(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176910
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】システム、画像形成装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/405 20060101AFI20241212BHJP
B41J 2/52 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N1/405 510
B41J2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095780
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 興宜
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 尚
【テーマコード(参考)】
5C077
【Fターム(参考)】
5C077LL19
5C077MP08
5C077NN08
5C077PP20
5C077PQ08
5C077TT05
(57)【要約】
【課題】階調数及び粒状感を維持しながら、データ転送量を抑える。
【解決手段】第1の解像度の第1の画像を取得する。第1の解像度の第1の画像に基づいて第2の解像度の第2の画像を生成する。この第2の画像の1画素の階調値は、第1の画像のうち1画素に対応する領域を第1の解像度及び第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す。第2の画像を画像形成装置に送信する。受信した第2の画像を第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する。第2の画像の1画素について階調値に対応する第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って第3の画像を生成し、第3の画像の1画素に対応するドット配置は、第1の閾値マトリクスのうち1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、画像形成装置と、を備えるシステムであって、
前記情報処理装置は、
第1の解像度の第1の画像を取得する取得手段と、
前記第1の解像度の第1の画像に基づいて第2の解像度の第2の画像を生成する第1の変換手段であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、第1の変換手段と、
前記第2の画像を画像形成装置に送信する送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記第2の画像を受信する受信手段と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する第2の変換手段であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、第2の変換手段と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記第2の変換手段は、前記第2の画像を、前記第3の解像度に従う第2の閾値マトリクスを用いて前記第3の画像に変換することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の閾値マトリクスは、前記1画素に対応する領域における各閾値の大小関係が、前記第1の閾値マトリクスにおける前記1画素に対応する領域における各閾値の大小関係と等しいことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の閾値マトリクスは、前記第1の閾値マトリクスと同一のマトリクスであることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係と、前記第2の画像の前記1画素の階調値と、に基づいて定められていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3の画像の第1の画素に対応する領域において、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における閾値が小さい順に、前記第2の画像の前記1画素の階調値分の数の画素位置にドットが形成されるように、前記第3の画像の前記第1の画素に対応するドット配置が定められることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の解像度と前記第2の解像度とが同一であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の解像度が前記第1の解像度よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の画像の解像度を前記第3の解像度に変換する第3の変換手段と、
前記第3の解像度の前記第1の画像を、前記第1の閾値マトリクスを用いて二値化した第4の画像に変換する第4の変換手段と、を更に備え、
前記第1の変換手段は、第3の画像の1画素の階調値を、前記第4の画像の前記1画素に対応する領域に含まれるドット数とすることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
2値画像の粒状感を評価する評価手段をさらに備え、
前記第4の画像と、前記第3の画像との粒状感の評価の差が所定の範囲内となることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の閾値マトリクスに基づいて、前記第2の画像の階調値にそれぞれ対応する、第2の解像度に従う第2の閾値マトリクスを複数生成する生成手段をさらに備え、
前記第1の変換手段は、前記第1の画像と複数の前記第2の閾値マトリクスとに基づいて、前記第2の画像を生成することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
第1の解像度の第1の画像に基づいて生成される、第2の解像度の第2の画像を受信する受信手段であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、受信手段と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する第2の変換手段であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、第2の変換手段と、
を備える、画像形成装置。
【請求項13】
第1の解像度の第1の画像を取得する工程と、
前記第1の解像度の第1の画像に基づいて第2の解像度の第2の画像を生成する工程であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、工程と、
前記第2の画像を画像形成装置に送信する工程と、を備え、
前記第2の画像を受信する工程と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する工程であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、工程と、
を備える情報処理方法。
【請求項14】
第1の解像度の第1の画像に基づいて生成される、第2の解像度の第2の画像を受信する工程であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、工程と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する工程であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、工程と、
を備える、情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1乃至11の何れか一項に記載のシステム又は請求項12に記載の画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、画像形成装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットの画像形成装置は、入力解像度で入力された画像データを、吐出口の解像度である出力解像度でのドット配置(ドットの形成又は非形成)のデータに置き換えることで、印刷媒体であるインクジェット用紙に画像を形成する。このような画像形成装置において、画像を形成するためのドットの配置を決定する画像形成データの生成は、一般的に多値(例えば8ビット)で入力された画像データに量子化処理を施すことで行われる。ここでは、画像データの量子化処理は、画像データを、ドットの形成(階調値1)又は非形成(階調値0)が定められた各画素の2値データにすることで行われる。この量子化処理は、ドットの形成/非形成の配置がある単位面積の複数画素でまとまった結果、多値を表せるようになることから、面積変調とも呼ばれる。例えば、入力画像が8bit256階調の場合、16x16ドットの単位面積があれば、ドットの形成/非形成で同様の0~255の階調値を実現できる。
【0003】
近年、インクジェットの高画質化に伴って、従来の商業オフセット印刷の分野にもインクジェット画像形成が利用できるようになっていることから、インクジェット画像形成においてより高画質かつ高解像度の形成が求められるようになってきている。
【0004】
この高画質かつ高解像度の画像形成を実現するために、吐出口を含む記録ヘッドの画像形成素子の集積密度を高めた高密度記録ヘッドが用いられるようになっている。これら高密度記録ヘッドによる画像形成の解像度は、入力される一般的な画像データの解像度(例えば300dpi、又は600dpi)よりも大きいものを採用することが可能である。入力される画像の解像度よりも画像形成時の解像度を高くすることができる高密度記録ヘッドは、面積変調に適したデバイスとなっている。
【0005】
入出力の画像の解像度と量子化処理とによって実現される画質要素には、解像感(ジャギー)、階調数、及び粒状感の3つが存在する。解像感(ジャギー)は、画像のがたつき(ジャギー)に関する画質要素であり、入力される画像データの入力解像度に依存する。階調数は、面積変調の実力を表す。この階調数は、ある解像度の画素あたりで再現可能な階調数であり、入出力の画像の解像度の関係に大きく依存する。粒状感は、画像のざらつきに関する画質要素であり、画像形成時のドット配置に大きく依存する。
【0006】
特許文献1に記載の量子化方法では、テーブルメモリに格納されたドット配置パターンを使用することで、階調数を実現しつつ、データ転送量を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、粒状感の低減を目的として、高密度記録ヘッドの解像度に合わせた高解像度量子化を行うと、量子化後の画像データのデータ量が膨大となってしまうという問題があった。また、特許文献1に記載の技術では、入力解像度で多値量子化した後に、テーブルメモリに格納された複数のドット配置パターンを順繰りに割り当てるため、画像形成時の解像度ではドット配置コントロールができず、粒状感が視認されやすくなってしまう場合があった。
【0009】
本発明は、階調数及び粒状感を維持しながら、データ転送量を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、例えば、一実施形態に係るシステムは以下の構成を備える。すなわち、情報処理装置と、画像形成装置と、を備えるシステムであって、前記情報処理装置は、第1の解像度の第1の画像を取得する取得手段と、前記第1の解像度の第1の画像に基づいて第2の解像度の第2の画像を生成する第1の変換手段であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、第1の変換手段と、前記第2の画像を画像形成装置に送信する送信手段と、を備え、前記画像形成装置は、前記第2の画像を受信する受信手段と、前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する第2の変換手段であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、第2の変換手段と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
階調数及び粒状感を維持しながら、データ転送量を抑える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る画像形成装置の一例を示す斜視図。
【
図2】実施形態1に係る記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態1に係るシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図4】実施形態1に係る画像処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】実施形態1に係るシステムの機能構成の一例を示す図。
【
図6】システムにより生成される複数種類の画像データの一例を示す図。
【
図7】システムにより生成されるマトリクスの一例を示す図。
【
図8】実施形態1に係るシステムによる情報処理の一例を示すフローチャート。
【
図10】転送時のデータ量を他の例と比較するための図。
【
図13】実施形態2に係るシステムの機能構成の一例を示す図。
【
図14】実施形態2に係るシステムによる情報処理の一例を示すフローチャート。
【
図15】実施形態3に係るシステムの機能構成の一例を示す図。
【
図16】実施形態3に係るシステムによる情報処理の一例を示すフローチャート。
【
図17】実施形態4に係るシステムの機能構成の一例を示す図。
【
図18】実施形態4に係るシステムによる情報処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
[用語の定義]
以下、各実施形態において使用する用語を定義する。
【0015】
[入力解像度]
以下においては、「入力解像度」とは、各実施形態に係る画像形成システムにおいてユーザが入力する入力画像データの解像度を示すものとする。以下においては、入力解像度が、XxYが600dpix600dpiであるものとして説明を行うが、(入力解像度)<(出力解像度)の関係が成り立つのであれば特にこのように限定するわけではない。
【0016】
[出力解像度]
以下においては、「出力解像度」とは、各実施形態に係るシステムにおいて使用されるインクジェット記録ヘッドが形成する画像の解像度を示すものとする。後述する
図1においてY方向として示される主走査方向に沿った方向は、使用するインクジェット記録ヘッドの吐出口ピッチと一致し、解像度1200dpiであるものとする。各実施形態においては副走査方向も同じ解像度とし、XxYが1200dpix1200dpiであるものとして説明を行うが、(入力解像度)<(出力解像度)の関係が成り立つのであれば特にこのように限定するわけではない。出力解像度は、例えば2400dpi又は4800dpiなどユーザ所望の条件及び環境に応じて任意の値を使用することが可能である。
【0017】
[画素]
以下においては、「画素」とは、それぞれの解像度での最小単位の1区画を表すものとする。
【0018】
[ピクセル]
[サブピクセル]
以下においては、「ピクセル」とは、入力解像度単位の画素を指すものとする。また、以下においては、「サブピクセル」とは、出力解像度単位の画素を指すものとする。例えば、入力解像度を600dpix600dpiとし、出力解像度を1200dpix1200dpiとした場合、入力解像度1ピクセル(=画素)に対して、2x2のサブピクセルが対応する。なお、以下においては、600dpix600dpi、1200dpix1200dpiをそれぞれ単に600dpi、1200dpiと表す場合がある。
【0019】
[閾値マトリクス]
以下においては、「閾値マトリクス」とは、ディザ処理の閾値をあらわすマトリクスを指すものとする。閾値マトリクスについて、具体的な例は
図7を参照して後述する。また、閾値マトリクスとして、「閾値MTX」又は「ディザパターン」と記載する場合がある。
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
[実施形態1]
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係るシステム(画像形成システム)において採用される、画像データの量子化処理とドット展開処理とを適用可能なシリアル型のインクジェット画像形成装置300における画像形成部の概要を示す斜視図である。以下において、このシステムをインクジェット画像形成システム、又は単に画像形成システムと称する場合がある。また、以下においてはインクジェット画像形成装置300を指して単に画像形成装置300と称する。
【0022】
画像形成部に給送された印刷媒体Pは、搬送経路上に配置された搬送ローラ101とこれに従動するピンチローラ102とを含むニップ部によって、搬送ローラ101の回転に伴い、図中矢印Y方向(副走査方向)に搬送される。
【0023】
プラテン103は、インクジェット形態の記録ヘッド303の吐出口が形成された面(吐出面)と対向する画像形成位置に設けられ、印刷媒体Pの裏面を下方から支持することで、印刷媒体Pの表面と記録ヘッド303の吐出面との距離を一定に維持する。プラテン103上で画像形成が行われた領域の印刷媒体Pは、排出ローラ105とこれに従動する拍車106とにニップされながら、排出ローラ105の回転に伴ってY方向に搬送され、排紙トレイ107に排出される。排出ローラ105及び拍車106が印刷媒体搬送方向の下流側にある第2の搬送手段の構成要素をなす。
【0024】
記録ヘッド303は、その吐出口面をプラテン103又は印刷媒体Pに対向させた姿勢で、キャリッジ108に着脱可能に搭載されている。キャリッジ108は、キャリッジモータの駆動力により2本のガイドレール109及び110に沿ってX方向に往復移動され、その移動の過程で記録ヘッド303が画像形成信号に応じた吐出動作を実行する。
【0025】
キャリッジ108が移動するX方向は、印刷媒体が搬送されるY方向と直交する方向であり、ここでは主走査方向と呼ばれる。これに対し、印刷媒体搬送のY方向は副走査方向と呼ばれる。キャリッジ108及び記録ヘッド303の主走査(画像形成を伴う移動)と、印刷媒体の搬送(副走査)とを交互に繰り返すことにより、印刷媒体Pに、段階的に画像が形成される。
【0026】
図2は、記録ヘッド303を吐出口形成面から観察した場合の概略図である。本実施形態に係る記録ヘッド303は、シアン画像形成素子列21、マゼンタ画像形成素子列22、イエロー画像形成素子列23及びブラック画像形成素子列24を備えている。このように、本実施形態に係る記録ヘッド303はCMYKの4色を用いて画像形成を行うものとするが、この色及び色数は特に限定はされない。例えば記録ヘッド303は、ライトシアン、ライトマゼンタ、又はグレーなどの同系色で濃度の違うものを用いてもよく、レッド、グリーン及びブルーなどの特色を有するのであればその色数分のプレーン数で処理を行ってもよい。本実施形態に係る記録ヘッド303が有する各画像形成素子列は、
図2に示すようにX方向に並列している。さらに、これらの画像形成素子の吐出口列には、インクを吐出する吐出口が一定のピッチでY方向に128個配置されている。
【0027】
本実施形態においては、記録ヘッド303の各吐出口列のY方向における幅は1200dpiにおける1画素分の約21μmとし、1回の走査によって約21μmの幅の画像形成が可能となっている。また、この各吐出口の直下には不図示の画像形成素子が設置されており、画像形成素子が駆動されることで生成される熱エネルギーによって直下のインクが発泡し、それにより吐出口からインクが吐出される。なお、以下においては、同じ色かつ同じ量のインクを吐出する列を形成する複数の吐出口の直下に形成された複数の画像形成素子からなる列を指して、画像形成素子列と称するものとして説明を行う。なお、
図2に示す記録ヘッドの構成は一例であり、公知の画像形成装置が有するものを任意に採用可能である。
【0028】
図3は本実施形態に係る情報処理装置を含む、インクジェット画像形成システムの各装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施形態におけるインクジェット画像形成システムは、情報処理装置316及びインクジェット画像形成装置300(以下、単に画像形成装置とも言う)を含む。
【0029】
本実施形態に係る画像形成装置300は、制御部301、画像バッファ302、記録ヘッド303、モータ制御部304、I/F305、及びデータバッファ306を備えている。
図3において、制御部301は画像形成装置300全体を制御するためのものであり、CPUなどの制御装置と、ROM、及びRAMなどの記憶装置とによって構成されている。画像バッファ302は、記録ヘッド303に転送する前の画像データを、ラスタデータとして格納することができる。記録ヘッド303は、インク滴を吐出可能な複数の画像形成素子を有するインクジェット方式の記録ヘッドであり、画像バッファ302に格納された画像データに従って、各画像形成素子からインクの吐出を行う。モータ制御部304は画像形成装置300が備えるモータの動作を制御することにより、印刷媒体の搬送及び給排紙の制御を行う。インタフェイス(I/F)305は情報処理装置316との間でデータ信号の授受を行う。
【0030】
I/F信号線313は、画像形成装置300と情報処理装置316とを互いに通信可能に接続している。I/F信号線313は、例えばUSBケーブルなどの有線による接続を行ってもよく、無線のアクセスポイントを用いた無線通信ネットワーク、Wi-Fi Direct(登録商標)、又はローカル・エリア・ネットワークなどの無線による接続を行ってもよい。このようにI/F信号線313をネットワークを使った形式とすることで、情報処理装置316を画像形成装置300の遠隔地に設置する、又は、クラウド上のサーバーとして配置することも可能となる。また、I/F信号線313をシステムバスとすることも可能である。この場合には、画像形成装置300と情報処理装置316とを同じ基板上に、又は同じシステムチップ上に配置してもよい。
【0031】
データバッファ306は情報処理装置316から受信した画像データを一時的に格納しておく。システムバス307は画像形成装置300が備える各機能部を接続する。
【0032】
本実施形態に係る情報処理装置316は、制御部308、I/F309、表示部310、操作部311、及び接続I/F314を備えている。制御部308は、情報処理装置316における画像の作成及び画像データの制御などの各種処理を制御する制御部であり、CPUなどの制御装置と、ROM、及びRAMなどの記憶装置とによって構成されている。I/F309は画像形成装置との間でデータ信号の授受を行う。接続I/F314は、画像供給装置315から、(例えば、ユーザが入力する)画像データを受信し、受信した画像データを、システムバス312を介してデータ信号として情報処理装置316内に供給する。
【0033】
表示部310は、例えばディスプレイであり、ユーザに対し各種処理結果を表示する。表示部310は、情報処理装置316がパーソナルコンピュータ(PC)である場合には液晶ディスプレイ(LCD)などであってもよく、情報処理装置316が画像形成装置300と一体の装置である場合にはタッチパネル液晶の液晶部としてもよい。操作部311は、例えばキーボード及びマウス、又はタッチパネルなどであり、ユーザからの操作を受け付ける。操作部311は、情報処理装置がPCである場合にはキーボード及びマウスとしてもよく、情報処理装置が画像形成装置と一体の装置である場合にはタッチパネル又はプッシュボタンなどの機械式スイッチとしてもよい。システムバス312は、情報処理装置316が備える各機能部を接続する。
【0034】
なお、情報処理装置316は、PCであってもよく、スマートフォンなどの携帯端末であってもよく、サーバ装置であってもよく、同様の処理が可能なのであれば特にその態様に限定はされない。また情報処理装置316は、
図3の例では画像形成装置300と別体の装置であるものとして図示されているが、例えば画像形成装置300内に内蔵されているなど、画像形成装置と一体の装置であってもよい。
【0035】
画像供給装置315は、本実施形態に係る情報処理装置316に画像データを供給する。本実施形態に係る画像供給装置315は、例えばユーザ操作に応じて、ユーザにより選択された画像データを情報処理装置316に送信するものとする。しかしながら、例えば画像供給装置315が撮像機能を備えた撮像装置であり、撮像画像を情報処理装置316に送信するようにしてもよい。また例えば画像供給装置315は、USBメモリ又はDVDディスクなどの画像データを格納可能な記憶媒体であり、情報処理装置316により参照されて画像データを読み出されるものであってもよい。
【0036】
図4は、本実施形態の情報処理装置316が行う画像データの処理の一例を示すフローチャートである。
図4に係る処理は、情報処理装置316に画像データが入力された場合に、当該画像データを処理対象として開始されるものとする。
【0037】
S401で情報処理装置316は、画像データの色補正を行う。本実施形態においては、入力される画像データは600dpiのRGBデータであるものとして以下の説明を行う。色補正においては、R(レッド)、G(グリーン)及びB(ブルー)の各要素について0~255の値で表される輝度データに補正をかけることにより、画像形成装置300固有の色空間の(ここでは、RGB8bitの)輝度データに変換される。ここで、信号値を変換する方法は、予めメモリに格納されたルックアップテーブル(LUT)を参照するなど、公知の変換手法を任意に採用することが可能である。
【0038】
S402で情報処理装置316は、補正後のRGBデータを、画像形成装置300のインク色であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の4色の8bit濃度データに分解する。S402により、各色の単一チャンネルグレー画像が4プレーン分(4色分)生成される。S402に係るインク色の分解処理は、S401の色補正処理同様、予めメモリに格納されたルックアップテーブル(LUT)を参照するなど、公知の手法を任意に採用することが可能である。
【0039】
S403で情報処理装置316は、インク色の分解処理が行われた多値の色信号データCMYKそれぞれに対して、実際に形成されるドットの数を調整するための補正を行う。一般に、印刷媒体に形成されるドットの数と、その数のドットによって印刷媒体で実現される光学濃度は線形関係にはない。よって、この関係を線形にすべく多値の色信号データCMYKを一次変換することにより、印刷媒体に形成されるドットの数を調整する。具体的には、情報処理装置316は、それぞれのインク色に対応して用意された一次元ルックアップテーブルを参照することにより、CMYK色をC´M´Y´K´色に変換する。
【0040】
S404で情報処理装置316は、インク色分解された濃度データについて、各プレーンに対しディザ法を用いて量子化処理を実施し、階調数を低減する。
【0041】
S405で情報処理装置316は、量子化されたデータに対してドット展開を行うことができる。ドット展開については
図8を参照して後述する。S405においては、画像が、1ビット2値のデータに変換される。本実施形態に係るS405においては、情報処理装置316は、量子化データの値に応じて、要素ごとに、インクの形成(1)又は非形成(0)を規定する2値データを生成する。
【0042】
本実施形態では、吐出口の出力解像度が1200dpiである画像形成装置300を用いるものとする。以下、このような画像形成装置300を用いることに応じて、画像の出力時に、
図1におけるX方向の解像度が1200dpiかつY方向の解像度が1200dpiである、1200dpi×1200dpiの画像データにドット展開する場合について説明を行う。ディザ処理、閾値マトリクス、及びドット展開処理の詳細な内容については後に詳述する。本実施形態においては、元画像データであるRGBデータが、インク色CMYKごとに記録ヘッド303により形成可能な2値データに変換される。変換された画像データは画像形成装置300に出力される。
【0043】
図4で示す各処理は、本実施形態に係る画像形成システムにおいて実行される。例えば、情報処理装置316がS401~S404(量子化までの処理)を行い、画像形成装置300がS405のドット展開処理を行うようにすることができる。S404で生成された量子化データが画像形成装置300に転送され、画像形成装置300の制御部301がデータバッファ306を参照してドット展開を行い、この場合、量子化までを情報処理装置316が行う場合は、量子化データを画像形成装置300に転送し、画像形成装置300主制御部301がデータバッファ306を参照して、ドット展開を行い、画像形成を制御する。
【0044】
なお、各処理において用いられる入出力データのビット数に関しては、上述したビット数に制限されるわけではない。例えば、精度を保持するために出力データのビット数を入力データよりも高く設定してもよい。
【0045】
以下、本実施形態に係るシステムにおいて行われる量子化処理、及びドット展開処理について詳細に説明を行う。まず、本実施形態に係る画像形成処理において実現される画質要素について説明する。
【0046】
[入出力解像度と量子化処理とによって実現される画質要素]
本実施形態において、入出力解像度と量子化処理とによって実現される画質要素として、解像感(ジャギー)、階調数、及び粒状感について説明を行う。解像感は、画像のがたつき、すなわちジャギーに関する画質要素であり、入力される画像データの入力解像度に依存する。階調数は、面積変調の実力を表す。ここで、階調数は、ある解像度の画素あたりで再現可能な階調数であり、入出力の解像度の関係に大きく依存する。粒状感は、画像のざらつきに関する画質要素であり、画像形成時のドット配置、すなわち出力解像度でのドットの分散性に大きく依存する。例えば、入力解像度が600dpiであるのに対して、出力解像度が1200dpiである場合、入力の1画素に対して、出力解像度での2x2画素が対応する。したがって、階調数に関して、入力1画素に対して、出力で4階調が実現できる。
【0047】
1200dpiの高密度記録ヘッドのポテンシャルを生かして、粒状感を抑え、出力解像度での分散性を担保するには、記録ヘッドの出力解像度である1200dpiでのディザ処理を行うことが考えられる。これは、1200dpiでのディザ処理を行うことにより、1200dpi単位でのドット分散性を考慮したブルーノイズディザマトリクスを使用することができ、出力解像度でのドットの分散性を実現できるからである。
【0048】
しかしながら、階調数を維持するのに加え粒状感の低減を目的として、高密度記録ヘッドの解像度に合わせた高解像度量子化を行うと、量子化後の画像データのデータ量が膨大となってしまう。そこで、本実施形態に係るシステムでは、出力解像度の1200dpi単位でのドット分散性を担保しつつ、装置間で送受信する画像データのデータ量を抑えるための処理が行われている。
【0049】
[本実施形態でのディザ処理、閾値マトリクス(MTX)、及びドット展開処理]
図5は、本実施形態に係るディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドット展開処理について説明を行うための、画像形成装置300並びに情報処理装置316の機能部の一例を示すブロック図である。まず、本実施形態に係るシステムにおける処理の流れをこのブロック図を参照して説明する。
【0050】
本実施形態に係る情報処理装置316は、データ取得部501、解像度変換部502、量子化処理部503、変換処理部504、及びデータ転送部506を備える。また、本実施形態に係る画像形成装置300は、データ受信部507、ドット展開部508、及びMTX生成部509を備える。
図5に示す各機能部は、
図4のS404~S405にかけての処理を行う。
【0051】
データ取得部501は、(例えば、画像供給装置315から)第1の解像度の入力画像を取得する。本実施形態に係る第1の解像度は、画像形成装置300による出力解像度よりも低い解像度であり、ここでは600dpiであるものとして説明を行う。データ取得部501が入力画像を取得することにより、
図4に示す処理が開始される。なお、以下においては、データ取得部501は、S401~S403後の、階調補正後の画像データ(ここでは、600dpix600dpi、C´M´Y´K´各色8bitのデータ)を入力画像として取得して後述する処理に用いるものとして説明を行う。また、C´M´Y´K´各色についてそれぞれ処理が行われるが、同様の処理であるため、K’1色についての処理を取り上げて説明する。
【0052】
本実施形態に係る情報処理装置316は、データ取得部501が取得した画像に基づいて、出力解像度よりも低い解像度の多値画像を生成し、画像形成装置300に送信する。この多値画像は、例えば後述する
図6の(I5)に示される画像であり、入力画像と等しい解像度を有する。またこの多値画像は、1画素の階調値が、入力画像のうち当該1画素の対応する領域を出力解像度に変換してから後述する第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示すように生成されてもよい。なお、以下においてはこのように画像形成装置300に画像データ(多値画像)が送信される際の解像度を転送解像度と呼ぶものとする。以下、そのような多値画像の生成処理について説明を行う。
【0053】
解像度変換部502は、入力画像(8bit画像データ)を、出力解像度の1200dpiの8bit画像データに解像度変換する。解像度変換部502は、例えばニアレストネイバなどの公知の補間方式により、入力画像をより高い解像度となるように変換することができる。
【0054】
量子化処理部503は、解像度変換された1200dpi8bit(階調値0~255)の画像を、第1の閾値マトリクスを用いた2値ディザによってディザ処理する。ここでは、第1の閾値マトリクスを用いた二値化処理により、画像の各要素が、1(ドット形成)又は、0(ドット非形成)となる、1200dpi1bit(2値、階調値が0又は1)の画像データへと階調数が低減される。なお、ここで用いられる第1の閾値マトリクスとしては、例えば出力解像度に従う、1200dpi8bitの閾値マトリクス(M1)(後述)が用いられる。
【0055】
変換処理部504は、データ転送量を圧縮するために、1200dpi1bit(2値)の画像データを、転送解像度の多値画像(ここでは、600dpi3bit(5値、階調値0~4))に変換する。変換処理部504が行う変換処理については
図6を参照して後述する。データ転送部506は、変換処理部504により変換された多値画像を、情報処理装置316から画像形成装置300に転送する。
【0056】
データ受信部507は、データ転送部506により転送された600dpi3bitの画像データ(多値画像)を受信する。
【0057】
ドット展開部508は、データ受信部507が受信した画像データを、出力解像度の2値画像であるドットイメージに変換し、1200dpi1bit(2値)(階調値0~1)データへと階調値を低減する。ここでは、ドット展開部508は、転送解像度の多値画像の1画素について、当該1画素の階調値に対応する、多値画像におけるドット配置を示す情報に従ってドットイメージへの変換を行う。この多値画像におけるドット配置を示す情報は、閾値マトリクスの、上記1画素に対応する領域における、各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている。本実施形態においては、ドット配置を示す情報は、後述するサブピクセル閾値順マトリクス(以下、閾値順マトリクス)M2により示されるものとするが、閾値順マトリクス(M2)の生成処理については後述する。
【0058】
MTX生成部509は、閾値マトリクス(M1)を入力として、2x2のサブピクセル内での閾値順を順序付け、閾値順マトリクスM2を生成する。MTX生成部509の行う処理については後述する。
【0059】
以下、
図6~
図8を参照して、情報処理装置316及び画像形成装置300が行う処理について説明を行う。
【0060】
図6は、情報処理装置316による変換処理により生成される複数種類の画像データ、及びドット展開部508により生成される画像データの一例を示す図である。
図6において示されるマスは、その画像データにおける最小単位の1画素を表している。ここでは、マスのサイズは2種類示されており、大きなマスは600dpiの1画素を、小さなマスは1200dpiの1画素を表しているものとする。すなわち、大きなマスは、小さなマスの2x2個分に相当している。画像サイズは任意だが、
図6においては説明のため、600dpiでは4x4画素、1200dpiで8x8画素のデータに対して処理を行うものとして図示している。
【0061】
図7は、本実施形態において用いられる閾値マトリクスについて説明するための図である。
図7において示されるマスはディザパターンの1画素を表している。ここでは、マスのサイズは2種類示されており、大きなマスは600dpiの1画素を、小さなマスは1200dpiの1画素を表しているものとする。すなわち、大きなマスは、小さなマスの2x2個分に相当している。ディザパターンのサイズは任意だが、
図7においては説明のため、600dpiでは4x4画素、1200dpiで8x8画素のデータに対して処理を行うものとして図示している。
【0062】
実際には8bit256階調を表現するには、0~255のドット数を打ち分けられる必要があり、少なくとも16x16画素が必要となる。したがって、本来、少なくとも16x16画素のディザパターン中に0~255のすべての数字が閾値として現れるはずだが、ここでは説明のため、図を簡潔にし、図示されている閾値は離散的な値となっている。したがって、本実施形態を実施する場合、16x16画素以上のサイズの閾値マトリクスを使用することが好ましい。
【0063】
図8は、本実施形態に係る情報処理装置316及び画像形成装置300が行う、ディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドット展開処理を含む情報処理の一例を示すフローチャートである。
図8においては、S801~S808は情報処理装置316が行う処理であり、S809~S818は画像形成装置300が行う処理であるものとして説明を行う。
【0064】
S801でデータ取得部501は、入力解像度の入力画像を取得する。ここで入力されるデータは、例えば、
図6の(I1)に示すように、600dpiの4x4画素の、全画素K’=128となる画像データであるものとして以下の説明を行う。
【0065】
S802で解像度変換部502は、取得した入力画像(600dpi8bit(階調値0~255))を、ニアレストネイバなどの公知の解像度変換処理により、出力解像度である1200dpiの解像度に変換する。これによって、
図6の(I2)のように1200dpiの8x8画素のデータが得られる。
図6の(I1)において太い実線で示す左上の1画素は、この変換によって、
図6の(I2)の左上の太実線枠で表される2x2画素に変換される。
【0066】
S803で量子化処理部503は、次のS804で使用する出力解像度に従う閾値マトリクス(M1)を読み出す。ここで読みだす閾値マトリクスは出力解像度1200dpiの8x8サイズのマトリクスで、
図7の(M1)となる。
【0067】
S804で量子化処理部503は、解像度変換された1200dpi8bitの画像データを、S803で読み出した閾値マトリクス(M1)を用いて2値量子化(2値化)し、階調値を低減する。ここでは、例えば、画像データと閾値マトリクスとの対応する位置の画素値と閾値とを比較し、画素値が閾値を超える場合に階調値1(ドットを形成)とし、そうでない場合には階調値0(ドットを非形成)とすることにより、画像データの二値量子化が実行される。ここでは、
図6に示される解像度変換後の入力画像(I2)の左上端の画素値は128となっており、
図7に示される閾値マトリクス(M1)の左上端の閾値は166となっている。これらの値を比較すると、画素値が閾値以下であることから、二値化画像の当該位置の値は0(ドットを非形成)となる。
【0068】
入力画像(I2)のすべての画素について、同様に2値量子化処理した結果生成される二値化画像が、
図6の(I3)となる。
図6の二値化画像(I3)では、ドットを形成する(値が1となる)画素について黒丸印が記載されている。例えば、(I3)のうち、左上端の画素はドットが非形成となっていることがわかる。このような処理によって、1200dpi1bitの2値画像(ドットイメージ)が得られる。
【0069】
S805で変換処理部504は、データ転送量を圧縮するために、1200dpi1bitの画像データを、600dpi3bitで表される多値画像に変換する多値低解像度変換処理を行う。本実施形態に係る多値低解像度変換処理であるS805は、S806及びS807の2つの工程を含む。
【0070】
S806で変換処理部504は、二値化画像について、転送解像度の画素単位で、ドット数カウントを実行する。ここで、ドット数カウントとは、条件を満たす領域における、上述のように二値化された画像のドットの数をカウントする処理である。ここでは、変換処理部504は、転送解像度が入力解像度と同じ600dpiであり、この解像度での1画素に対応する領域ごとに、二値化画像のドット数をカウントする。
図6の例では、まず、1200dpi1bitの二値化画像(I3)を、600dpi単位で区切る。
図6の(I4)はこのようにして二値化画像(I3)を600dpi単位で(2×2のサブピクセルごとに)区切った図であり、600dpi単位が太線で描かれている。ドット数カウントにより、この2x2のサブピクセル内のドット数がそれぞれカウントされ、そのドット数が多値画像の画素ごとの階調値となる。すなわち、転送解像度の多値画像は、1画素の階調値として、二値化画像の当該1画素に対応する領域におけるドット数を有することになる。
【0071】
2x2のサブピクセルで表現可能な階調数は、2x2のサブピクセルに形成可能なドット数と等価である。2x2のサブピクセルには0~4ドットを置くことができるから、階調数は5、階調値0~4を表現可能である。こうして、2x2のサブピクセルでのドット数情報を多値画像の階調値として画像形成装置300に送信することで、データの転送後も階調数を維持することができる。このようにして得られた入力解像度600dpi(5値)(階調値0~4)の多値画像が
図6(I5)となる。
図6(I4)の左上端の太線内を見ると2x2画素に2ドットの形成ドットが存在している。したがって、転送解像度の600dpiで見た場合、対応する画素位置で2ドット形成すべきとなる。多値画像(I5)の左上の画素には、この2x2のサブピクセルでの総ドット数「2」に対応して、「2」が階調値として記載されている。S807で変換処理部504は、多値画像の各画素について同様に階調値を取得し、(I5)の多値画像を得る。
【0072】
S808でデータ転送部506は、生成した600dpi3bitの多値画像を画像形成装置300に送信する。
【0073】
S809でデータ受信部507は、データ転送部506により送信された多値画像を受信する。S810でドット展開部508は、ドット展開に使用するために、閾値マトリクスの読み出しを行う。ここでは、
図7の閾値マトリクス(M1)が読み出される。
【0074】
S811でドット展開部508及びMTX生成部509は、読み出した閾値マトリクスを利用することで、ドット展開処理を行う。本実施形態に係るドット展開処理であるS811は、S812~S818の7処理を含む。
【0075】
S812でMTX生成部509は、閾値マトリクスに基づいて、ドット展開処理に使用する閾値順マトリクスを生成する。閾値順マトリクスとは、閾値マトリクスの、多値画像の1画素に対応する領域(ここでは、2x2のサブピクセル内)での閾値の大小関係を示すマトリクスである。ここで、閾値順マトリクスにおいては、サブピクセル内の閾値の数字が昇順にソートされ、それぞれソート順の数字がサブピクセル内の各要素に示されている。以下、多値画像の1画素に対応する領域の一例として、2×2のサブピクセルが参照される。
【0076】
例えば、
図7の閾値マトリクス(M1)の左上端の2x2のサブピクセルに着目する。出力解像度1200dpiで見た場合、このサブピクセル内で、ドットが打たれやすい順は、閾値が小さい順となる。ここでは、転送解像度の画像は、出力解像度に解像度変換すると2x2の4画素ともに同じ画素値となる。したがって、2x2のサブピクセルに1ドットの形成を行う場合には、一番小さい閾値に対応する位置が形成画素となる。同様に2ドット形成の場合には、1番目と2番目に小さい閾値と対応する画素が形成画素となる。さらに同様に3ドット形成の場合には、1~3番目に小さい画素が形成画素となる。閾値マトリクス(M1)の左上端の2x2のサブピクセルの閾値は、166(左上),231(右上),36(左下),及び117(右下)となっており、小さい順にソートすると36→117→166→231となる。閾値マトリクス(M1)の全体について、対応する2x2のサブピクセル内での閾値の値の順番を記すことで、
図7に示される閾値順マトリクス(M2)が生成される。
【0077】
S813からS818の各処理は、画像形成装置300に入力された多値画像の全画素について1画素ごとに繰り返しループして行われる。ここでは、入力された多値画像は、
図6の(I5)に示される4x4画素であるものとして説明を行うため、16画素分の繰り返し処理が行われる。S813でドット展開部508は、多値画像の画素のうちの1つを処理対象として選択する。ここでは、最初のループ処理においては、多値画像の左上端の1画素が処理対象とされるものとする。
【0078】
S814からS817の各処理は、2x2のサブピクセル内の全画素について1画素ごとに繰り返しループして(ここでは、計4ループ)処理が行われる。S814でドット展開部508は、1画素のサブピクセルのうちの1つを処理対象として選択する。最初のループ処理においては、2×2のうちの左上のサブピクセルが処理対象とされるものとする。
【0079】
S815でドット展開部508は、多値画像(I5)の階調値と、閾値順マトリクス(M2)の、処理対象とするサブピクセルの閾値との比較処理を行う。階調値が閾値以上である場合(Yes)には処理がS816に進み、そうでない場合(No)には処理対象のサブピクセルにはドットを形成しないものとして処理がS817へと進む。S816でドット展開部508は、処理対象としているサブピクセルにおいてドットを形成するものとして設定を行い、処理をS817へと進める。S817でドット展開部508は、サブピクセル全てが処理対象とされたか否かを判定し、されていない場合には処理をS814へと戻し、されている場合には処理をS818へと進める。
【0080】
ここで、S814からの最初のループ処理について、具体例を挙げて説明を行う。まず
図6において多値画像(I5)の左上端の階調値は2であり、
図7において左上端の太線枠の2x2枠内の、処理対象となる左上のサブピクセルの閾値は3である。階調値の方が閾値より小さいので「No」となり、処理対象のサブピクセルにおいてはドットの形成は行われないものとされる。その場合、S817からS814に戻って、次のサブピクセルを処理対象としてループ処理が行われる。ここでは、閾値順マトリクス(M2)の左上端の太線枠の2x2枠内の右上の閾値は4である。階調値である2と閾値の4とを比較した結果、階調値の方が閾値より小さいので「No」となり、処理対象のサブピクセルにおいてはドットの形成は行われないものとされる。次いで再びS817からS814に戻り、次のサブピクセルを処理対象とする。閾値順マトリクス(M2)の左上端の太線枠の2x2枠内の左下の閾値は1である。階調値である2と閾値の1とを比較した結果、階調値が閾値以上であるため「Yes」となり、S816において、処理対象のサブピクセルにおいてドットが形成されるものとして設定が行われる。さらに、再びS817からS814に戻り、最後のサブピクセルを処理対象としてループ処理が行われる。閾値順マトリクス(M2)の左上端の太線枠の2x2枠内の右下の閾値は2である。階調値である2と閾値の2とを比較した結果、階調値が閾値以上であるため「Yes」となり、S816において、処理対象のサブピクセルにおいてドットが形成されるものとして設定が行われる。次いで、S817においてドット展開部508は、処理対象である1画素の2×2のサブピクセル全てを処理対象としたため、処理をS818へと進める。
【0081】
S818でドット展開部508は、S813において多値画像の全ての画素を処理対象としたか否かを判定し、処理対象とした場合には
図8の処理を終了し、そうでない場合には処理をS813へと戻す。
【0082】
このような処理により、全画素の全サブピクセルに対してドット展開処理を行った結果生成されるドット展開結果が、例えば
図6の展開結果(I6)のように示される。展開結果(I6)を見ると、データ転送処理であるS808の前に生成した出力解像度の2値量子化結果である二値化画像(I3)と一致していることがわかる。このように
【0083】
このような処理によれば、データの転送時に出力解像度よりも小さい解像度(ここでは600dpi)の画像データを送付しつつも、転送後に出力解像度の2値量子化結果を実現することができ、出力解像度のドット分散性を実現できる。
【0084】
以下においては、本実施形態に係る処理における、データ量及び粒状感などの画質要素に関する効果について、比較例と比較しながら説明を行う。そのために、比較例について、
図9を参照しながら説明する。
【0085】
[比較例]
以下においては、比較例として、多値量子化処理(擬似中間調処理)後に、多値量子化時に用いるディザマトリクスと関連を持たないドットパターンによってドット展開処理を行う場合の処理について説明する。
【0086】
図9は、比較例のドット展開処理について説明するための図である。ここでは、比較例に係る処理が情報処理装置316及び画像形成装置300により行われるものとして説明を行う。比較例に係る処理は、特許文献1に記載の方法により実行が可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0087】
図9(a)は、文献1に記載の方法を実行する情報処理装置316及び画像形成装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。比較例に係る情報処理装置316は、解像度変換部502、量子化処理部503、及び変換処理部504に代わり量子化処理部901を有することを除き
図5に示すものと同様の構成を有し、同様の処理を行うことが可能である。また、比較例に係る画像形成装置300は、ドット展開部508、及びMTX生成部509に代わりパターン展開部902を有することを除き
図5に示すものと同様の構成を有し、同様の処理を行うことが可能である。
【0088】
比較例に係る量子化処理部901は、多値の誤差拡散処理を行うことで、多値画像として、入力解像度600dpi3bit5値の多値量子化データを得る。ここで、量子化処理部901は、誤差拡散係数M9を参照している。
【0089】
本比較例においては、テーブルメモリに多値の出力値(インデックス番号)に応じたドットパターンが格納されており、パターン展開部902が、特許文献1に記載の方法により、このインデックスパターンを使用することによりドット展開を行う。
【0090】
パターン展開部902は、インデックスパターンJ1を参照してドット展開を行う。ここで、インデックスパターンJ1には、
図9(c)~(f)のインデックスパターンが格納されている。
図9(c)は、インデックスのレベル(階調値)1に対するパターンとなっている。
図9(c)を見ると、2x2の区画が4区画あり、それぞれの区画の形成ドット(黒丸印)の数は1つとなっている。同じドット配置が複数回続くと画像にテクスチャが現れるので、これら4つのパターンを順番に適用したり、ランダムに適用したりする。
図9(d)はレベル2に対応しており形成ドット数はいずれも2個となっている。
図9(e)はレベル3、
図9(f)はレベル4に対応している。
【0091】
比較例において、量子化処理部901が生成する多値画像は、
図6の多値画像(I5)となる。続いて、多値画像(I5)からパターン展開部902がインデックス展開する処理について説明を行う。
【0092】
多値画像(I5)の左上端の画素の階調値はレベル2である。この位置について、パターン展開部902は、レベル2に対応する
図9(d)の4区画の左端のドットパターンを、対応するパターンとして割り当てる。パターン展開部902は、このように各レベルが現れる順に各レベルの4種のパターンを順繰りに割り当てることで、多値画像からドット展開を行うことが可能である。ここでは、パターン展開部902によるドット展開処理により生成された展開結果が
図9(g)に示されている。
図9(g)に示される展開結果は、二値化画像(I3)と比較すると、多値画像の1画素ごとの階調数(ドット数)は維持されるものの、そのドット配置は維持されていない。
【0093】
[データ量の比較]
図10は、本実施形態に係る情報処理装置により画像形成装置300に送信される多値画像のデータ量と、比較例の方法により生成される多値画像のデータ量とを比較して説明するための図である。
【0094】
図10(a)は、計算の前提とした画像サイズを記載している。
図10(b)には、入力画像、2値処理したままの場合、比較例の方法により生成される多値画像(従来)、及び本実施形態の方法により生成される多値画像の、それぞれのデータ量が記載されている。入力画像のデータ量は1049MBであり、1200dpi2値での2値化処理を行ったそのままのデータ量は699MBである。一方で、比較例の方法と、本実施形態に係る方法とでは生成される多値画像は、解像度を600dpiとした多値データとして転送が行われるため、画像データ量は524MBに抑えられていることがわかる。
【0095】
[粒状感]
[粒状感の測定方法]
次いで、粒状感の測定方法の一例について説明を行う。ここでは、画像処理したデジタルのドットイメージデータ、又はスキャナを用いてスキャンしたドットイメージデータが測定の処理対象として準備される。このドットイメージデータに対して公知の2次元フーリエ変換(FFT)が施される。ここで2次元の複素数が得られるが、周波数ごとの特性とするために、Radial Frequencyごとの振幅を計算する。このRadial Frequencyごとの振幅は、原点(直流成分)から等距離にある振幅成分の2乗和をとり平均化した値となる。こうして得られた振幅(Power Spectrum)の一例が
図11に示されている。
【0096】
粒状感は、人間の視覚として感じるざらつきである。したがって、ここでは、人間の視覚特性を反映させるために、粒状感に人間の視覚の空間周波数特性(VTF)を反映させる。具体的には、得られたPower Spectrumと人間の視覚の空間周波数特性(VTF)とを空間周波数ごとに掛け合わせ、積分したものが粒状感となる。
【0097】
図11においては、本実施形態と比較例の方法とによる画像データの周波数特性が図示されている。
図11において、破線は、明視距離250mmにおける人間の視覚の空間周波数特性(VTF)を示す。
図11において、横軸は周波数(Radial Frequency)[cycle/mm]、縦軸はパワースペクトルである。グラフの左に行くほど低周波、右に行くほど高周波であることを示し、縦軸は当該周波数における強度(パワー)を示す。このVTFの人間の視覚特性では、低周波領域に高い感度を持ち、高周波領域では感度が低い。このため、低周波成分は目につきやすいが、高周波成分は目につきにくい。ブルーノイズ特性は、上記の視覚特性を踏まえたものであり、視覚特性上感度の高い(目に見えやすい)低周波領域はほとんどパワーを持たず、感度の低い(目に見えにくい)高周波領域にパワーを持つ。このため、周波数成分がほとんど見えず、粒状度の低い、快適な画像に見える。
【0098】
図11においては、×印で表されるグラフが比較例の方法による画像データの周波数特性を示す、太実線で表されるグラフが本実施形態の方法による画像データの周波数特性となっている。
図11を参照すると、VTFでも感度がある空間周波数3~7[cycle/mm]の区間では、比較例の方法による方が、本実施形態によるものよりもパワーが大きくなっている。したがって、本実施形態に係る処理により、比較例の方法によるものよりも粒状感が抑えられていることがわかる。
【0099】
図12は、本実施形態と比較例との方法による画像データの粒状感について説明する図である。
図12は、
図11において説明したVTFとパワーとを全周波数について積分したものを示すグラフであり、人間の視覚として感じる粒状感を表している。本実施形態に係る情報処理装置316及び画像形成装置300は、このように画像の粒状感を評価することが可能である。
図12において示されるように、本実施形態に係る処理によれば、比較例の方法によるものと比較して粒状感が抑えられていることがわかる。なお、粒状度は以上の定義に限定されるものではなく、ANSI(米国国家規格協会)規格にあるRMS粒状度などを使用することもできる。なお、本実施形態においては、二値化画像(I3)と、画像形成装置300のドット展開処理による展開結果(I6)とについて、上述のように評価される粒状感の差が、所定の範囲内となるように、各処理が行われてもよい。ここで、これらの粒状感がほぼ一致するように多値画像の生成及びドット展開処理が行われるようにすることで、粒状感を十分維持することが可能となる。
【0100】
[実施形態2]
実施形態1においては、ドット展開部508が、閾値順マトリクス(M2)を参照して、多値画像と閾値との比較処理を行うことによりドット展開処理を行い、ドットイメージの生成を行った。実施形態2に係る画像形成装置300は、この比較処理の代わりに予め展開済みのドットパターンを参照してドット展開処理を行う。以下、本実施形態に係る画像形成装置が行うドット展開処理について説明を行う。実施形態1と同様の構成及び処理に対しては同様の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0101】
図13は、本実施形態に係るディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドット展開処理について説明を行うための、画像形成装置300並びに情報処理装置316の機能部の一例を示すブロック図である。本実施形態に係るシステムにおいては、画像形成装置300がドット展開部508に代わりパターン展開部1301を有し、さらに追加でテーブル生成部1302を有することを除き、
図5と同様の構成を有するため、重複する説明は省略する。
【0102】
パターン展開部1301は、多値画像の階調値に応じたドット配置を示すドットパターンテーブルを参照し、多値画像からドット展開を行う。本実施形態に係るパターン展開部1301は、データ受信部507が受信した画像データ(多値画像)から、予め用意したドットパターンテーブル(M41~M44)に基づいてドット展開を行っている。本実施形態においては、ドットパターンテーブル(M41~M44)は、テーブル生成部1302が、閾値順マトリクス(M2)に基づいて生成する。
【0103】
本実施形態に係るドットパターンテーブル(M41~M44)は、閾値マトリクス(M1)と関連付けられており、閾値マトリクス(M1)によるドット展開時と同じドット配置を実現することができる。ドットパターンテーブル(M41~M44)は
図7に例示されている。
【0104】
図14は、本実施形態に係る情報処理装置316及び画像形成装置300が行う、ディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドットパターン展開処理を含む情報処理の一例を示すフローチャートである。
図14に示す処理は、S811に代わりS1401が行われることを除き
図8に示す処理と同様に行われる。S1401でパターン展開部1301はドットパターン展開処理を行う。本実施形態に係るドットパターン展開処理であるS1401は、S812と、S1402~S1403との3処理を含む。
【0105】
S812でMTX生成部509は、ドット展開処理に使用する閾値順マトリクス(ここでは(M2))を生成する。
【0106】
S1402でテーブル生成部1302は、この閾値順マトリクスを参照して、レベル毎のドットパターンテーブルを生成する。レベル1のドットパターンテーブルは、2x2のサブピクセルに打たれるドット数が1の場合に相当する。同様にレベル2は2ドット、レベル3は3ドット、レベル4は4ドットに相当するドットパターンテーブルである。したがって、レベル1の場合に、どのサブピクセルが軽視絵ドットとなるかは、閾値順マトリクスの1のサブピクセルを見ればよいことがわかる。同様に、レベル2の場合には、閾値順マトリクスの1及び2のサブピクセルが形成ドットに対応する。レベル3の場合には、閾値順マトリクスの1、2及び3のサブピクセルが形成ドットに対応する。レベル4の場合には、閾値順マトリクスの1、2、3及び4のサブピクセルが形成ドットに対応する。
【0107】
このようにして得られたレベル1のドットパターンテーブルが
図7においてテーブル(M41)として示されている。テーブル(M41)では、閾値順マトリクス(M2)の1に該当する位置が形成ドット(黒丸印)となっていることがわかる。同様にレベル2のドットパターンテーブルが、テーブル(M42)、レベル3のドットパターンテーブルがテーブル(M43)、レベル4のドットパターンテーブルがテーブル(M44)となる。
【0108】
S1403でパターン展開部1301は、得られたレベル毎のドットパターンテーブルを用いてドットを展開する。パターン展開部1301は、多値画像(I5)から、各画素の階調値を読み取り、該当するレベル値(階調値)のドットパターンテーブルの同じ画素位置のパターンを使用してドット展開を行う。例えば、多値画像(I5)の左上端の階調値は2であり、レベル2に対応するドットパターンテーブル(M42)における左上端の2x2のパターンが展開すべきドットパターンとして使用される。こうすることで、展開結果(I6)の左上端の2x2画素と同じドットパターンが実現可能である。
【0109】
このような処理によれば、階調値に応じたドットパターンを用意しておき、多値画像の階調値からドットパターンを用いてドット展開を行うことが可能となる。これにより、最終的に得られるドット展開結果を変えることなく、実施形態1のドット展開処理における繰り返しの比較演算を不要とし、処理を高速に行うことが可能となる。
【0110】
[実施形態3]
実施形態1に係る量子化処理部503は、出力解像度1200dpix1200dpi分の画素について、2値化処理を行っていた。実施形態3では、この出力解像度の2値量子化の代わりに、入力解像度の入力画像に対して多値量子化を行う。
【0111】
また、実施形態1に係るドット展開部508は、入力解像度の多値画像(I5)と、閾値順マトリクス(M2)とを比較してドット展開処理を行った。一方で、本実施形態に係るドット展開部508は、このような比較処理によるドット展開処理の代わりに、ディザ処理を行っている。
【0112】
図15は、本実施形態に係るディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドット展開処理について説明を行うための、画像形成装置300並びに情報処理装置316の機能部の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置316は、解像度変換部502、量子化処理部503、及び変換処理部504に代わり量子化処理部1501並びにMTX生成部1504を有することを除き
図5のものと同様の構成を有するため、重複する説明は省略する。また、本実施形態に係る画像形成装置300は、ドット展開部508に代わり解像度変換部1502と量子化処理部1503を有することを除き、
図5のものと同様の構成を有するため、重複する説明は省略する。
【0113】
[量子化処理]
量子化処理部1501は、データ取得部501が取得した入力画像(ここでは、600dpi8bitの画像データ)に対して、直接多値ディザ処理を行うことにより、600dpi3bit(5値)の多値画像を生成する。本実施形態に係る量子化処理部1501は、レベル毎の閾値マトリクス(M31~M34)を用いて、入力画像から多値画像を生成することができる。また、ここでは、MTX生成部1504が、閾値マトリクス(M1)に基づいて、レベル毎の閾値マトリクス(M31~M34)を生成する。
【0114】
解像度変換部1502は、データ受信部507が受信した多値画像の解像度を、ニアレストネイバなどの公知の解像度変換処理により、出力解像度(ここでは1200dpi)へと変換する。解像度変換部1502の変換処理により生成された1200dpi3bit5値の入力データに対して、量子化処理部1503が2値化処理を行うことにより、ドットイメージが生成される。
【0115】
図16は、本実施形態に係る情報処理装置316及び画像形成装置300が行う、ディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドット展開処理を含む情報処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示す処理は、S802が行われず、S804~S805に代わりS1601~S1604が、S810~S811に代わりS1610~S1611が行われることを除き
図8に示す処理と同様に行われる。
【0116】
S1601でMTX生成部1504は閾値順マトリクス(M2)を生成する。これはS810と同様の処理である。
【0117】
S1602でMTX生成部1504は、レベル毎の閾値マトリクスを生成する。MTX生成部1504は、例えば、多値画像の階調値ごとに、転送解像度に従う閾値マトリクス(M31~M34)を生成することができる。ここでは、
図7に示される閾値マトリクス(M1)と閾値順マトリクス(M2)との各要素の対応関係を見ることにより、各レベルで参照される閾値マトリクス(M1)における閾値がどれかがわかる。例えば、閾値マトリクス(M1)の左上は166となっているが、これは、閾値順マトリクス(M2)を見るとレベル3の時に参照される閾値であることがわかる。同様に閾値マトリクス(M1)の左端上から2つ目を見ると閾値が36となっている。これは、閾値順マトリクス(M2)を見るとレベル1の時に参照される閾値であることがわかる。このようにしてレベル1に対応する閾値を集めたものが、
図7に示されるレベル1用の閾値マトリクス(M31)となる。同様にレベル2に対応するものが閾値マトリクス(M32)、レベル3に対応するものが閾値マトリクス(M33)、レベル4に対応するものが閾値マトリクス(M34)となる。S1602を終えると処理はS1604へと進む。
【0118】
S1604で量子化処理部1501は、入力解像度多値量子化処理を行う。S1604はS1605~S1609を含む。
【0119】
S1605からS1608の各処理は、入力画像の全画素について1画素ごとに繰り返しループして行われる。S1605で量子化処理部1501は、まだ処理対象としていない入力画像の画素1つを処理対象として設定する。
【0120】
S1606で量子化処理部1501は、レベルLv=1,ドットDt=0に初期化を行う。S1607で量子化処理部1501は、入力画像データと、Lvが示すレベルの閾値マトリクスの対応する位置の閾値との比較を行い、対応している入力画像の値が閾値以上であるか否かの判定を行う。ここで閾値以上と判定された(Yesの)場合処理はS1609へと進み、そうでない(Noの)場合処理はS1608へと進む。
【0121】
S1609で量子化処理部1501は、レベルLvと、ドットDtとをそれぞれ1増加させ、処理をS1607に戻す。S1608で量子化処理部1501は、S1605で全画素を処理対象としているか否かを判定し、処理対象としている場合には処理をS808へ進め、そうでない場合には処理をS1605へと戻す。
【0122】
例えば、入力画像(I1)の左上端の値は128である。ここで、Lv=1であるから参照すべき閾値は、閾値マトリクス(M31)の左上端の閾値36となる。したがって、入力データが閾値以上であるため、処理はS1609に進み、Lv=2,Dt=1となる。次のS1607で量子化処理部1501は、Lv=2であるから、閾値マトリクス(M32)の左上端の閾値117を入力データと比較する。入力データが閾値以上であるため、処理はS1609に進み、Lv=3,Dt=2となる。次のS1607で量子化処理部1501は、Lv=3であるから、閾値マトリクス(M33)の左上端の閾値166を入力データと比較する。入力データが閾値を超えないため、Dt=2が確定し、処理はS1608に進む。ここで、
図6の多値画像(I5)を参照すると、確かに左上端において、数字で示されるドット数が2となっていることがわかる。同様に処理を続け、S1608から、S1605に戻り、入力画素の各画素についてループ処理が実行される。
【0123】
このような処理によれば、比較処理対象とする画素を入力解像度の600dpiに抑え、また、閾値を超えなくなった時点で、次の画素に処理を進めることで、閾値との比較演算回数を減らすことができる。さらに、2値展開するための出力解像度のバッファが不要となりメモリを節約することも可能となる。
【0124】
[ドット展開]
【0125】
S809に続くS1610で解像度変換部1502は、S809で受信した、多値画像(I5)の解像度を、ニアレストネイバなどの公知の解像度変換処理により、出力解像度(ここでは1200dpi)へと変換する。こうして得られた出力解像度の多値画像が
図6において多値画像(I7)として示されている。
【0126】
S1611で量子化処理部1503は、この出力解像度の多値画像に対して出力解像度での2値量子化処理を行う。S1611はS810、S812及びS1612を含む。
【0127】
S1612では、多値画像(I7)に対して、閾値順マトリクス(M2)を用いて2値量子化処理を行う。ここでは、量子化処理部1503は、多値画像(I7)の左上端の値2を入力データとして、閾値順マトリクス(M2)の左上端の閾値3と比較する。ここで、入力データが閾値以上でないことから、この位置のドットは非形成となる。展開結果(I6)を参照すると当該位置のドットは確かに非形成となっている。次いで、多値画像(I7)の左端上から2画素目の値2を入力データとして、閾値順マトリクス(M2)の左端上から2画素目の閾値1と比較する。ここでは入力データが閾値以上であるため、この位置のドットは形成となる。展開結果(I6)を参照すると、当該位置のドットは多視界に形成(黒丸印)となっている。
【0128】
このような処理によれば、画素のレンジが8bitではないが、通常の2値化処理により量子化を行うことができる。したがって、汎用のディザ処理回路を利用することが可能となり、回路規模を削減することが可能となる。
【0129】
[実施形態4]
実施形態1に係る変換処理部504は、転送解像度と入力解像度とを等しいものとして、1200dpi1bit2値化画像を、データ転送時に使用する入力解像度の600dpiの多値画像に変換した。本実施形態に係る変換処理部504は、転送解像度を入力解像度と異なる値とする。以下においては、入力解像度600dpiに対して、転送解像度を400×400dpi(以下、これを単に400dpiと称する)とする場合について説明を行う。
【0130】
図17は、本実施形態に係るディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドット展開処理について説明を行うための、画像形成装置300並びに情報処理装置316の機能部の一例を示すブロック図である。本実施形態に係るシステムにおいては、情報処理装置316が変換処理部504に代わり変換処理部1704を有することを除き、
図5と同様の構成を有するため、重複する説明は省略する。
【0131】
実施形態3に係る処理においては、実施形態1の場合とは転送解像度が異なっており、これに応じて、変換処理部1704による処理と、ドット展開部508で参照する閾値順マトリクス(M2’)とが異なっている
【0132】
[多値低解像度変換処理]
本実施形態に係る変換処理部1704は、2値量子化済みの1200dpi1bit2値(階調値0~1)の2値化画像データの解像度を、データ転送時の解像度に合うように変換する。ここでは上述のように、転送解像度は400dpiであるものとする。
【0133】
図18は、本実施形態に係る情報処理装置316及び画像形成装置300が行う、ディザ処理、閾値マトリクス(MTX)及びドット展開処理を含む情報処理の一例を示すフローチャートである。
図18に係る処理は、S805に代わりS1800が行われ、S811に代わりS1804が行われることを除き
図8に示す処理と同様に行われるため、重複する説明は省略する。
【0134】
S1800で変換処理部1704は、データ転送量を圧縮するために、1200dpi1bit(2値)の画像データの解像度を転送解像度(400dpi)に変換する多値低解像度変換処理を行う。
【0135】
1200dpix1200dpiの2値化画像を400dpix400dpiの解像度で見る場合、400dpix400dpiの1画素には、1200dpi単位で3x3の9画素含まれる。3x3画素では0~9画素、階調値0~9が表現できるので、階調数10となり、この階調数を表すために4bit必要となることがわかる。したがって、ここではデータ転送は400dpi4bit10値で行うものとする。
【0136】
S1800は、S1801、S1802、S1803の3処理を含む。S1801で変換処理部1704は、転送解像度を設定する。本実施形態においては、転送解像度が400dpiに設定されるものとして説明を行っているが、特にこのように限定するわけではない。この転送解像度は、出力解像度よりも低い解像度となるのであれば特に限定されず、ユーザが任意の値として設定可能であってもよい。また例えば、転送解像度は、出力解像度に応じて(例えば出力解像度に対して所定の大きさの解像度なるように)設定されてもよい。また、この転送解像度は、画像形成システムおけるデータ転送量と計算量とのバランスによって決めるようにしてもよい。
【0137】
S1802で変換処理部1704は、二値化画像について、S806と同様に転送解像度の画素単位でドット数カウントを実行する。ここでは、1200dpi1bitの二値化画像(I3)が、400dpi単位で区切られる。
【0138】
図6に示す二値化画像(I4’)は、1200dpi1bitの二値化画像(I3)を400dpiで区切った図であり、400dpi単位は太線で描かれている。なおここでは、3x3画素単位で割り切れるように、二値化画像(I4’)は9x9画素の画像データであるものとして図示されている。なお、二値化画像(I4’)においては、実際にはドットが存在するが、説明上使用しないため、表示を省略している箇所がある。
【0139】
太線で示す3x3のサブピクセルでのドット数をカウントすれば、そのカウント値が400dpiに形成されるべきドット数となる。変換処理部1704は、そのようにカウントしたドット数を、画像形成装置300に送信する多値画像の対応がその階調値として設定する。このようにして得られた転送解像度400dpiの多値画像が、
図6の多値画像(I5’)として図示されている。二値化画像(I4’)の左上の太線内を見ると3x3画素に4ドットの形成ドットが存在している。したがって、転送解像度の400dpiで見た場合、対応する画素位置では4ドットが形成されるべきとして、多値画像の当該画素の値が4となる。S1803で変換処理部1704は、このようにして得られた多値画像の各画素において同様に処理を行い、多値画像(I5’)を得る。
【0140】
S808でデータ転送部506は、400dpi4bit(10値)の多値画像を画像形成装置300に送信する。
【0141】
[ドット展開]
S1804でドット展開部508は、読み出した閾値マトリクスを利用することで、ドット展開処理を行う。ドット展開処理であるS1804は、S812に代わりS1805を行うことを除き、
図8のS811と同様の処理である。
【0142】
S1805でドット展開部508は、ドット展開処理に使用する閾値順マトリクスを生成する。ここで、閾値順マトリクスは、転送解像度400dpi1画素に対応する2値での量子化解像度1200dpiでの3x3サブピクセルのサブピクセル内での閾値の大小関係を示す(昇順に並べた)マトリクスである。ここでは、閾値マトリクス(M1)に対して、3x3のサブピクセルの区切りを太線で追記した閾値順マトリクス(M1’)が
図7に示されている。なお、
図7の閾値順マトリクス(M1’)は、3x3画素単位で割り切れるように9x9画素のデータであるものとして示されている。なお、閾値順マトリクス(M1’)においては、実際には閾値が存在するが、説明上使用しないため、表示を省略している箇所がある。出力解像度1200dpiで見た場合、このサブピクセル内で閾値が小さい順にドットが打たれやすいこととなる。
【0143】
ここでは、転送解像度の多値画像は、出力解像度に解像度変換すると3x3の9画素ともに同じ画素値となる。したがって3x3のサブピクセルに1ドット形成する場合には、一番小さい閾値に対応する位置が形成画素となる。同様に2ドット形成の場合には、1番目と2番目に小さい閾値と対応する画素が形成画素となる。さらに同様に3ドット形成の場合には、1~3番目に小さい画素が形成画素となる。同様にして、閾値マトリクス全体について、対応する3x3のサブピクセル内での順番を記すことで、
図7に示される閾値順マトリクス(M2’)が生成される。このような閾値順を求めるために閾値数字列のソートが必要となり、対象となるサブピクセルが2x2画素の場合は4つの数字のソートとなるが、3x3画素の場合は9つの数字のソートが必要となる。しかしながら、このように低い転送解像度を設定することにより、転送を行うデータ量を抑えることが可能となる。
図10(b)を参照すると、転送解像度400dpiとした場合のデータ転送量は600dpiとした場合の524MBに対して、310MBへと減少しており、データ転送量が抑えられている。
【0144】
このような処理によれば、転送解像度として入力解像度と異なる解像度を設定したうえで、転送後に出力解像度の2値量子化結果を実現することができ、出力解像度のドット分散性を実現できる
【0145】
本明細書の開示は、以下のシステム、画像形成装置、情報処理方法、及びプログラムを含む。
【0146】
(項目1)
情報処理装置と、画像形成装置と、を備えるシステムであって、
前記情報処理装置は、
第1の解像度の第1の画像を取得する取得手段と、
前記第1の解像度の第1の画像に基づいて第2の解像度の第2の画像を生成する第1の変換手段であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、第1の変換手段と、
前記第2の画像を画像形成装置に送信する送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記第2の画像を受信する受信手段と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する第2の変換手段であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、第2の変換手段と、
を備えるシステム。
(項目2)
前記第2の変換手段は、前記第2の画像を、前記第3の解像度に従う第2の閾値マトリクスを用いて前記第3の画像に変換することを特徴とする、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記第2の閾値マトリクスは、前記1画素に対応する領域における各閾値の大小関係が、前記第1の閾値マトリクスにおける前記1画素に対応する領域における各閾値の大小関係と等しいことを特徴とする、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記第2の閾値マトリクスは、前記第1の閾値マトリクスと同一のマトリクスであることを特徴とする、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係と、前記第2の画像の前記1画素の階調値と、に基づいて定められていることを特徴とする、項目1乃至4の何れか一項目に記載のシステム。
(項目6)
前記第3の画像の第1の画素に対応する領域において、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における閾値が小さい順に、前記第2の画像の前記1画素の階調値分の数の画素位置にドットが形成されるように、前記第3の画像の前記第1の画素に対応するドット配置が定められることを特徴とする、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記第1の解像度と前記第2の解像度とが同一であることを特徴とする、項目1乃至6の何れか一項目に記載のシステム。
(項目8)
前記第2の解像度が前記第1の解像度よりも低いことを特徴とする、項目1乃至6の何れか一項目に記載のシステム。
(項目9)
前記第1の画像の解像度を前記第3の解像度に変換する第3の変換手段と、
前記第3の解像度の前記第1の画像を、前記第1の閾値マトリクスを用いて二値化した第4の画像に変換する第4の変換手段と、を更に備え、
前記第1の変換手段は、第3の画像の1画素の階調値を、前記第4の画像の前記1画素に対応する領域に含まれるドット数とすることを特徴とする、項目1乃至8の何れか一項目に記載のシステム。
(項目10)
2値画像の粒状感を評価する評価手段をさらに備え、
前記第4の画像と、前記第3の画像との粒状感の評価の差が所定の範囲内となることを特徴とする、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記第1の閾値マトリクスに基づいて、前記第2の画像の階調値にそれぞれ対応する、第2の解像度に従う第2の閾値マトリクスを複数生成する生成手段をさらに備え、
前記第1の変換手段は、前記第1の画像と複数の前記第2の閾値マトリクスとに基づいて、前記第2の画像を生成することを特徴とする、項目1乃至10の何れか一項目に記載のシステム。
(項目12)
第1の解像度の第1の画像に基づいて生成される、第2の解像度の第2の画像を受信する受信手段であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、受信手段と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する第2の変換手段であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、第2の変換手段と、
を備える、画像形成装置。
(項目13)
第1の解像度の第1の画像を取得する工程と、
前記第1の解像度の第1の画像に基づいて第2の解像度の第2の画像を生成する工程であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、工程と、
前記第2の画像を画像形成装置に送信する工程と、を備え、
前記第2の画像を受信する工程と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する工程であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、工程と、
を備える情報処理方法。
(項目14)
第1の解像度の第1の画像に基づいて生成される、第2の解像度の第2の画像を受信する工程であって、前記第2の画像の1画素の階調値は、前記第1の画像のうち前記1画素に対応する領域を前記第1の解像度及び前記第2の解像度より高い第3の解像度に変換してから前記第3の解像度に従う第1の閾値マトリクスを用いて2値化した場合におけるドット数を示す、工程と、
前記第2の画像を前記第3の解像度の2値画像である第3の画像に変換する工程であって、前記第2の画像の1画素について前記階調値に対応する前記第3の画像におけるドット配置を示す情報に従って前記第3の画像を生成し、前記第3の画像の前記1画素に対応するドット配置は、前記第1の閾値マトリクスのうち前記1画素に対応する領域における各閾値の大きさの大小関係に基づいて定められている、工程と、
を備える、情報処理方法。
(項目15)
コンピュータを、項目1乃至11の何れか一項に記載のシステム又は項目12に記載の画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【0147】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0148】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0149】
300:画像形成装置、315:画像供給装置、316:情報処理装置