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  • 特開-ヒーター回路及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176955
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ヒーター回路及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241212BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095861
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和広
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA23
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB12
2H033BB18
2H033BB30
2H033BE00
2H033CA04
2H033CA06
2H033CA30
2H033CA34
2H033CA44
2H270KA35
2H270LA01
2H270MA34
2H270MG02
2H270MH06
2H270RA13
2H270RB03
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 破損を未然に抑えるため、初めに直流電力で面状ヒーターの異常の有無を調べ、異常が無い場合に面状ヒーターに交流電力で通電するヒーター回路及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 ヒーター35と、ヒーター35に交流電流を供給する交流電流ラインL1に接続された交流電源と、ヒーター35に直流電流を供給する直流電流ラインL2に接続された直流電源と、直流電源をヒーター35に供給した場合にヒーターの温度を検知するヒーター温度検知部36と、ヒーター温度検知部36により検知した温度と閾値との比較に基づき回路異常状態か否かを判断する制御基板80とを備え、制御基板80は回路異常状態と判断した場合に前記交流電源による定着動作を行わない。そして、制御基板80は、回路異常状態か否かの判断の後に定着動作を行うか否かを判断する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターと、
前記ヒーターに交流電流を供給する交流電流ラインに接続された交流電源と、
前記ヒーターに直流電流を供給する直流電流ラインに接続された直流電源と、
前記直流電源を前記ヒーターに供給した場合に前記ヒーターの温度を検知するヒーター温度検知部と、
前記ヒーター温度検知部により検知した温度と予め定められた閾値との比較に基づき回路異常状態か否かを判断する制御部とを備え、
前記制御部は、回路異常状態と判断した場合に前記交流電源による定着動作を行わないヒーター回路。
【請求項2】
前記制御部は、前記回路異常状態か否かの判断の後に前記定着動作を行うか否かを判断する請求項1に記載のヒーター回路。
【請求項3】
前記交流電流ラインに接続された第一のスイッチング素子、前記直流電流ラインに接続された第二のスイッチング素子、及び前記直流電流ラインに接続された第三のスイッチング素子を備え、
前記制御部が前記回路異常状態と判断した場合、前記第一のスイッチング素子にオフ信号を出力し、前記異常回路状態と判断しなかった場合、前記制御部は前記第一のスイッチング素子にオン信号を出力すると共に前記第二のスイッチング素子及び前記第三のスイッチング素子にオフ信号を出力する請求項2に記載のヒーター回路。
【請求項4】
前記ヒーターは、面状セラミックヒーターである請求項1に記載のヒーター回路。
【請求項5】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記請求項1に記載のヒーター回路と、を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーター回路及び当該ヒーター回路を有する定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、用紙上にトナー像を形成し、定着装置でトナー像を用紙に定着させることで印刷を行う。定着装置は、加熱部材と加圧部材を備え、二つの部材で用紙を挟み込んで加熱及び加圧することによって定着処理を行う。加熱部材は発熱体(ヒーター)によって加熱され、加熱部材の温度は面状ヒーターに流れる電流によって制御される。
【0003】
電流は交流(AC:Alternating Current)電力を使用している。交流電力は直流(DC:Direct Current)電力に比べると電力量が大きく回路に過負荷をかける。そして、面状ヒーター回路に何らかの問題が生じ、面状ヒーターへ過電流が発生した場合、定着装置の故障の原因となる。
【0004】
特許文献1には、印刷処理をしていない任意のタイミングにおいて、複数あるランプのうち補助ランプのみを所定時間オンにして、その間の加熱ローラーの温度変化を検知することで補助ランプの異常を検知する方法が記載されている。
【0005】
特許文献2には、熱源へ流れる電流が所定値を超えると、熱源への通電を遮断する方法について記載されている。
【0006】
特許文献3には、複数の発熱部に対してそれぞれ電流センサーと遮断器を設け、検出される電流量を用いて発熱部の異常を個別に検知する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-244051号公報
【特許文献2】特開2017-090570号公報
【特許文献3】特開2018-073769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
面状ヒーターは、昇温効果に優れるため、近年、加熱部材の発熱体として用いられることが多い。面状ヒーターは加熱部材に近接して配置されることが多い。面状ヒーターに異常電流が流れると、面状ヒーターの温度が一気に上昇し、ヒーター自身はもちろん、加熱部材本体等や周囲部品も破損する場合がある。これにより、ユーザは装置の修理や部品交換等の負担がかかっていた。また、面状ヒーターの異常を検知して回路の動作を停止しても間に合わない場合も多い。
【0009】
本発明は、初めに直流電力でヒーターの異常の有無を調べ、異常が無い場合にヒーターに交流電力で通電することで、ヒーターの破損を未然に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係るヒーター回路は、ヒーターと、前記ヒーターに交流電流を供給する交流電流ラインに接続された交流電源と、前記ヒーターに直流電流を供給する直流電流ラインに接続された直流電源と、前記直流電源を前記ヒーターに供給した場合に前記ヒーターの温度を検知するヒーター温度検知部と、前記ヒーター温度検知部により検知した温度と予め定められた閾値との比較に基づき回路異常状態か否かを判断する制御部とを備え、前記制御部は、回路異常状態と判断した場合に前記交流電源による定着動作を行わないものである。
本発明の一局面に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、本発明の一局面に係るヒーター回路とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、初めに交流電力よりも比較的小電流となる直流電力でヒーターの異常の有無を調べ、異常が無い場合にヒーターに交流電力で通電するため、異常が検知された時には比較的小電流がヒーターに流れることになって、ヒーター異常時にヒーターに電流を流した場合であってもヒーターが破損し難くなり、未然にヒーターの破損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
図2】定着装置の概略断面図を示した図である。
図3】ヒーター回路の電気的な構成の一例を示した図である。
図4】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。尚、本実施の形態ではカラー電子写真方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、モノクロ印刷の画像形成装置にも適用可能である。図1は、本実施の形態における画像形成装置1の構造を示す正面断面図である。
【0015】
画像形成装置1は、装置本体99に、操作部4、画像形成部61、給紙部14等を備えて構成されている。
【0016】
画像形成装置1が印刷動作を行う場合、外部から取得した画像データ等に基づいて、画像形成部61が、給紙部14から給紙される用紙Pにトナー像を形成する。
【0017】
カラー印刷を行う場合、画像形成部61のマゼンタ用の画像形成ユニット61M、シアン用の画像形成ユニット61C、イエロー用の画像形成ユニット61Y及びブラック用の画像形成ユニット61BKは、画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光及び現像の工程により感光体ドラム上にトナー像を形成し、そのトナー像を一次転写ローラー6により中間転写ベルト991上に転写させる。カートリッジ61Mはマゼンタのトナー、カートリッジ61Cはシアンのトナー、カートリッジ61Yはイエローのトナー、カートリッジ61BKはブラックのトナーを収容している。これらのカートリッジは、装置本体99に対して着脱可能な構成となっており、トナー残量がなくなったら、ユーザまたはメンテナンススタッフが新しいカートリッジに交換する。
【0018】
中間転写ベルト991上に転写される各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト991上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。二次転写ローラー992は、中間転写ベルト991の表面に形成されたカラーのトナー像を給紙部14から搬送されてきた用紙Pに転写させる。
【0019】
定着装置20は、トナー像を有する用紙Pをニップ部Nで挟持し、用紙Pを加熱加圧してトナー像を定着させる。定着装置20は定着ベルト21と加圧部材22を有する。定着処理の完了したカラー画像形成済みの用紙Pは、排出トレイ151に排出される。給紙部14は、用紙Pを収容する。
【0020】
操作部4は、例えばメニューを呼び出すメニューキー、各種動作や設定の確定操作を行う決定キー、スタートキー等を備えている。表示部41は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ等であり、ユーザに対してメッセージや操作画面等を表示する。
【0021】
図2は、定着装置20の概略断面図を示した図である。定着ベルト21は回転軸21aを軸として矢印21yに示す方向に回転し、定着ベルト21の内側の面に面した位置にヒーター35を有する。ヒーター35は定着ベルト21を加熱するものであり、面状セラミックヒーター等である。なお、ヒーター35はハロゲンランプ等の加熱部材であってもよい。本実施形態では、ヒーター35は、面状セラミックヒーターであるものとして説明する。
【0022】
加圧部材22は、回転軸22aを軸として矢印22yに示す方向に回転し、定着ベルト21の外側の面を加圧すると共に、搬送された用紙Pをニップ部Nで挟持して用紙Pを加圧する。用紙Pが矢印Y方向に搬送されながらトナー像が定着ベルト21によって加熱されると共に、加圧部材22によって加圧されることで、トナー像が用紙Pに定着する。
【0023】
図3はヒーター35等を有する定着装置20のヒーター電力供給制御装置70の概略構成図である。
【0024】
ヒーター電力供給制御装置70は、図3に示すように、ヒーター電力切替駆動部60と、制御基板80で構成されている。但し、図3においては定着装置20の構成も示して説明する。
【0025】
定着装置20は、ヒーター温度制御部34(THERMO CUT OFF)と、ヒーター35と、サーミスタ(特許請求の範囲におけるヒーター温度検知部の一例)36とを備えている。なお、ヒーター温度制御部34(THERMO CUT OFF)とヒーター35とは直列接続されている。また、制御基板80は、CPU(Central Processing Unit)82を備えている。
【0026】
ヒーター電力切替駆動部60は、ヒューズ61と、リレー62と、遮断回路63と、第1のTRIAC(第一のスイッチング素子)65と、第2のTRIAC(第二のスイッチング素子)64と、第3のTRIAC(第三のスイッチング素子)66とを備えている。前述のヒューズ61とリレー62とは直列接続されており、総称して交流停止制御部と称する。
【0027】
なお、TRIAC(Triode for Alternating Current)は、双方向の電流を1つのゲート電極で制御することができるスイッチング素子である。
【0028】
交流停止制御部のヒューズ61は、交流電源67の一方端(LIVE側)に、その一方端が接続され、他方端がリレー62の一方端に接続されている。
【0029】
また、リレー62の他方端は、第1のヒーター電力伝送ラインL1(請求項の交流電流ライン:ケーブル又は導電性パターン)に接続されている。この第1のヒーター電力伝送ラインL1はヒーター温度制御部34(THERMO CUT OFF)の入力端に接続されている。
【0030】
ヒーター温度制御部34(THERMO CUT OFF)は、温度ヒューズであり、予め定められた閾値に達するとオフ状態となって回路を遮断する。
【0031】
一方、第1のTRIAC(第一のスイッチング素子)65の一方端は、交流電源67の他方端(NEUTRAL側)に接続され、他方端が第1のヒーター電力伝送ラインL1に接続されている。この第1のヒーター電力伝送ラインL1(ケーブル又は導電性パターン)は、ヒーター35の出力端に接続されている。
【0032】
さらに、本実施の形態では、遮断回路63の入力端は直流電源68に接続されており、この出力端は第2のTRIAC(第二のスイッチング素子)64の入力端に接続されている。また、第2のTRIAC(第二のスイッチング素子)64の出力端は第1のヒーター電力伝送ラインL1に接続されている。
【0033】
次に制御基板80について説明する。制御基板80は、CPU部82(Central Processing Unit)、RAM( Random Access Memory)、ROM( Read Only Memory)及び専用のハードウェア回路等から構成されている。CPU部82は、ROMに記憶されている制御プログラムによる動作により、制御部として機能する。CPU部82は、特許請求の範囲における制御部の一例である。CPU部82は以下の接続構成となっている。なお、動作について後述する。
【0034】
CPU部82は、HEAT_ON信号、DC_ON信号、RELAY_ON信号を出力し、サーミスタ(ヒーター温度検知部)36からの出力TH(温度:サーミスタ電流又はサーミスタ電圧)を入力する。
【0035】
HEAT_ON信号は、第1のTRIAC(第一のスイッチング素子)65のゲートに出力される。CPU部82からのDC_ON信号は、遮断回路63、第2のTRIAC(第二のスイッチング素子)64及び第3のTRIAC(第三のスイッチング素子)65のゲートに出力される。
【0036】
CPU部82はリレー62に接続され、CPU部82からのRELAY_ON信号は、リレー62の駆動コイルに入力される。
【0037】
さらに、CPU部82は、サーミスタ(ヒーター温度検知部)36からの出力TH(温度:サーミスタ電流又はサーミスタ電圧)が入力される。
【0038】
交流電圧Vi、交流電流Ii、直流電圧Vd、及び直流電流Idの関係は、交流電圧Vi>直流電圧Vd、交流電流Ii>直流電流Idである。
【0039】
制御基板80は、ROMから以下のプログラムをRAMにロードする。CPU部82は、当該プログラムに従って、印刷開始時交流停止処理と、印刷前直流電力供給処理と、面状ヒーター異常判定処理と、エラー処理と、正常時印刷交流電力供給処理等を実行する。以下に、これら処理の概略を説明する。
【0040】
印刷開始時交流停止処理は、CPU部82が、印刷開始指示(ヒーターオン前:定着前)に伴って、RELAY_ON信号、HEAT_ON信号の出力を停止させて、交流停止制御部のリレー62及び第1のTRIAC(第一のスイッチング素子)65をオフ状態にして、ヒーター35への交流電力Pi(交流電圧Vi×交流電流Ii)の供給を停止させる。
【0041】
印刷前直流電力供給処理は、CPU部82が、印刷開始指示(ヒーターオン前:定着前)に伴って、遮断回路63及び第2のTRAIAC64並びに第3のTRAIAC66をオン状態にするDC_ON信号を出力して直流電源の直流電力(直流電圧Vd×直流電流Id)を定着装置20に供給して第3のTRAIAC66を介してアース69に流させてヒーター35を低電力駆動する。
【0042】
面状ヒーター異常判定処理は、CPU部82が、直流電力Pdの供給に伴って、定着装置20のサーミスタ(36:温度検出センサ)からの出力(TH)を読込み、温度がメモリ84に記憶されている閾値(基準値)以下かどうかを判断する。なお、断線の場合も考慮し、温度の上昇が見られないときも異常と判断し、閾値(基準値)以上の時と同じ制御をしても良い。
【0043】
エラー処理は、CPU部82が、閾値以上(温度が高い場合:異常)の場合は、表示部41にエラー表示する。また、交流電源67による定着動作を行わない。
【0044】
正常時印刷交流電力供給処理は、CPU部82が、閾値以下の場合は(定電流:温度が低い)、ヒーター35が正常と判断して、印刷開始指示を受け付けてRELAY_ON信号を交流停止制御部のリレー62に出力すると共に、DC_ON信号をオフ(ローレベル)にして、HEAT_ON信号を出力させて交流停止制御部のリレー62及び第1のTRIAC65をオン状態にしてヒーター35に交流電力67(交流電圧Vi×交流電流Ii)の供給をする。
【0045】
つまり、ヒーター電力供給制御装置70は、ヒーター電力供給ライン(L1、L2)にTRIACを入れてAC電力とDC電力を互いに排他的に入力させる構成を有する。
【0046】
これによって、ヒーター35をONさせる前(駆動させる前)にDC電力で異常を検知することで、ヒーター35が破損する可能性を下げ、異常による被害拡大を防ぐ。
【0047】
上記のように構成されたヒーター電力供給制御装置70の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
図4を参照する。初めに、印刷開始指示が入力すると、CPU部82が印刷開始時交流停止処理で定着前にRELAY_ON信号、HEAT_ON信号の出力を停止する。
【0049】
つまり、CPU部82は、交流停止制御部のリレー62及び第1のTRIAC(第一のスイッチング素子)65をオフ状態にする。このため、ヒーター35への交流電力(交流電圧Vi×交流電流Ii)の供給が停止される。
【0050】
また、CPU部82は、印刷前直流電力供給処理を行い、印刷開始指示(ヒーターオン前:定着前)に伴って、DC_ON信号を出力する(S10)。
【0051】
つまり、CPU部82は、遮断回路63及び第2のTRAIAC64並びに第3のTRAIAC66をオン状態(駆動状態)にする。これによって、直流電源68の直流電力(直流電圧Vd×直流電流Id)が第2のヒーター電力伝送ライン(直流電流ライン)L2を介して定着装置20(面状ヒーター温度制御部34、ヒーター35)に供給されて、第3のTRAIAC66を介してアース69に流れる。つまり、交流電力以下の低い直流電力(直流電圧Vd、直流電流Id)が面状ヒーター35を流れる。
【0052】
続いて、CPU部82は、ヒーター異常判定処理がDC_ON信号の出力(ハイレベル)に伴って(直流電力の供給に伴って)、定着装置20のサーミスタ36からの出力(TH)を読込む(S12)。
【0053】
そして、CPU部82は、ヒーター異常判定処理を行い、上記出力が温度の異常を含む回路異常状態を示しているかどうかを判定する(S14)。つまり、直流電流を流して過電流の有無を調べている。
【0054】
具体的には、CPU部82は、サーミスタ36からの出力(TH)が閾値(電圧又は電流)以下かどうで判断する。
【0055】
ステップS14で、CPU部82は、温度が異常と判断した場合(請求項の回路異常状態)は、表示部41にエラーを示すメッセージを表示させる(S16)。
【0056】
これによって、ヒーター35がベルトに接触されていることで、急激な温度上昇が発生していても、比較的大電力の交流電力を定着装置20に供給する前に、比較的小電流の直流電力でヒーター35の温度の異常を検出できるので、ヒーター35、周辺機器の破損を防止できる。面状ヒーターであるヒーター35の温度が一気に上昇し、ヒーター35自身はもちろん、加熱部材本体等や周囲部品も破損するといった不具合を回避することができる。
【0057】
また、ステップS14において、CPU部82は、温度に異常無と判定した場合は(閾値以下:温度が低い)、正常時印刷交流電力供給指示処理を行って面状ヒーター35が正常と判断して、印刷開始指示を受け付けてHEAT_ON信号を交流停止制御部のリレー62に出力すると共に、DC_ON信号をオフ(ローレベル)にして、かつHEAT_ON信号を出力させて交流停止制御部のリレー62及び第1のTRIAC65をオン状態(駆動状態)にする(S18)。
【0058】
これによって、遮断回路63及び第2のTRAIAC64並びに第3のTRAIAC66がオフ状態(非駆動状態)になり、直流電力Pdの第2のヒーター電力伝送ラインL2への供給は停止されるが、交流電力がヒューズ61、リレー62を介して第1のヒーター電力伝送ラインL1を通って定着装置20(ヒーター温度制御部34、ヒーター35)に流れて、第1のヒーター電力伝送ラインL1、第1のTRIAC65を介して、交流電源の他方端(NEUTRAL)に流れる。
【0059】
このように、ヒーター電力供給制御装置70は、ヒーター電力供給ライン(L1、L2)にTRIAC(Triode for Alternating Current)を入れてAC(Alternating Current)とDC(Direct Current)を排他的に入力できるようにしてヒーター35の異常を検出し、かつ異常時が回復するまでは、交流電力の供給を停止しているので、破損する可能性を下げ、かつ異常による被害拡大を防いでいる。
【0060】
すなわち、ヒーター35が加熱部材に近傍又は接していてヒーター35の温度が交流電力の供給前に仮に温度が上昇していても、交流電力の供給前に小直流電力で供給して異常判定を行うので、ヒーター35を破損することなく異常判定ができる。
【0061】
これによって、ヒーター35及び周辺部材の破損の可能性を下げることが でき、故障の被害を最小限に抑えることができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、図1乃至図3を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。例えば、上記実施の形態では、スイッチング素子の一例を、TRIAC(Triode for Alternating Current)として説明したが、ゲート制御で双方に電力(電流)を流すことができるスイッチング素子であればよい。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
4 操作部
6 画像形成部
21 定着ベルト
20 定着装置
34 ヒーター温度制御部
35 ヒーター
36 サーミスタ(ヒーター温度検知部)
80 制御部
60 ヒーター電力切替駆動部
61 ヒューズ
62 リレー
63 遮断回路
65 第1のTRIAC
64 第2のTRIAC
66 第3のTRIAC
図1
図2
図3
図4