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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176897
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20241212BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/249
H01M50/209
H01M50/291
H01M10/6556
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095756
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 皓大
(72)【発明者】
【氏名】中山 紳哉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 聡志
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040CC34
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】 十分な強度剛性を有するとともに、バッテリパックの重量増加を抑え、二次電池の搭載効率を向上させることができるバッテリパックを提供する。
【解決手段】 複数の二次電池を積層した積層体と、前記積層体の第1の面に沿って前記積層体の積層方向に延設され、前記複数の二次電池を拘束する拘束部材と、前記積層体の第2の面に沿って前記積層方向に複数配置され、前記積層体を支持する押出材と、を備え、各々の前記押出材は、その押出方向が前記積層方向と交差する方向となるように配置されている、ことを特徴とするバッテリパック。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池を積層した積層体と、
前記積層体の第1の面に沿って前記積層体の積層方向に延設され、前記複数の二次電池を拘束する拘束部材と、
前記積層体の第2の面に沿って前記積層方向に複数配置され、前記積層体を支持する押出材と、を備え、
各々の前記押出材は、その押出方向が前記積層方向と交差する方向となるように配置されている、
ことを特徴とするバッテリパック。
【請求項2】
前記積層体は、前記拘束部材と接合されている、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記積層体は、前記押出材上に載置されている、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記積層体と前記拘束部材は前記積層方向と交差する方向に複数配置されており、
各々の前記拘束部材は対向配置されている、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記押出材は、熱媒体が通る流体通路を備え、前記流体通路が、前記押出方向に延びる、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記バッテリパックは車両に搭載されるものであり、
前記バッテリパックは、前記積層方向と交差する方向が前記車両の前後方向に向くよう配置される、請求項1に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
気候関連災害の観点からCO削減のために、産業機械の電動化が進められており、車両等の用途においても、エネルギ源として二次電池の研究が進められている。このような二次電池(バッテリ)は、積層されて、二次電池群(バッテリモジュール)とされ、バッテリモジュールは、バッテリパック筐体(バッテリパックケース)に搭載されて、バッテリパックとされる。このようなバッテリパックとして、特許文献1は、複数の角形電池を含む電池積層体を備える電池パックを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/151036号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリパックケースは、強度剛性や耐外力性能の確保、車両との結合を目的として、クロスメンバやサイドフレーム等の構造部材を備えており、構造部材が、バッテリパックケースにおける車両前後方向と車両左右方向に対する強度剛性に寄与している。
【0005】
しかし、バッテリパックケースの構造部材はバッテリモジュールの固定や保護を主目的としており、構造部材によって、バッテリパックの強度剛性を担保させようとすると、バッテリパックケースが大きく重くなることがあった。また、バッテリパックケースの構造部材は、二次電池の搭載空間を一部占有しているため、二次電池の搭載効率を向上することが求められていた。
【0006】
本発明の目的は、十分な強度剛性を有するとともに、バッテリパックの重量増加を抑え、二次電池の搭載効率を向上させることができるバッテリパックを提供することにある。そして、延いてはエネルギの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
複数の二次電池を積層した積層体と、
前記積層体の第1の面に沿って前記積層体の積層方向に延設され、前記複数の二次電池を拘束する拘束部材と、
前記積層体の第2の面に沿って前記積層方向に複数配置され、前記積層体を支持する押出材と、を備え、
各々の前記押出材は、その押出方向が前記積層方向と交差する方向となるように配置されている、
ことを特徴とするバッテリパックが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、十分な強度剛性を有するとともに、バッテリパックの重量増加を抑え、二次電池の搭載効率を向上させることができるバッテリパックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るバッテリパックの概略図。
図2】一実施形態に係る複数の二次電池を積層した積層体の概略図。
図3】一実施形態に係る二次電池のA-A線断面の概略図。
図4】一実施形態に係るバッテリモジュールの概略図。
図5】一実施形態に係る複数のバッテリモジュールの概略図。
図6】一実施形態に係る複数のバッテリモジュールの別の概略図。
図7】一実施形態に係るパッテリパックケースに設けられたバッテリモジュールの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<本実施形態に係るバッテリパック>
本実施形態に係るバッテリパックは、複数の二次電池を積層した積層体と、積層体の第1の面に沿って積層体の積層方向に延設され、複数の二次電池を拘束する拘束部材と、積層体の第2の面に沿って積層方向に複数配置され、積層体を支持する押出材と、を備えている。さらに、各々の押出材は、その押出方向が積層方向と交差する方向となるように配置されている。これにより、十分な強度剛性を有するとともに、バッテリパックの重量増加を抑え、二次電池の搭載効率を向上させることができる。
【0012】
図1は、一実施形態に係るバッテリパックの概略図である。バッテリパック1000は、例えば図示しないハイブリッド自動車またはEV等の電動車両に搭載されることができる。バッテリパック1000は、二次電池100と、二次電池100を拘束する拘束部材200と、パッテリパックケース300と、パッテリパックケース300に設けられて二次電池100を支持する押出材310と、二次電池100を覆うパッテリパックカバー500と、を備えている。
【0013】
複数の二次電池100は、積層体110を構成するように積層されている。積層体110は、その第1の面に沿って積層方向に延設された拘束部材200により拘束されている。積層体110と、拘束部材200とによって、バッテリモジュール400が形成されている。複数のバッテリモジュール400は、積層体110の積層方向と交差する方向に積層されている。
【0014】
図1では、複数のバッテリモジュール400は、パッテリパックケース300およびパッテリパックカバー500と離れて図示されているが、複数のバッテリモジュール400は、パッテリパックケース300に設けられた押出材310に支持され、パッテリパックカバー500によって覆われ、バッテリパック1000が形成される。また、押出材310は、パッテリパックケース300に複数設けられており、その押出方向が積層体110の積層方向と交差する方向となるように配置されている。以下、パッテリパック1000の各構成について順次説明する。
【0015】
(二次電池)
図2は、一実施形態に係る複数の二次電池を積層した積層体の概略図である。図3は、一実施形態に係る二次電池のA-A線断面の概略図である。二次電池100は、図3に示す二次電池の構成が外装体内に配置されたものであり、図2に示すように、二次電池100の外観形状は略直方体である。
【0016】
図2に示すように、複数の二次電池100は、二次電池100の構成要素120の厚み方向(Z方向)に積層されて、積層体110(バッテリ群)を形成する。また、二次電池100は立位姿勢に配置された状態で、絶縁性を有するセパレータ(不図示)と交互にZ方向に積層され得る。積層体110は、直方体形状の二次電池100をZ方向に積層されたものであり、その外観形状は全体として直方体形状である。
【0017】
積層体110における二次電池100の個数は、特に限定されるものでなく、一実施形態において、5個以上、別の実施形態において、10個以上、さらに別の実施形態において、20個以上、さらに別の実施形態において、40個以上とすることができ、一実施形態において、100個以下、別の実施形態において、90個以下、さらに別の実施形態において、80個以下、さらに別の実施形態において、60個以下とすることができる。
【0018】
積層体110は、二次電池100の長手方向(X方向)からみた第1の面111a(YZ面)と、二次電池100の幅方向(Y方向)からみた第2の面112a(XZ面)と、二次電池100の構成要素120の厚み方向(Z方向)からみた第3の面113a(XY面)と、を有する。なお、積層体110は、第1の面111a、第2の面112a、および第3の面113aと対向する第1の面111b、第2の面112b、および第3の面113bも備えており、それぞれの対向面と同等の形状および寸法を有している。
【0019】
図3に示す二次電池100の構成要素120において、X方向はリード端子の延出方向を、Y方向はリード端子の延出方向と直交する方向を、Z方向は二次電池100の構成要素120の積層方向をそれぞれ示しており、X方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する。
【0020】
二次電池の構成は、二次電池の構成要素120と、リード端子130と、集電端子140と、構成要素120を包む外装体150と、を含み、組電池に適した電池セルの形態を有している。構成要素120は、全体として直方体形状を有しており、また、図3に示すように、二層の正極層121a、121bと、二層の負極層124a、124bを含んで正極層と負極層とが二層の構造を有している。しかし、構成要素120として正極層と負極層とは一層であっても、三層以上であってもよい。正極層121aと負極層124aとの間、正極層121bと負極層124bとの間との間には、それぞれ固体電解質層127が設けられている。
【0021】
正極層121a、121bは、それぞれ正極活物質層122を含み、また、二つの正極層121a、121bとで共通の正極集電体123を有しいている。正極集電体123は構成要素120のZ方向の中央に層状に配置されており、その表裏に各正極活物質層が積層されている。
【0022】
負極層124a、124bは、正極層121a、121bに対してZ方向で一方の方向の外側と、他方の方向の外側とに配置されており、正極層121a、121bを負極層124a、124bが挟むようにしてこれらが積層されている。しかし、本実施形態の構成とは逆に二層の正極層が二層の負極層を挟むようにしてこれらが積層される構成も採用可能である。負極層124a、124bは、それぞれ負極活物質層125と負極集電体126とを含む。二つの負極集電体126は、構成要素120の最外層にそれぞれ層状に形成されている。
【0023】
正極活物質層122を構成する活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸金属リチウム等が挙げられる。また、負極活物質層125を構成する活物質としては、例えば、リチウム系材料やシリコン系材料等を挙げることができる。リチウム系材料としては、Li金属、Li合金等を挙げることができる。シリコン系材料としては、Si、SiO等を挙げることができる。負極活物質層125を構成する活物質としては、この他にも、グラファイト、ソフトカーボンおよびハードカーボン等の炭素材料や、スズ系材料(Sn、SnO等)、チタン酸リチウム等を挙げることができる。
【0024】
電解質層127は、例えば、イオン導電性を有する固体状、ゲル状、または液体状の電解質を含み、その物質としては硫化物系固体電解質材料、酸化物系固体電解質材料、窒化物系固体電解質材料、ハロゲン化物系固体電解質材料、リチウム含有塩やリチウムイオン伝導性のイオン液体を含むゲル状材料等を挙げることができる。正極集電体123および負極集電体126は、例えば、アルミニウム、銅、SUS等の金属箔、金属シートまたは金属板からなる。正極活物質層122、負極活物質層125、電解質層127は、これらを構成する物質の粒子を、有機高分子化合物系のバインダで結合して形成されてもよい。一実施形態において、二次電池100は全固体電池としてもよい。
【0025】
リード端子130a、130bは、充電器または電気負荷に接続することで構成要素120の充電または放電を行うものである。リード端子130a、130bの一端部は外装体150の外部に、他端部は外装体150の内部にそれぞれ位置している。
【0026】
リード端子130a、130bの他端部は、外装体150の内部において、集電端子140aを介して正極集電体123に接続されており、リード端子130aは正極用の端子を形成している。リード端子130bおよび集電端子140bは、例えば、導電性を有する金属シートまたは金属板で形成される。一方、リード端子130bの他端部は、外装体150の内部において、集電端子140bを介して負極集電体126に接続されており、リード端子130bは負極用の端子を形成している。リード端子130bおよび集電端子140bは、例えば、導電性を有する金属シートまたは金属板で形成される。
【0027】
リード端子130a、130bの配置は、特に限定されるものでなく、リード端子130a、130bは、二次電池100の長手方向(X方向)の両端に配置されても、二次電池100の幅方向(Y方向)の一端に配置(上部に配置)されてもよい。
【0028】
(バッテリモジュール)
図4は、一実施形態に係るバッテリモジュールの概略図である。バッテリモジュール400は、複数の二次電池100を積層した積層体110と、複数の二次電池100を拘束する拘束部材200と、を含んでいる。バッテリモジュール400の外観形状は直方体形状である。
【0029】
拘束部材
拘束部材200は、積層体110の第1の面111aに沿って積層体110の積層方向(Z方向)に延設されている。一実施形態において、拘束部材200は、積層体110の第1の面111aを全て覆うように積層体110の積層方向(Z方向)に延設されている。また、図4では、積層体110と拘束部材200とが離れて図示されているが、積層体110は拘束部材200に接合されている。これにより、バッテリパックに十分な強度剛性を与えることができ、特に、積層体110の積層方向において、十分な強度剛性を与えることができる。
【0030】
拘束部材200の材料は、バッテリパックに十分な強度剛性を与えることができれば、特に限定されるものでないが、アルミニウム、銅、SUS等の金属シートまたは金属板とすることができる。
【0031】
拘束部材200の形状は、複数の二次電池100を拘束することができれば、特に限定されるものでない。一実施形態において、拘束部材200の厚さ方向(X方向)からみた面が、長方形状、台形状、平行四辺形状等とすることができる。また、拘束部材200の厚さ方向(X方向)からみて、幅方向(Y方向)の長さが、拘束部材200の長手方向(Z方向)に沿って、一定であっても、部分的に異なっていてもよい。また、拘束部材200の厚さ(X方向の長さ)は、拘束部材200の長手方向に沿って、一定であっても、部分的に異なっていてもよい。これにより、複数の二次電池100を十分拘束することができる。
【0032】
拘束部材200の厚さ(X方向の長さ)の下限は、特に限定されるものでないが、最も肉薄の箇所において、一実施形態において、1mm以上、別の実施形態において、2mm以上、さらに別の実施形態において、5mm以上とすることができる。これにより、バッテリパックに十分な強度剛性を与えることができる。また、拘束部材200の厚さの(X方向の長さ)上限は、特に限定されるものでないが、最も肉薄の箇所において、一実施形態において、20mm以下、別の実施形態において、10mm以下、さらに別の実施形態において、7mm以下とすることができる。これにより、二次電池100の搭載可能な空間が増加する。
【0033】
また、拘束部材200の幅方向(Y方向)の一端部または両端部が、積層体110の一部を覆うように、拘束部材200が形成されてもよい。例えば、拘束部材200をZ方向からみた面が、I形状、U形状となるような形状とすることができる。
【0034】
拘束部材200は、積層体110と接合されており、その接合方法は、特に限定されるものでないが、積層体110の第1の面111aと、拘束部材200と、の間に接着剤を充填して接合することが例示される。接着剤は、特に限定されるものでなく、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、およびオレフィン系樹脂が例示される。また、拘束部材200と積層体110との間に、絶縁性を有するセパレータ(不図示)が配置されてもよい。
【0035】
バッテリモジュール群
図5は、一実施形態に係る複数のバッテリモジュールの概略図である。バッテリモジュール400aから400fは、積層体110の第3の面113aに沿って、二次電池100の長手方向(X方向)に複数配置されて、バッテリモジュール群410が形成される。また、図5では、バッテリモジュール群410は、6個のバッテリモジュール400で形成されているが、その個数は特に限定されるものでない。
【0036】
また、バッテリモジュール群410の端に位置するバッテリモジュール400fは、積層体110の第1の面111aおよび111bに沿って、2つの拘束部材200を有し、それらの拘束部材200は対向配置されている。言い換えれば、各々のバッテリモジュール400aから400fは、拘束部材200の長手方向と交差する方向に複数配置されており、各々の拘束部材200は、対向配置されている。これにより、バッテリモジュール400は、拘束部材200と交互にX方向に配置され、各バッテリモジュール400は、拘束部材200に挟まれた状態となる。
【0037】
また、バッテリモジュール400は、隣接するバッテリモジュール400の拘束部材200と接合させることができる。これにより、バッテリモジュール群410は、大きな強度剛性を発揮できる大型バッテリモジュールともいえる。また、接合方法は、特に限定されるものでなく、バッテリモジュール400の積層体110の第1の面111bと、隣接するバッテリモジュール400の拘束部材200と、の間に接着剤を充填して接合することが例示される。接着剤は、上記のものを使用することができる。
【0038】
このように、バッテリモジュール400が拘束部材200により接合されているため、本実施形態に係るバッテリパック1000は、バッテリモジュール400の固定や保護を主目的として設けられる、バッテリパックケース300のクロスメンバ等の構造部材を不要とすることができる。言い換えれば、本実施形態に係るバッテリパック1000は、バッテリパックケース300のクロスメンバ等の構造部材が担っていた、バッテリパックケース300の強度剛性や耐外力性能の確保と、二次電池100の保持構造とが、拘束部材200に集約されたものとなっている。これにより、バッテリモジュール400は、十分な強度剛性を有するとともに、バッテリパックケース300の軽量化が可能となり、かつ、二次電池100を設置する空間が増加するため二次電池100の搭載効率が向上する。
【0039】
エンドプレート
図6は、一実施形態に係る複数のバッテリモジュールの別の概略図である。バッテリモジュール群410は、積層体110の第3の面113a、113bに沿って、複数のバッテリモジュール400の配置方向(X方向)に延設された、エンドプレート600a、600bを有することができる。言い換えれば、エンドプレート600a、600bの長手方向は、拘束部材200の長手方向と交差する方向となる。これにより、バッテリパックに十分な強度剛性をさらに与えることができる。
【0040】
図6では、積層体110および拘束部材200と、エンドプレート600a、600bと、が離れて図示されているが、積層体110および拘束部材200はエンドプレート600a、600bに結合されている。その結合方法は、特に限定されるものでなく、公知の技術を適宜用いることができる。
【0041】
また、図6では、エンドプレート600a、600bは、積層体110の第3の面113aおよび113bのそれぞれに1枚設けられているが、エンドプレート600a、600bは、積層体110の第3の面113aおよび113bのそれぞれに複数片設けられてもよい。例えば、エンドプレート600a、600bは、長手方向(X方向)において、隣接するバッテリモジュール400を連結するような長さとしても、積層体110の第3の面113aおよび113bのそれぞれに複数片設けられてもよい。これにより、バッテリモジュール群410の組み立てが容易となる。
【0042】
エンドプレート600a、600bは、の材料は、バッテリパックに十分な強度剛性を与えることができれば、特に限定されるものでないが、アルミニウム、銅、SUS等の金属シートまたは金属板とすることができる。
【0043】
一実施形態において、エンドプレート600a、600bには、バッテリモジュール400をパッテリパックケース300に固定するための締結ボルトが貫通可能な孔が形成されている。パッテリパックケース300には、一対の締結ボルが螺合する一対の雌ねじ部が形成されている。
【0044】
(押出材)
図7は、一実施形態に係るパッテリパックケースに設けられたバッテリモジュールの概略図である。図7では、押出材310と積層体110との配置関係、および押出材310の構造の理解を容易にするために、バッテリモジュール400の一部が取り除かれたものが図示されている。つまり、バッテリモジュール400は、パッテリパックケース300の底面の略全面を覆うように配置され得る。
【0045】
バッテリモジュール400は、パッテリパックケース300に設けられた押出材310に、積層体310が支持されるよう設けられる。一実施形態において、バッテリモジュール400は、積層体110が押出材310上に載置されるように設けられ得る。また、バッテリモジュール400は、全ての積層体110が押出材310上に載置されるように設けられても、積層体110の一部が押出材310上に載置されるように設けられてもよい。
【0046】
押出材310は、積層体110の第2の面112bに沿って積層方向に複数配置されている。押出材310の個数は、バッテリパックの寸法、および強度剛性等により決めることができ、特に限定されるものでないが、一実施形態において、2個以上、別の実施形態において、4個以上、さらに別の実施形態において、6個以上、さらに別の実施形態において、8個以上とすることができ、一実施形態において、20個以下、別の実施形態において、18個以下、さらに別の実施形態において、16個以下、さらに別の実施形態において、14個以下とすることができる。また、押出材310は、トレー型のパッテリパックケース300の底面上に設けられても、トレー型のパッテリパックケース300の底面を構成するようもうけられてもよい。
【0047】
本実施形態に係る押出材310は、押出加工することによって得られるものである。押出材310は、その長手方向が押出方向(X方向)と略一致しているものである。押出材は、その押出方向の曲げ剛性が押出方向に対して直角方向の曲げ剛性より高くなりやすい。本実施形態において、各々の押出材310は、その押出方向が積層体110の積層方向と交差する方向となるように配置されている。一実施形態において、各々の押出材310は、その押出方向が積層体110の積層方向と直交する方向となるように配置され得る。
【0048】
上述したように、拘束部材200が積層体110の積層方向(Z方向)に延設されて接合されており、積層体110の積層方向に対して、バッテリパックに十分な強度剛性を与えることができ、一方、押出材310がその押出方向が積層体110の積層方向(Z方向)と交差する方向(X方向)となるように配置されおり、積層体110の積層方向と交差する方向に対して、バッテリパックに十分な強度剛性を与えることができる。
【0049】
このように、本実施形態に係るバッテリパック1000は、バッテリモジュール400に設けられた拘束部材200に加えて、強度剛性を与えることができる押出材310と、を備えているため、本実施形態に係るバッテリパック1000は、バッテリパックケース300の強度剛性や耐外力性能の確保のためのクロスメンバやサイドフレーム等の構造部材を不要とすることができる。本実施形態に係るバッテリパック1000は、バッテリパックケース300のクロスメンバやサイドフレーム等の構造部材が担っていた、バッテリパックケース300の強度剛性や耐外力性能の確保と、二次電池100の保持構造とを、拘束部材200および押出材310に担わせるものである。これにより、バッテリモジュール400は、十分な強度剛性を有するとともに、バッテリパックケース300の軽量化が可能となり、かつ、二次電池100を設置する空間が増加するため二次電池100の搭載効率が向上する。
【0050】
また、一実施形態において、本実施形態に係るバッテリパック1000は、車両に搭載されることができ、バッテリパック1000は、積層体110の積層方向と交差する方向が車両の前後方向L1に向くよう配置されることができる。つまり、バッテリパック1000は、押出材310の押出方向が車両の前後方向L1と略一致し、積層体110の積層方向(拘束部材200の長手方向)が車両の左右方向L2と略一致するように、配置される。これにより、バッテリパック1000が車両に搭載された場合、異なる二方向においてバッテリパック1000に十分な強度剛性を与えることができる。
【0051】
別の実施形態において、押出材310は、その内部に熱媒体が通る流体通路320を備えることができる。流体通路320は、押出材310の押出方向に沿って延びており、押出材310を押出加工する際に形成されることができる。これにより、バッテリモジュール400を効率的に加温冷却することができる。図7では、1つの押出材310が流体通路320を備えるように図示されているが、流体通路320は、全ての押出材310に設けられても、一部の押出材310に設けられてもよい。
【0052】
図7に示されるように、二次電池100の所定の面(下面)が押出材310に面するように二次電池100が配置されることで、二次電池100の熱を押出材310へ、または押出材310の熱を二次電池200へ移動する。これにより、二次電池100を冷却加温することができる。流体通路320内を通る熱媒体は、加熱または冷却することができれば、特に限定されるものでなく、気体媒体であっても、液体媒体であっても、または、車両走行時の走行風であってもよく、その他の公知の技術を適宜用いることができる。
【0053】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、少なくとも以下のバッテリパックを開示する。
【0054】
1.上記実施形態のバッテリパック(1000)は、
複数の二次電池(100)を積層した積層体(110)と、
前記積層体(110)の第1の面(111a)に沿って前記積層体(110)の積層方向に延設され、前記複数の二次電池(100)を拘束する拘束部材(200)と、
前記積層体(110)の第2の面(112a)に沿って前記積層方向に複数配置され、前記積層体(110)を支持する押出材(310)と、を備え、
各々の前記押出材(310)は、その押出方向が前記積層方向と交差する方向となるように配置されている。
この実施形態によれば、バッテリパックに十分な強度剛性を与えるとともに、バッテリパックの重量増加を抑え、二次電池の搭載効率を向上させることができる。
【0055】
2.上記実施形態では、
前記積層体(110)は、前記拘束部材(200)と接合されている。
この実施形態によれば、バッテリモジュールに十分な強度剛性を与えることができる。
【0056】
3.上記実施形態では、
前記積層体(110)は、前記押出材(310)上に載置されている。
この実施形態によれば、バッテリモジュールに十分な強度剛性を与えるとともに、バッテリパックを効率的に加温冷却することができる。
【0057】
4.上記実施形態では、
前記積層体(110)と前記拘束部材(200)は前記積層方向と交差する方向に複数配置されており、
各々の前記拘束部材(200)は対向配置されている。
この実施形態によれば、バッテリモジュールに十分な強度剛性を与えることができ、バッテリパックの重量増加を抑え、二次電池の搭載効率を向上させることができる。
【0058】
5.上記実施形態では、
前記押出材(310)は、熱媒体が通る流体通路(320)を備え、前記流体通路(320)が、前記押出方向に延びる。
この実施形態によれば、バッテリパックを効率的に加温冷却することができる。
【0059】
6.上記実施形態では、
前記バッテリパック(1000)は車両に搭載されるものであり、
前記バッテリパック(1000)は、前記積層方向と交差する方向が前記車両の前後方向に向くよう配置される。
この実施形態によれば、車両の前後左右方向において、バッテリモジュールに十分な強度剛性を与えることができ。
【0060】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 二次電池、110 積層体、111a、111b 第1の面、112a、112b 第2の面、113a、113b 第3の面、120 構成要素、121a、121b 正極層、122 正極活物質層、123 正極集電体、124a、124b 負極層、125 負極活物質層、126 負極集電体、127 電解質層、130a、130b リード端子、140a、140b 集電端子、150 外装体、200 拘束部材、300 バッテリパックケース、310 押出材、320 流体通路、400、400aから400f バッテリモジュール、410 バッテリモジュール群、500 バッテリパックケース、600a、600b エンドプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7