(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176916
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】インク組成物、印刷物、インクジェット記録装置、記録方法、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/36 20140101AFI20241212BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241212BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C09D11/36
B41J2/01 501
B41J2/01 127
B41M5/00 120
B41M5/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095789
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000183923
【氏名又は名称】株式会社DNPファインケミカル
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】山崎 史絵
(72)【発明者】
【氏名】小谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】前川 喜哉
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FC01
2C056HA44
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA09
2H186FB04
2H186FB34
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB56
4J039AD21
4J039BA06
4J039BA32
4J039BC16
4J039BC20
4J039BC33
4J039BC55
4J039BC56
4J039BC67
4J039BE01
4J039BE27
4J039EA05
4J039EA21
4J039EA33
4J039EA46
4J039FA02
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】インクジェット法によって吐出しても吐出性が良好であり、良好な金属調の光沢性を有する印刷物を製造することのできるインク組成物を提供する。
【解決手段】インクジェット法によって吐出される活性エネルギー線硬化型のインク組成物であって、前記インク組成物は、重合性化合物と、光輝性顔料と、を含有し、前記光輝性顔料の体積基準累積10%粒子径(D10)(μm)と、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)と、体積基準累積90%粒子径(D90)(μm)との関係が以下の式(I)の関係を満たす、インク組成物である。
(D90-D10)/D50 ≦ 2・・・(I)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット法によって吐出される活性エネルギー線硬化型のインク組成物であって、
前記インク組成物は、重合性化合物と、光輝性顔料と、を含有し、
前記光輝性顔料の体積基準累積10%粒子径(D10)(μm)と、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)と、体積基準累積90%粒子径(D90)(μm)との関係が以下の式(I)の関係を満たす、
インク組成物。
(D90-D10)/D50 ≦ 2・・・(I)
【請求項2】
さらに、重合開始剤を含有し、
前記重合開始剤は、含硫黄重合開始剤を含有する
請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記重合性化合物は、
表面張力が35mN/m以上の疎水性(メタ)アクリレート重合性化合物を含有する
請求項1又は2に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記重合性化合物は、
単官能重合性化合物と、
2官能以上の多官能重合性化合物と、
を含有する
請求項1から3のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項5】
前記光輝性顔料は、金属含有光輝性顔料を含有する
請求項1から4のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項6】
前記重合性化合物は、芳香族重合性化合物を含有する
請求項1から5のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項7】
基材の表面に請求項1から6のいずれかに記載のインク組成物が印刷された印刷物。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のインク組成物が充填された貯蔵機構を備えた
インクジェット記録装置。
【請求項9】
インクジェット法によって請求項1から6のいずれかに記載のインク組成物を吐出する
記録方法。
【請求項10】
インクジェット法によって請求項1から6のいずれかに記載のインク組成物を吐出して印刷物を製造する
印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にインクジェット法によって吐出される活性エネルギー線硬化型の光輝性加飾印刷用のインク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材(記録媒体)やその表面の一部又は全面に着色層が形成された印刷物等の被体に金属調を有する画像を表現することが行われることがある。このような金属調の光沢性を付与する手法として、真鍮、アルミニウム微粒子等から作製された金属粉を用いたインキの塗布や、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられてきた。
【0003】
そして、近年、金属光沢を有する塗膜を形成する上記の方法の他に、インクジェット方式の印刷方法への応用例が数多く見受けられ、その一つとして光輝性加飾印刷がある。インクジェット方式を用いた光輝性加飾印刷は、主としてインクジェットプリンター等を用いて行われる。
【0004】
例えば、特許文献1には、光輝性顔料と、所定量のラジカル重合性化合物と、重合開始剤と、を含有するインク組成物が開示されている。特許文献1には、このインク組成物は、硬化性に優れ、かつ、優れた柔軟性と高い膜硬度とが両立された金属調の光沢性を有する印刷物が得られるものであることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、所定の光輝性顔料と、有機溶剤と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有するインク組成物が開示されている。特許文献2には、このインク組成物は、金属光沢の良好な塗膜を形成することができるものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-31284号公報
【特許文献2】特開2017-2162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、良好な金属調の光沢性を有する印刷物を製造することのできるインク組成物を提供することを目的とする。また、インクジェット法によって吐出しても吐出性が良好な活性エネルギー線硬化型のインク組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、光輝性顔料の粒子径を所定の範囲とした活性エネルギー線硬化型のインク組成物であれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1)インクジェット法によって吐出される活性エネルギー線硬化型のインク組成物であって、前記インク組成物は、重合性化合物と、光輝性顔料と、を含有し、前記光輝性顔料の体積基準累積10%粒子径(D10)(μm)と、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)と、体積基準累積90%粒子径(D90)(μm)との関係が以下の式(I)の関係を満たす、インク組成物。
(D90-D10)/D50 ≦ 2・・・(I)
【0010】
(2)さらに、重合開始剤を含有し、前記重合開始剤は、含硫黄重合開始剤を含有する(1)に記載のインク組成物。
【0011】
(3) 前記重合性化合物は、
表面張力が35mN/m以上の疎水性(メタ)アクリレート重合性化合物を含有する(1)又は(2)に記載のインク組成物。
【0012】
(4) 前記重合性化合物は、単官能重合性化合物と、2官能以上の多官能重合性化合物と、を含有する(1)から(3)のいずれかに記載のインク組成物。
【0013】
(5)前記光輝性顔料は、金属含有光輝性顔料を含有する(1)から(4)のいずれかに記載のインク組成物。
【0014】
(6)前記重合性化合物は、芳香族重合性化合物を含有する(1)から(5)のいずれかに記載のインク組成物。
【0015】
(7)基材の表面に(1)から(6)のいずれかに記載のインク組成物が印刷された印刷物。
【0016】
(8)(1)から(6)のいずれかに記載のインク組成物が充填された貯蔵機構を備えたインクジェット記録装置。
【0017】
(9)インクジェット法によって(1)から(6)のいずれかに記載のインク組成物を吐出する記録方法。
【0018】
(10)インクジェット法によって(1)から(6)のいずれかに記載のインク組成物を吐出して印刷物を製造する印刷物の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光輝性顔料を含有する活性エネルギー線硬化型のインク組成物であっても、インクジェットの吐出性が高く、良好な光沢性を有する印刷物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例の光沢評価でのL
*a
*b
*表色系におけるL
*(明度指数)の測定角度を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、本明細書において、「A≦B」とはAがBと同等であること、又はAがBよりも小さい(BがAよりも大きい)ことを意味する。
【0022】
≪1.活性エネルギー線硬化型のインク組成物≫
本実施の形態に係る活性エネルギー線硬化型のインク組成物は、インクジェット法によって吐出される活性エネルギー線硬化型のインク組成物である。そして、このインク組成物は、重合性化合物と、光輝性顔料と、を含有しており、活性エネルギー線が照射されると、被体の表面に光輝性顔料を含有する光輝性層が形成されて、被体に金属調の光沢性を有する光輝性層を形成することができる。なお、本明細書において被体とは、記録媒体の表面そのものであっても、記録媒体の表面の一部又は全面に着色層、プライマー層やオーバーコート層が形成されたものであってもよく、特に限定されるものではない。また、詳しくは後述するが、本明細書において「着色層」とは、光輝性顔料とは異なる通常のインク組成物の使用されるような色材(染料・顔料)を含有する層を意味して使用する。
【0023】
また、本明細書において「層」とは必ずしも均一な厚みに層である必要はなく、略均一な層であってもよいし、不均一な厚みであって凹凸形状の層であってもよい。
【0024】
そして、このインク組成物に含まれる光輝性顔料の体積基準累積10%粒子径(D10)(μm)と、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)と、体積基準累積90%粒子径(D90)(μm)との関係が以下の式(I)の関係を満たすことを特徴としている。
【0025】
(D90-D10)/D50 ≦ 2・・・(I)
【0026】
上記を満たす光輝性顔料を含有する活性エネルギー線硬化型のインク組成物であることにより、インクジェットの吐出性が高く、良好な光沢性を有する印刷物を製造することができる。
【0027】
なお、本明細書においての体積基準累積10%粒子径(D10)とは、体積基準の累積粒度分布において、小径側から計算した累積10%となる粒子径(μm)を意味し、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)とは、小径側から計算した累積50%となる粒子径(μm)を意味し、体積基準累積90%粒子径(D90)とは、小径側から計算した累積90%となる粒子径(μm)を意味する。また、体積基準累積50%粒子径(D50)は「体積平均粒子径」「平均粒子径」「メジアン(メディアン)径」とも呼ばれることがある。以下、それぞれの粒子径について単に「D10」、「D50」、「D90」と表記することがある。
【0028】
以下、本実施の形態に係るインク組成物に含まれる各含有成分について説明する。
【0029】
[光輝性顔料]
光輝性顔料は、被体に金属調の光沢性を付与する機能を有する。光輝性顔料としては、たとえばパール顔料や金属含有光輝性顔料を含むものが挙げられる。このような光輝性顔料を含有するインク組成物であることにより、被体に金属調の光沢性を有する光輝性層を形成することができる。
【0030】
光輝性顔料のなかでも、金属含有光輝性顔料を含有する光輝性顔料であることが好ましい。これにより、より好適に被体に金属調の光沢性を付与することができる。光輝性顔料は金属含有光輝性顔料を含有する場合、金属含有光輝性顔料の含有量が光輝性顔料全量中30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがさらになお好ましい。特に、光輝性顔料は、金属含有光輝性顔料のみからなることが特に好ましい。
【0031】
パール顔料としては、雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス、二酸化ケイ素、金属酸化物、金属化合物、およびそれらの積層等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
【0032】
金属含有光輝性顔料に含有される金属としては、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅、鉄等の単体金属;金属化合物;合金およびそれら混合物の少なくとも1種、およびそれらの金属の酸化物を挙げることができる。金属含有光輝性顔料としてはアルミニウム、ニッケル、インジウム、銀のいずれかを含むものを使用することが好ましい。光輝性顔料としてアルミニウム、ニッケル、インジウム、銀のいずれかを含むもの(合金を含む)を用いることで、被体により好適な金属調の光沢性を付与することができる。特に、アルミニウムは、他の金属と比べて安価で加工が容易であり、好ましい。本実施の形態に係るインク組成物は、被体により好適な金属調の光沢性を有する光輝性層を形成できる効果を享受しつつ、インク組成物のインクジェット法による吐出性に優れたものとすることが可能となる。
【0033】
さて、本実施の形態に係るインク組成物に含まれる光輝性顔料の体積基準累積10%粒子径(D10)(μm)と、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)と、体積基準累積90%粒子径(D90)(μm)との関係が以下の式(I)の関係を満たすことを特徴としている。
【0034】
(D90-D10)/D50 ≦ 2・・・(I)
【0035】
上記を満たすことにより、光輝性顔料を含有するインク組成物のインクジェット吐出性が良好になることが本発明者らによって判明した。光輝性顔料を含有するインク組成物は、インクジェットヘッド内でインクを吐出するために与えられる圧力の伝わり方が不十分になる(圧力損失ともいう)ことがあり、インク組成物の吐出性が悪くなったり、大きい粒子径の光輝性顔料がインクジェットノズルやインクジェットヘッド内のフィルターに詰まること等によって吐出不良が起こる場合があった。
【0036】
そこで、インク組成物に含まれる光輝性顔料の体積基準累積10%粒子径(D10)(μm)と、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)と、体積基準累積90%粒子径(D90)(μm)との関係が以下の式(I)の関係を満たすことにより、吐出性が安定になることを、本発明者らは見出した。
【0037】
金属含有光輝性顔料のD10、D50、D90及び厚みは、例えばシスメックス(株)製の「FPIA-3000S」、(株)島津製作所製レーザー回折式粒度分布計「SALD 7500nano」、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)等を使用して測定することができる。
【0038】
式(I)における(D90-D10)/D50は1.8以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.4以下であることがさらになお好ましい。これにより、インク組成物の吐出安定性をさらに向上させることができる。
【0039】
式(I)における(D90-D10)/D50は0.1以上であることが好ましく0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。
【0040】
式(I)における(D90-D10)/D50は0.1以上1.8以下であることが好ましく0.3以上1.6以下であることがより好ましく、0.5以上1.5以下であることがさらに好ましく、0.5以上1.4以下であることがさらになお好ましい。
【0041】
D90は5.0μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましく、4.0μm以下であることがさらに好ましく、3.8μm以下であることがさらになお好ましい。
【0042】
D90は0.5μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることがさらに好ましい。
【0043】
D90は0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以上4.5μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上4.0μm以下であることがさらに好ましく、1.0μm以上3.8μm以下であることがさらになお好ましい。
【0044】
D50は、0.02μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.6μm以上であることがさらに好ましい。
【0045】
D50は、4.0μm以下であることが好ましく、3.5μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることがさらに好ましく、2.5μm以下であることがさらにより好ましい。
【0046】
D50は、0.02μm以上4.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上3.5μm以下であることがより好ましく、0.6μm以上2.9μm以下であることがさらに好ましい。
【0047】
また、光輝性顔料の形状は特に制限されるものではないが、光輝性顔料は、平板状(微細板状、鱗片状等とも表される)であることが好ましい。このような形状であることで、被体により高い光沢性を有する光輝性層を形成することができる。一方で、平板状の光輝性顔料を含有するインク組成物は、インクジェットヘッド内でインクを吐出するために与えられる圧力の伝わり方がより不十分になって、吐出不良が起こる問題が相対的に顕著に発生することになる。一方で、体積基準累積10%粒子径(D10)(μm)と、体積基準累積50%粒子径(D50)(μm)と、体積基準累積90%粒子径(D90)(μm)との関係が所定範囲内の光輝性顔料を含有する本実施の形態に係るインク組成物であれば、平板状の光輝性顔料を含有するインク組成物による吐出不良が起こる問題を回避しつつ、被体により高い光沢性を有する光輝性層を形成するという効果を享受することができる。
【0048】
平板状の金属含有光輝性顔料である場合、金属含有光輝性顔料の厚みは5.0nm以上であることが好ましく、10.0nm以上であることがより好ましく、20.0nm以上であることがさらに好ましく、25.0nm以上であることがさらにより好ましい。また、金属含有光輝性顔料の厚みは、1.0μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることがさらにより好ましい。また、金属含有光輝性顔料の厚みは、5.0nm以上1.0μm以下であることが好ましく、10.0nm以上500nm以下であることがより好ましく、20.0nm以上200nm以下であることがさらに好ましく、25.0nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。
【0049】
本実施の形態に係る非水系インク組成物に含まれる光輝性顔料の含有量は、とくに限定されるものではないが、光輝性顔料の含有量の下限は、インク組成物全量中0.3質量%以上であることが好ましく、0.6質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、被体により好適な金属調の光沢性を付与することができるようになる。光輝性顔料の含有量の上限は、特に限定されるものではないが、インク組成物全量中5.0質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、インク組成物や分散液中での光輝性顔料の分散性が良好なものとすることができるようになり、インクジェットの吐出安定性を向上させることが可能になる。
【0050】
光輝性顔料は、金属含有粒子を機械的に造形することによって、たとえばボールミルまたはアトリションミルの中で磨砕することによって得ることができる。金属含有粒子は、公知のアトマイズ法によって得ることもできる。
【0051】
また、光輝性顔料を製造する別な方法として、基材上に形成された金属含有薄膜を微粉砕することもまた可能である。そのような方法として、例えば、剥離用樹脂層を塗布した平坦な基材の上に、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリング法等によって5.0nm以上3.0μm以下程度の金属含有薄膜を形成して金属含有薄膜を基材から剥離させて微粉砕する方法が挙げられる。なお、金属含有薄膜との文言は、金属酸化物等の金属化合物含有薄膜も含む概念で使用される。金属含有薄膜の厚さの下限は、5.0nm以上であることが好ましく、10.0nm以上であることがより好ましく、15.0nm以上であることがさらに好ましい。金属含有薄膜の厚さの上限は、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましく、1.0μm以下であることがさらに好ましい。
【0052】
光輝性顔料の製造に用いられる基材の具体例は、ポリテトラフルオロエチレンフィルム;ポリエチレンフィルム;ポリプロピレンフィルム;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;トリアセテートフィルム;ポリイミドフィルムである。好ましい基材は、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体のフィルムである。
【0053】
光輝性顔料の製造に用いられる基材の好ましい厚さの下限は、特に限定されるものではないが10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。基材の厚みが10μm以上であることで取り扱い性が良好となる。シート状基材の好ましい厚さの上限は、特に限定されるものではないが、150μm以下であることが好ましく、145μm以下であることがより好ましく、140μm以下であることがさらに好ましい。基材の厚みが150μm以下であれることで、印刷物の柔軟性を向上させて、ロール化や剥離が容易となる。光輝性顔料の製造に用いられる基材の好ましい厚さの範囲は、10μm以上150μm以下であることが好ましく、15μm以上145μm以下であることがより好ましく、20μm以上140μm以下であることがさらに好ましい。
【0054】
基材に塗布される剥離用樹脂層に用いる樹脂の具体例は、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ポリビニルアセタール、アクリル酸共重合体、変性ナイロン樹脂である。剥離用樹脂層に用いる樹脂を樹脂層とするには、樹脂溶液をシート状基材上にグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート塗布等の塗布により、剥離用樹脂層を形成する。
【0055】
剥離用樹脂層の厚さの下限は、特に限定されるものではないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましい。0.1μm以上であることで金属含有薄膜を基材から容易に剥離させることが可能となる。剥離用樹脂層の厚さの上限は、特に限定されるものではないが、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。50μm以下であることで金属含有薄膜を基材から容易に剥離させることが可能となる。剥離用樹脂層の厚さは、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.3μm以上30μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
【0056】
なお、金属含有薄膜が形成された基材から、インク組成物やインク組成物の製造に用いられる分散液を製造してもよい。剥離用樹脂を溶解しうると共に光輝性顔料と反応しない溶媒中に浸漬するか、または浸漬と同時に超音波処理を行うとよい。このような溶媒としてはインク組成物を構成する重合性化合物や溶媒等が挙げられる。剥離用樹脂が光輝性顔料を分散させる分散剤としての機能を有し光輝性顔料の分散性が向上する。この場合、光輝性顔料の粒径及び膜厚は、金属含有薄膜を形成したときの条件や超音波分散時間により調整される。なお、剥離用樹脂溶解溶液から光輝性顔料を遠心分離により沈降分離させて光輝性顔料を回収し、インク組成物を構成する重合性化合物や溶媒等に光輝性顔料を分散させてもよい。
【0057】
光輝性顔料の表面には保護層が形成(被覆)されていてもよい。保護層は非金属性保護層であることが好ましい。非金属性保護層は、例えば、樹脂や脂肪酸類化合物等の疎水性化合物からなる層を挙げられる。例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸エステル、リン酸エステル、含ケイ素ポリマー、含フッ素ポリマー、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂等が挙げられる。光輝性顔料が、アルミニウムを含有する場合は特に、保護層は疎水性化合物からなるものであることが好ましい。疎水性化合物としては、例えば、炭素数4以上のアルキル基、芳香族基、トリフルオロ基、等の構造を有し、水に溶解しない化合物、および、上記樹脂等が挙げられる。光輝性顔料の表面には保護層が形成されることによって、光輝性顔料の酸化を抑制することが可能となり、保存安定性の高いインク組成物となる。
【0058】
このとき、金属含有光輝性顔料の粒子径は、(D90-D10)/D50が2以下になるように制御する。このような粒子径の関係を有する金属含有光輝性顔料を得る方法は、例えば、金属含有光輝性顔料を含有する分散液に超音波を照射する際に時間と出力を制御して粒子径を制御する方法や、遠心分離法やフィルターを通過させることで所定粒径以上の金属含有光輝性顔料を取り除く方法や、これらを組み合わせる方法が挙げられる。
【0059】
なお、本実施の形態に係る非水性インク組成物には、光輝性顔料以外の色材を含有してもよい。
【0060】
[顔料分散剤]
本実施の形態に係る活性エネルギー線硬化型のインク組成物において必要に応じて顔料分散剤を用いてもよい。顔料分散剤としては、インク組成物において用いられている任意の顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤としては、高分子分散剤を用いるとよい。こうした顔料分散剤としては、主鎖がポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプロラクトン系などからなり、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基などの極性基を有するものである。ポリアクリル系分散剤では、例えば、Disperbyk-2000、2001、2008、2009、2010、2020、2020N、2022、2025、2050、2070、2095、2150、2151、2155、2163、2164、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151(ビック・ケミー社製)、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PA4401、4402、PA4403、4570、7411、7477、PX4700、PX4701(BASF社製)、TREPLUS D-1200、D-1410、D-1420、MD-1000(大塚化学社製)、フローレンDOPA-15BHFS、17HF、22、G-700、900、NC-500、GW-1500(共栄社化学(株)製)、などが用いられる。ポリカプロラクトン系分散剤では、例えば、アジスパーPB821、PB822、PB881(味の素ファインテクノ(株)製)、ヒノアクトKF-1000、T-6000、T-7000、T-8000、T-8000E、T-9050(川研ファインケミカル(株)製)、Solsperse20000、24000、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34000、35200、36000、37500、39000、71000、76400、76500、86000、88000、J180、J200(ルーブリゾール社製)、TEGO Dispers652、655、685、688、690(エボニック・ジャパン社製)などが用いられる。好ましい分散剤としては、PB881、BYKJET-9130、9131,9132,9133,9151、EfkaPX4310、PX4320、PX4330、PX4700、PX4701、Solsperse20000、24000、32000、33000、33500、34000、35200、39000、71000、76500、86000、88000、J180、J200、TEGO Dispers655、685、688、690などが用いられる。これらの単独、又はそれらの混合物を用いることができる。
【0061】
顔料分散剤の含有量は、特に制限されないが、顔料分散剤の含有量の下限は、インク組成物中の光輝性顔料100質量部に対して5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましい。顔料分散剤の含有量の上限は、インク組成物中の光輝性顔料100質量部に対して150質量部以下であることが好ましく、125質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることがさらに好ましい。これにより、インク組成物中での光輝性顔料の分散性を効果的に分散させることが可能となって、インク組成物の吐出性を良好なものとすることができる。
【0062】
[重合性化合物]
重合性化合物とは、活性エネルギー線を照射することにより重合されるエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。活性エネルギー線とは、遠紫外線、紫外線、近紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等の電磁波が含まれる。
【0063】
重合性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合が化合物中に1個有する単官能重合性化合物であってもよいし、エチレン性不飽和二重結合が化合物中に2個以上有する多官能重合性化合物であってもよい。なお、重合性化合物は、その分子量によってはモノマーのみならず、オリゴマーやポリマーとも称される化合物をも含む概念である。
【0064】
単官能重合性化合物の例として、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート(THFA)、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート(CTFA)、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)(メタ)アクリレート、(シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル))(メタ)アクリレート、アルキルシクロアルキルアクリレートである4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチルフタレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-アクリロイロキシプロピルフタレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3-3-5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)、N-ビニルピロールアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルカプロラクタム、イミド(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキサン、tert-ブチル-4-エチニルシクロヘキサン、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルオキサゾリドン、2-ビニル-2-オキサゾリンN-ビニルピリジン、N-ビニルイミダゾール、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチルα-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、エチルα-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、n-ブチルα-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルサクシンイミド、N-ビニルメチルカルバメート、N,N-メチルビニルアセトアミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロニトリル及び、これらのアクリレートにアルコキシ変性、及びカプロラクトン変性等の各種変性を有するものを挙げることができる。これらのその他のモノマーは単独で使用しても良いし、複数のモノマーを組み合わせもよい。なお、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」「メタクリレート」の両方を意味する。
【0065】
多官能モノマーの例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(2)、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(3)、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(5)、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(2)、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性PO変性(PO変性)(3)、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性EO変性(EO変性)(2)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性EO変性(EO変性)(3)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性PO変性(PO変性)(2)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性PO変性(PO変性)(8)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性PO変性(PO変性)(16)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性(2)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性(4)、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(4)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(9)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(14)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(23)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(46)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(3)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(7)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(12)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド及びプロピオンオキサイド変性(PO変性(12)&EO変性(6))、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド及びプロピオンオキサイド変性(PO変性(6)&EO変性(12))、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド及びプロピオンオキサイド変性(PO変性(4)&EO変性(12))、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド及びプロピオンオキサイド変性(PO変性(4)&EO変性(17))、ポリアルキレングリコールジアクリレートのエチレンオキサイド及びプロピオンオキサイド変性(PO変性(13)&EO変性(5))、ポリアルキレングリコールジアクリレートのブチレンオキサイド変性(BO変性)(3.5)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのブチレンオキサイド変性(BO変性)(9)、ポリアルキレングリコールジアクリレートのブチレンオキサイド変性(BO変性)(14)、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(2)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(3)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(4)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(10)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(20)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(30)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(3)、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド及びプロピオンオキサイド変性(PO変性(6)&EO変性(3))、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(4)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(35)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(4)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(10)、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(6)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(12)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(18)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(24)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(48)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(6)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性(2)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性(3)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性(6)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性(12)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(3)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(6)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(9)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(15)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(20)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(30)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(3)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(6)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(3)、グリセリントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(6)、グリセリントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(9)、グリセリントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性(EO変性)(20)、グリセリントリ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(3)、グリセリントリ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(5.5)、グリセリントリ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(6)、グリセリントリ(メタ)アクリレートのプロピオンオキサイド変性(PO変性)(9)、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート及びこれらの変性数違い、変性種違い、構造違いの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】
これらの重合性化合物のうち、単官能重合性化合物と、2官能以上の多官能重合性化合物と、を含むものが好ましい。これにより、インク組成物により形成される光輝性層(硬化膜)の硬化性を好ましいものとすることができる。
【0067】
重合性化合物が単官能重合性化合物と、2官能以上の多官能重合性化合物と、を含有する場合、重合性化合物に含有される多官能重合性化合物の含有割合は、重合性化合物全量中5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。重合性化合物に含有される多官能重合性化合物の含有割合は、重合性化合物全量中95質量%以下であることが好ましく、92質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましい。重合性化合物に含有される多官能重合性化合物の含有割合は、重合性化合物全量中5質量%以上95質量%以下であることが好ましく、8質量%以上92質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、インク組成物により形成される光輝性層(硬化膜)の硬化性をより好ましいものとすることができる。
【0068】
また、上述の重合性化合物のうち、環状構造を有する重合性化合物を含有することが好ましく、芳香族重合性化合物を含有することがより好ましい。これによりインク組成物によって得られる印刷物の光沢性をより好ましいものとすることができる。
【0069】
これらの重合性化合物は、常温で固体であっても液体であってもよい。この中でも、重合性化合物は常温で液体であることが好ましい。重合性化合物が常温で液体であることで、インク組成物に含有される各含有成分を溶解又は分散させる溶媒(分散媒)とすることができる。
【0070】
重合性化合物が常温で液体である場合、表面張力が35mN/m以上の疎水性重合性化合物を含有することが好ましく、表面張力が35mN/m以上の疎水性重合性化合物は、表面張力が35mN/m以上の疎水性の(メタ)アクリレート重合性化合物であることがより好ましい。このような表面張力が35mN/m以上の重合性化合物を含有することで、インクジェット法によって吐出しても吐出性が良好なインク組成物とすることができる。さらに、印刷物の光沢性を向上させることができる。
【0071】
表面張力が35mN/m以上の疎水性重合性化合物の例としては、例えば、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、EO変性フェノキシアクリレート、EO変性フェノキシメタクリレート、PO変性フェノキシアクリレート、PO変性フェノキシメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジメタクリレート等が挙げられる。
【0072】
重合性化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、インク組成物全量中40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。重合性化合物の含有量がインク組成物全量中40質量%以上であることで、活性エネルギー線を照射したときに形成される光輝性層の硬化膜の硬化性を向上させることができる。重合性化合物の含有量は、インク組成物全量中90質量%以下であることが好ましく、87質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。重合性化合物の含有量がインク組成物全量中90質量%以下であることで、相対的に光輝性顔料等の含有量を増やすことができるので、インク組成物や得られる印刷物に所望する特性を付与することができる。重合性化合物の含有量、インク組成物全量中40質量%以上90質量%以下であることが好ましく、50質量%以上87質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上85質量%以下であることがさらに好ましい。
【0073】
[重合開始剤]
本実施の形態に係る活性エネルギー線硬化型のインク組成物は必要に応じて重合開始剤を含有してもよい。重合開始剤とは、活性エネルギー線の照射によりインク組成物中の重合性化合物の重合反応を促進するものである。なお、本実施の形態に係るインク組成物においては、重合開始剤は必ずしも必須でなく、例えば活性エネルギー線として電子線を用いる場合には重合開始剤は用いなくてもよい。
【0074】
重合開始剤の具体例として、例えば、チオキサントン類、芳香族ケトン類、アルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン類、α-ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が挙げられる。
【0075】
具体的には、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤や、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォプロパノン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアミノアセトフェノン系重合開始剤や、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等を挙げることができる。
【0076】
このなかでも、重合開始剤は、チオキサントン系重合開始剤のような含硫黄重合開始剤を含有することが好ましい。含硫黄重合開始剤を含有することで、インク組成物により形成される光輝性層(硬化膜)の硬化性をより好ましいものとすることができる。
【0077】
含硫黄重合開始剤の含有量は、インク組成物全量中1.0質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましく、2.0質量%以上であることがさらに好ましい。含硫黄重合開始剤の含有量は、インク組成物全量中15.0質量%以下であることが好ましく、12.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量&以下であることがさらに好ましい。含硫黄重合開始剤の含有量は、インク組成物全量中1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上12.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上10.0質量&以下であることがさらに好ましい。このような範囲で含硫黄重合開始剤を含有することで、インク組成物により形成される光輝性層(硬化膜)の硬化性をさらに好ましいものとすることができる。
【0078】
また、このような含硫黄重合開始剤とともに、さらにアシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、アミノアセトフェノン系重合開始剤又はアルキルフェノン系重合開始剤のうち少なくとも1つを含有することが好ましい。含硫黄重合開始剤(例えば、チオキサントン系重合開始剤)や、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤や、アミノアセトフェノン系重合開始剤や、アルキルフェノン系重合開始剤は、それぞれ吸収波長領域の異なる重合開始剤である。さらに、本実施の形態に係るインク組成物は、光輝性顔料を含有するものであり、光輝性顔料により照射される活性エネルギー線の一部を反射してしまい硬化性が悪化するという問題が発生しやすい。そこで、含硫黄重合開始剤とともに、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、アミノアセトフェノン系重合開始剤又はアルキルフェノン系重合開始剤のうち少なくとも1つを含有することで、インク組成物の硬化速度を適度なものとすることが可能となるので、硬化性を向上させることが可能となる。さらに、硬化ムラや硬化収縮などによる光輝性顔料の配向阻害を抑制し、被体に付与する金属調の光沢性も維持することが可能となる。
【0079】
[重合禁止剤]
本実施の形態に係るインク組成物は、必要に応じて重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ-p-ニトロフェニルメチル,p-ベンゾキノン、p-tert-ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert-ブチルハイドロキノン、フェノチアジン類、ニトロソアミン類等の重合禁止剤を用いることができる。
【0080】
[界面活性剤]
本実施の形態に係るインク組成物は、必要に応じて界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては特に限定されないが、具体例としては、ジメチルポリシロキサンを有するビックケミー社製「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-333」、「BYK-354」、「BYK-361N」、「BYK-371」、「BYK-377」、「BYK-378」、「BYK-3455」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3505」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3535」、「BYK-UV3570」;エボニックデグサジャパン社製「TEGO Flow425」、「TEGO Glide100」、「TEGO Glide110」、「TEGO Glide130」、「TEGO Glide432」、「TEGO Glide435」、「TEGO Glide440」、「TEGO Glide450」、「TEGO GlideZG400」、「TEGO Twin4000」、「TEGO Twin4200」、「TEGO Wet270」、「TEGO Rad2010」、「TEGO Rad2010」「TEGO Rad2100」、「TEGO Rad2200N」、「TEGO Rad2250」「TEGO Rad2300」、「TEGO Rad2500」、「TEGO Rad2700」;共栄社化学社製「ポリフローKL-401」、「ポリフローKL-402」、「ポリフローKL-403」、「ポリフローKL-404」;アクリルポリマー系では、共栄社化学社製「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.77」、「ポリフローNo.90」、「ポリフローNo.95」、「ポリフローNo.99C」;エボニックデグサジャパン社製「TEGO Wet500」等が挙げられる。
【0081】
表面調整剤の含有量は、インク組成物全量中0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。又、表面調整剤の含有量は、インク組成物全量中5.0質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以下であることがさらに好ましい。0.1質量%以上、又は、5.0質量%以下とすることで、インク組成物が熱可塑性樹脂基材等に対し好ましい濡れ性を有することとなり、基材上に記録する(像を形成する)際に活性エネルギー線硬化型インク組成物がハジキを生じることなく濡れ広がることが可能となるため、特に好ましいインク組成物とすることができる。表面調整剤の含有量は、インク組成物全量中0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上4.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0082】
[その他の添加剤]
本実施の形態に係るインク組成物は、その他の添加剤として、有機溶剤、可塑剤、光安定化剤、ワックス、紫外線吸収剤、酸化防止剤、配向剤、抗菌剤、抗ウイルス剤等、種々の添加剤を含有していても良い。なお、インク組成物であっても樹脂を含有していてもよい。
【0083】
なお、本実施の形態に係るインク組成物は、光輝性顔料とは異なる通常のインクジェット用のインク組成物の使用されるような色材(染料・顔料)を含有してもよい。色材はインク組成物全量中3.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく、0.2質量%以下であることが更になお好ましい。
【0084】
また、本実施の形態に係るインク組成物における水分の含有量は、インク組成物全量中5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0085】
また、本実施の形態に係るインク組成物は揮発性の有機溶剤を含有してもよいが、含有される重合性化合物が常温で液体のものを含む場合には重合性化合物が各含有成分を溶解又は分散させる溶媒(分散媒)となるので、揮発性の有機溶剤を含有しなくてもよい。この中でも含有される重合性化合物が常温で液体のものを含む場合には、揮発性の有機溶剤の含有量は、インク組成物全量中20.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることがさらに好ましく、1.0質量%以下であることがさらになお好ましい。重合性化合物が常温で液体のものを含み、揮発性の有機溶剤の含有量がインク組成物全量中20.0質量%以下であることで、インクジェットノズル中でインク組成物が揮発することによる含有成分が析出することを抑制できるので、インクジェットの吐出性をさらに高くすることが可能となる。
【0086】
また、本実施の形態に係るインク組成物は上述した重合性化合物や上述した顔料分散剤等とは異なる樹脂(バインダー樹脂)を含有してもよい。樹脂(バインダー樹脂)の含有量は、インク組成物全量中20.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることがさらに好ましく、1.0質量%以下であることがさらになお好ましい。
【0087】
(インク組成物の粘度及び表面張力)
本実施の形態に係るインク組成物の粘度は、インクジェット吐出性、吐出安定性の点から、吐出温度(例えば40℃)での粘度が30mPa・s以下であることが好ましく、25mPa・s以下であることがより好ましく、22mPa・s以下であることがさらに好ましい。又、本実施の形態に係るインク組成物の吐出温度(例えば40℃)での粘度は、3mPa・s以上であることが好ましく、5mPa・s以上であることがより好ましく、8mPa・s以上であることがさらに好ましいが、使用するインクジェットヘッドに合わせて適宜調整することが好ましい。
【0088】
又、本実施の形態に係るインク組成物の表面張力は、インクジェットの吐出性、吐出安定性、基材へのレベリング性の点から、25℃での表面張力が20mN/m以上であることが好ましく、23mN/m以上であることがより好ましく、25mN/m以上あることがさらに好ましい。又、本実施の形態に係るインク組成物の表面張力は、40mN/m以下であることが好ましく、37mN/m以下であることがより好ましく、35mN/m以下であることがさらに好ましい。
【0089】
(インク組成物の製造方法)
インク組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。インク組成物には、分散機を用いて、重合性化合物、光輝性顔料、重合開始剤、分散剤等で分散し、その後、必要に応じて重合禁止剤、レベリング剤等を添加して均一に撹拌することにより、混合物を得て、その後光輝性顔料を添加して更にフィルターで濾過することによってインク組成物が得られる。
【0090】
次に、本実施の形態に係るインク組成物により得られる印刷物について説明する。
【0091】
≪2.印刷物≫
上記の実施形態に係るインク組成物を使用して得られる印刷物は、基材(記録媒体)と、この基材(記録媒体)の表面に形成された光輝性層と、を備える。そして、この光輝性層は、上記の実施形態に係るインク組成物に含有される重合性化合物の硬化物と、光輝性顔料と、を含有する。
【0092】
ここで、上記の実施形態に係るインク組成物に含まれる光輝性顔料は、粒子径を所定の範囲に制御しているので、インクジェットの吐出安定性が高いものであり、所望の金属調が付与された印刷物を得ることが可能である。
【0093】
[基材(記録媒体)]
本実施の形態に係る記録物に含まれる基材(記録媒体)としては、特に限定はされず、樹脂基材、金属板、ガラスなどの非吸収性基材であっても、紙や布帛などの吸収性基材であっても、受容層を備える基材のような表面塗工が施された基材であってもよく、種々の基材を使用することができる。
【0094】
非吸収性基材としては、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポチエチレンナフタレート)、ポリプロピレン系合成紙、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等)、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基材や、金属、金属箔コート紙、ガラス、合成ゴム、天然ゴム等を挙げることができる。この中でもポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む樹脂基材であることが好ましい。
【0095】
吸収性基材としては、更紙、中質紙、上質紙、合成紙、綿、化繊織物、絹、麻、布帛、不織布、皮革等を挙げることができる。
【0096】
表面塗工が施された基材としてはコート紙、アート紙、キャスト紙、軽量コート紙、微塗工紙等を挙げることができる。
【0097】
[プライマー]
基材にはプライマーを塗布してもよい。プライマーは、基材(記録媒体)の表面に塗布され、色材(染料・顔料)を含有する着色インク組成物や光輝性顔料を含有する光輝性インク組成物の定着性を向上させたり、滲みを抑制して画質を向上させる機能を有する。
【0098】
プライマーとしては活性エネルギー線硬化型のインク組成物であっても、溶剤を含有する溶剤型のインク組成物であっても、水を含有する水性型のインク組成物であってもよい。プライマー剤は、例えば、後述する着色インク組成物であって、樹脂成分や重合性化合物を主成分とし、色材を除外又は減量して色彩を視認しないように調整したようなインク組成物であってもよい。また、プライマー剤は、例えば、従来公知のプライマー剤であってもよい。
【0099】
プライマーを基材(記録媒体)の表面に塗布する方法としてはどのような方法であってもよく、例えば、スプレー塗布、タオル、スポンジ、不織布、ティッシュ等を用いた塗布、ディスペンサー、刷毛塗り、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット、熱転写方式等のいずれであってもよい。
【0100】
[光輝性層]
光輝性層は、上記の実施形態に係る重合性化合物と、光輝性顔料と、重合開始剤と、を含有するインク組成物により形成される層である。具体的には、重合性化合物と、光輝性顔料と、重合開始剤と、を含有するインク組成物が被体の表面にインクジェット法によって吐出され、活性エネルギー線を照射することで形成される重合性化合物の硬化物と、光輝性顔料と、を含有する層である。
【0101】
上記の実施形態に係るインク組成物に含まれる金属含有光輝性顔料は、粒子径を所定の範囲に制御しているので、インクジェットの吐出安定性が高いものであり、所望の金属調が付与された光輝性層を形成することができる。
【0102】
[着色インク組成物]
光輝性インク組成物を印刷する際には着色インク組成物を共に用いてもよい。着色インク組成物とは、光輝性顔料とは異なる通常の着色インク組成物の使用されるような色材(染料・顔料)を含有するインク組成物である。又、光輝性顔料を含有するインク組成物をインクジェット吐出する前、あるいは後に、着色インク組成物を塗布してもよい。この着色インク組成物は、活性エネルギー線硬化型のインク組成物であっても、色材を含有し、水を含有しない非水系インク組成物であっても、色材を含有し、水を含有する水性インク組成物であってもよい。また、複数のインク組成物(例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、ライトマゼンタインク、ライトシアンインク、ライトブラックインク、ホワイトインク、オレンジインク、グリーンインク、ブルーインク、レッドインクを含む複数の場合等)であってもよい。なお、この着色インク組成物には樹脂が含有されていてもよい。
【0103】
又、この着色インク組成物の塗布方法は、特に限定されるものではない。例えば、スプレー法、コーター法、インクジェット法、グラビア法、フレキソ法等を挙げることができる。中でもインクジェット法により吐出(塗布)されることが好ましい。インクジェット法であれば、基材の任意の場所に吐出(塗布)することも、基材全面に吐出(塗布)することも容易である。
【0104】
着色インク組成物の色材は、特に限定されるものではなく、染料系であってもよいし、顔料系であってもよいが、耐水性や耐光性等の耐性が良好である顔料系インク組成物を使用することが好ましい。着色インク組成物に用いることのできる顔料は特に限定されない。従来のインク組成物に使用されている有機顔料又は無機顔料等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。具体的な有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染料からの誘導体、フタロシアニン系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、ペリレン系有機顔料、ペリノン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、ニッケルアゾ系顔料、イソインドリノン系有機顔料、ピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、キナクリドン系固溶体顔料、ペリレン系固溶体顔料等の有機固溶体顔料等、無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛等、その他の顔料として、カーボンブラック等が挙げられる。インク組成物に用いることのできる顔料は、複数の有機顔料や無機顔料を併用してもよく、顔料分散剤によって水溶性溶媒中に分散させた顔料分散体と自己分散型顔料を併用したものであってもよい。
【0105】
[オーバーコート剤]
印刷物の表面にはオーバーコート剤を塗布していてもよい。オーバーコート剤は、印刷物の最上面(例えば着色インク組成物の表面)に形成され、印刷物の耐久性を向上させる機能を有する。
【0106】
オーバーコート剤としては活性エネルギー線硬化型のインク組成物であっても、水を含有しない非水系のインク組成物であっても、水を含有する水性型のインク組成物であってもよい。オーバーコート剤は、例えば、上述した色材(染料・顔料)を含有する着色インク組成物であって、樹脂成分や重合性化合物を主成分とし、色材を除外又は減量して色彩を視認しないように調整したようなインク組成物であってもよい。着色インク組成物や光輝性インク組成物と同様の組成のオーバーコート剤を使用することで着色インク組成物や光輝性インク組成物との密着性を向上させることができる。また、オーバーコート剤は、例えば、従来公知のオーバーコート剤であってもよい。
【0107】
オーバーコート剤を印刷物の表面に塗布する方法としてはどのような方法であってもよく、例えば、スプレー塗布、タオル、スポンジ、不織布、ティッシュ等を用いた塗布、ディスペンサー、刷毛塗り、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット、熱転写方式等のいずれであってもよい。
【0108】
≪3.記録方法≫
本実施の形態に係る記録方法は、上記の実施形態に係るインク組成物をインクジェット法によって吐出する記録方法である。上記の実施形態に係るインク組成物は、光輝性顔料の粒子径を所定の範囲としたものであり、本実施の形態に係る記録方法は、インクジェットの吐出性が高く、良好な光沢性を有する印刷物を製造することができるものである。
【0109】
表面処理された基材(記録媒体)を得るために、予め基材の表面に対して表面処理を施すことにより、表面処理された基材を得る前処理工程を含んでいてもよい。
【0110】
この表面処理の方法としては、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、クロム酸処理、シランカップリング処理等の表面処理を挙げることができる。2つ以上の表面処理を組み合わせてもよい。
【0111】
また、粒子径を所定の範囲とした光輝性顔料を含有するインク組成物のインクジェットット吐出方式は、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等のいずれの方式であってもよい。
【0112】
そして、基材の表面に塗布されたインク組成物に、活性エネルギー線を照射する照射工程を含んでいてもよい。この照射により、基材の表面に上記インク組成物の硬化物が形成される。活性エネルギー線は、遠紫外線、紫外線、近紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線等の電磁波のほか、電子線、プロトン線、中性子線の活性エネルギー線を挙げることができる。
【0113】
≪4.印刷物の製造方法≫
上述した記録方法は、粒子径を所定の範囲とした光輝性顔料を含有するインク組成物をインクジェット法により基材上に吐出する印刷物の製造方法と定義することもできる。
【0114】
≪5.インクジェット記録装置≫
本実施の形態に係るインクジェット記録装置は粒子径を所定の範囲とした光輝性顔料を含有するインク組成物が充填された貯蔵機構が搭載されたインクジェット記録装置である。
【0115】
本実施の形態に係るインクジェット記録装置は、インクカートリッジが外部に固定されたオフキャリッジタイプのインクジェット記録装置であってもよく、インクジェットヘッドヘッドが移動せずに記録媒体(基材)上にインク組成物を吐出するラインプリンタータイプのインクジェット記録装置であってもよい。
【0116】
本実施の形態に係るインクジェット記録装置に搭載される貯蔵機構は、とくに限定されず、例えば、インクボトル、パウチ、バッグインボックス、ドラム等の容器を挙げることができる。また、これらの容器をさらにカートリッジ等に収容したものであってもよい。収容容器の材質としては、とくに限定されず、従来公知の樹脂製であってもよいし、その一部の金属材料を含む材質(例えば、アルミ蒸着層を備えたアルミパウチ)であってもよい。
【0117】
また、それぞれの吐出部における吐出方式は、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等のいずれの方式であってもよい。
【0118】
本実施の形態に係るインクジェット記録装置は、活性エネルギー線を照射する光源を備えていてもよい。活性エネルギー線を照射する光源は特に限定されるものではなく、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。省エネルギーであり、印刷装置の設計設備の自由度が高いという観点から光源としてLEDランプを用いることがより好ましい。
【実施例0119】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
【0120】
1.光輝性顔料の作成(光輝性顔料分散液の調製)
(1)光輝性顔料A
下記組成の塗工液1を厚み100μmのPETフィルム上にバーコート法で均一に塗布し、60℃で10分間乾燥し、剥離樹脂層を形成した。
【0121】
塗工液1
・セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35~39%、関東化学社製) 3%
・イソプロパノール 97%
【0122】
次に、(株)真空デバイス製「VE-1010方真空蒸着装置」を使用して、剥離樹脂層上に膜厚20nmの金属アルミニウム薄膜を形成して積層体を作製した。得られた積層体をイソプロパノール中に浸漬すると共に、金属アルミニウム100質量部に対して10質量部のオレイン酸オレイル(脂肪酸エステル)を加えて、(株)アズワン製「VS-150超音波分散機」を用いて剥離、粉砕、微分散処理を同時に12時間行い、脂肪酸エステルにより表面処理された光輝性顔料(アルミニウムからなる金属含有光輝性顔料)を含有する光輝性顔料分散液を得た。
【0123】
得られた光輝性顔料分散液をSUSメッシュフィルターで濾過し、粗大粒子を除去した。次いで、イソプロパノールをエバポレーターにより濾液から留去した。その後、イソプロパノールをフェノキシエチルアクリレート(重合性化合物)に置き換え、光輝性顔料の濃度を調整し、脂肪酸エステルにより表面処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90の光輝性顔料Aを5質量%含有する光輝性顔料分散液Aを調製した。
【0124】
(2)光輝性顔料B
光輝性顔料Aの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、脂肪酸エステルにより表面処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90の光輝性顔料Bを5質量%含有する光輝性顔料分散液Bを調製した。
【0125】
(3)光輝性顔料C
光輝性顔料Aの製造において、脂肪酸エステル(オレイン酸オレイル)をリン酸エステル(芳香族リン酸エステル(大八化学工業(株)製 CR-741))に変更し、さらに金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、リン酸エステルにより表面処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90の光輝性顔料Cを5質量%含有する光輝性顔料分散液Cを調製した。
【0126】
(4)光輝性顔料D
光輝性顔料Cの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、リン酸エステルにより表面処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Dを5質量%含有する光輝性顔料分散液Dを調製した。
【0127】
(5)光輝性顔料E
光輝性顔料Aの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、光輝性顔料を所定量含有する光輝性顔料分散液を調製し、この光輝性顔料分散液200gに対し、5gの酸価70のポリエステル樹脂(Crylcoat340、ベルギー国のUCBにより供給)および5gのエポキシ当量750のエポキシ樹脂(Araldit GT6063ES、スイス国のVanticoにより供給)を、100gのアセトンに溶解させたものを加えて1時間撹拌した後、上述の遠心分離と洗浄の操作を行い、アセトンをフェノキシエチルアクリレートに置き換え、ポリエステル樹脂により表面保護処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90の光輝性顔料Eを5質量%含有する光輝性顔料分散液Eを調製した。
【0128】
(6)光輝性顔料F
光輝性顔料Eの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、ポリエステル樹脂により表面保護処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Fを5質量%含有する光輝性顔料分散液Fを調製した。
【0129】
(7)光輝性顔料G
光輝性顔料Fの製造において、ポリエステル樹脂に加えてさらに10質量部のシリコン系界面活性剤のUV3500を加えて、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、ポリエステル樹脂とシリコン系界面活性剤により表面保護処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Gを5質量%含有する光輝性顔料分散液Gを調製した。
【0130】
(7)光輝性顔料H
光輝性顔料Aの製造において、オレイン酸オレイルの代わりに10質量部のシリコン系界面活性剤のUV3500を加えて、さらに金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、シリコン系界面活性剤により表面保護処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Hを5質量%含有する光輝性顔料分散液Hを調製した。
【0131】
(8)光輝性顔料I
光輝性顔料Gの製造において、ポリエステル樹脂の代わりにテトラエトキシシランを加えて、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、シリコン系界面活性剤により表面保護処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Iを5質量%含有する光輝性顔料分散液Iを調製した。
【0132】
(9)光輝性顔料J
光輝性顔料Aの製造において、オレイン酸オレイルを加えずに、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、表面保護処理されず、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Jを5質量%含有する光輝性顔料分散液Jを調製した。
【0133】
(10)光輝性顔料K
光輝性顔料Iの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、表面保護処理されず、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Kを5質量%含有する光輝性顔料分散液Kを調製した。
【0134】
(11)光輝性顔料L
光輝性顔料Aの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、脂肪酸エステルにより表面処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90の光輝性顔料Lを5質量%含有する光輝性顔料分散液Lを調製した。
【0135】
(12)光輝性顔料M
光輝性顔料Cの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、リン酸エステルにより表面処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90の光輝性顔料Mを5質量%含有する光輝性顔料分散液Mを調製した。
【0136】
(13)光輝性顔料N
光輝性顔料Gの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、シリコン系界面活性剤により表面保護処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Nを5質量%含有する光輝性顔料分散液Nを調製した。
【0137】
(14)光輝性顔料O
光輝性顔料Gの製造において、金属アルミニウム薄膜の膜厚や、超音波の強度や処理時間およびフィルターの目開きを変更して、シリコン系界面活性剤により表面保護処理され、下記表に記載の膜厚及びD10、D50、D90を変更した光輝性顔料Oを5質量%含有する光輝性顔料分散液Oを調製した。
【0138】
【0139】
2.インク組成物の調製
上記の「光輝性顔料分散液」を使用してインク組成物を調製した。具体的には、上記の光輝性顔料分散液と、重合性化合物と、重合開始剤と、重合禁止剤と、を用いて下記表の割合になるように実施例、比較例のインク組成物を調整した。単位は質量%である。
【0140】
3.評価
(通液性)
実施例及び比較例のインク組成物のフィルター通液性を評価した。具体的には、実施例及び比較例のインク組成物を直径25mmのステンレス性2000メッシュフィルターに通液させ、通液量を測定して評価した(表中「通液性」と表記)。
評価基準
A:通液量が20ml以上であった。
B:通液量が5ml以上20ml未満であった。
C:通液量が5ml未満であった。
A、Bが使用可能範囲内である。
【0141】
(吐出性)
ImageXpert社製液滴観察装置JetXpertにて、実施例及び比較例のインク組成物のインクジェット吐出性を評価した。具体的には、実施例及び比較例のインク組成物をインクジェットヘッドから10分間吐出させて、不吐出、曲がり、散りの発生を評価した(表中「吐出性」と表記)。
評価基準
A:吐出不良発生率が3%未満
B:吐出不良発生率が3%以上10%未満
C:吐出不良発生率が10%以上
A、Bが使用可能範囲内である。
【0142】
(硬化性)
実施例及び比較例のインク組成物を用いて得られた印刷物での光輝性層の硬化性を評価した。具体的には、実施例及び比較例のインク組成物をインクジェット記録装置(富士フイルム(株)製「マテリアルプリンター DMP-2850」)によって、記録媒体(PETフィルム(東洋紡(株)コスモシャインA4360))の表面に吐出し、波長385nmのLEDランプにより、ピーク照度250mW/cm2、積算光量650mW/cm2の活性エネルギー線を照射することにより、印刷物を製造した。得られた印刷物の光輝性層を指で触れて硬化性を確認した(表中「硬化性」と表記)。
評価基準
A:べたつきがなく、硬化性は良好であった。
B:印刷直後に若干のタックがあった。
C:タックが強く、硬化不良であった。
A、Bが実使用可能範囲内である。
【0143】
(光沢)
実施例及び比較例の非水性インク組成物を用いて得られた印刷物の光沢を評価した。具体的には、上記で得られた印刷物について、コニカミノルタ社製マルチアングル測色系CM-M6を使用して
図1に示すように、印刷面から45°の入射角で入射光を光輝性層に対して入射させ、その入射角に対する反射角から法線方向に15°角度を変更させた角度を測定角度として、その測定角度でのL
*a
*b
*表色系におけるL
*(明度指数)を測定し、以下の評価基準により光沢を評価した(表中「光沢」と表記)。
A:L
*値が130以上であった。
B:L
*値が110以上130未満であった。
C:L
*値が110未満であった。
A、Bが実使用可能範囲内である。
【0144】
(隠蔽)
実施例及び比較例のインク組成物を用いて得られた印刷物の隠蔽率を評価した。具体的には、隠蔽率試験紙に、実施例及び比較例のインク組成物を、をインクジェット記録装置によって隠蔽率試験紙の表面に吐出し、活性エネルギー線を照射することにより、硬化させ、白色部と黒色部における三刺激値Yを測定し、隠蔽率を求め、以下の評価基準により隠蔽率を評価した(表中「隠蔽」と表記)。
評価基準
A:隠蔽率が95%以上である
B:隠蔽率が80%以上95%未満である
C:隠蔽率が80%未満である
A、Bが実使用可能範囲内である。
【表2】
【0145】
表中、「PHEA」とは、フェノキシエチルアクリレートである。
【0146】
表中、「BZA」とは、ベンジルアクリレートである。
【0147】
表中、「PHA」は、フェニルアクリレートである。
【0148】
表中、「PHEMA」とは、フェノキシエチルメタクリレートである。
【0149】
表中、「BZMA」とは、ベンジルメタクリレートである。
【0150】
表中、「BPADA」とは、EO変性ビスフェノールAジアクリレートである。
【0151】
表中、「16HDA」とは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートである。
【0152】
表中、「NPDA」とは、ネオペンチルグリコールジアクリレートである。
【0153】
表中、「DPA」とは、ジプロピレングリコールジアクリレートである。
【0154】
表中、「IBXA」とは、イソボルニルアクリレートである。
【0155】
表中、「VEEA」とは、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルアクリレートである。
【0156】
表中、「ACMO」とは、アクリロイルモルフォリンである。
【0157】
表中、「TPO」とは、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」に該当する)である。
【0158】
表中、「819」とは、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」に該当する)である。
【0159】
表中、「379」は、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(「アルキルフェノン系重合開始」に該当する)である。
【0160】
表中、「DETX」とは、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン(「チオキサントン系重合開始剤」「含硫黄重合開始剤」に該当する)である。
【0161】
表中、「ITX」とは、2-イソプロピルチオキサントン(「チオキサントン系重合開始剤」「含硫黄重合開始剤」に該当する)である。
【0162】
表中、「BMS」とは、4-(4-メチルフェンシルチオ) ベンゾフェノンである(「含硫黄重合開始剤」に該当する)。
【0163】
表中、「EHA」とは、2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾナーテである。
【0164】
表中、「MBP」とは、4-メチルベンゾフェノンである。
【0165】
表中、「AD」とは、フェノチアジン(重合禁止剤)である。
【0166】
上記表から分かるように、光輝性顔料の粒子径を所定の範囲とした活性エネルギー線硬化型のインク組成物であれば、インクジェットの吐出性が高く、良好な光沢性を有する印刷物を製造することができることが分かる。