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特開2024-176909化粧シート及び化粧シートの製造方法
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  • 特開-化粧シート及び化粧シートの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176909
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】化粧シート及び化粧シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20241212BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20241212BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241212BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20241212BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B32B27/00 C
B32B7/12
B32B27/00 E
C09J11/06
C09J175/08
E04F13/07 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095779
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄一
【テーマコード(参考)】
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AH02C
4F100AH03C
4F100AH03E
4F100AJ11E
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK01D
4F100AK04A
4F100AK04E
4F100AK07D
4F100AK45E
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK51E
4F100AK54C
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA02C
4F100CA02E
4F100CA05C
4F100CA05E
4F100CA07C
4F100CA07E
4F100EH23D
4F100EJ65B
4F100GB07
4F100GB81
4F100HB00B
4F100HB31B
4F100JL09
4F100JL11C
4F100JN01D
4F100JN02A
4F100YY00C
4J040EF131
4J040HC25
4J040MA02
4J040MA08
4J040MA10
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA13
(57)【要約】
【課題】層間剥離等の発生を抑制し、より高い耐候性を有する化粧シートを提供する。
【解決手段】化粧シート10は、基材層1と絵柄層2と接着層3と透明樹脂層4と表面保護層5とがこの順に積層されてなり、接着層3は、接着性樹脂と硬化剤とを含み、さらに紫外線吸収剤及び光安定化剤を含み、紫外線吸収剤は、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物を含み、光安定化剤は、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物を含み、これらの添加量が、接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、それぞれ0.5質量部以上5質量部以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基材と絵柄層と接着層と透明樹脂層と表面保護層とがこの順に積層され、
前記接着層は、接着性樹脂及び硬化剤を含むと共に、さらに紫外線吸収剤及び光安定化剤を含み、
前記紫外線吸収剤は、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物を含み、
前記光安定化剤は、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物を含み、
前記接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、前記紫外線吸収剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であり、前記光安定化剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記接着性樹脂は、反応基を有するポリエーテル系ウレタン樹脂であり、
前記接着層は、0.5μm以上3μm以下の範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
樹脂基材と絵柄層と接着層と透明樹脂層と表面保護層とがこの順に積層される化粧シートの製造方法であって、
前記接着層は、接着性樹脂と硬化剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含み、
前記接着性樹脂としての、反応基を有するポリエーテル系ウレタン樹脂と、前記紫外線吸収剤としての、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物を含む前記接着性樹脂と、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物を含む前記光安定化剤と、前記硬化剤と、を含む水性塗工液を、前記絵柄層の前記樹脂基材とは逆側の面に塗布することで、前記接着層を0.5μm以上3μm以下の厚さで形成する工程を備え、
前記接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、前記紫外線吸収剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であり、前記光安定化剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であることを特徴とする化粧シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート及び化粧シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内外装や建具、家具等の表面等に使用される化粧シートは、近年の使用環境の多様化に伴い、高機能化への要望が高くなってきている。物性面では、耐傷性、耐汚染性、耐候性など、一部トレードオフとなる物性を両立するため、様々な工夫が施され、優れた性能の化粧シートが開発されている。特に光、熱、水などの複合要因で劣化が著しく生じるのが耐候性であり、内装用途であっても高性能が要求されている。耐候性向上対策としては、紫外線吸収剤や光安定化剤の添加で対策を講じるのが一般的である。なお、化粧シートにおける耐候性向上を意図し、紫外線吸収剤や光安定化剤を添加した技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-203866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧シートは、近年、外装用途にも展開しており、耐候性、耐傷性、耐汚染性などの物性向上とその安定性が課題になっている。化粧シートにおいては、耐候性を向上するため、紫外線吸収剤や光安定化剤等を、表層側に添加することが一般的であり、例えば、最表層となる表面保護層、およびその下に位置し、膜厚の大きい透明樹脂層に添加するのが一般的である。耐候性を向上するためにはこれら紫外線吸収剤や光安定化剤の添加量を多くすることが一般的であるが、表面保護層においては、紫外線吸収剤や光安定化剤の添加量を多くすると、その他の重要物性である耐傷性や耐汚染性等を低下させる可能性がある。つまり、従来の化粧シートにおいては、耐候性の向上と、耐傷性や耐汚染性の向上とは、所謂トレードオフの関係にある。特に、化粧シートを外装用途で用いた場合等には、化粧シートの表層側に耐候剤を添加しても層間剥離等が生じることがあり、より高い耐候性を有する化粧シートが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記のような点に着目してなされたものであり、層間剥離等の発生を抑制し、より高い耐候性を有する化粧シート及び化粧シートの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特に接着層を備えた化粧シートにおいては、外装用途で用いた場合に接着層の部分で劣化が生じ、これにより層間剥離が生じることで化粧シートの耐候性が低下することに着目し、接着層に特定の耐候剤を添加することによって、化粧シートの耐候性が向上することを見いだした。
本発明の一態様に係る化粧シートは、樹脂基材と絵柄層と接着層と透明樹脂層と表面保護層とがこの順に積層され、前記接着層は、接着性樹脂及び硬化剤を含むと共に、さらに紫外線吸収剤及び光安定化剤を含み、前記紫外線吸収剤は、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物を含み、前記光安定化剤は、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物を含み、前記接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、前記紫外線吸収剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であり、前記光安定化剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る化粧シートの製造方法は、樹脂基材と絵柄層と接着層と透明樹脂層と表面保護層とがこの順に積層される化粧シートの製造方法であって、前記接着層は、接着性樹脂と硬化剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含み、前記接着性樹脂としての、反応基を有するポリエーテル系ウレタン樹脂と、前記紫外線吸収剤としての、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物を含む前記接着性樹脂と、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物を含む前記光安定化剤と、前記硬化剤と、を含む水性塗工液を、前記絵柄層の前記樹脂基材とは逆側の面に塗布することで、前記接着層を0.5μm以上3μm以下の厚さで形成する工程を備え、前記接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、前記紫外線吸収剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であり、前記光安定化剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、天候に起因する接着層における劣化を抑制し、化粧シートの耐候性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る化粧シートの一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に記述する。なお、図1は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするため適宜誇張して示している。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る化粧シート10について、図1を参照して説明する。図1は、化粧シート10の一構成例を模式的に示す断面図である。
【0012】
[化粧シートの構成]
図1に示すように、化粧シート10は、基材層(樹脂基材)1と、基材層1上に形成された絵柄層2と、絵柄層2上に形成された接着層3と、接着層3上に形成された透明樹脂層4と、透明樹脂層4上に形成された表面保護層5と、を備えている。なお、化粧シート10は、基材層1の絵柄層2と反対側の面にプライマー層6を備えていても良い。
以下、化粧シート10の各層について、図1を用いて説明する。
【0013】
(基材層1)
基材層1は、例えば樹脂基材で構成される。基材層1を構成する樹脂成分は、ポリオレフィンまたはポリエステルが好適に用いられ、汎用性の観点からポリオレフィンが最も好ましい。基材層1を構成する樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレートなどの既存材料から任意に選択可能である。また、上述した樹脂以外の材料としては、例えば、αオレフィン(例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させた材料や、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。
【0014】
基材層1には、隣接する層との密着性を補うため、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。さらには、基材層1と絵柄層2との間に密着を確保させるためにプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
なお、基材層1がポリオレフィンまたはポリエステルで形成されていれば、後述する絵柄層2との密着性が確実になり、基材層1がポリオレフィンで形成されていれば、絵柄層2との密着性がさらに確実になる。
【0015】
化粧シート10に隠蔽性を付与したい場合には、基材層1として隠蔽性の着色シートを使用してもよいし、基材層1の上層であって絵柄層2の下層に隠蔽層(図示せず)を設けてもよい。基材層1として着色シートを使用する場合は、基材層1を構成する樹脂材料に着色剤を添加して着色することができる。着色剤としては、例えば、無機顔料(酸化チタンやカーボンブラック等)や有機顔料(フタロシアニンブルー等)の他、染料も使用することができる。本実施形態の着色剤は、公知または市販の着色剤から1種類または2種類以上を選択して用いることができ、所望の隠蔽性と意匠性とが得られるように添加量も調整可能である。
【0016】
また、基材層1には、必要に応じて、例えば、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定剤、着色剤、つや消し剤など各種添加剤を加えてもよい。
【0017】
(絵柄層2)
絵柄層2は、例えば、基材層1に対してインキを用いて印刷された絵柄を含む層である。絵柄層2の形成に用いられるインキは、例えば、バインダー樹脂を含んでいてもよい。絵柄層2の形成に用いられるインキに含まれるバインダー樹脂は、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系などの単独もしくは各変性物の中から適宜選定して用いることができる。また、インキは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでもよい。本実施形態では、絵柄層2の形成に用いられるインキとしては、塗工性の観点から水性の着色インキが好適である。
【0018】
絵柄層2の形成に用いられるインキを硬化させる方法としては、例えば、紫外線や電子線などの照射によりインキを硬化させる方法が挙げられる。中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキを用いるものであって、ポリイソシアネートによって硬化させる方法である。
絵柄層2の形成に用いられるインキは、上述したバインダー樹脂以外に、例えば、通常のインキに含まれている顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、光安定化剤など各種添加剤などが添加されていてもよい。汎用性の高い顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母などのパール顔料などが挙げられる。
【0019】
絵柄層2を設ける方法は特に限定さるものではなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷など通常の印刷方法を用いることができる。
【0020】
(接着層3)
接着層3は、絵柄層2と透明樹脂層4とを接合するために設けられた層である。また、接着層3は、絵柄層2が基材層1の一部のみに設けられた場合には、基材層1と絵柄層2の側面と絵柄層2の上面と、透明樹脂層4とを接合するために設けられる。
【0021】
接着層3を構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂材料から、絵柄層2及び透明樹脂層4との密着性に優れた材料を適宜選択しインキ化した材料を用いることができる。中でも柔軟性に優れたポリエーテル系ウレタン樹脂と硬化剤と組み合わせることが好ましい。また、樹脂成分は、水酸基、カルボキシキル基等の反応基を有し、イソシアネート基、グリシジル基を有する硬化剤と架橋反応させることが好ましく、中でも水酸基とイソシアネート基による架橋が好ましい。なお、接着層3は、水性塗工液から形成されることが好ましい。生産工程での安全性が改善されるというメリットがある。また、水性塗工液は、石油系溶剤等を使用しないため、水性塗工液を用いることで、環境に配慮した化粧シート10を実現することができる。
【0022】
また、接着層3には、耐候剤として紫外線吸収剤や光安定化剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、また、光安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系等、任意の組み合わせで添加することが一般的である。中でも接着層3に添加する紫外線吸収剤としては、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物が好ましい。また、接着層3に添加する光安定化剤としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物が好ましい。
【0023】
接着層3における紫外線吸収剤の含有量は、接着層3に含まれる接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、0.5質量部以上5質量部以下の範囲内が好ましく、1質量部以上3質量部以下の範囲内がより好ましい。また、接着層3における光安定化剤の含有量は、接着層3に含まれる接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、0.5質量部以上5質量部以下の範囲内が好ましく、1質量部以上3質量部以下の範囲内がより好ましい。紫外線吸収剤及び光安定化剤の含有量が、共に上記数値範囲内であれば接着層3が有する基本的機能を維持しつつ、耐候性をより向上させることができる。
【0024】
接着層3の形成方法は、特に限定さるものではない。接着層3は、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の塗布方法を用いて形成することができる。
また、接着層3は、架橋成分としてイソシアネート硬化剤を含んでいる。イソシアネート硬化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはジフェニルメタンジイソシアネートなどを含む市販の硬化剤から適宜選択して用いることができる。これらのイソシアネート硬化剤を含むことにより、ポリエーテルカーボネート系ウレタン樹脂の架橋密度が向上し、接着層3と透明樹脂層4との間における層間剥離が生じにくくなる。
【0025】
絵柄層2を設けた基材層1に透明樹脂層4を積層する際には、接着層3を介して積層すれば、どのような方法で積層してもよく、例えば、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート、サンドラミネートなどの各種ラミネート手法を用いることができる。
【0026】
(透明樹脂層4)
透明樹脂層4は、ポリオレフィンを主成分とする透明樹脂により形成されている。透明樹脂層4の材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンや、各種αオレフィンコポリマ(プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの共重合体)等のポリオレフィンが用いられる。これらの樹脂の中でも、透明樹脂層4の材料としてはポリプロピレンが最も好ましい。
【0027】
本実施形態の透明樹脂層4は、製膜によって成形されたシート状の層であってもよいし、既に成形したシートを積層した層であってもよい。透明樹脂層4は、例えば、高結晶性ポリプロピレン樹脂で構成されていてもよい。
透明樹脂層4は、透明樹脂層4全体の質量の80質量%以上をポリオレフィンが占めていれば好ましく、90質量%以上であればさらに好ましい。なお、「ポリオレフィンを主成分とする透明樹脂層」とは、透明樹脂層4全体の質量の80質量%以上をポリオレフィンが占めている状態を意味する。
【0028】
透明樹脂層4には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤等の耐候剤、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、そして、本実施形態の特徴を損なわない範囲で、例えば、着色剤、光散乱剤及び艶調整剤などの各種添加剤を添加することもできる。
熱安定剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系等を用いることができる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系の紫外線吸収剤等を用いることができる。光安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系等を用いることができる。これら添加剤は、任意の組み合わせで添加するのが一般的である。
【0029】
透明樹脂層4の作製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、カレンダー成膜や押出成膜など通常の方法を用いることができる。
透明樹脂層4は、意匠性を付与するために表面凹凸、所謂エンボスを設けてもよい。凹凸を設ける方法としては、例えば、透明樹脂層4を押出成形した後に熱エンボス加工を施す方法や、押出形成時に凹凸を設けた冷却ロールを用い押出し成形と同時にエンボス加工を施す方法がある。より詳しくは、凹凸模様(エンボス模様)は、透明樹脂層4である、例えば高結晶性ポリプロピレンシートに直接付与され、その方法は製膜されたポリプロピレンシートに熱及び圧力により凹凸模様を有するエンボス版を用いて凹凸模様を付与する方法や、押出機を用いて製膜する際に凹凸模様を有する冷却ロールを用いて冷却と同時にエンボスを設ける方法などがある。ここでは凹凸模様の凹部に着色インキを埋め込み、さらに意匠性を向上させることも可能である。なお、凹凸模様は必要であれば設ければよく、不要な場合は設けなくてもよい。
【0030】
また、透明樹脂層4の片面または両面は、必要に応じて、例えばコロナ処理、プラズマ処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等で活性化されていてもよい。
【0031】
(表面保護層5)
本実施形態に係る表面保護層5は、化粧シート10に、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられる層である。表面保護層5を構成する材料は、例えば、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0032】
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、各種モノマーや市販されているオリゴマーなど、公知のものを用いることができ、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET3A)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET4A)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)等の多官能モノマーや、紫光UV-1700B(三菱ケミカル株式会社製)のような多官能オリゴマー、もしくはこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0033】
また、表面保護層5に用いられる熱硬化性樹脂としては、塗工性の観点からウレタンポリマーを主成分とする樹脂が好適であり、ポリカーボネートウレタンを主成分とする樹脂がより好適である。ここで、ウレタンポリマーを主成分とする樹脂とは、樹脂全体の質量の80質量%以上をウレタンポリマーが占めている状態を意味する。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、各種アクリルポリマー、各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート、各種ポリウレタンなどから、適宜選択して用いることができる。中でもカルボキシ基を含むポリマーと、硬化剤成分であるカルボジイミド化合物(カルボジイミド硬化剤)とを、熱により硬化させることで形成されるものが好ましい。
【0034】
表面保護層5には、透明樹脂層4と同様に、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定剤等の耐候剤や、難燃剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、そして、本実施形態の特徴を損なわない範囲で、例えば、着色剤、光散乱剤及び艶調整剤などの各種添加剤を添加することもできる。各種添加剤は、透明樹脂層4と同様の各材料を用いることができる。
【0035】
特に、表面保護層5には、耐候剤として、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤や、NOR型骨格を有する光安定化剤を用いることが好ましい。上述した各種添加剤は、任意の組み合わせで添加するのが一般的であるが、表面保護層5には、少なくともトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤及びNOR型骨格を有する光安定化剤の双方が含まれていることが好ましい。
【0036】
表面保護層5の形成方法は、特に限定されるものではなく、上述の材料を塗液化して、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化や紫外線硬化など材料に適合した方法で硬化させて形成してもよい。
また、表面保護層5は、基材層1に形成された絵柄層2と透明樹脂層4とを接着層3を介して接合した後に設けてもよい。
【0037】
(プライマー層6)
本実施形態に係る化粧シート10は、基材層1の絵柄層2側の面とは反対側の面である裏面にプライマー層6をさらに備えていてもよい。
【0038】
プライマー層6は、絵柄層2を形成するための着色インキに含まれるバインダー樹脂と同一成分で形成されていてもよい。
プライマー層6の形成方法は、特に限定されるものではなく、上述した材料を塗液化して、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化や紫外線硬化など材料に適合した方法で硬化させて形成してもよい。
【0039】
また、プライマー層6は、基材層1と絵柄層2と接着層3と透明樹脂層4と表面保護層5とをこの順に備えた積層体を形成した後に設けてもよく、事前に基材層1の裏面にプライマー層6を設けた後に、プライマー層6を設けた基材層1と絵柄層2と接着層3と透明樹脂層4と表面保護層5とをこの順に備えた積層体を形成してもよい。
また、プライマー層6は、化粧シート10の裏面に施されるため、ウエブ状に巻取りを行うことを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ接着剤との密着を高めるために、プライマー層6に例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させてもよい。
【0040】
(各層の厚み)
以下、本実施形態の化粧シート10を構成する各層の厚みについて説明する。
【0041】
基材層1の厚みは、印刷作業性、コストなどを考慮して、20μm以上150μm以下の範囲内が好ましく、50μm以上100μm以下の範囲内がより好ましい。
絵柄層2の厚みは、印刷作業性、コストなどを考慮すると、0.5μm以上10μm以下の範囲内が好ましく、1μm以上5μm以下の範囲内がより好ましい。
接着層3の厚みは、接着性を考慮すると、0.5μm以上3μm以下の範囲内が好ましく、耐加水分解性、印刷作業性、コストなどを考慮して1μm以上2.5μm以下の範囲内がより好ましく、さらに1.5μm以上2μm以下の範囲内の値がより好ましい。
【0042】
透明樹脂層4の厚みは、印刷作業性、コストなどを考慮すると、20μm以上200μm以下の範囲内が好ましく、70μm以上100μm以下の範囲内がより好ましい。
表面保護層5の厚みは、印刷作業性、コストなどを考慮すると、1μm以上20μm以下の範囲内が好ましく、3μm以上15μm以下の範囲内がより好ましい。
なお、各層の厚みが上述した各下限値未満であると、各層の機能(性能)が十分に得られない場合がある。また、各層の厚みが上述した各上限値を超えたとしても、各層の機能(性能)はさほど向上しないため、各層の厚みを各上限値以下に設定することが製造コストの観点から好ましい。
【0043】
また、プライマー層6の厚みは、印刷作業性、コストなどを考慮すると、0.5μm以上10μm以下の範囲内が好ましく、1μm以上5μm以下の範囲内がより好ましい。プライマー層6の厚みが1μm以上5μm以下の範囲内であれば、プライマー層6としての機能(性能)を確実に発揮することができる。
また、化粧シート10の総厚は、45μm以上250μm以下の範囲内とすることが好適である。化粧シート10の総厚が45μmに満たないと、化粧シート10全体の強度が不足し、例えばインラインで化粧シート10を製造した場合に、製造中に化粧シート10が破損するおそれがある。化粧シート10の総厚が250μmを超えると、化粧シート10全体の柔軟性が低下し、化粧シート10に割れや白化が発生するおそれがある。化粧シート10の総厚が45μm以上250μm以下の範囲内であれば、印刷作業性を容易に向上させることができ、且つ製造コストを低減することができる。
【0044】
(接着層3と透明樹脂層4との間の剥離強度)
本実施形態に係る化粧シート10における接着層3と透明樹脂層4との間の剥離強度は、15N/inch以上であることが好ましい。接着層3と透明樹脂層4との間の剥離強度が15N/inch以上であれば、化粧シート10をロール状に生産する場合、ロールの巻ズレを確実に防止することができる。
【0045】
また、化粧シート10に対して耐候性試験を行った後の接着層3と透明樹脂層4との間の剥離強度が10N/inch以上であれば、化粧シート10に優れた耐候性が付与されていると判断することができ、屋外での化粧シート10の展開も可能である。このとき、耐候性試験を行った後の剥離強度は、スーパーキセノン試験機(株式会社東洋精機製作所製アトラス・ウエザオメータCi4000)で試験条件180W光照射、12分降雨/120分サイクル、24時間試験を行った後の剥離強度とした。
なお、本実施形態における剥離強度は、例えば、後述する層間剥離試験により決定できる。
【0046】
[化粧シートの製造方法]
以下、本実施形態に係る化粧シート10の製造方法について、簡単に説明する。
まず、ポリオレフィンを含む基材層1上に絵柄層2を形成する。プライマー層6を形成する場合は、絵柄層2と同時にプライマー層6を形成することが、工程上好ましい。
【0047】
次に、絵柄層2上に接着層3を0.5μm以上3μm以下の範囲内の厚みで形成する。このとき、接着性樹脂と硬化剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む水性塗工液を用いて、接着層3を形成する。
次に、接着層3上に、透明樹脂層4を押し出し成型により、20μm以上200μm以下の範囲内の厚みで形成する。
【0048】
次に、透明樹脂層4上に、表面保護層5を3μm以上20μm以下の範囲内の厚みで形成する。
こうして、本実施形態に係る化粧シート10を製造する。
なお、透明樹脂層4を形成する工程では、その表面の濡れ指数が60dyne以上となるように、透明樹脂層4の表面を処理してもよい。なお、透明樹脂層4の表面における濡れ指数は、所謂「濡れ試薬」を用いて確認することができる。
【0049】
また、接着層3を形成する工程及び表面保護層5を形成する工程の少なくとも一方では、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷のいずれかの方法を用いて各層を形成してもよい。
以上のように、本実施形態の化粧シート10の製造方法は、ポリオレフィンを含む基材層1と、絵柄層2と、接着層3と、ポリオレフィンを主成分とする透明樹脂層4と、表面保護層5とをこの順に形成する工程を少なくとも備えている。
【0050】
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態に係る化粧シート10は、ポリオレフィンを含む基材層1と絵柄層2と接着層3と透明樹脂層4と表面保護層5とが、この順に積層されて形成されている。さらに、接着層3は、主成分として接着性樹脂と硬化剤とを含むと共に、さらに2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物を含む紫外線吸収剤と、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物を含む光安定化剤とが、添加されている。
【0051】
ここで、化粧シート10を外装用途で用いた場合、化粧シート10の表層側に位置する表面保護層5及び透明樹脂層4に耐候剤として紫外線吸収剤及び光安定化剤を添加することにより、化粧シート10に耐候性を持たせることができるが、化粧シート10の耐候性の向上と、耐傷性や耐汚染性等の向上とは、トレードオフの関係にあるため、耐候剤の添加量は制約を受け、その結果、十分な耐候性を得ることができない可能性がある。特に外装用途で用いた場合、天候によって接着層3が劣化し、接着層3と透明樹脂層4との間に層間剥離等が生じることで、化粧シート10全体としての耐候性が低下する可能性がある。本発明に係る化粧シート10では、接着層3にも、耐候剤として、上述の特定の紫外線吸収剤と光安定化剤とを添加し、接着層3と透明樹脂層4との間の剥離強度が15N/inch以上となるようにし、また、接着層3に含まれる接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、紫外線吸収剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であり、光安定化剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下となるようにしている。そのため、接着層3部分での耐候性の劣化を抑制することができ、接着層3と透明樹脂層4との層間剥離等を抑制することができ、結果的に、化粧シート10全体としての耐候性を向上させることができる。
【0052】
(2)また、接着性樹脂として、反応基を有するポリエーテル系ウレタン樹脂を用い、接着層は、0.5μm以上3μm以下の範囲内の厚みを有するため、透明樹脂層4との密着性が向上することにより耐候性を向上させることができる。
【0053】
(3)さらに、接着層を、接着性樹脂としての、反応基を有するポリエーテル系ウレタン樹脂と、紫外線吸収剤としての、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10-C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物と、光安定化剤としての、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物と、硬化剤と、を含む水性塗工液を塗布して、0.5μm以上3μm以下の厚さで形成し、さらに、接着層3に含まれる接着性樹脂の質量を100質量部としたとき、紫外線吸収剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下であり、光安定化剤の添加量が0.5質量部以上5質量部以下となるようにしている。そのため、接着層の耐候性を向上させ、結果的に化粧シート10全体の耐候性を向上させることができると共に、石油系溶剤等を使用しないため、環境に配慮した化粧シート10を得ることができる。
【実施例0054】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。なお、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0055】
<実施例1>
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、1質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、1質量部
【0056】
[表面保護層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリカーボネート系ウレタンポリマーW-6010(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;カルボジイミド系硬化剤SV-02(日清紡ケミカル株式会社製)、10質量部
・フィラー(シリカ);ミズカシルP803(水澤化学工業株式会社製)、粒子径5μm、10質量部
・ワックス(ポリエチレン系);AQUAMAT263(ビックケミー製)、5質量部
・紫外線吸収剤(トリアジン系);Tinuvin400DW(BASF製)、6質量部
・光安定化剤(NOR型);Tinuvin123DW(BASF製)、3質量部
・抗菌剤(銀担持型);アパサイダーAW(株式会社サンギ製)、粒子径2μm、0.3質量部
【0057】
[化粧シートの作成]
基材層1として、隠蔽性のある55μmのポリエチレンシートを使用し、その一方の面に2液型ウレタンインキ(V180、東洋インキ株式会社製)を用いてグラビア印刷方式により絵柄層2を3μm設け、また、基材層1の他方の面に絵柄層2と同一樹脂成分で構成されるプライマー層6を設けた。
【0058】
この絵柄層2の面上に、上述の接着層用コーティング材をグラビア印刷方式により、2μmの厚さで設けて接着層3を形成し、この上にベンゾフェノン系紫外線吸収剤0.5質量%、ヒンダードアミン系光安定化剤0.5質量%を含むポリプロピレン樹脂を押出しラミネート法により設けることで、厚さ70μmの透明樹脂層4を設けた。
更にこの透明樹脂層4上に、上述の表面保護層用コーティング材を、グラビアコーティング法により厚さ6μm設けることで、表面保護層5を形成し、これにより、実施例1の化粧シート10を作成した。
【0059】
[密着性の評価]
上述の化粧シート10の接着層3と透明樹脂層4との間の剥離強度測定を下記条件により実施した。
剥離強度の測定は、JIS K 6854-3 : 1999 (ISO 11339 : 1993) 接着剤-剥離接着強さ試験方法-第3部:T形剥離に則って、評価を行った。試験幅25mmに試験片をカットし、剥離速度50mm/minでT形剥離を行った。最低100mmの剥離(最初の25mmと最後の25mmを除き)を記録した曲線から、被着材を剥離するのに要した平均剥離強度をN/inchで求めた。
【0060】
耐候試験後の剥離強度は、スーパーキセノン試験機(株式会社東洋精機製作所製アトラス・ウエザオメータCi4000)で試験条件180W光照射、12分降雨/120分サイクル、50時間試験した後に上記層間剥離試験を実施して得た剥離強度とした。
【0061】
[密着性評価基準]
○:剥離強度が20N/inch以上
△:剥離強度が15N/inch以上20N/inch未満
×:剥離強度が15N/inch未満
【0062】
<実施例2>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、0.5質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、0.5質量部
【0063】
<実施例3>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、5質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、5質量部
【0064】
<実施例4>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方とし、接着層の厚さを3μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例4の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、3質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、5質量部
【0065】
<実施例5>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方とし、接着層の厚さを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、3質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、5質量部
【0066】
<実施例6>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方とし、接着層の厚さを0.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、1質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、1質量部
【0067】
<比較例1>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、0.1質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、0.1質量部
【0068】
<比較例2>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、7質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、7質量部
【0069】
<比較例3>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
なお、耐候剤(紫外線吸収剤、光安定化剤)は添加しなかった。
【0070】
<比較例4>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例4の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、3質量部
なお、光安定化剤は添加しなかった。
【0071】
<比較例5>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例5の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、0.2質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、3質量部
【0072】
<比較例6>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例6の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、3質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、8質量部
【0073】
<比較例7>
実施例1の接着層用コーティング材を下記処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例7の化粧シートを作成し、評価を実施した。
[接着層用コーティング材の調製]
・樹脂;ポリエーテル系ウレタンポリマーW-6061(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;イソシアネート系硬化剤D-65(大日精化工業株式会社製)、10質量部
・紫外線吸収剤;Tinuvin479DW(BASF製)、7質量部
・光安定化剤;Tinuvin123DW(BASF製)、3質量部
上記実施例及び比較例の各化粧シートについて、評価結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1に示す通り、本実施例により、耐候性に優れた物性を有する化粧シートが得られる。
【符号の説明】
【0076】
1 基材層
2 絵柄層
3 接着層
4 透明樹脂層
5 表面保護層
6 プライマー層
10 化粧シート
図1