(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176946
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】事故点撮影システムおよび事故点撮影方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20241212BHJP
G01R 31/08 20200101ALI20241212BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20241212BHJP
G05D 1/00 20240101ALI20241212BHJP
H02G 1/02 20060101ALN20241212BHJP
B64U 101/30 20230101ALN20241212BHJP
B64U 101/26 20230101ALN20241212BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
G01R31/08
B64U20/87
G05D1/00 Z
H02G1/02
B64U101:30
B64U101:26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095845
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】越智 崇氏
(72)【発明者】
【氏名】森 忠義
(72)【発明者】
【氏名】藤井 信久
(72)【発明者】
【氏名】山田 正明
(72)【発明者】
【氏名】高垣 英基
【テーマコード(参考)】
2G033
5G064
5G352
5H301
【Fターム(参考)】
2G033AA02
2G033AB01
2G033AC06
2G033AD04
2G033AD21
2G033AE01
5G064BA09
5G064CB19
5G064DA03
5G352AA01
5G352AM02
5G352AM05
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC10
5H301FF11
5H301GG09
5H301HH01
5H301HH02
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK04
5H301KK08
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】送電線事故の原因などに応じて事故点の適切な撮影ポイントを撮影することが可能な事故点撮影システムおよび事故点撮影方法を提供する。
【解決手段】事故点撮影システム1は、送電線事故が発生すると、事故点標定装置10により事故点の位置を標定し、オシロサーバ20により送電線130の電流波形データおよび電圧波形データに基づいて事故回線相および事故原因を特定し、撮影制御装置30により事故点情報、事故回線相情報、事故原因情報および設備データに基づいて事故点の撮影ポイントを決定し、無人飛行体40を撮影ポイントまで飛行させて撮影し、画像データを撮影制御装置30に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電線に発生した事故の事故点を撮影するための事故点撮影システムであって、
前記事故点の位置を標定し、前記事故点の位置を示す事故点情報を出力する事故点標定装置と、
前記送電線に流れる電気の電流波形および電圧波形を計測するオシロ装置から前記電流波形および前記電圧波形の波形データを収集し、収集した前記波形データに基づいて、事故が発生した前記送電線の回線相である事故回線相と、事故原因とを特定し、前記事故回線相に関する事故回線相情報と、前記事故原因に関する事故原因情報とを出力するオシロサーバと、
前記送電線を含む送電設備に関する設備データを記憶する設備データ記憶手段と、
撮影手段を搭載した無人飛行体と、
前記事故点標定装置と、前記オシロサーバと、前記設備データ記憶手段と、前記無人飛行体と通信を行なう撮影制御装置と、を備え、
前記撮影制御装置は、
前記送電線に事故が発生すると、前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報とを受信し、
受信した前記事故点情報、前記事故回線相情報および前記事故原因情報と、前記設備データ記憶手段から取得した前記設備データとに基づいて、前記事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定し、
前記事故点情報と、前記撮影ポイントに関する撮影ポイント情報とを含む撮影制御情報を前記無人飛行体に送信し、
前記無人飛行体は、
前記撮影制御情報に基づいて前記事故点まで飛行し、
前記撮影ポイント情報に基づいて前記撮影ポイントまで飛行して、前記撮影手段により前記撮影ポイントを撮影し、
撮影した画像データを前記撮影制御装置へ送信する、
ことを特徴とする事故点撮影システム。
【請求項2】
前記撮影制御装置は、
過去の送電線事故に関する前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報と、前記設備データと、
前記過去の送電線事故の前記事故点情報、前記事故回線相情報、前記事故原因情報および前記設備データに基づいて決定された前記撮影ポイントと、を教師データとし、
新たに発生した送電線事故に関する前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報と、前記設備データとが入力されると、当該送電線事故の事故点の前記撮影ポイントを出力するように機械学習された学習済みモデルを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の事故点撮影システム。
【請求項3】
送電線に発生した事故の事故点を撮影するための事故点撮影方法であって、
前記送電線に事故が発生すると、前記事故点の位置を標定する事故点標定装置から前記事故点の位置を示す事故点情報を出力し、
前記送電線に流れる電気の電流波形および電圧波形を計測するオシロ装置から前記電流波形および前記電圧波形の波形データを収集するオシロサーバにより、前記波形データに基づいて、事故が発生した前記送電線の回線相である事故回線相と、事故原因とを特定し、前記事故回線相に関する事故回線相情報と、前記事故原因に関する事故原因情報とを出力し、
前記事故点標定装置および前記オシロサーバと通信を行なう撮影制御装置により、前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報とを受信し、
前記送電線を含む送電設備に関する設備データを記憶する設備データ記憶手段から前記設備データを取得し、
受信した前記事故点情報、前記事故回線相情報および前記事故原因情報と、前記設備データ記憶手段から取得した前記設備データとに基づいて、前記事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定し、
前記事故点情報と、前記撮影ポイントに関する撮影ポイント情報とを含む撮影制御情報を、撮影手段を搭載した無人飛行体に送信し、
前記無人飛行体は、前記撮影制御情報に基づいて前記事故点まで飛行し、前記撮影ポイント情報に基づいて前記撮影ポイントまで飛行して、前記撮影手段により前記撮影ポイントを撮影し、撮影した画像データを前記撮影制御装置へ送信する、
ことを特徴とする事故点撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送電線に発生した事故の事故点を撮影するための事故点撮影システムおよび事故点撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線に地絡事故や短絡事故が発生すると、電力事業者は、事故の発生箇所(以下、事故点という)の状況確認をするために現地へ担当者を派遣し、被害の状況を確認している。担当者は、現地巡視を行なう際に事故点について撮影を行い、撮影データを制御所などに送信する。これにより、制御所などでは、事故点の状況を迅速に把握して対応策を検討することが可能である。
【0003】
しかし、送電線には山間部や海峡横断部を通るものがある。送電線の事故点が山間部や海峡横断部の送電線である場合、担当者が現地に到着するまでに時間を要するため、事故様相の把握が遅くなってしまうという問題がある。その解決策として、無人飛行体(いわゆる、ドローン)を飛行させ、無人飛行体に搭載したカメラにより事故点の撮影を行なう点検システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の点検システムは、送電線に事故が発生すると、事故点標定装置によって事故点の位置を標定し、OPGW(光ファイバ複合架空地線)に沿うような事故点への飛行経路を生成し、鉄塔に設置した無線装置を経て無人飛行体に飛行経路を送信して飛行させることで、無人飛行体を事故点まで到達させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
送電線に発生する事故には、例えば、雷撃による地絡、鳥獣類の接触や営巣による短絡、樹木やクレーンなどの接触による短絡など様々な原因があり、事故原因によって事故点として撮影すべき撮影ポイントが異なる。しかしながら、特許文献1に記載の点検装置では、事故原因に応じて必要な撮影ポイントを撮影することはできないため、撮影された画像データから事故様相を的確に把握し、対応策を検討することが難しい場合があった。
【0007】
そこでこの発明は、送電線事故の原因などに応じて事故点の適切な撮影ポイントを撮影することが可能な事故点撮影システムおよび事故点撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、送電線に発生した事故の事故点を撮影するための事故点撮影システムであって、前記事故点の位置を標定し、前記事故点の位置を示す事故点情報を出力する事故点標定装置と、前記送電線に流れる電気の電流波形および電圧波形を計測するオシロ装置から前記電流波形および前記電圧波形の波形データを収集し、収集した前記波形データに基づいて、事故が発生した前記送電線の回線相である事故回線相と、事故原因とを特定し、前記事故回線相に関する事故回線相情報と、前記事故原因に関する事故原因情報とを出力するオシロサーバと、前記送電線を含む送電設備に関する設備データを記憶する設備データ記憶手段と、撮影手段を搭載した無人飛行体と、前記事故点標定装置と、前記オシロサーバと、前記設備データ記憶手段と、前記無人飛行体と通信を行なう撮影制御装置と、を備え、前記撮影制御装置は、前記送電線に事故が発生すると、前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報とを受信し、受信した前記事故点情報、前記事故回線相情報および前記事故原因情報と、前記設備データ記憶手段から取得した前記設備データとに基づいて、前記事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定し、前記事故点情報と、前記撮影ポイントに関する撮影ポイント情報とを含む撮影制御情報を前記無人飛行体に送信し、前記無人飛行体は、前記撮影制御情報に基づいて前記事故点まで飛行し、前記撮影ポイント情報に基づいて前記撮影ポイントまで飛行して、前記撮影手段により前記撮影ポイントを撮影し、撮影した画像データを前記撮影制御装置へ送信する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の事故点撮影システムにおいて、前記撮影制御装置は、過去の送電線事故に関する前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報と、前記設備データと、前記過去の送電線事故の前記事故点情報、前記事故回線相情報、前記事故原因情報および前記設備データに基づいて決定された前記撮影ポイントと、を教師データとし、新たに発生した送電線事故に関する前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報と、前記設備データとが入力されると、当該送電線事故の事故点の前記撮影ポイントを出力するように機械学習された学習済みモデルを備える、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、送電線に発生した事故の事故点を撮影するための事故点撮影方法であって、前記送電線に事故が発生すると、前記事故点の位置を標定する事故点標定装置から前記事故点の位置を示す事故点情報を出力し、前記送電線に流れる電気の電流波形および電圧波形を計測するオシロ装置から前記電流波形および前記電圧波形の波形データを収集するオシロサーバにより、前記波形データに基づいて、事故が発生した前記送電線の回線相である事故回線相と、事故原因とを特定し、前記事故回線相に関する事故回線相情報と、前記事故原因に関する事故原因情報とを出力し、前記事故点標定装置および前記オシロサーバと通信を行なう撮影制御装置により、前記事故点情報と、前記事故回線相情報と、前記事故原因情報とを受信し、前記送電線を含む送電設備に関する設備データを記憶する設備データ記憶手段から前記設備データを取得し、受信した前記事故点情報、前記事故回線相情報および前記事故原因情報と、前記設備データ記憶手段から取得した前記設備データとに基づいて、前記事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定し、前記事故点情報と、前記撮影ポイントに関する撮影ポイント情報とを含む撮影制御情報を、撮影手段を搭載した無人飛行体に送信し、前記無人飛行体は、前記撮影制御情報に基づいて前記事故点まで飛行し、前記撮影ポイント情報に基づいて前記撮影ポイントまで飛行して、前記撮影手段により前記撮影ポイントを撮影し、撮影した画像データを前記撮影制御装置へ送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1および請求項3の発明によれば、送電線に事故が発生すると、事故点の位置を標定し、送電線の電流波形データおよび電圧波形データに基づいて事故回線相および事故原因を特定し、事故点情報と、事故回線相情報と、事故原因情報と、設備データとに基づいて事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定し、無人飛行体を事故点および撮影ポイントまで飛行させて撮影ポイントを撮影するので、送電線事故の原因などに応じて事故点の適切な撮影ポイントを迅速に撮影することが可能である。また、撮影した撮影ポイントの画像データは、無人飛行体から撮影制御装置に送信されるので、すぐに事故点の状況を確認して対応策の検討を行なうことが可能であり、送電線事故による停電などを早期に復旧することが可能である。
【0012】
請求項2の発明によれば、過去の送電線事故に関する情報を教師データとして機械学習された学習済みモデルを利用して、新たに発生した送電線事故の事故点の撮影ポイントを決定するので、撮影すべき撮影ポイントを精度よく決定することができ、送電線事故による停電などを早期に復旧することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施の形態に係る事故点撮影システムと、送電設備の構成を示す概要図である。
【
図2】
図1に示すオシロサーバの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】オシロサーバによる雷撃の事故回線相および事故原因の特定に用いられる波形データを示す図である。
【
図4】オシロサーバによる鳥獣害の事故回線相および事故原因の特定に用いられる波形データを示す図である。
【
図5】オシロサーバによる樹木接触の事故回線相および事故原因の特定に用いられる波形データを示す図である。
【
図6】オシロサーバによるクレーン接触の事故回線相および事故原因の特定に用いられる波形データを示す図である。
【
図7】
図1に示す撮影制御装置および無人飛行体の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】
図7に示す設備データベースの変電所データの一例を示す図である。
【
図9】
図7に示す設備データベースの送電線データの一例を示す図である。
【
図10】
図7に示す設備データベースの鉄塔データの一例を示す図である。
【
図11】
図7に示す設備データベースの径間データの一例を示す図である。
【
図12】
図7に示す学習済みモデルの概要を示す図である。
【
図13】
図12に示す学習済みモデルにより決定される撮影ポイントの一例を示す図である。
【
図14】事故点の撮影ポイントを撮影する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、この実施の形態による事故点撮影システム1は、図示するような送電設備に用いられている。ここで、
図1の送電設備について簡単に説明する。
【0016】
送電設備の鉄塔1101、1102、1103を含む鉄塔は、間隔を空けて設置されている。この実施の形態では、鉄塔1101の名称を「BA1番鉄塔」とし、鉄塔1102の名称を「BA2番鉄塔」とし、鉄塔1103の名称を「BA3番鉄塔」とする。鉄塔1101、1102、1103は、送電線130を支持している。
【0017】
送電線130は、例えば、三相3線式であり、赤相送電線(第1相)Rと、白相送電線(第2相)Wと、青相送電線(第3相)Bの3本からなる。赤相送電線Rと、白相送電線Wと、青相送電線Bは、上下方向に沿って並ぶように、鉄塔1101、1102、1103の3本の腕金にそれぞれ支持されている。
【0018】
また、送電線130は、各相のインダクタンスや静電容量の不平衡を解消するために、鉄塔間で各相の上下の位置関係を変更する捻架がされている。例えば、送電線130は、鉄塔1101と鉄塔1102の間では、上から順に赤相送電線Rと、白相送電線Wと、青相送電線Bとが架線され、鉄塔1102と鉄塔1103の間では、上から順に白相送電線Wと、青相送電線Bと、赤相送電線Rとが架線されている。
【0019】
さらに、配電線130は、例えば、鉄塔1101、1102、1103の左側の腕金に保持された1回線分の赤相送電線Rと、白相送電線Wと、青相送電線Bと、右側の腕金に保持された1回線分の赤相送電線Rと、白相送電線Wと、青相送電線Bとの2回線からなる。以下では、送電線130の名称を「BA線」とし、BA線の第1回線の名称を「BA-L1線」とし、第2回線の名称を「BA-L2線」とする。
【0020】
送電線130は電気所である変電所A1に引き込まれ、この実施の形態では、送電線130には変電所A1から高電圧が加えられている。
なお、
図1では、鉄塔110
1、110
2、110
3は送電設備の中の鉄塔の一部を表したものである。
【0021】
こうした送電設備に対して本実施の形態の事故点撮影システム1が利用される。事故点撮影システム1は、
図1に示す事故点標定装置10と、オシロサーバ20と、撮影制御装置30と、無人飛行体40とを備えている。事故点標定装置10と、オシロサーバ20と、撮影制御装置30は、電力事業者の社内通信網や、インターネット、携帯電話通信網などの公衆通信網などからなる通信網NWを介して相互に通信可能に接続されている。また、撮影制御装置30と、無人飛行体40は、無線通信によって相互に通信可能に接続されている。
【0022】
事故点標定装置10は、電気所に設置されており、送電設備に発生した事故の発生点である事故点の位置を標定する。本実施の形態では、例えば、サージ受信方式の事故点標定装置10を用いている。例えば、送電線130に落雷が発生したときには、電気的な変化、例えばサージ電流が送電線130に発生する。事故点標定装置10は、送電線130に送電する変電所A1と、変電所A1に対向すると共に例えば送電線130から受電する変電所(図示を省略)から、通信網NWを経て、落雷時のサージ電流を表す電流信号を受信する。そして、事故点標定装置10は、落雷発生からサージ電流が変電所A1に到達するまでの時間と、変電所A1に対向する変電所にサージ電流が到達するまでの時間とを基に、事故点を算出する。この後、事故点標定装置10は、算出した事故点を表す事故点情報を生成し、通信網NWを介して撮影制御装置30に事故点情報を送信する。この実施の形態では、事故点情報は、経度と緯度とで事故点を表している。
【0023】
オシロサーバ20は、電気所などに設置されており、送電線130に流れる電気の電流波形および電圧波形を計測する複数のオシロ装置120から電流波形および電圧波形(以下、総称してオシロ波形ともいう)の波形データを収集し、収集した波形データに基づいて、事故が発生した送電線130の回線相(回線および相)である事故回線相と、事故原因とを特定し、事故回線相に関する事故回線相情報と、事故原因に関する事故原因情報とを出力する。
【0024】
オシロサーバ20は、
図2に示すように、入力部21と、記憶部22と、処理部23と、通信部24とを備えている。入力部21は、送電線130に事故が発生したときに、通信網NWを介して接続された複数のオシロ装置120から、電流波形データおよび電圧波形データが入力される。
【0025】
ここでオシロ装置120は、送電線130に流れる赤相、白相、青相および零相の各電流を変成器により小電流化することにより得られるアナログの交流信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号から所定の周波数帯域の成分を抽出して、赤相電流Ir、白相電流Iw、青相電流Ibおよび零相電流I0の電流波形データを生成する。また、オシロ装置120は、送電線130の赤相、白相、青相および零相の各電圧を計器用変圧器により降圧することにより得られるアナログの交流信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号から所定の周波数帯域の成分を抽出して、赤相電圧Vr、白相電圧Vw、青相電圧Vbおよび零相電圧V0の電圧波形データを生成する。
【0026】
オシロ装置120は、生成した電流波形データおよび電圧波形データを図示しない記憶部に記憶する。オシロ装置120は、送電線130に事故が発生すると、事故発生時点の前後所定の時間範囲内に記憶された電流波形データおよび電圧波形データを記憶部から読み出し、読み出した電流波形データおよび電圧波形データをオシロサーバ20へ送信する。
【0027】
オシロサーバ20の入力部21は、各オシロ装置120から送信された電流波形データおよび電圧波形データを受信する。記憶部22は、例えばハードディスク装置またはフラッシュメモリ等の記憶装置からなり、入力部21が受信した電流波形データおよび電圧波形データを記憶する。
【0028】
処理部23は、CPU(Central Processing Unit)と、処理プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、処理中のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを備えている。処理部23は、記憶部22から電流波形データおよび電圧波形データを読み出し、読み出した電流波形データおよび電圧波形データを解析して事故回線相と、事故原因とを特定する。
【0029】
電流波形および電圧波形は、送電線事故の事故原因に応じて特徴的な波形を示す。
図3に示すように、例えば、事故原因が電撃であった場合には、零相電流I0に正弦波が表れる。また、雷撃された送電線の電圧波形は、零相電流I0に正弦波が流れている期間と同じ期間に振幅が大きくなる。したがって、
図3に示す例では、青相送電線Bに雷撃があったことが特定できる。
【0030】
また、
図4に示すように、例えば、事故原因が鳥獣害であった場合には、零相電流I0にカギ型の波形が1~2波表れ、その後に正弦波が現れる。また、鳥銃害があった送電線の電圧波形は、零相電流I0にカギ型波形および正弦波が表れている期間と同じ期間の電圧がゼロになる。したがって、
図4に示す例では、白相送電線Wに鳥獣害があったことが特定できる。
【0031】
さらに、
図5に示すように、例えば、事故原因が樹木接触であった場合には、零相電流I0にカギ型の波形が表れる。また、樹木接触があった送電線の電圧波形は、零相電流I0にカギ型波形が表れている期間と同じ期間の電圧がゼロになる。したがって、
図5に示す例では、赤相送電線Rに樹木接触があったことが特定できる。
【0032】
図6に示すように、例えば、事故原因がクレーンの接触であった場合には、零相電流I0にパルス状のピーク電流が流れ、その後に正弦波が表れる。また、クレーン接触があった送電線の電圧波形は、零相電流I0にパルス状のピーク電流と正弦波とが表れている期間と同じ期間の電圧がゼロになる。したがって、
図6に示す例では、赤相送電線Rにクレーン接触があったことが特定できる。
【0033】
処理部23は、ROMに処理プログラムとともに、事故原因に応じて電流波形及び電圧波形に現れる波形の特徴を示す特徴データを記憶している。処理部23は、記憶部22から読み出した電流波形データおよび電圧波形データを特徴データに基づいて解析して、事故回線相と、事故原因とを特定する。
【0034】
処理部23は、事故回線相および事故原因を特定すると、事故回線相に関する事故回線相情報と、事故原因に関する事故原因情報とを生成する。例えば、事故原因が雷撃であった場合には、事故原因情報には「雷撃」という情報が含まれる。また、事故回線相が赤相送電線であった場合には、事故回線相情報には「赤相送電線」という情報が含まれる。
【0035】
なお、送電線事故は、複数の事故原因が重なって生じる場合があり、その際には、電流波形および電圧波形に複数の事故原因の特徴が複合的に表れる。このような場合、処理部23は、電流波形および電圧波形に表れた複合的な特徴を解析して、複数の事故原因および事故回線相を特定する。例えば、複合的な送電線事故が、赤相送電線に対する雷撃と、青色送電線に対する樹木接触であった場合には、事故原因情報「雷撃」と、事故回線相情報「赤色送電線」とが対応付けて生成されるとともに、事故原因情報「樹木接触」と、事故回線相情報「青色送電線」とが対応付けて生成される。
【0036】
なお、オシロサーバ20によって気象情報配信システムから気象情報を受信し、受信した気象情報を事故原因の特定に用いてもよい。例えば、波形データから事故原因が雷撃であると判断するのが難しい場合であっても、気象情報により落雷警報などが出ている場合には、事故原因が雷撃であると判定することが可能である。
【0037】
また、事故原因は、「雷撃」、「鳥獣害」、「樹木接触」および「クレーン接触」に限定されず、これら以外の様々な事故原因を波形データから特定することが可能である。
【0038】
オシロサーバ20の通信部24は、処理部23により生成された事故回線相情報および事故原因情報を、通信網NWを介して撮影制御装置30へ送信する。
【0039】
撮影制御装置30は、電気所などに設置されており、
図7に示すように、通信部31と、記憶部32と、処理部33と、無線通信部34とを備えている。通信部31は、送電線130に事故が発生したときに、事故点標定装置10から送信された事故点情報と、オシロサーバ20から送信された事故回線相情報および事故原因情報とを、通信網NWを介して受信する。
【0040】
記憶部32は、例えばハードディスク装置またはフラッシュメモリ等の記憶装置からなり、通信部31により受信した事故点情報、事故回線相情報および事故原因情報を記憶する。また、記憶部32は、送電線130を含む送電設備に設備データを記憶した設備データベース(設備データ記憶手段)35を備えている。
【0041】
設備データベース35が記憶している設備データには、変電所A1を含む各変電所についてのデータ、つまり変電所データがある。この変電所データの一例を
図8に示す。この変電所データには、各変電所の名称に対応して、変電所を識別するための識別番号と、変電所の設置場所とが記憶されている。変電所の設置場所は経度と緯度とで表されている。また、変電所データには、変電所の構内に設置されている鉄塔の名称と、変電所に引き込まれている送電線の名称とが記憶されている。さらに、変電所データには、無人飛行体40が飛行可能な状態で格納されているかどうかが、無人飛行体の有無で記憶されている。
【0042】
設備データベース35が記憶している設備データには、送電線130を含む送電線についてのデータ、つまり送電線データがある。この送電線データの一例を
図9に示す。この送電線データには、各送電線の名称に対応して、鉄塔の名称が記憶されている。この鉄塔は、例えば送電線130である「BA線」を支持するための鉄塔110
1、110
2および110
3である「BA1番鉄塔」、「BA2番鉄塔」および「BA3番鉄塔」である。
【0043】
設備データベース35が記憶している設備データには、鉄塔110
1、110
2および110
3を含む各鉄塔についてのデータ、つまり鉄塔データがある。この鉄塔データの一例を
図10に示す。この鉄塔データには、各鉄塔の名称に対応して、鉄塔を識別するための識別番号と、鉄塔の設置場所とが記憶されている。鉄塔の設置場所は経度と緯度とで表されている。また、鉄塔データには、鉄塔の高さを表す鉄塔高が記憶されている。なお、鉄塔データにおいて、例えば「AA構内鉄塔」とあるのは、変電所A1である「AA変電所」の構内に設置されている鉄塔であり、
図1ではその記載を省略している。
【0044】
設備データベース35が記憶している設備データには、鉄塔110
1、110
2および110
3を含む各鉄塔間についてのデータ、つまり径間データがある。この径間データの一例を
図11に示す。この径間データには、対象となる2つの鉄塔の名称に対応して、これらの鉄塔間の距離である径間長と、回線の名称と、捻架されている赤相送電線R、白相送電線Wおよび青相送電線Bの配線位置(例えば、上、中、下)とが記憶されている。
【0045】
処理部33は、CPUと、処理プログラムおよび学習済みモデル36を記憶したROMと、処理中のデータを一時的に記憶するRAMとを備えている。処理部33は、記憶部32から事故点情報、事故回線相情報および事故原因情報を読み出し、設備データベース35から設備データを読み出し、読み出した事故点情報、事故回線相情報、事故原因情報および設備情報を学習済みモデルに入力して、事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定する。
【0046】
学習済みモデル36は、
図12に示すように、過去の送電線事故に関する事故点情報と、事故回線相情報と、事故原因情報と、設備データと、過去の送電線事故の事故点情報、事故回線相情報、事故原因情報および設備データに基づいて決定された撮影ポイントと、を教師データとし、新たに発生した送電線事故に関する事故点情報と、事故回線相情報と、事故原因情報と、設備データとが入力されると、当該送電線事故の事故点の撮影ポイントを出力するように機械学習された学習済みモデルである。
【0047】
より具体的には、学習済みモデル36は、新たに発生した送電線事故に関する事故点情報と、事故回線相情報と、事故原因情報と、設備データとが入力される入力層と、入力された事故点情報、事故回線相情報、事故原因情報および設備データに基づいて、新たに発生した送電線事故の事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定する中間層と、決定した撮影ポイントに関する撮影ポイント情報を出力する出力層と、を備える。
【0048】
学習済みモデル36の中間層は、図示しない実績データベースに記憶されている多数の実績データ(過去の送電線事故に関する事故点情報、事故回線相情報、事故原因情報および設備データと、これらのデータに基づいて特定された撮影ポイント)を教師データとし、新たに発生した送電線事故に関する事故点情報と、事故回線相情報と、事故原因情報と、設備データとが入力されると、当該送電線事故の事故点の撮影ポイント情報を出力するように、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習、深層学習(ディープラーニング)などの技術を利用して生成されている。
【0049】
図13は、学習済みモデル36の中間層において、主に事故原因情報に基づいて決定される撮影ポイントを示している。例えば、事故原因が「雷撃」である場合には、アークホーンを含むがいし連などが撮影ポイントとして決定される。また、事故原因が「鳥獣害」である場合には、アークホーンを含むがいし連と、ジャンパー線、および鉄塔敷地内の地面などが撮影ポイントとして決定される。さらに、事故原因が「樹木接触」である場合には、鉄塔間の径間と、ジャンパー線の下の地面などが撮影ポイントとして決定される。事故原因が「クレーン接触」である場合には、鉄塔間の径間、特に造成などの工事が行なわれている位置に近い径間などが撮影ポイントとして決定される。
【0050】
撮影ポイント情報には、例えば、「BA線、BA-L1回線、BA3番鉄塔付近[前後1基挟んで撮影]、赤相送電線」などのように、撮影すべき送電線の名称と、回線名と、鉄塔の名称および鉄塔を基準とした撮影範囲と、回線相などが含まれる。
【0051】
処理部33は、学習済みモデル36から出力された撮影ポイント情報と、事故点標定装置10から受信した事故点情報とを含む撮影制御情報を生成する。処理部33により生成された撮影制御情報は、無線通信部34によって無人飛行体40に送信される。
【0052】
無人飛行体40は、いわゆるマルチロータータイプのドローンである。無人飛行体40は、必要に応じて直ちに飛行できる状態で変電所に格納されている。無人飛行体40は、
図12に示すように、無線通信部41と、記憶部42と、飛行部43と、GPS受信部44と、飛行制御用カメラ45と、事故点撮影用カメラ(撮影手段)46と、飛行制御部47とを備えている。
【0053】
無線通信部41は、撮影制御装置30の無線通信部34と無線による信号の送受信を行なう。具体的には、無線通信部41は、撮影制御装置30から送信された撮影制御情報を受信する。また、無線通信部41は、事故点撮影用カメラ46により撮影した事故点の撮影ポイントの画像データを撮影制御装置30へ送信する。
【0054】
記憶部42は、無線通信部41により受信した撮影制御情報を記憶する。また、記憶部42には、無人飛行体40の飛行エリアの地図データと、飛行エリア内の送電設備に関する設備データなどが記憶されている。設備データとしては、撮影制御装置30の記憶部32に記憶されている設備データと同様なものであり、変電所や鉄塔の位置、配線の位置などを含む。
【0055】
飛行部43は、飛行制御部47の制御によって、無人飛行体40が備えるプロペラ(図示を省略)を回転し、無人飛行体40の始動、離陸、上昇・下降、前進・後進、左旋回・右旋回、ホバリング、着陸などを行う。
【0056】
GPS受信部44は、GPS(Global Positioning System)衛星から受信したGPS信号に基づいて、無人飛行体40の飛行位置(緯度・経度)と、飛行高度と、飛行速度などを検出する。
【0057】
飛行制御用カメラ45は、無人飛行体40の飛行中に無人飛行体40の周囲を撮影するカメラ、いわゆる360°カメラである。飛行制御用カメラ45により撮影された画像データは、飛行制御部47に出力される。
【0058】
事故点撮影用カメラ46は、事故点の撮影ポイントを撮影するためのカメラである。事故点撮影用カメラ46により撮影された画像データは、記憶部42に記憶されてから無線通信部41によって撮影制御装置30に送信される。なお、事故点撮影用カメラ46により撮影された画像は、静止画または動画、あるいは静止画および動画である。
【0059】
飛行制御部47は、CPUと、飛行制御プログラムを記憶したROMと、処理中のデータを一時的に記憶するRAMとを備えている。飛行制御部47は、記憶部42から読み出した地図データおよび設備データと、GPS受信部44により検出された飛行位置、飛行高度および飛行速度と、飛行制御用カメラ45により撮影された画像データなどに基づいて、撮影制御情報により指示された事故点まで無人飛行体40を自律飛行するように制御し、事故点から撮影ポイントまで無人飛行体40を自律飛行するように制御する。そして、無人飛行体40が撮影ポイントに到達した場合には、事故点撮影用カメラ46を制御して撮影ポイントを撮影する。
【0060】
次に、
図14に示すフローチャートに基づいて、上記の実施の形態の作用について説明する。
【0061】
送電線130に事故が発生すると、事故点標定装置10は、事故点の位置を標定し、事故点情報を撮影制御装置30へ送信する(ステップS1)。
【0062】
次いで、オシロサーバ20は、オシロ装置120から受信した送電線130の電流波形データおよび電圧波形データに基づいて、事故回線相と、事故原因とを特定し、事故回線情報および事故原因情報を撮影制御装置30へ送信する(ステップS2)。
【0063】
撮影制御装置30は、事故点標定装置10から受信した事故点情報と、オシロサーバ20から受信した事故回線情報および事故原因情報と、設備データベース35から読み出した設備データとを学習済みモデル36に入力し、事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定する(ステップS3)。
【0064】
撮影制御装置30は、事故点情報と撮影ポイント情報とを含む撮影制御情報を無人飛行体40へ送信し、無人飛行体40を事故点Ap(
図1参照)まで飛行させる(ステップS4)。
【0065】
事故点Apに到達した無人飛行体40は、撮影制御情報に基づいて撮影ポイントまで飛行し(ステップS5)、事故点撮影用カメラ46にて撮影ポイントを撮影する(ステップS6)。撮影ポイントを撮影した無人飛行体40は、撮影した撮影ポイントの画像データを撮影制御装置30に送信する(ステップS7)。
【0066】
撮影制御装置30は、受信した画像データとともに事故点情報、事故回線情報、事故原因情報および撮影ポイント情報などをディスプレイなどに表示し、電力事業者の担当者の端末などに配信する。
【0067】
撮影ポイントの撮影を終えた無人飛行体40は、格納されていた変電所まで自律的に飛行して着陸する。
【0068】
本実施の形態の事故点撮影システム1によれば、送電線130に事故が発生すると、事故点の位置を標定し、送電線130の電流波形データおよび電圧波形データに基づいて事故回線相および事故原因を特定し、事故点情報と、事故回線相情報と、事故原因情報と、設備データとに基づいて事故点において撮影すべき撮影ポイントを決定し、無人飛行体40を事故点および撮影ポイントまで飛行させて撮影ポイントを撮影するので、送電線事故の原因などに応じて事故点の適切な撮影ポイントを迅速に撮影することが可能である。また、撮影した撮影ポイントの画像データは、無人飛行体40から撮影制御装置30に送信されるので、すぐに事故点の状況を確認して対応策の検討を行なうことが可能であり、送電線事故による停電などを早期に復旧することが可能である。
【0069】
また、本実施の形態の事故点撮影システム1によれば、過去の送電線事故に関する情報を教師データとして機械学習された学習済みモデル36を利用して、新たに発生した送電線事故の事故点の撮影ポイントを決定するので、撮影すべき撮影ポイントを精度よく決定することができ、送電線事故による停電などを早期に復旧することが可能である。
【0070】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【0071】
例えば、上記の実施の形態では、撮影ポイントの決定に学習済みモデル36を用いたが、学習済みモデル36を用いずに撮影ポイントを決定してもよい。具体的には、事故点情報と、事故回線相情報と、事故原因情報と、設備データとの組み合わせに応じた撮影ポイントを予めデータとして記憶しておき、新たな送電線事故が発生した場合には、当該送電線事故の各情報に基づいて撮影ポイントを決定するようにしてもよい。これによれば、撮影ポイントの決定に必要な処理負荷を軽減することが可能である。
【0072】
また、オシロサーバ20では、電流波形データおよび電圧波形データを解析して事故回線相および事故原因を特定するようにしたが、過去の実績に基づいて機械学習された学習済みモデルを利用して事故回線相および事故原因を特定するようにしてもよい。これによれば、複合的な事故原因に基づく電流波形データおよび電圧波形データから精度よく事故回線相および事故原因を特定することが可能となる。
【0073】
さらに、上記の実施の形態では、予め機械学習された学習済みモデル36を用いているが、撮影制御装置30に過去の送電線事故に関する情報を蓄積する実績データベースと、実績データベースのデータに基づいて機械学習して学習済みモデル36を作成、更新する機能部を設けてもよい。これによれば、学習済みモデル36が新しい実績データによって更新されるので、撮影ポイントの特定精度がより高くなる。
【0074】
さらに、上記の実施の形態では、GPS受信部44により検出した位置情報と、予め記憶した地図データなどに基づいて無人飛行体40を事故点まで自律飛行させるようにしたが、特開2017-131019号公報に記載されている技術を利用して、無人飛行体40をOPGWに沿うように事故点まで飛行させ、撮影ポイントを撮影するようにしてもよい。
【0075】
また、上記の実施の形態では、無人飛行体40が変電所に格納されていると説明したが、無人飛行体40の格納場所は変電所などの電気所に限定されず、任意の位置に格納しておくことが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 事故点撮影システム
10 事故点標定装置
20 オシロサーバ
30 撮影制御装置
35 設備データベース(設備データ記憶手段)
36 学習済みモデル
40 無人飛行体
46 事故点撮影用カメラ(撮影手段)
1101、1102、1103 鉄塔
120 オシロ装置
130 送電線