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特開2024-176928情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176928
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20241212BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241212BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20241212BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G08B25/04 E
G06T7/60 180B
G06T7/70 A
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095816
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】河本 智浩
【テーマコード(参考)】
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA11
5C087AA32
5C087BB72
5C087DD05
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG03
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG84
5L096DA03
5L096HA13
(57)【要約】
【課題】特定の被写体に対して有効な警告を行いつつ、無関係の被写体に対する迷惑を少なくする警告を実現可能にする。
【解決手段】情報処理装置は、特定の被写体を検出し、警告を発出する警告発出装置からその特定の被写体までの距離を取得する。そして情報処理装置は、特定の被写体までの距離が、警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合に、警告発出装置から警告を発出させ、特定の被写体までの距離が、警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内でない場合に、警告発出装置から警告を発出しないように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の被写体を検出する検出手段と、
警告を発出する警告発出装置から前記特定の被写体までの距離を取得する距離取得手段と、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合に、前記警告発出装置から警告を発出させ、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内でない場合に、前記警告発出装置から警告を発出しない制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、撮像された画像から前記特定の被写体を検出して、当該検出した特定の被写体の位置を推定し、
前記距離取得手段は、前記特定の被写体の位置を基に、前記警告発出装置から当該特定の被写体までの距離を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記画像を撮像する撮像装置の位置および撮影範囲内の複数地点の位置と、前記撮像装置にて撮像される画像内の複数の位置との対応関係を基に、前記特定の被写体の位置を推定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、移動する前記特定の被写体の位置を逐次推定し、
前記距離取得手段は、前記逐次推定された前記特定の被写体の位置を基に前記特定の被写体までの距離を逐次取得し、
前記制御手段は、前記逐次取得された前記特定の被写体までの距離が前記有効距離以内である場合にのみ、前記警告発出装置から警告を発出させることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記警告発出装置が発出する前記警告の強度の設定情報を基に、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な前記有効距離を決定する決定手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定手段によって前記決定された前記有効距離の情報を記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記有効距離の情報を用いて、前記特定の被写体までの距離が前記有効距離以内であるか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記警告発出装置により発出される警告は、光による警告と音による警告との少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記警告発出装置は、画像を撮像する撮像装置に内蔵もしくは併設された装置であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特定の被写体は人物であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
特定の被写体を検出する検出工程と、
警告を発出する警告発出装置から前記特定の被写体までの距離を取得する距離取得工程と、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合に、前記警告発出装置から警告を発出させ、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内でない場合に、前記警告発出装置から警告を発出しない制御工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
特定の被写体を検出する検出手段と、
警告を発出する警告発出装置から前記特定の被写体までの距離を取得する距離取得手段と、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合に、前記警告発出装置から警告を発出させ、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内でない場合に、前記警告発出装置から警告を発出しない制御手段と、
を有する情報処理装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告を発出する装置を制御するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
不審人物を検知した場合に、スピーカ等で警告を行う監視カメラ、あるいは監視カメラを含むセキュリティシステムがある。
また特許文献1には、人物の不審行動を検出するとスピーカで警告を行うセキュリティシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-181481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スピーカ等の警告発出装置から、警告対象の特定の被写体(不審人物)までの距離が遠い場合には、その特定の被写体に警告音が届かないうえ、スピーカ近辺に存在する無関係の被写体(人物)に対して警告音が届いてしまう。すなわち特定の被写体に対して有効な警告を行えないどころか、無関係の被写体に迷惑がかかることになる。
【0005】
そこで本発明は、特定の被写体に対して有効な警告を行いつつ、無関係の被写体に対する迷惑を少なくする警告を実現可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、特定の被写体を検出する検出手段と、警告を発出する警告発出装置から前記特定の被写体までの距離を取得する距離取得手段と、前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合に、前記警告発出装置から警告を発出させ、前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内でない場合に、前記警告発出装置から警告を発出しない制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の被写体に対して有効な警告を行いつつ、無関係の被写体に対する迷惑を少なくする警告を実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る監視カメラの主な構成例を示す図である。
図2】警告に関連する機能ブロック構成を示す図である。
図3】警告発出強度と警告有効距離との対応関係を示す図である。
図4】監視カメラ位置と撮影範囲内の各地点位置との対応関係を示す図である。
図5】警告発出制御に係る情報処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正又は変更され得る。
【0010】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置を搭載した撮像装置の一例である監視カメラ100の主な構成例を示した図である。
図1において、撮像ユニット102は、光学レンズやイメージセンサ等の撮像に関する各構成を有する。
【0011】
光警告ユニット103は、光を使用した警告を行うための警告発出装置である。本実施形態の場合、光警告ユニット103は、警告用の光を発出するための構成としてLED(発光ダイオード)を有しているとする。すなわち本実施形態では、警告対象に対する警告のために、光警告ユニット103のLEDからの光を使用可能となされている。光による警告の例としては、LEDの点滅などが挙げられる。
音警告ユニット104は、音を使用した警告を行うための警告発出装置である。本実施形態の場合、音警告ユニット104は、音を発出するためのスピーカにより構成されているとする。すなわち本実施形態では、警告対象に対する警告のために、音警告ユニット104のスピーカからの音を使用可能となされている。音による警告の例としては、スピーカからのアラーム音の発出などが挙げられる。
【0012】
なお本実施形態では、警告発出ユニットとして光警告ユニット103と音警告ユニット104の二つを挙げているが、それら何れか一方のみでもよいし、光警告ユニット103や音警告ユニット104はそれぞれ一つに限らず複数であってもよい。また本実施形態では、警告対象として、撮影映像に映っている人物のうち不審な行動等を行う不審人物であるとするが、人物以外、例えば車両や動物などであってもよい。以下の説明では、警告対象である不審人物をターゲットと記し、また、光警告ユニット103と音警告ユニット104を区別しない場合にはそれらを纏めて警告発出ユニットと記す。
【0013】
設定ユニット107は、例えばユーザからの操作入力に応じて、光警告ユニット103における光の発光強度と、音警告ユニット104における音の出力強度とを設定する。
ここで、ターゲットに対する警告のために光を用いる場合、より明るい光を用いれば、より遠くのターゲットに対して警告を伝えられる可能性が高くなると考えられる。言い換えると、光が警告用途として機能する有効距離(光による警告の到達可能距離)は、光警告ユニット103における光の発光強度(明るさ)に概ね対応していると言える。設定ユニット107にて設定された発光強度の設定情報はCPU101に送られ、CPU101はその発光強度の設定情報を基に、光が警告用途として機能する有効距離(以下、光警告有効距離と記す)を決定する。発光強度の設定情報に基づく光警告有効距離の決定処理の詳細は後述する。
【0014】
同様に、ターゲットに対する警告のために音を用いる場合、より大きい音を用いれば、より遠くのターゲットに対して警告を伝えられる可能性が高いと考えられる。言い換えると、音が警告用途として機能する有効距離(音による警告の到達可能距離)は、音警告ユニット104における音の出力強度(音の大きさ)に概ね対応していると言える。設定ユニット107にて設定された音出力強度の設定情報はCPU101に送られ、CPU101はその音出力強度の設定情報を基に、音が警告用途として機能する有効距離(以下、音警告有効距離と記す)を決定する。音出力強度の設定情報に基づく音警告有効距離の決定処理の詳細は後述する。
以下の説明では、設定ユニット107にて取得される光の発光強度や音の出力強度を纏めて警告発出強度と記し、発光強度に応じた光警告有効距離と音出力強度に応じた音警告有効距離を纏めて警告有効距離と記す。
【0015】
メモリ106は、設定ユニット107にて取得された警告発出強度(発光強度や音出力強度)に基づいてCPU101が決定した警告有効距離(光警告有効距離や音警告有効距離)の情報を記憶する。
【0016】
位置取得ユニット105は、監視カメラ100の設置場所の位置情報を取得するための位置取得装置である。本実施形態の場合、位置取得ユニット105は、いわゆるGPS(Global Positioning System)ユニットであるとする。したがって位置取得ユニット105は、監視カメラ100の設置場所の位置情報として、GPS座標系の位置情報を取得する。なお、監視カメラ100の位置の取得は、GPSユニットによる取得に限定されるものではなく、例えば監視カメラ100の設置者等が別途GPS機器を用いて監視カメラ100近傍で緯度と経度を測位し、その測位結果を入力することにより行われてもよい。
【0017】
CPU101は、本実施形態に係る情報処理装置であり、監視カメラ100の全体的な動作制御を行う。監視カメラ100の全体的な動作制御は一般的な監視カメラの動作制御と同様であるため、その説明は省略する。本実施形態のCPU101は、一般的な動作制御に加えて、設定ユニット107にて設定される警告発出強度に基づく警告有効距離の決定、警告有効距離の情報をメモリ106に記憶等させる記憶制御を行う。さらに本実施形態のCPU101は、撮像ユニット102による撮影映像からターゲットを捕捉する捕捉処理、ターゲットの位置推定処理、ターゲットまでの距離取得処理、およびターゲットに対する警告発出制御をも行う。
【0018】
詳細は後述するが、CPU101は、設定ユニット107による発光強度の設定情報に応じた光警告有効距離を決定し、また、設定ユニット107による音出力強度の設定情報に応じた音警告有効距離を決定するような警告有効距離の決定処理を行う。そして、CPU101は、警告有効距離を示す情報(光警告有効距離と音警告有効距離の情報)を、メモリ106に記憶させる。
【0019】
以下同様に詳細は後述するが、CPU101は、撮像ユニット102による撮影映像から人物を検出し、さらにその検出した人物のなかの不審人物をターゲットとして検出(特定)するようなターゲット捕捉処理を行う。
【0020】
またCPU101は、位置取得ユニット105で取得された監視カメラ100の設置場所と、捕捉処理によって捕捉されたターゲットの撮影映像内における位置とを基に、GPS座標系におけるターゲットの位置を推定(算出)する位置推定処理を行う。
【0021】
さらにCPU101は、GPS座標系内において警告発出ユニットから当該ターゲットまでの距離を算出する距離取得処理を行う。なお本実施形態の場合、警告発出ユニットは監視カメラ100に内蔵または併設されており、監視カメラ100と警告発出ユニットは略々同位置であるため、警告対象の距離取得処理では、監視カメラ100からターゲットまでの距離を取得してもよい。
【0022】
そして、CPU101は、ターゲットまでの距離が、警告発出ユニットにて発出される警告の到達可能な警告有効距離以内である場合にのみ、警告発出ユニットから警告を発出させる警告発出制御を行う。言い換えると、CPU101は、警告発出ユニットから発出された警告が到達しない位置にターゲット(不審人物)が存在する場合には、警告発出ユニットからの警告発出を行わないようにする警告発出制御を行う。
【0023】
図2は、前述した警告有効距離の決定処理、記憶制御、ターゲット捕捉処理、ターゲット位置推定処理と距離取得処理、およびターゲットに対する警告発出制御を実現するCPU101の機能構成例を示した図である。本実施形態では、制御プログラムをCPU101が実行することによって、図2の各機能部が実現される例を挙げるが、図2の各機能部は回路等によって構成されてもよい。なお本実施形態に係る制御プログラムは、図1には不図示の記憶媒体や記憶装置等に保持されており、その制御プログラムが読み出されて不図示のRAM等に展開されてCPU101により実行されるとする。
【0024】
図2において、撮像制御部112は、撮像ユニット102における撮像動作を制御する。本実施形態に係る撮像装置は監視カメラ100を例に挙げているため、撮像制御部112は動画の撮像を行うように撮像ユニット102の撮像動作を制御する。
画像処理部120は、撮像ユニット102により取得される動画のフレームごとの撮像画像データに対して、現像処理や色調整、ゲイン調整などの画像処理を行う。なお、これらの画像処理は、CPU101とは別構成として設けられた画像処理ユニットにて行われてもよいし、撮像ユニット102において行われてもよい。
【0025】
位置取得制御部115は、位置取得ユニット105のGPSユニットから、監視カメラ100の設置場所の位置情報を取得する。
設定取得部117は、ユーザの操作入力に応じて設定ユニット107が取得した警告発出強度の設定情報を取得し、さらにその警告発光強度の設定情報を基に警告有効距離を決定する。本実施形態の場合、設定取得部117は、設定ユニット107にて設定された発光強度の設定情報を基に、光警告ユニット103からの光による警告が到達可能な光警告有効距離を決定する。同様に設定取得部117は、設定ユニット107にて設定された音出力強度の設定情報を基に、音警告ユニット104からの音による警告が到達可能な音警告有効距離を決定する。
【0026】
図3は、警告発出強度と警告有効距離との関係を示す図である。図3は、光警告ユニット103のLEDの発光強度と光警告有効距離との関係、および、音警告ユニット104のスピーカの音出力強度と光警告有効距離との関係を示している。すなわち設定取得部117は、光警告ユニット103のLEDの発光強度が例えば「強」に設定された場合には光警告有効範囲を例えば「50m」とし、発光強度が例えば「弱」に設定された場合には光警告有効範囲を例えば「20m」とする。同様に設定取得部117は、音警告ユニット104のスピーカの音出力強度が例えば「強」に設定された場合には音警告有効範囲を例えば「50m」とし、音出力強度が例えば「弱」に設定された場合には音警告有効範囲を例えば「20m」とする。なお、図3の例では、警告発出強度は「強」と「弱」の二種類としているが、さらに細かく分けられていてもよく、その場合、それら細かく分けられた警告発出強度に応じて警告有効距離も細かく決定される。
【0027】
前述のようにして設定取得部117で警告発出強度に応じた警告有効距離が決定されると、記憶制御部116は、その警告有効距離(光警告有効距離、音警告有効距離)の情報をメモリ106に記憶させる。
【0028】
ターゲット捕捉部121は、画像処理部120による画像処理後の画像(撮像映像)から人物を検出し、その検出した人物の中から不審な行動等を行う不審人物(特定の被写体)を検出(特定)する。なお撮影映像に映る人物の検出や当該検出した人物から警告対象となる不審人物(特定の被写体)を検出(特定)する処理は、一例として不審人物の検出および特定用として事前に学習した学習モデルを用いた手法などを適用することで実現可能である。ターゲット捕捉部121は、撮影映像内にターゲットが存在している間は当該ターゲットを捕捉し続けるような自動追尾を行う。また、すでに説明しているように、本実施形態では、不審人物(特定の被写体)を「ターゲット」と記載している。
【0029】
位置演算部122は、ターゲット捕捉部121にて捕捉されたターゲットの画像内の位置と、GPS座標系内の監視カメラ100の位置とを基に、GPS座標系内におけるターゲットの位置を推定する位置推定部である。また、位置演算部122は、ターゲット捕捉部121がターゲットを追尾している場合、移動する当該ターゲットの位置を例えばフレームごとあるいは所定時間ごとに逐次推定する。
【0030】
ターゲット位置の算出方法としては、例えば図4(A)、図4(B)に示すように、GPS座標系で表される監視カメラ100の位置および撮影範囲内の複数地点の位置と、撮影映像内における各地点の位置とを対応付けておく方法等を用いることができる。すなわちGPS座標系の監視カメラ位置および撮影範囲内の複数位置と、撮影映像内の各位置との対応関係が既知であれば、撮影映像内での各位置とターゲットとの相対的な位置関係から、当該ターゲットのGPS座標系の位置を推定することができる。
【0031】
図4(A)は、撮像ユニット102による撮影映像の或るフレームの画像400の一例を示した図である。図4(B)は、撮像ユニット102を備えた監視カメラ100のGPS座標系内における位置410と、当該監視カメラ100の撮像ユニット102の撮影範囲D内の或る複数地点の各位置(位置401および位置402)を示した図である。そして図4(B)に示された撮影範囲D内の位置401および位置402と、図4(A)の画像400内の位置401および位置402とは対応付けられている。
【0032】
監視カメラ100の位置410は、前述した位置取得ユニット105によって取得された位置であり、例えば図4(B)に示すようにGPS座標系の緯度X1および経度Y1で示される座標(X1,Y1)の位置であるとする。また図4(B)中の複数地点の位置のうち、位置401はGPS座標系の緯度X3および経度Y3で示される座標(X3,Y3)の位置であり、位置402はGPS座標系の緯度X2および経度Y2で示される座標(X2,Y2)の位置であるとする。これら位置401および位置402の座標は、例えば監視カメラ100の設置者等が別途GPS機器を用いて測位することによって事前に取得されているとする。本実施形態では、図4(B)のように事前に取得された監視カメラ100の座標(X1,Y1)とその撮影範囲の各地点の座標(X2,Y2)および座標(X3,Y3)との対応関係を事前に求めておく。さらに本実施形態では、図4(A)の画像400内における各地点の位置401および位置402と、図4(B)のGPS座標系における位置401の座標(X3,Y3)および位置402の座標(X2,Y2)との間の対応関係を事前に求めておく。したがってこれらの対応関係を用い、監視カメラ100の画像400内で捕捉されたターゲットの位置と、当該画像400内の各位置401,402との間の相対的な位置関係を求めることで、当該ターゲットのGPS座標系の位置の推定が可能となる。なお、図4の例では複数地点の位置として座標(X2,Y2)と座標(X3,Y3)の二つの位置を挙げているが、二つの位置に限定されるものではなく、さらに多数の位置の座標が事前に取得されていてもよい。
【0033】
距離算出部123は、警告発出ユニットからターゲットまでの距離を算出する。また距離算出部123は、ターゲット捕捉部121がターゲットを追尾していて、位置演算部122が当該ターゲットの位置をフレーム或いは所定時間ごとに逐次推定している場合には、ターゲットまでの距離を逐次取得(逐次算出)する。なお本実施形態の場合、警告発出ユニットは監視カメラ100に内蔵または併設され、警告発出ユニットと監視カメラ100とが略々同じ位置であるため、位置演算部122は、監視カメラ100からターゲットまでの距離を算出するものとする。
【0034】
光発出制御部113は、距離算出部123にて算出されたターゲットまでの距離と、メモリ106に記憶されている警告有効距離のうち光警告有効距離の情報とを基に、光による警告がターゲットに到達可能であるか否かを判定する。そして、光発出制御部113は、光による警告がターゲットに到達可能と判定した場合にのみ、光警告ユニット103から光による警告を発出させるように制御する。つまり光発出制御部113は、光による警告がターゲットに到達可能である場合には光警告ユニット103のLEDを発光させるように制御し、一方、光による警告がターゲットに到達しない場合にはLEDを発光させないように制御する。また光発出制御部113は、光警告ユニット103にてLEDを発光させている時に、ターゲットまでの距離が光警告有効距離を超えて光の警告がターゲットに到達しなくなる場合には、光警告ユニット103のLEDの発光を停止するように制御する。また光発出制御部113は、光の警告がターゲットに到達しなくなったと判定した後、再度、ターゲットまでの距離が光警告有効距離内になって、光の警告がターゲットに到達可能になった場合には、LEDの発光を再開させるように制御する。
【0035】
音発出制御部114は、距離算出部123にて算出されたターゲットまでの距離と、メモリ106に記憶されている警告有効距離のうち音警告有効距離の情報とを基に、音による警告がターゲットに到達可能であるか否かを判定する。そして、音発出制御部114は、音による警告がターゲットに到達可能と判定した場合にのみ、音警告ユニット104から音による警告を発出させるように制御する。つまり音発出制御部114は、音による警告がターゲットに到達可能である場合には音警告ユニット104のスピーカから音を出力させるように制御し、一方、音による警告がターゲットに到達しない場合にはスピーカから音を出力させないように制御する。また音発出制御部114は、音警告ユニット104のスピーカから音を出力している時に、ターゲットまでの距離が音警告有効距離を超えて音の警告がターゲットに到達しなくなる場合、音警告ユニット104のスピーカからの音の出力を停止するように制御する。また音発出制御部114は、音の警告がターゲットに到達しなくなったと判定した後、再度、ターゲットまでの距離が音警告有効距離内になって、音の警告がターゲットに到達可能になった場合には、スピーカからの音の出力を再開させるように制御する。
【0036】
本実施形態では撮像された画像を基に人物等の検出および距離算出を行う例を挙げたが、人物等の検出から距離算出までの処理は、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)やミリ波レーダーなどを用いて行われてもよい。なおこの場合も、人物が不審人物か否かは前述同様にして求めればよい。
【0037】
図5は、図1のCPU101における処理の流れを示したフローチャートである。図5のフローチャートの処理は、CPU101の図2に示した機能部のうち、特に撮像制御部112、ターゲット捕捉部121、位置演算部122、距離算出部123、光発出制御部113、および音発出制御部114による処理を示している。また図2のフローチャートにおいて、符号のSは、処理ステップ(工程)を表している。
【0038】
まずS500において、撮像制御部112は、撮像ユニット102を制御して撮像動作を開始させる。
撮像ユニット102による撮像動作が開始されると、S501において、ターゲット捕捉部121は、画像処理後の画像(撮像映像)から人物を検出し、検出した人物の中から不審人物を特定してターゲットとして捕捉する処理を行う。そしてターゲット捕捉部121にてターゲットが捕捉された場合、CPU101での処理はS502に進み、一方、ターゲットの捕捉ができない場合、CPU101での処理はS506に進む。
【0039】
ターゲットが捕捉されたことでS502に進むと、位置演算部122は、前述の図4で説明したようにしてターゲットの位置を推定(算出)する処理を行う。
次にS503に進むと、距離算出部123は、S502で求められターゲットの位置と、前述したように事前に求められている監視カメラ100の位置や各地点の位置との対応関係とを基に、警告発出ユニットからターゲットまでの距離を推定(算出)する。ここで例えば、ターゲットが前述した図4の座標(X2,Y2)の位置で捕捉されたとすると、距離算出部123は、座標(X1,Y1)から座標(X2,Y2)までの直線距離を、警告発出ユニットからターゲットまでの距離として算出する。
【0040】
次にS504において、光発出制御部113は、S503にて算出されたターゲットまでの距離が光警告有効距離以内の距離であるかどうかを判定、つまり光警告ユニット103から発出される光による警告がターゲットに到達可能か否かを判定する。同様にS504において、音発出制御部114は、S503にて算出されたターゲットまでの距離が音警告有効距離以内の距離であるかどうかを判定、つまり音警告ユニット104から発出される音による警告がターゲットに到達可能か否かを判定する。
【0041】
そしてS504でターゲットまでの距離が光警告有効距離以内であると判定した場合、光発出制御部113は、S505において、光警告ユニット103のLEDを発光させるように制御する。同様にS504でターゲットまでの距離が音警告有効距離以内であると判定した場合、音発出制御部114は、S505において、音警告ユニット104のスピーカから警告音を出力させるように制御する。そして、CPU101の処理はS501に戻る。
【0042】
一方、S504でターゲットまでの距離が光警告有効距離を超えると判定した場合、光発出制御部113は、S506において、光警告ユニット103のLEDを発光させないように、つまり光による警告発出を行わないように制御する。またS504でターゲットまでの距離が音警告有効距離を超えると判定した場合、音発出制御部114は、S506において、音警告ユニット104のスピーカから警告音を出力させないように、つまり音による警告発出を行わないように制御する。そして、CPU101の処理はS501に戻る。
【0043】
また本実施形態の監視カメラ100は、前述したようにターゲットが捕捉されている間は当該ターゲットの追尾を行う。このため、ターゲットが移動している場合には、S502でのターゲットの位置の算出、続くS503でのターゲットの距離の算出が繰り返されることになる。また、警告有効距離内に存在していたターゲットが警告有効距離より遠い位置に移動したような場合には、S506の処理に進むため、警告発出が停止される。逆に、警告有効距離を超える距離に存在していたターゲットが警告有効距離以内に移動してきた場合には、S505の処理に進むため、警告発出が開始されることになる。その他にも、ターゲットが捕捉されなかった場合や、捕捉されていたターゲットが捕捉されなくなった場合にもS506の処理に進むため、警告発出は停止されることになる。
【0044】
なお、前述した実施形態では、警告発出ユニットが監視カメラ100に内蔵または併設されたている例を挙げたが、警告発出ユニットは監視カメラ100から或る程度離れた場所に設置されていてもよい。また、光警告ユニット103と音警告ユニット104のいずれか一方が監視カメラ100に内蔵もしくは併設され、もう一方は監視カメラ100から或る程度離れた場所に設置されていてもよい。警告発出ユニットが監視カメラ100から離れた場所に設置されている場合、当該警告発出ユニットと監視カメラ100との間はケーブル接続もしくは無線接続される。
【0045】
また警告発出ユニットが監視カメラ100から離れた場所に設置されている場合、警告発出ユニットにおけるGPS座標系の設置位置は前述同様に事前に取得しておくようにする。前述の図4の例を用いて説明すると、光警告ユニット103の位置(図4では不図示の座標(X4,Y4))や音警告ユニット104の位置(図4では不図示の座標(X5,Y5))を事前に取得する。そしてGPS座標系における監視カメラ100の位置(X1,Y1)および撮影範囲内の各地点の座標(X2,Y2)と座標(X3,Y3)と、各警告発出ユニットの座標(X4,Y4)および座標(X5,Y5)との間の対応関係を前述同様に事前に求めておく。これらの対応関係を用いることにより、監視カメラ100の撮影映像内で捕捉されたターゲットの位置の推定(算出)に加えて、そのターゲットの位置から警告発出ユニットまでの距離の算出も可能となる。すなわち警告発出ユニットが監視カメラ100から離れた場所に設置されている場合であっても、各警告発出ユニットからターゲットまでの距離と警告有効距離との比較によって、警告発出ユニットからの警告発出の開始や停止を制御可能となる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、ターゲットまでの距離が、警告発出ユニットから発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合にのみ、当該警告発出ユニットから警告が発出される。言い換えると、本実施形態によれば、警告が到達しない位置にターゲット(不審人物)が存在する場合には、警告発出が行われないため、不審人物とは無関係の人物等に迷惑にならないような警告を行える。
【0047】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける一つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
上述の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0048】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、およびプログラムを含む。
(構成1)
特定の被写体を検出する検出手段と、
警告を発出する警告発出装置から前記特定の被写体までの距離を取得する距離取得手段と、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合に、前記警告発出装置から警告を発出させ、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内でない場合に、前記警告発出装置から警告を発出しない制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
(構成2)
前記検出手段は、撮像された画像から前記特定の被写体を検出して、当該検出した特定の被写体の位置を推定し、
前記距離取得手段は、前記特定の被写体の位置を基に、前記警告発出装置から当該特定の被写体までの距離を取得することを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
(構成3)
前記検出手段は、前記画像を撮像する撮像装置の位置および撮影範囲内の複数地点の位置と、前記撮像装置にて撮像される画像内の複数の位置との対応関係を基に、前記特定の被写体の位置を推定することを特徴とする構成2に記載の情報処理装置。
(構成4)
前記検出手段は、移動する前記特定の被写体の位置を逐次推定し、
前記距離取得手段は、前記逐次推定された前記特定の被写体の位置を基に前記特定の被写体までの距離を逐次取得し、
前記制御手段は、前記逐次取得された前記特定の被写体までの距離が前記有効距離以内である場合にのみ、前記警告発出装置から警告を発出させることを特徴とする構成2または3に記載の情報処理装置。
(構成5)
前記警告発出装置が発出する前記警告の強度の設定情報を基に、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な前記有効距離を決定する決定手段を有することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1構成に記載の情報処理装置。
(構成6)
前記決定手段によって前記決定された前記有効距離の情報を記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記有効距離の情報を用いて、前記特定の被写体までの距離が前記有効距離以内であるか否かを判定することを特徴とする構成5に記載の情報処理装置。
(構成7)
前記警告発出装置により発出される警告は、光による警告と音による警告との少なくともいずれかであることを特徴とする構成1乃至6のいずれか1構成に記載の情報処理装置。
(構成8)
前記警告発出装置は、画像を撮像する撮像装置に内蔵もしくは併設された装置であることを特徴とする構成1乃至7のいずれか1構成に記載の情報処理装置。
(構成9)
前記特定の被写体は人物であることを特徴とする構成1乃至8のいずれか1構成に記載の情報処理装置。
(方法1)
特定の被写体を検出する検出工程と、
警告を発出する警告発出装置から前記特定の被写体までの距離を取得する距離取得工程と、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内である場合に、前記警告発出装置から警告を発出させ、
前記特定の被写体までの距離が、前記警告発出装置にて発出される警告の到達可能な有効距離以内でない場合に、前記警告発出装置から警告を発出しない制御工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
(プログラム1)
コンピュータを、構成1乃至9のいずれか1構成に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0049】
100:監視カメラ、101:CPU、102:撮像ユニット、103:光警告ユニット、104:音警告ユニット、105:位置取得ユニット、106:メモリ、107:設定ユニット
図1
図2
図3
図4
図5