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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176913
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】廃棄物処理設備
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/00 20060101AFI20241212BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20241212BHJP
   F23G 5/46 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F23J15/00 F
F23G5/50 N ZAB
F23G5/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095785
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】尾家 俊康
(72)【発明者】
【氏名】迫田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】松井 朗
(72)【発明者】
【氏名】中原 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】島村 育幸
(72)【発明者】
【氏名】玉置 将吾
【テーマコード(参考)】
3K062
3K065
3K070
【Fターム(参考)】
3K062AA11
3K062AB01
3K062AC02
3K062CA01
3K062CB09
3K062DA01
3K065AA11
3K065AB01
3K065AC02
3K065JA05
3K065JA14
3K070DA04
3K070DA53
3K070DA58
3K070DA75
(57)【要約】
【課題】廃熱ボイラにて発生する蒸気の有効利用を図りつつ、白煙防止装置における白煙防止空気の過度の加熱を防止可能な廃棄物処理設備を提供する。
【解決手段】廃棄物処理設備1は、焼却炉10と、排ガス経路50と、煙突部16と、排ガス経路50に配置された廃熱ボイラ12と、廃熱ボイラ12の下流側に配置され、廃熱ボイラ12を通過することで温度が低下した排ガスの熱を白煙防止空気に伝えることにより当該白煙防止空気を加熱する伝熱部を含む排ガス熱交換器14と、白煙防止空気を排ガス熱交換器14に供給するとともに、該排ガス熱交換器14を通過することで加熱された該白煙防止空気を煙突部16又は煙突部16の出口の外側に供給するための白防空気供給経路30と、白煙防止空気を排ガス熱交換器14に供給する空気供給部38とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する廃棄物処理設備であって、
前記廃棄物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉から排出された排ガスが流れる排ガス経路と、
前記排ガスを外部空間に排出する煙突部と、
前記排ガス経路に配置され、当該排ガス経路を流れる排ガスを熱源とする廃熱ボイラと、
前記排ガス経路における前記廃熱ボイラの下流側に配置され、当該廃熱ボイラを通過することで温度が低下した前記排ガスの熱を、加熱対象となる白煙防止空気に伝えることにより当該白煙防止空気を加熱する伝熱部を含む排ガス熱交換器と、
前記加熱対象となる白煙防止空気を前記排ガス熱交換器に供給するとともに、該排ガス熱交換器を通過することで加熱された該白煙防止空気を前記煙突部に供給するための白防空気供給経路と、
前記加熱対象となる白煙防止空気を、前記白防空気供給経路を通じて前記排ガス熱交換器に供給する空気供給部と、
を備えた、廃棄物処理設備。
【請求項2】
請求項1記載の廃棄物処理設備において、
前記排ガス熱交換器の前記伝熱部そのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を伝熱部系温度として検知する伝熱部系温度検知部と、
空気供給制御部とをさらに備え、
前記空気供給制御部は、前記伝熱部系温度検知部により検知された前記伝熱部系温度が予め設定された伝熱部系目標温度になるように、前記空気供給部によって前記排ガス熱交換器に供給される前記白煙防止空気の流量を制御する伝熱部系制御を実行する、廃棄物処理設備。
【請求項3】
請求項1記載の廃棄物処理設備において、
前記煙突部において前記白防空気供給経路より供給された加熱後の前記白煙防止空気と前記排ガスとが合流してなる合流排ガスそのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を合流排ガス系温度として検知する合流排ガス系温度検知部と、
空気供給制御部とをさらに備え、
前記空気供給制御部は、前記合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記空気供給部により前記排ガス熱交換器に供給される白煙防止空気の流量を制御する合流排ガス系制御を実行する、廃棄物処理設備。
【請求項4】
請求項3記載の廃棄物処理設備において、
前記排ガス熱交換器の前記伝熱部そのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を伝熱部系温度として検知する伝熱部系温度検知部をさらに備え、
前記空気供給制御部は、前記合流排ガス系制御の実行前に毎回、前記伝熱部系温度検知部により検知された前記伝熱部系温度が予め設定された伝熱部系目標温度であるか否かを判定し、前記検知された伝熱部系温度が前記伝熱部系目標温度でないと判定した場合には、当該伝熱部系温度が前記伝熱部系目標温度になるように、前記空気供給部によって前記排ガス熱交換器に供給される前記白煙防止空気の流量を制御する伝熱部系制御を実行し、当該伝熱部系制御の実行後に前記合流排ガス系制御を実行する、廃棄物処理設備。
【請求項5】
請求項3記載の廃棄物処理設備において、
前記排ガス熱交換器の前記伝熱部そのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を伝熱部系温度として検知する伝熱部系温度検知部をさらに備え、
前記空気供給制御部は、前記伝熱部系温度検知部により検知された伝熱部系温度が予め設定された伝熱部系目標温度になるように、前記空気供給部によって前記排ガス熱交換器に供給される前記白煙防止空気の流量を制御する伝熱部系制御と、前記合流排ガス系制御とを並列に実行するようになっていて、前記合流排ガス系制御に基づく前記空気供給部の動作と前記伝熱部系制御に基づく前記空気供給部の動作とが干渉する状況を回避するべく、前記伝熱部系制御を前記合流排ガス系制御よりも優先して実行させる優先制御処理をさらに実行可能に構成されている廃棄物処理設備。
【請求項6】
請求項1又は2記載の廃棄物処理設備において、
前記白防空気供給経路に配置され、当該白防空気供給経路を流れる加熱後の前記白煙防止空気の熱を回収して、回収した熱により、前記廃熱ボイラに供給される供給用ボイラ水と前記焼却炉に供給される燃焼用空気と前記焼却炉に投入される前記廃棄物を加熱するための流体とのいずれかである加熱対象流体を加熱する回収熱交換器と、
前記回収熱交換器に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流量と前記加熱対象流体の流量との少なくとも一方を変更可能な熱交換量可変機構と、を備えている、廃棄物処理設備。
【請求項7】
請求項6記載の廃棄物処理設備において、
前記煙突部において前記白防空気供給経路より供給された加熱後の前記白煙防止空気と前記排ガスとが合流してなる合流排ガスの温度との間に相関関係を有する温度を合流排ガス系温度として検知する合流排ガス系温度検知部と、
熱交換制御部とを備え、
前記熱交換制御部は、前記合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記熱交換量可変機構によって、前記回収熱交換器に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流量と前記加熱対象流体の流量との少なくとも一方を制御する合流排ガス系制御を実行する、廃棄物処理設備。
【請求項8】
請求項1又は2記載の廃棄物処理設備において、
前記白防空気供給経路から分岐し、前記排ガス熱交換器をバイパスして前記煙突部に白煙防止空気を供給するためのバイパス経路と、
前記バイパス経路に設けられ、前記廃熱ボイラにて発生する蒸気の一部の熱を当該バイパス経路を流れる白煙防止空気に伝えることにより当該白煙防止空気を加熱する蒸気熱交換器と、
前記白防空気供給経路から前記バイパス経路を通じて前記蒸気熱交換器に流入する前記白煙防止空気の流量を変更可能な蒸気側空気量可変機構と、を備えている、廃棄物処理設備。
【請求項9】
請求項8記載の廃棄物処理設備において、
前記煙突部において前記白防空気供給経路及び前記バイパス経路より供給された加熱後の前記白煙防止空気と前記排ガスとが合流してなる合流排ガスの温度との間に相関関係を有する温度を合流排ガス系温度として検知する合流排ガス系温度検知部と、
蒸気側空気量制御部とを備え、
前記蒸気側空気量制御部は、前記合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記蒸気側空気量可変機構によって、前記白防空気供給経路から前記バイパス経路を通じて前記蒸気熱交換器に流入する白煙防止空気の流量を制御する合流排ガス系制御を実行する、廃棄物処理設備。
【請求項10】
請求項1記載の廃棄物処理設備において、
前記廃熱ボイラにて発生した蒸気は、前記白煙防止空気の加熱に利用する用途とは異なる用途のための他の熱利用設備に供給される、廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガスを排出する焼却炉等の設備において白煙防止装置を設けることが知られている(特許文献1の図1参照)。この設備では、焼却炉から煙突部に至る排ガス経路に排ガスを熱源とする廃熱ボイラを配置し、該廃熱ボイラにて発生した蒸気の熱を白煙防止装置における白煙防止空気の加熱に利用するようにしている。
【0003】
具体的には、前記白煙防止装置は、排ガス経路とは別に設けられた空気供給経路に配置されている。この空気供給経路は、一端部がブロアに接続され、他端部が煙突部に接続されている。白煙防止装置は、前記廃熱ボイラにて発生した蒸気の一部と、空気供給経路を流れる白煙防止空気との間で熱交換を行うことにより白煙防止空気を加熱する。加熱された白煙防止空気は、空気供給経路を通って煙突部に供給される。前記廃熱ボイラで発生した蒸気のうち白煙防止装置に供給される蒸気を除く残りの蒸気は、排ガス経路に配置された誘引ブロアを駆動した後、復水器により復水されて廃熱ボイラに循環される。
【0004】
一方、前記排ガス経路を流れる排ガスは、前記廃熱ボイラを通過することで降温された後、セラミックフィルタ等の集塵装置に送られてダストが除去され、次いで、排煙処理塔で排ガス中の硫黄酸化物等が除去された後、煙突部に供給され、該煙突部において前記空気供給経路から供給される白煙防止空気と合流して外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5897821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示すような廃棄物処理設備において、廃熱回収効率を高めるためには、廃熱ボイラにて発生した蒸気の熱を、蒸気タービン等の他の熱利用設備に供給することが好ましい。蒸気タービン等の熱利用設備を作動させるためには蒸気のエネルギを可及的に高める必要があるため、廃熱ボイラにて発生する蒸気の温度は通常かなり高くなる。
【0007】
このような高温の蒸気により白煙防止空気を加熱するようにした場合、白煙防止空気が、煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度よりも過度に高い温度に加熱されてしまう。白煙防止空気は、煙突部において排ガスと合流した後に外部に放出されるので、白煙防止空気が過度に加熱された場合にはその余分な熱が外部に無駄に捨てられることとなり、廃熱回収効率の低下を招くという問題がある。
【0008】
また、上述のように廃熱ボイラにて発生する蒸気によって白煙防止空気を加熱するようにした場合、この加熱に利用した分だけ、他の熱利用設備にて利用可能な蒸気量が減少し、熱利用設備の規模や数が制限されるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、焼却炉から煙突部に至る排ガス経路に配置される廃熱ボイラと、煙突部からの白煙の発生を防止するための白煙防止装置とを備えた廃棄物処理設備において、前記廃熱ボイラにて発生する蒸気の有効利用を図りつつ、白煙防止装置における白煙防止空気の過度の加熱を防止して廃熱回収効率を向上させることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
提供されるのは、廃棄物を処理する廃棄物処理設備であって、前記廃棄物を焼却する焼却炉と、前記焼却炉から排出された排ガスが流れる排ガス経路と、前記排ガスを外部空間に排出する煙突部と、前記排ガス経路に配置され、当該排ガス経路を流れる排ガスを熱源とする廃熱ボイラと、前記排ガス経路における前記廃熱ボイラの下流側に配置され、当該廃熱ボイラを通過することで温度が低下した前記排ガスの熱を、加熱対象となる白煙防止空気に伝えることにより当該白煙防止空気を加熱する伝熱部を含む排ガス熱交換器と、前記加熱対象となる白煙防止空気を前記排ガス熱交換器に供給するとともに、該排ガス熱交換器を通過することで加熱された該白煙防止空気を前記煙突部に供給するための白防空気供給経路と、前記加熱対象となる白煙防止空気を、前記白防空気供給経路を通じて前記排ガス熱交換器に供給する空気供給部と、を備えている。
【0011】
この廃棄物処理設備によれば、排ガス経路における廃熱ボイラと煙突部との間に排ガス熱交換器を配置して、当該熱交換器において、廃熱ボイラを通過することにより温度が低下した排ガスの熱により白煙防止空気を加熱するようにしたことで、白煙防止空気が過度に加熱されるのを防止することができる。すなわち、焼却炉から排出された高温の排ガスは、廃熱ボイラにてボイラ水を加熱することで熱を放出して降温される。前記排ガス熱交換器では、この降温された排ガス(温度が低下した排ガス)と、白防空気供給経路を通じて空気供給部より供給される白煙防止空気(加熱対象)との間で熱交換を行うことによって白煙防止空気が加熱される。したがって、従来のように廃熱ボイラにて発生した高温の蒸気のみで白煙防止空気を加熱するようにした場合に比べて、白煙防止空気の過度の加熱が抑制される。また、廃熱ボイラにて発生した高温の蒸気を白煙防止空気の加熱に利用しないので、その分だけ熱利用設備にて利用可能な蒸気量が増加する。したがって、廃熱ボイラにて発生する蒸気の有効利用を図りつつ、白煙防止装置による白煙防止空気の過度の加熱を防止して廃熱回収効率を向上させることができる。
【0012】
前記廃棄物処理設備は、前記排ガス熱交換器の前記伝熱部そのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を伝熱部系温度として検知する伝熱部系温度検知部と、空気供給制御部とをさらに備え、前記空気供給制御部は、前記伝熱部系温度検知部により検知された前記伝熱部系温度が予め設定された伝熱部系目標温度になるように、前記空気供給部によって前記排ガス熱交換器に供給される前記白煙防止空気の流量を制御する伝熱部系制御を実行するようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、伝熱部系温度検知部による検知対象温度である伝熱部系温度が予め設定された伝熱部系目標温度になるように、空気供給部による排ガス熱交換器への白煙防止空気の供給流量が空気供給制御部により制御される。これにより、排ガス熱交換器の伝熱部の温度が過度に低下するのを抑制して、当該温度の低下に起因する前記伝熱部の腐食及びその下流側の排ガス経路(伝熱部から煙突部までの排ガス経路)の腐食(以下、伝熱部等の腐食という)の発生を抑制することができる。よって、排ガス熱交換器の伝熱部等の腐食を生じることなく廃熱ボイラを通過後の低温の排ガスを利用した白煙防止空気の加熱を実現することができる。
【0014】
ここで、前記伝熱部そのものの温度の一例として、例えば伝熱部の表面温度が挙げられる。また、伝熱部そのものの温度との間に相関関係を有する温度の一例として、例えば当該伝熱部の下流側の排ガス経路を流れる排ガスの温度が挙げられる。なお、本明細書において、「相関関係を有する」とは、一方が変化すると他方が変化する関係であって、必ずしも双方的な因果関係(一方が変化すると他方が変化し且つ他方が変化すると一方が変化する関係)は必要ない。
【0015】
前記廃棄物処理設備は、前記煙突部において前記白防空気供給経路より供給された加熱後の前記白煙防止空気と前記排ガスとが合流してなる合流排ガスそのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を合流排ガス系温度として検知する合流排ガス系温度検知部と、空気供給制御部とをさらに備え、前記空気供給制御部は、前記合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記空気供給部により前記排ガス熱交換器に供給される白煙防止空気の流量を制御する合流排ガス系制御を実行するようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、合流排ガス系温度検知部による検知対象温度である合流排ガス系温度が白煙防止目標温度になるように、空気供給部による排ガス熱交換器への白煙防止空気の供給流量が空気供給制御部により制御される。ここで、白煙防止目標温度は、煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定される。したがって、合流排ガス系温度が白煙防止目標温度に制御されることで煙突部からの白煙の発生が抑制される。なお、煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度とは、例えば、合流排ガスが煙突部から排出される際の大気中での希釈及び冷却により当該合流排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮しないようにするために必要な最低温度(すなわち飽和蒸気温度)と定義される。また、前記合流排ガスそのものの温度の一例として、例えば合流排ガス中に配置された温度センサによって検知される温度が挙げられる。また、合流排ガスそのものの温度との間に相関関係を有する温度の一例として、例えば煙突部の壁面温度や、煙突部に供給される白煙防止空気(煙突部に供給された後に合流排ガスの一部となる白煙防止空気)の温度が挙げられる。
【0017】
廃棄物処理設備は、前記排ガス熱交換器の前記伝熱部そのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を伝熱部系温度として検知する伝熱部系温度検知部をさらに備え、前記空気供給制御部は、前記合流排ガス系制御の実行前に毎回、前記伝熱部系温度検知部により検知された前記伝熱部系温度が予め設定された伝熱部系目標温度であるか否かを判定し、前記検知された伝熱部系温度が前記伝熱部系目標温度でないと判定した場合には、当該伝熱部系温度が前記伝熱部系目標温度になるように、前記空気供給部によって前記排ガス熱交換器に供給される前記白煙防止空気の流量を制御する伝熱部系制御を実行し、当該伝熱部系制御の実行後に前記合流排ガス系制御を実行するように構成されていてもよい。
【0018】
これによれば、空気供給制御部によって、合流排ガス系制御の実行前に毎回、伝熱部系制御が実行されるため、伝熱部等の腐食を防止しながら合流排ガス系制御を実行して白煙の発生を防止することができる。すなわち、前回の合流排ガス系制御の実行により、空気供給部により排ガス熱交換器に供給される白煙防止空気の流量が増加して排ガス熱交換器の伝熱部の温度が伝熱部系目標温度を下回ったとしても、次に合流排ガス系制御が実行される前に必ず伝熱部系制御が実行されて、当該伝熱部の温度が伝熱部系目標温度になるように空気供給部よる白煙防止空気の供給量が制御される。よって、排ガス熱交換器の伝熱部の過度の温度低下を防止して伝熱部等の腐食防止を図りながら合流排ガス系制御を実行することができる。
【0019】
前記廃棄物処理設備は、前記排ガス熱交換器の前記伝熱部そのものの温度又は当該温度との間に相関関係を有する温度を伝熱部系温度として検知する伝熱部系温度検知部をさらに備え、前記空気供給制御部は、前記伝熱部系温度検知部により検知された伝熱部系温度が予め設定された伝熱部系目標温度になるように、前記空気供給部によって前記排ガス熱交換器に供給される前記白煙防止空気の流量を制御する伝熱部系制御と、前記合流排ガス系制御とを並列に実行するようになっていて、前記合流排ガス系制御に基づく前記空気供給部の動作と前記伝熱部系制御に基づく前記空気供給部の動作とが干渉する状況を回避するべく、前記伝熱部系制御を前記合流排ガス系制御よりも優先して実行させる優先制御処理をさらに実行可能に構成されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、空気供給制御部によって伝熱部系制御と合流排ガス系制御とが並列に実行されるため、合流排ガス系制御の実行途中であっても(換言すると、合流排ガス系温度が白煙防止目標温度になっていなくても)、伝熱部系温度が伝熱部系目標温度を下回った場合には、伝熱部系制御に基づいて伝熱部系温度を伝熱部系目標温度に迅速に戻すことができる。よって、伝熱部の過度の温度低下に起因する伝熱部等の腐食をより一層確実に抑制することができる。また、前記優先制御処理によって伝熱部系制御が合流排ガス系制御よりも優先して実行されることで、合流排ガス系制御に基づく空気供給部の動作と前記伝熱部系制御に基づく前記空気供給部の動作とが干渉するのを防止することができる。
【0021】
前記廃棄物処理設備は、前記白防空気供給経路に配置され、当該白防空気供給経路を流れる加熱後の前記白煙防止空気の熱を回収して、該回収した熱により、前記廃熱ボイラに供給される供給用ボイラ水と前記焼却炉に供給される燃焼用空気と前記焼却炉に投入される廃棄物を加熱するための流体とのいずれかである加熱対象流体を加熱する回収熱交換器と、前記回収熱交換器に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流量と前記加熱対象流体の流量との少なくとも一方を変更可能な熱交換量可変機構と、を備えていてもよい。
【0022】
この廃棄物処理設備によれば、排ガス熱交換器を通過した加熱後の白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)が、例えば予め設定した白煙防止目標温度よりも高い場合には、当該白煙防止空気が保有する余分な熱を回収熱交換器にて回収することで当該白煙防止空気の温度を低下させることができる。よって、煙突部に供給される白煙防止空気の温度が必要以上に高くなってその保有熱が外部に無駄に捨てられるのを防止することができる。また、回収熱交換器における白煙防止空気からの回収熱量は、回収熱交換器に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流入流量と、回収熱交換器に流入する加熱対象流体(供給用ボイラ水と焼用空気と廃棄物を加熱するための流体とのいずれか)の流入流量との少なくとも一方を熱交換量可変機構によって変更することで調整可能である。よって、排ガス熱交換器を通過後の白煙防止空気の温度に応じて、回収熱交換器における白煙防止空気からの熱回収量を熱交換量可変機構により調整することで該排ガス熱交換器を通過後の白煙防止空気の温度を適切に制御することができる。
【0023】
そして、この廃棄物処理設備では、前記煙突部において前記白防空気供給経路より供給された加熱後の前記白煙防止空気と前記排ガスとが合流してなる合流排ガスの温度との間に相関関係を有する温度を合流排ガス系温度として検知する合流排ガス系温度検知部と、熱交換制御部とを備え、前記熱交換制御部は、前記合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記熱交換量可変機構によって、前記回収熱交換器に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流量と加熱対象流体の流量との少なくとも一方を制御する合流排ガス系制御を実行することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、熱交換制御部による制御の下、合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記回収熱交換器に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流量と、加熱対象流体の流量との少なくとも一方が熱交換量可変機構によって制御される。したがって、排ガス熱交換器を通過後の白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)が予め設定した白煙防止目標温度よりも高い場合には、前記熱交換制御部による熱交換量可変機構の動作制御により、当該白煙防止空気が保有する余分な熱を回収熱交換器にて前記加熱対象流体に回収させることで、煙突部に供給される白煙防止空気の温度が過度に高くなるのを防止し、廃熱回収効率の低下を防止することができる。
【0025】
前記廃棄物処理設備は、前記白防空気供給経路から分岐し、前記排ガス熱交換器をバイパスして前記煙突部に白煙防止空気を供給するためのバイパス経路と、前記バイパス経路に設けられ、前記廃熱ボイラにて発生する蒸気の一部の熱を当該バイパス経路を流れる白煙防止空気に伝えることにより当該白煙防止空気を加熱する蒸気熱交換器と、前記白防空気供給経路から前記バイパス経路を通じて前記蒸気熱交換器に流入する前記白煙防止空気の流量を変更可能な蒸気側空気量可変機構と、を備えていてもよい。
【0026】
この廃棄物処理設備によれば、排ガス熱交換器を通過した加熱後の白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)が、予め設定した白煙防止目標温度よりも低い場合には、排ガス熱交換器に比べて空気の加熱能力が高い蒸気熱交換器によって白煙防止空気の一部(前記バイパス経路に流入する白煙防止空気)を加熱することで、最終的に煙突部に供給される白煙防止空気(排ガス熱交換器により加熱された白煙防止空気と蒸気熱交換器により加熱された白煙防止空気とが合流してなる白煙防止空気)の温度を白煙の発生を防止可能な温度まで高めることができる。
【0027】
そして、この廃棄物処理設備では、前記煙突部において前記白防空気供給経路及び前記バイパス経路より供給された加熱後の前記白煙防止空気と前記排ガスとが合流してなる合流排ガスの温度との間に相関関係を有する温度を合流排ガス系温度として検知する合流排ガス系温度検知部と、蒸気側空気量制御部とを備え、前記蒸気側空気量制御部は、前記合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記蒸気側空気量可変機構によって、前記白防空気供給経路から前記バイパス経路を通じて前記蒸気熱交換器に流入する白煙防止空気の流量を制御する合流排ガス系制御を実行するように構成されていてもよい。
【0028】
この構成によれば、蒸気側空気量制御部による制御の下、合流排ガス系温度検知部により検知された前記合流排ガス系温度が、前記煙突部からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記白防空気供給経路から前記バイパス経路を通じて前記蒸気熱交換器に流入する白煙防止空気の流量が蒸気側空気量可変機構によって制御される。したがって、排ガス熱交換器を通過後の白煙防止空気の温度が白煙発生を防止するために必要な温度よりも低い場合には、この蒸気側空気量可変機構により、白煙防止空気の一部を、排ガス熱交換器に比べて空気加熱力が高い蒸気熱交換器に供給することで、最終的に煙突部に供給される白煙防止空気(排ガス熱交換器により加熱された白煙防止空気と蒸気熱交換器により加熱された白煙防止空気とが合流してなる白煙防止空気)の温度を白煙防止に必要な温度まで高めることができる。このように、煙突部に供給される白煙防止空気の一部のみを蒸気熱交換器によって加熱し、残りの白煙防止空気を低温排ガスを利用した排ガス熱交換器によって加熱することで、従来のように全ての白煙防止空気を高温の蒸気で過熱する場合に比べて、白煙防止空気の過度の加熱を防止して廃熱回収効率を向上させることができる。
【0029】
前記廃棄物処理設備において、前記廃熱ボイラにて発生した蒸気は、前記白煙防止気の加熱に利用する用途とは異なる用途のための他の熱利用設備に供給されることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、廃熱ボイラにて発生する蒸気の有効利用を図るとともに、廃熱ボイラにより発生した高温の蒸気によって白煙防止空気が過度に加熱されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、廃熱ボイラにて発生する蒸気の有効利用を図るとともに、白煙防止装置による白煙防止空気の過度の加熱を防止して廃熱回収効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施形態に係る廃棄物処理設備のフローシートである。
図2】前記第1の実施形態における廃棄物処理設備のコントローラを含む制御系の構成を示すブロック図である。
図3】前記第1の実施形態におけるコントローラにより実行される白煙防止制御の全体的な流れを示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態における白煙防止制御の一部である伝熱部系制御の内容を示すフローチャートである。
図5】前記第1の実施形態における白煙防止制御の一部である合流排ガス系制御の内容を示すフローチャートである。
図6A】前記第1の実施形態の変形例におけるコントローラにより実行される白煙防止制御の全体的な流れを示すフローチャートである。
図6B】前記第1の実施形態の変形例におけるコントローラにより実行される優先制御処理の内容を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図である。
図8】前記第2の実施形態を示す図2相当図である。
図9】前記第2の実施形態を示す図5相当図である。
図10】前記第2の実施形態の第1変形例を示す図8図1)相当図である。
図11】本発明の第3の実施形態における図1相当図である。
図12】前記第3の実施形態における図2相当図である。
図13】前記第3の実施形態における図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施形態)
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る廃棄物処理設備1Aは、焼却炉10と、燃焼用空気予熱器11と、廃熱ボイラ12と、集塵装置13と、排ガス熱交換器14と、排煙処理塔15と、煙突部16と、乾燥装置17と、蒸気発電装置18と、燃焼用空気ブロワ19と、燃焼用空気供給経路40と、排ガス経路50とを備える。
【0035】
前記燃焼用空気予熱器11、廃熱ボイラ12、集塵装置13、排ガス熱交換器14、排煙処理塔15及び煙突部16は、前記排ガス経路50上において上流側からこの順で配置されている。
【0036】
前記排ガス経路50は、前記焼却炉10から排出される排ガスが当該排ガス経路50を流れて煙突部16から放出されることを可能にするように配置される。前記排ガス経路50は、具体的には、第1経路部51と、第2経路部52と、第3経路部53と、第4経路部54と、第5経路部55と、第6経路部56と、を含む。前記第1経路部51は、前記焼却炉10の出口と前記燃焼用空気予熱器11の入口とを接続する。前記第2経路部52は、前記燃焼用空気予熱器11の出口と廃熱ボイラ12の入口とを接続する。前記第3経路部53は、廃熱ボイラ12の出口と集塵装置13の入口とを接続する。前記第4経路部54は、前記集塵装置13の出口と排ガス熱交換器14の入口とを接続する。前記第5経路部55は、前記排ガス熱交換器14の出口と排煙処理塔15の入口とを接続する。第6経路部56は、排煙処理塔15の出口と煙突部16の入口とを接続する。第6経路部56には、排煙処理塔15から煙突部16に向けて排ガスを誘引する誘引ブロワ21が配置されている。第1経路部51を流れる排ガスの温度は例えば800℃~850℃程度であり、第2経路部52を流れる排ガスの温度は例えば600℃~650℃程度であり、前記第3経路部53及び第4経路部54を流れる排ガスの温度は例えば200℃~300℃程度であり、前記第5経路部55を流れる排ガスの温度は、例えば100℃程度であり、第6経路部56を流れる排ガスの温度は、例えば50℃程度である。
【0037】
前記焼却炉10は、例えば脱水汚泥や、脱水汚泥を乾燥処理した乾燥汚泥等の廃棄物を焼却する。本実施形態における前記焼却炉10は、流動床式の焼却炉であるが、これに限定されない。
【0038】
前記燃焼用空気予熱器11は、前記焼却炉10から排出される排ガスの熱により燃焼用空気を加熱する。具体的に、燃焼用空気予熱器11は、前記第1経路部51を通じて当該燃焼用空気予熱器11に流入する排ガスと、前記燃焼用空気ブロワ19より燃焼用空気供給経路40を介して供給される燃焼用空気と、の間で熱交換を行わせる。燃焼用空気ブロワ19は、前記燃焼用空気予熱器11により加熱された後の燃焼用空気を前記焼却炉10の下部に供給する。一方、第1経路部51を通じて燃焼用空気予熱器11に流入した排ガスは、燃焼用空気との間で熱交換を行うことにより降温された後、第2経路部52を通じて廃熱ボイラ12に流入する。
【0039】
廃熱ボイラ12は、第2経路部52を通じて当該廃熱ボイラ12に流入する排ガスと、廃熱ボイラ12内のボイラ水と、の間で熱交換を行わせることにより当該ボイラ水を加熱して蒸気を発生させる。廃熱ボイラ12には、ボイラ水を給水するための給水経路22が接続されている。給水経路22の上流端には給水ポンプ23が接続され、給水ポンプ23は、給水タンク24内に貯留された供給用ボイラ水(廃熱ボイラ12にてボイラ水として利用される水)を吸い込んで廃熱ボイラ12に供給する。
【0040】
前記廃熱ボイラ12にて発生した蒸気は、乾燥装置17及び蒸気発電装置18(いずれも熱利用設備の一例)にそれぞれ蒸気供給経路25a,25bを介して供給される。各蒸気供給経路25a,25bへの蒸気の供給流量は、後述するコントローラ100Aにより駆動される不図示のダンパにより制御される。なお、熱利用設備への蒸気の供給流量の制御は、ダンパによる制御に限定されない。例えば、乾燥装置17に蒸気を供給するための蒸気供給経路25aへの蒸気の供給流量は、乾燥装置17における熱交換部の下流側にスチームトラップを設けることにより、当該熱交換部にて熱回収された蒸気の一部が凝縮してドレンとして排出され、その排出された分だけ蒸気が成り行きで補充されることによって制御されてもよい。前記乾燥装置17は、焼却炉10の廃棄物供給口10aの上流側に設けられていて、当該廃棄物供給口10aから焼却炉10内に投入される廃棄物の水分を蒸発させる装置である。図1中の白抜き矢印はこの廃棄物の投入経路を示している。乾燥装置17にて蒸気を利用した後の凝縮水は、戻り経路41を介して前記給水タンク24に還流(循環)される。この戻り経路41を介した凝縮水の還流(循環)は必ずしも必要ではない。前記蒸気発電装置18は、蒸気のエネルギを利用して駆動される蒸気タービンを有していて、当該蒸気タービンの回転運動を発電機に伝えることによって発電を行う。前記蒸気発電装置18は、例えば、蒸気のエネルギを利用して水よりも沸点の低い作動媒体を沸騰させ、その作動媒体の蒸気で蒸気タービンを回転させるバイナリ発電装置である。
【0041】
前記第2経路部52を通じて廃熱ボイラ12に流入した排ガスは、当該廃熱ボイラ12内のボイラ水を加熱することにより降温され(温度が低下し)、この降温後の排ガスが第3経路部53を通じて集塵装置13に流入する。
【0042】
前記集塵装置13は、第3経路部53を通じて当該集塵装置13に流入した排ガス中に含まれる煤等を捕集するバグフィルタにより構成されている。前記集塵装置13は、バグフィルタに限らず、例えばセラミックフィルタ等で構成されていてもよい。また、集塵装置13に流入する排ガスの温度が前記集塵装置13の耐熱温度に対して高い場合には、冷却装置(図示しない)が別途設けられてもよい。集塵装置13を通過した排ガスは第4経路部54を通じて排ガス熱交換器14に流入する。
【0043】
排ガス熱交換器14は、第4経路部54を通じて当該排ガス熱交換器14に流入する排ガスと、後述するように白防空気供給経路30を通じて当該排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気(加熱対象空気)と、の間で熱交換を行わせることにより、当該白煙防止空気を加熱する。排ガス熱交換器14にて加熱された前記白煙防止空気は、前記煙突部16(本例では煙突部16の内部)に供給されて、当該煙突部16からの白煙の発生を防止する。一方、排ガス熱交換器14にて白煙防止空気を加熱した前記排ガスは、該加熱により(白煙防止空気に熱を与えることにより)降温されて、第5経路部55を通じて排煙処理塔15の下端部に供給される。
【0044】
排煙処理塔15は、第5経路部55を通じて当該排煙処理塔15に流入する排ガスを浄化する。この第1の実施形態では、排煙処理塔15は、排ガスの浄化方式として湿式を採用している。すなわち、排煙処理塔15は、その内部に設けられた噴霧装置によって塔内を通過する排ガスに水や化学薬品(例えば、苛性ソーダ等のアルカリ性薬品)を噴射することで排ガス中の微小な粒子や有害物質(塩化水素や硫黄酸化物等)を除去する。排ガスは、排煙処理塔15の下端部から上端部まで上昇した後、第6経路部56を通じて煙突部16へと導かれる。なお、排煙処理塔15における排気ガスの浄化方式は湿式に限ったものではなく、例えば乾式であってもよいし、他の浄化方式であってもよい。
【0045】
前記煙突部16は、前記排ガス経路50の下流端に位置している。煙突部16は、この第1の実施形態では前記排煙処理塔15の上端に固定されている。そして、煙突部16は、第6経路部56を通じて当該煙突部16に流入した排ガスが煙突部16を通じて外部空間(大気中)に放出されることを許容する。ここで、前記煙突部16には、後述する白防空気供給経路30の下流端が接続されており、煙突部16に流入した排ガスは、白防空気供給経路30を通じて流入する白煙防止空気と合流した後に、当該煙突部16から外部に放出される。この白煙防止空気は、排ガス熱交換器14にて加熱されており、この第1の実施形態では、白煙防止空気の熱を利用して合流排ガスの温度を高めることで白煙の発生を防止するようにしている。
【0046】
なお、煙突部16は、その末端部が外部空間に通じる開口を有しているものであれば、如何なる構成であってもよく、排ガス経路50を構成する単なるダクトであってもよい。
【0047】
図1を参照して、廃棄物処理設備1Aは、前記白防空気供給経路30と空気供給部38とをさらに有している。
【0048】
白防空気供給経路30は、白煙防止空気を煙突部16に供給するための空気供給経路であって、前記排ガス経路50及び燃焼用空気供給経路40とは別に独立して設けられている。
【0049】
白防空気供給経路30は、白煙防止空気を排ガス熱交換器14に供給するとともに、該排ガス熱交換器14を通過後(加熱後)の白煙防止空気を煙突部16に供給するための空気供給経路である。具体的には、白防空気供給経路30は、排ガス熱交換器14の上流側に位置する白防上流側経路部30aと、排ガス熱交換器14の下流側に位置する白防下流側経路部30bとを有している。
【0050】
白防上流側経路部30aの上流側端部には白煙防止ブロワ20が配置され、白防上流側経路部30aにおける白煙防止ブロワ20よりも上流側には上流側ダンパ31が設けられ、下流側には下流側ダンパ32が配置されている。白防上流側経路部30aは、前記上流側ダンパ31に接続される上流端と、前記排ガス熱交換器14の空気入口に接続される下流端とを有する。白防下流側経路部30bは、排ガス熱交換器14の空気出口に接続される上流端と、煙突部16に接続される下流端とを有する。排ガス熱交換器14を通過した白煙防止空気は、白防下流側経路部30bを介して煙突部16に供給され、煙突部16において排ガスと合流する。以下の説明では、煙突部16において白煙防止空気と排ガスとが合流したものを合流排ガスと称する。
【0051】
前記空気供給部38は、白防空気供給経路30を流れて排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を変化させる動作を行うことが可能である。本実施形態における空気供給部38は、白煙防止空気を送り出す前記白煙防止ブロワ20と、白煙防止ブロワ20の上流側に配置されて当該白煙防止ブロワ20の吸込み側の空気量を調整可能な前記上流側ダンパ31と、白煙防止ブロワ20の下流側に配置されて当該白煙防止ブロワ20からの吐出空気量を調整可能な前記下流側ダンパ32とを含む。この明細書に記載される「ダンパ」は、いずれも、当該ダンパに入力される指令信号に応じて変化させられる開度を有する開閉部材であり、当該開度に対応した流量で当該ダンパを流体が流れることを許容するように構成されている。
【0052】
図1を参照し、前記廃棄物処理設備1Aは、合流排ガス系温度検知部70と、伝熱部系温度検知部71をさらに備える。
【0053】
合流排ガス系温度検知部70は、煙突部16を流れる合流排ガス(白煙防止空気と排ガスとが合流したガス)の温度との間に相関関係を有する温度を合流排ガス系温度として検知する。ここで、「相関関係を有する」とは、一方が変化すると他方が変化するように互いに関連する関係であり、必ずしも双方的な因果関係(一方が変化すると他方が変化し且つ他方が変化すると一方が変化する関係)は必要ない。本実施形態では、この合流排ガス系温度の一例として、排ガス熱交換器14の下流側を流れる白煙防止空気(白防下流側経路部30bを流れる白煙防止空気)の温度を検知するようにしている。白防下流側経路部30bを流れる白煙防止空気の温度は、当該温度(一方)が変化すると煙突部16を流れる合流排ガス(他方)の温度も変化するため、前記合流排ガスの温度との間に相関関係を有する温度に該当する。ここで、白防下流側経路部30bにおいては、より下流側を流れる白煙防止空気ほど、合流排ガスの温度に及ぼす影響(つまり相関関係)は強い。したがって、本実施形態では、合流排ガスの温度との相関関係をより強めるために、合流排ガス系温度検知部70は、白防下流側経路部30bの下流側端部(つまり煙突部16における白煙防止空気の供給口の上流側に隣接する部位)の温度を検知するように構成されている。そして、合流排ガス系温度検知部70は、検知した合流ガス系温度の情報を後述するコントローラ100Aに送信する。
【0054】
なお、本実施形態では、前記合流排ガスの温度との間に相関関係を有する温度として、白煙防止空気の温度を採用しているが、これに限ったものではなく、例えば、煙突部16の壁面の温度を採用してもよい。この場合、煙突部16を流れる合流排ガスの温度(一方)が変化すると煙突部16の壁面(他方)の温度も変化するため、煙突部16の壁面の温度と合流排ガスの温度との間には相関関係があると言える。
【0055】
また、本実施形態では、合流排ガス系温度は、煙突部16を流れる合流排ガスの温度との間に相関関係を有する温度とされているが、これに限ったものではなく、合流排ガスそのものの温度であってもよい。この場合、合流排ガス系温度検知部70は、煙突部16を流れる合流排ガスの温度を直接検知してその検知温度の情報を後述するコントローラ100A(図2参照)に送信する。
【0056】
伝熱部系温度検知部71は、排ガス熱交換器14に設けられていて、当該排ガス熱交換器14の伝熱部そのものの温度(本例では伝熱部の表面温度)を伝熱部系温度として検知し、検知した温度情報を後述するコントローラ100Aに送信する。
【0057】
なお、本実施形態では、伝熱部系温度は、排ガス熱交換器14の伝熱部そのものの温度とされているが、これに限ったものではなく、当該温度との間に相関関係を有する温度であってもよい。相関関係の定義は、上述の合流排ガス系温度の定義で説明したのと同様に一方が変化すると他方が変化する関係であり、必ずしも双方的な因果関係は必要ない。前記伝熱部の温度との間に相関関係を有する温度の一例として、例えば排ガス熱交換器14の排ガス出口側(排ガス下流側)における排ガスの温度、換言すると、第5経路部55を流れる排ガスの温度等が挙げられる。
【0058】
廃棄物処理設備1Aは、空気供給部38(本実施形態では、白煙防止ブロワ20、上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32)の作動を制御するためのコントローラ100A(図2参照)をさらに備えている。
【0059】
コントローラ100Aは、合流排ガス系温度検知部70及び伝熱部系温度検知部71のそれぞれの検知対象温度を基に、煙突部16からの白煙の発生を防止するための白煙防止制御を実行する。
【0060】
白煙防止制御は、大別して伝熱部系制御と合流排ガス系制御とからなる(後述する図3参照)。
【0061】
伝熱部系制御では、伝熱部系温度検知部71による検知温度(伝熱部系温度)がその目標温度である伝熱部系目標温度になるように、空気供給部38による白煙防止空気の供給流量を制御する。
【0062】
合流排ガス系制御では、合流排ガス系温度検知部70による検知温度(合流排ガス系温度)がその目標温度である白煙防止目標温度になるように、空気供給部38による白煙防止空気の供給流量を制御する。
【0063】
図2に示すように、コントローラ100Aは、図示しないCPU(中央演算処理装置)と、受付部101と、記憶部110と、を含み、前記CPUは、前記記憶部110に記憶されるプログラムを実行することにより、所定の機能を実現する。前記所定の機能は、判定部102と、流量調整部103と、を含む。前記記憶部110は、メモリ等の記憶デバイスにより構成されている。
【0064】
前記受付部101は、合流排ガス系温度検知部70及び伝熱部系温度検知部71から前記コントローラ100Aへ送信される温度情報の入力を受け付ける。
【0065】
記憶部110は、前記伝熱部系目標温度及び白煙防止目標温度を予め格納する。本実施形態では、伝熱部系目標温度は、排ガス熱交換器14の伝熱部の過度の温度低下に起因する当該伝熱部の腐食を防止可能な下限温度以上に設定される。なお、伝熱部系目標温度は、排ガス熱交換器14の伝熱部よりも下流側の配管の腐食を防止可能な下限温度以上に設定してもよい。伝熱部系目標温度は、特定の1つの温度に限らず、上下に有限の幅を持った温度範囲であってもよいし、下限閾温度のみを有する温度範囲であってもよい。本実施形態では、伝熱部系目標温度は、上下に幅を有する温度範囲(例えば70℃~110℃の温度範囲)とされている。
【0066】
前記白煙防止目標温度は、煙突部16からの白煙の発生(白煙防止空気と排ガスとが合流してなる合流排ガス中の水蒸気の凝縮)を防止可能な下限温度以上に設定される。白煙防止目標温度は、特定の1つの温度に限らず、上下に有限の幅を持った温度範囲であってもよいし、下限閾温度のみを有する温度範囲であってもよい。本実施形態では、白煙防止目標温度は、上下に幅を有する温度範囲(例えば70℃~90℃の温度範囲)とされている。
【0067】
判定部102は、伝熱部系温度検知部71により検知された伝熱部系温度と前記記憶部110に記憶された伝熱部系目標温度との大小関係(大きい、小さい又は等しい)を判定し、その判定結果を流量調整部103に出力する。なお、ここで言う「等しい」とは、検知された伝熱部系温度と前記伝熱部系目標温度とが全く同じ値である場合に限らず上下に多少の誤差範囲を持っていてもよい。
【0068】
また、判定部102は、合流排ガス系温度検知部70により検知された合流排ガス系温度と前記記憶部110に記憶された白煙防止目標温度との大小関係(大きい、小さい又は等しい)を判定し、その判定結果を流量調整部103に出力する。なお、ここで言う「等しい」とは、検知された合流排ガス系温度と前記白煙防止目標温度とが全く同じ値である場合に限らず上下に多少の誤差範囲を持っていてもよい。
【0069】
前記流量調整部103は、前記伝熱部系制御の実行に際しては、前記判定部102の出力結果に基づいて、伝熱部系温度検知部71による検知温度が上述の伝熱部系目標温度になるように空気供給部38の動作を制御し、前記合流排ガス系制御の実行に際しては、合流排ガス系温度検知部70による検知温度が上述の白煙防止目標温度になるように空気供給部38の動作を制御する。
【0070】
以下、図3図5を参照して、コントローラ100Aにより実行される白煙防止制御の詳細を説明する。
【0071】
図3は白煙防止制御の全体の流れを示している。この白煙防止制御では、コントローラ100Aは、先ず、伝熱部系制御(ステップSA1)を実行し、該伝熱部系制御が終了した後に、合流排ガス系制御(ステップSA2)を実行するという処理を繰り返す。
【0072】
図4は、前記伝熱部系制御の詳細を示すフローチャートである。この伝熱部系制御では、焼却炉10の連続運転中において、排ガス熱交換器14の伝熱部の温度が伝熱部系温度検知部71により検知され、検知された温度情報を受付部101にて受け付ける(ステップSA101)。そして、この伝熱部の温度情報を含む検知データが、受付部101を通じて前記判定部102(図2参照)に入力される。
【0073】
前記判定部102は、前記検知データに係る温度すなわち伝熱部系温度検知部71により検知された前記伝熱部の温度(伝熱系温度の一例)が前記伝熱部系目標温度であるか否かを判定する(ステップSA102)。
【0074】
前記検知された伝熱部の温度が前記伝熱部系目標温度でないと前記判定部102が判定した場合(ステップSA102でNO)、判定部102は、さらに、前記検知された伝熱部の温度が前記伝熱部系目標温度よりも低いか否かを判定する(ステップSA103)。そして、前記検知された伝熱部の温度が前記伝熱部系目標温度よりも低いと前記判定部102が判定した場合(ステップSA103でYES)、流量調整部103は、白煙防止ブロワ20を挟んでその両側に配置された前記上流側ダンパ31又は下流側ダンパ32(図1参照)の開度を減少させる、あるいは、白煙防止ブロワ20の回転数を減少させる(ステップSA104)。これにより、前記排ガス熱交換器14の伝熱部に供給される白煙防止空気の流量を減少させて当該伝熱部から白煙防止空気への熱回収量を低減することで、当該伝熱部の温度を上昇させる。そして、ステップSA104の実行後は、ステップSA101に戻る。前記検知された伝熱部の温度が前記伝熱部系目標温度よりも高いと前記判定部102が判定した場合(ステップSA103でNO)、前記流量調整部103は、前記上流側ダンパ31又は下流側ダンパ32の開度を増加させる、あるいは、白煙防止ブロワ20の回転数を増加させる(ステップSA105)。これにより、前記排ガス熱交換器14の伝熱部に供給される白煙防止空気の流量を増加させて当該伝熱部から白煙防止空気への放熱量を増加させることで、当該伝熱部の温度を低下させる。そして、ステップSA105の実行後はステップSA101に戻る。
【0075】
一方、ステップSA102において、前記検知された伝熱部の温度が伝熱部系目標温度であると前記判定部102が判定した場合(ステップSA102でYES)、流量調整部103は上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32のそれぞれの開度と白煙防止ブロワ20の回転数とをそのまま維持し、伝熱部系制御(ステップSA101~SA105の処理)を終了して合流排ガス系制御を実行するためのステップSA201(図3及び図5参照)に進む。
【0076】
図5は、前記合流排ガス系制御の詳細を示すフローチャートである。この合流排ガス系制御では、白防空気供給経路30(図1参照)における排ガス熱交換器14よりも下流側部分である白防下流側経路部30bを流れる白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)、すなわち、排ガス熱交換器14を通過することにより加熱された白煙防止空気の温度が合流排ガス系温度検知部70により検知され、検知された温度情報を受付部101にて受け付ける(ステップSA201)。そして、この白煙防止空気の温度の情報を含む検知データが、受付部101を通じて前記判定部102に入力される。
【0077】
前記判定部102は、前記検知データに係る温度すなわち合流排ガス系温度検知部70により検知された前記白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度であるか否かを判定する(ステップSA202)。前記検知された白煙防止空気の温度が白煙防止目標温度でないと前記判定部102が判定した場合(ステップSA202でNO)、判定部102は、さらに、当該検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも低いか否かを判定する(ステップSA203)。そして、当該検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも低いと前記判定部102が判定した場合(ステップSA203でYES)、流量調整部103は、白煙防止ブロワ20を挟んでその両側に配置された前記上流側ダンパ31又は下流側ダンパ32の開度を増加させる、あるいは、白煙防止ブロワ20の回転数を増加させる(ステップSA204)。これにより、前記排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を増加させて、排ガス熱交換器14における排ガスから白煙防止空気への熱回収量を増加させることで白煙防止空気による熱回収不足を補う。一方、前記検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも高い場合(ステップSA203でNO)、前記流量調整部103は、前記上流側ダンパ31又は下流側ダンパ32の開度を減少させる、あるいは、白煙防止ブロワ20の回転数を減少させる(ステップSA205)。これにより、前記排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を低下させて、排ガス熱交換器14における排ガスから白煙防止空気への熱回収量を減少させることで白煙防止空気への過度の熱回収を抑制する。併せて白煙防止ブロワ20の消費電力も低減される。そうして、前記ステップSA204又はステップSA205の処理が終了した後はステップSA201に戻る。以上の動作は、前記検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度になるまで(ステップSA202でYESと判定されるまで)繰り返される。ステップSA202において、前記検知された白煙防止空気の温度が白煙防止目標温度になっていると前記判定部102が判定した場合には(ステップSA202でYES)、合流排ガス系制御(ステップSA201~SA205の処理)を終了し、伝熱部系制御を実行するべくステップSA101(図3及び図4参照)に戻る。
【0078】
[作用効果]
以上の通り、本実施形態に係る廃棄物処理設備1Aによれば、排ガス経路50における廃熱ボイラ12と煙突部16との間に排ガス熱交換器14を配置し、当該排ガス熱交換器14において、廃熱ボイラ12を通過後の比較的低温の排ガスの熱により白煙防止空気を加熱するようにしたことで、白煙防止空気が過度に加熱されるのを防止することができる。したがって、従来のように廃熱ボイラ12にて発生した高温の蒸気により白煙防止空気を加熱する場合に比べて、白煙防止空気の過度の加熱が抑制される。また、白煙防止空気を加熱するために廃熱ボイラ12を使用しないので、その分だけ乾燥装置17や蒸気発電装置18等の他の熱利用設備にて利用可能な蒸気量が増加する。したがって、廃熱ボイラにて発生する蒸気の有効利用を図りつつ、白煙防止装置による白煙防止空気の過度の加熱を防止して廃熱回収効率を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態では、コントローラ100Aは、合流排ガス系温度検知部70により検知された前記合流排ガス系温度が、煙突部16からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記空気供給部38(本例では白煙防止ブロワ20、上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32)により排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を制御する合流排ガス系制御を実行する。
【0080】
この構成によれば、コントローラ100Aにより合流排ガス制御が実行されることで、合流排ガス系温度が白煙防止目標温度に制御される。この白煙防止目標温度は、煙突部16からの白煙の発生を防止可能な下限温度(煙突部16を通過する合流排ガス中の水蒸気の凝縮を発生させないために必要な最低温度)以上に設定されている。したがって、煙突部16からの白煙の発生を確実に抑制することができる。
【0081】
また、コントローラ100Aは、伝熱部系温度検知部71により検知される排ガス熱交換器14の伝熱部の温度が前記伝熱部系目標温度になるように、空気供給部38(本例で白煙防止ブロワ20、上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32)により排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を制御する伝熱部系制御を実行可能になっていて、空気供給部38による前記合流排ガス制御の実行前に毎回、前記伝熱部系制御を実行するように構成されている。
【0082】
これによれば、コントローラ100Aによる制御の下、合流排ガス系制御の実行前に毎回、伝熱部系制御が優先して実行される。したがって、例えば前回の合流排ガス系制御の実行により、空気供給部38により排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量が増加して排ガス熱交換器14の伝熱部の温度が伝熱部系目標温度を下回ったとしても、次に合流排ガス系制御を実行する前に必ず伝熱部系制御が実行されて、当該伝熱部の温度が伝熱部系目標温度になるように空気供給部38よる白煙防止空気の供給量が制御される。よって、排ガス熱交換器14の伝熱部の過度の温度低下を防止して伝熱部等の腐食防止を図りながら、白煙防止空気の温度制御に係る合流排ガス系制御を実行することができる。なお、上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32のどちらか一方が設けられていなくてもよい。また、上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32の両方を設けないで、白煙防止ブロワ20の回転数の変更のみで制御するようにしてもよい。
【0083】
(第1の実施形態の変形例)
図6Aは、前記第1の実施形態の変形例における白煙防止制御の全体の流れを示すフローチャートである。この白煙防止制御では、コントローラ100Aが伝熱部系制御(ステップSB1)と合流排ガス系制御(ステップSB2)とを並列に実行する点において前記第1の実施形態と異なっている。ここで「並列に実行する」とは、前記第1の実施形態のように伝熱部系制御の終了を待って合流排ガス系制御を実行するのではなく、伝熱部系制御と合流排ガス系制御とを互いに独立に並行して実行することを意味する。
【0084】
このように伝熱部系制御と合流排ガス系制御とを並列に実行する場合、伝熱部系制御に基づく空気供給部38の動作と合流排ガス系制御に基づく空気供給部38の動作とが干渉する虞がある。本変形例では、このような空気供給部38の動作干渉の発生を回避するとともに伝熱部系制御による排ガス熱交換器14の伝熱部等の保護(腐食防止)を図るべく、コントローラ100Aが合流排ガス系制御よりも伝熱部系制御を優先する優先制御処理を実行するように構成されている。この優先制御処理は、伝熱部系制御及び合流排ガス系制御と並行に実行される。
【0085】
図6Bは、前記優先制御処理の詳細を示すフローチャートである。この優先制御処理では、焼却炉10の連続運転中において、排ガス熱交換器14の伝熱部の温度が伝熱部系温度検知部71により検知され、検知された温度情報を受付部101にて受け付ける(ステップSB3)。そして、この伝熱部の温度の情報を含む検知データが、受付部101を通じて前記判定部102に入力される。
【0086】
前記判定部102は、前記検知データに係る温度すなわち伝熱部系温度検知部71により検知された前記伝熱部の温度(伝熱系温度の一例)が前記伝熱部系目標温度であるか否かを判定する(ステップSB4)。前記検知された伝熱部の温度が前記伝熱部系目標温度でないと前記判定部102が判定した場合(ステップSB4でNO)、流量調整部103では合流排ガス系制御に基づく空気供給部38の動作を禁止し(ステップSB6)、伝熱
部系制御に基づく空気供給部38の動作のみを許可する。これにより、合流排ガス系制御に基づく空気供給部38の動作よりも伝熱部系制御に基づく空気供給部38の動作が優先して実行されることとなる。一方、前記検知された伝熱部の温度が前記伝熱部系目標温度であると前記判定部102が判定した場合(ステップSB4でYES)、流量調整部103において合流排ガス系制御に基づく空気供給部38の動作が許可され(ステップSB5)、合流排ガス系制御に基づく空気供給部38の動作が実行可能になる。
【0087】
[作用効果]
この変形例では、コントローラ100Aによって合流排ガス系制御及び伝熱部系制御に基づく空気供給部38の動作制御が実行されることで、前記第1の実施形態と同様に、排ガス熱交換器14の伝熱部等の腐食を防止しながら、合流排ガス中の水分の凝縮に起因する白煙の発生を防止することができる。
【0088】
しかも、この変形例では、コントローラ100Aにより合流排ガス系制御と伝熱部系制御とが並列に実行される。したがって、合流排ガス系制御の実行途中に前記排ガス熱交換器14の伝熱部の温度が伝熱部系目標温度から外れた場合には、その後直ぐに合流排ガス系制御に基づく空気供給部38の動作制御が禁止されて伝熱部系制御に基づく空気供給部38の動作制御が優先的に実行される。したがって、前記第1の実施形態のように現在実行中の合流排ガス系制御の完了を待って伝熱部系制御を実行する場合に比べて、伝熱部の温度が伝熱部系目標温度から外れた際の伝熱部系制御の実行タイミングを早めることができる。よって、排ガス熱交換器14の伝熱部等の腐食をより一層確実に抑制することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図7図9を参照しながら説明する。
【0090】
図7は、前記第2の実施形態に係る廃棄物処理設備1Bを示す。当該廃棄物処理設備1Bは、図1に示される前記廃棄物処理設備1Aに含まれる構成要素にそれぞれ対応する構成要素を含むが、以下の点において前記第1の実施形態と相違する。
【0091】
1.廃棄物処理設備の構成上の相違点
廃棄物処理設備1Bは、前記第1の実施形態とは異なり、回収熱交換器60及び熱交換量可変機構39をさらに備える。
【0092】
[回収熱交換器及び該回収熱交換器に関連する構成]
回収熱交換器60は、白防空気供給経路30の白防下流側経路部30bに配置されていて、排ガス熱交換器14を通過後の白煙防止空気すなわち白防下流側経路部30bを流れる白煙防止空気の熱を回収し、該回収した熱により廃熱ボイラ12に供給される供給用ボイラ水を加熱する。
【0093】
白防空気供給経路30は、白防上流側経路部30a及び白防下流側経路部30bの他に、回収熱交換器60をバイパスする回収熱交バイパス空気経路部30cを有している。回収熱交バイパス空気経路部30cは、白煙防止ブロワ20から送られる白煙防止空気が回収熱交換器60を経由せずに煙突部16に供給されることを許容する。
【0094】
具体的に、回収熱交バイパス空気経路部30cは、その上流端が、白防下流側経路部30bにおける回収熱交換器60の上流側に設けられた上流側接続部30dに接続され、下流端が、白防下流側経路部30bにおける回収熱交換器60の下流側に設けられた下流側接続部30eに接続されている。この上流側接続部30dと回収熱交換器60との間には上流側ダンパ33が配置され、下流側接続部30eと回収熱交換器60との間には下流側ダンパ34が配置され、回収熱交バイパス空気経路部30cにはバイパス側ダンパ35が配置されている。これら上流側ダンパ33、下流側ダンパ34及びバイパス側ダンパ35は、後述するように熱交換量可変機構39の一部を構成している。
【0095】
廃熱ボイラ12への供給用ボイラ水の給水経路22は、前記第1の実施形態とは異なり、回収熱交換器60の上流側に位置する上流側給水経路部22aと下流側に位置する下流側給水経路部22bとを有している。上流側給水経路部22aは、給水ポンプ23の吐出口と回収熱交換器60の入水口とを接続する。下流側給水経路部22bは、回収熱交換器60の出水口と廃熱ボイラ12の給水口とを接続する。給水経路22はさらに、回収熱交換器60をバイパスするバイパス給水経路部22cを有している。バイパス給水経路部22cは、給水ポンプ23から送られる供給用ボイラ水が回収熱交換器60を経由せずに廃熱ボイラ12に供給されることを許容する。具体的に、バイパス給水経路部22cは、上流端が上流側給水経路部22aの中間位置に設けられた上流側接続部22dに接続され、下流端が下流側給水経路部22bの中間位置に設けられた下流側接続部22eに接続されている。上流側給水経路部22aにおける上流側接続部22dと回収熱交換器60との間には、上流側給水弁27が設けられ、下流側給水経路部22bにおける下流側接続部22eと回収熱交換器60との間には、下流側給水弁28が設けられ、バイパス給水経路部22cの中間部にはバイパス側給水弁29が設けられている。これら上流側給水弁27、下流側給水弁28、及びバイパス側給水弁29は、後述するように熱交換量可変機構39の一部を構成している。この明細書に記載される「弁」は、いずれも、当該弁に入力される指令信号に応じて変化させられる開度を有する開閉弁であり、当該開度に対応した流量で当該弁を流体が流れることを許容するように構成されている。
【0096】
[熱交換量可変機構の構成]
熱交換量可変機構39は、前記回収熱交換器60に流入する高温側流体(熱回収対象)である白煙防止空気の流量を変更するための空気量変更機構39aと、当該回収熱交換器60に流入する低温側流体(加熱対象流体)である供給用ボイラ水の流量を変更するための加熱対象流量可変機構39bとを有している。
【0097】
空気量変更機構39aは、上述した白防下流側経路部30bに回収熱交換器60を挟むように配置された前記上流側ダンパ33及び下流側ダンパ34と、前記回収熱交バイパス空気経路部30cに配置された前記バイパス側ダンパ35とを有している。空気量変更機構39aは、後述するコントローラ100Bによる制御の下、上流側ダンパ33、下流側ダンパ34及びバイパス側ダンパ35の開度を変更することで、排ガス熱交換器14を通過した白煙防止空気のうち、回収熱交換器60に流入する白煙防止空気の流量と回収熱交バイパス空気経路部30cに流入する白煙防止空気の流量との比率を変更可能に構成されている。この比率は、各ダンパ33~35の開度によって結果的に決まるものであり、本実施形態においてコントローラ100から空気量変更機構39aの各ダンパ33~35に送信される制御信号は、この比率に係る制御信号ではなく、各ダンパ33~35の開度に係る制御信号とされている。なお、制御信号としてこの比率に係る制御信号を採用してもよく、この場合、例えば該比率から各ダンパ33~35の開度を逆算するようにしてもよい。
【0098】
加熱対象流量可変機構39bは、上述した供給用ボイラ水の給水経路22の上流側給水経路部22aに配置された前記上流側給水弁27と、下流側給水経路部22bに配置された下流側給水弁28と、バイパス給水経路部22cに配置された前記バイパス側給水弁29とを有している。加熱対象流量可変機構39bは、後述するコントローラ100Bによる制御の下、上流側給水弁27、下流側給水弁28及びバイパス側給水弁29の開度を変更することで、給水ポンプ23から送られる供給用ボイラ水のうち、回収熱交換器60に流入する供給用ボイラ水の流量と、バイパス給水経路部22cに流入する供給用ボイラ水の流量との比率を変更可能に構成されている。この比率は、各給水弁27~29の開度によって結果的に決まるものであり、本実施形態においてコントローラ100から加熱対象流量可変機構39bに送信される制御信号は、この比率に係る制御信号ではなく、各給水弁27~29の開度に係る制御信号とされている。なお、制御信号としてこの比率に係る制御信号を採用してもよく、この場合、例えば当該比率から各給水弁27~29の開度を逆算するようにしてもよい。
【0099】
2.制御系の相違点
第2の実施形態に係る前記廃棄物処理設備1Bでは、図2に示される前記コントローラ100Aに代えて図8に示されるコントローラ100Bを含む。
【0100】
コントローラ100Bは、第1の実施形態と同様に、合流排ガス系温度検知部70及び伝熱部系温度検知部71のそれぞれの検知対象温度を基に白煙防止制御を実行するが、白煙防止制御に含まれる合流排ガス系制御の内容が前記第1の実施形態とは異なる。すなわち、本実施形態の合流排ガス系制御では、前記第1の実施形態のように排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を調整するのではなく、回収熱交換器60における白煙防止空気からの熱回収量を調整することで煙突部16に供給される白煙防止空気の温度を白煙防止目標温度に制御する。本実施形態におけるコントローラ100Bが熱交換制御部に相当する。
【0101】
コントローラ100Bは、図2のコントローラ100Aと同様の機能部である受付部101、判定部102、流量調整部103及び記憶部110に加えて、熱交換量調整部104をさらに含む(図8参照)。
【0102】
本実施形態では、受付部101、判定部102及び流量調整部103によって伝熱部系制御が実行され、受付部101、判定部102及び熱交換量調整部104によって合流排ガス系制御が実行される。この点、前記第1の実施形態のコントローラ100Aが、受付部101、判定部102及び流量調整部103によって伝熱部系制御と合流排ガス系制御との両方を実行するのとは異なる。
【0103】
すなわち、本実施形態の伝熱部系制御では、流量調整部103が、前記判定部102の出力結果に基づいて、伝熱部系温度検知部71による検知温度が伝熱部系目標温度になるように空気供給部38の動作を制御する。この伝熱部系制御は、前記第1の実施形態と同様であるためその詳細な説明を省略する。
【0104】
本実施形態の合流排ガス系制御では、熱交換量調整部104が、前記判定部102の出力結果に基づいて、合流排ガス系温度検知部70による検知温度が白煙防止目標温度になるように前記熱交換量可変機構39の動作を制御する。この合流排ガス系制御では、前記第1の実施形態とは異なり、空気供給部38による白煙防止空気の供給量は一定に維持される。なお、伝熱部系制御による白煙防止空気の流量制限を受けない限り、空気供給部38による白煙防止空気の供給量は最大流量(つまり白煙防止ブロワ20の回転数は最大で且つ上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32の開度が最大)に設定することが好ましい。
【0105】
コントローラ100Bは、前記第1の実施形態と同様に、伝熱部系制御の実行後に合流排ガス系制御を実行する処理を繰り返す。伝熱部系制御の内容は前記第1の実施形態と同様であるためその詳細な説明は省略し、第1の実施形態とは内容が異なる合流排ガス系制御について説明する。
【0106】
図9は、コントローラ100Bにより実行される合流排ガス系制御の詳細を示すフローチャートである。この合流排ガス系制御では、焼却炉10の連続運転中において、白防空気供給経路30における回収熱交換器60よりも下流側部分を流れる白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)、すなわち、排ガス熱交換器14にて加熱された後、回収熱交換器60にて熱量回収処理が行われた後の白煙防止空気の温度が、合流排ガス系温度検知部70により検知され、検知された温度情報を受付部101にて受け付ける(ステップSC201)。そして、この白煙防止空気の温度の情報を含む検知データが、受付部101を通じて前記判定部102に入力される。
【0107】
前記判定部102は、前記検知データに係る温度すなわち合流排ガス系温度検知部70により検知された前記白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度であるか否かを判定する(ステップSC202)。前記検知された白煙防止空気の温度が白煙防止目標温度でないと前記判定部102が判定した場合(ステップSC202でNO)、判定部102は、さらに、当該検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも低いか否かを判定する(ステップSC203)。
【0108】
そして、当該検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも低いと前記判定部102が判定した場合、(ステップSC203でYES)、熱交換量調整部104は、回収熱交換器60の両側の前記上流側ダンパ33又は下流側ダンパ34(図7参照)の開度を減少させるとともに、回収熱交換器60をバイパスするバイパス側ダンパ35の開度を増加させることで、回収熱交換器60に流入する高温側流体(熱回収対象)である白煙防止空気の流量を減少させる、あるいは、回収熱交換器60の上流側給水弁27又は下流側給水弁28の開度を減少させるとともに回収熱交換器60のバイパス側給水弁29の開度を増加させることで回収熱交換器60に流入する低温側流体(加熱対象流体)である供給用ボイラ水の流量を減少させる(ステップSC204)。これにより、回収熱交換器60における白煙防止空気から供給用ボイラ水への熱回収量を低減して白煙防止空気の温度を上昇させる。
【0109】
一方、前記検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも高いと前記判定部102が判定した場合(ステップSC203でNO)、熱交換量調整部104は、回収熱交換器60の両側の前記上流側ダンパ33又は下流側ダンパ34の開度を増加させるとともに、回収熱交換器60をバイパスするバイパス側ダンパ35の開度を減少させることで、回収熱交換器60に流入する高温側流体である(熱回収対象である)白煙防止空気の流量を増加させる、あるいは、回収熱交換器60の上流側給水弁27又は下流側給水弁28の開度を増加させるとともに回収熱交換器60のバイパス側給水弁29の開度を減少させることで回収熱交換器60に流入する低温側流体(加熱対象流体)である供給用ボイラ水の流量を増加させる(ステップSC205)。これにより、回収熱交換器60における白煙防止空気から供給用ボイラ水への熱回収量を増加させて白煙防止空気の温度を低下させる。
【0110】
そうして、前記ステップSC204又はステップSC205の処理が終了した後は、ステップSC201に戻る。以上の動作は、前記検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度になるまで(ステップSC202でYESと判定されるまで)繰り返される。ステップSC202において、前記検知された白煙防止空気の温度が白煙防止目標温度になっていると前記判定部102が判定した場合には(ステップSC202でYES)、合流排ガス系制御(ステップSC201~SC205の処理)を終了し、伝熱部系制御を実行するためのステップ(前記第1の実施形態のステップSA1に相当)に戻る。
【0111】
各ダンパ33~35の開度を変更することの一例として、上流側ダンパ33とバイパス側ダンパ35のみ開度を変更し、下流側ダンパ34は常時全開として、前記上流側ダンパ33を全閉とする時(排ガス熱交換器14を通過して上流側接続部30dに供給された白煙防止空気の全量がバイパス空気経路部30cに流入する時)のみ前記下流側ダンパ34を全閉とするようにしてもよい。また、各ダンパ33~35の開度を変更することの他の一例として、下流側ダンパ34とバイパス側ダンパ35のみ開度を変更し、上流側ダンパ33は常時全開として、前記下流側ダンパ34を全閉とする時(排ガス熱交換器14を通過した白煙防止空気の全量がバイパス空気経路部30cに流入する時)のみ前記上流側ダンパ33を全閉とするようにしてもよい。
【0112】
各給水弁27~29の開度を変更することの一例として、上流側給水弁27とバイパス側給水弁29のみ開度を変更し、下流側給水弁28は常時全開として、前記上流側給水弁27を全閉とする時(給水ポンプ23から送られて上流側接続部22dに供給された供給用ボイラ水の全量がバイパス給水経路部22cに流入する時)のみ前記下流側給水弁28を全閉とするようにしてもよい。また、各給水弁27~29の開度を変更することの他の一例として、下流側給水弁28とバイパス側給水弁29のみ開度を変更し、上流側給水弁27は常時全開として、前記下流側給水弁28を全閉とする時(給水ポンプ23から送られて上流側接続部22dに供給された供給用ボイラ水の全量がバイパス給水経路部22cに流入する時)のみ前記上流側給水弁27を全閉とするようにしてもよい。
【0113】
[作用効果]
以上の通り、前記第2の実施形態に係る廃棄物処理設備1Bによれば、前記第1の実施形態と同様に、排ガス経路50における廃熱ボイラ12と煙突部16との間に排ガス熱交換器14を配置して、排ガス熱交換器14において、廃熱ボイラ12を通過後の比較的低温の排ガスの熱により白煙防止空気を加熱するようにしたことで、白煙防止空気が過度に加熱されるのを防止することができる。よって、白煙防止空気が過度に加熱されることによる廃熱回収効率の低下を防止することができる。
【0114】
また、前記第2の実施形態に係る廃棄物処理設備1Bによれば、白防空気供給経路30には回収熱交換器60が配置されている。回収熱交換器60は、白防空気供給経路30を流れる加熱後の白煙防止空気の熱を回収して、回収した熱により廃熱ボイラ12に供給される供給用ボイラ水を加熱するように構成され、廃棄物処理設備1Bは、白防空気供給経路30に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流入流量と、加熱対象である供給用ボイラ水の流入流量とを変更可能な熱交換量可変機構39を備えている。そして、前記廃棄物処理設備1Bはコントローラ100Bをさらに備え、コントローラ100Bは、合流排ガス系温度検知部70により検知された回収熱交換器60の下流側における白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)が、煙突部16からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、前記熱交換量可変機構39によって、回収熱交換器60に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流量と加熱対象である前記供給用ボイラ水の流量とを制御する合流排ガス系制御を実行するように構成されている。
【0115】
この構成によれば、排ガス熱交換器14を通過後の白煙防止空気の温度が白煙の発生を防止するために必要な温度よりも高い場合には、コントローラ100Bによる熱交換量可変機構39の動作制御により、当該白煙防止空気が保有する余分な熱を回収熱交換器60にて供給用ボイラ水に回収させることで、煙突部16に供給される白煙防止空気の温度が高過ぎることによる廃熱回収効率の低下を防止することができる。また、供給用ボイラ水が昇温されるので、廃熱ボイラ12での蒸気発生量が増す。
【0116】
また、前記第2の実施形態では、コントローラ100Bは、第1の実施形態と同様に、空気供給制御部による合流排ガス制御の実行前に毎回、前記伝熱部系制御を実行するように構成されている。
【0117】
したがって、前記第1の実施形態と同様に、排ガス熱交換器14の伝熱部等の腐食防止を図りながら、煙突部16からの白煙の発生を防止することができる。
【0118】
(第2の実施形態の第1変形例)
図10は、前記第2の実施形態の第1変形例を示す図8図1)相当図である。この変形例では、熱交換量可変機構39における加熱対象流体が燃焼用空気とされており、熱交換量可変機構39の一部である加熱対象流量可変機構39bの構成が前記第2の実施形態とは異なっている。
【0119】
すなわち、本変形例では、加熱対象流量可変機構39bは、燃焼用空気供給経路40に配置された第1ダンパ42、第2ダンパ43、及び第3ダンパ44を有して構成されている。
【0120】
具体的に、前記燃焼用空気供給経路40は、前記第2の実施形態とは異なり、回収熱交換器60の上流側に位置する上流側空気経路部40aと下流側に位置する下流側空気経路部40bとを有している。上流側空気経路部40aは、燃焼用空気ブロワ19の吐出口と回収熱交換器60の空気入口とを接続する。下流側空気経路部40bは、回収熱交換器60の空気出口と燃焼用空気予熱器11の空気入口とを接続する。燃焼用空気供給経路40はさらに、回収熱交換器60をバイパスする燃焼用空気バイパス経路部40cを有している。燃焼用空気バイパス経路部40cは、燃焼用空気ブロワ19より供給される燃焼用空気が回収熱交換器60を経由せずに燃焼用空気予熱器11に供給されることを許容する。具体的に、燃焼用空気バイパス経路部40cは、上流端が上流側空気経路部40aの中間位置に設けられた上流側接続部40dに接続され、下流端が下流側空気経路部40bの中間位置に設けられた下流側接続部40eに接続されている。上流側空気経路部40aにおける上流側接続部40dと回収熱交換器60との間には、第1ダンパ42が設けられ、下流側空気経路部40bにおける下流側接続部40eと回収熱交換器60との間には、第2ダンパ43が設けられ、燃焼用空気バイパス経路部40cの中間部には第3ダンパ44が設けられている。そして、これら第1ダンパ42、第2ダンパ43、及び第3ダンパ44が前記加熱対象流量可変機構39bを構成しており、各ダンパ42~44は熱交換量調整部104によって制御される。
【0121】
本変形例における合流排ガス制御の具体的な処理内容の詳細は、図9のステップSC204及びSC205における「回収熱交換器の上流側又は下流側給水弁」を「第1又は第2ダンパ」と読み替えて、「バイパス側給水弁」を「第3ダンパ」と読み替えた処理と同様であり、説明の重複を避けるためにここでは具体的な説明を省略する。
【0122】
本変形例によれば、熱交換量可変機構39における加熱対象流体が燃焼用空気である点が前記第2の実施形態とは異なるだけでその他の制御処理は第2の実施形態と同様であるため、前記第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0123】
(第2の実施形態の第2変形例)
前記第2の実施形態の第2変形例では、熱交換量可変機構39における加熱対象流体が、焼却炉10に投入される脱水汚泥を加熱するための温水(空気であってもよい)とされている。本変形例では、脱水汚泥を加熱するために、脱水汚泥が流れる配管の管壁を2重構造にしてその外側の管壁と内側の管壁との間に温水を流通させる。加熱対象流量可変機構39bは、回収熱交換器60への当該温水の流入量を変更可能に構成されている。この場合の制御は、前記第2の実施形態におけるボイラ水が前記脱水汚泥を加熱するための温水に置換される点を除いて前記第2の実施形態と同様であり、したがって、前記第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
(第2の実施形態の他の変形例)
前記第2の実施形態の他の変形例として、コントローラ100Bは、前記空気供給部38による伝熱部系制御と、熱交換量可変機構39による前記合流排ガス系制御とを並列に実行するように構成されていてもよい。この場合、第1の実施形態の変形例のような優先制御処理を別途実行する必要はない。すなわち、本変形例のコントローラ100Bにより実行される伝熱部系制御の制御アクチュエータは空気供給部38であるのに対し、合流排ガス系制御の制御アクチュエータは熱交換量可変機構39であり、伝熱部系制御と合流排ガス系制御とで制御アクチュエータが異なる。したがって、伝熱部系制御及び合流排ガス系制御を並列に実行したとしても同一の制御アクチュエータに相反する動作指令がなされることはない。よって、前記優先制御処理を別途実行することなく合流排ガス系制御と伝熱部系制御とを並行して実行することができる。
【0125】
[作用効果]
本変形例によれば、コントローラ100Bによる制御の下、前記空気供給部38による伝熱部系制御と、熱交換量可変機構39による前記合流排ガス系制御とが実行されるので、前記第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0126】
また、この変形例では、コントローラ100Bによって伝熱部系制御と合流排ガス系制御とが並列に実行されるので、前記第2の実施形態のように合流排ガス系制御の完了を待ってから伝熱部系制御を実行する場合に比べて、排ガス熱交換器14の伝熱部の温度が伝熱部系目標温度から外れた際の伝熱部系制御の実行タイミングを早めることができる。よって、排ガス熱交換器14の伝熱部等の腐食をより一層確実に抑制することができる。
【0127】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図11図13を参照しながら説明する。
【0128】
図11は、前記第3の実施形態に係る廃棄物処理設備1Cを示す。当該廃棄物処理設備1Cは、図1に示される前記廃棄物処理設備1Aに含まれる構成要素にそれぞれ対応する構成要素を含むが、以下の点において前記第1の実施形態と相違する。
【0129】
1.廃棄物処理設備の構成上の相違点
廃棄物処理設備1Cは、前記第1の実施形態とは異なり、蒸気熱交換器65及び蒸気側空気量可変機構37をさらに備える。
【0130】
[蒸気熱交換器及び該蒸気熱交換器に関連する構成]
蒸気熱交換器65は、白防空気供給経路30に接続されて排ガス熱交換器14をバイパスする主バイパス空気経路36(バイパス経路の一例)に配置されている。蒸気熱交換器65は、蒸気供給経路25cを介して廃熱ボイラ12に接続されていて、廃熱ボイラ12にて発生した蒸気の一部が当該蒸気供給経路25cを通じて蒸気熱交換器65に供給される。蒸気熱交換器65は、廃熱ボイラ12より供給された蒸気の熱を、前記主バイパス空気経路36を流れる白煙防止空気に伝えることにより当該白煙防止空気を加熱する。
【0131】
前記主バイパス空気経路36は、蒸気熱交換器65の上流側に位置する上流側空気経路部36aと、蒸気熱交換器65の下流側に位置する下流側空気経路部36bとを有している。上流側空気経路部36aは、その上流端が、白防空気供給経路30における下流側ダンパ32と後述する排ガス熱交側ダンパ37bとの間に位置する接続部36cに接続され、下流端が蒸気熱交換器65の空気入口に接続されている。上流側空気経路部36aの中間部には、後述する蒸気熱交側ダンパ37aが設けられている。下流側空気経路部36bは、その上流端が、蒸気熱交換器65の空気出口に接続され、下流端が、前記白防下流側経路部30bに設けられた接続部30fに接続されている。
【0132】
蒸気側空気量可変機構37は、白防空気供給経路30から主バイパス空気経路36に設けられた前記蒸気熱交換器65に流入する白煙防止空気の流量を変更するための機構であって、本実施形態では前記蒸気熱交側ダンパ37aによって構成されている。なお、白防上流側経路部30aにおける前記上流側空気経路部36aの上流端との接続部36cの下流側には、排ガス熱交側ダンパ37bが配置されている。本実施形態では、排ガス熱交側ダンパ37bの開度は例えば最大で一定に維持されるが、これに限ったものではなく、例えば、前記蒸気熱交換器65に流入する白煙防止空気の流量を変更するために排ガス熱交側ダンパ37bの開度を変更するようにしてもよい。この場合、この排ガス熱交側ダンパ37bと前記蒸気熱交側ダンパ37aとによって蒸気側空気量可変機構37が構成される。
【0133】
前記蒸気熱交側ダンパ37aは、後述するコントローラ100Cによってその開度が変更される。蒸気熱交側ダンパ37aが開いた状態では、白防空気供給経路30を流れる白煙防止空気の一部が、主バイパス空気経路36に流入し、当該蒸気熱交側ダンパ37aを通過した後に蒸気熱交換器65に供給される。蒸気熱交換器65に供給された白煙防止空気は、当該蒸気熱交換器65にて加熱された後、前記接続部30fに到達し、該接続部30fにおいて、前記排ガス熱交換器14を通過後の白煙防止空気(すなわち白防下流側経路部30bを流れる白煙防止空気)と合流する。ここで、蒸気熱交換器65にて高温側流体として利用される蒸気の温度は、排ガス熱交換器14にて高温側流体として利用される排ガスの温度よりも高いので、蒸気熱交換器65の方が排ガス熱交換器14に比べて白煙防止空気の加熱能力が高い。したがって、蒸気熱交側ダンパ37aの開度を増加させるほど、加熱能力が高い蒸気熱交換器65への白煙防止空気の流入量が加熱能力の低い排ガス熱交換器14への白煙防止空気の流入量に比べて増加し、これにより前記接続部30fにおける合流後の白煙防止空気の温度が高くなる。
【0134】
2.制御系の相違点
第3の実施形態に係る前記廃棄物処理設備1Cでは、図2に示される前記コントローラ100Aに代えて図12に示されるコントローラ100Cを含む。
【0135】
コントローラ100Cは、第1の実施形態と同様に、合流排ガス系温度検知部70及び伝熱部系温度検知部71のそれぞれの検知対象温度を基に白煙防止制御を実行するが、白煙防止制御の一部を構成する合流排ガス系制御の内容が前記第1の実施形態とは異なる。すなわち、本実施形態の合流排ガス系制御では、前記第1の実施形態のように排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を調整するのではなく、前記主バイパス空気経路36に配置された蒸気熱交換器65への白煙防止空気の流量を調整することで、煙突部16に供給される白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)を白煙防止目標温度に制御する。本実施形態におけるコントローラ100Cが蒸気側空気量制御部に相当する。
【0136】
具体的には、コントローラ100Cは、図2のコントローラ100Aと同様の機能部である受付部101、判定部102、流量調整部103及び記憶部110を含む(図12参照)が、流量調整部103による制御アクチュエータとして蒸気熱交側ダンパ37aがさらに加わる点で図2とは異なる。
【0137】
本実施形態では、前記第1の実施形態と同様に、受付部101、判定部102及び流量調整部103によって伝熱部系制御と合流排ガス系制御とが実行される。伝熱部系制御の内容は、前記第1の実施形態と同様であるが、合流排ガス系制御の内容が、前記第1の実施形態とは異なる。
【0138】
すなわち、本実施形態の合流排ガス系制御では、流量調整部103が、前記判定部102の出力結果に基づいて、合流排ガス系温度検知部70による検知温度が白煙防止目標温度になるように、蒸気熱交側ダンパ37aの開度を制御する。また、流量調整部103は、蒸気熱交側ダンパ37aの開度が変更されたとしても排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量が一定になるように白煙防止ブロワ20の回転数あるいは上流側ダンパ31の開度を制御する。
【0139】
コントローラ100Cは、前記第1の実施形態と同様に、伝熱部系制御の実行後に合流排ガス系制御を実行する処理を繰り返す。以下では、第1の実施形態とは内容が異なる合流排ガス系制御について説明し、伝熱部系制御については第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0140】
図13は、前記第3の実施形態における合流排ガス系制御の詳細を示すフローチャートである。この合流排ガス系制御では、焼却炉10の連続運転中において、白防空気供給経路30における前記接続部30fよりも下流側部分を流れる白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)、すなわち、蒸気熱交換器65にて加熱された白煙防止空気と排ガス熱交換器14にて加熱された白煙防止空気とが合流してなる白煙防止空気の温度が、合流排ガス系温度検知部70により検知され、検知された温度情報を受付部101にて受け付ける(ステップSD201)。そして、この白煙防止空気の温度の情報を含む検知データが、受付部101を通じて前記判定部102に入力される。
【0141】
前記判定部102は、前記検知データに係る温度すなわち合流排ガス系温度検知部70により検知された前記白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度であるか否かを判定する(ステップSD202)。前記検知された白煙防止空気の温度が白煙防止目標温度でないと前記判定部102が判定した場合(ステップSD202でNO)、判定部102は、さらに、当該検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも低いか否かを判定する(ステップSD203)。
【0142】
そして、当該検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも低いと前記判定部102が判定した場合(ステップSD203でYES)、流量調整部103は、蒸気熱交側ダンパ37aの開度を増加させることで、蒸気熱交換器65に流入する白煙防止空気の流量を増加させる(ステップSD204)。これにより、排ガス熱交換器14よりも空気加熱能力が高い蒸気熱交換器65を通過する白煙防止空気の流量を増加させて、延いては、前記接続部30fよりも下流側部分における白煙防止空気の温度(煙突部16に供給される直前の白煙防止空気)の温度を上昇させる。なお、ステップSD204において、蒸気熱交側ダンパ37aの開度の増加と併せて排ガス熱交側ダンパ37bの開度を減少させるようにしてもよい。
【0143】
一方、前記検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度よりも高いと前記判定部102が判定した場合(ステップSD203でNO)、流量調整部103は、蒸気熱交側ダンパ37aの開度を減少させることで、蒸気熱交換器65に流入する白煙防止空気の流量を減少させる(ステップSD205)。これにより、排ガス熱交換器14よりも空気加熱能力が高い蒸気熱交換器65を通過する白煙防止空気の流量を減少させて、延いては、前記接続部30fよりも下流側部分における白煙防止空気の温度(煙突部16に供給される直前の白煙防止空気の温度)を低下させる。なお、ステップSD205において、蒸気熱交側ダンパ37aの開度の減少と併せて排ガス熱交側ダンパ37bの開度を増加させるようにしてもよい。前記ステップSD204又はステップSD205の処理後は、蒸気熱交側ダンパ37aの開度の変更に伴う排ガス熱交換器14への白煙防止空気の流入流量の変化を補うように、換言すると、排ガス熱交換器14への白煙防止空気の流量が予め設定した設定流量に維持されるように白煙防止ブロワ20の回転数を変更する(ステップSD206)。このステップSD206の処理後は、ステップSD201に戻る。以上の動作は、前記検知された白煙防止空気の温度が前記白煙防止目標温度になるまで(ステップSD202でYESと判定されるまで)繰り返される。ステップSD202において、前記検知された白煙防止空気の温度が白煙防止目標温度になっていると前記判定部102が判定した場合には(ステップSD202でYES)、合流排ガス系制御(ステップSD201~SD206の処理)を終了し、伝熱部系制御を実行するためのステップ(前記第1の実施形態のステップSA1に相当)に戻る。
【0144】
[作用効果]
以上の通り前記第3の実施形態の廃棄物処理設備1Cによれば、前記第1の実施形態と同様に、排ガス経路50における廃熱ボイラ12の下流側に排ガス熱交換器14を配置して、排ガス熱交換器14において、廃熱ボイラ12を通過後の比較的低温の排ガスの熱により白煙防止空気を加熱するようにしたことで、白煙防止空気が過度に加熱されるのを防止することができる。これにより、白煙防止空気が過度に加熱されることによる廃熱回収効率の低下を防止することができる。
【0145】
また、前記第3の実施形態では、廃棄物処理設備1Cは、白煙防止空気が流れる白防空気供給経路30から分岐し排ガス熱交換器14をバイパスして煙突部16に白煙防止空気を供給するための主バイパス空気経路36と、主バイパス空気経路36に配置された蒸気熱交換器65と、白防空気供給経路30から蒸気熱交換器65に流入する白煙防止空気の流量を変更可能な蒸気熱交側ダンパ37a(蒸気側空気量可変機構37の一例)とを備えている。蒸気熱交換器65は、廃熱ボイラ12にて発生する蒸気の一部の熱を主バイパス空気経路36を流れる白煙防止空気に伝えることにより当該白煙防止空気を加熱するように構成されている。そして、廃棄物処理設備1Cはコントローラ100Cをさらに備え、コントローラ100Cは、合流排ガス系温度検知部70により検知された前記合流排ガス系温度が煙突部16からの白煙の発生を防止可能な下限温度以上に設定された白煙防止目標温度になるように、蒸気熱交側ダンパ37aによって、白防空気供給経路30から主バイパス空気経路36を通じて蒸気熱交換器65に流入する白煙防止空気の流量を制御するように構成されている。
【0146】
この構成によれば、排ガス熱交換器14を通過後の白煙防止空気の温度が白煙防止目標温度よりも低い場合には、コントローラ100Cによる制御の下、蒸気熱交側ダンパ37aの開度を増加することにより、白煙防止空気の一部を、排ガス熱交換器14に比べて空気加熱力が高い蒸気熱交換器65に導くことで、当該蒸気熱交換器65にて加熱された白煙防止空気と排ガス熱交換器14によって加熱された白煙防止空気との合流後の白煙防止空気(つまり煙突部16に供給される直前の白煙防止空気)の温度を白煙防止目標温度まで高めることができる。すなわち、煙突部16に供給される白煙防止空気の一部を蒸気熱交換器65によって加熱し、残りの白煙防止空気を低温排ガスを利用した排ガス熱交換器14によって加熱することで、従来のように全ての白煙防止空気を高温の蒸気で過熱する場合に比べて、白煙防止空気の過度の加熱を防止して廃熱回収効率を向上させることができる。
【0147】
(第3の実施形態の変形例)
前記第3の実施形態の変形例として、コントローラ100Cは、前記伝熱部系制御及び合流排ガス系制御を並列に実行するように構成されていてもよい。この場合、第1の実施形態の変形例と同様に、コントローラ100Cによって優先制御処理を別途実行する必要がある。すなわち、本変形例のコントローラ100Cにより実行される伝熱部系制御の制御アクチュエータは空気供給部38であり、合流排ガス系制御の制御アクチュエータには、当該空気供給部38を構成する白煙防止ブロワ20(ステップSD206参照)が含まれる。したがって、伝熱部系制御と合流排ガス系制御とを並列に実行した場合、該両制御にて共通に使用される空気供給部38の白煙防止ブロワ20に対して相反する動作指令がなされる虞がある。本変形例では、このような状況を回避して伝熱部系制御による伝熱部の保護を優先するべく、コントローラ100Cが優先制御処理を実行する。この優先制御処理では、第1の実施形態の変形例と同様に、判定部102にて伝熱部の温度が伝熱部系目標温度でないと判定された場合には合流排ガス系制御の実行を禁止し、判定部102にて伝熱部の温度が伝熱部系目標温度であると判定された場合には合流排ガス系制御の実行を許可する。
【0148】
[作用効果]
本変形例によれば、コントローラ100Cによる制御の下、空気供給部38による伝熱部系制御と、蒸気側空気量可変機構37による合流排ガス系制御とが実行されるので、前記第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0149】
しかも、この変形例では、コントローラ100Cによって伝熱部系制御と合流排ガス系制御とが並列に実行されるので、前記第3の実施形態のように合流排ガス系制御の完了を待ってから伝熱部系制御を実行する場合に比べて、排ガス熱交換器14の伝熱部の温度が伝熱部系目標温度から外れた際の伝熱部系制御の実行タイミングを早めることができる。よって、排ガス熱交換器14の伝熱部等の腐食をより一層確実に抑制することができる。
【0150】
(その他の実施形態)
本発明による廃棄物処理設備は、前記のようなものに必ずしも限定されない。例えば、本発明による廃棄物処理設備に以下のような構成を採用可能である。
【0151】
(1)前記各実施形態及び変形例では、廃棄物処理設備1A~1Cは、焼却炉10、廃熱ボイラ12、及び煙突部16の他に、燃焼用空気予熱器11、集塵装置13及び排煙処理塔15を有して構成されているが、このような構成に限定されない。燃焼用空気予熱器11、集塵装置13及び排煙処理塔15は必ずしも必要ではなく、焼却炉10、廃熱ボイラ12、及び煙突部16を有していれば如何なる構成であってもよい。
【0152】
(2)前記各実施形態及び変形例では、白煙防止空気を煙突部16に供給するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば煙突部16の出口の外側に供給するようにしてもよい。この場合、白煙防止空気の供給位置が煙突部16の出口から遠いと、白煙防止空気が当該出口から排出された排ガスと合流する前に排ガス中の水分が凝縮して白煙が発生するため、白煙防止空気の供給位置は、このような白煙の発生を防止可能なように煙突部16の出口から所定範囲内に設定される。この所定範囲は、例えば、予め運転試験等を行うことにより画定すればよい。
【0153】
(3)前記各実施形態及び変形例では、白煙防止空気を煙突部16に直接供給するようにしているが、必ずしも直接供給する必要はなく、例えば、排煙処理塔15と煙突部16とを接続する第6経路部56に白煙防止空気を導入し、該第6経路部56を介して煙突部16に白煙防止空気を供給するようにしてもよい。
【0154】
(4)前記各実施形態及び変形例において、排ガス熱交換器14の伝熱部の温度(伝熱部系温度の一例)を伝熱部系目標温度に制御する際にPID制御を行ってもよい。同様に、白煙防止空気の温度(合流排ガス系温度の一例)を白煙防止目標温度に制御する際にPID制御を行ってもよい。
【0155】
(5)前記第2の実施形態及びその変形例において、熱交換量可変機構39は、回収熱交換器60に流入する熱回収対象である白煙防止空気の流入流量と、加熱対象である供給用ボイラ水の流入流量との双方を変更可能に構成されているが、これに限ったものでなく、少なくとも一方を変更可能に構成されていればよい。すなわち、例えば空気量変更機構39aを廃止して、加熱対象である供給用ボイラ水の流入流量のみを変更可能に構成してもよいし、加熱対象流量可変機構39bを廃止して、熱回収対象である白煙防止空気の流入流量のみを変更可能に構成してもよい。なお、言うまでもなく空気量変更機構39a及び加熱対象流量可変機構39bの構成は、上述した図7の構成に限定されない。すなわち、空気量変更機構39aについて、例えば上流側ダンパ33及び下流側ダンパ34のうちいずれか一方を廃止してもよい。また、加熱対象流量可変機構39bについて、例えば上流側給水弁27及び下流側給水弁28のうちいずれか一方を廃止してもよい。
【0156】
(6)前記第3の実施形態及びその変形例において、ステップS206Dの処理を実行することで、排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量を一定に維持するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、ステップSD206の処理を廃止して、煙突部16に供給される白煙防止空気の流量(すなわち、排ガス熱交換器14に供給される白煙防止空気の流量と、蒸気熱交換器65に供給される白煙防止空気の流量との和)を一定に維持するようにしてもよい。この場合、白煙防止ブロワ20の回転数を一定(例えば最大回転数)に維持し、上流側ダンパ31及び下流側ダンパ32の開度も一定に維持するようにすればよい。
【0157】
(7)本発明には、前記各実施形態及び各変形例の任意の組み合わせを含む。
【0158】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0159】
1A 廃棄物処理設備
1B 廃棄物処理設備
1C 廃棄物処理設備
10 焼却炉
12 廃熱ボイラ
14 排ガス熱交換器
16 煙突部
20 白煙防止ブロワ(空気供給部)
30 白防空気供給経路
37 蒸気側空気量可変機構
37a 蒸気熱交側ダンパ(蒸気側空気量可変機構)
38 空気供給部
31 上流側ダンパ(空気供給部)
32 下流側ダンパ(空気供給部)
39 熱交換量可変機構
39a 空気量変更機構(熱交換量可変機構)
39b 水量変更機構(熱交換量可変機構)
50 排ガス経路
60 回収熱交換器
65 蒸気熱交換器
70 合流排ガス系温度検知部
71 伝熱部系温度検知部
100A コントローラ(空気供給制御部)
100B コントローラ(空気供給制御部、熱交換制御部)
100C コントローラ(空気供給制御部、蒸気側空気量制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13