(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176942
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】換気ブース
(51)【国際特許分類】
B05B 16/40 20180101AFI20241212BHJP
B05C 15/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B05B16/40
B05C15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095838
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】518379360
【氏名又は名称】株式会社シロハチ
(74)【代理人】
【識別番号】100142114
【弁理士】
【氏名又は名称】小石川 由紀乃
(72)【発明者】
【氏名】八坂 頼史
【テーマコード(参考)】
4D073
4F042
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB03
4D073DC02
4D073DC25
4D073DD04
4D073DD15
4D073DD28
4F042AA01
4F042AB00
4F042DE01
4F042DE03
4F042DE09
(57)【要約】
【課題】通常は前面だけに設けられている開口部を天部まで広げられ、物品の出し入れが容易になる換気ブースを提供する。
【解決手段】箱体の骨格を形成するフレーム連結体の前面以外の各枠にパネル部材21~25が装着された構成の本体部100の内部に、各主面を後方に向かうにつれて底部に近づくように傾斜させた姿勢にした整流板31が、本体部100の天部の前端縁から所定距離だけ離れた場所に上端面を向けた状態で支持される。天部に装着されるパネル部材21のうちの整流板31の上端面の近傍の所定位置より前方になる範囲は、本体部100の両側部から離反可能な可動片21a,21bとなり、これらの可動片21a,21bを本体部の両側部から離反させることにより形成される天部側の開口部が前面側の開口部20に連なった状態になる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口された箱型の本体部と、当該本体部の前面側の開口部に一方の主面を向けて前記本体部の内部に支持される整流板と、当該本体部の内部の前記整流板の他方の主面の側の空間に吸引口を連ねた状態で本体部の外面に取り付けられる排気ユニットとを備える換気ブースであって、
前記整流板は、前記本体部の天部の前端縁から所定距離だけ離れた場所に上端面を向け、各主面を後方に向かうにつれて底部に近づくように傾斜させた姿勢または各主面を垂直方向に沿わせた姿勢にして支持されており、
前記本体部の天部の少なくとも前記整流板の上端面が向けられている場所の近傍の所定位置から前端縁までの範囲が当該本体部の両側部から離反可能となっており、その離反により形成される天部側の開口部が前記前面側の開口部に連なった状態になる、
ことを特徴とする換気ブース。
【請求項2】
前記本体部は、箱体の骨格を形成するフレーム連結体と、このフレーム連結体の両側部および天部ならびに背部を塞ぐためにこれらの部分のフレームに装着される複数のパネル部材とを含み、
前記フレーム連結体の両側部を天部側で繋ぐフレームのうちの最前方のフレームが前記整流板の上端面が向けられる場所またはその近傍に配備され、
前記フレーム連結体の天部に装着されるパネル部材のうち当該天部の両側の前記最前方のフレームより前方になる部分に装着される範囲が、当該部分に離反可能に連結される、
請求項1に記載された換気ブース。
【請求項3】
前記フレーム連結体には,前記両側部の枠を形成する一対の矩形フレームと、これらの矩形フレームを天部側で連結するための複数の棒状フレームとが含まれており、
前記一対の矩形フレームの天部側を向く部分の前端部と、当該部分内の前記整流板の上端面が向けられる場所またはその近傍の所定位置とに、それぞれ前記複数の棒状フレームのうちの最前方のフレームを連結するためのネジ穴または連結部材が設けられている、請求項2に記載された換気ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面が開口された箱状の本体部の内部に、整流用の板部材(この明細書では「整流板」と呼ぶ。)が、前面の開口部に一方の主面を対向させると共に本体部の内部の空間を完全に分断しないようにして支持され、本体部の内部の整流板の他方の主面の側の空間から空気を吸い出すための排気ユニットが本体部の外面の適所に設けられた構成の換気ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の構成が適用された換気ブースの従来例として、本体部が金属により形成されたブース(特許文献1を参照。)と、箱体の骨格を形成するフレーム連結体に樹脂製のパネル部材を装着した形態の本体部を有するブース(特許文献2を参照。)とがある。いずれのブースも、塗装や切削などを手作業で行う際の換気に利用することを主目的とする卓上サイズの換気ブースである。
【0003】
これらのブースでは、排気ユニットを作動させることによって、整流板により区切られた空間のうちの排気ユニットに連なる側の空間が負の圧力による静圧室となり、開口部に連なる側の空間の空気が整流板により塞がれていない箇所から静圧室へと流れ込んで排気ユニットから排出されるという空気の流れが生じる。この特性により、本体部の開口部がある前面から整流板までの空間を塗装や切削などの作業のためのスペース(以下、「作業空間」という。)とし、その作業により発生した臭気や粉塵等を排気することができる。
【0004】
特許文献1に記載された換気ブースでは、1枚の整流板が、後方に向かうにつれて底部に近づくように主面を傾斜させた姿勢をもって支持されている。特許文献2に記載された換気ブースでは、同様の傾斜姿勢をとる2枚の整流板が、それぞれの間に所定の間隙を隔てて前後に並ぶように支持されている。
【0005】
さらに特許文献2には、一対の矩形状のフレームを左右に配置して、これらを複数本の棒状フレーム(同文献では「水平フレーム」と記載。)により連結した構成のフレーム連結体(同文献では「枠フレーム」と記載。)と、このフレーム連結体の前面以外の各面の枠を塞ぐ複数のパネル部材とを主材料とする換気ブースの本体部が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3219665号公報
【特許文献2】特開2020-79669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2に記載された換気ブースの本体部は立方体に近い形態になっているが、本体部を高さ方向に拡張すれば、3Dプリンターや3Dプリンターによる造形工程の後処理用の装置を作業空間に入れて、装置を稼動させる間に発生する臭気や有害物質を外部に排出することも可能と考えられる。
【0008】
ただし、現在流通しているこれらの装置には、装置本体に上方からカバーが被せられる仕様になっているものが多い。このカバーは、装置が動いている間は装置本体に取り付けられ、装置が停止して造形物を取り出すときに取り外される。このため、カバーを付けた状態の装置を換気ブースに入れることができた場合でも、ブースの内部で装置本体からカバーを取り外すことは、ブースの天部が邪魔になって不可能になる可能性が高い。カバーが取り外された状態でブースに入れられている装置本体にカバーを被せることも、同様に不可能になる可能性が高い。
【0009】
そうすると、上記のカバーが被せられた装置を換気ブースに入れて稼動させる場合には、カバーの取り外しや再装着の必要が生じる都度、装置本体をブースから取り出す必要があるが、精密機械を含む装置を頻繁に動かすことは避けるべきである。
【0010】
換気ブースが塗装や切削の作業に利用される場合も、処理対象となる物品のサイズや形状によっては、前面の開口部から物品を出し入れするのが難しい場合がある。
【0011】
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、通常は前面だけに設けられている開口部を、必要に応じて天部側にまで広げられる構成にすることによって、物品の出し入れが容易になる換気ブースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前面が開口された箱型の本体部と、当該本体部の前面側の開口部に一方の主面を向けて本体部の内部に支持される整流板と、当該本体部の内部の整流板の他方の主面の側の空間に吸引口を連ねた状態で本体部の外面に取り付けられる排気ユニットとを備える換気ブースに適用される。
【0013】
本発明による換気ブースの整流板は、本体部の天部の前端縁から所定距離だけ離れた場所に上端面を向け、各主面を後方に向かうにつれて底部に近づくように傾斜させた姿勢または各主面を垂直方向に沿わせた姿勢にして支持される。さらに本発明では、本体部の天部の少なくとも整流板の上端面が向けられている場所の近傍の所定位置から前端縁までの範囲が当該本体部の両側部から離反可能となっており、その離反により形成される天部側の開口部が前面側の開口部に連なった状態になる。
なお、本体部の前面の上部に開口されていない部分がある場合には、その部分も天部の構成要素として、本体部の両側部から離反可能とする部分に含められる。
【0014】
上記の構成によれば、本体部の天部のうち本体部の両側部から離反させることができる部分を離反させることによって、作業空間の上方が開口され、その開口によって、前面側のみだった開口部を天部の整流板の上端面の近傍まで拡張することができる。
よって、作業空間に入れる対象として想定した所定サイズの物品を通過させるのに適した広さになるまで開口部が拡張されるように、整流板の上端面の位置や整流板の支持範囲を調整すれば、作業空間から物品を取り出す作業や作業空間に物品を入れる作業を容易に行うことができる。
【0015】
上記の換気ブースの一実施形態に係る本体部は、箱体の骨格を形成するフレーム連結体と、このフレーム連結体の両側部および天部ならびに背部を塞ぐためにこれらの部分のフレームに装着される複数のパネル部材とが含まれる。このフレーム連結体では、両側部を天部側で繋ぐフレームのうちの最前方のフレームが整流板の上端面が向けられる場所またはその近傍に配備される。また、フレーム連結体の天部に装着されるパネル部材のうち当該天部の両側の前記最前方のフレームより前方になる部分に装着される範囲が、当該部分に離反可能に連結される。
【0016】
上記の実施形態によれば、フレーム連結体の天部に装着されるパネル部材のうちの最前方のフレームより前に配置される範囲の両側部を磁石や面ファスナー等を介してフレーム連結体に着脱可能に連結することによって、この範囲をフレーム連結体から容易に離反させて開口部を拡張させることが可能になる。
【0017】
上記実施形態のフレーム連結体には、両側部の枠を形成する一対の矩形フレームと、これらの矩形フレームを天部側で連結するための複数の棒状フレームとを含めることができる。この場合には、上記一対の矩形フレームの天部側を向く部分の前端部と、当該部分内の整流板の上端面が向けられる場所またはその近傍の所定位置とに、それぞれ前記複数の棒状フレームのうちの最前方のフレームを連結するためのネジ穴または連結部材を設けることができる。
【0018】
上記の構成によれば、最前方の棒状フレームを、整流板の上端面が向けられる場所の付近だけでなく、フレーム連結体の前端部にあたる場所に取り付けることもできる。前者の場所に取り付けた場合の本体部は、開口部を天部側に拡張することができる形態にすることができ、後者の場所に取り付けた場合の本体部は、開口部が前面のみに限定された従来の形態にすることができる。
このように、棒状フレームの連結場所を変更するだけで、本体部の形態を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の換気ブースによれば、本体部の天部のうち本体部の両側部から離反させることができる部分を離反させることによって、前方側のみだった開口部を作業空間の上方の範囲まで拡張し、前方の開口部からの出し入れが困難な物品でも、換気処理の前後に容易に出し入れをすることが可能になる。
【0020】
さらに、本体部に形成される作業空間が、上方から被せるタイプのカバーが取り付けられた機械装置が入る大きさになるように、本体部のサイズや整流板の支持範囲を調整すれば、当該装置を作業空間に入れた状態で配置したまま、前方側のみだった開口部を作業空間の上方の範囲まで拡張することによって、装置本体へのカバーの取り付けや取り外しを容易に行うことができる。よって、塗装や切削以外の用途にも利用可能な利便性の高い換気ブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明が適用された換気ブースの外観を表す斜視図である。
【
図2】上記の換気ブースの本体部の骨格を形成するフレーム連結体の構成を表す斜視図である。
【
図3】上記換気ブースの内部構成を表す断面図である。
【
図4】作業空間に3Dプリンターが入れられた状態の換気ブースを表した図(一部を破断した側面図)である。
【
図5】上記作業空間内の3Dプリンターからカバーを取り外す状態を表した図(一部を破断した側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態にあたる換気ブースの外観を表す斜視図であり、
図2は当該換気ブースの本体部の骨格を形成するフレーム連結体を
図1と同じアングルから表した斜視図である。
図3は当該換気ブースの幅方向の中央部に沿う断面図である。以下、これらの図を参照して、換気ブースの構成を詳細に説明する。
【0023】
この実施例の換気ブースは、前面が開口され、上下方向に長い直方体状の本体部100の内部に、2枚の整流板31,32がそれぞれ一方の主面を前面の開口部20に向けた状態で前後方向に並ぶように配備され、本体部100の天部の一箇所に、排気ユニット4が取り付けられた構成のものである。排気ユニット4は、ファンやその駆動部(いずれも図示せず。)が内蔵されたケース体41の底面に吸引口(図示せず。)が形成され、天面に円筒状のダクト部42が設けられた構成のもので、吸引口を本体部100の内部の整流板31,32より後方の空間(静圧室となる空間)に連通させた状態で支持される。なお、
図1中に二点鎖線で示すように、換気ブースが使用される際のダクト部42にはダクトホース43が連結される。
【0024】
上記換気ブースの本体部100は、
図2に示すフレーム連結体1と、このフレーム連結体1の各面の枠に装着される5枚のパネル部材21,22,23,24,25とにより形成される。
フレーム連結体1は、本体部100の両側部を形成する2個の矩形状のフレーム部材10L,10R(以下「矩形フレーム10L,10R」という。)と、長さ方向を本体部100の幅方向に合わせた状態で矩形フレーム10L.10Rを繋ぐ4本の棒状フレーム14,15,16,17(以下、「横フレーム14,15,16,17」という。)とにより形成される。これらは全て鉄製のフレーム部材である。
【0025】
矩形フレーム10L,10Rには、上下方向に長い矩形状の枠体を形成する主フレーム(符号省略)と、この主フレームの奥行き方向の中央部よりやや後方の位置で天部と底部とを繋ぐ縦フレーム13と、前後一対の支持フレーム11,12とが含まれている。
【0026】
主フレームは、側面を形成する矩形枠10の各辺に当該矩形枠10と同じ幅の縁片10a,10b,10c,10dをほぼ直交する関係をもって連ねた形態のものである。縦フレーム13は、垂直方向に沿って延びて矩形枠10に連なる外片13aと、この外片13aにほぼ直交する関係をもって連なって前面および背面の縁片10b,10cに対向する内片13bとを備えるL型のフレームである。
【0027】
支持フレーム11,12も等しい幅の帯板片11a,11b、または12a,12bを有するL型のフレームである。
前方の支持フレーム11は、一方の帯板片11aが外片として矩形枠10の外面に合わせられ、他方の帯板片11bが内片として前面側に向けられて、
図3に示すように、一端部が矩形枠10の裏面の天部の所定位置(矩形枠10の前端面と縦フレーム13との間の中間位置)に連結され、他端部が縦フレーム13の外片13aの裏面の中間位置に連結される。後方の支持フレーム12は、帯板片12a,12bをそれぞれ外片,内片として支持フレーム11と同様の方向に向け、一端部が縦フレーム13の内片13bの中間位置(縦フレーム13と支持フレーム11との連結位置よりやや上になる位置)に連結され、他端部が矩形枠10の背面側の辺部10eの中央位置よりやや下になる位置に連結される。これらの連結によって、支持フレーム11,12は、後方に向かうにつれて底部に近づく方向に傾く斜めフレームとして矩形フレーム10L,10Rに組み込まれる。
【0028】
なお、この実施例の矩形フレーム10L,10Rは、打抜き、鋳造、鍛造、切削などの加工方法によって主フレームと縦フレーム13とを一体物として製作し、これらに各支持フレーム11,12を溶接または固定ネジにより連結する方法により製作されているが、これに限らず、上記4種類のフレームを個別に製作した後に、溶接等により一体化するようにしてもよい。枠体となる主フレームも4本のL型フレームを連結する方法により形成することもできる。逆に、4種類のフレームが一連に連なったフレーム部材を製作することもできる。
【0029】
横フレーム14~17も、縦フレーム13や支持フレーム11,12と同様のL型のフレームである。横フレーム14は、各矩形フレーム10L,10Rの天部側の縁片10aの上記支持フレーム11の前端面が向けられている場所のやや前方になる場所に位置合わせされて、その場所にネジ(符号省略)により連結される。横フレーム15は各矩形フレーム10L,10Rの縁片10aの後端縁部に位置合わせされ、横フレーム16は各矩形フレーム10L,10Rの縁片10aの縦フレーム13の横手になる場所に位置合わせされ、それぞれ同様にネジ(符号省略)により位置合わせされた場所に連結される。残り1本の横フレーム17は、各矩形フレーム10L,10Rの背部の縁片10cの底部にネジ(符号省略)により連結される。これらの連結によって、本体部100の骨格をなすフレーム連結体1が出来上がる。
【0030】
各矩形フレーム10L,10Rの天部側の縁片10aの上記横フレーム14,15,16が連結される箇所や、縁片10cの横フレーム17が連結される箇所には、あらかじめこれらのフレームを連結するためのネジ穴(図示せず。)が形成されている。さらにこの実施例の矩形フレーム10L,10Rでは、縁片10aの前端部に横フレーム14を連結することもできるようにするために、当該前端部にもネジ穴h13が設けられている。
【0031】
矩形フレーム10L,10Rと横フレーム14~17とを連結する手段はネジに限るものではない。たとえば、矩形フレーム10L,10Rの縁片10a,10cの横フレーム14~17への連結箇所に、横フレーム14~18の端部を嵌め込むことが可能な連結部材を一体に設け、それらの部材に横フレーム14~18を連結してもよい。縁片10aの前端部のネジ穴h13も同様の連結部材に変更することができる。
【0032】
各矩形フレーム10L,10Rの天部の後端縁部を繋ぐ横フレーム15とその前方に配備される横フレーム16とは、それぞれの上に排気ユニット4の前端部分と後端部分とを載せることが可能な距離だけ離れている。また、これらの横フレーム15,16の幅中央部より右側の範囲に、排気ユニット4のネジ止め用のネジ穴h10が2個ずつ設けられている(
図2を参照。)。排気ユニット4の前端縁部および後端縁部にも、これらのネジ穴h10に対応する2個のネジ穴(図示せず。)が設けられる。
【0033】
主フレームの矩形枠10の背部側の辺部10eと縦フレーム13とも、上記の横フレーム15,16の間の長さと同等の距離だけ離れている。辺部10eや縦フレーム13の外片13aの高さ方向の中央部より上の範囲にも、排気ユニット4のネジ止め用のネジ穴h11が2個ずつ設けられている。
【0034】
支持フレーム11,12の内片11b,12bにも、それぞれネジ穴h1,h2が2個ずつ設けられている。これらのネジ穴h1,h2は、整流板31,32の連結に使用される。
【0035】
上記のフレーム連結体1の左側部,右側部,背部,底部の各枠には、それらの枠の外縁部と同等の大きさの矩形状のパネル部材22,23,24,25が装着される。これらのパネル部材22~25は、樹脂による軽量の板材(たとえばプラスチックダンボール)であって、いずれも、両面テープ、低硬化性の接着剤などによってフレーム連結体1の外表面に連結される。
【0036】
上記のパネル部材22~25は、汚れや破損等が生じたときに取り替える目的でフレーム連結体1から取り外すことが可能であるが、通常の使用時に容易に外れることがない強さで連結されている。また、外された場合は、新しい両面テープや接着剤などを用いて連結される。
【0037】
フレーム連結体1の天部の枠にも、パネル部材22~25と同じ樹脂材料によるパネル部材21が装着される。このパネル部材21の横幅は天部の枠の横幅と同程度であるが、奥行き方向の長さは当該枠より長くなっている。パネル部材21は、後端面がフレーム連結体1の背面(横フレーム15および縁片10c)に合わせられ、フレーム連結体1の天部より前方に突出する部分(符号21bにより示す。)が前面側に折り曲げられて前面側の縁片10bの上端部に連結される。
【0038】
図示は省略するが、天部のパネル部材21には、上記の連結状態になったときに横フレーム15,16のネジ穴h10に対応する4箇所にそれぞれネジ穴が形成されると共に、横フレーム15,16の間に配置される部分の右半分の領域内に所定大きさの貫通穴が設けられている。排気ユニット4は、当該ユニット4の前端部および後端部のネジ穴がパネル部材21や横フレーム15,16のネジ穴に連通するように位置合わせされてパネル部材21の上に配置され、さらに4箇所で連通したネジ穴に通されたネジ5を介して、パネル部材21および横フレーム15,16に連結される。この連結によって、排気ユニット4の吸引口は上記の貫通穴を介して本体部100の内部空間に連なった状態になる。
【0039】
天部のパネル部材21は、横フレーム14,15,16や矩形フレーム10L,10Rの天部側の縁片10aの横フレーム14への連結箇所より後方の範囲に対しては、他のパネル部材22~25と同様に、両面テープや接着剤などによって容易に外れない強度で連結される。
【0040】
パネル部材21の横フレーム14の前端面より前方になる部分(符号21aにより示す。)の両側縁部の厚み部分には、それぞれ複数のネオジム磁石(図示省略)が埋め込まれている。パネル部材21のフレーム連結体1の前方側に配置される部分21bの両側縁部の厚み部分にも、同様に、1~複数のネオジム磁石(図示省略)が埋め込まれている。これらの部分21a,21bは、ネオジム磁石のみによってフレーム連結体1の縁片10a,10bに連結され、本体部100の外方向に引っ張ることによって各縁片10a,10bから容易に離すことができ、縁片10a,10bに載せることによって再びこれらに連結される。
【0041】
以下、上記の部分21a,21bを「可動片21a,21b」ということにする。
図3中の二点鎖線により示すように、縁片10a,10bから離された可動片21a,21bは本体部100の天部に起立する姿勢にすることができ、さらに後方側へと傾く姿勢にすることもできる。これら可動片21a,21bの変化によって、本体部100の前面の上部(可動片21bにより塞がれていた箇所)から天部の横フレーム14より前方位置までの範囲が開口され、その開口部分が元からあった前面側の開口部20に連なって、本体部100の整流板32より前方の範囲が大きく開放される。
【0042】
パネル部材21の可動片21aより後ろの部分と可動片21aとの境界位置(横フレーム14の前端縁に沿う位置)や、可動片21a,21bの間の境界位置(矩形枠10L,10Rの縁片10aの前端縁に対応する位置)の裏面側には、折り曲げが容易になるように、厚み部分の半分程度の深さの切り込み(符号省略。)が幅方向に沿って入れられている。
【0043】
ただし、可動片21a,21bと可動片21aより後方の部分とを1枚のパネル部材21により形成することは必須の要件ではなく、可動片21a,21bをそれぞれ独立のパネル部材とし、可動片21aをその後方の部分や可動片21bとテープなどにより連結して三者を一体化してもよい。または、独立のパネル部材による可動片21a,21bを互いに連結せず、可動片21aと後方部分とも連結せずに、可動片21a,21bを縁片10a,10bから完全に取り外せるようにしてもよい。可動片21aのみを後方部分に連結し、可動片21bを縁片10bから完全に取り外せるようにしてもよい。
可動片21bも必須の要素ではなく、可動片21bを設けずに、前面側の開口部20が普段から内天面の付近まで開口されるようにしても良い。
【0044】
可動片21a,21bを縁片10a,10bに離反可能に連結するための手段はネオジム磁石に限らず、マグネットテープや面ファスナーを使用することもできる。
【0045】
天部の前面側の横フレーム14の裏面には、テープ状のLED基板(図示せず。)が装着される。このLED基板への電源供給用のケーブル(図示せず。)は、矩形フレーム10Rの天部側の裏面や中央の横フレーム16の裏面に沿う状態にして支持されて排気ユニット4まで導かれ、排気ユニット4内の電源回路に接続される。排気ユニット4は、別の電源ケーブル(図示せず。)を介して外部電源に接続される。
【0046】
本体部100に入る整流板31,32は、いずれも、本体部100の内部空間の幅にほぼ等しい横幅を有する矩形状のパネル部材である。これらの整流板31,32も樹脂材料により製作される。
【0047】
整流板31の縦幅は支持フレーム11よりやや短く設定され、両側縁部には、支持フレーム11の内片11bのネジ穴h1,h1に対応する一対のネジ穴(図示せず。)が設けられている。整流板31は、両側縁部の各ネジ穴が対応する側の内片11bのネジ穴h1,h1に連通するようにして当該内片11bの前面に合わせられ、連通したネジ穴の組に挿入されたつまみネジ3によって、内片11bに着脱可能に連結される(
図3を参照。)。この連結によって、整流板31は、一方の主面を本体部100の前面の開口部に対向させると共に、後方に向かうほど底部に近づくように傾斜する姿勢をもって本体部100の内部に支持される。この支持により、整流板31の前端面は、本体部100の天部の横フレーム14よりやや後方の位置に向けられた状態になり、当該前端面と本体部100の内天面との間に所定量の間隙が生じる状態になる。
【0048】
整流板32では、縦幅が後方側の支持フレーム12よりやや短く設定されると共に、一方の長辺から縦幅方向の所定位置までの範囲の両側縁部に切り欠き(
図1に符号を省略して示す。)が設けられ、切り欠きがない範囲に支持フレーム12の内片12bのネジ穴h2,h2に対応する一対のネジ穴(図示せず。)が設けられている。
【0049】
整流板32は、切り欠きがある部分が上方に向けられ、両側縁部の各ネジ穴が対応する側の内片12bのネジ穴h2,h2に連通するようにして当該内片12bの前面に合わせられ、連通したネジ穴の組に挿入されたつまみネジ3によって内片12bに着脱可能に連結される(
図3を参照。)。この連結によって、整流板32も、一方の主面を本体部100の前面の開口部に対向させると共に、後方に向かうほど底部に近づくように傾斜する姿勢をもって本体部100の内部の所定の高さ範囲に支持される。この支持によって、整流板32の前端面と整流板31の後端面との間、整流板32の後端面と本体部100の内背面との間に、それぞれ所定量の間隙が生じる状態になる。
【0050】
整流板31,32の支持フレーム11,12への連結にも、つまみネジ3に代えて、ネオジム磁石やマグネットテープ,面ファスナーを用いることができる。
いずれの連結手段でも、整流板31,32はこれらを支持するフレーム11,12に着脱可能に連結されるので、整流板31,32が汚れた場合や破損した場合には、容易に取り替えることができる。また、本体部100の奥部を清掃したい場合も、整流板31,32,33を取り外して清掃作業を容易に行うことができる。
【0051】
上記構成の換気ブースの本体部100は、可動片21a,21bを矩形フレーム10L,10Rの縁片10a,10bに連結することによって、前方のみが開口された状態になる。このとき、本体部100の内部の空間は、各整流板31,32の開口部20を向く側の主面(以下、これらを「前面」とする。)や内天面および内背面の各々の一部分を含む空間(以下「前方空間」と言い、符号FSにより示す。)と、整流板31,32の背面や排気ユニット4への連通口を含む空間(以下「後方空間」と言い、符号BSにより示す。)とに分かれた状態になる。
【0052】
ただし、整流板31と本体部100の内天面との間、整流板32と本体部100の内背面との間、および各整流板31,32との間に、それぞれ間隙が設けられているので、前方空間FSと後方空間BSとが完全に分断されてしまうことはなく、それらの間隙を介して双方の空間の間に空気を流すことができる。
【0053】
上記の構成により、排気ユニット4の内部のファンを回転させると、後方空間BSの空気が外部に吸い出されて、後方空間BSが負の圧力による静圧室となる。すると、後方空間BSと前方空間FSとの間の圧力差によって、前方空間FSの空気が各間隙を通って後方空間BSに流れ、前方空間FSと本体部100の外部との間にも圧力差が生じて、前面の開口部から前方空間FSへと空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は整流板31,32の前面に当たった後に当該前面に沿って天部側および底部側の間隙や、整流板31と整流板32との間の間隙へと導かれ、さらにそれらの間隙から後方空間BSに流入する。新たに後方空間BSに入った空気も排気ユニット4を介して外部に排出され、後方空間BSの負圧が維持されるので、ファンが回転している間中、上記の空気の流れを持続させることができる。
【0054】
この実施例の各整流板31,32は、両側縁部が支持フレーム11,12の内片11b,12bの前面に支えられた状態で矩形フレーム10L,10Rに連結されているので、排気ユニット4のファンの回転により前方空間FSの空気が後方空間BSへと吸い込まれる状態になっても、各整流板31,32は内片11b,12bに押しつけられた状態となってそれぞれの姿勢や支持状態が保たれる。パネル部材21の可動片21a,21bも同様に、排気ユニット4のファンが回転している間はフレーム連結体1の縁片10a,10bに押しつけられた状態となって、縁片10a,10bに連結された状態が保たれる。
【0055】
上記の構成とその構成により生じる作用とによって、前方空間FSを作業空間として塗料の塗布や切削などの作業を行い、その作業により生じた臭気や粉塵等を上記の気流に乗せて排気ユニット4へと導き、外部に排出することができる。
【0056】
また、この実施例の換気ブースの本体部100は、前方空間FSが内背面にまで延びると共に奥行き方向の全体にわたって十分な高さを持つ空間となっているので、動作中に臭気や有害物質を発生させる装置(たとえば卓上型の3Dプリンター)を換気機能のある環境で動かす目的にも使用することができる。
【0057】
図4および
図5は、右側部のパネル部材23が外された上記換気ブースを支持フレーム13の付近より前方の範囲に限定して表した側面図によって、光造形方式の3Dプリンター200を前方空間FSに入れた事例を示すものである。また、
図5では、造形工程により製作された造形物Sを模式的に2点鎖線により表している。
【0058】
図示例の3Dプリンター200は、紫外線レーザ光源が収容された台部201の上面にレジンタンク202,造形物のプラットフォーム203を支持かつ上下動させる昇降機構204などが配備されると共に、それらの構成要素202,203,204を覆う大きさのカバー210が台部201に装着された構成のものである。
図4,5の例では、装置本体およびカバー210は前方空間FSの内部に収まっている。
【0059】
上記のカバー210は、紫外線カット樹脂を主材料とする半透明のカバーであって、レジンタンク202の中の液状レジンが外部からの紫外線により固まるのを防ぐために、3Dプリンター200が稼動している間は常時台部201に取り付けられている。これにより、台部201の上の各構成要素201,203,204はカバー210の内部に収容され、レジンから生じる臭気や有害物質を含むガスの拡散も抑制される。それでも装置が長時間稼動している間にカバー210と台部201との隙間から漏れた臭気やガスが室内に充満し、人体に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0060】
しかし、
図4に示すように、ケース210が被せられた状態の3Dプリンター200を換気ブースの前方空間FSに入れ、可動片21a,21bをフレーム連結体1の縁片10a,10bに装着することによって本体部100を前面のみが開口された状態とし、3Dプリンター200が稼動している間中、排気ユニット4を動かせば、前方空間FSに漏れ出した臭気や有害物質を後方空間BSおよび排気ユニット4を通過させて、速やかに外部に排出することができ、臭気や有害物質が室内に拡散するのを防ぐことができる。
【0061】
造形工程が終了して造形物Sを取り出す際には、
図5に示すように、可動片21a,21bを縁片10a,10bから外して天部の横フレーム14の前端縁付近までが開口された状態にすることによって、カバー210を持ち上げて台部201から取り外し、そのまま上方に移動させて天部の開口部分から取り出すことができる。造形物Sも、大きく開いた前面から容易に取り出すことができる。
【0062】
カバー210が取り外された3Dプリンター200に再びカバー210を取りつける場合も、3Dプリンター200を前方空間FSに収容したまま、天部の開口部分からカバー210を降ろして台部201に装着することによって、取り付け作業を完了させることができる。
【0063】
よって、精密機械である3Dプリンター200を換気ブースの本体部100の前方空間FSの内部という一定の場所に配置したまま、造形工程を繰り返すことができ、その間の換気も万全に行うことができる。
【0064】
3Dプリンター200により製作された造形物を洗浄するための洗浄機や2次硬化用の硬化機も、稼動中に臭気や有害物質を発生させるので、上記構成の換気ブースに入れて換気をしながら動かすのが望ましい。これらの装置の本体にも
図4,5の例と同様の上から被せるタイプのケースが取り付けられているが、これらのケースの取り外しや取り付けも、3Dプリンター200の例と同様の方法で容易に行うことができる。
【0065】
3Dプリンター200や洗浄機、硬化機などの機械装置を動かす間の換気に上記の換気ブースを使用するには、勿論、これらの装置が前方空間FSに入る大きさでなければならない。しかし、必ずしも装置本体の全体が入る必要はなく、奥行き方向の半分程度までが前面の開口部20から突出しても、換気の効果を確保することができる。前述したように、排気ユニット4のファンが回転して前方空間FSから静圧室となる後方空間BSへと空気が流れる状態が続いている間は、本体部100の前方の空気も開口部20から前方空間FSに向かう方向に動き、開口部20の前方にはみ出た部分から漏れ出た臭気や有害物質も上記の空気と共に本体部100に吸い込まれて外部に排出されるからである。
【0066】
ケースが被せられているタイプが少ないFDM方式の3Dプリンターも、上記構成の換気ブースの前方空間FSに入れて換気をしながら稼動させることによって、樹脂フィラメントが溶ける際に生じる臭気が室内に拡散するのを防ぐことができる。また、この種の3Dプリンターが前方空間FSには入るが前面の開口部20より高いために開口部20を通過させることができない場合でも、可動片21a,21bを縁片10a,10bから外して開口部20を天部の中間位置まで拡張することによって、難なく前方空間FSに装置を入れることができる。
【0067】
従来からの塗装や切削の作業においても、作業対象の物品の前方空間FSの高さ方向に占める割合が大きいと、当該物品を本体部100に入れることや取り出すことが困難になる場合がある。そのような場合にも、上記構成の換気ブースによれば、可動片21a,21bをフレーム連結体1から離して開口部20を天部の中間位置まで拡張することによって、対象物品の出し入れを容易に行うことができる。したがって、3Dプリンター等の機械装置を収容できる高さを有さない換気ブースにも、上記実施例と同様の可動片21a,21bを設けることに意義がある。
【0068】
いずれの場合でも、前方空間FSからの物品(ケース)の取り出しの方向は、
図5に示したような真上方向に限らず、斜め上方に向けて物品を引き出すこともできる。前方空間FSに物品を入れる場合も同様に、本体部100の前面の上方から斜め下方向に向かって物品を降ろしてゆくことができる。
【0069】
上記実施例の換気ブースは、フレーム連結体1を構成する各種フレーム部材10L,10R,14~17,パネル部材21~25,整流板31,32,排気ユニット4,連結用のネジなどを含む組み立て用キットを用いて、エンドユーザ自身が組み立て作業を行うことによって、エンドユーザに提供することが可能である。この組み立て作業において、矩形フレーム10L,10Rを天部側で連結する3つの横フレーム14,15,16のうちの最前方のフレーム14を、
図2に示した位置に連結し、天部に装着されるパネル部材21に切り込みを入れる作業やネオジム磁石を埋め込む作業を行って、パネル部材21の横フレーム14より前の部分が可動片21a,21bとして機能する状態にすれば、天部を開口可能にしてその開口部を前面側の開口部20に連ねて前方空間FSを大きく開放できる形態の本体部100を得ることができる。
【0070】
本体部100の天部を開放する必要がない場合は、最前方の横フレーム14を各矩形フレーム10L,10Rの縁片10aの前端部のネジ穴h13に合わせて、その位置で縁片10aに連結し、パネル部材21を、切り込み等の加工を加えずに、両側部の全体を両面テープや接着剤等により縁片10a,10bに連結すればよい。
【0071】
上記のとおり、横フレーム14の連結位置を変更することによって、天部が開放されるタイプの換気ブースを製作することも、天部が開放されない従来型の換気ブースを製作することもできる。どちらかのタイプの換気ブースを組み立てた後でも、横フレーム14の連結位置の変更とパネル部材21の取り替えによって、他方のタイプの換気ブースに変更することができる。
【0072】
その他、考えられる変形例について、簡単に説明する。
上記の実施例では、天部の縁片10aの整流板32の上端面が向けられている場所より前方の位置から前端縁までの範囲に可動片21aを取り付けたが、可動片21aの範囲はこれに限るものではない。たとえば、横フレーム14の縁片10aへの連結位置を整流板31の上端面の上方位置またはそれよりやや後方になる位置に変更し、これに合わせて可動片21aの範囲もより後方に広げることができる。
【0073】
上記の実施例で排気ユニット4を取り付ける場所は本体部100の天面に限るものではない。フレーム連結体1の天部のパネル部材21を貫通穴やネジ穴のないものに変更し、両側部の矩形フレーム10L,10Rの一方に装着されるパネル部材を、排気ユニット4の吸引口に連通させる貫通穴や連結用のネジ穴を有するものに変更し、このパネル部材を、各ネジ穴を縦フレーム13および辺部10eのネジ穴h11に合わせて矩形フレーム10Lまたは10Rに装着することによって、左または右の側面に排気ユニット4を取り付けることも可能である。その場合には、天部の可動片21aの範囲をより一層広げて、たとえば前端縁から横フレーム16の付近までの範囲を可動片21aとすることもできる。またフレーム部材21の全体をネオジム磁石等により縁片10a,10bに着脱可能に連結することによって、本体部100の天面の枠の内部全体を開口できる構成にすることもできる。
【0074】
フレーム連結体1の背面側の枠に、左または右の縁片10cに対して横フレーム15,16の間の距離と同等の長さだけ離れるようにして、縦フレーム13と同形状のフレームを連結すれば、排気ユニット4を本体部100の背面に支持することも可能になる。この場合にも、本体部100の前端縁から横フレーム16の付近までの範囲を開口可能にすることや、天面の枠の内部全体を開口可能として、その開口部を前面の開口部20に連ねることができる。
【0075】
換気ブースの本体部の内部に支持される整流板は、1枚のみであってもよい。また、整流板の主面を後方に向かうにつれて底部に近づくように傾斜させることも必須ではなく、主面を垂直方向に沿わせた姿勢にした整流板を、本体部の奥行き方向の中間位置に配置してもよい。
【0076】
換気ブースの本体部も上記実施例の構成に限らず、全体が金属材料により形成された箱体や、複数の木製パネルを箱型になるように連結したものを本体部としてもよい。これらの構成の本体部でも、たとえば、天部のうちの整流板の上端面が向けられる場所の近傍の所定位置から前端縁までの範囲を、ヒンジ機構等を介して後方部分に回動可能に連結、または止め金具を介して本体部の両側部に着脱可能に連結しておくことによって、当該範囲を必要に応じて開口して前面側の開口部に連ねることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 フレーム連結体
4 排気ユニット
10L,10R 矩形フレーム
10a,10b 縁片
20 開口部
21~25 パネル部材
21a,21b 可動片
31,32 整流板
100 本体部