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  • 特開-筐体及びカバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176944
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】筐体及びカバー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/271 20210101AFI20241212BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20241212BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20241212BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20241212BHJP
   H01H 85/02 20060101ALI20241212BHJP
   H01M 50/278 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M50/271 S
H02G3/14
H02G3/16
H05K5/03 A
H01H85/02 Z
H01M50/278
H01M50/583
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095840
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 真
(72)【発明者】
【氏名】内山 綾
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
5G502
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360BA03
4E360BA04
4E360BB02
4E360BB12
4E360BC06
4E360BC07
4E360BD03
4E360BD05
4E360ED03
4E360ED28
4E360GA53
4E360GB95
5G361AC02
5G361AC03
5G361AC05
5G361AD01
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
5G502FF08
5H040AA03
5H040AY08
5H040LL06
5H043AA19
5H043GA03
5H043KA22
(57)【要約】
【課題】カバーの閉動作が容易となり、カバーが外れるのを抑制できる筐体及びカバーを提供する。
【解決手段】ヒューズカバー4が、バッテリ2に取り付けたヒューズユニット3を覆う。ヒューズカバー4は、バッテリ2を覆うカバー本体421及びカバー本体421からバッテリ2に向かって立設し、先端面がバッテリ2と接触する保護壁422、を有する。保護壁422が、可塑性の発砲体から構成される。保護壁422には、中空部422Aが設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体本体と、
前記筐体本体を覆うカバー本体、及び、前記カバー本体から前記筐体本体に向かって立設し、先端面が前記筐体本体と接触する保護壁、を有するカバーと、を備え、
前記保護壁が、弾性部材から構成された
筐体であって、
前記保護壁には、中空部が設けられている、
筐体。
【請求項2】
請求項1に記載の筐体において、
前記中空部は、前記保護壁の立設方向に貫通して設けられ、前記保護壁の幅方向に沿って複数並べて設けられた、
筐体。
【請求項3】
請求項1に記載の筐体において、
前記筐体本体は、バッテリであり、前記筐体本体から前記バッテリの電極が突設され、
前記電極に取り付けられるヒューズユニットをさらに備え、
前記カバーは、前記ヒューズユニットを覆う、
筐体。
【請求項4】
筐体本体を覆うカバー本体と、
前記カバー本体から前記筐体本体に向かって立設し、先端面が前記筐体本体と接触する保護壁と、を備え、
前記保護壁が、弾性部材から構成された、
カバーであって、
前記保護壁には、中空部が設けられている、
カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体及びカバー、に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体に設けられたカバーとしては、筐体本体を覆うカバー本体と、カバー本体から立設する保護壁と、を備え、保護壁の先端面が筐体本体と接触しているものがある。また、この保護壁を発砲体で構成するものも提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-7688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカバーは、筐体本体に取り付ける際に発砲体から構成される保護壁が圧縮され、保護壁からの反発力(復元力)が発生する。その反発力によって、カバーの閉作業に力を要し、閉作業を容易に行うことができない。また、カバーを閉じた後では、反発力が恒常的に作用するため、カバーが外れやすくなる、という課題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバーの閉動作が容易となり、カバーが外れるのを抑制できる筐体及びカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る筐体は、下記を特徴としている。
筐体本体と、
前記筐体本体を覆うカバー本体、及び、前記カバー本体から前記筐体本体に向かって立設し、先端面が前記筐体本体と接触する保護壁、を有するカバーと、を備え、
前記保護壁が、弾性部材から構成された
筐体であって、
前記保護壁には、中空部が設けられている、
筐体であること。
【0007】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係るカバーは、下記を特徴としている。
筐体本体を覆うカバー本体と、
前記カバー本体から前記筐体本体に向かって立設し、先端面が前記筐体本体と接触する保護壁と、を備え、
前記保護壁が、弾性部材から構成された、
カバーであって、
前記保護壁には、中空部が設けられている、
カバーであること。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る筐体及びカバーによれば、カバーの取付動作が容易となり、カバー取付後にカバーが外れるのを抑制できるとの効果を奏する。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の筐体としてのバッテリユニットの一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すバッテリユニットの分解斜視図である。
図3図3は、図1に示すバッテリユニットを構成するヒューズカバーの斜視図である。
図4図4は、図3に示すヒューズカバーを構成する保護壁の斜視図である。
図5図5は、図3に示す保護壁の上面図である。
図6図6は、図1の部分前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
以下、説明の便宜上、図1図6に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、上下方向は、本発明の「立設方向」に対応する。
【0013】
図1及び図2に示すように、筐体としてのバッテリユニット1は、バッテリ2(筐体本体)と、ヒューズユニット3(図2)と、ヒューズカバー4(カバー)と、を備えている。図2に示すように、バッテリ2は、バッテリ筐体21と、バッテリカバー22と、電極23と、を有している。バッテリ筐体21には、複数の電池セルが収容されている。バッテリ筐体21には、有底四角筒状に設けられ、上方に開口が設けられている。
【0014】
バッテリカバー22は、バッテリ筐体21の上方開口を塞ぐようにバッテリ筐体21に取り付けられている。バッテリカバー22は、バッテリ筐体21の上方開口を覆うバッテリカバー本体221と、バッテリカバー本体221の周縁から下側に向かって立設し、バッテリ筐体21の上方開口縁部を外側から覆う立壁222と、を有している。バッテリカバー本体221は、右後の隅と、左後の隅と、にそれぞれ下側に向かって窪む凹部221A,221Aが設けられている。凹部221Aは、上面視矩形状に設けられている。
【0015】
電極23は、複数の電池セルに接続されている。電極23は、バッテリカバー22の凹部221Aの底面から上方に向かって突設されている。本実施形態では、プラス側の電極23は、右側の凹部221Aから突設されている。なお、図1及び図2においては、マイナス側の電極は図示を省略している。
【0016】
ヒューズユニット3は、図2に示すように、電極23に接続されるバッテリ端子31と、バッテリ端子31に接続されるヒューズ32と、ヒューズ32に接続されるワイヤハーネス33と、を有している。バッテリ端子31は、電極23を挿通可能な孔部を有し、ボルト34を締め付けることにより、孔部の径が縮径される。これにより、バッテリ端子31がバッテリ2に電気的に接続されつつ、機械的に固定される。ヒューズ32は、一端がボルト35によってバッテリ端子31に接続され、他端がボルト36によってワイヤハーネス33の端部に取り付けられたLA端子37に接続される。
【0017】
LA端子37は、バッテリ2の上面に沿って設けられ、ボルト36によってヒューズ32と接続されるヒューズ接続部371と、バッテリ2の後面に沿って設けられ、ワイヤハーネス33と接続されるハーネス接続部372と、を有し、略L字状に設けられている。ワイヤハーネス33は、バッテリ2の後面に沿って下側に引き出される。
【0018】
ヒューズカバー4は、バッテリ2の凹部221A及びバッテリ2に固定されたヒューズユニット3を覆うように取り付けられる。ヒューズカバー4は、第1カバー部41と、第2カバー部42と、ヒンジ43と、を備えている。第1カバー部41は、LA端子37を覆い、ヒューズユニット3に係止される。第2カバー部42は、電極23、バッテリ端子31及びヒューズ32を覆い、ヒューズユニット3に係止される。
【0019】
ヒンジ43は、第2カバー部42を左右方向に沿った軸回りに回転自在に第1カバー部41に支持させる。第2カバー部42の前端を上に向けて回転させて、第2カバー部42を開くと、バッテリ端子31及びヒューズ32が視認できる。第2カバー部42の前端を下側に向けて回転させて、第2カバー部42を閉じると、第2カバー部42が電極23、バッテリ端子31及びヒューズ32を覆う。第2カバー部42は、閉じた位置において、ヒューズユニット3に係止される。
【0020】
第2カバー部42は、図3に示すように、電極23、バッテリ端子31及びヒューズ32を覆うカバー本体421と、カバー本体421からバッテリ2に向かって立設された保護壁422,423と、を有している。カバー本体421は、凹部221Aより左右方向の幅が長い矩形状に設けられている。
【0021】
保護壁422は、カバー本体421の左端及び前端から立設し、図4及び図5に示すように、略L字状に設けられている。保護壁422は、図6に示すように、ヒューズカバー4が閉じた位置にあるときその下端面(先端面)がバッテリカバー22の凹部221Aの周縁にある凸部221Bに当接する。保護壁422は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)材などの可塑性の発砲体(弾性部材)から構成されている。
【0022】
図4及び図5に示すように、保護壁422には、複数の中空部422Aが設けられている。本実施形態では、複数の中空部422Aは、上下方向に貫通して設けられている。そして、複数の中空部422Aは、保護壁422の幅方向に沿って複数並んで設けられている。詳しく説明すると、保護壁422においてカバー本体421の左端から立設する部分では、前後方向が保護壁422の幅方向となり、中空部422Aは前後方向に沿って並べて設けられている。保護壁422においてカバー本体421の前端から立設する部分では、左右方向が保護壁422の幅方向となり、中空部422Aは左右方向に沿って並べて設けられている。
【0023】
保護壁423は、カバー本体421の右端から立設している。図6に示すように、ヒューズカバー4が閉じた位置にあるとき保護壁423は、バッテリ2の立壁222よりも外側に位置する。保護壁423の可端面は、バッテリ2には接触していない。
【0024】
上述したヒューズカバー4は、保護壁422のみが発砲体により構成され、その他の部分はPP(ポリプロピレン)材などの樹脂材から構成されている。即ち、第1カバー部41は樹脂により一体成形されている。第2カバー部42は、保護壁422以外の部分(カバー本体421及び保護壁423)が樹脂により一体成形され、発砲体により構成された保護壁422が後から取り付けられる。
【0025】
上述したヒューズカバー4によれば、保護壁422が可塑性の発砲体から構成されている。これにより、保護壁422を上下方向に圧縮自在とすることができる。ヒューズカバー4やヒューズユニット3の寸法ばらつきや、ヒューズユニット3のバッテリ2への組付けばらつきがあると、ヒューズカバー4を閉じた位置で係止したときカバー本体421の上下方向の位置にばらつきが生じる。このように、カバー本体421の上下方向の位置にばらつきがあったとしても、保護壁422が上下方向に圧縮することでそのばらつきを吸収し、保護壁422の下端面がバッテリカバー22に当接して、バッテリ端子31及びヒューズ32を保護することができる。
【0026】
ヒューズカバー4が閉位置にあるとき保護壁422は圧縮した状態となるため、閉位置から開位置に戻ろうとする反発力が生じる。このため、背景技術でも説明したように、ヒューズカバー4の閉動作に力を要し、閉作業を容易に行うことができない。また、カバーが外れやすくなる。
【0027】
本実施形態のヒューズカバー4によれば、可塑性の発砲体から構成された保護壁422に中空部422Aが設けられている。中空部422Aを設けることにより、保護壁422の圧縮時に保護壁422の体積が減少するため、反発力を低減することができる。このため、ヒューズカバー4の閉動作が容易となり、ヒューズカバー4が外れるのを抑制できる。
【0028】
また、上述した実施形態によれば、中空部422Aは、保護壁422の上下方向に貫通して設けられ、保護壁422の幅方向に沿って複数並べて設けられている。これにより、より一層、保護壁422の圧縮時に反発力を低減することができる。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0030】
上述した実施形態では、保護壁422を発砲体から構成していたがこれに限ったものではない。保護壁422は、弾性部材から構成されていればよく、発砲体でなくてもよい。
【0031】
上述した実施形態では、中空部422Aは、上下方向に貫通して設けられていたが、これに限ったものではない。中空部422Aは、上下方向の一方又は両方が塞がれていてもよい。
【0032】
ここで、上述した本発明に係る筐体及びカバーの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0033】
[1]
筐体本体(2)と、
前記筐体本体(2)を覆うカバー本体(421)及び前記カバー本体(421)から前記筐体本体(2)に向かって立設し、先端面が前記筐体本体(2)と接触する保護壁(422)、を有するカバー(4)と、を備え、
前記保護壁(422)が、弾性部材から構成された
筐体(1)であって、
前記保護壁(422)には、中空部が設けられている、
筐体(1)。
【0034】
上記[1]の構成の筐体(1)によれば、中空部(422A)を設けることにより、保護壁(422)の圧縮時に保護壁(422)の体積が減少するため、反発力を低減することができる。このため、カバー(4)の閉動作が容易となり、カバー(4)が外れるのを抑制できる。
【0035】
[2]
[1]に記載の筐体(1)において、
前記中空部(422A)は、前記保護壁(422)の立設方向(上下方向)に貫通して設けられ、前記保護壁(422)の幅方向(前後方向又は左右方向)に沿って複数並べて設けられた、
筐体(1)。
【0036】
上記[2]の構成の筐体(1)によれば、より一層、保護壁(422)の圧縮時に反発力を低減することができる。
【0037】
[3]
[1]に記載の筐体(1)において、
前記筐体本体(2)は、バッテリであり、前記筐体本体(2)から前記バッテリの電極(23)が突設され、
前記電極(23)に取り付けられるヒューズユニット(3)をさらに備え、
前記カバー(4)は、前記ヒューズユニット(3)を覆う、
筐体(1)。
【0038】
上記(3)の構成の筐体(1)によれば、カバー(4)によりヒューズユニット(3)を保護することができる。
【0039】
[4]
筐体本体(2)を覆うカバー本体(421)と、
前記カバー本体(421)から前記筐体本体(2)に向かって立設し、先端面が前記筐体本体(2)と接触する保護壁(422)と、を備え、
前記保護壁(422)が、弾性部材から構成された、
カバー(4)であって、
前記保護壁(422)には、中空部(422A)が設けられている、
カバー(4)。
【0040】
上記(4)の構成のカバー(4)によれば、中空部(422A)を設けることにより、保護壁(422)の圧縮時に保護壁(422)の体積が減少するため、反発力を低減することができる。このため、カバー(4)の閉動作が容易となり、カバー(4)が外れるのを抑制できる。
【符号の説明】
【0041】
1 バッテリユニット(筐体)
2 バッテリ(筐体本体)
3 ヒューズユニット
4 ヒューズカバー(カバー)
23 電極
421 カバー本体
422 保護壁
422A 中空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6