(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176956
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】監視カメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 23/57 20230101AFI20241212BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20241212BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241212BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N23/57
H04N23/56
G03B15/00 S
G03B15/03 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095863
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 征嗣
(72)【発明者】
【氏名】山田 英明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 康司
(72)【発明者】
【氏名】小西 飛香瑠
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122DA16
5C122EA54
5C122FB03
5C122GD04
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GG07
5C122GG17
5C122GG19
(57)【要約】
【課題】広角レンズと狭角レンズがドームカバーに接触することを防ぐ。
【解決手段】監視カメラは、第1赤外光を照射する第1赤外照射部と、第1赤外光より狭い照射角度を有する第2赤外光を照射する第2赤外照射部と、第1赤外光及び第2赤外光の少なくとも一方の照射領域からの光が入射する撮像レンズを有し、チルト軸回りで回転自在なカメラ部本体と、カメラ部本体を覆うドームカバーと、を備える。第1赤外照射部は、第1赤外光の第1光源と、第1光源を載置する第1台座と、を有し、第2赤外照射部は、第2赤外光の第2光源と、第2光源を載置する第2台座と、を有し、カメラ部本体を左右方向から挟むように設けられた第1光源と第2光源との配置が上下方向で異なる。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1赤外光を照射する第1赤外照射部と、
前記第1赤外光より狭い照射角度を有する第2赤外光を照射する第2赤外照射部と、
前記第1赤外光及び前記第2赤外光の少なくとも一方の照射領域からの光が入射する撮像レンズを有し、カメラ部本体と、前記カメラ部本体を覆うドームカバーと、を備え、
前記第1赤外照射部は、前記第1赤外光の第1光源と、前記第1光源を載置する第1台座と、を有し、
前記第2赤外照射部は、前記第2赤外光の第2光源と、前記第2光源を載置する第2台座と、を有し、
前記カメラ部本体の側面に隣接して設けられた、前記第1光源と前記第2光源との配置が上下方向で異なる、
監視カメラ。
【請求項2】
前記第1台座と前記第2台座との配置が上下方向で異なる、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記第1光源は、前記第2光源よりも前記ドームカバー側に配置される、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記第1台座に、前記第1光源からの光を広角に出射する広角レンズが配置され、
前記第1台座よりも前記ドームカバー側にある前記第2台座に、前記第2光源からの光を前記広角レンズより狭角に出射する狭角レンズが配置される、
請求項2に記載の監視カメラ。
【請求項5】
前記広角レンズと前記第1光源との間の距離は、前記狭角レンズと前記第2光源との間の距離よりも短い、
請求項4に記載の監視カメラ。
【請求項6】
前記狭角レンズの頂点位置は、前記広角レンズの頂点位置よりも前記ドームカバーに近い、
請求項4に記載の監視カメラ。
【請求項7】
前記第1台座に3つの光源、前記第2台座に3つの光源がそれぞれ配置され、
前記第1台座には、前記3つの光源のうち2つの前記第1光源及び前記第1光源に応じた2つの前記広角レンズと、前記3つの光源のうち残り1つの光源及び前記残り1つの光源に応じた1つの中間レンズと、が配置され、
前記第2台座には、前記3つの光源のうち2つの前記第2光源及び前記第2光源に応じた2つの前記狭角レンズと、前記3つの光源のうち残り1つの光源及び前記残り1つの光源に応じた1つの中間レンズと、が配置される、
請求項4に記載の監視カメラ。
【請求項8】
一端側において前記第2台座を形成し、前記第2台座を前記カメラ部本体に当接して固定する狭角側金具、を更に備える、
請求項7に記載の監視カメラ。
【請求項9】
一端側において前記第1台座を形成し、中間部材を介在させて前記第1台座を前記カメラ部本体に固定する広角側金具、を更に備える、
請求項8に記載の監視カメラ。
【請求項10】
前記第1光源と前記第2光源とは、前記カメラ部本体を左右方向から挟むように設けられる、
請求項1に記載の監視カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車内監視用の低照度環境下において、強い発光強度の照明下で高い視認性が得られる撮像箇所について、低い消費電力で高い視認性を得る低照度対応カメラが開示されている。この低照度対応カメラは、広角レンズ、カメラユニット、広角LED及び狭角LEDを有する照明ユニット、を備える。照明ユニットの広角LED及び狭角LEDは、いずれも同じ発光強度を有するが、それぞれの光出射面に配置される出射レンズが異なる。そのため、出射角が広い出射レンズが用いられる広角LEDは、出射強度が低く照射距離が短い。一方、出射角が狭い出射レンズが用いられる狭角LEDは、出射強度が高く照射距離が長い。この低照度対応カメラにおいて、広角LEDと狭角LEDが広角レンズに対して左右方向に並ぶように配置した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像ユニットおよび出射レンズをカメラ筐体およびドームカバーで覆った屋外用の監視カメラでもカメラ筐体内の撮像ユニットを挟んで配置した台座の一方に広角レンズ、他方に狭角レンズを設ける場合がある。しかし、広角レンズと狭角レンズでは高さ、大きさが異なるため、撮像ユニットに対して同じ高さになっている台座に広角レンズと狭角レンズを配置するとドームカバーに広角レンズや狭角レンズが干渉する可能性があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、ドームカバーと広角レンズや狭角レンズの干渉を防止できる監視カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、第1赤外光を照射する第1赤外照射部と、前記第1赤外光より狭い照射角度を有する第2赤外光を照射する第2赤外照射部と、前記第1赤外光及び前記第2赤外光の少なくとも一方の照射領域からの光が入射する撮像レンズを有し、カメラ部本体と、前記カメラ部本体を覆うドームカバーと、を備え、前記第1赤外照射部は、前記第1赤外光の第1光源と、前記第1光源を載置する第1台座と、を有し、前記第2赤外照射部は、前記第2赤外光の第2光源と、前記第2光源を載置する第2台座と、を有し、前記カメラ部本体を左右方向から挟む、前記第1光源と前記第2光源との配置が上下方向で異なる、監視カメラを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ドームカバーと広角レンズや狭角レンズの干渉を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】各台座における各レンズの配置を説明する模式図
【
図9】広角側金具と狭角側金具の取り付けられたカメラユニット本体を正面側から見た斜視図
【
図10】広角側金具と狭角側金具の取り付けられたカメラユニット本体を後側から見た斜視図
【
図11】狭角側金具の取り付けられたカメラユニット本体を右側から見た側面図
【
図12】狭角側金具の右側面を斜め後方より見た斜視図
【
図13】狭角側金具の正面を斜め下前方より見た斜視図
【
図18】広角側金具の取り付けられたカメラユニット本体を左側から見た側面図
【
図19】広角側金具の左側面を斜め後方より見た斜視図
【
図20】広角側金具の正面を斜め下前方より見た斜視図
【
図22】左右のLED台座に広角レンズと狭角レンズとがシンメトリーに配置された比較例1に係る構成を正面から見た模式図
【
図23】左右のLED台座に広角レンズと狭角レンズと中間レンズとがシンメトリーに配置された比較例2に係る構成を下側より見た模式図
【
図24】1つのLED台座に広角レンズと狭角レンズと中間レンズとがシンメトリーに配置された比較例3に係る構成を下側から見た模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る監視カメラを具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を同一の符号を付与することで省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
図1は、実施の形態1に係る監視カメラ11の外観正面図である。監視カメラ11は、支持パイプ13等に固定されるブラケット15と、カメラ部本体33(
図2参照)を備えてブラケット15に吊り下げられて支持されるメイン筐体17と、を有する。メイン筐体17は、ブラケット15に吊り下げられた状態で固定される回転台座19と、回転台座19に対して回転自在となって吊り下げられた状態で支持されるカメラ筐体21と、を有する。カメラ筐体21は、回転台座19に対してパン軸23を中心に回転自在に支持される。パン軸23は、鉛直方向に沿う仮想軸線である。
【0011】
監視カメラ11は、この他、カメラ筐体21に固定されるドームカバー25を備える。ドームカバー25は、中央の撮像窓部27と、この撮像窓部27を挟む左右の投光窓部29と、を有する。撮像窓部27と投光窓部29とは、連結体31で接続される。
【0012】
支持パイプ13は、例えば天井或いは壁、ポール等に固定される。ブラケット15は、例えば円錐形状で形成される。ブラケット15は、この他、回転台座19に係止する係止構造を下面側(つまりメイン筐体17側)に有し、ポール或いは壁等に固定される支持金具であってもよい。ブラケット15に支持される回転台座19は、ブラケット15の円錐部における底面の直径とほぼ等しい円筒形の外形を有する。
【0013】
図2は、カメラ部本体33の斜視図である。カメラ筐体21(
図1参照)には、カメラ部本体33が収容されている。カメラ部本体33は、第1赤外光(後述参照)及び第2赤外光(後述参照)の少なくとも一方の照射領域からの光が入射する撮像レンズ35を備え、チルト軸37回りで回転自在となってカメラ筐体21に支持される。チルト軸37は、パン軸23(
図1参照)に直交する仮想軸線である。カメラ部本体33は、このチルト軸37を回転中心にしてカメラ筐体21(
図1参照)に回転自在に支持される。
【0014】
なお、本明細書中の方向は、各図に示したX軸、Y軸、Z軸に付した矢印の方向にしたがう。ここで、X方向は右方向、Y方向は前方向、Z方向は下方向を示す。したがって、図示は省略するが、-X方向は左方向、-Y方向は後方向、-Z方向は上方向となる。また、直交軸の交点に付した点を囲む円は紙面前側に向いて矢印が延在する方向、直交軸の交点に付したXを囲む円は紙面後側に向いて矢印が延在する方向を示す。また、以下の説明において、カメラ部本体33は、レンズ中心軸39に沿う方向を上下方向とする。
【0015】
カメラ部本体33は、球面(言い換えると、球体)を、この球面の中心を挟む一対の平行な面で切り取った略円筒形(バレル形)のカメラカバー41と、このカメラカバー41により中央部が覆われるカメラユニット本体43と、を少なくとも有する。カメラカバー41は、レンズ中心軸39に直交する面で上下に分けられるリヤカバー45とフロントカバー47とが組み合わされて構成される。フロントカバー47には、撮像レンズ35を表出させる撮像レンズ開口49が形成されている。撮像レンズ開口49に表出する撮像レンズ35は、撮像窓部27に配置されることにより、被写体からの撮像光(言い換えると、第1赤外光(後述参照)及び第2赤外光(後述参照)の少なくとも一方の照射領域からの光)が入射可能となっている。
【0016】
カメラユニット本体43には、後述する広角側金具83(
図8A、
図8B参照)と狭角側金具79(
図8A、
図8B参照)とが固定される。広角側金具83には、チルト軸37を軸心とする従動軸51(
図8A、
図8B参照)が左側へ向かって突出する。狭角側金具79には、チルト軸37を軸心とする主軸53が右側へ向かって突出する。カメラ部本体33は、これら主軸53と従動軸51とが、カメラ筐体21内に設けられる軸受(図示略)に回転自在に支持されることによりチルト回転される。
【0017】
カメラ部本体33は、カメラカバー41の左側から突出する第1LED台座55と、カメラカバー41の右側から突出する第2LED台座57と、を有する。第1LED台座55は、第1台座の一例である。第2LED台座57は、第2台座の一例である。第1LED台座55は、広角側金具83に形成される(
図8A、
図8B参照)。第2LED台座57は、狭角側金具に形成される(
図8A、
図8B参照)。第1LED台座55には、2つの広角照光部59と、1つの中距離照光部61とが設けられる。2つの広角照光部59は、第1赤外照射部の一例である。第2LED台座57には、2つの狭角照光部63と、1つの中距離照光部61とが設けられる。2つの狭角照光部63は、第2赤外照射部の一例である。第1LED台座55は、一方の投光窓部29に対向配置される。第2LED台座57は、他方の投光窓部29に対向配置される。これにより、それぞれのLED台座に配置されたLEDからの光が投光窓部29から被写体へ向けて照射可能となっている。LED(Light Esmission Diode)は、第1光源及び第2光源のそれぞれの一例である。
【0018】
図3は、
図2に示したカメラ部本体33の下面図である。カメラ部本体33では、夜間撮影等のために赤外光を照射するLEDが、第1LED台座55に3灯、第2LED台座57に3灯配置される。第1LED台座55には、3灯のLEDのうち2灯のLEDのそれぞれに対応して2つの広角レンズ65と、3灯のLEDのうち残り1灯のLEDに対応して中距離の被写体を照明する1つの中間レンズ67と、が配置されている。第2LED台座57には、3灯のLEDのうち2灯のLEDのそれぞれに対応して2つの狭角レンズ69と、3灯のLEDのうち残り1灯のLEDに対応して中距離の被写体を照明する1つの中間レンズ67と、が配置されている。LEDには、各レンズが一対一で対応して設けられる。つまり、LEDとレンズとは3つずつの同数となる。
【0019】
図4は、各台座における各レンズの配置を説明する模式図である。すなわち、カメラ部本体33は、撮像レンズ35を挟んで左側の第1LED台座55に、2灯の広角照光部59が集約されており、撮像レンズ35を挟んで右側の第2LED台座57に2灯の狭角照光部63が集約されている。一方、2つの中距離照光部61は、1灯が撮像レンズ35を挟んで左側の第1LED台座55に配置され、もう1灯が撮像レンズ35を挟んで右側の第2LED台座57に配置されて分散されている。なお、後述するように、中距離照光部61の配置は、これに限定されない。
【0020】
監視カメラ11では、より高い照射精度が必要となる狭角レンズ69を片側の第2LED台座57のみに集約配置することで、厳格な光軸調整が片側の第2LED台座57のみで済むように構成されている。また、高い部品配置精度も片側の第2LED台座57のみで済むように構成されている。
【0021】
図5は、レンズ配置の変形例を表す模式図である。なお、監視カメラ11は、左右の中間レンズ67も片側に寄せることで調整及び部品配置精度を優先にすることができる。すなわち、第1LED台座55に2つの中間レンズ67だけを集約することで、第2LED台座57をより狭角用の調整及び部品配置精度に特化させた構成とすることができる。また、第1LED台座55をより広角用及び中距離用の調整及び部品配置精度に特化させた構成とすることができる。実施の形態1の構成(
図4)又は変形例の構成(
図5)のどちらを採用するかは、以下2つの制約条件で決定される。1つは、LED台座に搭載した時のサイズの制約である。2つは、発熱源であるLEDが3:3の構成から2:4となるための熱的制約(つまり、放熱のし易さ)である。すなわち、実施の形態1の構成(
図4参照)は、サイズ及び放熱性能が優先となる。一方、変形例の構成(
図5参照)は、調整及び部品配置精度が優先となる。
【0022】
図6は、
図3に示したカメラ部本体33の正面図である。正面視でカメラ部本体33は、撮像方向が下を向く。
図6に示すように、カメラ部本体33は、カメラ部本体33を左右方向から挟む第1LED台座55と第2LED台座57との配置が上下方向で異なる。これにより、第1LED台座55に設けられるLED71a(
図8A、
図8B参照)と、第2LED台座57に設けられるLED71b(
図8A、
図8B参照)との配置が上下方向において異なっている。具体的には、第1LED台座55の方が、第2LED台座57に比べて下側に位置している。したがって、第1LED台座55に設けられるLED71a(
図8A、
図8B参照)の方が、第2LED台座57に設けられるLED71b(
図8A、
図8B参照)に比べて下側に位置している。
【0023】
図7は、左右の台座位置の差異を表した模式図である。第1LED台座55に設けられるLED71a、第2LED台座57に設けられるLED71bは、それぞれ照明基板73(
図8A、
図8B参照)に実装される。照明基板73は
図7では図示を省略している。第1LED台座55に設けられる照明基板73には、LED71aに光軸75(
図8A、
図8B参照)を合わせた広角レンズ65が実装される。同様に、第2LED台座57に設けられる照明基板73には、LED71bに光軸75(
図8A、
図8B参照)を合わせた狭角レンズ69が実装される。照明基板73は、台座の設置面77(
図8A、
図8B参照)に平行に密着して取り付けられる。したがって、上下方向で異なる位置に存在する台座に設けられるLED71a、71bは、それぞれ上下方向で異なる配置となる。上下方向で異なる台座とすることにより、左右のレンズ配置を別にできる。すなわち、レンズ配置の設計自由度が高められている。
【0024】
例えば
図7に示すように広角レンズ65は狭角レンズ69に比べてより下側に配し、照射角度を稼ぎやすくできる。なお、広角レンズ65と狭角レンズ69との上下位置は、これに限定されない。広角レンズ65は、ケラレが生じなければ、狭角レンズ69よりも上側に配置されてもよい。実施の形態1では、
図6に示したように、広角レンズ65よりも狭角レンズ69における頂点Vの位置を被写体に近くしている。これにより、広角レンズ65の頂点を狭角レンズ69の頂点よりも上側に配置することで全体構造のコンパクト化に寄与する構成としている。
【0025】
狭角レンズ69は、広角レンズ65よりもバックフォーカス長が長い光学特性を有しており、必要な照射パワーを長距離に照射する必要がある。このため、狭角レンズ69の頂点Vが設置面77から高く(長く)なり、大口径化しやすい傾向にある。すなわち、狭角レンズ69の明るさ(Fno)は、(Fno)=f(焦点距離)/faiで表される。つまり、長距離のレンズとする場合、fが長くなり、必要な瞳径は大きくなる。このため、レンズとLEDとの距離関係において、広角レンズ65とLED71aの距離よりも、狭角レンズ69とLED71bの距離が長く設定される。監視カメラ11では、狭角レンズ69、LED71bの設置面77を上側に配置することで、狭角レンズ69が前突せずに、ドームカバー25との干渉が起きにくくなっている。また、全体構造の最小化(コンパクト化)にも貢献している。
【0026】
図8Aは、
図3のA-A断面図である。カメラ部本体33の主軸53は、第2LED台座57が形成された狭角側金具79により形成される。狭角側金具79の下端側が基準面81(後述参照)に対して略直角かつ右方向に突出して折り曲げられて第2LED台座57が形成されている。カメラユニット本体43には、レンズ中心軸39と平行かつ距離を一定に定められた基準面81が設けられる。主軸53が形成された狭角側金具79は、この基準面81に当接する。基準面81と、狭角側金具79のうち基準面81と当接した面と、をビス等の締結部材を用いて固定する。
【0027】
一方、カメラ部本体33の従動軸51は、第1LED台座55が形成された広角側金具83に形成される。広角側金具83の下端側が従属面85(後述参照)に対して略直角かつ左方向に突出して折り曲げられて第1LED台座55が形成されている。カメラユニット本体43には、従属面85が設けられる。従動軸51が形成された広角側金具83は、この従属面85に中間部材(従属部品)を介して間接的に固定される。実施の形態1において、中間部材とは、例えば狭角側金具79と、後述するゴムワッシャである。
【0028】
図9は、広角側金具83と狭角側金具79の取り付けられたカメラユニット本体43を正面側から見た斜視図である。
図10は、広角側金具83と狭角側金具79の取り付けられたカメラユニット本体43を後側から見た斜視図である。
図11は、狭角側金具79の取り付けられたカメラユニット本体43を右側から見た側面図である。
図12は、狭角側金具79の右側面を斜め後方より見た斜視図である。
図13は、狭角側金具79の正面を斜め下前方より見た斜視図である。
【0029】
広角側金具83は、カメラユニット本体43に固定された狭角側金具79に対して正面側がビス87により固定される。広角側金具83は、カメラユニット本体43に固定された狭角側金具79に対して後面側が上下2箇所のビス87により固定される。狭角側金具79は、右側面が、下部1箇所、上部1箇所でカメラユニット本体43にビス87で固定される。
【0030】
狭角側金具79には、
図10に示した広角側金具83を上下2箇所で固定するためのビス87が螺合する雌ねじ部89が、上下2箇所に形成されている。狭角側金具79には、
図9に示した広角側金具83を上下方向の上寄りで固定するためのビス87を螺合させる雌ねじ部89がボス部91に形成されている。
【0031】
図14は、
図11に示すB部を下方にずらした視点で見た拡大図である。
図15は、
図14のC-C断面図である。狭角側金具79に固定された第2LED台座57には、左方向へビス87をカメラユニット本体43に締結するための半円筒壁部93が設けられている。この半円筒壁部93には、照明基板73を取り付ける前に、ビス87が狭角側金具79を左方向に貫通してカメラユニット本体43に締結される。
【0032】
図14に示した半円筒壁部93から左方向で透孔95に挿入されたビス87は、第2LED台座57が延出する台座基端近傍部97で狭角側金具79を貫通してカメラユニット本体43に締結される。これにより、狭角側金具79の台座基端近傍部97が、カメラユニット本体43の基準面81に当接して固定される。なお、台座基端近傍部97には、基準面81から突出した位置決めピン99が嵌入する位置決め孔101が穿設されている。台座基端近傍部97は、位置決めピン99が位置決め孔101に嵌入することでカメラユニット本体43の基準面81に対してYZ方向が位置決めされる。
【0033】
図16は、
図11のD-D断面図である。狭角側金具79は、右側板下部103に、透孔95が穿設される。透孔95の近傍には位置決め孔101が穿設される。右側板下部103の透孔95に挿入されたビス87は、狭角側金具79を貫通してカメラユニット本体43に締結される。これにより、狭角側金具79の右側板下部103が、カメラユニット本体43の基準面81に当接して固定される。右側板下部103は、位置決めピン99が位置決め孔101に嵌入することでカメラユニット本体43の基準面81に対してYZ方向が位置決めされる。
【0034】
図17は、
図11のE-E断面図である。狭角側金具79は、右側板上部105に、透孔95が穿設される。透孔95の近傍には位置決め孔101が穿設される。右側板上部105の透孔95に挿入されたビス87は、狭角側金具79を貫通してカメラユニット本体43に締結される。これにより、狭角側金具79の右側板上部105が、カメラユニット本体43の基準面81に当接して固定される。右側板上部105は、位置決めピン99が位置決め孔101に嵌入することでカメラユニット本体43の基準面81に対してYZ方向が位置決めされる。
【0035】
図18は、広角側金具83の取り付けられたカメラユニット本体43を左側から見た側面図である。
図19は、広角側金具83の左側面を斜め後方より見た斜視図である。
図20は、広角側金具83の正面を斜め下前方より見た斜視図である。
図21は、
図18に示したG-G断面図である。
【0036】
広角側金具83は、その左側面が、下部1箇所、上部1箇所でカメラユニット本体43に段付ビス107で固定される。広角側金具83には、
図10に示した狭角側金具79に対して上下2箇所で固定するための上固定片109と下固定片111とが後方へ向かって突出する。上固定片109と下固定片111とのそれぞれには、透孔95と位置決め孔101とが穿設される。上固定片109は、
図13に示す狭角側金具79の上被固定片113に固定される。下固定片111は、
図13に示す狭角側金具79の下被固定片115に固定される。上固定片109と下固定片111とに穿設された透孔95には、ビス87が挿通される。上固定片109と下固定片111に穿設された位置決め孔101には、上被固定片113と下被固定片115のそれぞれから突出する位置決めピン99が嵌入する。
【0037】
広角側金具83には、
図9に示した狭角側金具79のボス部91に固定される固定脚部117が形成されている。固定脚部117には、ビス87の挿入される透孔95が穿設される。固定脚部117は、透孔95に挿入されたビス87がボス部91(
図9参照)に締結されることにより狭角側金具79に固定される。
【0038】
広角側金具83は、
図18に示した段付ビス107のF-F断面が
図16に示す段付ビス107の位置で表されている。
図16に示すように、段付ビス107は、先端側の小径な雄ねじ部119と、頭部に連続する大径の首下部121との間が段差となっている。段付ビス107が挿入される透孔95には、ゴムワッシャ123が装着される。ゴムワッシャ123は、内穴125を有する円筒状に形成され、透孔95の内径部127を嵌入させる周溝129が外周面に形成される。ゴムワッシャ123は、周溝129を透孔95の内径部127に嵌入して透孔95に装着される。透孔95に装着されたゴムワッシャ123は、内穴125に挿通された段付ビス107の首下部121が貫通する。内穴125を貫通した段付ビス107の雄ねじ部119がカメラユニット本体43の従属面85に締結されると、透孔95の内径部127をゴムワッシャ123で挟んでいるので、カメラユニット本体43と広角側金具83との間には隙間Sができる。すなわち、広角側金具83は、カメラユニット本体43の従属面85との間に隙間を有して固定される。
【0039】
段付ビス107は、G-G断面においてもF-F断面と同様に、周溝129を透孔95の内径部127に嵌入したゴムワッシャ123の内穴125に挿通されてカメラユニット本体43の従属面85に締結される。したがって、上述と同様に、広角側金具83は、透孔95の内径部127をゴムワッシャ123で挟んでいるので、カメラユニット本体43と広角側金具83との間には隙間Sができる。すなわち、広角側金具83は、カメラユニット本体43の従属面85との間に隙間を有して固定される。
【0040】
このように、カメラユニット本体43の従属面85との間に隙間を有することで、例えば温度上昇によりカメラユニット本体43や従属面85が膨張した場合にカメラユニット本体43が従属面85に引き寄せられることを防ぐことができる。
これにより、従属面85にカメラユニット本体43が引き寄せられ、カメラユニット本体43内部に配置された撮像レンズ35の位置が変わることを防ぎ、レンズ中心軸39に対する狭角レンズ69の距離の変化や傾きを防ぐことができる。
【0041】
また、LED71bと撮像レンズ35との間に、遮光シートを配置してもよい。より具体的には、
図8Bを参照して説明すると、フロントカバー47の側面に沿って、狭角側金具79のうち第2LED台座57よりも下側の面に遮光シート80aが配置されてもよい。また、遮光シート80aの取付位置は上記した配置位置に限定されず、LED71bと撮像レンズ35との間であれば構わない。他には、遮光シート80bは、例えば狭角レンズ69の狭角側金具79及びフロントカバー47の側面と対向する面や狭角レンズ69の内周面に沿うように配置されてもよい。これにより、LED71bと狭角レンズ69との間から漏れた光が撮像レンズ35に入ることを防ぐことができ、監視カメラ11による撮像画像の画質劣化が抑制される。
【0042】
図25は、レンズ配置の更なる変形例を表す模式図である。具体的には、
図25の例では、狭角レンズ69及び中間レンズ67を集約した台座が左側に配置され、広角レンズ65及び中間レンズ67を集約した台座が前側に配置されている。つまり、第1LED台座55と第2LED台座57とがカメラ部本体33に対して左右対称に設けられなくてもよい。なお、
図25に示した例に限らず、第1LED台座55及び第2LED台座57は左側と後側に配置してもよいし、前側と後側、右側と下側、右側と前側に配置してもよい。これにより、監視カメラ11の筐体内スペースの大きさに応じて、第1LED台座55及び第2LED台座57の配置自由度が向上する。
【0043】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0044】
実施の形態1に係る監視カメラ11は、第1赤外光(
図7の広角レンズ65を透過するう赤外光)を照射する第1赤外照射部と、第1赤外光より狭い照射角度を有する第2赤外光(
図7の狭角レンズ69を透過する赤外光)を照射する第2赤外照射部と、第1赤外光及び第2赤外光の少なくとも一方の照射領域からの光が入射する撮像レンズ35を有し、カメラ部本体33と、カメラ部本体33を覆うドームカバー25と、を備える。撮像レンズ35のレンズ中心軸39に沿う方向を上下方向、チルト軸37に沿う方向を左右方向、レンズ中心軸39及びチルト軸37に直交する方向を前後方向とする。第1赤外照射部は、第1光源(LED71a)と、第1赤外光の第1光源(LED71a)を載置する第1台座(第1LED台座55)と、を少なくとも有する。第2赤外照射部は、第2光源(LED71b)と、第2赤外光の第2光源(LED71b)を載置する第2台座(第2LED台座57)と、を少なくとも有する。カメラ部本体33の側面に隣接して設けられた、第1台座(第1LED台座55)と第2台座(第2LED台座57)との配置が上下方向で異なる。また、第1光源(LED71a)と第2光源(LED71b)との配置が上下方向で異なってよい。監視カメラ11は、いわゆるPTZカメラに限定されず、パン回転やチルト回転をしない固定カメラであっても構わない。
【0045】
また、監視カメラ11において、第1光源(LED71a)と第2光源(LED71b)とは、カメラ部本体33を左右方向から挟むように設けられてもよい。
【0046】
実施の形態1に係る監視カメラ11では、第1LED台座55と第2LED台座57とが、カメラ部本体33を左右方向から挟むようにして設けられる。カメラ部本体33は、撮像レンズ35を有する。つまり、第1LED台座55と第2LED台座57とは、カメラ部本体33のレンズ中心軸39を挟んで配置される。第1LED台座55と第2LED台座57のそれぞれには、同一のLED(例えばLED71a、71b)が複数で配置される。
【0047】
LED71a、71bは、いずれも同じ発光強度をもつ。LED71a、71bは、被写体との間に出射レンズを設けることで照光部を構成する。そのため、出射角が広い広角レンズ65を備える広角照光部59(第1赤外照射部)は、出射強度が低く照射距離が短い。一方、出射角が狭い狭角レンズ69を備える狭角照光部63(第2赤外照射部)は、出射強度が高く照射距離が長い。
【0048】
図22は、左右のLED台座に広角レンズ65と狭角レンズ69とがシンメトリーに配置された比較例1に係る構成を正面から見た模式図である。
図22では、広角レンズ65と狭角レンズ69とのペアが、左右それぞれのLED台座に配置されている。つまり、広角レンズ65と狭角レンズ69とのペアが、上下方向において同一の高さであってカメラユニット本体43を中心に左右で対称的に配置されている。
図22の比較例1に係る構成では、バックフォーカス長の短い広角レンズ65による照明が、バックフォーカス長の長い狭角レンズ69の一部に進入することにより、カメラユニット本体43による撮像画像にケラレが生じる場合が生じる。
【0049】
図23は、左右のLED台座に広角レンズ65と狭角レンズ69と中間レンズ67とがシンメトリーに配置された比較例2に係る構成を下側より見た模式図である。比較例2に係る構成では、左右それぞれのLED台座に数種類(具体的には3種類)のバックフォーカス長が異なるレンズを有する必要がある。このため、それぞれの照射方向を撮像レンズ35に対して合わせるのが難しい。すなわち、光軸調整に手間がかかる。また、LED調整が左右分必要になるため、リード線が増える問題がある。
【0050】
図24は、1つのLED台座に広角レンズ65と狭角レンズ69と中間レンズ67とがシンメトリーに配置された比較例3に係る構成を下側から見た模式図である。台座を1つとした比較例3に係る構成では、撮像レンズ35に対して、台座を前後方向に並べなければならないので、チルト回転機構を考慮した場合、カメラの外径が大きくなる問題が生じる。また、撮像レンズ35に対して台座が肥大化してデザイン上のバランスが悪くなる。
【0051】
これに対し、監視カメラ11では、
図7に示したように、第1LED台座55と第2LED台座57との配置が、上下方向で異なる。ここでいう上下方向とは、レンズ中心軸39に沿う方向である。そのため、第1LED台座55と第2LED台座57とのそれぞれに配置されたLED71a、71bと被写体との間の距離は、異なる。すなわち、左右どちらか一方のLED71a或いはLED71bが上へ上がって(つまり、被写体から遠い位置へ後退して)いる。これにより、監視カメラ11は、レンズ配置の自由度が上がり、全体構造のコンパクト化、ケラレ抑制に対しての設計自由度が向上されている。
【0052】
例えば出射強度が高く照射距離が長い狭角レンズ69を有する狭角照光部63は、
図7に示すように、バックフォーカス長(BF)が広角照光部59よりも長くなり、必要な瞳径も大きくなる。このため、広角照光部59と狭角照光部63とが
図22に示したように、同一の取付平面に設置された場合では、狭角照光部63の狭角レンズ69が被写体側に大きく突出し、ケラレの要因となる。
【0053】
これに対し、監視カメラ11では、第1LED台座55と第2LED台座57との配置が上下方向で異なるので、左右のレンズ配置を別にでき、レンズ配置の自由度を高めることができる。例えば被写体側に大きく突出する狭角レンズ69を備える狭角照光部63を、上側(被写体から遠い側)の台座に配置する選択が可能となる。また、広角照光部59は下側(被写体に近い側)に配し、照射角度を稼ぎやすくできる。これにより、被写体側に大きく突出する狭角レンズ69によって、広角照光部59の広角レンズ65から出射される広角の照明がケラレにくくできる(すなわち、設計自由度が向上する)。
【0054】
また、狭角レンズ69を備える狭角照光部63は、照射距離が長いので、複数の狭角照光部63を設けた場合、照射領域を重ね合わせる配慮が必要となる。左右のLED台座に広角レンズ65と狭角レンズ69とがシンメトリーに配置された
図22に示す比較例1に係る構成では、カメラユニット本体43を挟んで離間した2つの狭角レンズ69において光軸調整が必要となるため、台座ごとに部品要求精度が厳しくなり、コストが増大する。
【0055】
これに対し、監視カメラ11では、上下の位置が異なる第1LED台座55と第2LED台座57の内、
図7に示すバックフォーカス長(BF)が長い狭角照光部63を上側(被写体から遠い側)の台座に集約して
図4に示すように配置することにより、片側(右側)の台座のみの部品要求精度を確保すれば良いことになる。すなわち、ケラレを抑制しながら部品要求精度の高い部品を削減し、製造コストを抑えることが可能となる。また、バックフォーカス長が長い狭角照光部63を上側の台座に集約して配置することが可能となるので、狭角照光部同士のレンズ中心軸39を近接させることができ、照明の重ね合わせ、すなわち照明の狭角化が容易となる。その結果、監視カメラ11では、より精度が必要な狭角レンズ69を第1LED台座55と第2LED台座57の一方に集約することで、シビアな光軸調整を片方のみとし、高い部品要求精度も片側のみとすることができる。
【0056】
また、第1光源(LED71a)は、第2光源(LED71b)よりもドームカバー25側に配置される。
【0057】
この監視カメラ11では、第1光源(LED71a)が第2光源(LED71b)よりもドームカバー25側に配置されることになる。広角レンズ65とLED71aとの距離よりも、狭角レンズ69とLED71bとの距離が長く設定される。したがって、LED71bよりもLED71aがドームカバー25側に配置されることにより、狭角レンズ69が前突せずにドームカバー25との干渉が起きにくくなる。
【0058】
また、監視カメラ11では、第1台座(第1LED台座55)に、第1光源(LED71a)からの光を広角に出射する広角レンズ65が配置される。第1台座(第1LED台座55)よりもドームカバー25側にある第2台座(第2LED台座57)に、第2光源(LED71b)からの光を広角レンズ65より狭角に出射する狭角レンズ69が配置される。
【0059】
この監視カメラ11では、下側(被写体に近い側)の第1LED台座55に広角レンズ65が配置され、第1LED台座55よりも上側(被写体から遠い側)にある第2LED台座57に狭角レンズ69が配置される。これにより、監視カメラ11では、異なる照明レンズを使用することにより、目標仕様に合わせて出射強度、照射角を自由に設計することが可能となっている。狭角レンズ69は、必要な出射強度を長距離に照射する必要がある。このため、レンズの頂点Vが設置面77から高くなり、かつ大口径化しやすい傾向にある。
【0060】
監視カメラ11では、狭角レンズ側のレンズ設置面(すなわち、第2LED台座57)を上側(被写体から遠い側)に配置することで、狭角レンズ69が前突せず、全体構造の最小化にも貢献している。また、広角レンズ65と狭角レンズ69とを個別にして、第1LED台座55と第2LED台座57とに分けて配置できるので、個別の特性を出しやすい配置が可能となり、レンズ同士のケラレも考慮しやすくできる。
【0061】
また、監視カメラ11では、広角レンズ65と第1光源(LED71a)との間の距離は、狭角レンズ69と第2光源(LED71b)との間の距離よりも短い。
【0062】
この監視カメラ11では、狭角レンズ69とLED71bとの間の距離、すなわちバックフォーカス長が、広角レンズ65とLED71aとの間の距離、すなわちバックフォーカス長よりも長く設定される。監視カメラ11では、上述したように狭角レンズ側のレンズ設置面を上側に配置するので、狭角レンズ69のバックフォーカス長を長く設定しても狭角レンズ69の前突を抑制できる。これにより、同じ発光強度をもつLED71a、71bを採用しながら、狭角レンズ69を備える狭角照光部63の出射強度を広角照光部59よりも高く設定することが可能となる。その結果、異なる仕様のLEDと異なる仕様の照明レンズとを採用して照光部を構成する場合に比べ、同じ仕様のLED71a、71bを採用して構成できるので複数部品を標準化・共通化でき、製品コストを安価にできる。
【0063】
また、監視カメラ11では、狭角レンズ69の頂点位置は、広角レンズ65の頂点位置よりも第1赤外光及び第2赤外光のうち少なくとも1つの照射領域の被写体に近い。
【0064】
この監視カメラ11では、狭角レンズ69の頂点位置が、広角レンズ65の頂点位置よりも被写体に近く、すなわち、下側(被写体に近い側)に配置される。言い換えると、狭角レンズ69の頂点位置が、広角レンズ65の頂点位置よりもドームカバー25側に配置される。監視カメラ11は、カメラ部本体33と、カメラ部本体33を挟む2つの台座とが、同一のドームカバー25によって覆われる。中央の撮像レンズ35は、ドームカバー25の一部分である撮像窓部27に覆われる。カメラ部本体33を挟む左右両側の第1LED台座55および第2LED台座57は、撮像窓部27の両側部分である2つの投光窓部29に覆われる。
【0065】
ここで、狭角レンズ69を備える狭角照光部63は、広角レンズ65を備える広角照光部59よりも上側(被写体から遠い側)の第2LED台座57に配置される。狭角照光部63は、バックフォーカス長が長いので、広角照光部59よりも上下方向に大きな収容スペースが必要となる。そのため、狭角照光部63は、狭角レンズ69が可能な限り投光窓部29に近接して配置(限界設計)される。これにより、第2LED台座57の位置を決めることができる。
【0066】
一方、バックフォーカス長が狭角照光部63よりも短い広角照光部59は、狭角照光部63よりも小さな収容スペースでの収容が可能となる。このため、広角照光部59を設ける第1LED台座55は、第2LED台座57よりも下側(被写体に近い側)での配置が可能となる。広角レンズ65は、狭角レンズ69よりも前突しない位置で、かつケラレが生じない上下位置に配置することで、装置全体のコンパクト化を損ねることなく、ケラレを防止できる。換言すれば、広角レンズ65は、狭角レンズ69よも前突せず、ケラレが生じない範囲であれば、自由な上下位置で設置が可能となる。
【0067】
また、監視カメラ11では、第1台座(第1LED台座55)に3つの光源、第2台座(第2LED台座57)に3つの光源がそれぞれ配置される。第1台座(第1LED台座55)には、3つの光源のうち2つの第1光源(LED71a)及び第1光源に応じた2つの広角レンズ65と、3つの光源のうち残り1つの光源(LED)及び残り1つの光源に応じた1つの中距離の被写体を照明する1つの中間レンズ67と、が配置される。第2台座(第2LED台座57)には、3つの光源のうち2つの第2光源(LED71b)及び第2光源に応じた2つの狭角レンズ69と、3つの光源のうち残り1つの光源(LED)及び残り1つの光源に応じた1つの中距離の被写体を照明する1つの中間レンズ67と、が配置される。
【0068】
この監視カメラ11では、照明レンズが、広角レンズ65、中間レンズ67、狭角レンズ69の3種のレンズを有する。すなわち、照明を、広角の近距離と、中間の中距離と、狭角の遠距離で投光することが可能となる。
【0069】
この監視カメラ11では、2種以上の目標仕様がある場合であっても、目標に合わせてLED71を別々に選定する必要がない。これにより、一種のLED71に対して性能調整用レンズ(すなわち、広角レンズ65、中間レンズ67、狭角レンズ69)を仕様別に配置することで、製品コストを安価にできるメリットがある。
【0070】
これに加え、広角レンズ65が左右の一方に集約され、狭角レンズ69が左右の他方に集約される。そのため、レンズを片方ずつに集約することで、調整しやすく、精度が必要な部品数を減らすことができる。さらに、中間レンズ67を左右に分けることで、片側のLED台座が肥大化することを抑制できるとともに、熱的制約が左右の片側に生じることも回避することができる。つまり、LED71の排熱を左右のLED台座に均等に分散させることができる。
【0071】
また、監視カメラ11は、一端側において第2台座(第2LED台座57)を形成し、第2台座(第2LED台座57)をカメラ部本体33に当接して固定する狭角側金具79、を更に備える。
【0072】
この監視カメラ11では、一端側において第2LED台座57を形成した狭角側金具79が、カメラ部本体33に直接的に固定される。カメラ部本体33は、チルト軸回りでカメラ筐体21に対して回転自在に支持されている。チルト軸37は、カメラ部本体33の右側面から突出する主軸53と、カメラ部本体33の左側面から主軸53と同軸で突出する従動軸51と、からなる。
【0073】
主軸53は、第2LED台座57を形成した狭角側金具79に形成される。狭角側金具79は、ビス87等の締結部材を用いてカメラ部本体33に直接的に固定される。カメラ部本体33には、レンズ中心軸39との位置が高精度に定められた基準面81が設けられている。狭角側金具79は、この基準面81に固定されることで、レンズ中心軸39に対して第2LED台座57が高精度に位置決め可能とされている。
【0074】
これにより、狭角側金具79に形成された第2LED台座57に取り付けられる狭角照光部63(すなわち、LED71および狭角レンズ69)は、レンズ中心軸39に対して高精度に位置決めされて取り付け可能となっている。
【0075】
また、監視カメラ11は、一端側において第1台座(第1LED台座55)を形成し、中間部材(ゴムワッシャ123)を介在させて第1台座(第1LED台座55)をカメラ部本体33に固定する広角側金具83、を更に備える。
【0076】
この監視カメラ11では、一端側において第1LED台座55を形成した広角側金具83が、中間部材を介在させてカメラ部本体33に間接的に固定される。広角側金具83には、従動軸51が形成される。広角側金具83は、カメラ部本体33の従属面85を介して位置出しが行われる。位置出しされた広角側金具83は、中間部材(従属部品)を介してカメラ部本体33に固定される。
【0077】
従属部品は、例えば狭角側金具79とゴムワッシャ123である。広角側金具83は、カメラ部本体33の従属面85と、狭角側金具79とに、ビス87等の締結部材を用いて間接的にカメラユニット本体43に固定される。広角側金具83は、カメラ部本体33の従属面85に対してゴムワッシャ123を介して固定される。従動軸51は、主軸53との間に生じた累積公差等による微小な位置ずれが生じる。従動軸51は、この位置ずれをゴムワッシャ123で吸収し、円滑なチルト回転が行われるように従属面85に支持される。つまり、広角側金具83は、フロート構造となっている。
【0078】
フロート構造となった広角側金具83には、第1LED台座55が形成される。第1LED台座55には、投光対象に対する位置制度が狭角レンズ69に比べ比較的に緩い広角レンズ65や中間レンズ67が取り付けられる。
【0079】
これにより、第1LED台座55に取り付けられる広角照光部59や中距離照光部61は、レンズ中心軸39に対して狭角照光部63よりも緩い精度で取り付けることが可能となる。その結果、監視カメラ11では、高い部品要求精度をLED台座の片側のみとすることができ、製造コストを安価にできる。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示は、ケラレの発生を抑制でき、配置要求精度が必要な部品数を減らせ、照明光の狭角化も容易となる監視カメラとして有用である。
【符号の説明】
【0082】
11 監視カメラ
33 カメラ部本体
35 撮像レンズ
37 チルト軸
39 レンズ中心軸
55 第1LED台座
57 第2LED台座
65 広角レンズ
67 中間レンズ
69 狭角レンズ
71a 広角用LED
71b 狭角用LED
71c 中間用LED
79 狭角側金具(中間部材)
83 広角側金具
123 ゴムワッシャ(中間部材)