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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176915
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】部品実装機および部品撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095788
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政二
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353EE51
5E353EE83
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK01
5E353KK11
5E353KK21
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】撮像素子に対する部品の移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品を撮像可能とする。
【解決手段】連続して出力される2個のカメラトリガTrb、Trcのうち、先に出力されるカメラトリガTrb(第1トリガ)と当該カメラトリガTrbの後に出力されるカメラトリガTrc(第2トリガ)との時間間隔であるトリガ間隔Itの中心Ctが推定されて(ステップS107)、トリガ間隔Itの中心Ctを基準に露光期間Peの中心Ceが設定される(ステップS108)。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状に延設された撮像範囲を撮像する撮像素子を有するカメラと、
前記撮像範囲に対して相対的に部品を移動させる部品移動部と、
点灯することで前記撮像範囲に照明を照射する照明部と、
前記部品移動部による前記部品の移動に応じてトリガを出力するトリガ出力部と、
前記トリガ出力部による前記トリガの出力に応じた露光期間において前記撮像素子の露光を前記カメラに実行させる露光制御部と
を備え、
前記照明部は、前記露光期間を含んで前記露光期間よりも長い点灯期間において点灯し、
前記露光制御部は、連続して出力される2個のトリガのうち、先に出力される第1トリガと当該第1トリガの後に出力される第2トリガとの時間間隔であるトリガ間隔の中心を推定して、前記トリガ間隔の中心を基準に前記露光期間の中心を設定する部品実装機。
【請求項2】
前記トリガ出力部は、前記部品が前記撮像範囲を通過する期間において複数のトリガを順番に出力し、
前記露光制御部は、複数のトリガに応じて複数の露光期間を設定し、
前記照明部は、前記複数の露光期間を含む前記点灯期間において継続して点灯する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記露光制御部は、前記露光期間の長さの変化によらず、前記トリガ間隔の中心と前記露光期間の中心との関係を維持する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記露光制御部は、前記第1トリガと連続して前記第1トリガより先に出力される第3トリガと前記第1トリガとの時間間隔に基づき、前記第1トリガと前記第2トリガとの間の前記トリガ間隔の中心を推定する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記露光制御部は、前記撮像範囲に対する前記部品の相対的な移動速度に基づき、前記第1トリガと前記第2トリガとの間の前記トリガ間隔の中心を推定する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記露光制御部は、前記トリガ間隔の中心と前記露光期間の中心とが一致するように、前記露光期間を設定する請求項1ないし5のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項7】
ライン状に延設された撮像範囲を撮像する撮像素子を有するカメラの前記撮像範囲に対して相対的に部品を移動させる工程と、
照明部を点灯させることで前記照明部から前記撮像範囲に照明を照射する工程と、
前記撮像範囲に対する前記部品の移動に応じてトリガを出力する工程と、
前記トリガに応じた露光期間を設定する工程と、
前記露光期間において前記撮像素子の露光を前記カメラに実行させる工程と
を備え、
前記照明部は、前記露光期間を含んで前記露光期間よりも長い点灯期間において点灯し、
前記露光期間を設定する工程では、連続して出力される2個のトリガのうち、先に出力される第1トリガと当該第1トリガの後に出力される第2トリガとの時間間隔であるトリガ間隔の中心を推定して、前記トリガ間隔の中心を基準に前記露光期間の中心を設定する部品撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に部品を実装する部品実装技術に関し、特に部品を認識するために部品を撮像する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装技術においては、部品を撮像した画像に基づき部品を認識して、その結果に基づき基板への部品の実装位置を調整するといった制御が実行される。これに対して、特許文献1~4では、カメラにより部品を撮像するための技術が示されている。例えば特許文献1では、撮像エリアで部品を移動させつつトリガの出力の度にカメラに露光を実行させることで、部品が撮像される。また、特許文献4に示されるように、部品の撮像にはラインセンサを用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-136315号公報
【特許文献2】特開2020-136361号公報
【特許文献3】特開2005-159210号公報
【特許文献4】特開2006-294977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
つまり、部品の移動速度に応じた時間間隔でトリガを繰り返し出力しつつ、トリガの出力の度にカメラに露光を実行させることで、部品の全体を撮像することができる。ただし、特許文献4で指摘されているように、ラインセンサを用いた方法では、ラインセンサに対する部品の移動方向の違いによって、部品への照明の照射タイミングが異なって、その結果、部品の認識精度に差が発生する場合があった。特許文献4では、照明をオンしてからオフするまでの点灯期間の中心を、トリガの出力間隔の中心に一致させることで、これに対応している。
【0005】
しかしながら、オンしてから安定するまでに時間が必要となるレーザ等の照明を用いる場合や、露光期間が極端に短い場合では、特許文献4の方法では対応しきれない。また、このような課題は、ラインセンサの代わりにエリアセンサを用いて、エリアセンサにライン状のROI(Region Of Interest)を設定しつつ部品を撮像した際にも同様に生じる。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、撮像素子に対する部品の移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品を撮像可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部品実装機は、ライン状に延設された撮像範囲を撮像する撮像素子を有するカメラと、撮像範囲に対して相対的に部品を移動させる部品移動部と、点灯することで撮像範囲に照明を照射する照明部と、部品移動部による部品の移動に応じてトリガを出力するトリガ出力部と、トリガ出力部によるトリガの出力に応じた露光期間において撮像素子の露光をカメラに実行させる露光制御部とを備え、照明部は、露光期間を含んで露光期間よりも長い点灯期間において点灯し、露光制御部は、連続して出力される2個のトリガのうち、先に出力される第1トリガと当該第1トリガの後に出力される第2トリガとの時間間隔であるトリガ間隔の中心を推定して、トリガ間隔の中心を基準に露光期間の中心を設定する。
【0008】
本発明に係る部品撮像方法は、ライン状に延設された撮像範囲を撮像する撮像素子を有するカメラの撮像範囲に対して相対的に部品を移動させる工程と、照明部を点灯させることで照明部から撮像範囲に照明を照射する工程と、撮像範囲に対する部品の移動に応じてトリガを出力する工程と、トリガに応じた露光期間を設定する工程と、露光期間において撮像素子の露光をカメラに実行させる工程とを備え、照明部は、露光期間を含んで露光期間よりも長い点灯期間において点灯し、露光期間を設定する工程では、連続して出力される2個のトリガのうち、先に出力される第1トリガと当該第1トリガの後に出力される第2トリガとの時間間隔であるトリガ間隔の中心を推定して、トリガ間隔の中心を基準に露光期間の中心を設定する。
【0009】
このように構成された本発明(部品実装機および部品撮像方法)では、連続して出力される2個のトリガのうち、先に出力される第1トリガと当該第1トリガの後に出力される第2トリガとの時間間隔であるトリガ間隔の中心を推定して、トリガ間隔の中心を基準に露光期間の中心を設定する。これによって、トリガ間隔に対する露光期間の偏りが抑制される。そして、照明部は、露光期間を含んで露光期間よりも長い点灯期間において点灯し、すなわち、露光期間において継続して照明が部品に照射される。その結果、撮像素子に対する部品の移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品を撮像することが可能となっている。
【0010】
また、トリガ出力部は、部品が撮像範囲を通過する期間において複数のトリガを順番に出力し、露光制御部は、複数のトリガに応じて複数の露光期間を設定し、照明部は、複数の露光期間を含む点灯期間において継続して点灯するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、複数のトリガに対してそれぞれ設定される複数の露光期間を通じて照明部を点灯させて、安定的な照明を部品に照射しつつ部品を撮像することができる。
【0011】
また、露光制御部は、露光期間の長さの変化によらず、トリガ間隔の中心と露光期間の中心との関係を維持するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、露光期間の長さが変化した場合であっても、撮像素子に対する部品の移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品を撮像することができる。
【0012】
また、露光制御部は、第1トリガと連続して第1トリガより先に出力される第3トリガと第1トリガとの時間間隔に基づき、第1トリガと第2トリガとの間のトリガ間隔の中心を推定するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、露光期間の直前に連続して出力される2個のトリガに基づき、露光期間を挟む2個のトリガのトリガ間隔の中心を適切に設定することができる。
【0013】
また、露光制御部は、撮像範囲に対する部品の相対的な移動速度に基づき、第1トリガと第2トリガとの間のトリガ間隔の中心を推定するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、部品の移動速度に基づき、露光期間を挟む2個のトリガのトリガ間隔の中心を適切に設定することができる。
【0014】
また、露光制御部は、トリガ間隔の中心と露光期間の中心とが一致するように、露光期間を設定するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、撮像素子に対する部品の移動方向の違いによらず概ね等しい照明条件で部品を撮像することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、撮像素子に対する部品の移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品を撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図。
図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
図3】部品実装機が備える実装ヘッドおよび部品認識ユニットを模式的に示す図。
図4A】部品認識カメラによる部品の撮像を模式的に示す図。
図4B】部品認識カメラによる部品の撮像を模式的に示す図。
図5A】露光期間の制御の比較例を模式的に示すタイミングチャート。
図5B】露光期間の制御の比較例を模式的に示すタイミングチャート。
図6】露光制御の第1例を示すフローチャート。
図7図6のフローチャートを実行する電気的構成を示すブロック図。
図8図6の露光制御で実行される演算内容を模式的に示すタイミングチャート。
図9A図6の露光制御の結果を模式的に示すタイミングチャート。
図9B図6の露光制御の結果を模式的に示すタイミングチャート。
図10】露光制御の第2例を示すフローチャート。
図11図10のフローチャートを実行する電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図であり、図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図であり、図3は部品実装機が備える実装ヘッドおよび部品認識ユニットを模式的に示す図である。本明細書では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。この部品実装機2は、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品Eを基板Bに実装する。
【0018】
図2に示すように、部品実装機2は、当該部品実装機2の全体を統括的に制御するコントローラ3を備える。コントローラ3は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)で構成されたプロセッサである主制御部31と、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等で構成された記憶部32とを有する。また、コントローラ3は、部品実装機2の駆動系を制御する駆動制御部33を有し、主制御部31は、駆動制御部33によって駆動系を制御することで、基板Bに部品Eを実装する部品実装を実行する。さらに、コントローラ3は、後述する部品認識ユニット4による部品Eの撮像を制御する撮像制御部34と、管理サーバ等の外部装置と通信を行う通信部35とを有する。
【0019】
図1に示すように、部品実装機2は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する搬送部21を備える。この搬送部21は、X方向に並列に配置された一対のコンベア211を有し、コンベア211によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア211の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、搬送部21は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア211の間隔を調整する。この搬送部21は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の作業位置212に搬入するとともに、作業位置212で部品Eが実装された基板Bを作業位置212からX方向の下流側に搬出する。
【0020】
この部品実装機2では、合計4台の部品供給台車22が設けられており、具体的には、 搬送部21のY方向の両側それぞれにおいて2台の部品供給台車22がX方向に並んでいる。各部品供給台車22では、複数のテープフィーダ23がX方向に並び、複数のテープフィーダ23にそれぞれ対応して複数の部品供給リールが配置されている。部品供給リールには部品収納テープが巻き付けられている。この部品収納テープは、一列に配列された複数のポケットを有し、各ポケットに部品Eが収納されている。各テープフィーダ23は、Y方向において搬送部21側の先端部に部品供給位置231を有し、部品供給リールから引き出した部品収納テープを搬送部21側に間欠的に送ることで、部品収納テープ内の部品Eを部品供給位置231に供給する。
【0021】
また、部品実装機2では、Y方向に延びる一対のY軸レール241と、Y方向に延びるY軸ボールネジ242と、Y軸ボールネジ242を回転駆動するY軸モータMyとが設けられ、X軸レール244が一対のY軸レール241にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ242のナットに固定されている。X軸レール244には、X方向に延びるX軸ボールネジ245と、X軸ボールネジ245を回転駆動するX軸モータMxとが取り付けられている。部品実装機2はヘッドユニット25を備え、ヘッドユニット25は、X軸レール244にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ245のナットに固定されている。したがって、駆動制御部33は、Y軸モータMyによりY軸ボールネジ242を回転させてヘッドユニット25をY方向に移動させ、あるいはX軸モータMxによりX軸ボールネジ245を回転させてヘッドユニット25をX方向に移動させることができる。
【0022】
図1に示す例では、ヘッドユニット25は、X方向に直線状に配列された複数の実装ヘッド5を有するインラインタイプである。ただし、ヘッドユニット25の具体的構成は図1の例に限られず、ヘッドユニット25は、円周状に配列された複数の実装ヘッド5を有するロータリータイプであってもよい。また、ヘッドユニット25が有する実装ヘッド5の本数は複数に限られず単数でも構わない。
【0023】
実装ヘッド5の下端にはノズル51(図3)が着脱可能に装着されており、実装ヘッド5はノズル51によって部品Eを吸着する。これに対して、部品実装機2は、実装ヘッド5をZ方向に昇降させるZ軸モータMzと、実装ヘッド5を回転させるR軸モータMrとを有する。そして、駆動制御部33は、Z軸モータMzによって実装ヘッド5の高さ(すなわち、ノズル51の高さ)を調整し、R軸モータMrによって実装ヘッド5の回転角度(すなわち、ノズル51の回転角度)を調整する。
【0024】
かかる部品実装機2では、主制御部31の指令を受けて駆動制御部33が制御を実行することで、部品Eが基板Bに実装される。つまり、駆動制御部33は、X軸モータMxおよびY軸モータMyによって実装ヘッド5を移動させることで、部品供給位置231に供給された部品Eに対して、当該実装ヘッド5のノズル51を上方から対向させる。続いて、駆動制御部33は、Z軸モータMzによってノズル51を下降させることで、部品供給位置231に供給された部品Eの上面にノズル51を当接させた後に、ノズル51に部品Eを吸着させる。さらに、駆動制御部33は、Z軸モータMzによってノズル51を上昇させる。こうして、ヘッドユニット25は、実装ヘッド5のノズル51によって部品供給位置231から部品Eをピックアップする。続いて、駆動制御部33は、X軸モータMxおよびY軸モータMyによって実装ヘッド5を移動させることで、基板Bのランドに対して、当該実装ヘッド5のノズル51に吸着される部品Eを上方から対向させる。さらに、駆動制御部33は、ノズル51により吸着される部品Eのランドに対する角度をR軸モータMrによって調整してから、Z軸モータMzによってノズル51を下降させることで、部品Eを基板Bのランドに載置する。
【0025】
また、部品実装機2は、X方向において、2個の部品供給台車22の間に配置された部品認識ユニット4を備える。この部品認識ユニット4は、上方を向いて配置されて撮像範囲V41内を撮像する部品認識カメラ41と、撮像範囲V41に照明(光)を照射する照明部43とを有する。この部品認識ユニット4は、Y方向において搬送部21の両側に配置されている。照明部43は、例えばマトリックス状に配列された複数の点光源を有し、各点光源から撮像範囲V41に光を射出することで、撮像範囲V41に照明を照射する。かかる点光源としては、例えばLD(Laser Diode)あるいはLED(Light-Emitting Diode)を用いることができる。
【0026】
駆動制御部33は、実装ヘッド5のノズル51によって部品供給位置231から部品Eをピックアップすると、当該部品Eを基板Bに載置する前に、部品Eが部品認識カメラ41の撮像範囲V41を通過するように、部品EをX方向に移動させる。そして、後述するように、部品認識カメラ41は、撮像範囲V41の撮像を繰り返し実行することで、部品Eの全体を示す部品認識画像Irを取得する。この部品認識画像Irは、部品認識カメラ41から撮像制御部34を介して記憶部32に保存される。また、主制御部31は、記憶部32に保存された部品認識画像Irに基づき、部品Eの位置を認識する部品認識を実行する。具体的には、主制御部31は、部品認識画像Irの取得時におけるノズル51の位置と、部品認識画像Irにおける部品Eの位置とに基づき、ノズル51に対する部品Eの位置を認識する。なお、主制御部31は、各モータMx、MyおよびMrのエンコーダ出力を駆動制御部33から受信することで、部品認識画像Irの取得時のノズル51の位置を確認することができる。そして、主制御部31は、部品認識画像Irに基づき認識した部品Eの位置に応じて各モータMx、MyおよびMrを制御することで、基板Bのランドに対して部品Eの位置を調整しつつ、当該ランドに部品Eを実装する。
【0027】
図4Aおよび図4Bは部品認識カメラによる部品の撮像を模式的に示す図である。図4Aおよび図4Bでは、X方向の一方側を向く第1方向X1と、X方向の他方側を向く第2方向X2とが示されている。つまり、第1方向X1および第2方向X2はX方向に平行で、互いに逆を向く。部品認識カメラ41は、撮像範囲V41で部品Eによって反射された光を受光することで、撮像範囲V41における部品Eの画像を撮像するイメージセンサ411を有する。この例では、イメージセンサ411は、Y方向に平行に延設された固体撮像素子で構成されるラインセンサである。したがって、撮像範囲V41は、Y方向に平行に延設されている。
【0028】
図4Aの例では、駆動制御部33は、実装ヘッド5のノズル51に保持される部品Eを第1方向X1に移動させる。これによって、撮像対象となる部品Eは、撮像範囲V41に対して部品Eが第1方向X1に移動する。そして、図4Aの「走査開始」に示すように、部品Eの第1方向X1の端が撮像範囲V41に到達してから、図4Aの「走査終了」に示すように、部品Eの第2方向X2の端が撮像範囲V41に到達する期間において、撮像範囲V41が部品Eに走査される。部品認識カメラ41は、照明部43を点灯させて照明部43から撮像範囲V41に照明を照射しつつ、部品Eが撮像範囲V41の幅だけ第1方向X1に移動する度に、イメージセンサ411が検出した1ライン分の画像(ライン画像)を取り込むことで、部品Eの全体の画像(部品認識画像Ir)を取得する。
【0029】
図4Bの例では、駆動制御部33は、実装ヘッド5のノズル51に保持される部品Eを第2方向X2に移動させる。これによって、撮像対象となる部品Eは、撮像範囲V41に対して部品Eが第2方向X2に移動する。そして、図4Bの「走査開始」に示すように、部品Eの第2方向X2の端が撮像範囲V41に到達してから、図4Bの「走査終了」に示すように、部品Eの第1方向X1の端が撮像範囲V41に到達する期間において、撮像範囲V41が部品Eに走査される。部品認識カメラ41は、照明部43から撮像範囲V41に照明を照射しつつ、部品Eが撮像範囲V41の幅だけ第2方向X2に移動する度に、イメージセンサ411が検出した1ライン分の画像(ライン画像)を取り込むことで、部品Eの全体の画像(部品認識画像Ir)を取得する。
【0030】
図4Aおよび図4Bのようにして部品Eの画像(部品認識画像Ir)を取得するために、部品認識カメラ41は、シャッタによってイメージセンサ411の露光を制御する。つまり、部品認識カメラ41は、部品Eに対して撮像範囲V41が走査されている期間は、イメージセンサ411に対してシャッタを開いて、撮像範囲V41で反射された光をイメージセンサ411に到達させる(すなわち、イメージセンサ411を露光する)。これによって、シャッタが開いている露光期間において、撮像範囲V41からの光によってイメージセンサ411が露光されて、撮像範囲V41を通過する部品Eの画像(部品認識画像Ir)が撮像される。一方、部品認識カメラ41は、部品Eに対して撮像範囲V41が走査されていない期間は、イメージセンサ411に対してシャッタを閉じて、撮像範囲V41で反射された光のイメージセンサ411への到達を制限する。
【0031】
具体的には、撮像制御部34は、X方向に部品Eを移動させるX軸モータMxのエンコーダの出力を駆動制御部33から受信して、エンコーダの出力に同期したトリガを生成して、部品認識カメラ41は、撮像制御部34から受信したトリガを基準にシャッタを開く露光期間を設定する。ただし、この露光期間の設定には、図5Aおよび図5に示すような事情があった。
【0032】
図5Aおよび図5Bは露光期間の制御の比較例を模式的に示すタイミングチャートであり、図5Aは部品Eを第1方向X1に移動させつつ部品Eを撮像する場合を示し、図5Bは部品Eを第2方向X2に移動させつつ部品Eを撮像する場合を示す。図5Aおよび図5Bの両例において、撮像制御部34は、部品Eが撮像範囲V41に対して撮像範囲V41の幅だけ移動する度に、カメラトリガTrを生成する。また、部品認識カメラ41は、カメラトリガTrの生成から所定時間Δが経過した時点から露光期間Peが開始するように露光期間Peを設定する。その結果、複数の露光期間Peが設定される。また、撮像制御部34は、照明部43を点灯させて撮像範囲V41に照明を照射する点灯期間Piを設定する。この点灯期間Piは、複数の露光期間Peを含むように設定され、点灯期間Piを通じて照明部43から撮像範囲V41に照明が照射される。
【0033】
このように露光期間Peを設定した場合、撮像範囲V41における部品Eで反射されてイメージセンサ411の露光に供する光(露光反射光)の部品Eにおける位置が、第1方向X1に部品Eを移動させる場合と、第2方向X2に部品Eを移動させる場合とで異なる。つまり、図5Aに示すように、第1方向X1に部品Eを移動させた場合には、露光反射光は第1方向X1側に偏り、図5Bに示すように、第2方向X2に部品Eを移動させた場合には、露光反射光は第2方向X2側に偏る。このような光の反射位置の偏り(換言すれば、配光差)に起因して、部品Eを第1方向X1に移動させた場合と、部品Eを第2方向X2に移動させた場合とで、部品Eの画像(部品認識画像Ir)に違いが生じて、部品Eの認識精度に影響が生じる場合があった。本実施形態では、このような事情に対応するために、以下に説明する露光制御が実行される。
【0034】
図6は露光制御の第1例を示すフローチャートであり、図7図6のフローチャートを実行する電気的構成を示すブロック図であり、図8図6の露光制御で実行される演算内容を模式的に示すタイミングチャートであり、図9Aおよび図9B図6の露光制御の結果を模式的に示すタイミングチャートである。
【0035】
図7に示すように、駆動制御部33は、X軸モータMxに対してサーボ制御を実行するサーボ制御部331を有する。サーボ制御部331は、X軸モータMxのエンコーダの出力が示す実装ヘッド5のX方向における速度Vxeと、X方向への速度指令値Vxtとの差に基づき、X軸モータMxに対してフィードバック制御を実行する。また、駆動制御部33は、X軸モータMxのエンコーダの出力を分周するエンコーダ分周部332を有し、エンコーダ分周部332よって分周されたエンコーダの出力は、撮像制御部34のカメラトリガ生成部341に出力される。つまり、撮像制御部34は、カメラトリガ生成部341を有する。このカメラトリガ生成部341は、分周されたエンコーダの出力に基づきカメラトリガTrを生成して、部品認識カメラ41のカメラ制御部42に出力する。
【0036】
つまり、部品認識カメラ41は、カメラ制御部42を有する。このカメラ制御部42は、トリガ中心推定部421、カメラ設定部422および露光期間補正部423を有する。トリガ中心推定部421は、カメラトリガ生成部341から出力されたカメラトリガTrに基づき、連続する2回のカメラトリガTrが出力される時間間隔であるトリガ間隔の中心を推定する。カメラ設定部422は、露光期間Peの設定に必要となるパラメータ(例えば、露光期間Peの長さ)を保持する。露光期間補正部423は、トリガ中心推定部421が推定したトリガ間隔の中心と、カメラ設定部422が保持するパラメータとに基づき、露光期間Peを設定する。
【0037】
図7に示すように、部品認識カメラ41は、上述の通りイメージセンサ411を有する。イメージセンサ411は、露光期間Peにおいて撮像範囲V41において部品Eにより反射された光を検出することで、Y方向に延設された1ライン分の画像(ライン画像)を検出する。さらに、部品認識カメラ41は、イメージセンサ411が検出したライン画像を合成して部品Eの全体の画像(部品認識画像Ir)を生成する画像生成部412を有する。画像生成部412は、部品Eが撮像範囲V41の幅だけX方向に移動する度に、イメージセンサ411が検出した画像を取り込むことで、部品Eの全体の画像(部品認識画像Ir)を生成する。部品認識カメラ41においては、これらイメージセンサ411および画像生成部412によって撮像部413が構成されている。
【0038】
画像生成部412によって生成された部品認識画像Irは、カメラ制御部42に出力される。カメラ制御部42は、データ処理回路426、画像メモリ部427、補正回路部428および送信部429を有する。データ処理回路426は、画像生成部412から読み出した部品認識画像Irを、画像メモリ部427に書き込む。補正回路部428は、画像メモリ部427に書き込まれた部品認識画像Irに歪み補正等の補正処理を実行する。そして、送信部429は、補正処理が実行された部品認識画像Irを撮像制御部34の受信部348に送信する。つまり、撮像制御部34は、受信部348および画像データ記憶部349を有し、受信部348が受信した部品認識画像Irは、画像データ記憶部349に保存される。
【0039】
図6の露光制御では、トリガ中心推定部421は、時間経過とともにカウント値を増大させるカウンタによるカウントをスタートする(ステップS101)。そして、トリガ中心推定部421は、カメラトリガ生成部341からカメラトリガTrが出力されたかを監視する(ステップS102)。
【0040】
トリガ中心推定部421は、カメラトリガTrの出力を確認すると(ステップS102で「YES」)、カウンタのカウント値をゼロにリセットする(ステップS103)。図8の例によれば、カメラトリガTraの出力に伴ってカウンタのカウント値がゼロにリセットされる。これによって、カウンタのカウント値は、カメラトリガTraの出力からの時間経過とともにゼロから増大する。
【0041】
引き続き、トリガ中心推定部421は、カメラトリガ生成部341からのカメラトリガTrの出力を監視する(ステップS104)。トリガ中心推定部421は、カメラトリガTrの出力を確認すると(ステップS104で「YES」)、カウント値をトリガ間隔Itとして取得する(ステップS105)。つまり、図8の例によれば、カメラトリガTrbの出力時点でのカウンタのカウント値は、連続して出力されるカメラトリガTraとカメラトリガTrbとの時間間隔、すなわちトリガ間隔Itを示す。そこで、トリガ中心推定部421は、カメラトリガTrbの出力時点でのカウンタのカウント値を、トリガ間隔Itとして取得する。また、トリガ中心推定部421は、このカウント値を取得すると、カウンタのカウント値をゼロにリセットする(ステップS106)。
【0042】
ステップS107では、トリガ中心推定部421は、こうして計測したトリガ間隔Itに基づき、トリガ間隔Itの中心を推定する。図8の例によれば、連続して出力されるカメラトリガTra、Trb、Trcに関して、カメラトリガTraとカメラトリガTrbとのトリガ間隔Itに基づき、カメラトリガTrbとカメラトリガTrcとの間の時間間隔(トリガ間隔)の中心Ct(中心時刻)が推定される。具体的には、カメラトリガTrbの出力時間からトリガ間隔Itの半分の期間(It/2)が経過した時間が、当該中心Ctとして推定される。こうして推定されたトリガ間隔Itの中心Ctは、トリガ中心推定部421から露光期間補正部423に出力される。
【0043】
ステップS108では、トリガ中心推定部421は、露光期間Peの中心Ce(中心時刻)が、トリガ間隔Itの中心Ct(中心時刻)と一致するように、露光期間Peを設定する。具体的には、カメラ設定部422に保存される露光期間Peの長さの半分の期間Hだけ中心Ctより早い時間が露光期間Peの開始時間tsに設定され、当該期間Hだけ中心Ctより遅い時間が露光期間Peの終了時間teに設定される。
【0044】
ステップS109では、撮像部413は、こうして設定された露光期間Peにおいて、イメージセンサ411を露光する。これによって、露光期間Peにおいて撮像範囲V41で部品Eにより反射された光が、イメージセンサ411によって検出される。 かかる制御は、部品Eの全体を撮像するまで繰り返し実行される。
【0045】
図6の露光制御に従って露光期間Peを設定した場合、第1方向X1に部品Eで移動させる場合と、第2方向X2に部品Eを移動させる場合の両方において、露光期間Peはトリガ間隔Itの中央に設けられることとなり、トリガ間隔Itに対して偏らない。その結果、撮像範囲V41における部品Eで反射されてイメージセンサ411の露光に供する光(露光反射光)の部品Eにおける位置は、が、第1方向X1に部品Eを移動させる場合と、第2方向X2に部品Eを移動させる場合とで一致する。
【0046】
以上に説明する露光制御の第1例では、連続して出力される2個のカメラトリガTrb、Trcのうち、先に出力されるカメラトリガTrb(第1トリガ)と当該カメラトリガTrbの後に出力されるカメラトリガTrc(第2トリガ)との時間間隔であるトリガ間隔Itの中心Ctが推定されて(ステップS107)、トリガ間隔Itの中心Ctを基準に露光期間Peの中心Ceが設定される(ステップS108)。これによって、トリガ間隔Itに対する露光期間Peの偏りが抑制される。そして、照明部43は、露光期間Peを含んで露光期間Peよりも長い点灯期間Piにおいて点灯し、すなわち、露光期間Peにおいて継続して照明が部品Eに照射される。その結果、イメージセンサ411(撮像素子)に対する部品Eの移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品Eを撮像することが可能となっている。
【0047】
また、カメラトリガ生成部341(トリガ出力部)は、部品Eが撮像範囲V41を通過する期間において複数のカメラトリガTrを順番に出力する。これに対して、露光期間補正部423(露光制御部)は、複数のカメラトリガTrに応じて複数の露光期間Peを設定し、照明部43は、複数の露光期間Peを含む点灯期間Piにおいて継続して点灯する。かかる構成では、複数のカメラトリガTrに対してそれぞれ設定される複数の露光期間Peを通じて照明部43を点灯させて、安定的な照明を部品Eに照射しつつ部品Eを撮像することができる。
【0048】
また、上記の露光制御によれば、露光期間補正部423は、露光期間Peの長さの変化によらず、トリガ間隔Itの中心Ctと露光期間Peの中心Ceとの関係(すなわち、中心Ctと中心Ceとが一致する関係)を維持する。かかる構成では、露光期間Peの長さが変化した場合であっても、イメージセンサ411に対する部品Eの移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品Eを撮像することができる。
【0049】
また、露光期間補正部423は、カメラトリガTrb(第1トリガ)と連続してカメラトリガTrbより先に出力されるカメラトリガTra(第3トリガ)とカメラトリガTrbとの時間間隔に基づき、カメラトリガTrbとカメラトリガTrcとの間のトリガ間隔Itの中心Ctを推定する(ステップS107)。かかる構成では、露光期間Peの直前に連続して出力される2個のカメラトリガTra、Trbに基づき、露光期間Peを挟む2個のカメラトリガTrb、Trcのトリガ間隔Itの中心を適切に設定することができる。
【0050】
また、露光期間補正部423は、トリガ間隔Itの中心Ctと露光期間Peの中心Ceとが一致するように、露光期間Peを設定する(ステップS108)。かかる構成では、イメージセンサ411に対する部品Eの移動方向の違いによらず概ね等しい照明条件で部品Eを撮像することが可能となる。
【0051】
図10は露光制御の第2例を示すフローチャートであり、図11図10のフローチャートを実行する電気的構成を示すブロック図である。図10の第2例と図6の第1例との違いは、トリガ間隔Itの中心Ctを推定するために、カウンタのカウント値ではなく、部品Eの速度を用いる点である。
【0052】
図11に示す電気的構成では、撮像制御部34は、コマンド送受信部342を有する。このコマンド送受信部342は、部品Eの速度(m/s)に関する速度情報を取得する。この速度情報は、例えば、X軸モータMxのエンコーダ出力から求めた部品Eの実際の速度Vxeでもよいし、速度指令値Vxtでもよい。さらに、コマンド送受信部342は、撮像範囲V41のX方向への幅を示す撮像スケール(m)を有する。そして、速度情報および撮像スケールは、コマンド送受信部342からトリガ中心推定部421に出力される。
【0053】
図10の露光制御のステップS201では、トリガ中心推定部421は、速度情報が示す速度(m/s)を確認する。ステップS202では、トリガ中心推定部421は、撮像スケール(m)を速度(m/s)で除算することで、カメラトリガTrの時間間隔であるトリガ間隔Itを算出し、トリガ間隔Itを2で除算することで、当該トリガ間隔Itの中心Ct(中心時刻)を推定する。
【0054】
ステップS203では、トリガ中心推定部421は、露光期間Peの中心Ce(中心時刻)が、トリガ間隔Itの中心Ct(中心時刻)と一致するように、露光期間Peを設定する。具体的には、カメラ設定部422に保存される露光期間Peの長さの半分の期間Hだけ中心Ctより早い時間が露光期間Peの開始時間tsに設定され、当該期間Hだけ中心Ctより遅い時間が露光期間Peの終了時間teに設定される。
【0055】
そして、トリガ中心推定部421がカメラトリガTrを出力すると、当該カメラトリガTrに対応する露光期間Peにおいて、イメージセンサ411を露光する。つまり、当該カメラトリガTrと、当該カメラトリガTrの次のカメラトリガTrとの間のトリガ間隔Itの中心Ctに対して上記のように設定された露光期間Peにおいて露光が実行される。これによって、露光期間Peにおいて撮像範囲V41で部品Eにより反射された光が、イメージセンサ411によって検出される。 かかる制御は、部品Eの全体を撮像するまで繰り返し実行される。
【0056】
以上に説明する露光制御の第2例では、連続して出力される2個のカメラトリガTrのうち、先に出力されるカメラトリガTrと当該カメラトリガTrbの後に出力されるカメラトリガTrとの時間間隔であるトリガ間隔Itの中心Ctが推定されて(ステップS202)、トリガ間隔Itの中心Ctを基準に露光期間Peの中心Ceが設定される(ステップS203)。これによって、トリガ間隔Itに対する露光期間Peの偏りが抑制される。そして、照明部43は、露光期間Peを含んで露光期間Peよりも長い点灯期間Piにおいて点灯し、すなわち、露光期間Peにおいて継続して照明が部品Eに照射される。その結果、イメージセンサ411(撮像素子)に対する部品Eの移動方向の違いによる照明条件の差を抑制しつつ部品Eを撮像することが可能となっている。
【0057】
また、トリガ中心推定部421(露光制御部)は、撮像範囲V41に対する部品Eの相対的な移動速度に基づき、連続する2個のカメラトリガTr(第1トリガ、第2トリガ)の間のトリガ間隔Itの中心Ctを推定する。かかる構成では、部品Eの移動速度に基づき、露光期間Peを挟む2個のカメラトリガTrのトリガ間隔Itの中心Ctを適切に設定することができる。
【0058】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機2が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、カメラトリガ生成部341が本発明の「トリガ出力部」の一例に相当し、部品認識カメラ41が本発明の「カメラ」の一例に相当し、イメージセンサ411が本発明の「撮像素子」の一例に相当し、露光期間補正部423が本発明の「露光制御部」の一例に相当し、照明部43が本発明の「照明部」の一例に相当し、X軸モータMxが本発明の「部品移動部」の一例に相当し、露光期間Peが本発明の「露光期間」の一例に相当し、カメラトリガTrが本発明の「トリガ」の一例に相当し、撮像範囲V41が本発明の「撮像範囲」の一例に相当する。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、ラインセンサとしてのイメージセンサ411の幅は、1画素分であってもよいし、複数画素分であってもよい。
【0060】
また、イメージセンサ411はラインセンサに限られず、エリアセンサでもよい。エリアセンサに対して、Y方向に延設されたライン状のROIを設定することで、上記と同様にして部品Eを撮像することができる。
【0061】
また、部品認識カメラ41の撮像範囲V41に対して部品Eを相対的に移動させる具体的な方法は上記の例に限られない。したがって、部品認識カメラ41をX方向に移動させることで、撮像範囲V41に対して部品Eを相対的に移動させてもよい。
【符号の説明】
【0062】
2…部品実装機
341…カメラトリガ生成部(トリガ出力部)
41…部品認識カメラ(カメラ)
411…イメージセンサ(撮像素子)
423…露光期間補正部(露光制御部)
43…照明部
Mx…X軸モータ(部品移動部)
Pe…露光期間
Tr…カメラトリガ(トリガ)
V41…撮像範囲
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11