(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176963
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B25J9/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095872
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】今井 陽二郎
(72)【発明者】
【氏名】丸林 央樹
(72)【発明者】
【氏名】長▲崎▼ あかり
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS06
3C707BS12
3C707BS15
3C707BS26
3C707CT05
3C707CY36
3C707HS27
3C707KV01
3C707KX10
(57)【要約】
【課題】複数のアームを備える場合にも装置構成の大型化を抑制可能なロボットを提供する。
【解決手段】このロボット100は、垂直多関節のロボットアーム部20と、水平多関節のロボットアーム部30とを備える。そして、ロボット100は、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々が共通の回転軸線C1周りに回転する状態で、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30を支持する本体基台部10を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直多関節の垂直ロボットアーム部と、
水平多関節の水平ロボットアーム部と、
前記垂直ロボットアーム部および前記水平ロボットアーム部の各々が共通の回転軸線周りに回転する状態で、前記垂直ロボットアーム部および前記水平ロボットアーム部を支持する本体基台部と、を備える、ロボット。
【請求項2】
前記垂直ロボットアーム部は、前記本体基台部に対して接続され、前記共通の回転軸線周りに回転する垂直多関節ベース部と、前記垂直多関節ベース部に対して接続され、前記共通の回転軸線と直交する回転軸線周りに回転する垂直多関節基端アーム部とを含む、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記垂直ロボットアーム部は、前記垂直多関節基端アーム部に接続される垂直多関節先端アーム部を含み、
前記垂直多関節先端アーム部は、前記垂直多関節先端アーム部の延びる方向周りに回転するとともに、前記垂直多関節先端アーム部の延びる方向と前記共通の回転軸線とによって平面が形成される位置に配置されている、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記垂直多関節先端アーム部の長さは、前記垂直多関節基端アーム部の長さ以下であり、
前記垂直多関節先端アーム部は、前記垂直多関節基端アーム部よりも前記共通の回転軸線に近い位置に配置されている、請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記水平ロボットアーム部は、前記本体基台部に対して接続され、前記共通の回転軸線周りに回転する水平多関節基端アーム部と、前記水平多関節基端アーム部に対して接続され、前記共通の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転する水平多関節先端アーム部とを含み、
前記水平多関節先端アーム部の長さは、前記水平多関節基端アーム部の長さ以下であり、
前記水平多関節先端アーム部は、前記共通の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転することによって、前記水平多関節基端アーム部と重なる、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記水平多関節基端アーム部は、前記本体基台部に接続されている第1部材と、前記水平多関節先端アーム部に接続されている第2部材とを有し、
前記第2部材は、前記第1部材に接続され、前記第1部材の延びる方向に沿って延びる状態から、前記第1部材に対して折りたたまれた状態へと、前記共通の回転軸線方向に向かって回転する、請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
前記水平ロボットアーム部は、前記共通の回転軸線上において、前記垂直ロボットアーム部の上方に重なる位置に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項8】
前記垂直ロボットアーム部は、前記共通の回転軸線上において、前記水平ロボットアーム部の上方に重なる位置に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のアームを備えたロボットが開示されている。特許文献1に開示されているロボットは、先端にエンドエフェクタが配置された複数のアームを備えた複腕ロボットである。この複腕ロボットは、複数のアームとして一対の水平多関節アームと1つの垂直多関節アームとを含む。一対の水平多関節アームのうちの一方は、固定部の両側面の一方に基端が連結されており、一対の水平多関節アームのうちの他方は、固定部の両側面の他方に基端が連結されている。1つの垂直多関節アームは、一対の水平多関節アームが連結される固定部の両側面の間の片面に基端が連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のロボットでは、複数のアームの基端の各々が固定部の互いに異なる面に連結されている。そのため、複数のアームの基端の各々が固定部において互いに異なる位置に連結されているため、複数のアームを備えるためには、装置構成が大型化する。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、複数のアームを備える場合にも装置構成の大型化を抑制可能なロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一の局面によるロボットは、垂直多関節の垂直ロボットアーム部と、水平多関節の水平ロボットアーム部と、垂直ロボットアーム部および水平ロボットアーム部の各々が共通の回転軸線周りに回転する状態で、垂直ロボットアーム部および水平ロボットアーム部を支持する本体基台部と、を備える。なお、ここで言う水平とは、水平面内のみならず、ロボットが配置されている面に対して平行である面内方向をも含む広い概念として記載している。
【0007】
この開示の一の局面によるロボットは、上記のように、垂直ロボットアーム部および水平ロボットアーム部の各々が共通の回転軸線周りに回転する状態で、垂直ロボットアーム部および水平ロボットアーム部を支持する本体基台部を備える。これにより、垂直ロボットアーム部および水平ロボットアーム部の各々が本体基台部において互いに異なる位置に連結される場合に比べて、垂直ロボットアーム部および水平ロボットアーム部の各々が共通の回転軸線周りに回転する状態で支持されているため、装置構成が大型化することを抑制できる。その結果、複数のアームを備える場合にも装置構成の大型化を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数のアームを備える場合にも装置構成の大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態によるロボットの構成を示した斜視図である。
【
図2】アーム部の長さを説明するための模式図である。
【
図4】本開示の第2実施形態によるロボットの構成を示した模式図である。
【
図5】アーム部の折り畳みを説明するための図である。
【
図6】本開示の第3実施形態によるロボットの構成を示した模式図である。
【
図7】第1実施形態の第1変形例による垂直多関節のロボットアーム部におけるベース部の構成を示した斜視図である。
【
図8】第1実施形態の第2変形例による垂直多関節のロボットアーム部におけるベース部の構成を示した斜視図である。
【
図9】第1実施形態の第3変形例による垂直多関節のロボットアーム部におけるベース部の構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示を具体化した本開示の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1から
図3までを参照して、第1実施形態によるロボット100について説明する。
【0012】
(ロボットアーム部の構成)
図1に示すように、ロボット100は、本体基台部10と、ロボットアーム部20と、ロボットアーム部30とを備えている。ロボット100は、互いに独立した一対のロボットアームとしてロボットアーム部20およびロボットアーム部30を有する双腕ロボットである。たとえば、ロボットアーム部20がロボット100の右腕であり、ロボットアーム部30がロボット100の左腕である。ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々の先端には、エンドエフェクタが取り付けられる。ロボット100は、一対のロボットアームであるロボットアーム部20およびロボットアーム部30と、エンドエフェクタとを動作させることにより、運搬、組立、および、工作などのハンドリング作業を行う。なお、ロボットアーム部20は、垂直ロボットアーム部の一例である。また、ロボットアーム部30は、水平ロボットアーム部の一例である。
【0013】
なお、以下の説明では、「水平」とは、ロボット100が配置される床面に対して平行な面内方向を意味する。たとえば、ロボット100が、傾斜面、または、壁面に配置される場合には、ロボット100が配置される傾斜面および壁面の各々に対して平行な方向を、「水平」として説明する。また、ロボット100に対して、ロボット100が配置される床面に向かう方向を下方とし、床面から離間する方向を上方とする。
【0014】
本体基台部10は、床面に載置される筐体である。また、本体基台部10は、一対のロボットアーム部20およびロボットアーム部30を支持する。第1実施形態では、本体基台部10には、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々が共通の回転軸線C1周りに回転するように接続される。すなわち、本体基台部10は、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々が共通の回転軸線C1周りに回転する状態で、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30を支持する。本体基台部10は、
図3に示す駆動機構11を含む。駆動機構11は、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30が接続されるギアおよび軸部材を有する。たとえば、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々が共通の回転軸線C1周りに回転するように、駆動機構11の軸部材は、本体基台部10から、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30に貫通するように、回転軸線C1に沿って上方に延びるように配置されている。なお、回転軸線C1は、共通の回転軸線の一例である。
【0015】
図1に示すように、ロボットアーム部20は、6つの関節軸を有する6軸の垂直多関節のロボットアームである。ロボットアーム部20は、垂直多関節のロボットアームとして、本体基台部10に対する第1軸の回転軸線C1と直交する水平面に沿う方向を回転軸線として回転するアーム部を、少なくとも1つ含む。第1実施形態では、ロボットアーム部20は、回転軸線C1と直交する水平面に沿う方向を回転軸として回転する2つのアーム部を有する。具体的には、ロボットアーム部20は、ベース部21、アーム部22、アーム部23、および、手首部24を含む。ベース部21、アーム部22、アーム部23、および、手首部24は、ロボットアーム部20の基端から先端に向かってこの順に接続されている。なお、ベース部21は、垂直多関節ベース部の一例である。アーム部22は、垂直多関節基端アーム部の一例である。アーム部23は、垂直多関節先端アーム部の一例である。
【0016】
ベース部21は、本体基台部10に対して回転軸線C1に周りに回転するように接続されている。すなわち、ベース部21は、本体基台部10に対して接続され、共通の回転軸線C1周りに回転する。回転軸線C1は、水平面に対して垂直な方向に沿って延びる6軸の垂直多関節のうちの第1軸の関節軸に相当する。ベース部21は、本体基台部10の上方の面である天面に対して水平面内に沿って回転するように取り付けられている。ベース部21は、水平面に沿うように延びる部分21aと、水平面に直交する方向に延びる部分21bとを有する逆T字形状のリンク部材である。回転軸線C1から外側に延びるように配置されている部分21aに対して、部分21bが本体基台部10とは反対側の上方に延びるように配置されている。ベース部21は、部分21aにおいて本体基台部10に接続されており、部分21bにおいてアーム部22に接続されている。
【0017】
アーム部22は、ベース部21に対して回転軸線C1とは直交する回転軸線C22周りに回転するように接続されている。すなわち、アーム部22は、ベース部21に対して接続され、回転軸線C22周りに回転する。回転軸線C22は、ロボットアーム部20における第2軸の関節軸に相当する。アーム部22は、ベース部21の部分21bに対して水平面に直交する鉛直面内に沿って回転するように取り付けられている。アーム部22は、基端から先端に向かって直線状に延びる棒状のリンク部材である。アーム部22は、基端側の一端においてベース部21に接続されており、先端側の他端においてアーム部23に接続されている。
【0018】
アーム部23は、ベース部21とは別個に、アーム部22に対して回転軸線C22と平行な回転軸線C23周りに回転するように接続される。回転軸線C23は、ロボットアーム部20における第3軸の関節軸に相当する。また、アーム部23は、アーム部23の延びる方向周りに回転する。具体的には、アーム部23は、互いに異なる2つのリンク部材である部分23aおよび部分23bを含む。部分23aは、アーム部23の基端側に配置されており、アーム部22に対して回転軸線C23周りに回転するように接続されている。そして、部分23bは、アーム部23の先端側に配置されており、部分23aに対して回転軸線C24周りに回転するように接続されている。アーム部23は、2つのリンク部材である部分23aおよび部分23bが互いに接続された状態で直線状に延びる棒状の部材である。すなわち、アーム部23では、アーム部23の延びる方向を回転軸線C24として部分23bが部分23aに対して回転するように接続されている。そして、アーム部23の先端に手首部24が接続されている。回転軸線C23および回転軸線C24は、それぞれ、ロボットアーム部20における第3軸の関節軸および第4軸の関節軸に相当する。
【0019】
第1実施形態では、アーム部23は、アーム部22よりも回転軸線C1に寄せて配置されている。アーム部23は、アーム部22よりも回転軸線C1に近い位置に配置されている。言い換えれば、アーム部23は、アーム部22よりも回転軸線C1側であるベース部21の回転の中心側に配置されている。そして、回転軸線C24が回転軸線C1と交差するように、アーム部23が配置されている。すなわち、アーム部23の延びる方向が、回転軸線C1と交差する。なお、ここで言う「交差する」とは、アーム部23を動作させた場合に、回転軸線C1に対してアーム部23の延びる方向がねじれの位置になっていないことを意味する。アーム部23は、アーム部23の延びる方向である回転軸線C24と、回転軸線C1とによって、平面が形成される位置に配置されている。すなわち、回転軸線C1と回転軸線C24とは、互いに同一の平面に配置されている。また、ロボットアーム部20を動作させることによって、回転軸線C1と回転軸線C24とが一致した位置関係に配置されるように、ロボットアーム部20の動作範囲が設定されている。
【0020】
手首部24は、部分24aおよび部分24bを含む。手首部24では、部分24aが、アーム部23の部分23bの先端に対して、アーム部23の延びる方向に直交する方向に延びる回転軸線C25周りに回転するように接続されている。すなわち、回転軸線C25は、回転軸線C24に直交する。また、部分24bは、部分24aに対して、回転軸線C25に直交する方向に延びる回転軸線C26周りに回転するように接続されている。手首部24の部分24bの先端側に接続されるエンドエフェクタが、部分24bの回転により、部分24aに対して回転軸線C26周りに回転する。回転軸線C25および回転軸線C26は、それぞれ、ロボットアーム部20における第5軸の関節軸および第6軸の関節軸に相当する。
【0021】
ロボットアーム部30は、水平多関節のロボットアームである。ロボットアーム部30は、水平多関節のロボットアームとして、本体基台部10に対する第1軸の回転軸線C1に沿う方向を回転軸線として回転するアーム部を少なくとも1つ含む。第1実施形態では、ロボットアーム部30は、回転軸線C1に沿う方向を回転軸として回転する2つのアーム部を有する。具体的には、ロボットアーム部30は、アーム部31、アーム部32、および、手首部33を含む。アーム部31、アーム部32、および、手首部33は、ロボットアーム部30の基端から先端に向かってこの順に接続されている。そして、手首部33には、エンドエフェクタが接続される。アーム部31およびアーム部32の各々は、基端から先端に向かって直線状に延びる棒状のリンク部材である。なお、アーム部31は、水平多関節基端アーム部の一例である。アーム部32は、水平多関節先端アーム部の一例である。
【0022】
ロボットアーム部30では、アーム部31が、基端側の一端において本体基台部10に対して回転軸線C1周りに回転するように接続されている。すなわち、アーム部31は、本体基台部10に対して接続され、回転軸線C1周りに回転する。アーム部31の先端側には、アーム部32の基端側が、回転軸線C32周りに回転するように接続されている。すなわち、アーム部32は、アーム部31に対して接続され、回転軸線C32周りに回転する。そして、アーム部32の先端側には、手首部33が、回転軸線C33周りに回転するように接続されている。回転軸線C32および回転軸線C33は、回転軸線C1に平行となるように配置されている。したがって、ロボットアーム部30は、水平方向の回転軸線C1、回転軸線C32、および、回転軸線C33の各々の回転軸線周りの回転移動によって、ロボットアーム部30の先端の水平面内における位置決めが行われる。言い換えれば、ロボットアーム部30は、水平面に直交する方向に沿って互いに平行な3軸の関節軸を有する。回転軸線C1、回転軸線C32、および、回転軸線C33が、それぞれ、ロボットアーム部30における第1軸、第2軸、および、第3軸の関節軸に相当する。すなわち、第1実施形態では、ロボットアーム部20とロボットアーム部30との各々において、複数の関節軸のうちの第1軸同士が互いに共通となっている。また、手首部33は、水平面に直交する方向である上下方向におけるエンドエフェクタの位置を変更する上下移動機構を含んでいてもよい。たとえば、サーボモータ、エンコーダ、および、減速機が、上下移動機構として配置される。
【0023】
第1実施形態では、ロボットアーム部30は、ロボットアーム部20の上方に重なるように、回転軸線C1周りに回転するように本体基台部10に接続されている。具体的には、ロボットアーム部30は、回転軸線C1上において、ロボットアーム部20の上方に重なる位置に配置されている。回転軸線C1に沿って、本体基台部10の上方にロボットアーム部20のベース部21が配置されており、ベース部21の上方にロボットアーム部30のアーム部31が重なるように配置されている。
【0024】
〈アーム部の長さ〉
図2に示すように、第1実施形態では、ロボットアーム部20のアーム部23の長さL23は、アーム部22の長さL22以下である。具体的には、アーム部23の長さL23に手首部24の先端までの長さを合わせた合計の長さが、アーム部22の長さL22以下である。また、アーム部23の回転軸線C23からロボットアーム部20の先端までの長さが、アーム部22の回転軸線C22と回転軸線C23との距離以下の長さとなる。すなわち、アーム部22を回転軸線C1と平行となるように上方に延びるように配置した状態で、アーム部23の回転軸線C24と手首部24の回転軸線C26との両方を回転軸線C1と一致するように配置した場合にも、手首部24がロボットアーム部30のアーム部31と当接しないように、ロボットアーム部20は配置されている。すなわち、ロボットアーム部20の駆動により、回転軸線C1の外側から見て、アーム部23は、アーム部22と重なり合うように配置される。
【0025】
また、ロボットアーム部30のアーム部32は、アーム部31の上方側に重なるように配置されており、手首部33は、アーム部32の上方に重なるように配置されている。そして、第1実施形態では、アーム部32の長さL32は、アーム部31の長さL31以下である。アーム部32は、回転軸線C1の延びる方向である上方から見て、アーム部31と重なるように回転する。アーム部32は、回転軸線C32周りに回転することによって、アーム部31と重なる。ロボットアーム部30は、上方から見て、アーム部31の延びる方向とアーム部32の延びる方向とが互いに一致する位置まで回転するようにアーム部32の動作範囲が設定されている。すなわち、アーム部31の上方にアーム部32が重なるように配置された場合にも、アーム部32および手首部33がロボットアーム部20と当接しないように配置されている。
【0026】
(駆動部および制御部の構成)
図3に示すように、ロボット100は、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30を駆動させる駆動部40を備えている。駆動部40は、サーボモータと、サーボモータの回転角度を検出するためのエンコーダとを含んでいる。また、駆動部40は、サーボモータの回転を伝達するギア、および、減速機を含む。サーボモータおよびエンコーダなどを含む駆動部40の各々は、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々における複数の関節軸ごとに配置されている。具体的には、6軸の垂直多関節のロボットアームであるロボットアーム部20には、6つの駆動部40が配置されている。ロボットアーム部30には、手首部33の上下移動機構とは別個に、3軸の水平軸に対応するように3つの駆動部40が配置されている。駆動部40は、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々と、本体基台部10とに配置されている。
【0027】
たとえば、ロボットアーム部20のベース部21を回転軸線C1周りに回転させるための駆動部40は、サーボモータの回転軸が回転軸線C1と平行になるように本体基台部10に配置されている。一方で、ロボットアーム部30のアーム部31を回転軸線C1周りに回転させるための駆動部40は、サーボモータの回転軸が回転軸線C1と直交するように、アーム部31の内部に配置されている。すなわち、ロボットアーム部20を回転軸線C1周りに回転させるための駆動部40では、サーボモータの回転軸が駆動機構11の軸部材と平行である。そして、ロボットアーム部30を回転軸線C1周りに回転させるための駆動部40では、サーボモータの回転軸が駆動機構11の軸部材と直交する。また、ロボットアーム部20のアーム部22を回転軸線C22周りに回転させるための駆動部40は、サーボモータがアーム部22の外側に配置されている。ここで言う「外側」は、回転軸線C1を中心軸とした場合における外周側を意味する。また、アーム部23の部分23aをアーム部22に対して回転軸線C23周りに回転させるための駆動部40は、同様にサーボモータがアーム部22の外側に配置されている。その他にも、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の関節軸ごとの駆動部40が、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の内部または外部に配置されている。また、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の内部には、駆動部40に対する駆動電力を供給するための配線部材が配置されている。たとえば、ロボットアーム部20では、ベース部21の水平面に沿う部分21aにおいて、配線部材の取り回しを容易にするために、上方に延びる部分21bよりも回転軸線C1に対して外側の領域を経由するように配線部材が配置されている。
【0028】
また、
図1に示すように、ロボット100は、ロボット100の各部の動作を制御する制御部50を備えている。制御部50は、本体基台部10の内部に配置されているロボットコントローラである。制御部50は、駆動部40の駆動を制御して、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の動作を制御する。制御部50は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を含む。また、制御部50は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などのメモリや、ハードディスクなどの記憶装置も含む。制御部50は、記憶装置に記憶されたプログラムおよびパラメータなどに基づいて、演算装置による制御処理を実行する。また、制御部50は、通信モジュールを含む。制御部50は、通信モジュールを介して取得された外部からの信号に基づいて、ロボット100の各部の動作を制御する。たとえば、制御部50は、予め設定されて記憶装置に記憶されたプログラムおよびパラメータなどに基づいてロボットアーム部20およびロボットアーム部30の動作を制御することと、通信モジュールを介して取得された信号に基づいてロボットアーム部20およびロボットアーム部30の動作を制御することとを切り替えて実行する。
【0029】
[第1実施形態の効果]
ロボット100は、上記のように、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20および水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部30の各々が共通の回転軸線C1周りに回転する状態で、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30を支持する本体基台部10を備える。これにより、ロボットアーム部20とロボットアーム部30との各々が、本体基台部10において互いに異なる位置に連結される場合に比べて、ロボットアーム部20およびロボットアーム部30の各々が共通の回転軸線C1周りに回転する状態で支持されているため、装置構成が大型化することを抑制できる。その結果、複数のアームを備える場合にも装置構成の大型化を抑制できる。
【0030】
また、第1実施形態では、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20は、本体基台部10に対して接続され、共通の回転軸線C1周りに回転する垂直多関節ベース部としてのベース部21と、ベース部21に対して接続され、共通の回転軸線C1と直交する回転軸線C22周りに回転する垂直多関節基端アーム部としてのアーム部22とを含む。ここで、垂直多関節のロボットアームでは、3次元的な動作を容易に行えるとともに、エンドエフェクタにより角度を変更するように捻る動作を容易に行える。また、水平多関節のロボットアームでは、エンドエフェクタが取り付けられるアーム先端の水平面内における移動を容易に、かつ、精度よく行える。そのため、共通の回転軸線C1に直交する回転軸線C22周りに回転するようにアーム部22が接続されている垂直多関節のロボットアーム部20と、共通の回転軸線C1周りに回転する水平多関節のロボットアーム部30とが、本体基台部10に接続されているため、垂直多関節のロボットアーム部20による動作と、水平多関節のロボットアーム部30による動作との両方を、ロボット100による作業の種類に合わせて容易に実行できる。その結果、回転軸線C1が共通であるため装置構成の大型化を抑制できるとともに、複数種類の作業を容易に実行できる。
【0031】
また、第1実施形態では、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20は、垂直多関節基端アーム部としてのアーム部22に接続される垂直多関節先端アーム部としてのアーム部23を含む。アーム部23は、アーム部23の延びる方向周りに回転するとともに、アーム部23の延びる方向と共通の回転軸線C1とによって平面が形成される位置に配置されている。ここで、ベース部21の本体基台部10に対する回転軸線である共通の回転軸線C1と、アーム部23の回転軸線C24とによって平面が形成されない場合には、ロボットアーム部20の姿勢を制御するための運動学の演算が複雑になる。これに対して、第1実施形態では、共通の回転軸線C1とアーム部23の回転軸線C24とによって平面が形成される位置にアーム部23が配置されることによって、共通の回転軸線C1に一致するようにアーム部23の回転軸線C24を配置できる。そのため、ロボットアーム部20の動作を制御するための演算が複雑になることを抑制できるので、ロボット100の動作を処理する制御部50の処理負担の増加を抑制できる。
【0032】
また、第1実施形態では、垂直多関節先端アーム部としてのアーム部23の長さL23は、垂直多関節基端アーム部としてのアーム部22の長さL22以下である。アーム部23は、アーム部22よりも共通の回転軸線C1に近い位置に配置されている。これにより、アーム部23の長さL23がアーム部22の長さL22以下であるため、共通の回転軸線C1に対して、アーム部22の内側に重なるようにアーム部23を配置することができる。そのため、ロボットアーム部20が回転軸線C1に沿って折りたたまれた姿勢となるようにロボット100を配置できるため、ロボット100の動作を停止させている期間などにおいて、ロボット100の占める空間の範囲をより小さくコンパクトにできる。
【0033】
また、第1実施形態では、水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部30は、本体基台部10に対して接続され、共通の回転軸線C1周りに回転する水平多関節基端アーム部としてのアーム部31と、アーム部31に接続され、共通の回転軸線C1と平行な回転軸線C32周りに回転する水平多関節先端アーム部としてのアーム部32とを含む。アーム部32の長さL32は、アーム部31の長さL31以下である。アーム部32は、共通の回転軸線C1と平行な回転軸線C32周りに回転することによって、アーム部31と重なる。これにより、アーム部31に重なるようにアーム部32を配置できるので、ロボットアーム部30が折りたたまれた姿勢となるようにロボット100を配置できる。そのため、ロボット100の動作を停止させている期間などにおいて、ロボット100の占める空間の範囲をより小さくコンパクトにできる。
【0034】
また、第1実施形態では、水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部30は、共通の回転軸線C1上において、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20の上方に重なる位置に配置されている。ここで、垂直多関節のロボットアーム部20を水平多関節のロボットアーム部30の上方に重なるように配置した場合には、ロボットアーム部20の垂直多関節ベース部としてのベース部21に、水平多関節のロボットアーム部30が接触することを抑制するために、ロボットアーム部30の長さが小さくなり動作範囲が小さくなる。これに対して、第1実施形態では、回転軸線C1上において水平多関節のロボットアーム部30が垂直多関節のロボットアーム部20の上方に重なる位置に配置されているため、垂直多関節のロボットアーム部20と水平多関節のロボットアーム部30とを共通の回転軸線C1周りに回転するように配置する場合に、水平多関節のロボットアーム部30の動作範囲が小さくなることを抑制できる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、
図4および
図5を参照して、第2実施形態によるロボット200の構成について説明する。第2実施形態では、ロボット200は、水平多関節のロボットアーム部230におけるアーム部231に追加の軸が配置されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0036】
図4に示すように、第2実施形態によるロボット200は、ロボットアーム部230を備えている。ロボットアーム部230は、第1実施形態のロボットアーム部30と同様に、水平多関節のロボットアームである。ロボットアーム部230は、垂直多関節のロボットアーム部20と共通の回転軸線C1周りに回転するように本体基台部10に接続されている。ロボットアーム部230は、アーム部231、アーム部32、および、手首部33を含む。アーム部231、アーム部32、および、手首部33は、第1実施形態と同様に、ロボットアーム部30の基端から先端に向かってこの順に接続されている。アーム部231の先端側には、第1実施形態のアーム部31と同様に、回転軸線C1と平行な回転軸線C32周りに回転するようにアーム部32が接続されている。第2実施形態では、アーム部231は、第1部材231aおよび第2部材231bを含む。第1部材231aは、本体基台部10に接続されている。第2部材231bは、アーム部32に接続されている。なお、ロボットアーム部230は、水平ロボットアーム部の一例である。また、アーム部231は、水平多関節基端アーム部の一例である。
【0037】
図5に示すように、第2部材231bは、第1部材231aの延びる方向に沿って延びる状態から、回転軸線C1に沿う方向に向かって上方に回転することによって、折りたたまれるように第1部材231aに接続されている。すなわち、第2部材231bは、第1部材231aに接続され、第1部材231aの延びる方向に沿って延びる状態から、第1部材231aに対して折りたたまれた状態へと、回転軸線C1方向に向かって回転する。具体的には、第2実施形態では、アーム部231において関節部234が配置されている。第1部材231aおよび第2部材231bは、関節部234を介して互いに接続されている。関節部234は、アーム部231が延びる方向である水平面に沿った方向から、回転軸線C1に沿うように上方に向かって、アーム部231が90度折れ曲がるように第2部材231bを回転させる。関節部234により、アーム部231は、第1部材231aおよび第2部材231bが水平面に沿って直線状に延びている状態と、第2部材231bが上方に向かって折れ曲がっている状態とを切り替えて配置される。なお、関節部234には、アクチュエータなどの駆動機構は配置されていない。たとえば、ロボット200の収納時などのロボット200の動作が停止している期間において、関節部234によりアーム部231を折りたたむことによって、ロボット200の占める空間の範囲が小さくコンパクトになる。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0038】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態によるロボット200では、上記のように、水平多関節基端アーム部としてのアーム部231は、本体基台部10に接続されている第1部材231aと、水平多関節先端アーム部としてのアーム部32に接続されている第2部材231bとを有する。また、第2部材231bは、第1部材231aに接続され、第1部材231aの延びる方向に沿って延びる状態から、第1部材231aに対して折りたたまれた状態へと、共通の回転軸線C1方向に向かって回転する。これにより、アーム部231を折りたたむことができるので、ロボット200の動作を停止させている期間などにおいて、ロボット200の占める空間の範囲をより一層小さくコンパクトにできる。なお、第2実施形態によるその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0039】
[第3実施形態]
次に、
図6を参照して、第3実施形態によるロボット300の構成について説明する。第3実施形態によるロボット300では、水平多関節のロボットアーム部330の上方に垂直多関節のロボットアーム部320が配置されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
図6に示すように、第3実施形態によるロボット300は、垂直多関節のロボットアーム部320と、水平多関節のロボットアーム部330とを備えている。ロボットアーム部320は、第1実施形態のロボットアーム部20と同様に6軸の垂直多関節のロボットアームである。ロボットアーム部320は、ベース部321、アーム部22、アーム部23、および、手首部24を含む。ベース部321は、第1実施形態のベース部21と同様に、本体基台部10に接続されている。ベース部321、アーム部22、アーム部23、および、手首部24同士の接続は、第1実施形態と同様である。また、ロボットアーム部330は、第1実施形態のロボットアーム部30と同様に、アーム部331、アーム部32、および、手首部33を含む。アーム部331は、第1実施形態のアーム部31と同様に、本体基台部10に接続されている。アーム部331、アーム部32、および、手首部33同士の接続は、第1実施形態と同様である。なお、ロボットアーム部320は、垂直ロボットアーム部の一例である。ベース部321は、垂直多関節ベース部の一例である。また、ロボットアーム部330は、水平ロボットアーム部の一例である。アーム部331は、水平多関節基端アーム部の一例である。
【0041】
ロボットアーム部320とロボットアーム部330との各々は、第1実施形態と同様に、共通の回転軸線C1周りに回転するように本体基台部10に接続されている。第3実施形態では、ロボットアーム部320は、ロボットアーム部330の上方に重なるように、回転軸線C1周りに回転するように本体基台部10に接続されている。ロボットアーム部320は、回転軸線C1上において、ロボットアーム部330の上方に重なる位置に配置されている。ロボットアーム部330のアーム部331は、第1実施形態のアーム部31と同様に基端側において回転軸線C1周りに回転するように本体基台部10に接続されている。そして、回転軸線C1に沿って、アーム部331の上方に重なるようにロボットアーム部320のベース部321が配置されている。第3実施形態では、ロボット300は、第1実施形態の駆動部40と同様に、ロボットアーム部320およびロボットアーム部330を駆動させる駆動部340を備えている。駆動部340は、第1実施形態の駆動部40と同様に、サーボモータ、エンコーダ、ギア、および、減速機を含んでいる。たとえば、ロボットアーム部330のアーム部331を回転軸線C1周りに回転させるための駆動部340は、第1実施形態と同様に、アーム部331の内部に配置されている。
【0042】
第3実施形態では、ロボットアーム部320のベース部321を回転軸線C1周りに回転させるための駆動部340は、ベース部321の内部に配置されている。たとえば、駆動部340は、ベース部321の内部において、駆動機構11の軸部材に沿うように、サーボモータの回転軸が回転軸線C1と平行になるように配置されている。サーボモータの下方に減速機が配置されており、減速機の下方の先端に配置されたギアと、駆動機構11の軸部材に配置されたギアとが嵌合することによって、ベース部321が駆動部340の駆動により回転軸線C1周りに回転する。また、第3実施形態では、ベース部321において、アーム部22を回転軸線C22周りに回転するための駆動部340が配置されている。たとえば、ベース部321において、ベース部321を回転軸線C1周りに回転させるための駆動部340が配置されている部分から上方に突出するように配置された部分に対して、アーム部22が接続されている。そして、アーム部22を回転軸線C22周りに回転させるための駆動部240は、ベース部321の上方に突出する部分において、アーム部22とは反対側に配置されている。すなわち、アーム部22と、アーム部22を回転軸線C22周りに回転させるための駆動部240とが、ベース部321を挟むように配置されている。
【0043】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態では、上記のように、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部320は、共通の回転軸線C1上において、水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部330の上方に重なる位置に配置されている。これにより、垂直多関節のロボットアーム部320の上方に水平多関節のロボットアーム部330が重なる場合に比べて、ロボットアーム部320の複数のリンク部材を、第1軸である回転軸線C1に近づけて配置できる。そのため、ロボットアーム部320における複数の回転軸線を、第1軸である回転軸線C1と交差するように容易に配置できる。すなわち、垂直多関節のロボットアーム部320における複数の回転軸線を、第1軸である回転軸線C1と一致するように容易に配置できる。その結果、複数の回転軸線が一致しないことに起因するロボットアーム部320の動作の制御における演算処理の複雑化を容易に抑制できるので、ロボットアーム部320の動作の制御処理の処理負担が増加することを容易に抑制できる。
【0044】
また、第3実施形態では、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部320における垂直多関節ベース部としてのベース部321の内部に、ロボットアーム部320の共通の回転軸線C1周りの回転を行うための駆動部340を配置している。ベース部321の内部に配置された駆動部340に含まれるサーボモータは、出力軸が回転軸線C1と平行となるように配置されている。これにより、サーボモータを、回転軸線C1に対して出力軸が直交するように配置する場合に比べて、ベース部321の水平面内における大きさを小さくできる。そのため、水平多関節の水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部330の上方に垂直多関節のロボットアーム部320を重ねるように配置する場合に、ベース部321の水平面内の大きさに起因するロボットアーム部330の動作範囲の制限を軽減できる。なお、第3実施形態によるその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0045】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0046】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20、320において、本体基台部10に接続される垂直多関節ベース部としてのベース部21が逆T字形状である例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、垂直多関節ベース部は逆T字形状以外の形状であってもよい。たとえば、
図7に示す第1変形例による垂直多関節ベース部としてのベース部421aのように、垂直多関節ベース部は、L字形状を有していてもよい。すなわち、本体基台部10の天面の上方において回転軸線C1と直交するように水平面に沿って延びる部分と、水平面に沿って延びる部分から上方に折れ曲がるように延びる部分とを含むように、ベース部421aをL字状としてもよい。このように構成すれば、ベース部421aに接続される垂直多関節基端アーム部の第2軸である回転軸線C22周りにおける動作範囲をより大きくできる。また、
図8に示す第2変形例による垂直多関節ベース部としてのベース部421bのように、垂直多関節ベース部は、下方に延びるL字形状を有していてもよい。すなわち、本体基台部10の天面の上方において水平面に沿って延びる部分から、下方に折れ曲がるように延びる部分を含むように、ベース部421bを、第1変形例のベース部421aとは反対のL字状としてもよい。このように構成すれば、垂直多関節基端アーム部および垂直多関節先端アーム部の長さを大きくする場合にも、ロボット全体の重心を低く保てる。また、
図9に示す第3変形例による垂直多関節ベース部としてのベース部421cのように、垂直多関節ベース部は、垂直多関節基端アーム部を両持ちとするようにしてもよい。すなわち、垂直多関節基端アーム部を回転軸線C22の一方側と他方側との両方から挟むように支持するようにしてもよい。このように構成すれば、垂直ロボットアーム部の強度を向上できるとともに、内部の配線を容易に配置できる。
【0047】
また、上記第1、第2、および、第3実施形態では、垂直多関節先端アーム部としてのアーム部23の延びる方向である垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20の第4軸が、第1軸である回転軸線C1と平面を形成する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、垂直多関節の垂直ロボットアーム部の第4軸と第1軸とが平面を形成しないようにしてもよい。また、垂直多関節先端アーム部を、垂直多関節基端アーム部よりも回転軸線C1の外側に配置してもよい。
【0048】
また、上記第1、第2、および、第3実施形態では、垂直多関節先端アーム部としてのアーム部23の長さL23が、垂直多関節基端アーム部としてのアーム部22の長さL22以下であり、水平多関節先端アーム部としてのアーム部32の長さL32が、水平多関節基端アーム部としてのアーム部31、231、331の長さL31以下である例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、垂直多関節先端アーム部の長さが、垂直多関節基端アーム部の長さよりも大きくてもよい。また、水平多関節先端アーム部の長さが、水平多関節基端アーム部の長さよりも大きくてもよい。
【0049】
また、上記第1、第2、および、第3実施形態では、本体基台部10が床面に載置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、本体基台部10を壁面または傾斜面に配置するようにしてもよい。また、本体基台部にモータなどの駆動部と車輪などの移動部とを配置することによって、本体基台部を移動させるようにしてもよい。
【0050】
また、上記第1、第2、および、第3実施形態では、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20が、6軸の垂直多関節のロボットアームであり、垂直多関節ベース部としてのベース部21、321と、垂直多関節基端アーム部としてのアーム部22と、垂直多関節先端アーム部としてのアーム部23とを含む例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、垂直ロボットアーム部を、5軸以下、または、7軸以上の垂直多関節としてもよい。また、垂直ロボットアーム部を、6軸の垂直多関節とする場合にも、複数の関節軸の方向の組み合わせを、上記第1、第2、および、第3実施形態とは異なる組み合わせとしてもよい。また、関節軸を駆動させるサーボモータなどを含む複数の駆動部の各々を、上記第1、第2、および、第3実施形態とは異なる配置としてもよい。たとえば、垂直多関節基端アーム部を第2軸の回転軸線周りに回転させるための駆動部を、垂直多関節ベース部に配置するようにしてもよい。水平多関節基端アーム部を第1軸の回転軸線周りに回転させるための駆動部を、本体基台部に配置するようにしてもよい。
【0051】
また、上記第3実施形態では、垂直多関節基端アーム部としてのアーム部22と、アーム部22を回転軸線C22周りに回転させるための駆動部340とが、垂直多関節ベース部としてのベース部321を挟むように配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、垂直多関節ベース部に対して、垂直多関節基端アーム部と駆動部とを同じ方向に配置するようにしてもよい。このように構成すれば、水平多関節の水平ロボットアーム部と共通の回転軸線に対して、片側に寄せるように直多関節基端アーム部と駆動部とを同じ方向に配置できる。そのため、共通の回転軸線に沿って上方に配置された垂直多関節の垂直ロボットアーム部と、下方に配置された水平多関節の水平ロボットアーム部との接触を容易に回避できる。
【0052】
また、上記第3実施形態では、垂直多関節ベース部としてのベース部321を回転軸線C1回りに回転させる駆動部340を、サーボモータの回転軸が回転軸線C1と平行になるように配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、垂直多関節ベース部を回転軸線回りに回転させる駆動部を、サーボモータの回転軸が回転軸線と直交するように配置するようにしてもよい。
【0053】
また、上記第1、第2、および、第3実施形態では、水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部30が、水平多関節基端アーム部としてのアーム部31、231、331と、水平多関節先端アーム部としてのアーム部32とを含み、水平方向に動作する3つの関節軸を有する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、水平ロボットアーム部を、3軸以外の関節軸を有するようにしてもよい。また、水平ロボットアーム部を、3つ以上のアームを有するようにしてもよい。また、水平ロボットアーム部を、水平方向と交差する上下方向への移動軸を含むようにしてもよい。たとえば、上記第1、第2、および、第3実施形態では、エンドエフェクタを上下方向に移動させる移動軸として、上下移動機構を水平ロボットアーム部の先端側の手首部に配置する例を示したが、基端側の本体基台部において、水平ロボットアーム全体を上下方向に移動させる移動軸を備えるようにしてもよい。
【0054】
また、上記第1、第2、および、第3実施形態では、垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20、320と、水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部30とが、本体基台部10に接続されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、垂直ロボットアーム部および水平ロボットアーム部を、間接的に本体基台部に接続することによって本体基台部に支持されるようにしてもよい。たとえば、垂直ロボットアーム部を本体基台部に接続するとともに、本体基台部に接続された垂直ロボットアーム部に対して、水平ロボットアーム部を接続することによって、垂直ロボットアーム部と水平ロボットアーム部とを共通の回転軸線周りに回転するように本体基台部に支持されるようにしてもよい。また、水平ロボットアーム部を本体基台部に接続するとともに、本体基台部に接続された水平ロボットアーム部に対して、垂直ロボットアーム部を接続することによって、垂直ロボットアーム部と水平ロボットアーム部とを共通の回転軸線周りに回転するように本体基台部に支持されるようにしてもよい。
【0055】
また、上記第1、第2、および、第3実施形態では、ロボット100、200、300が、右腕として、1つの垂直多関節の垂直ロボットアーム部としてのロボットアーム部20、320を備えており、左腕として、1つの水平多関節の水平ロボットアーム部としてのロボットアーム部30、230、330を備える例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、水平多関節の水平ロボットアーム部をロボットの右腕とし、垂直多関節の垂直ロボットアーム部をロボットの左腕としてもよい。また、ロボットの構造を変更せずに、プログラムのパラメータを入れ替えることによって、右腕と左腕とを入れ替えるようにしてもよい。すなわち、水平ロボットアーム部と垂直ロボットアーム部との各々において、関節部の駆動方向を反対方向に入れ替えることによって、右腕と左腕とを入れ替えるようにしてもよい。また、水平ロボットアーム部が2つ以上配置されていてもよいし、垂直ロボットアーム部が2つ以上配置されていてもよい。
【0056】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0057】
(項目1)
垂直多関節の垂直ロボットアーム部と、
水平多関節の水平ロボットアーム部と、
前記垂直ロボットアーム部および前記水平ロボットアーム部の各々が共通の回転軸線周りに回転する状態で、前記垂直ロボットアーム部および前記水平ロボットアーム部を支持する本体基台部と、を備える、ロボット。
【0058】
(項目2)
前記垂直ロボットアーム部は、前記本体基台部に対して接続され、前記共通の回転軸線周りに回転する垂直多関節ベース部と、前記垂直多関節ベース部に対して接続され、前記共通の回転軸線と直交する回転軸線周りに回転する垂直多関節基端アーム部とを含む、項目1に記載のロボット。
【0059】
(項目3)
前記垂直ロボットアーム部は、前記垂直多関節基端アーム部に接続される垂直多関節先端アーム部を含み、
前記垂直多関節先端アーム部は、前記垂直多関節先端アーム部の延びる方向周りに回転するとともに、前記垂直多関節先端アーム部の延びる方向と前記共通の回転軸線とによって平面が形成される位置に配置されている、項目2に記載のロボット。
【0060】
(項目4)
前記垂直多関節先端アーム部の長さは、前記垂直多関節基端アーム部の長さ以下であり、
前記垂直多関節先端アーム部は、前記垂直多関節基端アーム部よりも前記共通の回転軸線に近い位置に配置されている、項目3に記載のロボット。
【0061】
(項目5)
前記水平ロボットアーム部は、前記本体基台部に対して接続され、前記共通の回転軸線周りに回転する水平多関節基端アーム部と、前記水平多関節基端アーム部に対して接続され、前記共通の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転する水平多関節先端アーム部とを含み、
前記水平多関節先端アーム部の長さは、前記水平多関節基端アーム部の長さ以下であり、
前記水平多関節先端アーム部は、前記共通の回転軸線と平行な回転軸線周りに回転することによって、前記水平多関節基端アーム部と重なる、項目1~4のいずれか1項に記載のロボット。
【0062】
(項目6)
前記水平多関節基端アーム部は、前記本体基台部に接続されている第1部材と、前記水平多関節先端アーム部に接続されている第2部材とを有し、
前記第2部材は、前記第1部材に接続され、前記第1部材の延びる方向に沿って延びる状態から、前記第1部材に対して折りたたまれた状態へと、前記共通の回転軸線方向に向かって回転する、項目5に記載のロボット。
【0063】
(項目7)
前記水平ロボットアーム部は、前記共通の回転軸線上において、前記垂直ロボットアーム部の上方に重なる位置に配置されている、項目1~6のいずれか1項に記載のロボット。
【0064】
(項目8)
前記垂直ロボットアーム部は、前記共通の回転軸線上において、前記水平ロボットアーム部の上方に重なる位置に配置されている、項目1~7のいずれか1項に記載のロボット。
【符号の説明】
【0065】
10 本体基台部
20、320 垂直ロボットアーム部
21、321、421a、421b、421c ベース部(垂直多関節ベース部)
22 アーム部(垂直多関節基端アーム部)
23 アーム部(垂直多関節先端アーム部)
30、230、330 水平ロボットアーム部
31、231、331 アーム部(水平多関節基端アーム部)
32 アーム部(水平多関節先端アーム部)
100、200、300 ロボット
231a 第1部材
231b 第2部材
C1 回転軸線(共通の回転軸線)