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特開2024-176960外装下地構造、及び外装下地ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176960
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】外装下地構造、及び外装下地ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20241212BHJP
   E04B 1/18 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E04B2/56 631Z
E04B1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095869
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前原 航
(72)【発明者】
【氏名】烏 章典
(72)【発明者】
【氏名】長田 宗平
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002FA02
2E002JC02
2E002JC03
2E002JD01
(57)【要約】
【課題】施工性を向上しつつ、縦胴縁の横座屈を抑制することを目的とする。
【解決手段】外装下地構造は、隣り合う一対の外周柱40に架け渡される上下の外周梁20と、上下の外周梁20に支持され、室外側に配置される外装材60を支持する複数の縦胴縁90と、上下の外周梁20の間で、隣り合う縦胴縁90に架け渡されるとともに、外周柱40と構造的に縁が切られた横つなぎ材94と、横つなぎ材94に設けられ、隣り合う縦胴縁90に架け渡されるブレース110と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う一対の外周柱に架け渡される上下の外周梁と、
上下の前記外周梁に支持され、室外側に配置される外装材を支持する複数の縦胴縁と、
上下の前記外周梁の間で、隣り合う前記縦胴縁に架け渡されるとともに、前記外周柱と構造的に縁が切られた横つなぎ材と、
前記横つなぎ材の上下の少なくとも一方に設けられ、隣り合う前記縦胴縁に架け渡されるブレースと、
を備える外装下地構造。
【請求項2】
上下の前記外周梁よりも室外側で、該外周梁にそれぞれ支持される上下の横架材を備え、
複数の前記縦胴縁は、上下の前記横架材に架け渡され、
前記ブレースは、隣り合う前記縦胴縁、上の前記横架材、及び前記横つなぎ材によって形成された上側枠状部、及び隣り合う前記縦胴縁、下の前記横架材、及び前記横つなぎ材によって形成された下側枠状部にそれぞれ設けられる、
請求項1に記載の外装下地構造。
【請求項3】
互いに間隔を空けて配置される一対の横架材と、
一対の前記横架材に架け渡され、外装材を支持する複数の縦胴縁と、
一対の前記横架材の間で、隣り合う前記縦胴縁に架け渡される横つなぎ材と、
隣り合う前記縦胴縁、前記横架材、及び前記横つなぎ材によって形成された枠状部に設けられるブレースと、
を備える外装下地ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装下地構造、及び外装下地ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
既存外壁の外側に設置された格子状の新規下地に、複数の横胴縁(胴縁)を取り付けられ、これらの横胴縁に新規外装材を取り付ける外壁改修構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、既存壁に取り付けられるとともに、一対の斜材が掛け渡された2本の縦胴縁(金属胴縁)の外側に、リフォーム用外壁板を取り付ける外壁リフォーム構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、第1の縦枠部材列と、第2の縦枠部材列と、第1の縦枠部材列及び第2の縦枠部材列を接合する複数の水平梁部材とを備える枠組構造体が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-329676号公報
【特許文献2】特開2007-177432号公報
【特許文献3】特開2012-241358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、縦胴縁に室外側に取り付けられた外壁等の外装材に、室内側から風荷重(風圧)が作用すると、縦胴縁における圧縮側(室内側)が外装材の横幅方向にはらみ出して横座屈する可能性がある。
【0007】
この対策として、例えば、縦胴縁を支持する外周架構に耐風梁を設け、この耐風梁で縦胴縁を支持することが考えられる。
【0008】
しかしながら、耐風梁は、外周架構の外周柱間に架け渡す必要があるため、施工に手間がかかる。
【0009】
本発明は、上記の事実を考慮し、施工性を向上しつつ、縦胴縁の横座屈を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の外装下地構造は、隣り合う一対の外周柱に架け渡される上下の外周梁と、上下の前記外周梁に支持され、室外側に配置される外装材を支持する複数の縦胴縁と、上下の前記外周梁の間で、隣り合う前記縦胴縁に架け渡されるとともに、前記外周柱と構造的に縁が切られた横つなぎ材と、前記横つなぎ材の上下の少なくとも一方に設けられ、隣り合う前記縦胴縁に架け渡されるブレースと、を備える。
【0011】
請求項1に係る外装下地構造によれば、隣り合う一対の外周柱には、上下の外周梁が架け渡される。この上下の外周梁には、複数の縦胴縁が支持される。複数の縦胴縁は、室外側に配置される外装材を支持する。また、隣り合う縦胴縁には、上下の外周梁の間で、横つなぎ材が架け渡される。横つなぎ材は、一対の外周柱と構造的に縁が切られる。また、横つなぎ材の上下の少なくとも一方には、ブレースが設けられる。ブレースは、隣り合う縦胴縁に架け渡される。
【0012】
ここで、縦胴縁の室外側に配置された外装材に、室内側から風荷重(風圧)が作用すると、外装材を支持する縦胴縁の圧縮側(室内側)が、外装材の横幅方向にはらみ出して横座屈する可能性がある。
【0013】
これに対して本発明では、前述したように、隣り合う縦胴縁に横つなぎ材が架け渡される。この横つなぎ材によって、隣り合う縦胴縁の座屈長さが短くなる。さらに、横つなぎ材の上下の少なくとも一方には、隣り合う縦胴縁に架け渡されるブレースが設けられる。このブレースによって、隣り合う縦胴縁、及び横つなぎ材等によって形成される枠状部の面内剛性が高められる。
【0014】
これにより、縦胴縁が外装材の横幅方向に移動することが抑制される。したがって、外装材に室内側から風荷重(風圧)が作用したときに、縦胴縁の圧縮側が、外装材の横幅方向にはらみ出す横座屈が抑制される。
【0015】
また、横つなぎ材は、一対の外周柱とは構造的に縁が切られている。つまり、本発明の横つなぎ材は、耐風梁のように、一対の外周柱に架け渡す必要がない。したがって、横つなぎ材の施工性が向上する。
【0016】
このように本発明では、施工性を向上しつつ、縦胴縁の横座屈を抑制することができる。
【0017】
請求項2に記載の外装下地構造は、請求項1に記載の外装下地構造において、上下の前記外周梁よりも室外側で、該外周梁にそれぞれ支持される上下の横架材を備え、複数の前記縦胴縁は、上下の前記横架材に架け渡され、前記ブレースは、隣り合う前記縦胴縁、上の前記横架材、及び前記横つなぎ材によって形成された上側枠状部、及び隣り合う前記縦胴縁、下の前記横架材、及び前記横つなぎ材によって形成された下側枠状部にそれぞれ設けられる。
【0018】
請求項2に係る外装下地構造によれば、上下の横架材は、上下の外周梁よりも室外側で、上下の外周梁にそれぞれ支持される。この上下の横架材に、複数の縦胴縁が架け渡される。
【0019】
ここで、ブレースは、隣り合う縦胴縁、上の横架材、及び横つなぎ材によって形成された上側枠状部、及び隣り合う縦胴縁、下の横架材、及び横つなぎ材によって形成された下側枠状部にそれぞれ設けられる。
【0020】
これにより、縦胴縁が外装材の横幅方向に移動することがさらに抑制される。したがって、外装材に室内側から風荷重(風圧)が作用したときに、縦胴縁の圧縮側が、外装材の横幅方向にはらみ出す横座屈がさらに抑制される。
【0021】
請求項3に記載の外装下地ユニットは、互いに間隔を空けて配置される一対の横架材と、一対の前記横架材に架け渡され、外装材を支持する複数の縦胴縁と、一対の前記横架材の間で、隣り合う前記縦胴縁に架け渡される横つなぎ材と、隣り合う前記縦胴縁、前記横架材、及び前記横つなぎ材によって形成された枠状部に設けられるブレースと、を備える。
【0022】
請求項3に係る外装下地ユニットによれば、一対の横架材は、互いに間隔を空けて配置される。この一対の横架材には、外装材を支持する複数の縦胴縁が架け渡される。また、隣り合う縦胴縁には、一対の横架材の間で、横つなぎ材が架け渡される。さらに、隣り合う縦胴縁、横架材、及び横つなぎ材によって形成された枠状部には、ブレースが設けられる。
【0023】
ここで、縦胴縁の室外側に配置された外装材に、室内側から風荷重(風圧)が作用すると、外装材を支持する縦胴縁の圧縮側(室内側)が、外装材の横幅方向にはらみ出して横座屈する可能性がある。
【0024】
これに対して本発明では、前述したように、隣り合う縦胴縁に横つなぎ材が架け渡される。この横つなぎ材によって、隣り合う縦胴縁の座屈長さが短くなる。さらに、隣り合う縦胴縁、横架材、及び横つなぎ材によって形成された枠状部には、ブレースが設けられる。このブレースによって、状部の面内剛性が高められる。
【0025】
これにより、縦胴縁が外装材の横幅方向に移動することが抑制される。したがって、外装材に室内側から風荷重(風圧)が作用したときに、縦胴縁の圧縮側が、外装材の横幅方向にはらみ出す横座屈が抑制される。
【0026】
また、本発明の横つなぎ材は、隣り合う縦胴縁に架け渡されるものであり、耐風梁のように、一対の外周柱に架け渡されるものではない。したがって、横つなぎ材の施工性が向上する。
【0027】
このように本発明では、施工性を向上しつつ、縦胴縁の横座屈を抑制することができる。
【0028】
さらに、本発明では、一対の横架材、複数の縦胴縁、横つなぎ材、及びブレースをユニット化(外装下地ユニット)することにより、施工性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、施工性を向上しつつ、縦胴縁の横座屈を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一実施形態に係る外装下地構造が適用された構造物の外周部を示す平面図である。
図2図1に示される外装下地ユニットを室外側から見た立面図である。
図3図1の3-3線断面図である。
図4図2の一部拡大立面図である。
図5図4の5-5線断面図である。
図6】一実施形態に係る外装下地構造の変形例を示す図5に対応する断面図である。
図7】一実施形態に係る外装下地構造の変形例を示す図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
【0032】
(外装下地構造)
図1には、本実施形態に係る外装下地構造が適用された構造物(建物)10の外周部が示されている。構造物10は、複数階で構成されている。この構造物10は、外周梁20と、スラブ50(図3参照)と、外装材60と、外装下地ユニット70とを備えている。
【0033】
なお、図1では、スラブ50の図示が省略されている。また、各図に適宜示される矢印INは、構造物10の室内側を示し、矢印OUTは、構造物10の室外側を示している。
【0034】
(外周梁)
外周梁20は、構造物10の外周部に沿って配置されている。また、図2に示されるように、外周梁20は、構造物10の外周部に配置された一対の外周柱40に、上下方向に間隔を空けて架け渡されている。
【0035】
一対の外周柱40は、構造物10の外周部に、互いに間隔を空けて配置されている。また、一対の外周柱40は、一例として、角形鋼管によって形成された鉄骨柱(外周鉄骨柱)とされている。この一対の外周柱40、及び上下の外周梁20によって、外周架構が構成されている。
【0036】
なお、外周柱40は、角形鋼管に限らず、丸形鋼管やH形鋼によって形成されても良い。また、外周柱40は、鉄骨造に限らず、鉄筋コンクリート造や、鉄骨鉄筋コンクリート造等でも良い。
【0037】
図3に示されるように、外周梁20は、一例として、H形鋼によって形成された鉄骨梁(外周鉄骨梁)とされている。この外周梁20は、上下方向に互いに対向する上側フランジ部22及び下側フランジ部24と、上側フランジ部22及び下側フランジ部24を接続するウェブ部26とを有している。
【0038】
上側フランジ部22の上面には、複数のスタッド28が設けられている。複数のスタッド28は、外周梁20の梁幅方向及び材軸方向に間隔を空けて配置されている。また、複数のスタッド28は、上側フランジ部22の上面から上方へ突出し、スラブ50に埋設されている。これらのスタッド28を介して、外周梁20とスラブ50とがせん断力を伝達可能に接合されている。
【0039】
なお、スタッド28は、適宜省略可能である。また、外周梁20は、鉄骨造に限らず、鉄筋コンクリート造や、鉄骨鉄筋コンクリート造等でも良い。
【0040】
図1及び図3に示されるように、外周梁20には、後述する横架材72を支持する複数のブラケット30が設けられている。複数のブラケット30は、外周梁20の材軸方向に間隔を空けて配置されるとともに、外周梁20から室外側(矢印OUT側)へ突出している。各ブラケット30は、室外側から見て、T字形状に形成されている。
【0041】
図3に示されるように、ブラケット30は、横架材72を受けるベースプレート32と、ベースプレート32を下から支持する支持プレート36とを有している。ベースプレート32は、外周梁20の上側フランジ部22の端部からスラブ50の下面に沿って室外側へ張り出している。
【0042】
図1に示されるように、ベースプレート32の上面における先端側には、ベースファスナ34が設けられている。ベースファスナ34は、支持プレート36の上面から上方へ突出している。また、ベースファスナ34は、厚み方向を外周梁20の材軸方向として配置されている。このベースファスナ34には、後述する横架材72の取付ファスナ74がボルト接合される。
【0043】
図3に示されるように、支持プレート36は、ベースプレート32の下側に配置されている。また、支持プレート36は、厚み方向を外周梁20の材軸方向として配置されている。この支持プレート36は、外周梁20のウェブ部26における室外側の外面にリブ状に設けられている。
【0044】
支持プレート36は、外周梁20の上側フランジ部22と下側フランジ部24とに亘って設けられており、これらの上側フランジ部22、下側フランジ部24、及びウェブ部26に溶接等によって接合されている。また、支持プレート36の上端部は、ベースプレート32の下面に溶接等によって接合されている。
【0045】
なお、本実施形態では、外周梁20のウェブ部26に対する支持プレート36と反対側に、リブプレート38が設けられている。しかし、リブプレート38は、適宜省略可能である。
【0046】
(スラブ)
スラブ50は、鉄筋コンクリート造とされており、その内部に複数のスラブ筋52が埋設されている。また、スラブ50は、外周梁20と、当該外周梁20と隣り合う図示しない内部梁とに架設されている。このスラブ50は、外周梁20よりも室外側へ跳ね出す跳出し部50Aを有している。
【0047】
跳出し部50Aは、外周梁20と、後述する横架材72とに架設された図示しないスラブ用デッキ上にコンクリートを打設することにより形成されている。この跳出し部50Aの室外側には、外装材60が配置されている。
【0048】
(外装材)
外装材(外装パネル)60は、例えば、ALCパネル等によって形成されており、構造物10の外壁を形成している。また、外装材60は、外周梁20の室外側に、外周梁20の側面と対向して配置されている。この外装材60は、外周梁20に設けられた複数のブラケット30に、外装下地ユニット70を介して支持されている。
【0049】
(外装下地ユニット)
図2に示されるように、外装下地ユニット70は、上下の横架材72と、複数の縦胴縁90と、複数の横つなぎ材94と、複数のブレース110とを有している。これらの上下の横架材72、複数の縦胴縁90、複数の横つなぎ材94、及び複数のブレース110は、例えば、地組み等によって予め一体化された状態で建て方される。そして、外装下地ユニット70の建て方後に、複数の縦胴縁90の室外側に、外装材60が取り付けられる。
【0050】
(横架材)
図1に示されるように、上下の横架材72は、隣り合うブラケット30に架け渡された状態で、複数の縦胴縁90を支持している。換言すると、複数の縦胴縁90は、上下の横架材72及び複数のブラケット30を介して上下の外周梁20に支持されている。
【0051】
図2に示されるように、上下の横架材72は、上下の外周梁20よりも室外側に配置されている。より具体的には、上下の横架材72は、上下の外周梁20の室外側に配置されている。また、上下の横架材72は、外装下地ユニット70(外装材60)の横幅方向(矢印W方向)に沿って配置されている。これらの横架材72は、外装下地ユニット70(外装材60)の高さ方向(縦幅方向)に間隔を空けて配置されている。
【0052】
図3に示されるように、横架材72は、一例として、H形鋼によって形成されている。この横架材72は、外装下地ユニット70(外装材60)の厚み方向に互いに対向する一対のフランジ部72A,72Bと、一対のフランジ部72A,72Bを接続するウェブ部72Cとを有している。
【0053】
図1に示されるように、横架材72は、隣り合うブラケット30のベースプレート32の上に載置されている。この横架材72には、複数の取付ファスナ74が設けられている。取付ファスナ74は、鋼板等によって形成されており、横架材72の長手方向に間隔を空けて配置されている。また、取付ファスナ74は、厚み方向を横架材72の長手方向として配置されている。
【0054】
取付ファスナ74は、横架材72から室内側(矢印IN側)へ延出している。この取付ファスナ74は、ブラケット30のベースファスナ34に重ねられた状態で、ボルト76及びナット78によって接合されている。
【0055】
図3に示されるように、横架材72の室内側のフランジ部72Bは、スラブ50の室外側の端面に沿って配置されている。この横架材72は、スラブ50の施工時に、コンクリートの流れ止めとして機能する。つまり、横架材72は、縦胴縁90を支持する支持部材と、スラブ50用コンクリートの流れ止め部材とに兼用されている。
【0056】
図2に示されるように、横架材72には、複数の縦胴縁用フランジ80が設けられている。縦胴縁用フランジ80は、鋼板等によって形成されており、横架材72の長手方向に間隔を空けて配置されている。また、縦胴縁用フランジ80は、厚み方向を横架材72の長手方向として配置されている。
【0057】
図3に示されるように、縦胴縁用フランジ80は、横架材72と交差(略直交)した状態で接合されており、横架材72から外装下地ユニット70(外装材60)の縦幅方向の両側へそれぞれ延出している。縦胴縁用フランジ80には、縦胴縁90の端部が重ねられた状態で、ボルト82及びナット84(図1参照)によって接合されている。
【0058】
(縦胴縁)
図1に示されるように、複数の縦胴縁90は、外装材60を支持する下地材である。各縦胴縁90は、一例として、背合わせ状態で接合された一対のリップ溝形鋼90Aを有し、外装下地ユニット70(外装材60)の縦幅方向に沿って配置されている。
【0059】
複数の縦胴縁90は、外装下地ユニット70(外装材60)の横幅方向に間隔を空けて配置されている。これらの縦胴縁90の室外側の側面に、外装材60が図示しないビス等によって取り付けられる。
【0060】
なお、縦胴縁90は、一対のリップ溝形鋼90Aに限らず、1本のリップ溝形鋼90Aによって形成されても良いし、他の形鋼等によって形成されても良い。
【0061】
図2に示されるように、複数の縦胴縁90は、上下の横架材72の間に配置されている。各縦胴縁90の上下の端部は、前述したように、上下の横架材72にそれぞれ設けられ縦胴縁用フランジ80にボルト接合されている。
【0062】
(横つなぎ材)
図2及び図4に示されるように、横つなぎ材94は、外装下地ユニット70(外装材60)の厚み方向から見て、上下の横架材72(外周梁20)の間で、隣り合う縦胴縁90に架け渡されている。この横つなぎ材94は、一例として、溝形鋼によって形成されており、開口を下にした状態で配置されている。また、横つなぎ材94は、隣り合う縦胴縁90の長手方向の中央部同士を連結している。
【0063】
具体的には、図5に示されるように、隣り合う縦胴縁90の長手方向の中央部には、ガセットプレート92がそれぞれ設けられている。ガセットプレート92は、鋼板等によって形成されており、厚み方向を縦胴縁90の長手方向として配置されている。また、ガセットプレート92は、隣り合う縦胴縁90から互いに相手側へ向けて張り出し、横つなぎ材94の上面に重ねられた状態で、ボルト96及びナットによって接合されている。
【0064】
なお、横つなぎ材94は、一対の外周柱40とは構造的に縁が切られている。つまり、横つなぎ材94は、一対の外周柱40に架け渡されておらず、一対の外周柱40と接合されていない。また、ガセットプレート92と横つなぎ材94とは、ボルト96及びナットに限らず、例えば、溶接等によって接合されても良い。また、横つなぎ材94と縦胴縁90との接合構造は、ガセットプレート92に限らず、適宜変更可能である。
【0065】
ここで、図2及び図4に示されるように、外装下地ユニット70の上部には、隣り合う縦胴縁90、上の横架材72、及び横つなぎ材94によって複数の上側枠状部100Uが形成されている。
【0066】
一方、外装下地ユニット70の下部には、隣り合う縦胴縁90、下の横架材72、及び横つなぎ材94によって複数の下側枠状部100Lが形成されている。そして、外装下地ユニット70の横幅方向の両側に配置された複数の上側枠状部100U及び下側枠状部100Lは、一対のブレース110によって補強されている。
【0067】
なお、上側枠状部100U及び下側枠状部100Lは、枠状部の一例である。
【0068】
(ブレース)
一対のブレース110は、一例として、X字状に配置されたX形ブレースとされている。各ブレース110は、一例として、ターンバックルブレースとされている。このブレース110は、一対のロッド112と、一対のロッド112の一端部同士を連結するターンバックル114と、一対の他端部にそれぞれ設けられた羽子板116とを有している。
【0069】
一対のロッド112の一端部には、雄ネジ部が設けられている。この一対のロッド112の一端部は、ターンバックル114の両側に形成されたにボルト孔にそれぞれ捻じ込まれている。また、一対のロッド112の雄ネジ部は、互いに逆ネジとされている。これにより、一対のロッド112に対してターンバックル114を回転させることにより、一対のロッド112の張力が調整可能とされている。
【0070】
ブレース110は、上側枠状部100U又は下側枠状部100Lの対角上に沿って配置されている。各ブレース110の羽子板116は、縦胴縁90の室内側(外装材60と反対側)の面に重ねられた状態で、溶接やボルト等によって接合されている。
【0071】
なお、ブレース110は、縦胴縁90の室内側の面に限らず、例えば、縦胴縁90の室外側の面や、側面等に接合されても良い。また、ブレース110は、縦胴縁90に限らず、横架材72に接合されても良いし、横つなぎ材94に接合されても良い。
【0072】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0073】
図1及び図2に示されるように、本実施形態によれば、隣り合う一対の外周柱40には、上下の外周梁20が架け渡されている。上下の外周梁20の室外側には、外装下地ユニット70が配置されている。外装下地ユニット70は、複数のブラケット30を介して上下の外周梁20にそれぞれ支持されている。
【0074】
具体的には、外装下地ユニット70は、上下の外周梁20よりも室外側に配置される上下の横架材72を有している。上下の横架材72は、複数のブラケット30を介して上下の外周梁20にそれぞれ支持されている。
【0075】
上下の横架材72には、複数の縦胴縁90が架け渡されている。複数の縦胴縁90は、室外側に配置される外装材60を支持している。また、隣り合う縦胴縁90には、上下の横架材72(上下の外周梁)の間で、横つなぎ材94が架け渡されている。なお、横つなぎ材94は、一対の外周柱40と構造的に縁が切られている。
【0076】
ここで、図3に矢印Rで示されるように、縦胴縁90の室外側に配置された外装材60に、室内側から風荷重(風圧)が作用すると、外装材60を支持する縦胴縁90の圧縮側(室内側)が、外装材60の横幅方向(図2の矢印W方向)にはらみ出して横座屈する可能性がある。
【0077】
これに対して本実施形態では、図2及び図3に示されるように、隣り合う縦胴縁90が横つなぎ材94によって連結されている。この横つなぎ材94によって、隣り合う縦胴縁90の横座屈の座屈長さが短くなる。
【0078】
また、外装下地ユニット70の上部には、隣り合う縦胴縁90、上の横架材72、及び横つなぎ材94によって形成された複数の上側枠状部100Uが設けられている。一方、外装下地ユニット70の下部には、隣り合う縦胴縁90、下の横架材72、及び横つなぎ材94によって形成された複数の下側枠状部100Lが設けられている。
【0079】
そして、外装下地ユニット70の横幅方向の両側に位置する複数の上側枠状部100U及び下側枠状部100Lは、X形の一対のブレース110によってそれぞれ補強されている。これらのブレース110によって、外装下地ユニット70の横幅方向の両側に位置する複数の上側枠状部100U及び下側枠状部100Lの面内剛性が高められている。
【0080】
これにより、縦胴縁90が、外装材60の横幅方向に移動することが抑制される。したがって、外装材60に室内側から風荷重(風圧)が作用したときに、縦胴縁90の圧縮側が、外装材60の横幅方向にはらみ出す横座屈が抑制される。
【0081】
また、横つなぎ材94は、一対の外周柱40とは構造的に縁が切られている。つまり、本実施形態の横つなぎ材94は、耐風梁のように、一対の外周柱40に架け渡す必要がない。したがって、横つなぎ材94の施工性が向上する。
【0082】
このように本実施形態では、施工性を向上しつつ、縦胴縁90の横座屈を抑制することができる。
【0083】
さらに、本実施形態では、一対の横架材72、複数の縦胴縁90、複数の横つなぎ材94、及び複数のブレース110をユニット化(外装下地ユニット70)することにより、施工性がさらに向上する。
【0084】
また、本実施形態では、前述したように、外装下地ユニット70の横幅方向の両側に位置する複数の上側枠状部100U及び下側枠状部100Lが、X形の一対のブレース110によってそれぞれ補強されている。これらのブレース110によって、外装下地ユニット70の横幅方向の両側の面内剛性を高めることにより、外装下地ユニット70の全体の面内剛性を効率的に高めることができる。
【0085】
したがって、全ての上側枠状部100U及び下側枠状部100Lを一対のブレース110によって補強する場合と比較して、ブレース110の本数を低減しつつ、縦胴縁90の横座屈を効率的に抑制することができる。
【0086】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0087】
上記実施形態では、外装下地ユニット70の横幅方向の両側に位置する複数の上側枠状部100U及び下側枠状部100Lに、X形の一対のブレース110が設けられている。しかし、一対のブレース110の配置や数は、適宜変更可能であり、例えば、外装下地ユニット70の横幅方向の中央部に位置する上側枠状部100U及び下側枠状部100Lに一対のブレース110を設けても良い。
【0088】
また、一対のブレース110は、上側枠状部100U及び下側枠状部100Lの少なくとも一方に設けることができる。さらに、ブレース110は、X形に限らず、例えば、片流れでも良い。
【0089】
さらに、上記実施形態では、ブレース110がターンバックルブレースとされている。しかし、ブレース110は、ターンバックルブレースに限らず、例えば、鉄骨ブレース等でも良い。
【0090】
また、上記実施形態では、横つなぎ材94が、隣り合う縦胴縁90の長手方向の中央部に架け渡されている。しかし、横つなぎ材94は、上下の横架材72(上下の外周梁20)の間で、隣り合う縦胴縁90に架け渡されていれば良く、例えば、隣り合う縦胴縁90の上部や下部に架け渡されも良い。また、隣り合う縦胴縁90には、1本に限らず、複数本の横つなぎ材94が架け渡されも良い。
【0091】
また、上記実施形態では、隣り合う縦胴縁90の間に、横つなぎ材94が配置されている。しかし、例えば、図6に示される変形例のように、横つなぎ材120は、隣り合う縦胴縁90の室内側(外装材60と反対側)に配置しても良い。これにより、1本の横つなぎ材120を、3本以上の縦胴縁90に架け渡すことができる。したがって、横つなぎ材120の本数を低減することができる。
【0092】
また、上記実施形態では、上下の横架材72、複数の縦胴縁90、横つなぎ材94、及びブレース110が、地組等によってユニット化(外装下地ユニット70)されている。しかし、上下の横架材72、複数の縦胴縁90、横つなぎ材94、及びブレース110は、ユニット化せずに、現場において、順に建て方することも可能である。
【0093】
また、上記実施形態では、横架材72がH形鋼によって形成されている。しかし、横架材は、溝形鋼に限らない。例えば、図7に示される変形例では、横架材130が溝形鋼(C形鋼)によって形成されている。
【0094】
横架材130は、縦胴縁90の長手方向に互いに対向する一対の上側フランジ部130A及び下側フランジ部130Bと、一対の上側フランジ部130A及び下側フランジ部130Bを接続するウェブ部130Cとを有している。
【0095】
横架材130のウェブ部130Cは、スラブ50の室外側の端面に沿って配置されている。この横架材130は、スラブ50の施工時に、コンクリートの流れ止めとして機能する。つまり、横架材130は、縦胴縁90を支持する支持部材と、スラブ50用コンクリートの流れ止め部材とに兼用されている。
【0096】
横架材130には、複数の縦胴縁用フランジ140が設けられている。縦胴縁用フランジ140は、鋼板等によって形成されており、横架材130の長手方向に間隔を空けて配置されている。また、縦胴縁用フランジ140は、厚み方向を横架材130の長手方向として配置されている。
【0097】
縦胴縁用フランジ140は、横架材130と交差(略直交)した状態で接合されており、その上下の端部が横架材130から外装下地ユニット70(外装材60)の縦幅方向の両側へそれぞれ延出している。
【0098】
具体的には、縦胴縁用フランジ140には、一対のスリットが形成されている。この一対のスリットに横架材130の上側フランジ部130A及び下側フランジ部130Bが挿入された状態で、縦胴縁用フランジ140と横架材130とが溶接等によって接合されている。この縦胴縁用フランジ140の上下の端部には、縦胴縁90の端部が重ねられた状態で、ボルト82及び図示しないナットによって接合されている。
【0099】
このように横架材の構成は、適宜変更可能である。また、横架材は、例えば、L形鋼、鋼管鋼等によって形成されてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、縦胴縁90が、上下の横架材72を介して上下の外周梁20に支持されている。しかし、上下の横架材72は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。上下の横架材72を省略した場合は、例えば、上下の外周梁20から室外側へそれぞれ突出するガセットプレート等に、縦胴縁90が取り付けられる。
【0101】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0102】
20 外周梁
40 外周柱
60 外装材
70 外装下地ユニット
72 横架材
90 縦胴縁
92 ガセットプレート
94 横つなぎ材
100L 下側枠状部
100U 上側枠状部
110 ブレース
130 横架材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7