(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176908
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】液体吐出システム、液体回収容器及び液体回収方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241212BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/17 203
B41J2/175 111
B41J2/175 169
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095778
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大沼 陽平
(72)【発明者】
【氏名】工藤 聖真
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056FA10
2C056JC13
2C056JC27
2C056KB19
2C056KC05
(57)【要約】
【課題】液体収容容器内に残留する液体を排出したうえで、液体吐出装置を廃棄などすることができる液体吐出システム、液体回収方法及び液体回収方法を提供する。
【解決手段】液体吐出システムは、液体を吐出する吐出ヘッドと、吐出ヘッドへ供給する液体を収容可能な液体収容容器18とを備える液体吐出装置と、液体回収容器60とを備える。液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53と、吐出ヘッドに液体を供給する液体供給部と、液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71と、を備える。液体回収容器60は、液体排出部71と接続可能な回収接続部62と、液体排出部71と回収接続部62との接続を通じて液体収容容器18から回収された液体を収容する回収収容部61と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドへ供給する液体を収容可能な液体収容容器とを備える液体吐出装置と、液体回収容器とを備える液体吐出システムであって、
前記液体収容容器は、
液体を収容可能に構成される液体収容部と、
前記液体収容部に液体を注入する液体注入部と、
前記吐出ヘッドに液体を供給する液体供給部と、
前記液体収容部内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部と、
を備え、
前記液体回収容器は、
前記液体排出部と接続可能な回収接続部と、
前記液体排出部と前記回収接続部との接続を通じて前記液体収容容器から回収された液体を収容する回収収容部と、
を備えることを特徴とする液体吐出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出システムにおいて、
前記液体収容容器内の液体の水頭圧により液体が移動することで、前記液体回収容器への液体の回収を行うことを特徴とする液体吐出システム。
【請求項3】
請求項1に記載の液体吐出システムにおいて、
前記液体回収容器の液体回収可能な容積は、前記液体収容容器の液体収容可能な容積全体よりも大きいことを特徴とする液体吐出システム。
【請求項4】
請求項1に記載の液体吐出システムにおいて、
前記回収接続部には、当該回収接続部の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材が設けられていることを特徴とする液体吐出システム。
【請求項5】
請求項1に記載の液体吐出システムにおいて、
前記液体回収容器の内部に、液体保持部材が封入されていることを特徴とする液体吐出システム。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出システムにおいて、
前記回収接続部は、前記液体収容容器の数以下の数で設けられ、前記液体回収容器の内部は、全体として1つの空間として形成されていることを特徴とする液体吐出システム。
【請求項7】
請求項1に記載の液体吐出システムにおいて、
前記回収接続部は、前記液体収容容器の数に合わせて複数形成され、
前記液体回収容器の内部は、前記液体収容容器の数と同じ数の空間が区分けして形成されていることを特徴とする液体吐出システム。
【請求項8】
請求項1~請求項4、請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出システムにおいて、
前記液体回収容器は、前記液体注入部に接続可能な液体再供給部を有することを特徴とする液体吐出システム。
【請求項9】
請求項8に記載の液体吐出システムにおいて、
前記回収接続部が前記液体再供給部を兼ねることを特徴とする液体吐出システム。
【請求項10】
請求項8に記載の液体吐出システムにおいて、
前記液体再供給部は、前記回収接続部とは別に形成されていることを特徴とする液体吐出システム。
【請求項11】
請求項1に記載の液体吐出システムにおける液体回収容器であって、
前記液体収容容器が有する前記液体排出部と接続可能な回収接続部と、
前記液体排出部と接続された前記回収接続部を通じて前記液体収容容器から回収された液体を収容する回収収容部と、
前記回収収容部内と大気とを連通する大気連通部と、
を備えることを特徴とする液体回収容器。
【請求項12】
請求項11に記載の液体回収容器において、
前記回収接続部が前記大気連通部を兼ねていることを特徴とする液体回収容器。
【請求項13】
請求項11に記載の液体回収容器において、
前記回収接続部の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材を備えることを特徴とする液体回収容器。
【請求項14】
請求項1に記載の液体吐出システムにおいて前記液体吐出装置が有する前記液体収容容器内の液体を回収する液体回収方法であって、
前記液体収容容器の前記液体排出部と前記液体回収容器の前記回収接続部とを接続することと、
前記液体収容容器内の液体を前記液体回収容器内へ水頭圧により移動させることで回収することと、
を含む液体回収方法。
【請求項15】
請求項14に記載の液体回収方法であって、
前記液体排出部と前記回収接続部とを接続する前に、前記液体吐出装置から前記液体収容容器を取り外すこと、を含むことを特徴とする液体回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する吐出ヘッドを備える液体吐出装置を含む液体吐出システム、液体回収容器及び液体回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、液体吐出装置の一例として、インク等の液体を用紙等の媒体に向けて吐出する吐出ヘッドを備えるインクジェット式印刷装置が開示されている。
この液体吐出装置は、吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器の一例としてインクタンクを備える。
【0003】
また、インクカートリッジを着脱可能に装着できるカートリッジ式の液体吐出装置も知られている。カートリッジ式の場合、インクがなくなると、インクカートリッジごと交換する。一方、インクタンクのような液体収容容器は、基本的にねじ等の固定部により筐体に固定された状態で組み付けられている。インクがなくなると、ユーザーは、液体収容容器のインク注入流路部にインクボトルを接続することで、インクボトルから液体収容容器内に液体を補充する。
【0004】
ところで、液体吐出装置を廃棄する場合、インクカートリッジ内にインク等の液体が残っていても、カートリッジ式であれば、インクカートリッジを装置から外して廃棄できる。これに対してインクタンク等の液体収容容器の場合、液体収容容器が筐体に固定されたまま、液体吐出装置が廃棄される場合が多い。しかし、液体吐出装置を廃棄するときに、液体収容容器内にインク等の液体が残っていると、廃棄作業において液体吐出装置が傾いたときに、キャップが緩んでいたり外れたりしていると、液体収容容器内から液体が溢れる可能性がある。
【0005】
そのため、タンク式の液体吐出装置を廃棄する場合、ユーザーは、液体収容容器内の液体を回収した後、液体吐出装置を廃棄することが好ましい。これは、液体吐出装置を廃棄する際、液体収容容器内に残されているインク等の液体の処理ができずに、環境汚染の原因となってしまう場合があるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、液体補充式の液体収容容器を備える液体吐出装置においては、液体収容容器が筐体から取り外しにくい構造になっている。具体的には、液体収容容器は、液体吐出装置の筐体を構成する板金等にねじ等の固定部により固定されている。これにより、例えば輸送時の外部衝撃に対しても影響されないよう強く固定されている。そのため、液体収容容器が組み付けられたまま液体吐出装置は廃棄される。このように、従来における液体補充式の液体収容容器においては、液体吐出装置を廃棄する際に、液体収容容器内に残る液体を排出又は回収する構成については配慮されていない。
【0008】
例えば、液体収容容器内の液体を排出又は回収するためには、液体収容容器の液体供給部とチューブ等の供給流路との接続を切り離してその液体供給部から液体を抜き取ったり、液体を補充するための注入口から液体を抜き取ったりする必要がある。これらの液体供給部や注入口は、液体を抜き取ることを考慮した構造になっていないため、抜取り作業中に液体が溢れたり、インク等の液体が手指に付着して汚れたりする可能性がある。具体的には、液体収容容器から吐出ヘッドへインク等の液体を供給する液体供給部は、チューブが圧入されており、簡単に抜き差しすることができない構造となっているため、チューブを液体供給部から外すと液体収容容器内のインクが液体供給部の供給口から外に溢れる恐れがある。よって、液体吐出装置を廃棄する際に、液体収容容器内に残る液体を排出又は回収しやすい液体吐出装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する液体吐出システムは、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドへ供給する液体を収容可能な液体収容容器とを備える液体吐出装置と、液体回収容器とを備える液体吐出システムであって、前記液体収容容器は、液体を収容可能に構成される液体収容部と、前記液体収容部に液体を注入する液体注入部と、前記吐出ヘッドに液体を供給する液体供給部と、前記液体収容部内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部と、を備え、前記液体回収容器は、前記液体排出部と接続可能な回収接続部と、前記液体排出部と前記回収接続部との接続を通じて前記液体収容容器から回収された液体を収容する回収収容部と、を備える。
【0010】
上記課題を解決する液体回収容器は、前記液体収容容器が有する前記液体排出部と接続可能な回収接続部と、前記液体排出部と接続された前記回収接続部を通じて前記液体収容容器から回収された液体を収容する回収収容部と、前記回収収容部内と大気とを連通する大気連通部と、を備える。
【0011】
上記課題を解決する上記液体吐出システムにおいて前記液体吐出装置が有する前記液体収容容器内の液体を回収する液体回収方法であって、前記液体収容容器の前記液体排出部と前記液体回収容器の前記回収接続部とを接続することと、前記液体収容容器内の液体を前記液体回収容器内へ水頭圧により移動させることで回収することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態における液体吐出装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、液体収容容器に液体を補充するときの液体吐出装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、液体吐出装置の内部構成を示す模式側断面図である。
【
図4】
図4は、収容部から液体収容容器を取り出す様子を示す模式斜視図である。
【
図5】
図5は、複数の液体収容容器が収容された収容部を示す模式正面図である。
【
図6】
図6は、収容部から液体収容容器を取り出す様子を示す模式平面図である。
【
図7】
図7は、液体収容容器を示す模式側断面図である。
【
図8】
図8は、液体収容容器及び吐出ヘッドを示す模式側断面図である。
【
図9】
図9は、液体収容容器を移動させて供給流路との接続を取り外す過程を示す模式側断面図である。
【
図10】
図10は、液体収容容器及び液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図12】
図12は、液体収容容器から液体回収容器に液体を回収する状態を示す模式側断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態において、液体収容容器及び吐出ヘッドを示す模式側断面図である。
【
図14】
図14は、液体収容容器を移動させて供給流路との接続を取り外す過程を示す模式側断面図である。
【
図15】
図15は、液体収容容器及び液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図16】
図16は、液体収容容器から液体回収容器に液体を回収する状態を示す模式側断面図である。
【
図17】
図17は、液体収容容器及び液体回収容器を示す模式正断面図である。
【
図18】
図18は、液体収容容器から液体回収容器に液体を回収する状態を示す模式正断面図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態において、液体収容容器及び液体回収容器を示す模式正断面図である。
【
図20】
図20は、液体収容容器から液体回収容器に液体を回収する状態を示す模式正断面図である。
【
図21】
図21は、液体収容容器及び液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図22】
図22は、液体収容容器から液体回収容器に液体を回収する状態を示す模式側断面図である。
【
図23】
図23は、液体回収容器から液体収容容器に液体を戻す様子を示す模式側断面図である。
【
図24】
図24は、第4実施形態において、液体収容容器及び液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図25】
図25は、液体収容容器から液体回収容器に液体を回収する状態を示す模式側断面図である。
【
図26】
図26は、液体回収容器から液体収容容器に液体を戻す様子を示す模式側断面図である。
【
図27】
図27は、第5実施形態において、液体収容容器及び液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図28】
図28は、液体収容容器から液体回収容器に液体を回収する状態を示す模式側断面図である。
【
図29】
図29は、液体回収容器から液体収容容器に液体を戻す様子を示す模式側断面図である。
【
図30】
図30は、変更例における封止部材を備えた液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図31】
図31は、
図30とは異なる変更例における封止部材を備えた液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図32】
図32は、
図31とは異なる変更例における封止部材を備えた液体回収容器を示す模式側断面図である。
【
図33】
図33は、
図32とは異なる変更例における封止部材を備えた液体回収容器を示す模式側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、液体収容容器を備える液体吐出装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態の液体吐出装置は、例えば、複合機であり、用紙などの媒体にインク等の液体を吐出することにより、媒体に文字や画像等を印刷(記録)する。
【0014】
図1に示すように、液体吐出装置11は、液体を吐出する吐出ヘッド25と、吐出ヘッド25へ供給する液体を収容可能な液体収容容器18とを備える。複合機でもある液体吐出装置11は、装置本体12と、装置本体12の上部に画像読取装置13を備え、全体として略直方体形状を呈している。
【0015】
図1では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして、重力方向を鉛直方向Zとし、水平面に沿う2つの方向を幅方向X及び搬送方向Yとして図示する。すなわち、幅方向X、搬送方向Y、及び鉛直方向Zは、相互に交差(好ましくは直交)する。搬送方向Yは、後述する吐出ヘッド25と対向する印刷位置で媒体Mが搬送される方向である。また、搬送方向Yにおける一端側を前側、一端側とは反対の他端側を後側といい、前側から見た幅方向Xの一端側を右側、他端側を左側ということもある。
【0016】
<液体吐出装置11の構成>
図1に示すように、液体吐出装置11の前面には、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、各種の操作を行うためのボタンなどの操作部15と、メニューや動作状態などの各種の情報を表示する表示部16とを有する。さらに、操作パネル17の右側には、収容部19が設けられている。収容部19には、少なくとも1つの液体収容容器18が収容されている。本実施形態の収容部19には、複数(本実施形態では5つ)の液体収容容器18が収容されている。収容部19は、筐体20の一部を構成する。換言すると、筐体20は、複数の液体収容容器18を収容可能な収容部19を備える。液体収容容器18は、例えば、インクタンク式である。
【0017】
収容部19は、上方に向かって開放された略箱状の収容部本体19Aと、カバー32とを備える。カバー32は、収容部本体19Aの上方開口を開閉可能な状態で覆う。収容部本体19Aは、前側に位置し少なくとも1つ(本実施形態では5つ)の視認用の窓部21を有する扉体19Bと、左右一対の側板19C,19Dとを備える。窓部21は、各液体収容容器18ごとに設けられている。窓部21には、液体収容容器18が前面に有する視認面22が露出する。ユーザーは、窓部21に露出する視認面22を通じて液体収容容器18内の液体の残量を視認する。本実施形態では、収容部本体19Aの前板部を構成する、窓部21を有する板状の部分である扉体19Bが着脱可能に構成される。
【0018】
図1に示すように、収容部19に収容される複数の液体収容容器18は、収容可能なインクの量が異なる第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bとを含み、幅方向Xに一列に並んで配置されている。
図1に示す例では、1つの第1液体収容容器18Aと、4つの第2液体収容容器18Bとがある。1つの第1液体収容容器18Aは、第2液体収容容器18Bよりも容量が大きく、例えば、ブラックのインクを収容する。4つの第2液体収容容器18Bは、例えば、互いの色が異なるカラーのインクを収容する。複数の液体収容容器18は、異なる種類の液体として、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどのインク色のインクを収容する。液体は、顔料インクでもよいし、染料インクでもよい。また、液体は、コーティング液等でもよい。
【0019】
第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bは、容量が異なることに起因して幅寸法が異なる以外は基本的な構成は同じである。このため、第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bとを特に区別しない場合は、単に、「液体収容容器18」と記す。
【0020】
また、液体吐出装置11は、筐体20内に、媒体Mにインク等の液体を付着させて印刷する印刷部23と、液体収容容器18内の液体を印刷部23に供給するチューブ等からなる供給流路24とを備える。本実施形態の印刷部23は、吐出ヘッド25と、吐出ヘッド25を保持して幅方向X(走査方向)に沿って往復移動可能なキャリッジ26とを備える。印刷部23は、移動する吐出ヘッド25から媒体Mに向かって液体を吐出することで、媒体Mに印刷する。
【0021】
本実施形態の液体吐出装置11は、吐出ヘッド25に液体を供給する複数の液体収容容器18を備える。複数の液体収容容器18は、吐出ヘッド25へ供給する液体を収容可能に構成される。液体吐出装置11は、吐出ヘッド25及び複数の液体収容容器18を収容する筐体20を備える。さらに、複数の液体収容容器18を筐体20に対して固定する固定部42を備える。すなわち、複数の液体収容容器18は、筐体20に対して固定部42を介して固定されている。
【0022】
液体吐出装置11は、筐体20内に、印刷部23を移動(走査)させる走査機構27を備える。走査機構27は、キャリッジ26を幅方向Xに移動可能に案内するガイド軸28、駆動源であるキャリッジモーター29、一対のプーリー30、及び一対のプーリー30に巻き掛けられた無端状のタイミングベルト31等を有する。一対のプーリー30のうち一方は、キャリッジモーター29の出力軸に固定されている。キャリッジモーター29が正転駆動すると、印刷部23は+X方向に往動し、キャリッジモーター29が逆転駆動すると、印刷部23は-X方向に復動する。
【0023】
筐体20内には、液体収容容器18、供給流路24、吐出ヘッド25、キャリッジ26及び走査機構27などが収容されている。供給流路24は、液体収容容器18と個別に対応して複数設けられている。すなわち、複数の液体収容容器18は、それぞれ異なる色の液体を複数本の供給流路24を通じて印刷部23に供給する。
【0024】
図2に示すように、画像読取装置13は、ヒンジ等の回動機構13Aを介して液体吐出装置11に対して、
図1に示す閉位置と、
図2に示す開位置との間で開閉可能に構成される。画像読取装置13を開位置に位置させると、カバー32及び液体収容容器18(
図1参照)に取り付けられたキャップレバー33が開閉可能となる。液体収容容器18にインク等の液体を補給する場合、
図2に示すように、画像読取装置13、カバー32、及びキャップレバー33を開位置に位置させる。液体ボトル34を供給口が下向きになる逆さの姿勢でその供給口を液体収容容器18の液体注入口に接続する。なお、カバー32は、画像読取装置13が開状態のときに開閉操作が可能に構成されるが、閉状態でも、単独で開閉操作が可能な構成でもよい。
【0025】
<液体吐出装置11の内部構成>
次に、
図3を参照して、液体吐出装置11の内部構成について説明する。
図3に示すように、吐出ヘッド25は、ノズル25Nが開口するノズル形成面25Aを備える。
図3に示す例では、ノズル形成面25Aには複数のノズル25Nが開口する。吐出ヘッド25は、複数のノズル25Nから液体を吐出可能に構成される。ノズル25Nは、例えば、吐出する液体の種類(例えば色)ごとに複数ずつ設けられてもよい。
【0026】
液体吐出装置11は、吐出ヘッド25をメンテナンスするメンテナンス装置35と、液体収容容器18から吐出ヘッド25へ液体を供給する液体供給装置36とを備える。メンテナンス装置35は、待機位置にある吐出ヘッド25に対して昇降可能なキャップ37と、キャップ37に接続された排出チューブ38とを備える。キャップ37は、吐出ヘッド25から離間した
図3に示す退避位置と、吐出ヘッド25のノズル形成面25Aに接触するキャッピング位置(図示略)との間で移動可能に構成される。キャップ37は、メンテナンスのためにノズル25Nから吐出又は排出される液体を受容可能である。
【0027】
キャップ37は、キャッピング位置にあるときにノズル形成面25Aとの間にノズル25Nと連通する閉空間を形成する。メンテナンス装置35は、排出チューブ38の途中に介在する吸引ポンプ39を備える。メンテナンス装置35は、吐出ヘッド25をキャッピングした状態で吸引ポンプ39を駆動し、キャップ37とノズル形成面25Aとにより囲み形成された閉空間を減圧する。この減圧によって、吐出ヘッド25のノズル25Nから液体と一緒に気泡等の異物が吸引排出される。このクリーニングによりノズル25Nから排出された液体は、キャップ37及び排出チューブ38を通じて廃液収容部40に回収される。
【0028】
図3に示すように、液体供給装置36は、複数の液体収容容器18に対応して複数設けられているが、
図3では1つの液体収容容器18を含む1つの液体供給装置36を示している。複数の液体供給装置36は基本的に同じ構成であるため、以下では1つの液体供給装置36の構成について説明する。
【0029】
図3に示すように、液体供給装置36は、液体収容容器18と、液体収容容器18内の液体を吐出ヘッド25へ供給する供給流路24とを備える。供給流路24は、弾性変形可能なチューブでもよいし、硬質の樹脂材料からなる流路形成部材の内部に形成されるものでもよい。また、供給流路24は、溝が形成された流路形成部材にフィルムを貼り付けることで形成される部分を含んでもよい。
【0030】
供給流路24の上流端部(一端部)は、液体収容容器18に接続されている。供給流路24の下流端部(他端部)は、キャリッジ26が有する液体流路41の上流端部に接続されている。液体収容容器18内の液体は、供給流路24及び液体流路41を通じて吐出ヘッド25に送られる。
【0031】
液体収容容器18は、容器本体50を備える。容器本体50は、合成樹脂によりなるケースで構成される。また、容器本体50を構成するケースは、透明もしくは半透明の樹脂製である。そのため、容器本体50の前面の視認面22を通して、液体収容室55に収容された液体の液面レベルを外部から視認可能である。液体収容容器18は、固定部42により液体吐出装置11に固定されている。固定部42は、例えば、筐体20を構成するフレームに対して液体収容容器18を直接又は取付部材(図示略)を介して固定するねじ43等により構成される。なお、容器本体50は、1つの面に凹設された収容室用凹部を有する収容ケースの一面にフィルムが固着されることで、フィルムと収容室用凹部とによって液体収容室55が囲み形成された構成でもよい。
【0032】
図3に示すように、液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53と、吐出ヘッド25に液体を供給する液体供給部52とを備える。さらに、液体収容容器18は、液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71を備える。
【0033】
液体供給部52は、吐出ヘッド25に液体を供給する供給流路24の一端部が直接又は間接的に接続される部分である。液体供給部52は、液体収容部51内の液体を供給する。本実施形態の液体供給部52は、吐出ヘッド25に液体を供給する供給流路24の一端部が直接接続される部分である。本実施形態は、液体供給部52が液体排出部71を兼ねる構成である。供給流路24の上流側の一端部には、連結部45が固定されている。液体供給部52は、連結部45との連結を介して供給流路24と接続される。
【0034】
図3に示すように、液体収容容器18の少なくとも一部が、吐出ヘッド25よりも下方に位置する。すなわち、吐出ヘッド25は、鉛直方向Zにおいて液体収容容器18内の液面LPよりも上方に位置する。詳しくは、ノズル25Nの開口が、液体収容容器18内の液面LPが最大高さにあるときの位置よりも上方に位置する。なお、吐出ヘッド25及び液体収容容器18の鉛直方向Zにおける位置関係は、ノズル25N内に液体のメニスカスが形成され、ノズル25Nから液体が垂れない限りにおいて任意に設定できる。
【0035】
図3に示す液体吐出装置11は、全体の動作を制御する制御部100を備える。制御部100は、キャリッジ26を往復移動させるキャリッジモーター29、媒体Mを搬送する搬送部(図示略)、吐出ヘッド25の吐出動作、及びメンテナンス装置35のクリーニング動作などを制御する。
【0036】
図4に示すように、収容部19内には、固定部42による筐体20に対する液体収容容器18の固定が解除された状態において、液体収容容器18を筐体20から個別に分離可能に構成される分離機構47が設けられている。分離機構47は、供給流路24の一端部から液体供給部52を切り離し可能な方向である第1方向Aに、液体収容容器18を筐体20から個別に分離可能である。
【0037】
分離機構47は、筐体20の底板20Aの少なくとも一部を構成する載置部48を備える。載置部48の上面は、複数の液体収容容器18が切り離し方向である第1方向と交差する方向である第2方向Bに並んだ状態で載置される載置面である。載置部48の載置面には、液体収容容器18の幅寸法よりも若干大きな幅寸法で第1方向Aに延びる案内部48Aが設けられている。
図4に示す例では、案内部48Aは、載置部48の上面に凹設されたスライド溝である。スライド溝は、第1方向Aに沿って延びる案内溝である。案内溝は、少なくとも第1方向A側で貫通する溝である。なお、案内部48Aは、スライド溝のような案内溝に限定されず、液体収容容器18の底面に凹設されたレール溝と係合して液体収容容器18を第1方向Aに案内可能なレールでもよい。
【0038】
固定部42は、ねじ43と規制部材44とにより構成される。固定部42は、液体収容容器18の第1方向Aへの移動を規制する状態で載置部48の前面に固定されている。なお、固定部42は、規制部材44を介した係止により液体収容容器18を載置部48に対して固定する構成でもよい。
【0039】
収容部19は、扉体19Bを有する。扉体19Bは、筐体20に対して複数の液体収容容器18の第1方向A側を覆う遮蔽位置と第1方向A側を覆わない開放位置とに移動可能に構成される。扉体19Bは、液体収容容器18内の液体の残量を視認可能な窓部21を有する。
【0040】
扉体19Bが開放位置にある状態で、ユーザーは、液体収容容器18を、収容部19から第1方向Aに引き出すことが可能である。分離機構47は、液体収容容器18を個別に第1方向Aに移動可能に案内する案内部48Aを有する。ユーザーは、案内部48Aによって液体収容容器18を個別に第1方向Aに移動させることが可能である。ユーザーによる液体収容容器18の第1方向Aへの移動により、液体供給部52が供給流路24の一端部から切り離される。すなわち、液体供給部52と連結部45の接続口45Aとの接続が切り離される。
【0041】
<液体収容容器18の構成>
次に、
図7を参照して、液体収容容器18の構成について説明する。なお、第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bは、容量の違いに起因して幅寸法が異なるものの、基本的構成は同様である。このため、以下では、第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bを特に区別することなく、液体収容容器18として説明する。
【0042】
図7、
図8に示すように、容器本体50は、液体収容室55を有する液体収容部51と、その上側に突設された突状部56とを有する。容器本体50は、外側に突出する管状の部分として、液体供給部52、液体注入部53及び大気連通部54を有する。液体供給部52、液体注入部53及び大気連通部54は、液体収容室55と連通している。液体収容室55には液体ILが収容される。
【0043】
液体注入部53は、液体収容室55内へのインク等の液体の注入に用いられる。液体注入部53と液体収容室55との間は、液体流路57と空気流路58とを介して接続されている。液体注入部53は、液体流路57と空気流路58との両方に連通している。液体流路57と空気流路58の液体収容室55側の端部(下端)は、最高液面高さに位置している。
【0044】
大気連通部54は、液体収容室55内の液面LPよりも上方の空気エリアを大気に連通させる。容器本体50は、液体収容部51と突状部56とを内部で区画する隔壁部51Cを有する。液体収容室55と大気連通部54との間の連通路は、その一部が細く蛇行した細孔を含む。したがって、液体収容室55は、その内部に貯留された液体の水分が蒸発しにくい状態で大気連通部54と連通している。
【0045】
図8に示すように、液体収容容器18に液体を注入するときは、液体ボトル34を逆さの姿勢で供給部34Aを液体注入部53に接続する。液体注入部53に接続された液体ボトル34内が液体流路57と空気流路58との両方を通じて液体収容室55と連通する。そのため、液体ボトル34内の液体は、液体流路57を通じて液体収容容器18内に注入されつつ、液体収容室55内の空気が空気流路58を通じて液体ボトル34内に送られる。この気液交換によって、液体ボトル34から液体収容室55内への液体の注入が、液面LPが空気流路58の下端に達するまで継続的に行われる。そして、液面LPが空気流路58の下端に達すると、気液交換が行われなくなるので、液体ボトル34から液体収容室55内への液体の注入が停止する。このように、液面LPが最高液面に達すると、液体収容容器18内への液体の注入が停止される。なお、液体ボトル34から液体収容容器18内に液体が注入されるとき、液体収容室55内の空気は大気連通部54から排出される。
【0046】
図7、
図8に示すように、第1実施形態の液体収容容器18では、液体供給部52は、液体排出部71を兼ねる。液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aまたは側面51B下部に配置される。このため、液体排出部71を兼ねる液体供給部52は、液体収容部51の底面51Aまたは側面51Bの下部に配置される。なお、
図7、
図8に示す例では、液体排出部71を兼ねる液体供給部52は、液体収容部51の側面51Bの下部に配置される。
【0047】
ここで、側面51Bの下部とは、例えば、液体収容部51における最高液面高さの半分の高さ以下の部分でもよい。もちろん、液体排出部71が液体収容室55内のなるべく低い高さに位置する方が、液体収容部51内の液面と液体排出部71の排出口との間の水頭圧を利用してより多くの液体を排出できる。しかし、液体収容部51内で残り少なくなった液体は、液体収容容器18を傾けることでも排出できる。そのため、液体収容部51内に液体が半分以上残留している場合、少なくとも一部を水頭圧を利用して排出できる高さに液体排出部71が位置すればよい。
【0048】
図7、
図8に示すように、液体収容室55の底面は、搬送方向Yにおいて視認面22と反対側の位置ほど高さが低くなるように傾斜している。このため、液体収容容器18内の液体は最後まで液体供給部52から外部へ供給されやすい。なお、液体収容室55内に、不図示の複数のリブにより互いに連通する複数の区画室に区画されてもよい。この場合、例えば、液体吐出装置11の運搬時に、液体収容室55内の液体の揺れなどが抑制され、揺れなどに起因する泡立ちなどによる液体への空気(気泡)の混入等が抑制される。
【0049】
液体供給部52が連結部45と連結(接続)されることで、液体供給部52は連結部45の接続口45Aと接続される。液体収容容器18は、液体供給部52が液体を供給する流路を開閉可能な第1弁59を備える。換言すれば、液体供給部52が液体排出部71を兼ねる第1実施形態においては、液体排出部71が、液体を排出する流路を開閉可能な第2弁72を有する。ここで、液体供給部52は、液体収容容器18内の液体を吐出ヘッド25へ供給するための排出口を有する部分である。一方、液体排出部71は、液体吐出装置11を廃棄などする際に、液体収容容器18内に残留する液体を外部に排出する排出口を有する部分である。液体供給部52及び液体排出部71は、排出先が吐出ヘッド25か外部かの違いがあるものの、どちらも液体収容容器18内の液体を排出する機能を有する。このため、液体供給部52及び液体排出部71は、1つで兼用することが可能である。
【0050】
第1弁59は、液体供給部52が供給流路24の上流端部に固定された連結部45と接続されていない
図7に示す非接続状態では、閉弁状態にある。一方、第1弁59は、液体供給部52が供給流路24の連結部45と接続されている
図8に示す接続状態では、開弁状態にある。第1弁59は、液体供給部52と連結部45との接続の有無に応じて開閉が自動的に切り換わる構成である。
【0051】
第1弁59は、例えば、次に示す構造でもよい。第1弁59は、液体供給部52の軸線方向に進退可能な状態で不図示の付勢部材により外側へ進出する方向に付勢された弁体と、その付勢された弁体が当接する弁座(いずれも図示略)とを有する。例えば、液体供給部52に連結部45が接続されると、液体供給部52の奥方の弁体が連結部45から受ける力により弁座から離れることにより、第1弁59は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体供給部52から連結部45が取り外されると、付勢部材の付勢力により弁体が弁座に当たることで、第1弁59は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。このため、液体供給部52に対する連結部45の着脱を液体の漏れを抑えつつ行うことが可能である。
【0052】
また、液体吐出装置11を廃棄などする際、第1弁59は、第2弁72としても機能する。第2弁72は、液体収容容器18内の液体を吐出ヘッド25以外の外部に排出するときに液体排出部71の排出流路を開閉する機能を有する。第2弁72は、例えば、次に示す構造でもよい。第2弁72は、その軸線方向に進退可能な状態で外側へ進出する方向へ不図示の付勢部材により付勢されている弁体と、その付勢された弁体が当接する弁座とを有する。例えば、液体排出部71に、後述する液体回収容器60の回収接続部62が接続されると、弁体が回収接続部62から受ける力により弁座から離れることにより、第2弁72は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体排出部71から回収接続部62が取り外されると、付勢部材の付勢力により弁体が弁座に当たることで、第2弁72は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。このため、液体排出部71に対する回収接続部62の着脱を液体の漏れを抑えつつ行うことが可能である。
【0053】
<液体吐出システムの構成について>
本実施形態では、液体吐出装置11と液体回収容器60(以下、単に「回収容器60」ともいう。)とにより、液体吐出システムが構成される。液体吐出装置11と回収容器60は、セットで販売されてもよいし、ユーザーが液体吐出装置11を廃棄する段階で、回収容器60を有料又は無料で入手してもよい。また、液体吐出装置11の筐体20に凹部を設け、凹部に回収容器60が挿着された構成でもよい。凹部の開口はカバーで覆われてもよい。液体吐出装置11を廃棄する際に、カバーを外して凹部から回収容器60を取り出して使用する構成でもよい。
【0054】
図10,
図11に示すように、回収容器60は、液体収容容器18が有する液体排出部71と接続可能な回収接続部62と、液体を収容可能に構成される回収収容部61とを備える。回収収容部61は、液体排出部71と回収接続部62との接続を通じて液体収容容器18から回収された液体を収容可能に構成される。また、回収容器60は、回収収容部61内を大気と連通させる大気連通部64を備える。
【0055】
図11に示すように、回収容器60の側面上部には、1台の液体吐出装置11が有する液体収容容器18の個数と同じ数の回収接続部62が幅方向Xに間隔を空けて設けられている。これらの間隔は、複数の液体収容容器18の幅寸法に対応している。このため、回収容器60に対して複数の液体収容容器18を同時に接続可能である。回収収容部61の上面からは、大気連通部64が上方に向かって突出している。大気連通部64は、回収収容室61Aと連通している。なお、回収容器60内の回収収容室61Aが1室であれば、大気連通部64は複数でも1つでもよい。
【0056】
図10に示す回収容器60には、複数の液体収容容器18のうち供給流路24の一端部から切り離された少なくとも1つの液体収容容器18が接続される。
図11に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とが接続される。液体収容容器18内の液体の水頭圧により液体が移動することで、回収容器60への液体の回収を行う。このように、液体収容容器18内の液体が水頭圧により回収容器60に回収可能に構成される。
【0057】
<液体収容容器18内の液体の回収について>
次に、
図9~
図12を参照して、液体収容容器18内の液体を回収するための構成及び処理について説明する。
【0058】
第1実施例では、液体収容容器18は、液体供給部52と供給流路24との接続方向に沿って液体吐出装置11の筐体20から引き抜き可能に構成される。前述のとおり、収容部19の前面部を構成する扉体19B(
図1参照)が着脱可能であるので、扉体19Bを上方向-Z又は幅方向Xにスライドさせることで取り外した後、
図9に示すように、液体収容容器18を、液体供給部52と連結部45との接続方向である、同図に白抜き矢印で示す第1方向に移動させる。この液体収容容器18の第1方向への移動により、液体供給部52から連結部45が取り外される。このとき、弁59は、開弁状態から閉弁状態に切り換わる。よって、
図9に示すように、液体供給部52が露出しても、液体供給部52から液体が漏れることが抑制される。取り外しされた液体収容容器18内の液体は、例えば、
図10に示す回収容器60に回収される。
【0059】
<回収容器60の構成>
次に、
図10~
図12を参照して、回収容器60の構成について説明する。
図10に示す回収容器60は、例えば、液体吐出装置11の廃棄時にユーザーが用意する。回収容器60は、液体収容容器18の液体排出部71から排出された液体を収容する回収収容部61と、液体排出部71と接続可能に構成される回収接続部62とを備える。回収容器60は、液体排出部71と回収接続部62との接続を通じて液体収容容器18に残留する液体を回収する。回収接続部62は、回収収容部61の上面61B又は側面61C上部に位置している。
図10に示す例では、回収接続部62は、回収収容部61の側面61C上部に位置している。回収収容部61は、回収収容室61Aを備える。
【0060】
回収容器60は、回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材63を備える。封止部材63は、回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止弁63Bであってもよい。封止弁63Bは、回収接続部62が液体を回収する流路を開閉する開閉弁であってもよい。例えば、封止弁63Bは、回収接続部62が液体収容容器18側の液体排出部71と接続されていない
図10に示す非接続状態において、閉弁状態にある。一方、封止弁63Bは、回収接続部62が液体排出部71と接続されている
図12に示す接続状態において、開弁状態にある。このように、封止弁63Bは、液体排出部71と回収接続部62との接続の有無に応じて開閉が自動的に切り換わる構成であってもよい。
【0061】
例えば、液体排出部71が回収接続部62に接続されたときに回収接続部62側に付勢部材の付勢力に抗して変位する弁体があり、この変位した弁体が弁座(いずれも図示略)から離れることによって、封止弁63Bは閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体排出部71が回収接続部62から取り外されると、回収接続部62側の弁体が付勢部材の付勢力により元の位置へ復元して弁座に当たることにより、封止弁63Bは開弁状態から閉弁状態に切り換わる。
【0062】
また、
図10に示すように、回収容器60は、大気連通部64を備える。大気連通部64は、回収収容室61Aと外部とを連通する。大気連通部64は、回収収容室61Aと外部とを、蛇行経路で形成された細孔の部分を含む大気連通路を介して連通する。
【0063】
図12に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とが接続されると、液体収容容器18内の液体が水頭圧により回収容器60へ移動する。すなわち、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とが接続された状態では、液体収容容器18内の液体収容室55の内底面が、回収容器60の回収収容室61A内に最大液量の液体を回収した際の最高液面高さよりも高く位置するように設定されている。ここで、最大液量とは、複数の液体収容容器18の個々に最大収容可能な液量の合計である。
【0064】
また、液体排出部71と回収接続部62とが接続された状態で、液体収容容器18から回収容器60内に流入した液体の体積に応じた量の空気が大気連通部64から排気されることで、液体収容容器18から回収容器60内への液体の流入が継続的に行われる。回収容器60の容積は、液体収容容器18に収容可能な容積全体よりも大きい。このため、回収容器60側で液体が溢れることはない。
【0065】
また、
図10、
図12に示すように、回収容器60は、回収収容部61内に液体を保持可能な液体保持部材65を有してもよい。液体回収容器60の内部に、液体保持部材65が封入されている。液体保持部材65は、液体を吸収することで液体を保持可能な液体吸収部材である。液体保持部材65は、例えば、不織布であってもよいし、スポンジやフォーム状部材等の多孔質材料などであってもよい。液体保持部材65は、液体収容容器18に収容される液体の最大容積に相当する量の液体を保持可能な体積で回収収容室61A内に収容されている。回収容器60は、内部の液体が液体保持部材65に保持されることによって、仮に回収容器60を傾けても液体が漏れないように構成される。なお、本実施形態では、回収容器60と液体吐出装置11とにより、液体吐出システムが構成されてもよい。
【0066】
図11に示すように、回収接続部62は、液体収容容器18の数以下の数で設けられている。また、
図10、
図11に示すように、液体回収容器60の内部は、全体として1つの空間として形成されている。
図11に示す例では、回収容器60には、複数の回収接続部62が設けられている。回収接続部62は、例えば、液体吐出装置11に組み付けられている液体収容容器18の個数と同じ数だけ設けられている。
図10、
図11に示すように、回収容器60において液体を収容可能な容積はV1である。この回収容器60の例では、液体保持部材65が封入されているものの、容積V1の液体を収容可能である。
【0067】
一方、1台の液体吐出装置11が備える複数の液体収容容器18が液体を収容できる液体総容積はV2である。そして、回収容器60の容積V1は、液体総容積V2よりも大きな値に設定されている。
図10に示すように、液体回収容器60の液体回収可能な容積V1は、
図5に示す液体収容容器18の液体収容可能な容積全体である液体総容積V2よりも大きい。回収容器60の液体を収容可能な容積V1は、複数の液体収容容器18の液体を収容できる液量の合計である液体総容積V2よりも大きく設定されている。第1液体収容容器18Aに液体を収容可能な容積V2a、第2液体収容容器18Bに液体を収容可能な容積V2bとする。複数の液体収容容器18に液体を収容できる容積の合計である液体総容積V2は、V2=V2a+4*V2bである。回収容器60の容積V1は、液体総容積V2よりも大きな値に設定されている。このため、仮に、複数の液体収容容器18の全てが満タンの液体が収容されていても、全ての液体を回収容器60に回収可能になっている。
【0068】
<第1実施形態の作用>
次に、第1実施形態の液体収容容器18を備える液体吐出装置11の作用について説明する。液体吐出装置11と回収容器60を含む液体吐出システムの作用を併せて説明する。
【0069】
液体吐出装置11を廃棄するとき、ユーザーは、回収容器60を入手する。回収容器60は、液体吐出装置11の購入時に液体吐出装置11と共に梱包されていてもよいし、液体吐出装置11を廃棄する際にユーザーがメーカー又は販売店等から回収容器60を取り寄せてもよい。なお、回収容器60は、有料でも無料でもよい。また、液体吐出装置11の筐体20の凹部に挿着された回収容器60を、カバーを外して凹部から取り出してもよい。
【0070】
ユーザーは、
図1に示す液体吐出装置11において、
図2に示すように、画像読取装置13及びカバー32を開ける。さらに、ユーザーは、収容部19の前面部を構成する扉体19Bを、例えば、上方にスライドさせることで、筐体20から取り外す。扉体19Bが取り外されることで、収容部19内の液体収容容器18の前方(+Y方向側)が開放される。
【0071】
次に、固定部42の固定を解除する。詳しくは、ねじ43を緩めて規制部材44を取り外す。これにより、液体収容容器18を第1方向(+Y方向)に移動させることが可能になる。
【0072】
次に、複数の液体収容容器18のうち少なくとも1つを載置部48に対して個別に第1方向Aに移動させることで、液体収容容器18を個別に供給流路24の一端から切り離す。
【0073】
図4~
図6、
図9に示すように、ユーザーは、液体収容容器18を載置部48上の案内部48Aに沿ってスライドさせることにより、液体収容容器18を第1方向Aに移動させる。ユーザーは、液体収容容器18を1つずつ個別に第1方向Aに移動させる。
【0074】
第1方向Aは、液体供給部52と供給流路24との接続方向である。特に、本例では、第1方向Aは、液体供給部52と連結部45との接続方向である。第1方向Aは、液体供給部52と、供給流路24又は連結部45との接続方向に対して、例えば0<θ≦20°の範囲で交差する方向であってもよい。こうして、ユーザーが液体収容容器18を第1方向Aに移動させた際に、液体供給部52と、供給流路24又は連結部45との接続が、両者に過度な負荷を与えることなく、取り外すことができる。
【0075】
また、液体収容容器18を1つずつ筐体20から取り外す構成なので、液体収容容器18を第1方向Aに移動させて取り外すときに要する力が小さく済む。つまり、液体収容容器18を取り外すときに要する力は、液体供給部52と連結部45との1つの接続を切り離すのに必要な力に相当する力で済む。なお、2つ以上の複数個の液体収容容器18を同時に第1方向Aに移動させることで、2つ以上の液体収容容器18を同時に供給流路24から切り離してもよい。また、複数の液体収容容器18の全てを同時に第1方向Aに移動させることで、供給流路24から切り離してもよい。
【0076】
液体供給部52から連結部45が取り外されると、第1弁59が開弁状態から閉弁状態に切り換わるので、液体供給部52からインク等の液体が漏れることが抑制される。よって、筐体20内がインク等の液体で汚れることが極力抑えられる。また、液体供給部52から連結部45が取り外された際は、連結部45側に設けられた不図示の弁が開弁状態から閉弁状態に切り換わるので、連結部45からインク等の液体が漏れることも抑制される。
【0077】
ユーザーは、複数の液体収容容器18の全てを供給流路24の一端から切り離してもよいし、視認面22で残量を確認して、液体の排出(回収)が必要と判断した1つ又は複数の液体収容容器18を選択的に取り外してもよい。なお、ここまでの液体収容容器18を取り外すステップが、液体吐出システムにおける液体回収方法において、液体排出部71と回収接続部62とを接続する前に、液体吐出装置11から液体収容容器18を取り外すステップに相当する。
【0078】
次に、筐体20から取り外した液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とを接続する。この接続によって、第2弁72(本実施形態では第1弁59と同一の弁)と封止弁63Bが共に閉弁状態から開弁状態に切り換わる。この接続状態では、液体収容容器18内の液面は、回収容器60内の満タンの液面レベルよりも上方に位置する。なお、ここでの接続するステップが、液体吐出システムにおける液体回収方法において、液体収容容器18の液体排出部71と液体回収容器60の回収接続部62とを接続するステップに相当する。
【0079】
上記の接続の結果、液体収容容器18内の液体は水頭圧により回収容器60へ移動する。液体収容容器18から回収容器60内に流入した液体の体積に応じた量の空気が大気連通部64から排気される。これにより、液体収容容器18から回収容器60内への液体の移動が継続的に行われる。
図10に示す回収容器60の容積V1は、
図5に示す複数(例えば、5つ)の液体収容容器18に収容可能な液量の合計である液体総容積V2よりも大きい。このため、複数の液体収容容器18内の液体の全てを、回収容器60に回収できる。なお、ここでの回収するステップが、液体吐出システムにおける液体回収方法において、液体収容容器18内の液体を回収容器60内へ水頭圧により移動させることで回収するステップに相当する。
【0080】
回収容器60内に回収された液体は、液体保持部材65に吸収される。このため、仮に、液体を回収後に回収容器60を傾けても液体が漏れることはない。ユーザーは、残留した液体を排出した空の液体収容容器18を筐体20に組み付けた後、液体吐出装置11を廃棄する。
【0081】
よって、第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)液体吐出システムは、液体を吐出する吐出ヘッド25と、吐出ヘッド25へ供給する液体を収容可能な液体収容容器18とを備える液体吐出装置11と、液体回収容器60とを備える。液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53と、吐出ヘッド25に液体を供給する液体供給部と、液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71と、を備える。液体回収容器60は、液体排出部71と接続可能な回収接続部62と、液体排出部71と回収接続部62との接続を通じて液体収容容器18から回収された液体を収容する回収収容部61と、を備える。この構成によれば、液体収容容器18内に残留するインク等の液体を、液体収容容器18から液体回収容器60に回収できる。よって、液体吐出装置11の廃棄に伴い液体収容容器18内から漏れた残留液体による液体汚染に起因する環境負荷を抑制できる。
【0082】
(1-2)液体吐出システムにおいて、液体収容容器18内の液体の水頭圧により液体が移動することで、液体回収容器60への液体の回収を行う。この構成によれば、複雑な構成を採用することなく、液体収容容器18内に残留した液体を水頭圧によりスムーズに液体回収容器60に回収できる。
【0083】
(1-3)液体回収容器60の液体回収可能な容積は、液体収容容器18の液体収容可能な容積全体よりも大きい。この構成によれば、1つの液体回収容器60で液体収容容器18内の液体を全て回収できる。
【0084】
(1-4)回収接続部62には、回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材63が設けられている。この構成によれば、回収後の液体が液体回収容器60の外部に漏れることを抑制できる。
【0085】
(1-5)液体回収容器60の内部に、液体保持部材65が封入されている。この構成によれば、液体回収容器60内に回収した液体が外部に飛散するリスクを低減できる。
(1-6)回収接続部62は、液体収容容器18の数以下の数で設けられ、液体回収容器60の内部は、全体として1つの空間として形成されている。この構成によれば、液体収容容器18内の液体を液体回収容器60にまとめて回収できるので、回収後の液体をまとめて廃棄できる。
【0086】
(1-7)液体回収容器60は、液体収容容器18が有する液体排出部71と接続可能な回収接続部62と、液体排出部71と接続された回収接続部62を通じて液体収容容器18から回収された液体を収容する回収収容部61と、回収収容部61内と大気とを連通する大気連通部64と、を備える。この構成によれば、液体収容容器18内に残留するインク等の液体を、液体収容容器18から液体回収容器60にスムーズに回収できる。よって、液体吐出装置11の廃棄に伴い液体収容容器18内から漏れた残留液体による液体汚染に起因する環境負荷を抑制できる。
【0087】
(1-8)液体回収容器60は、回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材63を備える。この構成によれば、回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材63を備えることで、液体を回収した後に液体回収容器60内の液体が排出接続部から漏出することを抑制できる。
【0088】
(1-9)液体吐出システムにおいて液体吐出装置11が有する液体収容容器18内の液体を回収する液体回収方法は、次の2つを備えてもよい。(a)液体収容容器18の液体排出部71と液体回収容器60の回収接続部62とを接続すること。(b)液体収容容器18内の液体を液体回収容器60内へ水頭圧により移動させることで回収すること。
【0089】
この方法によれば、液体収容容器18内に残留したインク等の液体を、液体収容容器18から液体回収容器60に回収できる。よって、液体吐出装置11の廃棄に伴い液体収容容器18内の残留インク等の残留液体が漏れることによる液体汚染に起因する環境負荷を抑制できる。
【0090】
(1-10)液体回収方法は、さらに以下の(c)を含んでもよい。(c)液体排出部71と回収接続部62とを接続する前に、液体吐出装置11から液体収容容器18を取り外すこと。この方法によれば、液体排出部71と回収接続部62とを接続する前に、液体吐出装置11から液体収容容器18を取り外す。よって、液体吐出装置11から液体収容容器18を取り外さずに液体排出部71と回収接続部62とを接続する方法に比べ、液体排出部71と回収接続部62とを接続する作業がし易くなる。
【0091】
(第2実施形態)
次に、
図13~
図18を参照して、第2実施形態の液体吐出システムの一部である、液体収容容器18及び回収容器60の構成について説明する。液体吐出装置11の基本的な構成は、前記第1実施形態と同様である。そのため、以下では、液体吐出装置11の構成については第1実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明は省略し、特に、液体収容容器18及び回収容器60の構成等を中心に説明する。なお、液体収容容器18及び回収容器60についても第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0092】
図13、
図14に示すように、第2実施形態の液体収容容器18は、液体供給部52と液体排出部71とが別である構成である。つまり、液体収容容器18内の液体を外部に排出するための液体排出部71を、液体供給部52とは別に備える例である。
【0093】
図13、
図14に示すように、液体収容容器18の基本的な構成は、前記第1実施形態と同様である。すなわち、
図13、
図14に示すように、液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53とを備える。さらに、液体収容容器18は、吐出ヘッド25に液体を供給する供給流路24の一端部が接続される部分であって、液体収容部51内の液体を供給する液体供給部52と、液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71とを備える。液体供給部52は、液体収容容器18の側面51Bの上部に位置する。液体収容部51の液体収容室55内は、隔壁部51Cから下方に延びる流路形成壁51Dにより、液体が収容される領域と液体を液体供給部52へ導く供給流路とに区画されている。
【0094】
液体供給部52は、供給流路24の上流端部に設けられた連結部45と連結可能に構成される。液体供給部52が連結部45と連結(接続)されることで、液体供給部52は連結部45の接続口46と接続される。液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aまたは側面51B下部に配置される。なお、
図13、
図14に示す例では、液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aに配置される。液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aから下方に突出している。
【0095】
また、液体収容容器18は、液体供給部52の流路を開閉可能な第1弁59を備える。液体収容容器18は、液体排出部71の流路を開閉可能な第2弁72を有する。この第2実施形態では、液体供給部52と液体排出部71とが別々に設けられているので、第1弁59と第2弁72も別々に設けられている。第1弁59の弁構造及び機能と、第2弁72の弁構造及び機能は、前記第1実施形態と同様である。
【0096】
すなわち、第1弁59は、弁体と、弁座と、弁体を弁座に当たる方向に付勢する付勢部材(例えば、ばね)とを有する。例えば、液体供給部52に連結部45が接続されると、液体供給部52の奥方の弁体が連結部45から受ける力により弁座から離れることにより、第1弁59は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体供給部52から連結部45が取り外されると、付勢部材の付勢力により弁体が弁座に当たることで、第1弁59は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。
【0097】
第2弁72は、弁体と、弁座と、弁体を弁座に当たる方向に付勢する付勢部材(例えば、ばね)とを有する。例えば、液体排出部71に、後述する回収容器60の回収接続部62が接続されると、弁体が回収接続部62(
図18参照)から受ける力により弁座から離れる方向へ退避することにより、第2弁72は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体排出部71から回収接続部62が取り外されると、付勢部材の付勢力により弁体が弁座に当たることで、第2弁72は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。
【0098】
次に、
図13、
図14に示すように、液体収容容器18の液体排出部71に着脱可能に取着され、液体排出部71が接続対象と接続されていないときに、液体排出部71を封止するキャップ部材75を有する。
【0099】
図13、
図14に示すように、液体排出部71にキャップ部材75嵌めることで、液体排出部71を封止する。キャップ部材75は、液体排出部71に対して、例えば、嵌合又は螺合により取り付けられる。
【0100】
<液体吐出システムの構成について>
次に、
図15~
図18を参照して、液体収容容器18と回収容器60について説明する。
【0101】
本実施形態では、液体吐出装置11と回収容器60とにより、液体吐出システムが構成される。液体吐出装置11と回収容器60は、セットで販売されてもよいし、ユーザーが液体吐出装置11を廃棄する段階で、回収容器60を有料又は無料で入手してもよい。また、液体吐出装置11の筐体20に凹部を設け、凹部に回収容器60が挿着された構成でもよい。凹部の開口はカバーで覆われてもよい。液体吐出装置11を廃棄する際に、カバーを外して凹部から回収容器60を取り出して使用する構成でもよい。
【0102】
図15、
図16に示すように、回収容器60は、液体を収容可能に構成される回収収容部61と、液体収容容器18が有する液体排出部71と接続可能な回収接続部62と、回収収容部61内を大気と連通させる大気連通部64とを備える。
図16に示すように、液体収容容器18から液体排出部71と回収接続部62との接続を通じて回収された液体は、回収収容部61に収容される。
【0103】
前記第1実施形態と同様に、回収接続部62には、回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材63が設けられている。封止部材63は、回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止弁63Bである。また、第1実施形態と同様に、回収容器60の内部に、液体保持部材65が封入されている。
【0104】
図17に示すように、回収接続部62は、液体収容容器18の数以下の数で設けられている。また、
図15、
図17に示すように、回収容器60の内部は、全体として1つの空間として形成されている。
図17に示す例では、回収容器60には、複数の回収接続部62が設けられている。回収接続部62は、例えば、液体吐出装置11に組み付けられている液体収容容器18の個数と同じ数だけ設けられている。
【0105】
図17に示すように、回収容器60の上面部には、1台の液体吐出装置11が有する液体収容容器18の個数と同じ数の回収接続部62が幅方向Xに間隔を空けて設けられている。これらの間隔は、複数の液体収容容器18の幅寸法に対応している。このため、回収容器60に対して複数の液体収容容器18を同時に接続可能である。回収収容部61の上面からは、大気連通部64が上方に向かって突出している。大気連通部64は、回収収容室61Aと連通している。なお、回収容器60内の回収収容室61Aが1室であれば、大気連通部64は複数でも1つでもよい。
【0106】
図17に示すように、回収容器60の液体回収可能な容積V1は、液体収容容器18の液体収容可能な容積全体である液体総容積V2よりも大きい。回収容器60の液体を収容可能な容積V1は、複数の液体収容容器18の液体を収容できる液量の合計である液体総容積V2よりも大きく設定されている。第1液体収容容器18Aに液体を収容可能な容積V2a、第2液体収容容器18Bに液体を収容可能な容積V2bとする。複数の液体収容容器18に液体を収容できる容積の合計である液体総容積V2は、V2=V2a+4*V2bである。回収容器60の容積V1は、液体総容積V2よりも大きな値に設定されている。なお、
図17等に示す例では、回収容器60に液体保持部材65が封入されているが、回収容器60の液体保持部材65の体積を除いた液体の容積は、液体総容積V2よりも大きな容積V1に設定されている。
【0107】
図17に示すように、筐体20から取り外した液体収容容器18の下側に、回収容器60を配置する。回収接続部62は、管部73よりなる液体排出部71が嵌合可能な凹部66Aを有する筒部66により構成される。そして、
図16、
図18に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とを接続する。すると、第2弁72と封止弁63Bが共に閉弁状態から開弁状態に切り換わる。
【0108】
図18に示す回収容器60には、複数の液体収容容器18のうち供給流路24の一端部から切り離された複数の液体収容容器18がまとめて接続される。
図18に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とが接続される。液体収容容器18内の液体が水頭圧により液体回収容器60に回収可能に構成される。
【0109】
回収容器60には、液体収容容器18内のほぼ全ての液体が溢れることなく回収される。回収容器60内に回収された液体は、液体保持部材65に吸収される。よって、仮に回収容器60を傾けても液体が漏れることはない。そして、ユーザーは、残った液体を回収容器60へ排出した空の液体収容容器18を元の収容部19内に戻す。ユーザーは、液体収容容器18内に残留した液体がない空の状態とした液体吐出装置11を廃棄する。
【0110】
<第2実施形態の作用>
次に、第2実施形態の液体収容容器18を備える液体吐出装置11の作用について説明する。液体吐出装置11と回収容器60を含む液体吐出システムの作用を併せて説明する。
【0111】
液体吐出装置11を廃棄するとき、ユーザーは、回収容器60を入手する。ユーザーは、前記第1実施形態と同様に、液体収容容器18を
図13に白抜き矢印で示す第1方向Aに、例えばスライドにより移動させる。第1方向Aは、液体供給部52と供給流路24との接続方向である。特に、本例では、第1方向Aは、液体供給部52と供給流路24の一端部である連結部45との接続方向である。
【0112】
液体供給部52から連結部45が取り外されても、第1弁59が開弁状態から閉弁状態に切り換わるので、液体供給部52からインク等の液体が漏れることが抑制される。よって、筐体20内がインク等の液体で汚れることが極力抑えられる。なお、液体供給部52から連結部45が取り外された際は、連結部45側に設けられた不図示の弁が開弁状態から閉弁状態に切り換わる。
【0113】
筐体20から液体収容容器18を取り外すと、液体収容容器18の液体排出部71からキャップ部材75を取り外す。次に、
図15、
図17に示すように、液体収容容器18の下側に、回収容器60を配置する。回収容器60は、回収収容室61Aを有する回収収容部61を備える。回収容器60は、回収収容部61の上面61Bに、液体排出部71と接続される部分である回収接続部62を有する。回収接続部62は、筒形状を呈し、その筒内に管状の液体排出部71が嵌まることが可能な凹部66Aを有する。そして、
図16、
図18に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とを接続する。すると、第2弁72と封止弁63Bが共に閉弁状態から開弁状態に切り換わる。液体収容容器18内の液体は水頭圧により回収容器60へ移動する。この液体の回収過程において、液体収容容器18から回収容器60内に流入した液体の体積に応じた量の空気が大気連通部64から排気される。これにより、液体収容容器18から回収容器60内への液体の流入が継続的に行われる。回収容器60には、液体収容容器18内のほぼ全ての液体が溢れることなく回収される。回収容器60内に回収された液体は、液体保持部材65に吸収される。よって、仮に回収容器60を傾けても液体が漏れることはない。そして、ユーザーは、液体収容容器18内に残留した液体を除去した後、液体吐出装置11を廃棄する。
【0114】
以上のように、第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の液体吐出システムにおける液体回収方法で液体収容容器18内の液体の回収が行われる。すなわち、液体回収方法は、3つのステップを含む。1つ目は、液体排出部71と回収接続部62とを接続する前に、液体吐出装置11から液体収容容器18を取り外すステップである。2つ目は、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とを接続するステップである。3つ目は、液体収容容器18内の液体を回収容器60内へ水頭圧により移動させることで回収するステップである。
【0115】
よって、第2実施形態によれば、第1実施形態における前記(1-1)~(1-10)の効果を同様に得ることができる。
(第3実施形態)
次に、
図19~
図23を参照して、第3実施形態の液体収容容器18及び回収容器60の構成について説明する。液体吐出装置11の基本的な構成は、前記第1実施形態と同様である。なお、液体収容容器18及び回収容器60について第2実施形態と共通の構成については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0116】
図19~
図23に示すように、液体収容容器18は、第2実施形態と同様の構成である。本実施形態の回収容器60は、前記第3実施形態と同様に、液体収容容器18から回収した液体を、再び液体収容容器18に戻す機能を備える。液体吐出装置11の廃棄時に液体収容容器18に残留する液体を回収する使用方法の他に、液体吐出装置11の輸送又はメンテナンス等の事情で液体収容容器18内の液体を一時的に排出したい場合に利用可能である。
【0117】
本実施形態の液体回収容器60は、回収収容部61と、回収接続部62と、大気連通部64(
図21参照)とを備える。回収接続部62は、液体収容容器18が有する液体排出部71と接続可能に構成される。回収収容部61は、液体排出部と接続された前記回収接続部を通じて前記液体収容容器から回収された液体を収容する。大気連通部64は、回収収容部61内と大気とを連通する。
【0118】
回収接続部62は、液体収容容器18の数に合わせて複数形成されている。回収容器60の内部は、液体収容容器18の数と同じ数の空間が区分けして形成されている。詳しくは、回収容器60は、第3実施形態と同様に、隔壁部67により複数の回収室68に区画されている。回収容器60の上面61Bには、複数の回収室68のそれぞれと対応する複数の回収接続部62が突設されている。回収接続部62は、凸形状を呈する管状の液体排出部71と嵌合可能な凹部66Aを有する凹形状を呈する筒部66により構成される。
【0119】
回収接続部62には、この回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材63が設けられている。封止部材63は、例えば、回収接続部62の流路を開閉可能な封止弁63Bである。
【0120】
封止弁63Bは、例えば、その軸線方向に進退可能な状態で外側へ進出する方向へ不図示の付勢部材により付勢されている弁体と、その付勢された弁体が当接する弁座とを有する。回収接続部62に液体収容容器18の液体排出部71が接続されると、弁体が液体排出部71から受ける力により弁座から離れることにより、封止弁63Bは閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、回収接続部62から液体排出部71が取り外されると、付勢部材の付勢力により弁体が弁座に当たることで、封止弁63Bは開弁状態から閉弁状態に切り換わる。このため、液体の回収終了後は、回収容器60内の液体の回収接続部62からの漏出を抑制できる。
【0121】
図19に示すように、回収容器60の上面部には、1台の液体吐出装置11が有する液体収容容器18の個数と同じ数の回収接続部62が幅方向Xに間隔を空けて設けられている。これらの間隔は、複数の液体収容容器18の各々の幅寸法に対応している。このため、回収容器60に対して複数の液体収容容器18を同時に接続可能である。
【0122】
また、
図20、
図22に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とを接続する。すると、第2弁72と封止弁63Bが共に閉弁状態から開弁状態に切り換わる。液体収容容器18内の液体は水頭圧により回収容器60へ移動することで回収容器60に回収される。
【0123】
図19、
図21に示すように、本実施形態の回収容器60は、回収収容部61内に回収した液体を再び液体収容容器18へ戻すための液体供給口として液体再供給部81を有する。すなわち、回収容器60は、液体注入部53に接続可能な液体再供給部81を有する。液体再供給部81は、回収収容部61の下部に設けられている。液体再供給部81は、回収接続部62とは別に形成されている。すなわち、
図19、
図21に示すように、回収接続部62が回収収容部61の上部に設けられているのに対して、液体再供給部81は回収収容部61の下部に設けられている。なお、液体再供給部81は、
図19、
図21に示すように、回収収容部61の底面に設けられた構成に限らず、回収収容部61の側面下部に設けられてもよい。
【0124】
図19、
図21に示すように、液体再供給部81は、筒部83により構成される。筒部83は、液体収容容器18側の液体注入部53と嵌合可能な内径寸法に形成されている。詳しくは、液体再供給部81は、凸形状の液体注入部53と嵌合可能な凹形状の筒部83により構成される。筒部83は、液体注入部53の管部に外嵌できる内径寸法の凹部83Aを有する。なお、液体再供給部81と液体注入部53との凹凸の関係は、反対でもよく、例えば、液体再供給部81が凸形状で、液体注入部53が凹形状でもよい。
【0125】
液体再供給部81は、液体再供給部81の流路を開閉可能な弁82を有する。弁82は、例えば、その軸線方向に進退可能な状態で外側へ不図示の付勢部材により付勢されている弁体と、その付勢された弁体が当接する弁座とを有する。液体再供給部81が液体収容容器18の液体注入部53に接続されると、弁体が液体注入部53から受ける力により弁座から離れることにより弁82は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体再供給部81が液体注入部53から取り外されると、付勢部材の付勢力により弁体が弁座に当たることで、弁82は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。このため、回収容器60の液体回収中においても、液体回収後においても、液体を液体収容容器18に戻す過程においても、液体再供給部81からの液体の漏出が抑制される。
【0126】
ここで、
図19に示すように、回収容器60内で区画された複数の回収収容室61Aの液体を収容可能な容積V1a,V1bは、複数の液体収容容器18のそれぞれが液体を収容できる容積V2a,V2bよりも大きく設定されている。第1液体収容容器18Aに収容可能な容積V2a、第2液体収容容器18Bの収容可能な容積V2bとする。回収容器60内の第1回収室68Aの容積V1aは、第1液体収容容器18Aの容積V2aよりも大きな値に設定されている。また、回収容器60内の第2回収室68Bの容積V1bは、第2液体収容容器18Bの容積V2bよりも大きな値に設定されている。なお、液体収容容器18の容積は、空気流路の58の下端に液面が達したときの液量である。回収容器60の容積は、例えば、大気連通部64の連通位置よりも下方で且つ、封止弁63Bの開閉位置よりも若干下方の位置に液面に達したときの液量である。なお、回収容器60の容積V1は、回収された液体が漏れないことを考慮して適宜な値に設定されてもよい。なお、
図19~
図22に示すように、本実施形態では、回収容器60には、液体保持部材65が収容されていない。
【0127】
図21に示すように、回収収容部61の上面61Bからは、大気連通部64が上方に向かって突出している。大気連通部64は、回収室68内における最大液量のときの液面高さよりも上方の位置で回収室68と連通している。
【0128】
図20、
図22に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とが接続される。液体収容容器18内の液体の水頭圧により液体が移動することで、回収容器60へ液体が回収される。本実施形態では、
図20に示すように、複数の液体収容容器18内の液体は、色ごとに複数の回収室68に分けて回収される。なお、
図20では、複数の液体収容容器18の全てを同時に回収容器60に接続する例を示しているが、1つずつ又は全数よりも少ない複数個ずつ液体収容容器18の液体を回収容器60に回収してもよい。
【0129】
こうして、液体回収終了後、液体吐出装置11のメンテナンス又は輸送等が行われる。メンテナンス又は輸送等の終了後、ユーザーは、回収容器60内の液体を液体収容容器18に戻す。
【0130】
図23に示すように、回収容器60の液体再供給部81を液体収容容器18の液体注入部53に接続する。この接続時に、液体注入部53が封止弁63Bの弁体を押すことで、封止弁63Bが閉弁状態から開弁状態へ切り換わる。この結果、回収容器60内の液体が水頭圧によって液体流路57を通って液体収容容器18へ移動する。
【0131】
このとき、液体収容容器18内への液体の流入に伴って液体収容室55内の空気が大気連通部54から外部へ排出される。この結果、回収容器60内の液体が液体収容容器18内へ連続的に移動する。こうして、回収容器60内の液体が液体収容容器18内へ戻される。なお、
図23に示す接続により、回収容器60の液体を液体収容容器18に戻すとき、複数の液体収容容器18の全てを同時に回収容器60に接続してもよいし、1つずつ又は全数よりも少ない複数個ずつの液体収容容器18を回収容器60に接続してもよい。
【0132】
よって、第3実施形態によれば、前記第1実施形態における前記(1-1)~(1-4),(1-7)~(1-10)の効果が同様に得られる他、以下の効果が得られる。
(3-1)回収接続部62は、液体収容容器18の数に合わせて複数形成され、液体回収容器60の内部は、液体収容容器18の数と同じ数の空間が区分けして形成されている。この構成によれば、各液体収容容器18内の液体を、液体回収容器60内の区画された空間内に分けて回収できる。回収後の液体の再補充を考慮し、異なる液体同士の混合を防ぐことができる。
【0133】
(3-2)液体回収容器60は、液体注入部53に接続可能な液体再供給部81を有する。この構成によれば、液体回収容器60に回収した液体の再利用が可能となる。
(3-3)液体再供給部81は、回収接続部62とは別に形成されている。この構成によれば、液体回収容器60に回収された液体を液体収容容器18にスムーズに供給できる。また、例えば、回収接続部62を大気開放口として利用できる場合がある。
【0134】
(第4実施形態)
次に、
図24~
図26を参照して、第4実施形態の回収容器60の構成について説明する。液体吐出装置11の基本的な構成は、前記第1実施形態と同様である。液体収容容器18の構成は、第2、第3実施形態と同様である。そのため、以下では、回収容器60の構成を中心に説明する。なお、液体収容容器18及び回収容器60について、第2、第3実施形態と共通の構成については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0135】
図24、
図25に示すように、本実施形態の回収容器60は、前記第3実施形態と同様に、液体収容容器18から回収した液体を、再び液体収容容器18に戻す機能を備える。液体吐出装置11の廃棄時に液体収容容器18に残留する液体を回収する使用方法の他に、液体吐出装置11の輸送又はメンテナンス等の事情で液体収容容器18内の液体を一時的に排出したい場合に利用可能である。
【0136】
図24、
図25に示すように、回収接続部62は、液体収容容器18の数に合わせて複数形成され、回収容器60の内部は、液体収容容器18の数と同じ数の空間が区分けして形成されている。詳しくは、回収容器60は、第3実施形態と同様に、隔壁部67により複数の回収室68に区画されている。回収容器60の上面61Bには、複数の回収室68のそれぞれと対応する複数の回収接続部62が突設されている。回収接続部62は、凸形状を呈する管状の液体排出部71と嵌合可能な凹部66Aを有する凹形状を呈する筒部66により構成される。
【0137】
本実施形態の回収容器60も、前記各実施形態と同様に、回収接続部62と、回収収容部61と、大気連通部64とを備える。回収接続部62には、この回収接続部62の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材63が設けられている。封止部材63は、例えば、回収接続部62の流路を開閉可能な封止弁63Bである。封止弁63Bは、例えば、第3実施形態と同様の構成であり、弁体と、付勢部材と、弁座とを備える。回収接続部62に液体排出部71が接続されると、弁体が液体排出部71から受ける力により弁座から離れることにより、封止弁63Bは閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、回収接続部62から液体排出部71が取り外されると、付勢部材の付勢力により弁体が弁座に当たることで、封止弁63Bは開弁状態から閉弁状態に切り換わる。
【0138】
図25に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とが接続される。この接続状態において、液体収容容器18内の液体の水頭圧により液体が移動することで、回収容器60への液体の回収が行われる。こうして、液体回収終了後、液体吐出装置11のメンテナンス又は輸送等が行われる。
【0139】
また、第4実施形態の回収容器60は、液体注入部53に接続可能な液体再供給部81を有する。但し、第3実施形態の回収容器60が有する専用の液体再供給部81を備えていない。回収接続部62が液体再供給部81を兼ねてもよい。
【0140】
このように、本実施形態では、回収接続部62が液体再供給部81を兼ねることから、回収容器60内の液体を液体収容容器18へ戻すときには、回収容器60を反転させて回収接続部62を下向きにする。そして、回収接続部62を兼ねる液体再供給部81を、液体収容容器18の液体注入部53に接続する。回収容器60を反転すると、大気連通部64が鉛直方向Zの下側に位置するが、回収容器60は、このような反転姿勢でも大気連通部64が大気と連通できる構造を備える。
【0141】
図24に示すように、回収容器60は、回収室68内において、回収収容部61の上部から底部に向かって延出する流路形成隔壁部61Eを有する。流路形成隔壁部61Eにより、回収室68内には、大気連通部64と連通する大気連通流路64Aが形成されている。大気連通流路64Aは、回収室68内において大気連通流路64A以外の空間領域と底部側の連通部を通じて連通している。
【0142】
このような流路形成隔壁部61Eを設けることで、液体を収容する回収容器60を上下反転させても、大気連通流路64Aが空気で満たすことが可能である。これにより、回収接続部62を液体再供給部81として兼用している。
【0143】
メンテナンス又は輸送等の終了後、ユーザーは、回収容器60内の液体を液体収容容器18に戻す。このとき、液体が収容された回収容器60を、
図25における時計回り方向に半回転させることで上下反転させる。この回収容器60が半回転する過程で、大気連通流路64A内から液体が流出して大気連通流路64A内は空気で満たされる。
【0144】
そして、
図26に示すように、この反転姿勢のまま回収容器60の回収接続部62を液体収容容器18の液体注入部53に接続する。ここで、回収接続部62を構成する筒部66の内径は、液体収容容器18側の液体注入部53と嵌合可能な寸法に設定されている。詳しくは、液体収容容器18の液体注入部53が凸形状を呈する管部により構成されるので、回収接続部62は、凸形状の液体注入部53と嵌合可能な凹形状の筒部66により形成している。そして、筒部66の内径が、液体注入部53を構成する管部に対して外嵌できる寸法に設定されている。
【0145】
図26に示す状態に回収接続部62と液体注入部53とが接続されると、液体注入部53が、封止弁63Bを構成する不図示の弁体を付勢部材の付勢力に抗して押すことで、封止弁63Bが閉弁状態から開弁状態へ切り換わる。よって、回収容器60内の液体が水頭圧によって液体流路57を通って液体収容容器18へ流入する。
【0146】
このとき、液体収容容器18内への液体の流入に伴って液体収容室55内の空気が空気流路58を通って回収容器60内へ移動する。こうして、液体収容容器18内で気液交換が行われながら、回収容器60内の液体が液体収容容器18内へ連続的に流入する。こうして、回収容器60内の液体が液体収容容器18内へ戻される。
【0147】
よって、第4実施形態によれば、前記第1実施形態における前記(1-1)~(1-4),(1-7)~(1-10)の効果、及び前記第3実施形態における前記(3-1)~(3-3)の効果が同様に得られる他、さらに以下の効果が得られる。
【0148】
(4-1)回収接続部62が液体再供給部81を兼ねる。この構成によれば、回収容器60の回収接続部62が液体再供給部81を兼用することで、回収容器60の構造が複雑化することを抑制できる。
【0149】
(第5実施形態)
次に、
図27~
図29を参照して、第5実施形態の回収容器60の構成について説明する。液体収容容器18の構成は、第2~第4実施形態と同様である。
【0150】
図27、
図28に示すように、本実施形態の回収容器60は、前記第3、第4実施形態と同様に、液体収容容器18から回収した液体を、再び液体収容容器18に戻す機能を備える。液体吐出装置11の廃棄時に液体収容容器18に残留する液体を回収する使用方法の他に、液体吐出装置11の輸送又はメンテナンス等の事情で液体収容容器18内の液体を一時的に排出したい場合に利用可能である。
【0151】
図27に示すように、液体回収容器60は、回収収容部61と、回収接続部62とを備える。回収接続部62は、液体収容容器18が有する液体排出部71と接続可能に構成される。回収収容部61は、液体排出部71と接続された回収接続部62を通じて液体収容容器18から回収された液体を収容する。回収容器60は、前記第1~第4実施形態の回収容器60が有する大気連通部64を備えていない。回収接続部62は、気液交換部を構成する液体流路85と空気流路86とを兼ね備える。
【0152】
図27に示すように、回収収容部61において、回収接続部62は、液体収容容器18の数に合わせて複数形成されている。液体回収容器60の内部は、液体収容容器18の数と同じ数の空間が区分けして形成されている。詳しくは、回収容器60は、隔壁部67により複数の回収室68に区画されている。回収容器60の上面61Bには、複数の回収室68のそれぞれと対応する複数の回収接続部62が突設されている。回収接続部62は、凹形状を呈する筒部74よりなる液体排出部71と嵌合可能な管部69により構成される。管部69は、筒部74の凹部74Aに嵌挿可能に構成される。
【0153】
図27に示すように、回収容器60は、回収収容部61内に回収した液体を再び液体収容容器18へ戻すための液体供給口として液体再供給部81を有する。液体再供給部81は、液体注入部53に接続可能に構成される。液体再供給部81は、回収接続部62が形成されている回収収容部61の上部とは反対側である下部に設けられている。つまり、液体再供給部81は、回収収容部61の底面61Dに設けられている。このように、液体再供給部81は、回収接続部62とは別に形成されている。なお、液体再供給部81は、回収収容部61の底面61Dに限らず、側面61C下部に設けられてもよい。
【0154】
図27に示すように、液体再供給部81は、筒部83により構成される。筒部83は、液体収容容器18側の液体注入部53と嵌合可能な寸法の内径に形成されている。詳しくは、液体再供給部81は、凸形状の液体注入部53と嵌合可能な凹形状の筒部83により構成される。筒部83は、液体注入部53の管部に外嵌できる内径寸法で形成されている。なお、液体再供給部81と液体注入部53との凹凸の関係は、反対でもよい。
【0155】
回収接続部62が備える気液交換部を構成する液体流路85及び空気流路86は、液体収容容器18が有する気液交換部を構成する液体流路57及び空気流路58と、基本的な原理は同じである。すなわち、
図28に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とが接続されると、液体収容容器18から回収容器60へ水頭圧で液体が移動する。
図28に示す回収容器60内の二点鎖線で示す液面高さに達するまでは、回収室68内の空気が空気流路86を通じて液体収容容器18内に排出される。液体収容容器18内の液体排出部71から気泡となって浮上した空気は、液体収容室55内から空気流路58及び液体注入部53を通じて大気に排出される。
【0156】
一方、仮に、
図28に示す回収容器60内の二点鎖線で示す液面高さに液体が達すると、空気流路86が液体で閉じられる。この結果、液体収容容器18から液体流路85を通じた回収容器60への液体の移動が停止する。このように、回収容器60では、回収接続部62と一体に設けられた気液交換部を構成する空気流路86が、接続先の液体収容容器18側の液体注入部53を通る経路で間接的に大気と連通する一種の大気連通部として機能する。この点において、液体排出部71は大気連通部を兼ねている。なお、回収容器60の容積は、対応する液体収容容器18の液体総容積よりも大きいので、液体が
図28に二点鎖線で示す液面に達することは基本的にない。
【0157】
図28に示す液体の回収が終了すると、液体吐出装置11のメンテナンス又は輸送等が行われる。メンテナンス又は輸送等の終了後、ユーザーは、回収容器60内の液体を液体収容容器18に戻す。
【0158】
図29に示すように、回収容器60の液体再供給部81を液体収容容器18の液体注入部53に接続する。この接続時に、液体注入部53が封止弁63Bの弁体を押すことで、封止弁63Bが閉弁状態から開弁状態へ切り換わる。この結果、回収容器60内の液体が水頭圧によって液体流路57を通って液体収容容器18へ移動する。
【0159】
このとき、液体収容容器18内への液体の流入に伴って液体収容室55内の空気が大気連通部54から外部へ排出される。この結果、回収容器60内の液体が液体収容容器18内へ連続的に移動する。また、回収容器60内の液体が減少するのに伴って回収接続部62から空気が回収室68内に導入される。すなわち、回収接続部62は、大気と回収室68内とを連通させているので、大気連通部として機能する。これにより、回収容器60内の液体が液体収容容器18へ継続的に移動する。こうして、回収容器60内の液体が液体収容容器18内へ戻される。
【0160】
よって、第5実施形態によれば、前記第1実施形態における前記(1-1)~(1-4),(1-7)~(1-10)の効果、及び前記第3実施形態における前記(3-1),(3-2)の効果が同様に得られる他、さらに以下の効果が得られる。
【0161】
(5-1)回収接続部62が大気連通部を兼ねている。この構成によれば、回収接続部62が大気連通部を兼ねているので、液体回収容器60の構成を簡単にできる。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0162】
・回収容器60は、回収接続部62に着脱可能な状態で取り付けられる封止部材を備えてもよい。例えば、第1実施形態の回収容器60は、
図30に示すように、回収接続部62に着脱可能な封止部材91を備えてもよい。封止部材91は、回収接続部62の接続口を封止するキャップ部材である。封止部材91は、回収接続部62に対して、例えば、嵌合又は螺合によりその接続口を封止する状態に取り付けられる。液体を回収する際に、ユーザーは、回収接続部62から封止部材91を取り外し、回収接続部62に液体収容容器18の液体排出部71を接続する。回収容器60への液体の回収を終えると、液体収容容器18と回収容器60との接続を外し、回収容器60の回収接続部62に封止部材91を取り付ける。この構成によれば、回収容器60に回収した液体が回収接続部62から漏出することを抑制できる。また、
図31に示すように、第2実施形態の回収容器60は、回収接続部62に着脱可能な封止部材92を備えてもよい。さらに、
図32に示すように、第3実施形態の回収容器60は、回収接続部62に着脱可能な封止部材93を備えてもよい。この場合、
図32に示すように、封止弁63Bを無くしてもよい。また、
図33に示すように、第5実施形態の回収容器60は、回収接続部62に着脱可能な封止部材94を備えてもよい。また、第4実施形態の回収容器60が、回収接続部62に着脱可能な封止部材を備えてもよい。これらいずれの構成でも、回収容器60に回収した液体が回収接続部62から漏出することを抑制できる。第3~第5実施形態の回収容器60は、基本的に液体の漏出抑制に貢献可能な液体保持部材65を収容できないが、封止部材91~94によって回収容器60内の液体の漏出を抑制できる。なお、
図32、
図33において、戻し排出部
・扉体19Bの移動方向は、液体収容容器18を第1方向Aに取り出し可能な限りにおいて任意の方法に設定できる。例えば、スライド方向は幅方向Xでもよい。また、扉体19Bは、液体収容容器18を第1方向Aに取り出し可能な限りにおいてスライドに限らず、回動式であってもよい。例えば、扉体19Bは、下端を中心に回動する構成、右端を中心に回動する構成、左端を中心に回動する構成、上端を中心に回動する構成であってもよい。
【0163】
・前記各実施形態では、固定部42を解除して筐体20から取り外した液体収容容器18を回収容器60に接続する方法を採用したが、筐体20に固定したまま液体収容容器18に液体回収容器60を接続する方法を採用してもよい。例えば、筐体20の底板の開口から液体収容容器18の液体排出部71が露出する構成とし、開口を介して液体排出部71に対して回収容器60の回収接続部62を接続する。接続実施形態以外のとき開口はカバーで覆われてもよい。その他、液体排出部71が筐体20から露出する構成であれば、開口の位置は筐体20の側部など他の面でもよい。要するに、液体収容容器18を筐体20に固定したままでも、(a)液体収容容器18の液体排出部71と液体回収容器60の回収接続部62とを接続することと、(b)液体収容容器18内の液体を液体回収容器60内へ水頭圧により移動させることで回収すること、との2つを備える方法であればよい。この液体回収方法によれば、固定部42を解除する手間が不要で、且つ扉体19Bを設けるなど液体収容容器18を収容部19から取り外すために必要な特別な構造を採用しなくても、液体収容容器18内に残留した液体を液体回収容器60に回収できる。よって、液体収容容器18内に液体が残留したまま液体吐出装置11が廃棄された際に、漏れた液体に起因する環境負荷を抑制できる。
【0164】
・液体吐出装置11から取り外す際の液体収容容器18の移動方向である第1方向Aは、Y方向に限定されず、他の方向でもよい。例えば、+Z方向(下方向)とし、筐体20の底板の開口から液体収容容器18を取り出したり、-Z方向(上方向)とし、カバー32を開けて液体収容容器18を上方へ取り出したりしてもよい。また、-Y方向(後方)とし、筐体20の背面から液体収容容器18を取り出してもよい。さらに、-X方向(右方)とし、収容部19の右側部に設けた扉体を開放した開口から液体収容容器18を右方に取り出してもよい。また、収容部19が筐体20の前部左方に位置する構成では、収容部19の左側部に設けた扉体を開放した開口から液体収容容器18を左方に取り出してもよい。
【0165】
・液体収容容器18を筐体20から取り出す案内は、案内溝等の案内部48Aに限定されない。例えば、案内部はレールでもよい。液体収容容器18がレールに案内されて第1方向Aに移動する構成でもよい。また、電動で液体収容容器18が第1方向Aに移動する構成でもよい。この場合、動力源のモーターは、媒体Mを搬送する搬送部の駆動源である搬送モーター又はメンテナンス装置35の駆動源を兼用してもよい。
【0166】
・連結部45は、筐体20を構成するフレームから延びるアームで固定されてもよい。例えば、液体収容容器18を第1方向Aに移動させる過程で、供給流路24を構成するチューブが伸びると、伸びたチューブの復元力が加わるため切り離しに必要な力大きくなり易いうえ、接続が外れた際にチューブが一気に縮むときの衝撃でインク等の液体が飛び散る事態も起こりうる。これに対して、連結部45が筐体20に直接又は間接的に固定されていれば、液体収容容器18を第1方向Aに移動させた際にチューブの伸びを伴わずに液体収容容器18を供給流路24から切り離すことができる。なお、供給流路24の少なくとも一端部側の所定の長さに亘る部分を、合成樹脂製又は金属製の管材として剛性を高めることで、液体収容容器18を取り外す際の供給流路24の伸びを抑制してもよい。
【0167】
・水頭圧で液体を排出できる位置であれば、液体収容部51における液体排出部71の位置や、回収収容部61における回収接続部62の位置は、適宜変更してもよい。
・前記第1実施形態において、液体供給部52の第1弁59は、手動で開閉操作可能な手動式の開閉弁であったり、手動式の開閉弁の機能を兼ね備えた構成でもよい。この場合、液体供給部52を回収容器60に接続してもよいが、空ボトル等の他の容器に液体を回収する場合、手動操作で開弁することができれば、他の容器に液体を回収する場合でも、液漏れを抑制することができる。
【0168】
・前記第2~第5実施形態において、液体排出部71の第2弁72は、手動で開閉操作する手動式の開閉弁であったり、手動式の開閉弁の機能を兼ね備えた電動式の開閉弁でもよい。
【0169】
・前記実施形態における液体吐出装置11は、複数の液体収容容器18を備えたが、1つの液体収容容器18のみ備える液体吐出装置11でもよい。一つの液体収容容器18が、例えば、黒色のインクを液体として収容するものであって、液体吐出装置11がモノクロ印刷専用のプリンターであってもよい。
【0170】
・液体保持部材65は、不織布や多孔質材料などに限定されず、高吸水性ポリマー(SAP)でもよい。
・前記実施形態では、液体排出部71と回収収容部61とを接続することで液体を回収容器60内に回収したが、液体収容容器18内の液体を液体排出部71から回収容器60の注入口へ注いでもよい。例えば、液体排出部71の開口よりも回収収容部61の開口を大きくして、開口同士を離した位置から水頭圧によって液体を注いでもよい。
【0171】
・液体収容容器18を筐体20から取り外す際の移動方向は、Y方向(前方向)やZ方向(下方向)以外の方向であってもよい。要するに、液体供給部52と供給流路24との接続方向に沿う方法であればよい。例えば、-Y方向(後方向)や-Z方向(上方向)であってもよいし、幅方向Xであってもよい。幅方向Xである場合、-X方向(右方向)でもよいし、+X方向(左方向)でもよい。さらに、X方向とY方向との2方向にそれぞれ成分をもつ方向や、Y方向とZ方向との2方向にそれぞれ成分をもつ方向や、X方向とZ方向との2方向にそれぞれ成分をもつ方向などでもよい。さらに、X方向とY方向とZ方向との3方向にそれぞれ成分をもつ方向であってもよい。
【0172】
・液体吐出装置11において、液体収容容器18の配置位置は、筐体20の前部右側に限定されない。例えば、筐体20の前部左側でもよい。また、液体収容容器18の配置位置は、筐体20の側部又は筐体20の後部でもよい。また、前記実施形態では、液体収容容器18の配置位置が、筐体20が一部外側(例えば前側)に突出する形状となる位置であったが、筐体20が外側に突出していない位置に配置されてもよい。
【0173】
・液体吐出装置11は、用紙に印刷するインクジェットプリンターに限らず、捺染装置でもよい。
・液体吐出装置11が液体を吐出する媒体Mは、用紙や布帛等に限定されず、合成樹脂製のフィルム、合成樹脂層と金属層とを含むラミネート媒体や、金属よりなるホイル又は箔などでもよい。
【0174】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0175】
以下、前記実施形態及び変更例から把握される技術思想を効果と共に記載する。
(A)液体吐出システムは、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドへ供給する液体を収容可能な液体収容容器とを備える液体吐出装置と、液体回収容器とを備える液体吐出システムであって、前記液体収容容器は、液体を収容可能に構成される液体収容部と、前記液体収容部に液体を注入する液体注入部と、前記吐出ヘッドに液体を供給する液体供給部と、前記液体収容部内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部と、を備え、前記液体回収容器は、前記液体排出部と接続可能な回収接続部と、前記液体排出部と前記回収接続部との接続を通じて前記液体収容容器から回収された液体を収容する回収収容部と、を備える。
【0176】
この構成によれば、液体収容容器内に残留したインク等の液体を、液体収容容器から液体回収容器に回収できる。よって、液体吐出装置の廃棄に伴い液体収容容器内の残留インク等の残留液体が漏れることによる液体汚染に起因する環境負荷を抑制できる。
【0177】
(B)上記(A)に記載の液体吐出システムにおいて、前記液体収容容器内の液体の水頭圧により液体が移動することで、前記液体回収容器への液体の回収を行ってもよい。
この構成によれば、複雑な構成を採用することなく、液体収容容器内に残留したインク等の液体を水頭圧によりスムーズに液体回収容器に回収できる。
【0178】
(C)上記(A)又は(B)に記載の液体吐出システムにおいて、前記液体回収容器の液体回収可能な容積は、前記液体収容容器の液体収容可能な容積全体よりも大きくてもよい。この構成によれば、1つの回収容器で液体収容容器内の液体を全て回収することができる。
【0179】
(D)上記(A)~(C)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて、前記回収接続部には、当該回収接続部の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材が設けられてもよい。この構成によれば、回収後の液体が液体回収容器の外部に漏れることを抑制できる。
【0180】
(E)上記(A)~(D)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて、前記液体回収容器の内部に、液体保持部材が封入されていてもよい。この構成によれば、回収容器内に回収した液体が外部に飛散するリスクを低減できる。
【0181】
(F)上記(A)~(E)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて、前記回収接続部は、前記液体収容容器の数以下の数で設けられ、前記液体回収容器の内部は、全体として1つの空間として形成されてもよい。この構成によれば、液体収容容器内の液体を液体回収容器にまとめて回収できるので、回収後の液体をまとめて廃棄できる。
【0182】
(G)上記(A)~(F)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて、前記回収接続部は、前記液体収容容器の数に合わせて複数形成され、前記液体回収容器の内部は、前記液体収容容器の数と同じ数の空間が区分けして形成されてもよい。この構成によれば、各液体収容容器内の液体を、液体回収容器内の区画された空間内に分けて回収できる。回収後の液体の再補充を考慮し、異なる液体同士の混合を防ぐことができる。
【0183】
(H)上記(A)~(G)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて、前記液体回収容器は、前記液体注入部に接続可能な液体再供給部を有してもよい。この構成によれば、液体回収容器に回収した液体の再利用が可能となる。
【0184】
(I)上記(A)~(H)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて、前記回収接続部が前記液体再供給部を兼ねてもよい。この構成によれば、液体回収容器の回収接続部が液体再供給部を兼用することで、液体回収容器の構造が複雑化するのを抑えることができる。
【0185】
(J)上記(A)~(H)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて、前記液体再供給部は、前記回収接続部とは別に形成されてもよい。この構成によれば、液体回収容器に回収された液体を液体収容容器にスムーズに供給できる。例えば、回収接続部を大気開放口として利用できる場合がある。
【0186】
(K)液体回収容器は、前記液体収容容器が有する前記液体排出部と接続可能な回収接続部と、前記液体排出部と接続された前記回収接続部を通じて前記液体収容容器から回収された液体を収容する回収収容部と、前記回収収容部内と大気とを連通する大気連通部と、を備える。
【0187】
(L)上記(K)に記載の液体回収容器において、前記回収接続部が前記大気連通部を兼ねてもよい。この構成によれば、回収接続部が大気連通部を兼ねているので、液体回収容器の構成を簡単にできる。
【0188】
(M)上記(K)又は(L)に記載の液体回収容器において、前記回収接続部の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材を備えてもよい。この構成によれば、回収接続部の流路を通じた液体の漏出を止める封止部材を備えることで、液体を回収した後に液体回収容器内の液体が排出接続部から漏出することを抑制できる。
【0189】
(N)上記(A)~(M)のいずれか一つに記載の液体吐出システムにおいて前記液体吐出装置が有する前記液体収容容器内の液体を回収する液体回収方法であって、前記液体収容容器の前記液体排出部と前記液体回収容器の前記回収接続部とを接続することと、前記液体収容容器内の液体を前記液体回収容器内へ水頭圧により移動させることで回収することと、を含む。この方法によれば、液体収容容器内に残留したインク等の液体を、液体収容容器から液体回収容器に回収できる。よって、液体吐出装置の廃棄に伴い液体収容容器内の残留インク等の残留液体が漏れることによる液体汚染に起因する環境負荷を抑制できる。
【0190】
(O)上記(N)に記載の液体回収方法において、前記液体排出部と前記回収接続部とを接続する前に、前記液体吐出装置から前記液体収容容器を取り外すこと、を含んでもよい。この方法によれば、液体排出部と回収接続部とを接続する前に、液体吐出装置から液体収容容器を取り外す。よって、液体吐出装置から液体収容容器を取り外さずに液体排出部と回収接続部とを接続する方法に比べ、液体排出部と回収接続部とを接続する作業がし易くなる。
【符号の説明】
【0191】
11…液体吐出装置、12…装置本体、13…画像読取装置、13A…回動機構、15…操作部、16…表示部、17…操作パネル、18…液体収容容器、18A…第1液体収容容器、18B…第2液体収容容器、19…収容部、19A…収容部本体、19B…扉体、19C,19D…側板、20…筐体、20A…底部、21B…取出口、21C…底カバー、21…窓部、22…視認面、23…印刷部、24…供給流路、25…吐出ヘッド、25A…ノズル形成面、25N…ノズル、26…キャリッジ、27…走査機構、28…ガイド軸、29…キャリッジモーター、30…プーリー、31…タイミングベルト、32…カバー、33…キャップレバー、34…液体ボトル、34A…供給部、35…メンテナンス装置、36…液体供給装置、37…キャップ、38…排出チューブ、39…吸引ポンプ、40…廃液収容部、41…液体流路、42…固定部、43…ねじ、44…規制部材、45…連結部、45A…接続口、46…レール、47…分離機構、48…載置部、48A…案内部、50…容器本体、51…液体収容部、51A…底面、51B…側面、51C…隔壁部、51D…流路形成壁、52…液体供給部、53…液体注入部、54…大気連通部、55…液体収容室、56…突状部、57…液体流路、58…空気流路、59…第1弁、60…液体回収容器(回収容器)、61…回収収容部、61A…回収収容室、61B…上面、61C…側面、61D…底面、62…回収接続部、63…封止部材、63B…封止弁、64…大気連通部、64A…大気連通流路、65…液体保持部材、66…筒部、66A…凹部、67…隔壁部、68…回収室、68A…第1回収室、68B…第2回収室、69…管部、71…液体排出部、72…第2弁、73…管部、74…筒部、74A…凹部、75…キャップ部材、81…液体再供給部、82…弁、83…筒部、83A…凹部、85…液体流路、86…空気流路、91…封止部材、92…封止部材、93…封止部材、94…封止部材、100…制御部、M…媒体、IL…液体、X…幅方向、Y…搬送方向、Z…上下方向、A…第1方向、B…第2方向。