呼吸アシスタントを含む情報表示画面を表示する生体情報表示装置の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の生体情報表示装置では、車室空間内において、複数人の呼吸統制を行う構成については、開示されていない。また、人によって理想の呼吸リズムは違うため、各人にあった呼吸リズムを提供する必要がある。更に、車両などの運転中において、運転手に呼吸統制を行うための呼吸リズムを視覚情報によって提示する場合は、安全性を損なう可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の問題点を鑑みたものであり、車室内において、各人にあった呼吸統制を行うことが可能となる車両用呼吸統制システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の車両用呼吸統制システムは、車室内の1または複数の座席シートのそれぞれに設けられて着座者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記座席シートの着座者の前記生体情報に基づいて呼吸させるための呼吸タイミングを前記着座者のそれぞれに提示する提示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、車室内において、各人にあった呼吸統制(呼吸のタイミングの制御)を行うことが可能となる車両用呼吸統制システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る車両用呼吸統制システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】運転席、助手席、左後部座席、および、右後部座席に配置される4つの座席シートの外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る車両用呼吸統制システムが備えるECUの機能ブロック図である。
【
図4】ECUが実行する運転席と助手席に着座した着座者の呼吸統制を行う第1呼吸統制処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図4の第1駐車中処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】メータパネルに設けられた第1表示部に表示された視覚詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図7】インストルメントパネルに設けられたナビゲーションシステムの第2表示部に表示された視覚詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図8】インストルメントパネルに設けられてナビゲーションシステムの第2表示部に表示された呼吸統制時の呼吸精度を評価した表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図4の第1走行中処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】メータパネルに設けられた第1表示部に表示された視覚簡易情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図4の第2駐車中処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図4の第2走行中処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】インストルメントパネルに設けられたナビゲーションシステムの第2表示部に表示された視覚簡易情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図14】ECUが実行する左後部座席と右後部座席に着座した着座者の呼吸統制を行う第2呼吸統制処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】左後部座席と右後部座席の着座者の正面のディスプレイに表示された視覚簡易情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図16】左後部座席と右後部座席の着座者の正面のディスプレイに表示された視覚詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図17】左後部座席と右後部座席の着座者の正面のディスプレイに表示された呼吸統制時の呼吸精度を評価した表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
[車両用呼吸統制システム1の概略構成]
本実施形態に係る車両用呼吸統制システム1の概略構成について
図1~
図3に基づいて説明する。
図1は、車両用呼吸統制システム1の概略構成を示すブロック図である。
図2は、運転席、助手席、左後部座席、および、右後部座席に配置される4つの座席シート2A~2Dの外観の一例を示す斜視図である。
図3は、車両用呼吸統制システム1が備えるECU(Electronic Control Unit)の機能ブロック図である。なお、本実施形態における前後左右上下の方向は、
図2に示すように、乗員(図略)が座席シート2A~2Dに着座した状態で見た方向と一致するものである。
【0011】
図1に示すように、車両用呼吸統制システム1は、車両100の車室内に設けられている。車室内には、座席シート2A~2Dが配置されている。
図2に示すように、運転席に配置される座席シート2Aと、助手席に配置される座席シート2Bと、左後部座席に配置される座席シート2Cと、右後部座席に配置される座席シート2Dとは、ほぼ同じ構成である。各座席シート2A~2Dは、シートクッション21、シートバック22およびヘッドレスト23を有している。
【0012】
シートクッション21は、座席シート2A~2Dの座面を構成し、シートバック22及びヘッドレスト23は、座席シート2A~2Dの背面を構成する。なお、座席シート2A~2Dは、布製、皮革製、ビニールレザー製、等またはこれらの組み合わせの表皮部材24で覆われる。
【0013】
各座席シート2A~2Dのシートクッション21の内部には、第1心拍用圧電シート25A~第4心拍用圧電シート25Dと第1呼吸用圧電シート26A~第4呼吸用圧電シート26Dとが、それぞれ1個ずつ前後方向に沿って並列配置されている。第1心拍用圧電シート25A~第4心拍用圧電シートと第1呼吸用圧電シート26A~第4呼吸用圧電シート26Dとは、長尺状に形成された圧電フィルムであって、着座者の座骨部周辺の左臀部に対向する範囲に設けられている。
【0014】
第1心拍用圧電シート25A~第4心拍用圧電シート25Dを区別しない場合には、各心拍用圧電シート25A~25Dともいう。また、第1呼吸用圧電シート26A~第4呼吸用圧電シート26Dを区別しない場合には、各呼吸用圧電シート26A~26Dともいう。各心拍用圧電シート25A~25Dと各呼吸用圧電シート26A~26Dとは、着座者の心弾動(BCG:Ballistocardiology)をセンシングする。各心拍用圧電シート25A~25Dと各呼吸用圧電シート26A~26Dとは、圧力を受けると電圧を生じる圧電素子の圧電効果を利用したセンサである。
【0015】
また、各座席シート2A~2Dのシートクッション21の内部には、第1着座用圧電シート27A~第4着座用圧電シート27Dが1個ずつ前後方向に対して右斜め前方向へ傾斜して配置されている。第1着座用圧電シート27A~第4着座用圧電シート27Dは、長尺状に形成された圧電フィルムであって、着座者の座骨部周辺の右臀部に対向する範囲に設けられている。
【0016】
第1着座用圧電シート27A~第4着座用圧電シート27Dを区別しない場合には、各着座用圧電シート27A~27Dともいう。各着座用圧電シート27A~27Dは、着座者の着座の有無をセンシングする。各着座用圧電シート27A~27Dは、圧力を受けると電圧を生じる圧電素子の圧電効果を利用したセンサである。
【0017】
なお、各心拍用圧電シート25A~25Dと各呼吸用圧電シート26A~26Dとは、着座者の座骨部周辺の右臀部に対向する範囲に設けられてもよい。そして、各着座用圧電シート27A~27Dは、着座者の座骨部周辺の左臀部に対向する範囲に設けられてもよい。
【0018】
また、各座席シート2A~2Dのシートバック22の内部には、第1加圧器28A~第4加圧器28Dが、着座者の背部に対向するように配置されている。第1加圧器28A~第4加圧器28Dは、それぞれ6個の空気袋(いわゆるエアブラダ)281~286を有している。6個の空気袋281~286は、上下方向に沿って3個ずつ2列に配置され、空気の供給および排出によって膨張および収縮が可能に構成されている。第1加圧器28A~第4加圧器28Dは、空気袋281~286の所定時間間隔の膨張および収縮の繰り返しにより、着座者の背部に所定時間間隔で押圧力を発生することができる。
【0019】
なお、各加圧器28A~28Dが有する空気袋の数は限定されず、各加圧器28A~28Dは、1つの空気袋を有してもよい。また、1つまたは複数の空気袋が、シートバック22に替えて、または、シートバック22に加えて、シートクッション21に配置されてもよい。
【0020】
図1に示すように、車両用呼吸統制システム1は、ECU11と、第1表示部12と、ナビゲーションシステム13の第2表示部14と、第3表示部15と、第4表示部16と、記憶部17と、シフトセンサ18と、加速度センサ19と、を含んで構成されている。更に、車両用呼吸統制システム1は、各心拍用圧電シート25A~25Dと、各呼吸用圧電シート26A~26Dと、各着座用圧電シート27A~27Dと、空気ポンプ31と、第1供給弁32A~第4供給弁32Dと、第1加圧器28A~第4加圧器28Dと、第1排気弁33A~第4排気弁33Dと、を含んで構成されている。
【0021】
なお、第1供給弁32A~第4供給弁32Dを区別しない場合には、各供給弁32A~32Dともいう。第1加圧器28A~第4加圧器28Dを区別しない場合には、各加圧器28A~28Dともいう。第1排気弁33A~第4排気弁33Dを区別しない場合には、各排気弁33A~33Dともいう。
【0022】
ECU11と、加速度センサ19と、空気ポンプ31と、は、車両100に搭載されている。第1表示部12は、
図6に示すメータパネル37に設けられ、後述のようにスピードメータとタコメータとの間に配置された液晶ディスプレイなどで構成され、インフォメーションディスプレイとして機能する。
【0023】
ナビゲーションシステム13の第2表示部14は、不図示のインストルメントパネルの運転席と助手席との間の位置に設けられて、ナビゲーション用の地図画面などを表示する。第3表示部15は、運転席の座席シート2Aのシートバック22の背面に配置され、右後部座席の座席シート2Dに着座した着座者の正面に配置されている。第4表示部16は、助手席の座席シート2Bのシートバック22の背面に配置され、左後部座席の座席シート2Cに着座した着座者の正面に配置されている。
【0024】
第1表示部12と、第3表示部15と、第4表示部16とは、ECU11に電気的に接続され、ECU11からの指示により各種情報を表示可能に構成されている。ナビゲーションシステム13は、ECU11に電気的に接続され、ECU11からの指示により第2表示部14に各種情報を表示可能に構成されている。
【0025】
記憶部17は、HDDやSSDで構成され、ECU11に電気的に接続されている。また、記憶部17は、生体情報データベース(生体情報DB)17Aを記憶している。生体情報データベース17Aには、後述のように各座席シート2A~2Dに着座した着座者の心拍数や呼吸精度などの情報が各人に対応して時系列的に記憶される。
【0026】
シフトセンサ18は、ECU11に電気的に接続され、不図時のシフトレバーの位置を検出して、ECU11に出力するセンサである。加速度センサ19は、ECU11に電気的に接続され、車両100の加速度を検出して、ECU11に出力するセンサである。
【0027】
各心拍用圧電シート25A~25Dと、各呼吸用圧電シート26A~26Dと、各着座用圧電シート27A~27Dとは、それぞれECU11に電気的に接続されている。各心拍用圧電シート25A~25Dと、各呼吸用圧電シート26A~26Dと、がセンシングした着座者の心弾動を示す信号は、ECU11に出力される。各着座用圧電シート27A~27Dがセンシングした着座者の着座を示す荷重信号は、ECU11に出力される。
【0028】
空気ポンプ31は、空気を吐出する電動ポンプで、ECU11に電気的に接続され、空気の吐出がオン、オフ制御される。各供給弁32A~32Dは、それぞれの不図時の供給ポートに空気ポンプ31の空気の吐出口が接続されている。各供給弁32A~32Dは、それぞれの不図時の吐出ポートに、各加圧器28A~28Dの各空気袋281~286への空気の流入口が接続されている。各供給弁32A~32Dは、ECU11に電気的に接続され、吐出ポートから各加圧器28A~28Dの各空気袋281~286への空気の供給がオン、オフ制御される。各供給弁32A~32Dとしては、電磁弁が使用できる。
【0029】
各排気弁33A~33Dは、それぞれの不図時の供給ポートには、各加圧器28A~28Dの各空気袋281~286からの空気の排出口が接続されている。各排気弁33A~33Dは、それぞれの不図時の吐出ポートが大気中に接続されている。各排気弁33A~33Dは、ECU11に電気的に接続され、吐出ポートから各加圧器28A~28Dの各空気袋281~286からの空気の排気がオン、オフ制御される。各排気弁33A~33Dとしては、電磁弁が使用できる。
【0030】
ECU11は、CPU、不揮発性メモリとしてのROM、EEPROM(登録商標)、RAM等を備えている。CPUは、ROMやEEPROMに記憶された各種のプログラムや各種パラメータに基づいて、種々の演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各心拍用圧電シート25A~25Dと、各呼吸用圧電シート26A~26Dと、各着座用圧電シート27A~27Dとから入力されたデータを一時的に記憶する。ECU11は、制御装置の一例である。
【0031】
図3に示すように、ECU11は、提示情報指示部111、視覚情報提示部112、触覚情報提示部113、生体情報取得部114、着座情報取得部115、走行状態取得部116、および、ギア情報取得部117を備えている。提示情報指示部111は、生体情報取得部114、着座情報取得部115、走行状態取得部116、および、ギア情報取得部117から各種検出結果を受信する。そして、提示情報指示部111は、視覚情報提示部112に第1表示部12~第4表示部16に表示させる表示データを出力する。また、提示情報指示部111は、触覚情報提示部113に各加圧器28A~28Dの駆動指示を出力する。提示情報指示部111は、提示部の一例である。
【0032】
視覚情報提示部112は、提示情報指示部111から入力された表示指示に従って、視覚詳細情報または視覚簡易情報を指定された第1表示部12~第4表示部16に表示する。視覚詳細情報は、着座者の心拍に合わせた呼吸リズムを示す「ペース呼吸」と、着座者の実際の呼吸状態とを表示して着座者の呼吸統制を行う視覚情報である。これにより、着座者は、心拍変動バイオフィードバックを行うことができる。また、視覚簡易情報は、着座者の「ペース呼吸」に対する実際の呼吸リズムの合致度合いを示す「呼吸精度[%]」のみを表示する視覚情報である。これにより、着座者は、「ペース呼吸」に対する実際の呼吸リズムの合致度合いを確認することができる。
【0033】
触覚情報提示部113は、提示情報指示部111から入力された「ペース呼吸」に合わせた駆動指示に従って、空気ポンプ31の駆動と停止、および、各供給弁32A~32Dのオン、オフ制御、各排気弁33A~33Dのオン、オフ制御を行う。これにより、触覚情報提示部113は、各加圧器28A~28Dの空気袋281~286を、着座者の心拍に合わせた呼吸リズムを示す「ペース呼吸」に合わせて膨張、収縮させて、触覚情報により呼吸リズムを提示することが可能となる。触覚情報提示部113は、触覚刺激提示部の一例である。
【0034】
例えば、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を膨張させて、「ペース呼吸」の呼気(息を吐く)のペース、タイミングを着座者に提示する。また、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を収縮させて、「ペース呼吸」の吸気(息を吸う)のペース、タイミングを着座者に提示する。
【0035】
生体情報取得部114は、各心拍用圧電シート25A~25Dから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI:RR Interval)などの生体情報を取得して、提示情報指示部111に出力する。また、生体情報取得部114は、各呼吸用圧電シート26A~26Dから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA:Respiratory Sinus Arrhythmia)などの生体情報を取得して、提示情報指示部111に出力する。
【0036】
着座情報取得部115は、各着座用圧電シート27A~27Dから入力された信号により、各座席シート2A~2Dにおける着座者の有無を検出し、検出結果を提示情報指示部111に出力する。着座情報取得部115は、着座者検知部の一例である。
【0037】
走行状態取得部116は、加速度センサ19から入力された車両100の加速度の検出信号から、車両の走行状態、つまり、走行中か停止中かを検出して、検出結果を提示情報指示部111に出力する。
【0038】
ギア情報取得部117は、シフトセンサ18から入力されたシフトレバーの位置の検出信号から、走行中であるか駐車中であるかを検出して、検出結果を提示情報指示部111に出力する。ギア情報取得部117は、運転状態検知部の一例である。
【0039】
例えば、ギア情報取得部117は、シフトセンサ18からシフトレバーが[P]レンジに位置する検出信号が入力された場合は、車両100は駐車中であることを検出して、検出結果を提示情報指示部111に出力する。また、ギア情報取得部117は、シフトセンサ18からシフトレバーが[D]レンジに位置する検出信号が入力された場合は、車両100は走行中であることを検出して、検出結果を提示情報指示部111に出力する。
【0040】
[第1呼吸統制処理]
次に、上記のように構成された車両用呼吸統制システム1のECU11が実行する、運転席と助手席に着座した着座者の呼吸統制を行う第1呼吸統制処理について
図4~
図13に基づいて説明する。
図4は、ECU11が実行する運転席と助手席に着座した着座者の呼吸統制を行う第1呼吸統制処理の一例を示すフローチャートである。尚、ECU11は、例えば、運転席または助手席の着座者が、ナビゲーションシステム13の第2表示部14に表示された運転席と助手席の着座者の呼吸統制を行うアプリケーションを選択することにより、
図4に示す第1呼吸統制処理のプログラムを実行する。
図4のフローチャートで示されるプログラムは、ROMに予め記憶されている。
【0041】
図4に示すように、ステップS11において、ECU11は、着座情報取得部115を介して、第1着座用圧電シート27Aと第2着座用圧電シート27Bから入力された信号から運転席の座席シート2Aのみに着座者が存在するか否かを判定する。つまり、ECU11は、運転者のみか否かを判定する。
【0042】
そして、ECU11は、運転席の座席シート2Aのみに着座者が存在する、つまり、運転者のみであると判定した場合は(S11:YES)、ステップS12の処理に進む。ステップS12において、ECU11は、ギア情報取得部117を介して、シフトセンサ18からシフトレバーが[P]レンジに位置する検出信号が入力されたか否か、つまり、車両100が駐車中であるか否かを判定する。
【0043】
そして、ECU11は、シフトセンサ18からシフトレバーが[P]レンジに位置する検出信号が入力されたと判定した場合、つまり、車両100が駐車中であると判定した場合は(S12:YES)、ステップS13の処理に進む。ステップS13において、ECU11は、「第1駐車中処理」を実行した後、第1呼吸統制処理を終了する。
【0044】
一方、ECU11は、シフトセンサ18からシフトレバーが[D]レンジに位置する検出信号が入力されたと判定した場合、つまり、車両100が走行中であると判定した場合は(S12:NO)、ステップS14の処理に進む。ステップS14において、ECU11は、「第1走行中処理」を実行した後、第1呼吸統制処理を終了する。
【0045】
他方、上記ステップS11で、ECU11は、運転席の座席シート2Aと助手席の座席シート2Bとに着座者が存在する、つまり、運転席と助手席に着座者が存在すると判定した場合は(S11:NO)、ステップS15の処理に進む。ステップS15において、ECU11は、ギア情報取得部117を介して、シフトセンサ18からシフトレバーが[P]レンジに位置する検出信号が入力されたか否か、つまり、車両100が駐車中であるか否かを判定する。
【0046】
そして、ECU11は、シフトセンサ18からシフトレバーが[P]レンジに位置する検出信号が入力されたと判定した場合、つまり、車両100が駐車中であると判定した場合は(S15:YES)、ステップS16の処理に進む。ステップS16において、ECU11は、「第2駐車中処理」を実行した後、第1呼吸統制処理を終了する。
【0047】
一方、ECU11は、シフトセンサ18からシフトレバーが[D]レンジに位置する検出信号が入力されたと判定した場合、つまり、車両100が走行中であると判定した場合は(S15:NO)、ステップS17の処理に進む。ステップS17において、ECU11は、「第2走行中処理」を実行した後、第1呼吸統制処理を終了する。
【0048】
[第1駐車中処理]
次に、運転席にのみ着座者が存在して、車両100が駐車中であるときに実行される第1駐車中処理について
図5~
図8に基づいて説明する。
図5は、
図4の第1駐車中処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図5に示すように、ステップS21において、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されているか否かを判定する。例えば、ECU11は、第2表示部14に、地図情報を表示して目的地までの経路探索を行う経路探索画面などが表示されているか否かを判定する。
【0050】
そして、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていると判定した場合は(S21:YES)、ステップS22の処理に進む。ステップS22において、ECU11は、メータパネル37に設けられてインフォメーションディスプレイとして機能する第1表示部12に、運転者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示する。第1表示部12に表示される視覚詳細情報は、運転席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する画像情報である。運転席の着座者は、提示された呼吸リズムに従って呼吸する。その後、ECU11は、後述のステップS24の処理に進む。
【0051】
ここで、第1表示部12に運転者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示した一例について
図6に基づいて説明する。
図6は、メータパネル37に設けられた第1表示部12に表示された視覚詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【0052】
図6に示すように、第1表示部12は、メータパネル37のタコメータ38とスピードメータ39との間に配置されている。第1表示部12には、運転席に着座する着座者の呼吸タイミングを示す呼吸ガイド41と、呼吸ガイド41上を移動して着座者の呼吸リズムを指示する呼吸ペーサ42と、運転席に着座する着座者の呼吸波形43とが表示されている。呼吸ペーサ42は、呼吸ガイド41上を下方から上方へ移動して吸気のタイミングおよびペースを指示し、呼吸ガイド41上を上方から下方へ移動して呼気のタイミングおよびペースを指示する。その結果、運転席の着座者は、呼吸ガイド41上を移動する呼吸ペーサ42を見ながら、呼吸ペーサ42の移動に合わせて呼吸する。
【0053】
また、ECU11は、第1表示部12に表示された呼吸ガイド41の右側に、運転席の着座者の「心拍数」、「呼吸数」、心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク45を上下方向に並べて表示する。ここで、内面状態というのは、心拍変動から算出されるLF/HF(Low Frequency/High Frequency)や周波数パワーに基づいて算出される疲労度やストレス度などがある。これにより、運転席の着座者は、心拍数と、呼吸数と、心拍変動情報に基づいて算出された疲労度やストレス度などの内面状態を容易に確認することができる。
【0054】
ここで、ECU11は、生体情報取得部114を介して、運転席の座席シート2Aの第1心拍用圧電シート25Aから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から着座者の呼吸ガイド41と、心拍変動を大きくする呼吸リズムを算出する。続いて、ECU11は、呼吸ペーサ42を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、呼吸ガイド41上を移動させる。
【0055】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、運転席の座席シート2Aの第1呼吸用圧電シート26Aから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から着座者の呼吸波形43を算出して、呼吸ガイド41に重ね合わせて表示する。従って、呼吸波形43の先端は、呼吸ペーサ42に重なって表示される。これにより、着座者は、着座者の実際の呼吸と、呼吸ペーサ42が示す心拍変動を大きくする呼吸タイミングとのずれ度合いを視覚的に確認しつつ呼吸をすることができ、心拍変動バイオフィードバックを効果的に行うことができる。
【0056】
一方、上記ステップS21で、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていないと判定した場合は(S21:NO)、ステップS23の処理に進む。ステップS23において、ECU11は、第1表示部12に替えて、ナビゲーションシステム13の第2表示部14に、運転者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示する。第2表示部14に表示される視覚詳細情報は、運転席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを指示する画像情報である。運転席の着座者は、指示された呼吸リズムに従って呼吸する。その後、ECU11は、ステップS24の処理に進む。
【0057】
ここで、第2表示部14に運転者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示した一例について
図7に基づいて説明する。
図7は、不図示のインストルメントパネルに設けられたナビゲーションシステム13の第2表示部14に表示された視覚詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【0058】
図7に示すように、第2表示部14には、運転席に着座する着座者の呼吸タイミングを示す呼吸ガイド41と、呼吸ガイド41上を移動して着座者の呼吸リズムを指示する呼吸ペーサ42と、運転席に着座する着座者の呼吸波形43とが表示されている。呼吸ペーサ42は、呼吸ガイド41上を下方から上方へ移動して吸気のタイミングを指示し、呼吸ガイド41上を上方から下方へ移動して呼気のタイミングを指示する。その結果、運転席の着座者は、呼吸ガイド41上を移動する呼吸ペーサ42を見ながら、呼吸ペーサ42の移動に合わせて呼吸する。
【0059】
また、ECU11は、第2表示部14に表示された呼吸ガイド41の右側に、運転席の着座者の「心拍数」、「呼吸数」、心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク45を上下方向に並べて表示する。これにより、運転席の着座者は、心拍数と、呼吸数と、心拍変動情報に基づいて算出された疲労度やストレス度などの内面状態を容易に確認することができる。
【0060】
図5に示すように、ステップS24において、ECU11は、上記ステップS22またはステップS23の処理にて取得した、着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分、呼吸ガイド41、呼吸波形43などの生体情報を、運転席の着座者を識別する識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶する。その後、ECU11は、ステップS25の処理に進む。なお、運転席の着座者を識別する識別IDは、運転席の着座者が第1呼吸統制処理のアプリケーションを選択した際に、着座者によって入力される。
【0061】
ステップS25において、ECU11は、運転席に着座する着座者の呼吸統制が終了したか否かを判定する。例えば、ECU11は、第1呼吸統制処理の実行を開始してから所定時間、例えば、10分間~20分間経過したか否か、若しくは、第1呼吸統制処理のアプリケーションがマニュアル終了されたか否かを判定する。
【0062】
そして、ECU11は、運転席に着座する着座者の呼吸統制が終了していないと判定した場合は(S25:NO)、再度、ステップS21以降の処理を実行する。一方、ECU11は、運転席に着座する着座者の呼吸統制が終了したと判定した場合は(S25:YES)、ステップS26の処理に進む。
【0063】
ステップS26において、ECU11は、運転席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第2表示部14に表示した後、第1駐車中処理を終了して、第1呼吸統制処理に戻る。
【0064】
ここで、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第2表示部14に表示した一例について
図8に基づいて説明する。
図8は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14に表示された呼吸統制時の呼吸精度を評価した表示画面の一例を示す図である。
【0065】
図8に示すように、ECU11は、第2表示部14の画面の略中央部に呼吸ガイド41に対する呼吸波形43のズレ量を表す呼吸精度の推移グラフ47を表示する。また、ECU11は、推移グラフ47の上側に、平均呼吸精度を表示する。また、ECU11は、推移グラフ47の右側に、呼吸統制前の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク48を表示し、顔マーク48の下側に、呼吸統制後の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク49を表示する。これにより、着座者は、呼吸統制の効果を容易に確認することができる。
【0066】
[第1走行中処理]
次に、運転席にのみ着座者が存在して、車両100が走行中であるときに実行される第1走行中処理について
図9、
図10などに基づいて説明する。
図9は、
図4の第1走行中処理の一例を示すフローチャートである。
図10は、メータパネル37に設けられた第1表示部12に表示された視覚簡易情報の表示画面の一例を示す図である。
【0067】
図9に示すように、ステップS31において、ECU11は、走行状態取得部116を介して、加速度センサ19から入力された車両100の加速度の検出信号から、車両100の走行状態が走行中か、信号待ちや渋滞などで一時停止中かを判定する。そして、ECU11は、車両100の走行状態が、走行中であると判定した場合は、ステップS32の処理に進む。
【0068】
ステップS32において、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286を膨張、収縮させて運転席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する。これにより、運転手の呼吸統制を行う触覚情報を提示する。例えば、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を膨張させて、呼気(息を吐く)のペース、タイミングを着座者に提示する。また、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を収縮させて、吸気(息を吸う)のペース、タイミングを着座者に提示する。運転席の着座者は、提示された呼吸リズムに従って呼吸する。その後、ECU11は、ステップS33の処理に進む。
【0069】
ここで、ECU11は、生体情報取得部114を介して、運転席の座席シート2Aの第1心拍用圧電シート25Aから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から着座者の呼吸をガイドして、心拍変動を大きくする呼吸リズム(呼吸ペース)を算出する。続いて、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、膨張、収縮させる。
【0070】
ステップS33において、ECU11は、生体情報取得部114を介して、運転席の座席シート2Aの第1呼吸用圧電シート26Aから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から着座者の呼吸波形を算出する。
【0071】
続いて、ECU11は、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286を膨張、収縮させた呼吸リズムに対する運転者の呼吸波形のズレ量である呼吸精度を算出する。そして、ECU11は、メータパネル37に設けられてインフォメーションディスプレイとして機能する第1表示部12に、運転者の呼吸統制時の呼吸精度を示す視覚簡易情報を表示した後、後述のステップS37の処理に進む。
【0072】
ここで、第1表示部12に運転者の視覚簡易情報を表示した一例について
図10に基づいて説明する。
図10は、メータパネル37に設けられた第1表示部12に表示された視覚簡易情報の表示画面の一例を示す図である。
【0073】
図10に示すように、第1表示部12の画面の中央部には、丸枠で示された呼吸精度の表示枠51が表示され、運転者の呼吸精度、例えば78%が表示されている。表示枠51に、例えば100%が表示された場合は、第1加圧器28Aによって提示される呼吸リズムと、運転者の呼吸波形とが一致している。尚、運転者の呼吸波形が、第1加圧器28Aによって提示される呼吸リズムよりも遅れている場合は、表示枠51内を青色表示し、一方、運転者の呼吸波形が、第1加圧器28Aによって提示される呼吸リズムよりも速い場合は、表示枠51内を赤色表示してもよい。これにより、運転者は、第1加圧器28Aによって提示される呼吸リズムに対して、呼吸が速い、呼吸が遅いことを容易に認識できる。
【0074】
一方、
図9に示すように、上記ステップS31で、ECU11は、車両100の走行状態が、一時停止中であると判定した場合は、ステップS34の処理に進む。ステップS34において、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されているか否かを判定する。
【0075】
そして、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていると判定した場合は(S34:YES)、ステップS35の処理に進む。ステップS35において、ECU11は、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286の膨張、収縮を停止して、第1排気弁33Aを開放して収縮した状態にする。そして、ECU11は、メータパネル37に設けられてインフォメーションディスプレイとして機能する第1表示部12に、運転者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示する。
【0076】
第1表示部12に表示される視覚詳細情報は、例えば、
図6に示すように、運転席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを呼吸ガイド41上を動く呼吸ペーサ42により提示する画像情報である。運転者は、提示された呼吸リズムに従って呼吸する。つまり、ECU11は、ステップS35において、上記ステップS22の処理を実行した後、後述のステップS37の処理に進む。
【0077】
一方、上記ステップS34で、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていないと判定した場合は(S34:NO)、ステップS36の処理に進む。ステップS36において、ECU11は、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286の膨張、収縮を停止して、第1排気弁33Aを開放して収縮した状態にする。そして、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14に、運転者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示する。
【0078】
第2表示部14に表示される視覚詳細情報は、例えば、
図7に示すように、運転席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを呼吸ガイド41上を動く呼吸ペーサ42により提示する画像情報である。運転者は、提示された呼吸リズムに従って呼吸する。つまり、ECU11は、ステップS36において、上記ステップS23の処理を実行した後、ステップS37の処理に進む。
【0079】
ステップS37において、ECU11は、上記ステップS32およびステップS33、ステップS35、または、ステップS36の処理にて取得した、着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分、呼吸ガイド41、呼吸波形43などの生体情報を、運転席の着座者を識別する識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶する。その後、ECU11は、ステップS38の処理に進む。
【0080】
ステップS38において、ECU11は、運転席に着座する着座者の呼吸統制が終了したか否かを判定する。例えば、ECU11は、第1呼吸統制処理の実行を開始してから所定時間、例えば、10分間~20分間経過したか否か、若しくは、第1呼吸統制処理のアプリケーションがマニュアル終了されたか否かを判定する。または、ECU11は、不図示のシフトレバーが[P]レンジに入ったか否かを判定する。
【0081】
そして、ECU11は、運転席に着座する着座者の呼吸統制が終了していないと判定した場合は(S38:NO)、再度、ステップS31以降の処理を実行する。一方、ECU11は、運転席に着座する着座者の呼吸統制が終了したと判定した場合は(S38:YES)、ステップS39の処理に進む。
【0082】
ステップS39において、ECU11は、運転席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第2表示部14に表示する。つまり、ステップS39において、ECU11は、上記ステップS26の処理を実行した後、第1走行中処理を終了して、第1呼吸統制処理に戻る。
【0083】
[第2駐車中処理]
次に、運転席と助手席に着座者が存在して、車両100が駐車中であるときに実行される第2駐車中処理について
図11に基づいて説明する。
図11は、
図4の第2駐車中処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
図11に示すように、ステップS41において、ECU11は、メータパネル37に設けられてインフォメーションディスプレイとして機能する第1表示部12に、運転者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示する。第1表示部12に表示される視覚詳細情報は、例えば、
図6に示すように、運転席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを呼吸ガイド41上を動く呼吸ペーサ42により提示する画像情報である。その結果、運転席の着座者は、第1表示部12に表示された呼吸ガイド41上を移動する呼吸ペーサ42を見ながら、呼吸ペーサ42の移動に合わせて呼吸する。つまり、ECU11は、ステップS35において、上記ステップS22の処理を実行した後、ステップS42の処理に進む。
【0085】
ステップS42において、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14に、助手席に着座する着座者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を表示する。第2表示部14に表示される視覚詳細情報は、助手席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを呼吸ガイド41上を動く呼吸ペーサ42により提示する画像情報である(
図7参照)。その結果、助手席の着座者は、第2表示部14に表示された呼吸ガイド41上を移動する呼吸ペーサ42を見ながら、呼吸ペーサ42の移動に合わせて呼吸する。その後、ECU11は、ステップS43の処理に進む。
【0086】
ここで、ECU11は、生体情報取得部114を介して、助手席の座席シート2Bの第2心拍用圧電シート25Bから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、助手席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から助手席の着座者の呼吸ガイド41と、心拍変動を大きくする呼吸リズムを算出する。続いて、ECU11は、呼吸ペーサ42を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、呼吸ガイド41上を移動させる。
【0087】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、助手席の座席シート2Bの第2呼吸用圧電シート26Bから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から助手席の着座者の呼吸波形43を算出して、呼吸ガイド41に重ね合わせて表示する。従って、呼吸波形43の先端は、呼吸ペーサ42に重なって表示される。これにより、助手席の着座者は、着座者の実際の呼吸と、呼吸ペーサ42が示す心拍変動を大きくする呼吸タイミングとのずれ度合いを視覚的に確認しつつ呼吸をすることができ、心拍変動バイオフィードバックを効果的に行うことができる。
【0088】
ステップ43において、ECU11は、上記ステップS41の処理にて取得した、運転席の着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分、呼吸ガイド41、呼吸波形43などの生体情報を、運転席の着座者を識別する識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶する。また、ECU11は、上記ステップS42の処理にて取得した、助手席の着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分、呼吸ガイド41、呼吸波形43などの生体情報を、助手席の着座者を識別する識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶する。その後、ECU11は、ステップS44の処理に進む。
【0089】
なお、運転席と助手席のそれぞれの着座者を識別する識別IDは、運転席または助手席の着座者が第1呼吸統制処理のアプリケーションを選択した際に、着座者によって入力される。
【0090】
ステップS44において、ECU11は、運転席と助手席のそれぞれに着座する着座者の呼吸統制が終了したか否かを判定する。例えば、ECU11は、第1呼吸統制処理の実行を開始してから所定時間、例えば、10分間~20分間経過したか否か、若しくは、第1呼吸統制処理のアプリケーションがマニュアル終了されたか否かを判定する。
【0091】
そして、ECU11は、運転席と助手席のそれぞれに着座する着座者の呼吸統制が終了していないと判定した場合は(S44:NO)、再度、ステップS41以降の処理を実行する。一方、ECU11は、運転席と助手席のそれぞれに着座する着座者の呼吸統制が終了したと判定した場合は(S44:YES)、ステップS45の処理に進む。
【0092】
ステップS45において、ECU11は、運転席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第1表示部12に表示する。また、ECU11は、助手席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第2表示部14に表示する。その後、ECU11は、第1駐車中処理を終了して、第1呼吸統制処理に戻る。
【0093】
例えば、ECU11は、第1表示部12の画面の略中央部に、
図8に示された運転席の着座者の呼吸ガイド41に対する呼吸波形43のズレ量を表す呼吸精度の推移グラフ47を表示する。また、推移グラフ47の右側に、運転席の着座者の呼吸統制前の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク48を表示し、顔マーク48の下側に、呼吸統制後の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク49を表示する。これにより、運転席の着座者は、呼吸統制の効果を容易に確認することができる。
【0094】
また、ECU11は、
図8に示すように、第2表示部14の画面の略中央部に、助手席の着座者の呼吸ガイド41に対する呼吸波形43のズレ量を表す呼吸精度の推移グラフ47を表示する。また、推移グラフ47の上側に、平均呼吸精度を表示する。また、推移グラフ47の右側に、助手席の着座者の呼吸統制前の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク48を表示し、顔マーク48の下側に、呼吸統制後の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク49を表示する。これにより、助手席の着座者は、呼吸統制の効果を容易に確認することができる。
【0095】
[第2走行中処理]
次に、運転席と助手席に着座者が存在して、車両100が走行中であるときに実行される第2走行中処理について
図12、
図13などに基づいて説明する。
図12は、
図4の第2走行中処理の一例を示すフローチャートである。
図13は、不図示のインストルメントパネルに設けられたナビゲーションシステム13の第2表示部14に表示された視覚簡易情報の表示画面の一例を示す図である。
【0096】
図12に示すように、ステップS51において、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286を膨張、収縮させて運転席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する。また、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、助手席の座席シート2Bに設けられた第2加圧器28Bの各空気袋281~286を膨張、収縮させて助手席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する。
【0097】
これにより、運転席と助手席の着座者の呼吸統制を行う触覚情報を提示する。例えば、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を膨張させて、呼気(息を吐く)のペース、タイミングを運転席と助手席の着座者に提示する。また、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を収縮させて、吸気(息を吸う)のペース、タイミングを運転席と助手席の着座者に提示する。運転席と助手席の着座者は、提示された呼吸リズムに従って呼吸する。その後、ECU11は、ステップS52の処理に進む。
【0098】
ここで、ECU11は、生体情報取得部114を介して、運転席の座席シート2Aの第1心拍用圧電シート25Aから入力された着座者の心弾動の信号から、運転席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から運転席の着座者の呼吸をガイドして、心拍変動を大きくする呼吸リズム(呼吸ペース)を算出する。続いて、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、膨張、収縮させる。
【0099】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、助手席の座席シート2Bの第2心拍用圧電シート25Bから入力された着座者の心弾動の信号から、運転席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から助手席の着座者の呼吸をガイドして、心拍変動を大きくする呼吸リズム(呼吸ペース)を算出する。続いて、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、助手席の座席シート2Bに設けられた第2加圧器28Bの各空気袋281~286を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、膨張、収縮させる。
【0100】
ステップS52において、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されているか否かを判定する。そして、ECU11は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていると判定した場合は(S52:YES)、ステップS53の処理に進む。
【0101】
ステップS53において、ECU11は、生体情報取得部114を介して、助手席の座席シート2Bの第2呼吸用圧電シート26Bから入力された着座者の心弾動の信号から、助手席の着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から助手席の着座者の呼吸波形を算出する。
【0102】
続いて、ECU11は、助手席の座席シート2Bに設けられた第2加圧器28Bの各空気袋281~286を膨張、収縮させた呼吸リズムに対する助手席の着座者の呼吸波形のズレ量である呼吸精度を算出する。そして、ECU11は、第2表示部14に表示された別アプリケーションの画面に、助手席の着座者の呼吸統制時の呼吸精度を示す視覚簡易情報をオーバーレイ表示した後、後述のステップS55の処理に進む。
【0103】
ここで、第2表示部14に助手席の着座者の視覚簡易情報を表示した一例について
図13に基づいて説明する。
図13に示すように、第2表示部14の画面の左上の角部には、丸枠で示された呼吸精度の表示枠52が表示され、助手席の着座者の呼吸精度、例えば78%が経路案内画面にオーバーレイ表示されている。表示枠52に、例えば100%が表示された場合は、第2加圧器28Bによって提示される呼吸リズムと、助手席の着座者の呼吸波形とが一致している。
【0104】
尚、助手席の着座者の呼吸波形が、第2加圧器28Bによって提示される呼吸リズムよりも遅れている場合は、ECU11は、表示枠52内を青色表示してもよい。一方、助手席の着座者の呼吸波形が、第2加圧器28Bによって提示される呼吸リズムよりも速い場合は、ECU11は、表示枠52内を赤色表示してもよい。これにより、助手席の着座者は、第2加圧器28Bによって提示される呼吸リズムに対して、呼吸が速い、呼吸が遅いことを容易に認識できる。
【0105】
一方、
図12に示すように、上記ステップS52で、ナビゲーションシステム13の第2表示部14が第1呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていないと判定した場合は(S52:NO)、ステップS54の処理に進む。ステップS54において、ECU11は、生体情報取得部114を介して、助手席の座席シート2Bの第2呼吸用圧電シート26Bから入力された着座者の心弾動の信号から、助手席の着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から助手席の着座者の呼吸波形を算出する。
【0106】
続いて、ECU11は、助手席の座席シート2Bに設けられた第2加圧器28Bの各空気袋281~286を膨張、収縮させた呼吸リズムに対する助手席の着座者の呼吸波形のズレ量である呼吸精度を算出する。そして、ECU11は、第2表示部14の画面の中央部に、助手席の着座者の呼吸統制時の呼吸精度を示す視覚簡易情報を表示する。例えば、ECU11は、
図13に示す呼吸精度の表示枠52を第2表示部14の画面の中央部に表示し、表示枠52内に、助手席の着座者の呼吸精度、例えば78%を表示する。その後、ECU11は、ステップS55の処理に進む。
【0107】
ステップS55において、ECU11は、生体情報取得部114を介して、運転席の座席シート2Aの第1呼吸用圧電シート26Aから入力された着座者の心弾動の信号から、着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から着座者の呼吸波形を算出する。
【0108】
続いて、ECU11は、運転席の座席シート2Aに設けられた第1加圧器28Aの各空気袋281~286を膨張、収縮させた呼吸リズムに対する運転者の呼吸波形のズレ量である呼吸精度を算出する。そして、ECU11は、メータパネル37に設けられてインフォメーションディスプレイとして機能する第1表示部12に、運転者の呼吸統制時の呼吸精度を示す視覚簡易情報を表示する。つまり、ECU11は、ステップS55において、上記ステップS33の処理を実行する。その後、ECU11は、ステップS56の処理に進む。
【0109】
例えば、ECU11は、
図10に示すように、第1表示部12の画面の中央部に、丸枠で示された呼吸精度の表示枠51を表示し、運転者の呼吸精度、例えば78%を表示枠51内に表示する。尚、運転者の呼吸波形が、第1加圧器28Aによって提示される呼吸リズムよりも遅れている場合は、表示枠51内を青色表示し、一方、運転者の呼吸波形が、第1加圧器28Aによって提示される呼吸リズムよりも速い場合は、表示枠51内を赤色表示してもよい。これにより、運転者は、第1加圧器28Aによって提示される呼吸リズムに対して、呼吸が速い、呼吸が遅いことを容易に認識できる。
【0110】
ステップS56において、ECU11は、上記ステップS53または上記ステップS54の処理にて取得した、助手席の着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分、呼吸精度などの生体情報を、助手席の着座者を識別する識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶する。また、ECU11は、上記ステップS55の処理にて取得した、運転席の着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分、呼吸精度などの生体情報を、運転席の着座者を識別する識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶する。その後、ECU11は、ステップS57の処理に進む。
【0111】
ステップS57において、ECU11は、運転席と助手席に着座する着座者の呼吸統制が終了したか否かを判定する。例えば、ECU11は、第1呼吸統制処理の実行を開始してから所定時間、例えば、10分間~20分間経過したか否か、若しくは、第1呼吸統制処理のアプリケーションがマニュアル終了されたか否かを判定する。または、ECU11は、不図示のシフトレバーが[P]レンジに入ったか否かを判定する。
【0112】
そして、ECU11は、運転席と助手席に着座する着座者の呼吸統制が終了していないと判定した場合は(S57:NO)、再度、ステップS51以降の処理を実行する。一方、ECU11は、運転席と助手席に着座する着座者の呼吸統制が終了したと判定した場合は(S57:YES)、ステップS58の処理に進む。
【0113】
ステップS58において、ECU11は、運転席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第1表示部12に表示する。また、ECU11は、助手席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第2表示部14に表示する。その後、ECU11は、第2走行中処理を終了して、第1呼吸統制処理に戻る。
【0114】
例えば、ECU11は、第1表示部12の画面の略中央部に、
図8に示された運転席の着座者の呼吸ガイド41に対する呼吸波形43のズレ量を表す呼吸精度の推移グラフ47を表示する。また、推移グラフ47の右側に、運転席の着座者の呼吸統制前の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク48を表示し、顔マーク48の下側に、呼吸統制後の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク49を表示する。これにより、運転席の着座者は、呼吸統制の効果を容易に確認することができる。
【0115】
また、ECU11は、
図8に示すように、第2表示部14の画面の略中央部に、助手席の着座者の呼吸ガイド41に対する呼吸波形43のズレ量を表す呼吸精度の推移グラフ47を表示する。また、推移グラフ47の上側に、平均呼吸精度を表示する。また、推移グラフ47の右側に、助手席の着座者の呼吸統制前の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク48を表示し、顔マーク48の下側に、呼吸統制後の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク49を表示する。これにより、助手席の着座者は、呼吸統制の効果を容易に確認することができる。
【0116】
[第2呼吸統制処理]
次に、上記のように構成された車両用呼吸統制システム1のECU11が実行する、左後部座席と右後部座席に着座した着座者の呼吸統制を行う第2呼吸統制処理について
図14~
図17に基づいて説明する。
図14は、ECU11が実行する左後部座席と右後部座席に着座した着座者の呼吸統制を行う第2呼吸統制処理の一例を示すフローチャートである。
【0117】
尚、ECU11は、例えば、運転席の着座者が、ナビゲーションシステム13の第2表示部14に表示された左後部座席と右後部座席の着座者の呼吸統制を行う第2呼吸統制処理のアプリケーションを選択することにより、
図14に示す第2呼吸統制処理のプログラムを実行する。
図14のフローチャートで示されるプログラムは、ROMに予め記憶されている。
【0118】
図14に示すように、ステップS61において、ECU11は、着座情報取得部115を介して、第3着座用圧電シート27Cと第4着座用圧電シート27Dから入力された信号から、左後部座席の座席シート2Cと右後部座席の座席シート2Dとのうち、着座者が着座している席があるか否かを判定する。そして、ECU11は、左後部座席の座席シート2Cと右後部座席の座席シート2Dの両席とも、着座者がいないと判定した場合は(S61:NO)、第2呼吸統制処理を終了する。
【0119】
一方、ECU11は、左後部座席の座席シート2Cと右後部座席の座席シート2Dのうち、着座者が着座している席があると判定した場合は(S61:YES)、ステップS62の処理に進む。ステップS62において、ECU11は、左後部座席と右後部座席の着座者のそれぞれ正面に配置されたディスプレイが第2呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されているか否かを判定する。
【0120】
例えば、ECU11は、右後部座席の座席シート2Dに着座者が着席している場合には、運転席の座席シート2Aのシートバック22の背面に配置された第3表示部15が、第2呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されているか否かを判定する。また、ECU11は、左後部座席の座席シート2Cに着座者が着席している場合には、助手席の座席シート2Bのシートバック22の背面に配置された第4表示部16が、第2呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されているか否かを判定する。
【0121】
そして、ECU11は、着座者の正面に配置されたディスプレイが第2呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていると判定した場合は(S62:YES)、ステップS63の処理に進む。
【0122】
ステップS63において、ECU11は、左後部座席と右後部座席に着座している着座者に、各加圧器28C、28Dによる触覚情報により呼吸リズムを提示した後、ステップS64の処理に進む。具体的には、ECU11は、左後部座席の座席シート2Cに着座者がいる場合には、座席シート2Cに設けられた第3加圧器28Cの各空気袋281~286を膨張、収縮させて左後部座席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する。これにより、左後部座席の着座者の呼吸統制を行う触覚情報を提示する。左後部座席の着座者は、提示された呼吸リズムに従って呼吸する。
【0123】
また、ECU11は、右後部座席の座席シート2Dに着座者がいる場合には、座席シート2Dに設けられた第4加圧器28Dの各空気袋281~286を膨張、収縮させて右後部座席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する。これにより、右後部座席の着座者の呼吸統制を行う触覚情報を提示する。右後部座席の着座者は、提示された呼吸リズムに従って呼吸する。
【0124】
例えば、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を膨張させて、呼気(息を吐く)のペース、タイミングを着座者に提示する。また、触覚情報提示部113は、空気袋281~286を収縮させて、吸気(息を吸う)のペース、タイミングを着座者に提示する。
【0125】
ここで、ECU11は、生体情報取得部114を介して、左後部座席の座席シート2Cの第3心拍用圧電シート25Cから入力された着座者の心弾動の信号から、左後部座席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から左後部座席の着座者の呼吸をガイドして、心拍変動を大きくする呼吸リズム(呼吸ペース)を算出する。続いて、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、左後部座席の座席シート2Cに設けられた第3加圧器28Cの各空気袋281~286を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、膨張、収縮させる。
【0126】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、右後部座席の座席シート2Dの第4心拍用圧電シート25Dから入力された着座者の心弾動の信号から、右後部座席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から右後部座席の着座者の呼吸をガイドして、心拍変動を大きくする呼吸リズム(呼吸ペース)を算出する。続いて、ECU11は、触覚情報提示部113を介して、右後部座席の座席シート2Dに設けられた第4加圧器28Dの各空気袋281~286を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、膨張、収縮させる。
【0127】
ステップS64において、ECU11は、生体情報取得部114を介して、左後部座席と右後部座席に着座している着座者の正面ディスプレイに着座者の呼吸統制時の呼吸精度を示す視覚簡易情報をオーバーレイ表示した後、後述のステップS66の処理に進む。具体的には、ECU11は、生体情報取得部114を介して、左後部座席の座席シート2Cの第3呼吸用圧電シート26Cから入力された着座者の心弾動の信号から、左後部座席の着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から左後部座席の着座者の呼吸波形を算出する。
【0128】
続いて、ECU11は、左後部座席の座席シート2Cに設けられた第3加圧器28Cの各空気袋281~286を膨張、収縮させた呼吸リズムに対する左後部座席の着座者の呼吸波形のズレ量である呼吸精度を算出する。そして、ECU11は、左後部座席の正面に配置された第4表示部16に表示された別アプリケーションの画面に、左後部座席の着座者の呼吸統制時の呼吸精度を示す視覚簡易情報をオーバーレイ表示する。
【0129】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、右後部座席の座席シート2Dの第4呼吸用圧電シート26Dから入力された着座者の心弾動の信号から、右後部座席の着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から右後部座席の着座者の呼吸波形を算出する。
【0130】
続いて、ECU11は、右後部座席の座席シート2Dに設けられた第4加圧器28Dの各空気袋281~286を膨張、収縮させた呼吸リズムに対する右後部座席の着座者の呼吸波形のズレ量である呼吸精度を算出する。そして、ECU11は、右後部座席の正面に配置された第3表示部15に表示された別アプリケーションの画面に、右後部座席の着座者の呼吸統制時の呼吸精度を示す視覚簡易情報をオーバーレイ表示する。
【0131】
ここで、第3表示部15に右後部座席の着座者の視覚簡易情報を表示した一例と、第4表示部16に左後部座席の着座者の視覚簡易情報を表示した一例とについて
図15に基づいて説明する。
図15は、左後部座席と右後部座席の着座者の正面のディスプレイに表示された視覚簡易情報の表示画面の一例を示す図である。
【0132】
図15に示すように、第3表示部15と第4表示部16のそれぞれの画面の左上の角部には、丸枠で示された呼吸精度の表示枠53が表示され、右後部座席の着座者と左後部座席の着座者のそれぞれの呼吸精度、例えば80%が経路案内画面にオーバーレイ表示されている。表示枠53に、例えば100%が表示された場合は、第3加圧器28Cと第4加圧器28Dによって提示される呼吸リズムと、左後部座席と右後部座席の着座者の呼吸波形とが一致している。
【0133】
尚、呼吸波形が、呼吸リズムよりも遅れている場合は、表示枠53内を青色表示し、一方、呼吸波形が、呼吸リズムよりも速い場合は、表示枠53内を赤色表示してもよい。これにより、左後部座席と右後部座席の着座者は、第3加圧器28Cと第4加圧器28Dによって提示される呼吸リズムに対して、呼吸が速い、呼吸が遅いことを容易に認識できる。
【0134】
一方、
図14に示すように、上記ステップS62で、ECU11は、左後部座席と右後部座席の着座者の正面に配置されたディスプレイが第2呼吸統制処理のアプリケーションでない別のアプリケーションによって使用されていないと判定した場合は(S62:NO)、ステップS65の処理に進む。
【0135】
ステップS65において、ECU11は、ECU11は、左後部座席と右後部座席の着座者のそれぞれの正面に配置されたディスプレイに、着座者の呼吸統制を行う視覚詳細情報を提示した後、ステップS66の処理に進む。
【0136】
具体的には、運転席の座席シート2Aの背面に配置された第3表示部15に表示される視覚詳細情報は、右後部座席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する画像情報である。右後部座席の着座者は、第3表示部15に提示された呼吸リズムに従って呼吸する。
【0137】
助手席の座席シート2Bの背面に配置された第4表示部16に表示される視覚詳細情報は、左後部座席の着座者に対して吸気(息を吸う)、呼気(息を吐く)のタイミングを提示する画像情報である。左後部座席の着座者は、第4表示部16に提示された呼吸リズムに従って呼吸する。
【0138】
ここで、第3表示部15に右後部座席の着座者の視覚詳細情報を表示した一例と、第4表示部16に左後部座席の着座者の視覚詳細情報を表示した一例とについて
図16に基づいて説明する。
図16は、左後部座席と右後部座席の着座者の正面のディスプレイに表示された視覚詳細情報の表示画面の一例を示す図である。
【0139】
図16に示すように、第3表示部15と第4表示部16には、右後部座席の着座者と左後部座席の着座者のそれぞれの呼吸タイミングを示す呼吸ガイド41と、呼吸ガイド41上を移動して着座者の呼吸リズムを指示する呼吸ペーサ42が表示されている。また、第3表示部15と第4表示部16には、右後部座席の着座者と左後部座席の着座者のそれぞれの呼吸波形43が表示されている。
【0140】
呼吸ペーサ42は、呼吸ガイド41上を下方から上方へ移動して吸気のタイミングを指示し、呼吸ガイド41上を上方から下方へ移動して呼気のタイミングを指示する。その結果、右後部座席の着座者と左後部座席の呼吸ガイド41上を移動する呼吸ペーサ42を見ながら、呼吸ペーサ42の移動に合わせて呼吸する。
【0141】
また、ECU11は、第3表示部15に表示された呼吸ガイド41の右側に、右後部座席の着座者の「心拍数」、「呼吸数」、心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク45を上下方向に並べて表示する。これにより、右後部座席の着座者は、心拍数と、呼吸数と、心拍変動情報に基づいて算出された疲労度やストレス度などの内面状態を容易に確認することができる。また、ECU11は、第4表示部16に表示された呼吸ガイド41の右側に、左後部座席の着座者の「心拍数」、「呼吸数」、心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク45を上下方向に並べて表示する。これにより、左後部座席の着座者は、心拍数と、呼吸数と、心拍変動情報に基づいて算出された疲労度やストレス度などの内面状態を容易に確認することができる。
【0142】
ここで、ECU11は、生体情報取得部114を介して、左後部座席の座席シート2Cの第3心拍用圧電シート25Cから入力された着座者の心弾動の信号から、左後部座席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、左後部座席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から左後部座席の着座者の呼吸ガイド41と、心拍変動を大きくする呼吸リズムを算出する。続いて、ECU11は、第4表示部16に表示された呼吸ペーサ42を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、呼吸ガイド41上を移動させる。
【0143】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、右後部座席の座席シート2Dの第4心拍用圧電シート25Dから入力された着座者の心弾動の信号から、右後部座席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、右後部座席の着座者の心拍数、心拍間隔(RRI)から右後部座席の着座者の呼吸ガイド41と、心拍変動を大きくする呼吸リズムを算出する。続いて、ECU11は、第3表示部15に表示された呼吸ペーサ42を算出した心拍変動を大きくする呼吸リズムで、呼吸ガイド41上を移動させる。
【0144】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、左後部座席の座席シート2Cの第3呼吸用圧電シート26Cから入力された着座者の心弾動の信号から、左後部座席の着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から左後部座席の着座者の呼吸波形43を算出して、第4表示部16に表示される呼吸ガイド41に重ね合わせて表示する。従って、呼吸波形43の先端は、呼吸ペーサ42に重なって表示される。
【0145】
これにより、左後部座席の着座者は、着座者の実際の呼吸と、呼吸ペーサ42が示す心拍変動を大きくする呼吸タイミングとのずれ度合いを視覚的に確認しつつ呼吸をすることができ、心拍変動バイオフィードバックを効果的に行うことができる。
【0146】
また、ECU11は、生体情報取得部114を介して、右後部座席の座席シート2Dの第4呼吸用圧電シート26Dから入力された着座者の心弾動の信号から、右後部座席の着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から右後部座席の着座者の呼吸波形43を算出して、第3表示部15に表示される呼吸ガイド41に重ね合わせて表示する。従って、呼吸波形43の先端は、呼吸ペーサ42に重なって表示される。
【0147】
これにより、右後部座席の着座者は、着座者の実際の呼吸と、呼吸ペーサ42が示す心拍変動を大きくする呼吸タイミングとのずれ度合いを視覚的に確認しつつ呼吸をすることができ、心拍変動バイオフィードバックを効果的に行うことができる。
【0148】
図14に示すように、ステップS66において、ECU11は、上記ステップS63およびステップS64、または、ステップS65の処理にて取得した、左後部座席と右後部座席のそれぞれの着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分、呼吸精度などの生体情報を、左後部座席と右後部座席のそれぞれの着座者を識別する識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶する。その後、ECU11は、ステップS67の処理に進む。なお、左後部座席と右後部座席のそれぞれの着座者を識別する識別IDは、運転席の着座者が第2呼吸統制処理のアプリケーションを選択した際に、運転席の着座者によって入力される。
【0149】
ステップS67において、ECU11は、左後部座席と右後部座席に着座する着座者の呼吸統制が終了したか否かを判定する。例えば、ECU11は、第2呼吸統制処理の実行を開始してから所定時間、例えば、10分間~20分間経過したか否か、若しくは、第2呼吸統制処理のアプリケーションがマニュアル終了されたか否かを判定する。
【0150】
そして、ECU11は、左後部座席と右後部座席に着座する着座者の呼吸統制が終了していないと判定した場合は(S67:NO)、再度、ステップS62以降の処理を実行する。一方、ECU11は、左後部座席と右後部座席に着座する着座者の呼吸統制が終了したと判定した場合は(S67:YES)、ステップS68の処理に進む。
【0151】
ステップS68において、ECU11は、左後部座席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第4表示部16に表示する。また、ECU11は、右後部座席に着座する着座者の生体情報を生体情報データベース17Aから読み出し、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを第3表示部15に表示する。その後、ECU11は、第2呼吸統制処理を終了する。
【0152】
ここで、左後部座席と右後部座席の着座者の正面に配置された第4表示部16と第3表示部15に表示された呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを表示した一例について
図17に基づいて説明する。
図17は、左後部座席と右後部座席の着座者の正面のディスプレイに表示された呼吸統制時の呼吸精度を評価した表示画面の一例を示す図である。
【0153】
図17に示すように、ECU11は、第3表示部15の画面の中央部に、右後部座席の着座者の呼吸ガイド41に対する呼吸波形43のズレ量を表す呼吸精度の推移グラフ47を表示する。また、ECU11は、推移グラフ47の上側に、右後部座席の着座者の平均呼吸精度を表示する。また、ECU11は、推移グラフ47の右側に、右後部座席の着座者の呼吸統制前の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク48を表示し、顔マーク48の下側に、呼吸統制後の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク49を表示する。
【0154】
また、ECU11は、第4表示部16の画面の中央部に、左後部座席の着座者の呼吸ガイド41に対する呼吸波形43のズレ量を表す呼吸精度の推移グラフ47を表示する。また、ECU11は、推移グラフ47の上側に、左後部座席の着座者の平均呼吸精度を表示する。また、ECU11は、推移グラフ47の右側に、左後部座席の着座者の呼吸統制前の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク48を表示し、顔マーク48の下側に、呼吸統制後の心拍変動情報に基づいて算出される内面状態を表す顔マーク49を表示する。
【0155】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車両用呼吸統制システム1では、車室内の座席シート2A~2Dに着座した複数人に対して、着座者の生体情報に基づいて呼吸させるための呼吸タイミングを、各着座用圧電シート27A~27Dによって検知された着座者のそれぞれに提示する。これにより、車室内の座席シート2A~2Dに着座した着座者に対して、各人にあった呼吸統制(呼吸のタイミングの制御)を行うことが可能となる。
【0156】
また、走行中においては、運転席と助手席に設けられた第1加圧器28Aと第2加圧器28Bのそれぞれの空気袋281~286の膨張、収縮による触覚刺激により、運転席と助手席の着座者のそれぞれに呼吸タイミングを提示することができ、安全かつ継続的に各人にあった呼吸統制を行うことが可能となる。
【0157】
また、駐車中においては、第1表示部12を介して、運転者の呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を提示し、第2表示部14を介して、助手席の着座者の呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を提示する。これにより、各人にあった呼吸タイミングを提示して、呼吸統制をすることができる。
【0158】
また、助手席に着座者がいない場合は、運転者は、ナビゲーションシステム13の第2表示部14を介して呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を見ることができ、容易に呼吸タイミングを確認することができる。
【0159】
また、第3表示部15と第4表示部16とに画像が表示されている場合は、左後部座席と右後部座席に設けられた第3加圧器28Cと第4加圧器28Dのそれぞれの空気袋281~286の膨張、収縮による触覚刺激により、左後部座席と右後部座席のそれぞれの着座者に呼吸タイミングを提示することができ、各人にあった呼吸統制を行うことが可能となる。
【0160】
また、第3表示部15と第4表示部16とに別アプリケーションの画像が表示されていない場合は、第3表示部15と第4表示部16とに、右後部座席と左後部座席のそれぞれの着座者の呼吸タイミングを表す視覚詳細情報を提示する。これにより、各人にあった呼吸タイミングを提示して呼吸統制をすることができる。
【0161】
また、空気袋281~286が膨張および収縮する第1加圧器28A~第4加圧器28Dによる簡易な構成で、各人にあった呼吸タイミングを着座者への押圧力によって提示することができる。
【0162】
[変形例]
前記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0163】
[変形例1]
例えば、右後部座席と左後部座席の正面に、第3表示部15および第4表示部16が配置されていない場合には、呼吸統制時において、常に第3加圧器28Cと第4加圧器28Dにより呼吸リズムに合わせて触覚刺激を付与するようにしてもよい。これにより、左後部座席と右後部座席の着座者に対して、正面にディスプレイが配置されていない場合も、呼吸統制(呼吸のタイミングの制御)を行うことが可能となる。
【0164】
[変形例2]
また、例えば、呼吸統制時の平均呼吸精度を着座者の識別IDに対応付けて、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶するようにしてもよい。そして、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーは、平均呼吸精度を縦軸に設定し、実施日を横軸に設定して、数回~数十回の呼吸統制時の各平均呼吸精度をプロットした改善推移グラフを作成して、着座者に提示するようにしてもよい。これにより、着座者は呼吸統制による呼吸精度の改善推移を知ることができ、呼吸統制を継続することができる。
【0165】
[変形例3]
また、例えば、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末が、記憶部17の生体情報データベース17Aに記憶された生体情報のデータを取得することができるように構成してもよい。そして、携帯端末が、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを作成して、ディスプレイに表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、車外において、呼吸統制の評価結果を確認することができる。
【0166】
[変形例4]
また、例えば、空気ポンプ31は、各座席シート2A~2Dのそれぞれに設けるようにしてもよい。これにより、空気ポンプの小型化を図ることができる。
【0167】
[変形例5]
また、例えば、第1加圧器28A~第4加圧器28Dに替えて、機械的振動を着座者に付与する振動装置を設けてもよい。そして、ECU11は、呼吸タイミングを振動装置の機械的振動による触覚刺激により着座者に提示するようにしてもよい。
【0168】
[変形例6]
また、例えば、車両100に限らず、飛行機や汽車などの座席に第1加圧器28A~第4加圧器28Dを設けてもよい。これにより、第1加圧器28A~第4加圧器28Dのそれぞれの空気袋281~286の膨張、収縮による触覚刺激により、飛行機や汽車などの座席に着座した着座者に呼吸タイミングを提示することができ、各人にあった呼吸統制を行うことが可能となる。
【0169】
[変形例7]
また、例えば、ECU11は、第1心拍用圧電シート25A~第4心拍用圧電シート25Dから入力された着座者の心弾動の信号から、各座席シート2A~2Dの着座者の呼吸性洞性不整脈成分(RSA)などの生体情報を取得する。そして、ECU11は、心拍周波数の増減から各座席シート2A~2Dの着座者の呼吸波形を算出するようにしてもよい。これにより、第1呼吸用圧電シート26A~第4呼吸用圧電シート26Dを削減することが可能となる。
【0170】
[変形例8]
また、例えば、ECU11は、第1心拍用圧電シート25A~第4心拍用圧電シート25Dから入力された着座者の心弾動の信号から、各座席シート2A~2Dの着座者の着座の有無を検出してもよい。これにより、第1着座用圧電シート27A~第4着座用圧電シート27Dを削除することが可能となる。
【0171】
[変形例9]
また、例えば、上記各ステップS24、S37、S43、S56、S66において、ECU11は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、着座者の心拍数、心拍間隔、呼吸性洞性不整脈成分などの生体情報を、着座者を識別する識別IDに対応付けて、車両サービス用のクラウドサーバ等の所定のクラウドサーバに送信するようにしてもよい。そして、所定のクラウドサーバは、通信ネットワークを介して受信した生体情報を、着座者を識別する識別IDに対応付けて、クラウドサーバの記憶部に設けた生体情報データベース17Aに記憶するようにしてもよい。
【0172】
また、上記各ステップS26、S39、S45、S58、S68において、ECU11は、通信ネットワークを介して、所定のクラウドサーバから着座者の生体情報を取得して、呼吸統制時の呼吸精度の評価結果を表すサマリーを表示するようにしてもよい。これにより、車両100に設けられた記憶部17の記憶容量の小型化を図ることができる。
【0173】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0174】
1:車両用呼吸統制システム、2A~2D:座席シート、11:ECU、12:第1表示部、14:第2表示部、15:第3表示部、16:第4表示部、22:シートバック、28A:第1加圧器、28B:第2加圧器、28C:第3加圧器、28D:第4加圧器、31:空気ポンプ、32A:第1供給弁、32B:第2供給弁、32C:第3供給弁、32D:第4供給弁、33A:第1排気弁、33B:第2排気弁、33C:第3排気弁、33D:第4排気弁、111:提示情報指示部、113:触覚情報提示部、114:生体情報取得部、115:着座情報取得部、117:ギア情報取得部、